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ミラーレス・マニアックス(33)

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安価な中古ミラーレス機をベースに、アダプター遊びを
楽しむというシリーズ記事、第33回目。

c0032138_2132213.jpg

カメラはマイクロフォーサーズでの望遠アダプター母艦と
している、PANASONIC DMC-GX7
レンズは、コシナ・フォクトレンダー アポランター
90mm/f3.5SL である。

望遠アダプター母艦とは何か?といえば、まず、μ4/3は、
換算焦点距離(画角)が2倍になる事で望遠に有利な事と、
GX7は、Panasonicで初めてボディ内手ブレ補正機能を
搭載した機種だからだ。

「それだったら、Olympusのμ4/3機だったら、もっと以前から
ボディ内手ブレ補正が入っているでは無いか」と思うだろうが、
Olympusの場合は、デジタルテレコンが不連続(2倍のみ)しか
動作せず、Panasonic の場合は、テレコンが2,4倍に切り替え
できる事に加え、デジタルズームが1~2倍までの間で連続可変
できる、よって、単焦点のオールド望遠レンズを、あたかも
超望遠ズームのように使用する事が可能なのだ。

ただし、この話には、2つ注意点がある、まず連続デジタル
ズームの操作がスムースに出来るのは、旧機種のG5/G6等であり、
新しいG7やGX7/GX8では、その機能に関する操作系が改悪されて
いて、あまり便利では無い事と、あともう1点は、Panasonicの
カメラでは「テレコン」の意味と「(デジタル)ズーム」の意味が、
一般的な概念からは逆になっている事だ、一般的にはテレコンは
レンズに装着するアクセサリーだから固定倍率で不連続であり、
ズームは勿論連続的に焦点距離を変化させる事ができる意味だ。
これが逆に定義されているのは非常にややこしく、操作をしていて、
逆の意味の用語が出てくると混乱してしまう。

Panasonicのカメラは、この他にも、ボケ量をボケ味と書いてあって
これも問題だ、「ボケ味」というのは一般的なカメラ用語では
ボケの「質」を表す用語であり、ボケの量と質はまったく別の
概念である事は。以前から何度も記事中で指摘している通り。

このあたりのカメラ用語の問題点は是非改善してもらいたい
ところだ、なんだかカメラの事をまったくわかっていない人が
用語を勝手に決めている印象を、ユーザーに確実に持たれて
しまうだろうから、メーカーとしても格好悪い事であろう。

さて、最初から余談が長くなったが、アポランターの写りだ。
c0032138_2145623.jpg

このレンズは2000年代前半に発売されたMFレンズである、
マウントは、当初は各MFマウントで発売されたが、その後
ニコンAiとM42のみとなり、そこからPKが追加され、
さらには、ニコンFのCPU内蔵型とEFが追加され、同時にⅡ型
としてレンズのサイズがコンパクト化されたが、現在では、
残念ながら生産中止になってしまっている。

コシナやフォクトレンダーの歴史については、本シリーズでは
何度も書いているので、今回は割愛する。

で、本レンズ、アポランター 90mm/f3.5は、
「コシナ社の最高傑作」と言われていた名レンズだ。

言われていた、というのは、近年、コシナはカールツァイスの
ブランドでの超高級レンズ群を多数リリースしているので、
贅沢にコストをかけて最新の技術をも導入されて作られた、
それらのレンズの方が、やはり高性能かも知れない、という意味だ。
で、そもそも、そうした贅沢レンズは、私は1本くらいしか持って
いないので、総合的に比較のしようが無い。
(自ら試してみないと納得いかないし、贅沢レンズを次々に、
ちょっと買ってみようか、とか思える程の懐の余裕も無いし、
そもそも値段が高いから写りが良いという訳でも無いだろうし)

