Quantcast
Viewing all articles
Browse latest Browse all 791

ミラーレス・マニアックス(40)

安価な中古ミラーレス機にマニアックなレンズを装着し、
コスパの良いアダプター遊びを楽しむシリーズ記事
キリの良い第40回目は、まず、このシステムから。

Image may be NSFW.
Clik here to view.
c0032138_18443358.jpg

カメラは、お馴染み DMC-G1
レンズは、少々レアな、VIVITAR 28mm/f2.8だ。

VIVITAR(ビビター)は、米国のカメラメーカーであり
銀塩時代の2000年代前半までは、銀塩一眼レフ、銀塩コンパクト、
トイカメラなどを販売していた。現在では、アクションカメラや
ドローン用カメラ、トイカメラ(デジタル・フィルム)など、
新しい分野やマニア向けのカメラ製品を手掛けている模様である。

同社は、カメラ本体からレンズまで全てが自社生産ではなく、
多くが他社からのOEM供給に頼っていた節がある。
以前は、その多くは日本製であり、現在は韓国SAMYANG等から
の供給もある模様だ。光学製品以外も取り扱っている様子なので、
どちらかと言えば商社的な性格の企業なのであろうか。

このレンズは恐らく1980年代のもので、ヤシカ・コンタックス
マウントのMFレンズである。
Image may be NSFW.
Clik here to view.
c0032138_18451334.jpg

描写力であるが、ちょっと厳しいのは、フレアが非常に出やすい
ところだ、長期間使わなかったレンズであるのでカビてしまって
いる可能性もあるが、目視ではよくわからなかった。
まあ、逆光を出来るだけ避けてフレアを回避していくとしよう。

私がこのレンズを購入したのは1990年代、何故ヤシコンマウント
なのか?といえば、恐らく本レンズは多種のMFマウント向けに
主に海外にて販売されていたと思う。日本国内ではあまり出回って
いなかったレンズであるが、好事家などが持ち込んだものが
一部中古市場に流れたのかもしれない。

で、当時私はコンタックス用には、このあたりの広角は
DISTAGON の25mm/f2.8 と35mm/f2.8を所有していたのだが、
「28mmが無いなあ・・」と思っていた。ディスタゴンの28mmを
買えば良い話なのだが、そんなに細かい焦点距離刻みで、
高価なCONTAXレンズを揃えるわけにもいかず、安価な
ヤシカMLの28mmを探していたが、ヤシカMLは50mm標準以外
のレンズは、少々レアなので簡単には中古市場に出てこない。
そんな時にたまたま見つかったのが、本VIVITAR 28/2.8あった。

ただ、描写力がコンタッックスレンズに比べてだいぶ劣るので、
実際には、ちょっと撮った後は、あまり使用せず、長期に渡って
休眠してしまった次第である。
Image may be NSFW.
Clik here to view.
c0032138_1846338.jpg

まあ「話のネタ」的な要素もあったかも知れない、
当時は第一次中古カメラブーム、マニア同士の会話の中で
「どうだ、VIVITARだぞ! 見たこと無いだろう?」等と自慢する
ような感じもあったという事だ。
おまけに、レンズ保護フィルターも、ViVITARブランドの純正品を
どこかのジャンクコーナーで探し当てて装着していた、
「フィルターまで VIVITARだぜ!」という感じである(笑)
まるで子供のような発想だが、当時のマニア道というのは
だいたいそんなものでもあった・・(汗)

冒頭の写真では、そのフィルターが装着してあるが、実は
この直後、撮影中にどこかで脱落して紛失してしまった(泣)
う~ん、残念! まあ、金額的には200~300円程度だったので
たいした事は無いが、レアものという意味では惜しい、
そしてフィルターを紛失した事などは過去無かったので、
自身のちょっとした油断に対してもショックでもあった。

しかし、妙なレンズである。逆光でヘロヘロになってしまう事は、
オールドレンズには良くある話であるが、それにしても、
ほんの僅かな撮影条件の差で、ちゃんと写る時もあり、なんだか
気まぐれなレンズだ。それに、被写界深度も28mm./f2.8に
しては少し浅く感じる。
Image may be NSFW.
Clik here to view.
c0032138_18464016.jpg

