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ミラーレス・マニアックス(44)

安価な中古ミラーレス機にマニアックなレンズを装着し、
コスパの良いアダプター遊びを楽しむシリーズ、第44弾。

今回は、まず、このシステム、

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カメラは LUMIX DMC-GX7
後継機が発売されて、中古相場がこなれてきている。
基本性能は高いが、DMC-G5/G6と比較すると操作系に
若干の問題を抱えている。が、まあ悪いカメラでは無い。

レンズは、YASHICA ML135mm/f2.8

ヤシカが京セラ・コンタックスの傘下にあった時代、1980年代
前後のMFレンズだ。マウントはY/C(ヤシカ・コンタックス)である。
このレンズは製造元の差(富岡光学やコシナ等)により
いくつかのバージョンがある模様だが、本レンズがどれにあたる
かは良く分からない。
まあ、出自はどうても良く、いずれにしても言えるのは、ヤシカML
レンズ群は、CONTAXブランドの下位ラインナップの位置づけながら、
価格の割りに良く写る、すなわちコスパが良いレンズが多いという
事だ。
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μ4/3機のGX7に装着すると270mm相当と、かなりの望遠画角
となり、散歩撮影では被写体の見つけ方が難しい。

ボケ質は標準的、可もなく不可も無しと言う感じだろうか。
ボケ質の破綻が少し出るが、まあ他のレンズと比較すれば出難い方
であるので、最短撮影距離の1.5mまでボケ量変化を比較的自在に
使える。最短はちょっと長めであるが、CONTAXブランドレンズとの
差別化を図っているかと思いきや、不思議な事に、CONTAXの
ゾナー135mm/f2.8の方が最短1.6mと長くなっている。
レンズ構成もどちらも4群5枚で同じ模様だし、だったらゾナー
では無く、ヤシカMLを買った方が安くて良いのではなかろうか?
まあでも、ゾナー135/2.8では、絞り込んで行くと、キリキリと
解像度もコントラストも上がっていく感じが楽しいが・・
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DMC-GX7には、優秀な(精度の高い)ピーキング機能が搭載
されている、高精細(276万ドットと、ミラーレス機最高クラス)
なEVFとあいまって、MFレンズのピント合わせはスムースだ。

PANASONICのμ4/3機のピーキング機能搭載は他社より
やや遅いくらいで、GシリーズではG6から、GXでは本機が最初だ。
(後発はある意味正解であろう、他社の初期ミラーレス機では、
ピーキング精度が低く、実用的で無いものが多かった)

で、それまでのG5等では、ピント合わせに拡大操作が必須に
近い状態であったので、操作系が優秀なGシリーズと言えども
動き物(動体被写体)には弱かった。まあつまり、ピント合わせが
間に合わないのだ。

ピーキングであれば、拡大操作を省略する事も出来、スピーディ
ではある。上写真のような飛行機は、頭上にカメラを向けて
飛行機を追いながらピント合わせをする、画角が狭いので
(注:デジタルテレコンを併用している=画質は悪い)被写体を
追いながらのMF操作は少々困難であるが、まあなんとか
ピーキングであれば追いつく。

ただし精度は、完全にアテにする訳には行かない、ピーキングで
合っていると表示される場合でも、実際には合っていない事も
多々ある。まあ、それは、ピントというものは本来ならば画像の
空間周波数であるのだが、それを検出するには画像処理が大変だ、
だからコントラスト差分方式で輪郭を明瞭化する画像処理方法を
使わざるを得ないのだが、それは厳密にはピントという概念とは
異なるからだ。
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またしてもデジタルテレコン併用。
G5/G6では、ファンクションレバーに連続可変デジタルズームを
アサイン出来るので極めて便利であるが、GX7ではそのレバーが無く、
シャッターボタン周囲のダイヤルは、アダプター使用時には何も
アサインできず、完全に遊んでしまう(このあたり、Gシリーズより
操作系が悪化している)結局、GX7のFnキーで簡便に使えるのは、
2倍、4倍の不連続なデジタルテレコンでしか無いのだ。

