
2015年7月26日(日)に、滋賀県高島市に手行われた
第24回びわこ高島ペーロン大会の模様より、中編。
最もデンジャラスでエキサイティングな大会として、
現在、私のイチオシの大会だ、各地のドラゴン専業チームも
是非参加すると良いと思うのだが、日程的には日本選手権の翌週、
おまけに、今年は、久美浜大会(京丹後ドラゴンカヌー大会)と
同一日で、かぶってしまったので、ちょっと厳しい面もあるか・・
さて、冒頭写真は、地元強豪の「松陽台」(しょうようだい)
過去、優勝多数、一昨年より、本大会の枠にとどまらず、
琵琶湖での、スモール選手権大会や、びわこペーロン大会にも
出場しているので、ドラゴンの選手達にも名前が知れてきて
いるだろう。
しかし、昨年の大会では、「松陽台」は、ドラゴン専業の
「小寺製作所」(本大会初優勝)および「池の里Lakers!」の
2チームに敗れて3位に甘んじた。
今年は、その屈辱から地元最強の意地でリベンジを果たしたい所。
地元「松陽台」は地名だ、なので、本大会には松陽台近隣の
地元から沢山の応援団が来場している。

チャンピオンシップの部の「松陽台」およビ、フレンドシップの部
(注:ビギナー向けのカテゴリー)の「松陽台トマホープ555」
が出場するレースになると、異様なまでに盛り上がる。
まあ、どちらも強いチームなので、応援しがいがあるのだろう、
ただ、今日の予選様子を見ていると、チャンピオンの部では、
ドラゴン専業2チームが好調な模様で、「松陽台」はやや苦戦
しそうな雰囲気だ。
予選1回戦で、「松陽台」は、3レーンでトップ折り返し
(注:本大会は、300m往復の600m戦だ)
4レーンの昨年優勝の「小寺製作所」に先行していたのだが、
1,2レーンのチームが蛇行、あるいは、蛇行の回避の
巻き添えを喰って、松陽台は2レーン艇と接触。2位になって
しまった。
予選は1位抜けで準決勝進出のルール、ただ、「松陽台」の
実力であれば、敗者復活戦は間違いなく上がってくるので、
そのあたりの心配はいらない。むしろ「小寺」としては、
慣れないペーロン艇だ、1レースでも多く漕いで練習しようと
考えていたらしく、1位抜けは意外だった模様。
これで「小寺」は、準決勝まで練習走行はできず、さらに時間を
持て余していて、チームの士気の低下が懸念される。

写真が、その「小寺製作所」、やっぱ、暇を持て余している(汗)
まあ、それにしても暑い。湖北に近い、湖西の高島市であり、
都会よりも、かなり涼しいのではあるが、それでも今日の暑さは
全国で猛暑日となっていたほどなので、ここ高島も非常に暑い。
各チームの子供達(大人も)は、ほとんど皆、湖に入っている。

かつて、「池の里Junior Lakes!」の一員として、琵琶湖の
小学生大会「ドラゴンキッズ」で連覇を続けた、スーパーキッズも、
もうすでに中学生、ずいぶん大人びた。いや、子供の成長は早いと
言うべきであろう。
その大人チーム「池の里Lakers!」も、2011年の「びわこペーロン」で
「涙の初優勝」を遂げてから、早4年、そして、その間「池の里」は、
各大会での優勝がなく、口の悪い私から「万年2位」と言われている
始末(汗)日本選手権での決勝進出も、ここのところ2年連続で逃し、
「来年はシニアで出場かなあ」と、若干弱気な発言も。
まあ、ここらへんで、地方大会とは言え、一発優勝してもらって
ライバルであり盟友でもある「小寺製作所」の鼻もあかしたいところだ。
さて、その「池の里Lakers!」の準決勝での模様がこちら