では、ややこしいいので言い方を変えよう「フォクトレンダーの
最高傑作」? いや、それも近年の「ノクトン」シリーズが
あるから微妙な判定だ。ノクトンは描写力的には最高のレンズ
では無いが、f0.95の超大口径の表現力は何物にも変えがたい。
ならば「フォクトレンダー最高のコストパフォーマンスのレンズ」
ではどうだろうか?
う~ん、なんだか安物みたいに聞こえる(汗)
c0032138_216134.jpg

まあ、呼び方はどうでも良い。
ともかく、このレンズは良く写るのだ。

しかし、90mmで開放f3.5という地味なスペックであるし、
MFであるし、「フォクトレンダーって何?」って言うような
ビギナーユーザーも勿論大半だろうから、本レンズの実力を
知っているユーザー層は極めて少ない事であろう。

私は、本レンズは発売直後に新品で購入したのだが、最初から
良く写るレンズだと思っていた。その後、雑誌だかムック本
だかに、このレンズのテストデータが乗っていたのだが、
その数値を見ると、殆ど収差が無いのに驚いたものだった。

それでも画面周辺は若干解像度が落ちたりしていたのだが、
今回のようにマイクロフォーサーズ機で使うのであれば、
もう何ら、そうしたレンズ性能上の欠点は無いに等しい
という事になるであろう。

ならば残る問題は、ボケ質およびその破綻である。
GX7の276万ドットのEVFは、ミラーレス機最高クラスの解像度
であるが、ボケ質の確認も、まあ、他機種のEVFよりわかりやすい
と思われる、で、そのEVFで見ている限り、条件によっては
ボケ質の破綻が発生するが、それはかなり軽微であり、実用的
には殆ど気にしなくて良さそうである。

ちなみに、GX7のチルト(傾く)方式ファインダーは、背面の
モニターと同じ方向にしか傾かず、縦位置のローアングル撮影
が出来ない、このあたり背面モニターが自在に回転する仕様の
Gシリーズに比較して不満な点だ。なお、後継機のGX8では、
背面モニターはGシリーズと同等になったが、EVFの解像度
が一般的な236万ドットに戻っている、なんだかこのあたり
Pananonic のカメラの仕様の変遷が、ちぐはくな気がしてならない。
c0032138_2183860.jpg

アポランターの話が少ないが、あまり弱点が無いので、つっこみ
ようが無いのだ。最短撮影距離も50cmと極めて短く、マクロ的な
利用方法も、このレンズの特徴である。
このレンズの総括としては、極めて優秀なレンズであり、マニア
必携と言っても良いであろう。

入手性だが、微妙なところだ。発売後10数年となるが、
その間、中古は数える程しか出てこなかったように思える。
元々、このレンズを買う一般ユーザーは皆無に近いだろうし、
マニアは購入したとしても、価値が分かるだろうから、これを
簡単には手離すはずが無い事であろう。

私は2000年代前半の発売直後の新品購入であったので、
47000円とちょっと高価であったのだが、その後、2000年代後半
には、安売りの店舗であれば、3万円台で新品販売されていた。
新品はもう殆ど無いと思うが、もし中古を見つけたとしたら、
このレンズの性能的価値であれば、3万円台であればOkだと
思われる、まあ多少高価であっても迷わず「買い」であろう。

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さて、次のシステム。
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カメラはちょっと微妙なポジションの DMC-GF1
最初期のμ4/3機であるが、小型化とともに簡略化された性能は
絶対的に不足気味であり、トイレンズ母艦にもなりきれない、
まあ、安価なカメラであるから「使い潰してしまう」のが良い
だろうと思っている。

レンズは、Olympus Body Cap Lens BCL-1580だ。
15mm/f8で、マニュアルフォーカスのレバーがついている。

他社のボディキャップレンズ、たとえば PENTAX Qシステムの
07 Mount Shield Lens や、FUJIの X Mount Filter Lens は、
パンフォーカス仕様であり、ピント合わせ機構が無いが、
被写界深度の計算上では、それらのレンズは完全にパンフォーカス
にはならず、無限遠等でピントがかなり甘く感じてしまう。