被写界深度は、レンズの絞り値、焦点距離、撮影距離、そして
センサーサイズ(許容錯乱円)からなる厳密な計算式があり、
レンズ個々の構成や性能で、それに差がつく事はない。
だから28mm/f2.8のレンズであれば、どれであっても同じ
撮影条件ならば被写界深度は同じだ。
けど、感覚的には浅く感じるので、不思議なものだ、ボケの
遷移(後述)が影響しているのかも知れない。

本レンズの出自(製造元)は不明である、マニアの間では、
キノン(キノ精密光学)製や、コシナ製との噂もあるが、
実際のところは不明である。
Image may be NSFW.
Clik here to view.
c0032138_18473992.jpg

現代における入手性は、かなり困難であろう、しかし、現代に
おいて必要なレンズか?といえば、それはNOだと思う。
28mm/f2.8クラスのMFレンズは中古市場にはいくらでも
玉数があり、これより優秀なレンズはいくらでもあるし、逆にクセ玉
ですら、いくらでもある、絶対にVIVITARでなければ、というのは
前述のように、レアである、というコレクター的要素でしか無い。

本レンズの購入価格は1990年代に8000円であった、性能から
すれば勿論高すぎたが、まあ、希少価値による値付けなので
やむを得なかっただろうか・・

なお、本レンズに限らなければ、VIVITARは多種多用の
レンズが発売されていたので、丹念に探せば、いずれかの
焦点距離のレンズは見つかるかも知れない。

----
さて、次のシステム。
Image may be NSFW.
Clik here to view.
c0032138_18484995.jpg

カメラはお馴染み NEX-7だ、
レンズはPENTAX SMCタクマー 55mm/f1.8

前述の VIVITARのレア度とは、対極をなすレンズであり、
およそカメラマニアの中で本レンズを所有していない人を
探す方が難しいくらいのポピュラーなレンズである。

1960~1970年代の、PETAX M42マウント一眼レフ用の
安価なMF標準レンズであり、大ヒットしたSPシリーズなどと
セットで大量に販売された。

発売時期により、タクマー、オートタクマー、スーパータクマー
SMCタクマーなどのバージョンがあり、また、外装などにも差が
あるものもある。販売数が多かったため、現代でも中古の玉数
は極めて豊富であり、程度や仕様により、1000円~5000円
程度の価格で販売されている。
Image may be NSFW.
Clik here to view.
c0032138_18501799.jpg

初級マニアの間では、このレンズを「銀のタクマー」、対して
SMCT 50/1.4を「金のタクマー」と呼ぶこともあり、それは
つまり写りが良いという事からの愛称であろう。

ただ、上級マニアの間では、本レンズは基本中の基本なので、
あまり拘りが無いレンズでもある。知人のマニアで、PENTAX SP
を細かいバージョン違いで、都合40台も集めたツワモノが居て、
本レンズもSPの付属レンズとして買ったケースもあるので
「家にいくらでもある、2~3本持っていくか?」という事を
言っていたくらいである(すでに持っていたので断ったが)

描写力は、本シリーズ記事でも良く書いているが、小口径標準で、
変形ダブルガウス型の5群6枚構成であれば、本レンズ以外に、
どれを選んでも、まずハズレが無い。
ましてやPETANXだ、他社が新レンズ開発時にリファレンス
(比較参考)用として使ったという話もあるくらいなので
極めてオーソドックスかつ優秀なレンズである。
Image may be NSFW.
Clik here to view.
c0032138_1851544.jpg

本レンズに限らないが、優秀な小口径標準でも、撮影条件に
よっては、上写真のようにボケ質が破綻するので、絞り値や
背景処理を調整しそれを回避する必要がある。

一般的には、EVFでボケ質を見ながら、背景の絵柄の
ボケ状況に応じて絞り値を変更しつつ複数枚撮影するが、
それではカバーしきれない場合、撮影距離を変更する
(近づく、遠ざける)、そして最悪は、撮影アングルの変更
(すなわち背景状況を根本的に変えてしまう)という
手順になるであろう。

