安価な中古ミラーレス機をベースに、アダプター遊びを
楽しむというシリーズ記事、第33回目。

カメラはマイクロフォーサーズでの望遠アダプター母艦と
している、PANASONIC DMC-GX7
レンズは、コシナ・フォクトレンダー アポランター
90mm/f3.5SL である。
望遠アダプター母艦とは何か?といえば、まず、μ4/3は、
換算焦点距離(画角)が2倍になる事で望遠に有利な事と、
GX7は、Panasonicで初めてボディ内手ブレ補正機能を
搭載した機種だからだ。
「それだったら、Olympusのμ4/3機だったら、もっと以前から
ボディ内手ブレ補正が入っているでは無いか」と思うだろうが、
Olympusの場合は、デジタルテレコンが不連続(2倍のみ)しか
動作せず、Panasonic の場合は、テレコンが2,4倍に切り替え
できる事に加え、デジタルズームが1~2倍までの間で連続可変
できる、よって、単焦点のオールド望遠レンズを、あたかも
超望遠ズームのように使用する事が可能なのだ。
ただし、この話には、2つ注意点がある、まず連続デジタル
ズームの操作がスムースに出来るのは、旧機種のG5/G6等であり、
新しいG7やGX7/GX8では、その機能に関する操作系が改悪されて
いて、あまり便利では無い事と、あともう1点は、Panasonicの
カメラでは「テレコン」の意味と「(デジタル)ズーム」の意味が、
一般的な概念からは逆になっている事だ、一般的にはテレコンは
レンズに装着するアクセサリーだから固定倍率で不連続であり、
ズームは勿論連続的に焦点距離を変化させる事ができる意味だ。
これが逆に定義されているのは非常にややこしく、操作をしていて、
逆の意味の用語が出てくると混乱してしまう。
Panasonicのカメラは、この他にも、ボケ量をボケ味と書いてあって
これも問題だ、「ボケ味」というのは一般的なカメラ用語では
ボケの「質」を表す用語であり、ボケの量と質はまったく別の
概念である事は。以前から何度も記事中で指摘している通り。
このあたりのカメラ用語の問題点は是非改善してもらいたい
ところだ、なんだかカメラの事をまったくわかっていない人が
用語を勝手に決めている印象を、ユーザーに確実に持たれて
しまうだろうから、メーカーとしても格好悪い事であろう。
さて、最初から余談が長くなったが、アポランターの写りだ。

このレンズは2000年代前半に発売されたMFレンズである、
マウントは、当初は各MFマウントで発売されたが、その後
ニコンAiとM42のみとなり、そこからPKが追加され、
さらには、ニコンFのCPU内蔵型とEFが追加され、同時にⅡ型
としてレンズのサイズがコンパクト化されたが、現在では、
残念ながら生産中止になってしまっている。
コシナやフォクトレンダーの歴史については、本シリーズでは
何度も書いているので、今回は割愛する。
で、本レンズ、アポランター 90mm/f3.5は、
「コシナ社の最高傑作」と言われていた名レンズだ。
言われていた、というのは、近年、コシナはカールツァイスの
ブランドでの超高級レンズ群を多数リリースしているので、
贅沢にコストをかけて最新の技術をも導入されて作られた、
それらのレンズの方が、やはり高性能かも知れない、という意味だ。
で、そもそも、そうした贅沢レンズは、私は1本くらいしか持って
いないので、総合的に比較のしようが無い。
(自ら試してみないと納得いかないし、贅沢レンズを次々に、
ちょっと買ってみようか、とか思える程の懐の余裕も無いし、
そもそも値段が高いから写りが良いという訳でも無いだろうし)
では、ややこしいいので言い方を変えよう「フォクトレンダーの
最高傑作」? いや、それも近年の「ノクトン」シリーズが
あるから微妙な判定だ。ノクトンは描写力的には最高のレンズ
では無いが、f0.95の超大口径の表現力は何物にも変えがたい。
ならば「フォクトレンダー最高のコストパフォーマンスのレンズ」
ではどうだろうか?
う~ん、なんだか安物みたいに聞こえる(汗)