本レンズは、一応ピント合わせが可能であるので、その点に
関しては問題ない。
ただし、最短撮影距離は30cmと、15mm広角にしては控えめな
スペックであるし、ピント合わせに課題を持つGF1などでは
近接撮影ではピントが合う保証が無いので、中遠距離撮影に特化
するのが賢明だ。本レンズのフォーカスレバーには、無限遠
の少し前で、パンフォーカスとなるクリック・ストップが
あるので、あらかじめ、そこに合わせておけば、中遠距離撮影では
ピント合わせの必要が一切無い。
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本レンズは、開放f値が暗く、簡易式とは言えMFであり、かつ
安価なレンズである、こらの特徴に組み合わせるボディとしては、
高ISO、内蔵フラッシュ、内蔵手ブレ補正、高解像モニター(EVF)
で、かつ安価なボディが必須となる、Panasonic には残念ながら
この条件に当てはまるボディは存在しない(GX7/8は高価すぎる)

オリンパスだと唯一 E-PL2だけがこの条件を満たしている。
AUTOのままでISO6400まで上がり、内蔵フラッシュを持つ
(後継機のE-PL3からは内蔵フラッシュは廃止されている)
背面モニターは同時期の上位機種のE-P2等よりも解像度が
高い46万ドットである。中古相場も1万円以下と安価だ。
なので、ベストマッチングであるから、以前このレンズを紹介した
記事でも、ボディキャップとE-PL2とを組み合わせて使用していた。

今回は、以前と同じになるのは避けて、あえて低性能なGF1と
組み合わせている。
GF1は、スペックの老朽化が酷く、せめて何らかの長所があれば、
まだまだ使えるのだが、それもなかなか見つから無いので、
前述のように、早く使い潰すのが良いだろうという判断だ。

で、どこかGF1の良い所は何か?と思っていたが、まあ、
フィルムシミュレーション機能かなあ、という感じであった。
(まあ、他のGシリーズにも全て搭載してある機能だが・・)

一般的には、ダイナミックやバイブラントなどのカラーのモード
を選ぶのがノーマルだが、今回は、私もあまり使っていなかった
ダイナミックB&W(モノクロ)のモードをメインに使ってみる
ことにしよう。
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このレンズは、トイレンズと言うレベルよりは良く写るが、
一般レンズと同等と言うまでには及ばない、なので、ちょっと
中途半端な性能であり、ある意味、面白味には欠ける。

描写性能上の不満は、逆光時にフレアっぽくなる事だ、
だが、まあ、元々正規なレンズでは無いのでやむをえない。
(フレアでのコントラスト低下と元々の発色の地味さがあるので、
今回はモノクロモードを試験的に使っている)

性能に特徴が無く、むしろ中途半端なのであれば、本レンズの
存在意義は何処にあるのか?と考えるとなかなか微妙なものがあり、
あえて言えば、さほど必要性が多くないレンズであろう。
ただまあ、デザイン的な面白さとして、アクセサリー的に使うのは
ありだと思う。
c0032138_21131966.jpg

本レンズの購入価格は、発売から少したった時点で新品で5000円台
であった、その後、たまに中古が出てきているが、3000円台が
相場な模様だ。

なお、本レンズの姉妹品として、ボディキャップ魚眼、
BCL-0980(9mm/f8.0)が存在する、そちらは、本レンズよりは
少々高価だが、魚眼なので、撮っていて楽しさがあるので、
本レンズよりも、むしろそちらがおすすめだ、その魚眼レンズも
所有しているので、いずれ本シリーズで紹介してみよう。

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さて、次のシステム
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カメラは、Panasonic DMC-G5
ノクトン42.5mm/f0.95および超望遠レンズの母艦としている。

ノクトンの母艦とする意味は、G5の使いやすい2倍デジタルズーム
機能を用いて、銀塩換算85~170mm/f0.95相当の「超大口径
望遠ズーム」として使用しているからであり、
また、超望遠レンズの母艦とする意味は、デジタルテレコン機能
を用いる事であり、試験的に最大で6400mmまでの超々望遠撮影を
行った事がある。(第9回記事)