レースの組み合わせに恵まれ、独走状態だ。
そして、ターン突入。

匠「う~ん・・ ちょっとなあ・・」
旋回コースが決まったら舵は上げる、これはまあ有りかもしれない、
左側、すなわちターン内側の、ほとんどの漕手はパドルストップ、
先頭の2枚(2名)のみ、ブレーキとしてパドルを入れる。
実は、予選では、「池の里」は、ターンに入るずいぶん前から、
全員が漕ぎをやめて、惰性でターンに入る作戦をとった、まあ、
確かにスピードが落ちて廻りやすかった模様だが、いかんせん
タイムロスがあった。
一応予選を勝ちあがって来た「池の里」に、問題点を伝えると
彼らも、そこは悩みどころなところ。
匠「内側は、バックローできないのですか?」
池「昨日の練習で、試してみましたが、水の抵抗が凄く、重くて
無理でした」
匠「ならば、せめて、ブレーキとか」
池「そうですね、前の2人で試してみます」
なので、この準決勝では作戦通りにはやっているのだが、
それにしても、ほとんど漕いでいないのは、やっぱ、どう見ても
速いようには見えない、う~ん、なかなか難しそうだなあ・・
見ると、上手なチームは内側と外側のパドラー(漕ぎ手)の
漕ぎ方を微妙に変えているのか、それとも、舵との連携が絶妙
なのか、スムースにくるりと方向転換をするチームもいくつかある。
フレンドシップでも、前編で紹介したターンの上手い「北深会」
などは、漕ぎをやめることはなく、綺麗に廻っていく。

さて、こちらはスタート地点、レースは10分間隔で行われている、
ペーロン艇は都合8艇あり、交互に4艇づつ使う。
ただ、600mのレースで、平均4分前後、タイムアウトになる
ビギナーチームも多数いてて、その際は6分がリミットだ。
そう考えると、ずいぶんスピーディな展開であり、その分、
スタート地点は、行きかう艇でごったがえしているが、
特に問題もなさそうだ。
まあ、このテンポの速さなので、約40チームの中規模大会ながら
3時には終わってしまう、観客が非常に多いならば、まだしも
基本的には地元中心のお祭りなので、早く終るのは好ましい、
仮に遠方から参加のチームも、余った時間などで観光や飲食も
楽しめるので、非常に良いと思う。

スタート地点に集まった各艇は、水中に埋めてあるポールを握って
固定しているので、艇が前後左右に動くことは無い。
ドラゴンボート大会では、一部の大会でのみスタートロープがあり
艇を固定できるが、多くの場合ドラゴン艇はフリーに動いてしまうので、
艇がなかなか揃わず、スタートでタイムロスやスケジュール遅延を招く
ことが多い。観客が多い大会などでは、なかなかレースが始まらずに、
興味をなくしてしまったり、まだろっこしくて見てられず、通りすがりの
観客が留まらないなど、スタートでは、いくつかの問題を抱えている。
ペーロン大会では、ここ高島のみならず、東近江、相生、などでも
スタートのポール保持形式なので、そのあたりスタートは楽だ。
スタートは、「準備よければ白旗を揚げよ」(上写真参照)
「5秒前、4、3、2,1、0」のカウントダウン方式。

レース進行がスピーディで、時間に余裕もあるので、昼休みまで
本大会にはある。
ちょうどその前後に、「Red Bull」が来場、会場の選手達は
長蛇の列、車の中に数百本のドリンクを冷やして準備している
模様で、この状態でもほぼ全員にいきわたるところが凄い。

昼休みには、本大会のMCである地元コメディアン
「ファミリーレストラン」の面白いコントもある、これも本大会
では恒例で、多くの選手や観客達が集まってきている。
そうそう、大会を撮っているアマチュアカメラマンが数名居たが、
暑い中、珍しく長時間撮影している、普通、ドラゴンやペーロン
を撮るカメラマンは、これくらいの暑さだと、特定チームの応援
でもないかぎり2時間くらいが体力も集中力も限界だろう。
不思議に思って、何人かのカメラマンに話しを聞いてみたが、
どうやら、この日、琵琶湖の対岸の彦根で「鳥人間コンテスト」を
やっているので、ペーロンを撮りつつ、人力プロペラ長距離部門で、
カ「こちら(高島)まで飛んでくる飛行機が無いか、待って
いるのだ」という。
まあ、確かに、近年30km超えの超長距離の記録もいくつか
出ている模様だが、確か、対岸まで行かずにターンするように
なったのではなかったのかな?
カ「まあ、でも、救助艇が走って来ているのは見えるんだけどね、
飛行機は小さいので見えないなあ・・」
と言っていた。
目の前に”ドラマ”があるのに、そこまでして鳥人間を撮りたい
のか?と疑問に思ったが、まあ、それは言わないでおこう・・
----
さて、午後からは注目のレースがある、
チャンピオンシップ部の、準決勝1回戦だ。
ここには、1レーンより「小寺製作所」(昨年優勝)
2レーン「SPIRITS」(航空自衛隊の地元強豪チーム)
3レーンが「松陽台」(一昨年優勝)が参戦する。
匠「事実上の決勝戦だなあ・・」
と、ずらりと並ぶ強豪チーム達と、レース前に話していた、
なにせ、準決勝は2位抜け、すなわち、逆に言えば、3チームの
うち、どこか1つが敗退することになるのだ。
私の見立てでは、3チームの実力に大きな差は無い、
おまけに、何が起こるかわからない、高島ペーロンだ、
ちょっとした蛇行などでタイムは大きくロスするし、
仮に独走して順調にターンしたとしても、その目前に蛇行した
後続の他のチームが居たら・・(汗)
(まあ、進路妨害というルールは勿論があるが、接触しなかったら、
微妙な判定になるかもしれない)
ともかく目が離せない重要レースだ。
さて、意外にあっさりとレースがスタートした、
ドラゴンのような、しんとした緊張感はあまり無い。