で、270mmの画角というのは、かなり遠くの被写体を探す目線に
なる、なので、どうしても遠くの小鳥とかに目が行きやすい。
しかし、遠距離の小鳥等では270mmでは足りず、結局、テレコン
併用で540mmまたは1080mm画角での撮影になってしまうのだ。

GX7には手ブレ補正機能が内蔵されているが(PANAのGシリーズ
としては最初だ)アダプター使用時には、電源を入れるたびに
焦点距離を聞いてくる、これは少々うっとうしいし、おまけに、
例えば本レンズ本来の焦点距離の135mmに設定したとしよう、
そのままであれば手ブレ補正は良く効く、だが、テレコンを使うと、
恐らくだが、見かけ焦点距離が変わってしまい、手ブレ補正が
効かなくなるのだ、このため、テレコンの倍率に応じ、焦点距離を
変更しなければならない。この変更はメニューの奥深くにあるので、
テレコンを変更するたびに呼ぶのは不便だ、実質的にこの操作系は
NGであり、使い物にならない。
結局、面倒なので手ブレ補正はOFFにせざるを得ない。

まあ、昼間であれば、f2.8レンズは270mm画角であれば
シャッター速度不足による手ブレになる事はまず無い、1/250秒を
キープしておけば大丈夫だからだ。問題なのはテレコン使用時で、
1000mm超あたりになると、フレーミング自体がままならない程
になってくる、限界点は撮影者によっても異なると思うが、私の
場合は、およそ1500mmあたりだ、これを超えるともう手ブレ補正
があろうがなかろうが関係なく、ブレが大きすぎて手に負えない。

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余談が長くなったが、YASHICA ML135mm/f2.8の購入価格は、
2000年代に12000円であった。MFの135/2.8レンズの相場として
考えると、少々高かったかも知れない、他社製品であれば軽く
1万円は切るからだ。ただまあ、ヤシカMLは、マニアの間では
ある意味「神格化」されたブランドであるので、相場が多少
高いのもやむを得なかった。
現代では玉数が少なく、少々入手困難であろう。
仮にあっても「時価」になるかもしれないが、レンズ自体の性能
から考える適正相場は、8000円程度だと思う。

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次は、このシステム、
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カメラは、お馴染み NEX-7
レンズは、ミノルタ MC ROKKOR PG 50mm/f1.4である。

第32回記事では、同じミノルタのNew MD 50mm/f1.4を
紹介しているが、それと本レンズはちょっと異なる。

違いを述べると、フィルター径が、MCが55mm、New MDが
49mm(つまり、New MDはだいぶ小型化している)
レンズ構成は、MCが5群7枚、New MDが6群7枚
最短撮影距離は、MCが50cm、New MDが45cm
発売時期は、MCが1970年前後、New MDが1980年代である。

すなわち、今回紹介するMCの方が15年ほど古い型なのだが、
New MDは、少々無理して小型化している部分もあり、こちらの
旧型の描写を好むマニアも多い。

ちなみに、PGという名称の意味だが、前のPは、ラテン語の
ペンタであるから5、後のGは、7番目のアルファベット、
すなわちレンズ構成が、5群7枚という事を表している。
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ボケ質は悪くない、今回は、ND4つまり減光1/4のフィルターを
装着しているので、昼間でも絞りを大きく開ける事ができる。
(注:NEX-7を最低ISOの100に設定しても、f1.4レンズでは
減光フィルターを使わない場合、昼間に開放にすると、NEXの
最高シャッター速度1/4000秒を、軽くオーバーしてしまう)

ただ、今回、あまり近接撮影はしておらず、大ボケはさせていない、
まずは、ちょっとボケ質破綻が出そうなのが気になったからだ。
いつも書いているように、ボケ質が破綻しても、回避の手段は
あるのだが、なんとなくMCレンズは、少し絞って中距離で使った
方が良いような直感がしていたのだ。
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けど、こういう中距離被写体では、どんなレンズを使ったと
してもたいてい同じような写りになってしまい、あまり面白みが
無いのは確かだ。けど、大口径だからと言って、なんでもかんでも
背景をボカせば良いという訳でもなく、そのあたりは、銀塩時代の
50mm標準レンズの撮影技法、つまり、絞りを開放から最小ま
で駆使し、望遠的にも広角的にも使える万能レンズとしての用途を
意図しても良いと思う。