今回のレンズは、コニカ ヘキサノンAR135mm/f3.5である。
第21回記事で紹介したAR200/3.5と同時代のレンズであり、
1970年代のレンズと思われる。
c0032138_21143420.jpg

G5でAR135/3.5を使用する際、デジタルズーム併用で、
銀塩換算270~540mm/f3.5の超望遠ズームとして使う事が
出来る。

この画角であるが、私が長年ドラゴンボートの撮影で使っている
TAMRON 200-400mm/f5.6は、APS-Cデジタル一眼では、
300~600mm相当の超望遠ズームレンズとなるが、その場合と
ほぼ同等な焦点距離(画角)の感覚となる。他の人はいざしらず、
私の場合では、非常に慣れ親しんだ画角であり、今回の
G5との組み合わせにおいて快適に利用する事ができる。
ちなみに、デジタルテレコンを使用すれば、さらに換算
焦点距離を伸ばす事が出来るが、それが1200mmを超えると、
なかなか被写体を捉えるのが困難になってくる。

まあ、超望遠ズームは、実用的には、換算900mm程度までが
限界であろう、一眼レフ用の超望遠ズームも、実用的なものは、
望遠端500~600mmのものが普及している。
c0032138_21167100.jpg

で、G5には手ブレ補正機能が入っていない。
これはやはり超々望遠域の手持ち撮影ではだいぶ不利になる。
なので、それが(Panaで)初めて搭載されたGX7を購入し、
今後は望遠レンズ母艦は、GX7に任せようと思っていたのであるが、
GX7には、G5にあるファンクションレバーが無く、そこにデジタル
ズーム機能をアサインする事が出来ない。

GX7でも、デジタルズームは一応可能なのだが、Fnキーを1つ犠牲に
して、そこに機能を割り振り、それを押した後に十字キーを用いて
倍率を変えるように操作系が改悪されてしまったので、使い難い。
なので、望遠母艦をGX7に完全に置き換えるのは難しそうだ。

さて、AR135/3.5であるが、その時代(1960~1980年代)
には「神格化」されていた「ヘキサノン」であるにもかかわらず、
描写力はあまり褒められたものでは無い。

特に問題なのはボケ質が悪い事だ、これはレンズ構成が
極めてシンプル(4群4枚)である事も一因かも知れない。

ここまでの写真では、できるだけボケ質破綻を回避しながら
撮ってはいるが、実際には、イライラするほどボケ質が
簡単に破綻しやすく、その回避も難しいので、撮影途中で嫌に
なってきた程である。
c0032138_21175876.jpg

ヘキサノンAR135mmには、他に確かAR135mm/f3.2という
微妙にスペックの異なるレンズが存在していたはずである、
そちらは所有していないが、そちらはヘキサノンの名に
恥じない写りをするのであろうか? 

本レンズの購入価格だが、1990年代後半に5000円であった、
その時代は、第一次中古カメラブームであったから、
なかなか5000円とかで買えるレンズはなかったので
まあ、当時としては、安価であった訳だ。

現代においては、全く必要性の無いレンズであると思う。
(AR)ヘキサノンを買うならば、他に良いレンズが何本もある。

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さて、次は今回ラストのシステム
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カメラは FUJIFILM X-E1 、同社の初期のミラーレス機であり、
ルックスが良く、アナログライクな操作性は魅力的だが、
操作系全般とAF/MF性能に致命的とも言えるほどの完成度の
低さがあり、正直イマイチなカメラである。

まあでも、他の実用的なXマウント機はまだ高価であるし、
後継機でも操作系の問題点は、その多くが解決されていない。

先日、量販店のFUJIのコーナーに、メーカーの説明員が来て
いたので、そのあたりを問いただしてみたが、そこでわかった
事は、そういう立場の方であっても、「操作系」については、
そもそも問題点の認識が少ないという事だ。
こちらの言う課題は理解できたとしても、それが極めて重要で
ある事が、わからない模様であった。

