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ミラーレス・マニアックス(34)

安価な中古ミラーレス機にマニアックなレンズを装着し、
コスパの良いアダプター遊びを楽しむシリーズ、第34弾。

まずは、このシステム、

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カメラは おなじみ NEX-7
レンズは、TOKINA AT-X240 24-40mm/f2.8
このレンズの詳しい情報は不明だ、恐らくは、1980年代発売
のMF大口径広角ズームレンズである。
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ズーム比は2倍にも満たない、上に大口径と書いたが、
f2.8は単焦点レンズ使いの感覚からすれば、かなり小口径だ。
まあ、それでも銀塩時代においては貴重な広角の明るい
ズームてあった。

銀塩時代、この手の広角ズームにおいては、良く使われる
キャッチコピーとして、
「24mm,28mm,35mmの3本のレンズがこの1本に」
というフレーズがあった。

一見「それは便利そうだなあ」と思ってしまう名キャッチ
であるが、良く考えてみると。
いったい、24mm,28mm,35mmなどという近接した焦点距離
のレンズを3本も持って歩くだろうか?という疑問がある。

例えば撮り比べ等の場合を除き、そのような似通ったレンズ群を
カメラバッグに忍ばせてあるという状態はありえない、普通は
その中のどれか1本を持っていけば広角はそれで十分なのだ。

私の持論として「レンズ交換2倍画角の法則」と言うのが
あって、(超広角とか特殊な焦点域を除けば)、レンズの
画角(度)の比が、2倍になるまでレンズ交換はしない、
という法則である。

もう少し具体的に言えば、構図的に必要な画角とレンズの
焦点距離の比が2倍以下であれば、その手持ちの1本で何とか
撮ってしまえ、という意味である。
これは銀塩時代、トリミングが嫌われていた時代の法則としては、
やや厳し目の設定ではあるが、現代では画角2倍以内のトリミング
編集などは当たり前であり、デジタルズームすら一般的だ、
なので、むしろ、これより緩くしても良いくらいである。

で、本レンズの場合、APS-C撮像素子での対角線画角は、
約61度~約39度となる、これは2倍に満たないので、ズームで
なくても、フットワークやトリミング編集、そしてデジタルズーム
併用等で十分にカバーできる範囲であり、ズームの必要性が無い
という事になる。

分かり易い例をあげるならば、本レンズのAPS-C機での銀塩換算
焦点距離は36mm~60mmである。この範囲であれば、
普通は50mmか又は35mmレンズ1本で事足りる。
これは銀塩またはフルサイズ単焦点ユーザーであれば、容易に
感覚的に理解できると思う。
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ということで、じゃあ、この広角ズームの存在意義は?
と言えば、正直「ほとんど無い」という事になってしまう。

このレンズは銀塩時代から持っていたが、殆ど使用した事が無い、
理由は前述の通りで、どれか1本の単焦点広角を持っていけば十分
だからであり、さらに言えば単焦点レンズではf2.8は小口径だ。
なので、f2以下の広角レンズを持って行く方が大口径の有利さが
出るので、f2.8のような「暗くて、かつボケ表現力の少ない」
レンズを持ち出す気には余りなれなかった訳だ。

最短撮影距離は全域40cmである。40mmの望遠側ならば標準的な
性能であるが、広角側24mmに設定してしまうと、40cmは、かなり
長く感じてしまい、作画表現上ストレスを感じてしまう。
なお、本シリーズ記事で色々紹介している24mm単焦点は、
その最短撮影距離が、18cmとか中には16cmというツワモノさえ
存在するので、24mmで最短40cmでは、お話にもならないのだ。

・・という事で、すぐ飽きてしまったので(汗)
NEX-7の隠れた優秀な機能である「エフェクト」を使って
遊び始めてしまった。
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本レンズは、24-40mmの広角域で、f2.8を実現するため、
様々な設計上の制限があったのだろうと予想できる。
最短撮影距離が微妙に長いのもそれであるし、大柄な事も
弱点だ(フィルター径は72mmΦもある)

レンズ構成は13群17枚と複雑であり、その結果、レンズ間の
表面反射などが増幅され、フレアやゴーストが極めて出やすい。
その両者が同時に出た例をあげよう。
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このように、レンズを少し光源の方に向けただけで、盛大に
フレアやゴーストが出る。

これまで、このシリーズ記事では、単焦点レンズが殆どであり
ズームレンズの紹介は極めて少なかったと思う。
まあ、このシリーズもあって、しばらく様々な単焦点レンズ
ばかりを使っていたので、いくら古いとは言え、本レンズの
フレアとゴーストが、尋常なレベルでは無い事に驚いたともに、
古いズームレンズの性能的限界も再度認識した次第であった。