ただし(銀塩/デジタル)一眼レフではボケ質がファインダー
ではわからず、この技法は実現出来ないので念のため。
また、ミラレース機でもEVFが必須だが、EVFの仕様によっても
ボケ質は見えやすいものとそうでないものがある、一般的に
144万ドット(G5等)はピントの山は見やすいが、ボケ質が
わかりにくく、新型の236万(NEX-7等)または276万ドット
(GX7等)は、ピントの山は見難いが、ボケ質が見やすい、

逆光性能などは特に問題なく、さすがに当時はセンセーショナル
な性能であった、多層コート(SMC)版であるという事だ。

良く写り、おまけに安価なので、ミラーレス機で常用レンズ
として使っても良いとは思うが、マニア道(笑)からすると
ちょっと本レンズは、当たり前すぎて、面白みが無い。

撮っていて、さっそく飽きてしまって(汗)NEX-7の様々な
付加機能で遊びはじめてしまった。
Image may be NSFW.
Clik here to view.
c0032138_18532553.jpg

こちらはデジタルズーム使用、NEX-7は、DMC-G5/G6同様に
優秀なデジタルズーム操作系を持つ、高倍率(といっても
NEXでは4~5倍程度迄が実用限界)では、NEXの操作系が
優れ、低倍率(2倍まで)では、G5/G6の操作系が優れている。

本レンズ使用時は、55mmx1.5(APS-C)x5(デジタルズーム)
で、都合約400mm程度までの画角にワンタッチで対応できるので、
ふいに遠距離に野鳥などの被写体を見つけた場合でも、
NEX-7であれば、望遠レンズ無しでも対応が容易だ。

本レンズは、複数所有していたので、購入価格も色々であったが、
これは1990年代に購入したもので、値段もかなり高めの9000円
であった、まあ、程度の良いものを購入したのであったが・・

その後、1000~3000円で何本かジャンク品を購入している。
(良いレンズだよ、と、友人にあげたりしていた)
現代であれば、前述のとおり1000~5000円、まあ、4000円
位が程度の良い個体での相場だと思えば良いであろう。

大きな中古店であれば、これを置いていない店はまず無いと
思うので、オールドレンズ入門用としては最適な選択だ。

ただし、オールドレンズを初めてこのSMCT55/1.8で試してみて、
「お、古いレンズなのに思っていたより写るじゃん、びっくり!」
などと驚いたり感動したとしても、その次に買うオールドレンズが、
これと同様に良く写るとは限らない。意外なことに、本レンズは
平凡ではあるが、性能的にはトップクラスのオールドレンズで
あるので、オールドレンズが皆、このレベルで良く写ると
思ったら、それは違うので、がっかりしてしまうかも知れない。

----
さて、次のシステム。
Image may be NSFW.
Clik here to view.
c0032138_1855672.jpg

カメラがEマウント・トイレンズ母艦としているNEX-3だ、
同じNEXであっても、7と異なりこちらは最初期の製品であり
MFのピント合わせや、操作系全般に課題を持ち、AF広角か
またはトイレンズ等の、ピント合わせに負担の少ないレンズ
との組み合わせが望ましいカメラである。

しかし、ピーキング機能はそこそこ優秀であり、EVFが
なくてもトイレンズであれば十分に対応できる。
中古相場は1万円以下と安価であるが、デジタルズーム機能が
純正単焦点レンズで無いとできないし、エフェクトもシンプルな
ものしか搭載されていないので、後継機の、N,C,F型などの方が
中古価格次第では、むしろ良いかも知れない。

今回はトイレンズとして KENKO LENS BABY 3G を使用、
過去第11回、第14回記事でも紹介しているが、面白いレンズ
なのでたまに使いたくなるのだ。
Image may be NSFW.
Clik here to view.
c0032138_18553445.jpg

本レンズは、アオリ(ティルト)型のレンズである、
その仕組みや効果などの詳細は、過去記事で紹介しており、
重複する為、今回は割愛する。

効果を簡単に説明すると、画面内のごく一部にのみピントを
合わせることができ、他の部分は大きく流れる(ボケる)
表現を得ることができる。

このような効果により、10数年前より、一般的な風景写真を
ミニチュア(ジオラマ)風に見せる作風が流行し、それを
簡単に実現するレンズとして、LENS BABYが発売された。
以降、ロングセラー商品となり、シリーズも多数出ているが、
新品はいずれもやや高価であり、4~6万円程度してしまうで
あろう、おまけに、楽しい付属品(魚眼風にしたり、ソフト
効果にしたり)も多数販売されていて、まともに揃えていたら
かなりの出費となり、トイレンズとして考えるとちょっと厳しい。
Image may be NSFW.
Clik here to view.
c0032138_18568100.jpg