そして、MF銀塩時代の50mm標準レンズは、どれを使っても
たいてい良く写る。私もほぼ全てのメーカーの50mm標準を買ったし、
ミノルタだけとってみても、小口径から大口径まで、多数の標準を
所有している。まあ「もしかすると別のレンズの方が良いかも」
という淡い期待があって買い続けていたのだが、確かにMC50/1.7
などは良く写るレンズであるが、あくまで微々たる差でしかなく、
大局的には、どれを選んでも問題ないという事になるであろう。
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本レンズの購入価格だが、1990年代に10000円であった。
その時代、X-700やXDなどのミノルタ銀塩MF一眼に装着して使って
いたのだが、New X-700セット販売の標準は、本来 New MDだ。
でも、新品のセットは高価なので、ボディとレンズを各々中古で
バラバラに購入するから、時代の異なる組み合わせが出来てしまう。

保有機材に多少の余裕が出てくると、MC50/1.4は、SRT-Super
で使うなど、時代を合わせてシステムとする、という拘りも出てくる
のだが、まあ、実用的にはあまり意味の無い事だ。

MDやMCレンズは、デジタル時代初期(2000年代)においては、
デジタル一眼用アダプターが「補正レンズ入り」で無いと作れず
使い難いレンズであったのだが、処分せずに所有しつづけていた所、
2010年代、ミラーレス時代となって、アダプターで自在に使用
できる状態になって助かった。コスパの良いこれらのMC/MDレンズ
が復活したのは、ミラーレス時代ならではで、喜ばしい事である。

本レンズは現代でも、玉数は多く無いが、まあ入手可能だ。
相場は程度によりけりだと思うが、ジャクン同然だったら2000円
程度から、程度が良くても1万円はしないと思う。オールドレンズを
使う上では、1本所有しておいても悪くないレンズだ。

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さて次は、こちらのシステム、
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カメラは、OLYMPUS E-PL2 、MF時の操作系に若干の弱点を
持つが、ピント合わせの問題を除けば特に問題が無く使える為、
通常はピント合わせの負担の少ない「トイレンズ母艦」としている。

しかし、今回は限界性能テストとして、28mmMFレンズを装着
してみよう。

そのレンズは、SIGMA Z 28mm/f2.8である。
このレンズに関する情報は少なく、出自は不明だ。
見た感じの雰囲気だが、1970年代のレンズだと思われる。
フォーカスは勿論MF、最短撮影距離は、40cmまで目盛りが
振ってあるが、そこから相当量余分にヘリコイドを廻す事ができ、
およそ30cm台前半だと思われる。

なお、これはこのレンズ個体の問題かも知れないが、
最短を超えて無理に廻すと、ピントリングが空回りする(汗)
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最初に結論を書いておくが、E-PL2でMFレンズのピント合わせ
は、例え広角レンズとは言え、無理がある事が分かった。

PEN Lite シリーズのE-PL2は EVFを持たなず、外付けEVFが
オプションで存在するが、それを買うくらいならば、それ以下の
値段で、EVF内蔵のミラーレス機の中古が買えてしまう。

ただ、E-PL2は、PENシリーズで最初に46万ドットの背面モニター
を採用した機種だ。ちなみに46万とは、480x320x3色という
スペックである。(それ以前のPENシリーズは23万ドット)
しかし、MFピント合わせを快適に行う為には、46万ドットでも
足らず、当然ながら拡大操作が必須となる(ピーキング機能は
この時代=2011年のPENシリーズではまだ搭載されていない)

だが、E-PL2の拡大操作系は、残念ながら優れていない。
まず、専用の拡大ボタンを押して、そのボタンとは違う位置に
ある十字ギーで拡大位置を変える、この段階では、EVF型の
ミラーレス機では、手探りでこれらのボタン位置を探す必要
があるのでNGなのだが、背面モニタータイプのE-PL2では、
ボタンの位置を目視できるので問題は無い。

で、拡大位置が決まったら、そこで本来ならば十字キーの
中央を押せば良いものの、また拡大ボタンまで指を戻して
実際の拡大表示に入る、ここがまず無駄な操作だ、最初から
拡大しておけば良いのではなかろうか?