本レンズの購入価格は、1990年代に中古で17000円と、
性能からするとかなり高めだった。
だが、大口径広角ズームは魅力的なスペックであり、銀塩MF
一眼のFE2か、AFだがMF互換性の高いF4あたりで使用する
つもりで購入したのだった(本レンズはニコンAiマウントだ)
しかし、1~2度使った時点で、その性能の低さにがっかりして、
その後、長期間お倉入りとなってしまったレンズである。
勿論、現代においては全く必要性の無いレンズだと思う。

---
さて、次のシステム
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カメラはEマウント最初期のSONY NEX-3である。
基本性能は高いが操作系に弱点を持ち、特にMFレンズ
使用時の操作系は問題あり、で、その結果、小型AFレンズ
またはトイレンズの専用母艦としている。
ちなみに中古価格は安価で1万円を切っていて、コスパは
良いと思う。

レンズは、PENTAX M28mm/f3.5である。
1980年代のPENTAX 小型化志向の時のレンズである。

NEX-3はMF性能に弱点あり、と言いつつ何故MFレンズを
装着しているかと言えば、これは「限界性能チェック」である。
すなわち、MFが苦手なのはわかっているが、ピント合わせが
殆ど不要なトイレンズや超広角レンズであれば、NEX-3の
欠点を相殺して十分実用的だ、じゃあ、広角といっても、
どこまでなら使えるのか?という実験の意味もあった。
28mmレンズがまあ使えれば、それ以下の広角レンズは
楽勝という事になる。
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銀塩時代はPENTAX MXやRICOH製のMF一眼レフで使用した
レンズである、それらのMF一眼は小型軽量であったので、同じく
小型軽量を目指したMレンズとの相性はなかなか良かった。

PENTAXのAF一眼は、MFと同一のKマウントであったが、
私はPENTAX AF一眼をあまり使っておらず、所有していたのは
MZ-3、Z-1P、Z-20位であった、うち主力はMZ-3であるが、
もっぱら高性能AFレンズ(例:FA43/1.9)を使うのみであった。
銀塩末期では、PENTAX LXの1台で、MFもAFレンズもまかなう
事が普通となった、その理由は、LXのファインダーや全般的な
感触性能がとても優秀であったからだ。

デジタル時代、初期のPENTAX *istDsや、K-10Dでは、
Mレンズは(操作性には劣るが)なんとか使用できたが、、
近年のK-5やK-01では、Mレンズは絞りの制御が不可能となり、
活躍の場を失いかけていたが、他社機でアダプターを使用した場合
は、Mレンズであっても、他のKマウントレンズと同様に快適に使用
する事ができる。

デジタル時代で活躍できなかったのはもう1つ理由がある。
銀塩時代は、28mmレンズは必須の広角レンズであり、マウント
アダプターもさほど普及していなかったので、所有している
カメラの各MFマウントで、必ず28mm級広角レンズを揃える必要が
あったのだが、APS-C機においては28mmの広角レンズは42mm
相当の画角となってしまい、本来の広角としての用途に
ならなかった。

デジタル専用の新型広角レンズは、当初はさほど寄れない
ズームばかりが発売されて、殆ど魅力を感じなかった。
だが、GR Digitalという高性能な28mm相当のコンパクト機が
2005年に発売され、これがほぼ万能の広角コンパクトとして
使用する事ができたため、そこから5年くらいの間は
「広角はGRで十分、デジタル一眼では広角は不要」とまで
個人的には思っていて、銀塩時代の28mmレンズは、
その活躍の場を失ってしまったのだ。
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本レンズの描写力は、可もなく不可もなし、という感じで
あろうか?言ってみれば、特徴の無いレンズである。
最短撮影距離も30cmと標準的である。

PENTAX のMF時代のレンズは、その多くが「標準的」とい
う性能であった。だから悪いという意味ではなく広角でも
標準でも望遠でも、安定して使える性能という意味でもある。

例えば、50mm標準は、他社のレンズ開発時のリファレンス
(=参考にするために製品を解析し、同等かそれ以上の物を
目指す)に用いられていたと聞く。

SMC(スーパー・マルチ・コーテッド)を施したPENTAX のレンズ
の優れた基本性能や、レンズラインナップ間での性能の標準化
(=販売する様々な焦点距離や仕様のレンズで色味や他の
性能をできるだけ揃える)は、同時代の他社レンズ開発にも
かなり影響があった模様である。