まあ、呼び方はどうでも良い。
ともかく、このレンズは良く写るのだ。
しかし、90mmで開放f3.5という地味なスペックであるし、
MFであるし、「フォクトレンダーって何?」って言うような
ビギナーユーザーも勿論大半だろうから、本レンズの実力を
知っているユーザー層は極めて少ない事であろう。
私は、本レンズは発売直後に新品で購入したのだが、最初から
良く写るレンズだと思っていた。その後、雑誌だかムック本
だかに、このレンズのテストデータが乗っていたのだが、
その数値を見ると、殆ど収差が無いのに驚いたものだった。
それでも画面周辺は若干解像度が落ちたりしていたのだが、
今回のようにマイクロフォーサーズ機で使うのであれば、
もう何ら、そうしたレンズ性能上の欠点は無いに等しい
という事になるであろう。
ならば残る問題は、ボケ質およびその破綻である。
GX7の276万ドットのEVFは、ミラーレス機最高クラスの解像度
であるが、ボケ質の確認も、まあ、他機種のEVFよりわかりやすい
と思われる、で、そのEVFで見ている限り、条件によっては
ボケ質の破綻が発生するが、それはかなり軽微であり、実用的
には殆ど気にしなくて良さそうである。
ちなみに、GX7のチルト(傾く)方式ファインダーは、背面の
モニターと同じ方向にしか傾かず、縦位置のローアングル撮影
が出来ない、このあたり背面モニターが自在に回転する仕様の
Gシリーズに比較して不満な点だ。なお、後継機のGX8では、
背面モニターはGシリーズと同等になったが、EVFの解像度
が一般的な236万ドットに戻っている、なんだかこのあたり
Pananonic のカメラの仕様の変遷が、ちぐはくな気がしてならない。

アポランターの話が少ないが、あまり弱点が無いので、つっこみ
ようが無いのだ。最短撮影距離も50cmと極めて短く、マクロ的な
利用方法も、このレンズの特徴である。
このレンズの総括としては、極めて優秀なレンズであり、マニア
必携と言っても良いであろう。
入手性だが、微妙なところだ。発売後10数年となるが、
その間、中古は数える程しか出てこなかったように思える。
元々、このレンズを買う一般ユーザーは皆無に近いだろうし、
マニアは購入したとしても、価値が分かるだろうから、これを
簡単には手離すはずが無い事であろう。
私は2000年代前半の発売直後の新品購入であったので、
47000円とちょっと高価であったのだが、その後、2000年代後半
には、安売りの店舗であれば、3万円台で新品販売されていた。
新品はもう殆ど無いと思うが、もし中古を見つけたとしたら、
このレンズの性能的価値であれば、3万円台であればOkだと
思われる、まあ多少高価であっても迷わず「買い」であろう。
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さて、次のシステム。

カメラはちょっと微妙なポジションの DMC-GF1
最初期のμ4/3機であるが、小型化とともに簡略化された性能は
絶対的に不足気味であり、トイレンズ母艦にもなりきれない、
まあ、安価なカメラであるから「使い潰してしまう」のが良い
だろうと思っている。
レンズは、Olympus Body Cap Lens BCL-1580だ。
15mm/f8で、マニュアルフォーカスのレバーがついている。
他社のボディキャップレンズ、たとえば PENTAX Qシステムの
07 Mount Shield Lens や、FUJIの X Mount Filter Lens は、
パンフォーカス仕様であり、ピント合わせ機構が無いが、
被写界深度の計算上では、それらのレンズは完全にパンフォーカス
にはならず、無限遠等でピントがかなり甘く感じてしまう。
本レンズは、一応ピント合わせが可能であるので、その点に
関しては問題ない。
ただし、最短撮影距離は30cmと、15mm広角にしては控えめな
スペックであるし、ピント合わせに課題を持つGF1などでは
近接撮影ではピントが合う保証が無いので、中遠距離撮影に特化
するのが賢明だ。本レンズのフォーカスレバーには、無限遠
の少し前で、パンフォーカスとなるクリック・ストップが
あるので、あらかじめ、そこに合わせておけば、中遠距離撮影では
ピント合わせの必要が一切無い。