そして、拡大モードのままでピントを合わせるのだが、残念
ながら46万ドットではクリアにピント位置がわからない。
(なお、近年のミラーレス機では、640x480x3色=92万ドットの
モデルが多い。その仕様でぎりぎりという感じだろうか)
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まあかろうじてピント位置が決まった、そこでシャッターボタン
を半押しすれば通常は、拡大解除されて、構図を確認できるが
E-PL2では、その方法では拡大解除されず、さらにもう1度
拡大ボタンを押す必要がある。何故シャッター半押しで解除
できないのだろうか? AFでは関連があるとしても、アダプター
ではMFに設定しているのだから、操作系プログラムをIF文で
分岐させれば良いだけの話だ。というか、レンズ接点から情報が
入ってこなければ、自動的にMFモードになれば良いのに、
E-PL2では、AFモードのままである。

という事で操作系に様々な矛盾と弱点があり、MFはたとえ
被写界深度の深い広角レンズであっても無理である事がわかった。
28mm広角でも、絞りを開放にすれば、上の写真のように背景を
ボカす事ができる、けど、こういう撮影がカメラの性能上、極めて
難しいのだ。

じゃあどうするか? こういう場合は銀塩時代の技法で、
28mmレンズは絞りをf8~f11に絞って、ピント位置を3mないし
2mにしておけばパンフォーカスとなり、ピント合わせが不要に
なる。そうでもしないとMFではピントが合わせられないのだ。

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カメラの余談が長くなったが、レンズの性能はどうか?
まず、解像度が低い、そしてボケ質が悪い。ボケの破綻が
出るので、その回避手段をとろうにも、46万ドットの背面
モニターでは、そもそもボケ質がまったくわからない。

さらに致命的な問題がある、逆光での酷いフレアとゴーストだ。
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「これでもか」というくらいに、盛大に出る(汗)
少々の逆光でも、画面は完全に白っぽくなるし、6角形の
(注:6枚絞り羽根という事だ)ゴーストが沢山出る。

まあ、多少のゴーストくらいであれば、作画表現に盛り込む事も
可能なのだが、ここまでフレアを伴って出ると、どうしようも無い。
SIGMAのレンズは、この後、1990年代くらいまでは逆光に弱い
のは、お約束であった、2000年代に入った頃から急速に良く
なってきたのであるが、古い時代のものはしかたが無い。

そう言えば、シニア世代以上の年代の人は、カメラマニアで無くても
記念撮影の時等に「こっちは逆光だから、そっちで撮ろうか?」
とか(今でも)良く言う事がある。
1960~1970年代にカメラが一般大衆にまで普及した際、
その逆光性能は酷いものであったのであろう、だから、こうした
「鉄則」が、一般レベルの人達にさえも知られていたのだと思う。

それ以降の世代の人では、逆光でもカメラはある程度写るように
なったから、若い世代の人で「こっちは逆光だから」などと言う
人は少ない。

で、まあ結局、このレンズは順光で撮るしか無いではないか・・
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疲れるレンズである・・(汗) 何故このレンズを買ったかと
言えば、1990年代に、行き付けのカメラ店で「珍しいのが入った
けど買う?」と言われて、レアものに惹かれて、思わず買って
しまったのだ。購入価格は6000円と、勿論高すぎたのだが、
それは現代の価値感覚だ、当時は第一次中古カメラブームで
どんなに安いレンズでも、10000円程度はしていた。