しかし、それは同時に、他社レンズも同様な性能・性格に
なってしまったという事であり、AF時代初期(1980年代後半~
1990年代前半)において、PENTAXのレンズの他社優位性は
目立たなくなってしまっていた。
それが主な理由かどうかは分からないが、PENTAXは1990年代
後半から、他社に無い個性的なレンズの開発に着手する、
例えば、FA43/1.9やそれに続くFA-Limitedシリーズが一例だ、
その傾向は現代にまで続き「PENTAXレンズは個性的である」という
イメージがマニアはもとより一般ユーザーにも定着したと思う。

私としては、この傾向は非常に歓迎だ。写真というものは、
ただ単に、そこにある被写体を正確な映像として記録するもの
ではない、撮る人の感覚を写真に加えていく為には、解像度や
色味などの再現性が高性能であるレンズばかりでは面白みが
無いという事になる。
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本レンズの購入価格であるが、1990年代に12000円であった。
少々高かったと思う。
性能や玉数などから総合的に判断すれば、現代では8000円位が
妥当な相場だと思われる。

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さて、次のシステム
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カメラは PENTAX Q7 超小型のレンズ交換式ミラーレス機だ、
ただ、私は、このカメラは超小型な事がメリットなのではなくて、
優秀な「エフェクト母艦」としての性能や操作系が最大の特徴だと
思っている。

組み合わせるレンズは07 MOUNT SHIELD LENSだ。
すでに、本シリーズ第4回、第14回で紹介しているレンズだが
非常に個性的な描写をする面白いレンズなので再度取り上げる。
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レンズ構成は、1群1枚、つまり単玉レンズである。
単玉というと、ソフトフォーカスレンズ(第5回,第13回,第19回
記事で紹介)を連想すると思うが、本レンズはソフト効果では
なく、まるで虫眼鏡のような「真ん中だけはっきり見え、
周囲は大きく流れる」という特徴を持っている。
これは言うまでもなく、レンズの「収差」(欠点)なのだが、
これを積極的に用いて、個性的な描写を得るというのが
コンセプトだ。

前述のPENTAX M28/3.5のところで書いた「PENTAX が
個性的なレンズを目指している」という方向性は、こうした
現代のレンズ(発売は2013年)にまで引き継がれている。
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描写力は非常に個性的だが、使用する上での制限事項が
いくつかある。
まず仕様は、11.5mm/f9 (Q7装着時約52mm相当)とかなり
暗いレンズである事、暗いという事で、手ブレなどが心配に
なるが、Q7の場合は、こうしたトイレンズにおいても焦点距離が
ボディに伝達され、手ブレ補正機構が適切に動作する。
また、Q7はAUTO ISOのままでも最大12800まで自動で
感度が上がるので、暗いトイレンズを使っても、暗所でさえ
なければ、まず問題は無い。

f値が暗い理由だが、本レンズは、ピント合わせ機構を持たない、
パンフォーカスレンズとなるのだが、被写界深度を深くする為
には、f値を暗くするしか方法が無いのだ。
ただ、本レンズは完全なパンフォーカスレンズではなく、
およそ1m~5m前後の距離にしかピントが合わない。
仕様上の最短撮影距離は30cmではあるが、実際には
近距離にも遠距離にもピントが合わないのだ。

こうした性能(仕様)上の制限のみならず、作画上の制限も
発生する。スイートスポット(=ピントの合う場所という意味)
が中央の中距離被写体にしか無いため、構図作画上、
中距離の日の丸構図しか有り得なくなるのだ。

そうでなければ、上写真のように画面全体に同様なパターンが
繰り返される被写体で、場所による描写の差を楽しむという
撮り方になると思う。

まあ、しかし、PENTAX Qシリーズの最大の特徴であるエフェクト
を用いれば、そうしたオーソドックスな撮りかただけではなく、
個性的描写と個性的エフェクトの組み合わせで、かなり幅の広い
表現力を得ることができるレンズでもある。
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本レンズの重量は、わずかに8g、およそ今まで発売された
写真用レンズの中では最軽量である事は間違いない。

ちなみに、それまでの最軽量のオリンパスのBCL-1580の
重量は22gである。
さらにちなみに、一眼レフ用での最軽量レンズは、確か
XRリケノン45/2.8の55gであったと記憶している。

8gしかないので、持ち運びにまったく負担は無い、好きな時に
カメラバッグやポケットなどから取り出して、Q7に装着して
使うことができる。ただし、あまりに小さいレンズなので、
紛失などには十分注意する必要はあるが・・