LENS BABY 3Gはその名の通り、第三世代という事だが、
シリーズとしては中期の頃の2007年の発売である。

「操作性」にかなりの問題のあるレンズであり、極めて調整が
難しい、しかし、レンズ位置ロック機能を一々使用せず、
手持ちのまま指を複雑に動かし、ピーキング機能を見ながら
ピントがあった瞬間にシャッターを切るという手順で撮影する
技法を用いると、意外に快適に撮影ができる。
(ただし、それでも依然難しい事には変わりが無い、楽器を
演奏するような高度で複雑な指の動きが要求される)

その際、カメラボディの形状やサイズも重要であり、
小型のNEX-3との組み合わせは、指の操作上、悪くはない。

本技法での注意点としては、NEX-3ではLENS BABY 3Gを
操作すると動画撮影ボタンに指が触れやすい事である。
NEX-3では動画撮影ボタンに他の機能を割り振ったり、OFFに
する設定が出来ない模様であり(注:詳しくは調べていないが
メニューに無いので多分できない。NEX-7では動画OFFが可能)
勝手に動画撮影になってしまうのはちょっとうっとうしい。
Image may be NSFW.
Clik here to view.
c0032138_18563890.jpg

効果はかなり強烈である、絞りにより効果を増減する事が
可能であるが、LENS BABY 3Gの場合、絞り値はレンズで設定
する事ができず、付属品の絞りリングを都度交換する必要があり
その点は実用的では無い、なので、今回は中間サイズの絞り
(f5.6?)を装着したままにして、撮影時に交換はしていない。

撮影距離は、レンズの蛇腹だけの操作では、近距離から
無限遠まで全てをカバーできない、そのため、レンズ先端部に
あるピント微調整リングを使って調整が必要である。

このリングは、本来ならば三脚を使ってカメラを固定して撮影
する際、蛇腹位置をロックボタンを使って固定し、その後に
ピントを微調整する、という使用法をするのであるが、今回の
撮影方法では、三脚は使わず、ロックもしないので、ピント
位置はあらかじめ撮影距離に合わせ仮調整しておく必要がある。

まあ、三脚を使ったとしても同じ操作は恐らく必要であろう、
もしピント範囲外であれば、蛇腹操作からやりなおしになるので
結局、最初からピント位置は仮調整しておかなければならない事
は同様だと思う。
Image may be NSFW.
Clik here to view.
c0032138_18571986.jpg

本レンズは後継機が色々出ているが、前述の通り高価である、
中古市場にはごく稀に出てくる事があり、バージョン(世代)
により相場も大きく異なるであろう。

私が入手したのは昨年2015年であり、購入価格は1万円弱
であった。3Gは2007年の発売時の定価が約4万円だった
ので、まあ十分安くなったから、という判断である。

ただし、実用的要素は殆ど無い。たとえばティルト機能により
傾いた被写体にも均等にピントを合わせる商品撮影等では、
ちょっと画質的な問題があって使えないであろう、あくまで
トイレンズとしての楽しみ方が良い。

必携のレンズという訳ではないが、まあ撮っていて面白い
(楽しい)レンズの代表格だと思う。 

----
さて、次は今回ラストのシステム。
Image may be NSFW.
Clik here to view.
c0032138_18581190.jpg

カメラは「孤高のKマウントミラーレス機」 PENTAX K-01
お洒落なデザインの個性派カメラであるが、ピント合わせに
AF/MFとも致命的と言える弱点を持つ。

ただし、エフェクト母艦としての優れた操作系や、Kマウント
レンズの多くが(一部使用不可)そのまま使えるなどの
特徴を持ち、基本的には好きなカメラだ。
ピント合わせの問題は出来るだけそれを回避するレンズ
(AF広角系レンズやSDMレンズなど)を用いれば良いのだが、
限界性能を知る意味でも、本シリーズ記事では、一見無茶と
思えるレンズも色々装着して試している。