まあ性能からすると今時の価値感覚では、2000円という所で
あろうか・・勿論、レアものというだけで実用価値は全く無い。

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次は、今回ラストのシステム、
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カメラは、PENTAX K-01。何度もシリーズ記事で書いていて
重複するが、ピント合わせに致命的弱点を抱えるが、極めて
個性的な「孤高の迷機」である。

レンズは、PENTAX FA★85mm/f1.4
1990年代のAF大口径中望遠である。

K-01に装着可能なレンズとしては、究極に被写界深度の浅い
レンズであろう。本シリーズでは、K-01の限界性能を知る為に
あえて無茶なレンズとの組み合わせをトライして来たが、
本レンズが「ラスボス」という感じだと思う。
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案の定、AFではピントが合わせにくい(汗)

数本並んでいるチューリンプの何処にどうピントを合わせる等の
細かい芸当はK-01では不可能だ。そもそも、この構図で、どれでも
良いからチューリップにピントが来るようにする事自体困難で、
K-01は、平然と背景にピントを合わせに行ってしまう(汗)
勿論、K-01にはEVFもなく、背面モニターでは前記E-PL2の
ごとく、MFピント合わせは不可能に近い状態だ。

85mm/f1.4を、開放かつ中距離より短いピント距離にすると
被写界深度は紙の様に薄く(浅く)なり、一眼レフでの
光学ファインダーはもとより、EVF、拡大操作、ピーキング
いずれの方法でも無理がある。MFに限らず、AFでもピントの
正確性に欠け、一眼タイプの位相差AFでは精度はあるが厳密な
測距点が得られず、ミラーレスタイプのコントラスト検出AFでは
どうやっても精度が足りない。
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---4416
河津桜の中に野鳥(ヒヨドリか?)を発見、しかし、何処にピントが
行くか、K-01の場合には全く分からない(汗)
鳥が逃げないうちに20枚ほと撮って、撮れているのは2~3枚
という状況。ちなみに連写は無駄だ、1枚目でピンボケして
いたら、残りも全部アウトだ。なので毎回毎回、1枚づつAFピント
合わせをトライしつづけなくてはならない。

「動きもの」「瞬間もの」は不可能と判断し、静止被写体を
狙ってみるとしよう。
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それでも合わない。
もうイヤになってきた、降参だ。まさか本レンズをf16とかまで
絞るのは意味が無いし、撮影技法的なピント問題回避手段は皆無だ。

こうしたややこしい(大口径とかの)レンズの中で、かろうじて
実用的だったのは、魚眼ズーム F17-28mm(第5回記事)と、
大口径超広角 SIGMA AF20mm/f1.8(第18回記事)、および
超音波モーターのDA★55mm/f1.4SDM(第37回記事)位しか
なかったように思う。

FA31/1.8(第11回記事)は、本来K-01にベストマッチングな
レンズなのだが、やはりAF精度がやや厳しい.。

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本来 FA★85/1.4は、銀塩時代の1990年代にポートレート用レンズ
として開発されたものだ。

だが、2000年代以降、デジタル時代からミラーレス時代に至るまで、
PENTAXのカメラは、APS-Cサイズ以下の撮像素子であったので、
(ごく最近、フルサイズのK-1が発売された)
85mmの焦点距離では長すぎて、ポートレート用には使いにくく
なってしまった。私は、デジタル時代のポートレート用には
(若干長めではあるが)FA77mm/f1.8をメインにしていたので、
FA★85/1.4の用途は、暗所での中距離撮影、すなわち舞台とか
ライブとか、そういう被写体に限定されるようになってしまった。

K-01では無理なので、以前舞台撮影でデジタル一眼で本レンズを
用いた時の写真を掲載してみよう。
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この時に使った一眼は、PENTAX K10Dである。2006年発売の
デジタル一眼であり、良く舞台やライブで使ったが、最高ISO感度が
1600迄と、当時としても、かなり控えめのスペックであったので、
少しでも明るいレンズを、ということでFA★85/1.4はかなり重宝した。