本レンズは、開放f値が暗く、簡易式とは言えMFであり、かつ
安価なレンズである、こらの特徴に組み合わせるボディとしては、
高ISO、内蔵フラッシュ、内蔵手ブレ補正、高解像モニター(EVF)
で、かつ安価なボディが必須となる、Panasonic には残念ながら
この条件に当てはまるボディは存在しない(GX7/8は高価すぎる)
オリンパスだと唯一 E-PL2だけがこの条件を満たしている。
AUTOのままでISO6400まで上がり、内蔵フラッシュを持つ
(後継機のE-PL3からは内蔵フラッシュは廃止されている)
背面モニターは同時期の上位機種のE-P2等よりも解像度が
高い46万ドットである。中古相場も1万円以下と安価だ。
なので、ベストマッチングであるから、以前このレンズを紹介した
記事でも、ボディキャップとE-PL2とを組み合わせて使用していた。
今回は、以前と同じになるのは避けて、あえて低性能なGF1と
組み合わせている。
GF1は、スペックの老朽化が酷く、せめて何らかの長所があれば、
まだまだ使えるのだが、それもなかなか見つから無いので、
前述のように、早く使い潰すのが良いだろうという判断だ。
で、どこかGF1の良い所は何か?と思っていたが、まあ、
フィルムシミュレーション機能かなあ、という感じであった。
(まあ、他のGシリーズにも全て搭載してある機能だが・・)
一般的には、ダイナミックやバイブラントなどのカラーのモード
を選ぶのがノーマルだが、今回は、私もあまり使っていなかった
ダイナミックB&W(モノクロ)のモードをメインに使ってみる
ことにしよう。

このレンズは、トイレンズと言うレベルよりは良く写るが、
一般レンズと同等と言うまでには及ばない、なので、ちょっと
中途半端な性能であり、ある意味、面白味には欠ける。
描写性能上の不満は、逆光時にフレアっぽくなる事だ、
だが、まあ、元々正規なレンズでは無いのでやむをえない。
(フレアでのコントラスト低下と元々の発色の地味さがあるので、
今回はモノクロモードを試験的に使っている)
性能に特徴が無く、むしろ中途半端なのであれば、本レンズの
存在意義は何処にあるのか?と考えるとなかなか微妙なものがあり、
あえて言えば、さほど必要性が多くないレンズであろう。
ただまあ、デザイン的な面白さとして、アクセサリー的に使うのは
ありだと思う。

本レンズの購入価格は、発売から少したった時点で新品で5000円台
であった、その後、たまに中古が出てきているが、3000円台が
相場な模様だ。
なお、本レンズの姉妹品として、ボディキャップ魚眼、
BCL-0980(9mm/f8.0)が存在する、そちらは、本レンズよりは
少々高価だが、魚眼なので、撮っていて楽しさがあるので、
本レンズよりも、むしろそちらがおすすめだ、その魚眼レンズも
所有しているので、いずれ本シリーズで紹介してみよう。
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さて、次のシステム

カメラは、Panasonic DMC-G5
ノクトン42.5mm/f0.95および超望遠レンズの母艦としている。
ノクトンの母艦とする意味は、G5の使いやすい2倍デジタルズーム
機能を用いて、銀塩換算85~170mm/f0.95相当の「超大口径
望遠ズーム」として使用しているからであり、
また、超望遠レンズの母艦とする意味は、デジタルテレコン機能
を用いる事であり、試験的に最大で6400mmまでの超々望遠撮影を
行った事がある。(第9回記事)
今回のレンズは、コニカ ヘキサノンAR135mm/f3.5である。
第21回記事で紹介したAR200/3.5と同時代のレンズであり、
1970年代のレンズと思われる。