レンズは、PENTAX FA 77mm/f1.8 Limited である、
ついに真打登場、という感じの超本格派レンズである。

1990年代後半発売のAF(勿論フルサイズ対応)のレンズであり、
あの、名レンズFA★85mm/f1.4を生産中止に追いやった(?)
FA85の後継機なのか、なんだか良くわからないレンズであるが
ともかく描写力は超一級品である。
Image may be NSFW.
Clik here to view.
c0032138_1859312.jpg

本来ならば、ポートレート専用レンズであるとも言える、
私は、銀塩時代は、その使いやすい画角で、AFならばMZ-3、
MFならばLXとの組み合わせで、滑らかなボケ質を楽しんでいた。
デジタル時代になってからも、*istDS,K-10D,K-5と、順次
その時代のPENTAXデジタル一眼との組み合わせで、
様々な撮影シーンで活躍してきたレンズである。

通称「ナナナナ」として、私の周辺のカメラ仲間では必携レンズ
として定着している「ナナナナを買わずして何を買うのか?」とも・・

長らく使っているので、本レンズのありがたみを忘れてしまい
がちだが、ここぞと言うときに、人物撮影から暗所でのイベント
撮影、街中の気軽な散歩写真にまで、幅広く対応できるレンズと
して非常に重宝してきた。

まあ、APS-Cデジタル一眼やミラーレス機K-01では、画角が
115mm相当になってしまい、人物撮影では、やや間合いが遠い
という課題もある。ただし、その点においては、ようやく発売された
PENTAX フルサイズ一眼 K-1が、その用途にはぴったりで
FA77/1.8も再評価される可能性も高い、中古相場も上がって
しまう可能性もあるため、必要な人はお早めに・・(笑)
Image may be NSFW.
Clik here to view.
c0032138_190461.jpg

本 FA77/1.8はピント面のシャープさや解像感を主眼とした
レンズではなく、特徴は、しいて言えば、ボケの遷移であろうか?
遷移とは、ピント面からアウトフォーカス(ボケ)に変わって
いく様子であり、これが固いと「切り抜いて貼り付けたような」
写真になり、逆に甘いと、輪郭が曖昧なような写真になって
しまう、本レンズはそれがスムースで適切なのだ。

勿論、ボケ質も優れている、ただし、ボケ質だけに関して
言えば、アポダイゼーション機構を持つ2本の現行レンズ、
つまり、MINOLTA/SONY STF135/2,8(第17回記事)と、
FUJIFILM XF56/1.2APD(第17回、第30回記事)、
そして、デフォーカス・コントロール機構を持つ2本のレンズ
NIKON DC105/2(第35回記事),同DC135/2(未所有)
が存在するので、さしもの「ナナナナ」であっても、これらの
レンズには歯が立たない。

同じPENTAX マウントで言えば、FA43/1.9(第1回記事)
FA31/1.8(第11回記事)、DA★55/1.4(第37回記事)
FA50/2.8Macro(第29回記事)、FA★85/1.4(後日紹介予定)
あたりと、ボケ質で良い勝負をしそうなのだが、それらと
比較しても、FA77/1.8は、トップクラスの位置づけであると思う。

なお、DA70/2,4というレンズは私は所有していないのだが、
これも定評があり、聞くところによれば、フォクトレンダー
カラーヘリアー75mm/f2.5SL (第2回記事)と、ほぼ同等の
写りをする模様だ(そうであれば、なかなか優秀だ)
Image may be NSFW.
Clik here to view.
c0032138_1921575.jpg

FA77mm/f1.8Limited の定価は、発売当初(2000年頃)は、
10万円を僅かに切った価格で、性能からすればリーズナブルで
あった、これとしばらくFA★85mm/f1.4は併売されていて
ほぼ同じ値段であったが、その後、FA85は生産中止となり、
現在では、10数万円というプレミアム価格で中古が取引されている、
それであれば、FA77の中古を買った方が良いと思うのであるが、
どうしてもFA85が欲しいのであろうか・・?