近年では、舞台やライブ撮影では、最高ISO51200のK-5をメインで
使っているので、開放f値の制約はあまりなくなった。FA77/1.8
でも、あるいはf2.8級の小口径レンズであっても全く問題は無い。

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FA★85/1.4の購入価格だが、1990年代末頃に43000円であった。

第37回記事でも書いたが、本レンズは2000年代初頭に生産中止
となり、その後じわじわと中古相場が上昇、ついには、発売時定価
の10万円弱を超え、現在では11万円以上というプレミアム相場と
なってしまった、これはどうにも納得が行かない話だ。

確かに良く写るレンズであるが、このレンズだけ特別という要素は
一切なく、85mm/f1.4は、どのメーカーのものも良く写る。

例えば(使い勝手が難しいが)CONTAX プラナー85/1.4(第43回
記事でコシナ版を紹介)とかであれば、2000年代初頭では4万円台
で購入できた。(だがCONTAX版は、現在では、じわじわと相場が
高騰している)

α用85/1.4(第34回記事でLimited版を紹介)は、初期型であれば、
2000年代初頭に最安29800円で購入できた。
(α85/1.4も、その後極端に相場が高騰、バージョンによるが
現在6万~10万円程度する。ミノルタの撤退直後には、組織的な
買占めがあって、最も高かった時期で18万円というケースもあった)

本来85mm/f1.4は、5万円程度以下で買えるのが適正であるべき
なのに、何故そこまで中古相場が上がってしまうのか?
例えば、買う人が、85mm./f1.4の性能に過剰な幻想を抱き、
高くとも買ってしまう(売れる)から、中古相場が上がって
しまうのではなかろうか?

ここで断言するが、85mm/f1.4は、どんな手段を使っても
まずピントが合わないレンズであるという事だ。
その歩留まり率(ピンボケにならない確率)は、良くて10%以下、
悪ければ3%程度であると思う。 

趣味の撮影で、たまたま撮れている写真があればOK、という
ケースであれば、沢山撮って偶然上手く撮れたものを選べば
良いのであるが、絶対に撮らないとならないケース(業務上の撮影
に限らず、失敗が許されない場合、撮影チャンスが一瞬の時等)
では、85/1.4は怖くて使う事が出来ないレンズだと思う。

どうしても、FA★85mm/f1.4風の描写性能が欲しければ、
相場が高騰しすぎている状態で無理して買う必要はなく、
同一設計者でデジタル向けにリファインされた、DA★55/1.4
(第37回記事で紹介)を買えば良いのではなかろうか?

こちらであれば、APS-C機で約83mm相当のポートレート
画角となるし、FA85の描写にも似ている。
中古価格は、私の購入時点(2015年)での42000円より、
現在はさらに相場が下落して、40000円を切る気配もある。
(相場下落の理由は、フルサイズK-1に目がいってしまった
ユーザーが多いという事なのだろう)

結局、私はFA★85/1.4もDA★55/1.4も4万円強で購入している、
これらのレンズの性能からの適正中古相場は、そのあたりだと思う。

消費者も、自身で価格と性能の適正な物差しを持つ事が非常に
大事だと思っている、それを持たないと、無駄な高い買い物を
してしまうという事になる。まあ、それは自身の責任ではあるが、
結局、それにつられて、他のレンズも中古相場が上がって
しまうのだ(具体的には2016年現在では、ライカマウントレンズ、
ニコンFマウントレンズ、コンタックスMFレンズ、コンタックス
Gマウントレンズ、オリンパスPENマウント、海外製レアレンズ
等がそれだ)

そうした高騰レンズを、普通の理由(例えば、壊れたから
買いなおす等)で必要としているユーザーが困ってしまう。

中古市場は、お金持ちの好事家だけのものでは無いし、ましてや
転売(投機)目的というのもある模様で、困ったものだ。 
結局、高すぎてもレンズを買ってしまう人が居るから、他の人が
迷惑をこうむる、という事になる訳だ。
高ければ買わなければ良い、誰も買わなければ相場は下がるのだ。

さて、まだ書きたい事はあるが、もう記事文字数が限界だ、
次回記事に続く。

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