G5でAR135/3.5を使用する際、デジタルズーム併用で、
銀塩換算270~540mm/f3.5の超望遠ズームとして使う事が
出来る。
この画角であるが、私が長年ドラゴンボートの撮影で使っている
TAMRON 200-400mm/f5.6は、APS-Cデジタル一眼では、
300~600mm相当の超望遠ズームレンズとなるが、その場合と
ほぼ同等な焦点距離(画角)の感覚となる。他の人はいざしらず、
私の場合では、非常に慣れ親しんだ画角であり、今回の
G5との組み合わせにおいて快適に利用する事ができる。
ちなみに、デジタルテレコンを使用すれば、さらに換算
焦点距離を伸ばす事が出来るが、それが1200mmを超えると、
なかなか被写体を捉えるのが困難になってくる。
まあ、超望遠ズームは、実用的には、換算900mm程度までが
限界であろう、一眼レフ用の超望遠ズームも、実用的なものは、
望遠端500~600mmのものが普及している。

で、G5には手ブレ補正機能が入っていない。
これはやはり超々望遠域の手持ち撮影ではだいぶ不利になる。
なので、それが(Panaで)初めて搭載されたGX7を購入し、
今後は望遠レンズ母艦は、GX7に任せようと思っていたのであるが、
GX7には、G5にあるファンクションレバーが無く、そこにデジタル
ズーム機能をアサインする事が出来ない。
GX7でも、デジタルズームは一応可能なのだが、Fnキーを1つ犠牲に
して、そこに機能を割り振り、それを押した後に十字キーを用いて
倍率を変えるように操作系が改悪されてしまったので、使い難い。
なので、望遠母艦をGX7に完全に置き換えるのは難しそうだ。
さて、AR135/3.5であるが、その時代(1960~1980年代)
には「神格化」されていた「ヘキサノン」であるにもかかわらず、
描写力はあまり褒められたものでは無い。
特に問題なのはボケ質が悪い事だ、これはレンズ構成が
極めてシンプル(4群4枚)である事も一因かも知れない。
ここまでの写真では、できるだけボケ質破綻を回避しながら
撮ってはいるが、実際には、イライラするほどボケ質が
簡単に破綻しやすく、その回避も難しいので、撮影途中で嫌に
なってきた程である。

ヘキサノンAR135mmには、他に確かAR135mm/f3.2という
微妙にスペックの異なるレンズが存在していたはずである、
そちらは所有していないが、そちらはヘキサノンの名に
恥じない写りをするのであろうか?
本レンズの購入価格だが、1990年代後半に5000円であった、
その時代は、第一次中古カメラブームであったから、
なかなか5000円とかで買えるレンズはなかったので
まあ、当時としては、安価であった訳だ。
現代においては、全く必要性の無いレンズであると思う。
(AR)ヘキサノンを買うならば、他に良いレンズが何本もある。
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さて、次は今回ラストのシステム