FA77の中古相場は2000年代前半に5万円台であった、
欲しがる人もかなり少ないマニアックなレンズであり、それは、
当時のメディア(たとえばカメラ誌)などで紹介される機会が
少なかったから、つまり単に「知られていない」だけであった。
現代の悪い意味での「一極集中」の情報化社会においては、変に
注目されると、皆が一斉に飛びつき、とんでも無い事態になって
しまうリスクがあり、あまりベタ褒めする事はしたくない。

その後、PENTAXの変遷(HOYAの傘下、RICOHの傘下となる)
により、定価はそのたびに少しづつ値上げされてしまい、同時に
中古相場も定価に連動して上昇、7万円程度にまで上がってしまう。

ただし、長期間製造されているレンズであり、新品の割引率も
そこそこ高く、PENTAXストアで約10万円、量販店のアウトレット
新品などでは7万円台程度と、中古とさほど変わらない値段で
販売される事もある。

弱点は、私の感覚ではほぼ無いレンズであるが、一般的視点
からでは、単焦点のこの中途半端な焦点距離では、用途に
困ってしまう事であろう。
よほど用途を絞っての撮影になる、ポートレート用というのが
一般的だと思うが、一般的にはそういうシチュエーションも
有料モデル撮影会にでも行かない限りはなかなか無い事であろう。
そのためだけに使うレンズとしては、少々(かなり)勿体無い。
レンズとしての性能はとても優れているが、用途として
考えると、ちょっと使い難いレンズであると思う。

なお、K-01との組み合わせにおいては、やはりAF精度が厳しく
MFでも絶望的であり、ほとんどまともに使用する事ができない。

やはりPENTAX 一眼レフとの組み合わせが適切であるが
デジタル一眼を使った場合でも、ピント合わせをAFに頼ると
思ったより被写界深度が浅いため、かなり苦しいと思われる。
AF/MF併用での撮影を強いられ、難易度は高くなる。

今回はK-01との組み合わせなので人物撮影は行っていないが、
過去、七五三の撮影時に、PENTAX デジタル一眼との組み合わせ
で撮った写真を掲載してみよう。
Image may be NSFW.
Clik here to view.
c0032138_1953346.jpg

他の機種なので、K-01と色味の傾向などはだいぶ異なるが、
まあ、そのあたりはカメラの各種設定なども多大に影響するし、
勿論、被写体や撮影状況に応じて設定も変わってくる。

だから、特にこのカメラだから良く写るとか、写らないとかそういう
事も全くない、フルオートでカメラまかせで撮る事は皆無なので、
突き詰めて言えば、カメラなんて何であっても良いのである。

そしてレンズの方がカメラよりはるかに重要ということも同時に
言える、銀塩時代から、初期デジタル、中期デジタル、ミラーレス
時代に至る、十数年もの間の長きにわたり、トップクラスのレンズ
として重用できたという事、それが最も特筆すべき点であり、
本レンズ FA77mn/f1.8 の最大の特徴なのだとも思う。

「ナナナナを買わずして、何を買うのだ?」という総合評価は
まさしくそういうところから来ていて、それはあながち間違い
では無い。

ただ、そろそろ、このレンズも性能的には古くなってきている、
近年の超高画素時代に対応する最新鋭レンズ群がいくつも発売
されてきているが、その中で、このレンズの用途を代替できる
特性のものは現れるのであろうか? いや、それは少々疑問だ・・ 

本レンズはその発売時から「数値には現れない感覚的な性能」を
主眼に設計されたレンズだからだ、現代的な設計技法では、
ミクロン単位の画素ピッチに対応すべく、解像度を増やしたり、
レンズ周辺まで収差を減らしたような、いわゆる性能数値に
拘る設計しかしていないであろう。
ボケの遷移とか、ボケ質そのものとか、ボケ質破綻の少なさとか、
そういった数値には表れないような、けれども実際の撮影時に
おいては非常に重要な(下手をすると最も重要な)要素について
まで十分に考えぬかれて設計されたようなレンズは、なかなか
今後も出てこないかもしれないし、仮にそれらを意識して設計
したとしても、その事が(数値でしか物事を判断しない)一般
ユーザーに理解されて「売れる」レンズとなる事は、まず無い
だろうからだ(だから作れない、あるいは値段が高い)
FA77の必要性は、まだしばらく続くかもしれない・・

さて、文字数が限界なので、次回シリーズ記事に続く。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 791

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>