操作系直接では無いが、以下のやりとりもあった、
私が「AFが遅い」と言ったら、「MFで撮れ」と言われたので、
「MFでは撮れない」といって、X-E1のMF操作系の問題を次々に
挙げると「古い機種だからしかたない、新しいのを買え」と言う。
が、新機種でも、MF操作系は改善されていないではないか!(怒)

まあ、この様子では、こちらの意見が開発サイドにフィードバック
される事は、まず無いだろうし、あったとしても、開発サイドも
重要度を感じていないであろう。もしそれが認識されていたの
ならば、とっくに後継機で改善されているはずであるし・・

だがまあ、カメラには欠点があってもしかたがない、
問題はそのカメラ固有の欠点をどうやって回避するか、という点だ、
あるいは回避できないのならば、長所を活かせば良い、
そういう意味では、X-E1にも勿論様々な長所が存在している。

そして、レンズの特性との組み合わせで、カメラの欠点が低減する
のであれば、その考え方を積極的に利用する必要もある。

で、私がXマウント機を購入した理由はただ1つ、
XF56mm/f1.2R APDという特殊レンズ(第17回記事で紹介)
を使いたいという、それだけなのだ。
Xマウント機でないと当該レンズは使えない、なので、とりあえず
安くて使えそうなボディとしてX-E1を買った次第だ。
私は、Xマウントでは他のレンズはフィルターレンズ1本しか
買っていない、様々な欠点を持つシステムである事がわかったから、
むやみにレンズを増やすことは止めている状況だ。

ただ、それでも多く撮らないと、ボディの減価償却が出来ない。
私個人のルールとして「1枚3円の法則」と言って、
購入したカメラは、最低でも1枚あたり3円になるまで、すなわち
「購入価格÷撮影枚数<3円」になる迄撮り続けなくてはならない。
(これは、次々にカメラを買ってしまう事への歯止めの意味もある)

しかし、最近はミラーレス機の中古価格の下落が激しく、この
ルールが簡単にクリアできてしまい、もっと厳しくする必要性を
感じている。
で、例えば「1枚2円の法則」プラス「そのカメラを1枚2円で
減価償却するまで、同一マウントのボディの追加購入禁止」という
新ルールを実行するかどうか迷っている次第だ。

で、X-E1の減価償却のために、ニコンF→Xマウントのアダプター
をとりあえず購入し、X-E1にニコン系のレンズも装着して
使えるようにしている。しかしながらX-E1のアダプター使用時の
MF操作系/MF性能も、致命的に近いほどNGである。

まあ、今のところは、使いにくさを我慢して、できるだけ
早く減価償却するしか無いであろう、まあ、そのためにも
様々な特徴を持つレンズが、どこまでならば使えるのか、という
限界性能は知っておく必要がある。(たとえばパンフォーカス系
レンズを装着すれば、MF性能は問題ではなくなる)

前置きが長くなったが、そういう経緯から、今回は広角の
ニコン Aiニッコール28mm/f2.8 をX-E1に装着している。
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本レンズは、1970年代後半に発売されたレンズである、
ほぼ同一の名称で Aiニッコール 28mm/f2.8Sというレンズが
1980年代に入って発売されているのだが、この2本は大きく
中身が異なっている、レンズ構成も異なっているのはさておき、
最大の差異は、Sなしの最短撮影距離が30cmで、
Sありが20cmだ。

28mmレンズでの、最短20cmは極めて強力な長所である。
しかし、本レンズは、最短30cmの旧型だ・・(泣)
c0032138_21224183.jpg

やはり最短が20cmでないと、間合いが伸びてしまい、ここぞと
言うときに寄れないという不満が大きい。

実は、何故こちらのレンズを買ってしまったのかは理由がある、
まず、1990年代、私はニコンAi28mm/f2.8を購入した際、
偶然にもSタイプを購入していた(性能の異なる旧型があるのは
知らなかった)しかし、2000年代初頭、やむをえない理由で、
このレンズは知人に譲渡してしまったのだ、でも必要なレンズ
であるから、しばらくして買いなおしたのだが、そこで買った
のが本レンズ(Sなし)であったのだ、
「あれ~? 確かこのレンズは最短20cmだったはず、これは
 何で30cmなの?」 
と、そこで初めて、仕様の異なる良く似た2つのレンズが
存在していた事を知ったわけだ。
でも、面倒なので、再々度これを買いなおすという事はしていない、
ちょっと悔しいが、知らなかった自分のミスであるのでしかたない。
c0032138_21545132.jpg