カメラは FUJIFILM X-E1 、同社の初期のミラーレス機であり、
ルックスが良く、アナログライクな操作性は魅力的だが、
操作系全般とAF/MF性能に致命的とも言えるほどの完成度の
低さがあり、正直イマイチなカメラである。
まあでも、他の実用的なXマウント機はまだ高価であるし、
後継機でも操作系の問題点は、その多くが解決されていない。
先日、量販店のFUJIのコーナーに、メーカーの説明員が来て
いたので、そのあたりを問いただしてみたが、そこでわかった
事は、そういう立場の方であっても、「操作系」については、
そもそも問題点の認識が少ないという事だ。
こちらの言う課題は理解できたとしても、それが極めて重要で
ある事が、わからない模様であった。
操作系直接では無いが、以下のやりとりもあった、
私が「AFが遅い」と言ったら、「MFで撮れ」と言われたので、
「MFでは撮れない」といって、X-E1のMF操作系の問題を次々に
挙げると「古い機種だからしかたない、新しいのを買え」と言う。
が、新機種でも、MF操作系は改善されていないではないか!(怒)
まあ、この様子では、こちらの意見が開発サイドにフィードバック
される事は、まず無いだろうし、あったとしても、開発サイドも
重要度を感じていないであろう。もしそれが認識されていたの
ならば、とっくに後継機で改善されているはずであるし・・
だがまあ、カメラには欠点があってもしかたがない、
問題はそのカメラ固有の欠点をどうやって回避するか、という点だ、
あるいは回避できないのならば、長所を活かせば良い、
そういう意味では、X-E1にも勿論様々な長所が存在している。
そして、レンズの特性との組み合わせで、カメラの欠点が低減する
のであれば、その考え方を積極的に利用する必要もある。
で、私がXマウント機を購入した理由はただ1つ、
XF56mm/f1.2R APDという特殊レンズ(第17回記事で紹介)
を使いたいという、それだけなのだ。
Xマウント機でないと当該レンズは使えない、なので、とりあえず
安くて使えそうなボディとしてX-E1を買った次第だ。
私は、Xマウントでは他のレンズはフィルターレンズ1本しか
買っていない、様々な欠点を持つシステムである事がわかったから、
むやみにレンズを増やすことは止めている状況だ。
ただ、それでも多く撮らないと、ボディの減価償却が出来ない。
私個人のルールとして「1枚3円の法則」と言って、
購入したカメラは、最低でも1枚あたり3円になるまで、すなわち
「購入価格÷撮影枚数<3円」になる迄撮り続けなくてはならない。
(これは、次々にカメラを買ってしまう事への歯止めの意味もある)
しかし、最近はミラーレス機の中古価格の下落が激しく、この
ルールが簡単にクリアできてしまい、もっと厳しくする必要性を
感じている。
で、例えば「1枚2円の法則」プラス「そのカメラを1枚2円で
減価償却するまで、同一マウントのボディの追加購入禁止」という
新ルールを実行するかどうか迷っている次第だ。
で、X-E1の減価償却のために、ニコンF→Xマウントのアダプター
をとりあえず購入し、X-E1にニコン系のレンズも装着して
使えるようにしている。しかしながらX-E1のアダプター使用時の
MF操作系/MF性能も、致命的に近いほどNGである。
まあ、今のところは、使いにくさを我慢して、できるだけ
早く減価償却するしか無いであろう、まあ、そのためにも
様々な特徴を持つレンズが、どこまでならば使えるのか、という
限界性能は知っておく必要がある。(たとえばパンフォーカス系
レンズを装着すれば、MF性能は問題ではなくなる)
前置きが長くなったが、そういう経緯から、今回は広角の
ニコン Aiニッコール28mm/f2.8 をX-E1に装着している。

本レンズは、1970年代後半に発売されたレンズである、
ほぼ同一の名称で Aiニッコール 28mm/f2.8Sというレンズが
1980年代に入って発売されているのだが、この2本は大きく
中身が異なっている、レンズ構成も異なっているのはさておき、
最大の差異は、Sなしの最短撮影距離が30cmで、
Sありが20cmだ。
28mmレンズでの、最短20cmは極めて強力な長所である。
しかし、本レンズは、最短30cmの旧型だ・・(泣)