手前1レーンピンクのユニフォーム「小寺」がやや先行、
中央2レーン「SPIRITS」はやや遅れているが、大差は無い、
3レーン(見えない)「松陽台」は、「小寺」とほぼ同じくらいか、
実は「松陽台」、敗者復活戦で、1位でのゴール直前、
あえてラストで漕ぐのをやめて2位となり準決勝に進出した。
何かの作戦か?と、後で「松陽台」に聞いてみた。
匠「最後の順位調整は? 対戦相手を選んだんですか?」
松「いや、レーンを選びました、2位だったら、次の準決勝は
外側のレーンをとれます、今日は、外の方が良いみたいです、
湖水の流れが違うと、地元の漁師が言ってました」
なるほど・・「松陽台」なかなかクレバーな戦略を取っているな!
その準決勝。前半はずっと接戦だ、「松陽台」も有利なレーンを
活用して昨年の覇者の「小寺」と並走している。
これはターン勝負になるな、と思っていると・・

「小寺」が、びっくりするようなスムースなターンでいきなり
トップに躍り出る、そのまま独走して準決勝を勝ち抜ける。
今度は、「松陽台」と、航空自衛隊「SPIRITS」のマッチレースと
なった、どちらか負けた方がノーリターンとなる厳しいレース。
しかし、これは、さすがに「松陽台」に一日の長があり、さらに、
「松陽台」は、気休めかもしれないが、有利なレーンを取っている。
結果「松陽台」が決勝進出。
「SPIRITS」の熱い日は、ここで終了した。

帰ってきた「小寺製作所」に話を聞いてみた。
匠「3分26秒だそうですよ、恐らくコースレコードでしょう」
小「ターンが、たまたま、上手く回れましたよ、スーってね。
我々も驚きました、本当に偶然だったのかもしれませんね」
匠「ふうむ・・そうならば、その偶然は決勝戦で出さなければ!」
小「アハハ。そうですね、次も頑張ります」
もう1つの準決勝では、前述のように「池の里」と、地元強豪の
「ビクトリー南浜」が勝ちあがった、これで決勝の進出チームが
決まったわけだが、結果的に、昨年と同じ組み合わせだ。
「ビクトリー南浜」は、「小寺」、「池の里」の専業チームが
来るようになって、入賞が途絶えてしまっている。
ここでなんとか地元の意地を見せて、入賞を狙いたいところ。
ちなみに、本大会の参加料であるが、フレンドシップの部が
15000円と非常に安価、クルー1人あたり1000円以下である。
チャンピオンシップの部は、5000円上がって20000円が参加料。
しかし、チャンピオンの部には賞金があって、
1位=5万円、2位=3万円、3位=2万円 となっている、
ならば、3位まで入れば元が取れるということで、これはもう
頑張って入賞を狙うしかない。
で、チャンピオンシップへの参加促進として、フレンドシップ
の優勝、準優勝チームには、副賞として、来年度の大会で
5000円を補助し、エキスパートに参加していただくとのこと。
これは非常に上手なやり方だ。静岡の御前崎市長杯では、
下位カテゴリーの優勝チームは、半強制的に(汗)翌年は、
上位カテゴリーとなってしまう。また相生ペーロンでは、同様に
1部2部制度で、サッカーのJ1,J2のような入れ替わりがある。
ただ、やっぱ、下位チームで漕いでいる方が気楽というチームも
ある、しかし、現金を補助する、と言われれば、上位カテゴリー
に参加する気持ちになるであろう。
他の実力別カテゴリー大会、例えば、ATC大会や堺泉北大会
でも同様のアイデアを提案してみるとするか・・・
さて、注目の各カテゴリーでの決勝の模様は、後編に続く・・