Aiレンズが販売されていた銀塩MF時代(1970~1980年代)では、
一眼レフ用で、広角の優秀なレンズはなかなか存在していない、
描写力からすれば、むしろ(最短撮影距離の問題は抜きにして)、
レンジファインダー機用の広角の方が優れていたくらいだ。

その理由は、一眼レフはミラーボックスの存在でフランジバックが、
おおむね40mm以上になってしまい、結果、40mm以下の焦点距離
の広角レンズを作ろうと、光学系を普通に設計すると、フィルム面
まで光が届かない(焦点が短い)よって、せっかく短い焦点距離
のレンズを設計したのに、レンズ後群で、わざわざフィルムまで
光の到達距離を伸ばしてあげる必要があったのだ。
これを「レトロ(遅れた)フォーカス」型と言い、余計なレンズ
群が入ることから、どうしても性能が劣化する。
じゃあ、ミラーボックスの制約の無い、レンジ用の広角レンズを
使えば良いではないか?と思うが、こちらは今度は最短撮影距離が
極めて長いという問題があるのだ。
現代の撮影技法においては、広角レンズは近接撮影能力が
生命線だ、寄れない広角は意味が無いと言っても過言では無い。

で、Aiニッコール 28mm/f2.8 であるが、凡庸な性能である。
一度手離してしまったので記憶に頼るしか無いが、最短
20cmのS型の方が良かったようにも思える(レンズ構成も違う)

まあでも、APS-Cやμ4/3機では、28mm広角レンズも42mmや
56mmといった標準画角となってしまう、そのあたりの画角を求めるなら
新しい時代のデジタル用の25~30mmレンズを購入した方が有利だ。

銀塩時代では必須であった28mm広角も、デジタルにおいては
使い道が少なくなってしまう。だったらフルサイズ機では?
と思うだろうが、残念ながらこの時代の設計のレンズでは
周辺収差・周辺画質・MTF特性・後群テレセントリック特性・
後玉反射・絶対的な解像度・コーティングなどの諸性能において、
現代の高画素フルサイズ機に装着しても、良い結果にはならない
可能性が極めて高い。
c0032138_21244118.jpg

まあ、ということで、本レンズの現代における必要性は
あまり高くない。ちなみに、私が2000年代前半に本レンズを
再購入した際には、中古価格は2万円であった。
(少々、いや、かなり高かったと思うので、失敗であろう)

が、ニッコールの代表的な28mm広角、という歴史的な意義で
本レンズを購入するのであれば、それはアリだと思う、
銀塩時代に一時代を築いたレンズであるので、デジタル時代
だからと言って、簡単に切り捨ててしまうのは勿体無い。

だが、購入する場合は、その最短撮影距離にはとても注意する
必要があるだろう、型番だけ見たら区別する事が難しいのだ。
実際にレンズを手にして、最短撮影距離が20cm型である事を
確認してから購入する必要がある。

中古相場であるが、程度により異なるが、1万円台前半という
感じであろうか。玉数は豊富にあるので、通販などに頼らず、
実際の店舗で実物を見て、納得いくものを購入するのが
良いと思う。

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さて、今回の記事の紹介レンズでは、アポランター90mm/f3.5
しか必要性の高いレンズが無く、かつ、それは入手困難な
ものなので、あまり参考になる要素が無かったかも知れないが
まあ、長くシリーズを続けていれば、そういう時もあるという
ことで・・
 
次回シリーズ記事に続く。

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