やはり最短が20cmでないと、間合いが伸びてしまい、ここぞと
言うときに寄れないという不満が大きい。
実は、何故こちらのレンズを買ってしまったのかは理由がある、
まず、1990年代、私はニコンAi28mm/f2.8を購入した際、
偶然にもSタイプを購入していた(性能の異なる旧型があるのは
知らなかった)しかし、2000年代初頭、やむをえない理由で、
このレンズは知人に譲渡してしまったのだ、でも必要なレンズ
であるから、しばらくして買いなおしたのだが、そこで買った
のが本レンズ(Sなし)であったのだ、
「あれ~? 確かこのレンズは最短20cmだったはず、これは
何で30cmなの?」
と、そこで初めて、仕様の異なる良く似た2つのレンズが
存在していた事を知ったわけだ。
でも、面倒なので、再々度これを買いなおすという事はしていない、
ちょっと悔しいが、知らなかった自分のミスであるのでしかたない。

Aiレンズが販売されていた銀塩MF時代(1970~1980年代)では、
一眼レフ用で、広角の優秀なレンズはなかなか存在していない、
描写力からすれば、むしろ(最短撮影距離の問題は抜きにして)、
レンジファインダー機用の広角の方が優れていたくらいだ。
その理由は、一眼レフはミラーボックスの存在でフランジバックが、
おおむね40mm以上になってしまい、結果、40mm以下の焦点距離
の広角レンズを作ろうと、光学系を普通に設計すると、フィルム面
まで光が届かない(焦点が短い)よって、せっかく短い焦点距離
のレンズを設計したのに、レンズ後群で、わざわざフィルムまで
光の到達距離を伸ばしてあげる必要があったのだ。
これを「レトロ(遅れた)フォーカス」型と言い、余計なレンズ
群が入ることから、どうしても性能が劣化する。
じゃあ、ミラーボックスの制約の無い、レンジ用の広角レンズを
使えば良いではないか?と思うが、こちらは今度は最短撮影距離が
極めて長いという問題があるのだ。
現代の撮影技法においては、広角レンズは近接撮影能力が
生命線だ、寄れない広角は意味が無いと言っても過言では無い。
で、Aiニッコール 28mm/f2.8 であるが、凡庸な性能である。
一度手離してしまったので記憶に頼るしか無いが、最短
20cmのS型の方が良かったようにも思える(レンズ構成も違う)
まあでも、APS-Cやμ4/3機では、28mm広角レンズも42mmや
56mmといった標準画角となってしまう、そのあたりの画角を求めるなら
新しい時代のデジタル用の25~30mmレンズを購入した方が有利だ。
銀塩時代では必須であった28mm広角も、デジタルにおいては
使い道が少なくなってしまう。だったらフルサイズ機では?
と思うだろうが、残念ながらこの時代の設計のレンズでは
周辺収差・周辺画質・MTF特性・後群テレセントリック特性・
後玉反射・絶対的な解像度・コーティングなどの諸性能において、
現代の高画素フルサイズ機に装着しても、良い結果にはならない
可能性が極めて高い。

まあ、ということで、本レンズの現代における必要性は
あまり高くない。ちなみに、私が2000年代前半に本レンズを
再購入した際には、中古価格は2万円であった。
(少々、いや、かなり高かったと思うので、失敗であろう)
が、ニッコールの代表的な28mm広角、という歴史的な意義で
本レンズを購入するのであれば、それはアリだと思う、
銀塩時代に一時代を築いたレンズであるので、デジタル時代
だからと言って、簡単に切り捨ててしまうのは勿体無い。
だが、購入する場合は、その最短撮影距離にはとても注意する
必要があるだろう、型番だけ見たら区別する事が難しいのだ。
実際にレンズを手にして、最短撮影距離が20cm型である事を
確認してから購入する必要がある。
中古相場であるが、程度により異なるが、1万円台前半という
感じであろうか。玉数は豊富にあるので、通販などに頼らず、
実際の店舗で実物を見て、納得いくものを購入するのが
良いと思う。
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さて、今回の記事の紹介レンズでは、アポランター90mm/f3.5
しか必要性の高いレンズが無く、かつ、それは入手困難な
ものなので、あまり参考になる要素が無かったかも知れないが
まあ、長くシリーズを続けていれば、そういう時もあるという
ことで・・
次回シリーズ記事に続く。