購入価格だが、2015年に新品で4000円ほどで購入した。
中古も出ないことは無いが、出ても3000円弱してしまうし、
欲しければ新品で買ってしまうのも良いであろう。

ただ、普通のレンズだと思って買うと「何じゃこの写りは~」
と驚いてキレてしまうかも知れないので、これがどんなレンズで
あるかは理解して買う必要がある。

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さて、次は今回ラストのシステム。
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カメラは、LUMIX DMC-GX7 である。
比較的新しい高性能マイクロフォーサーズ機であるが、後継機の
GX8が発売され中古相場が下がってきたので、約3万円で購入。
基本性能は高いが、構造および操作系に若干の弱点を持つ。
ただ弱点はまあ良い、今回は、その最高シャッター速度1/8000秒
のスペックだけがポイントなのだ。

レンズは、MINOKTA AF 85mm/f1.4 G(D) Limited

「AFレンズは、オリジナルマウントの一眼レフで使うのが良い」
と、再三このシリーズで述べているが、本シリーズ記事も回を
重ねていくと、様々なレンズとの比較などもしたくなってきた。
そろそろ、そのルールを緩和して、可能なかぎりAFレンズも
紹介していくとしよう。

まあでも、当然、ミラーレス機にアダプターで装着する上では
様々な制限事項が出てきて、それは写真撮影上では概ね有利
ではないので、あくまで本筋のやりかたでは無い。
 
その典型的な例としては、今回、実は、CANON EF85/1.2Lを
紹介しようとしていたのだが、このレンズ、アダプターを
使ってミラーレスに装着しようとしたら、AFはもとより、
MFですら動かないじゃあないか。勿論EOSに装着したら
何の問題もなくAFもMFも動作する。もしかすると故障かも
しれないが、一部のUSMレンズでは、こういう事もあるのかも?
もう少し調べてみる事にして、急遽今回は MINOLTAのレンズを
紹介する事にしよう。

そして、本AF85/1.4 Limitedは極めてマニアックなレンズだ、
その理由(出自)は後述していくとしよう。
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本レンズは、85mm/f1.4 と、MINOLTA のαシリーズAF時代
(1980年代後半~2000年代前半)を通じて発売された 85mm
レンズと同スペックであるが中身はまったく異なっている。

KONICA MINOLTAのHPによると、本レンズは1980年代後半
に、ミノルタが 85mm/f1.4を開発する際、2本の異なるレンズが
開発され、社内コンペが行われた。その試作品の2本は全く
性格が異なり、方や汎用的に使いやすい性能で小型軽量、
かつローコスト。方や開放から極めて高い描写力を持つが、
大きく重く、コスト高である。

さて、メーカーの開発陣でなくても、この選択は迷いどころだ。
結局、前者が「製品としては適している」ということで選ばれて
発売されたのだが、後者のレンズはミノルタ社内でも伝説的に
語り継がれたと聞く。

で、2002年に、その後者の幻のレンズが何と限定700本で
生産された!
それが、本AF 85mm/f1.4 G(D) Limitedである。
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その噂を聞きつけた私は、すぐに行きつけのカメラ屋で予約した。
価格はまだ発表されていなかったが、限定700本であれば
一瞬で売り切れてしまう事が予想できたのだ。

1ヶ月ほどして、カメラ屋の店長が言う
店「あ~、匠さんねえ、あの予約した85mmだけど、値段出たよ、
  それが、恐ろしく高いみたいで・・・」
匠「え~? いくらなんですか」
店「18万5000円だそうですよ」
匠「ひえ~っ!(汗) どうしよう、でも、せっかくなので
  借金しても買います」

と言いつつ、それまで使っていた、ミノルタ AF85mm/f1.4を
泣く泣く手放す羽目に、まあ、一見両者は同じスペックなので、
2本もいらないだろうという判断であったのだ。

だが、実は、その事が後の時代になって悔いる事となるのだが、
その話はまた後述で・・
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発売が遅れ、予約してから、かなり時間がたったが、ある日、
無事本レンズがカメラ店に到着した、価格は少しまけてもらい
145000円であった。
匠「ボーナス払いでいいですか?」
店「いやあ、それはちょっと・・ 今払ってよ」
まあ、若干まけてもらったのでしょうがない、銀行に走って
お金を降ろしてくる、これでしばらくはインスタント生活だ(汗)

「こりゃあ、ポートレートに使うレンズだよね、それしかない」
と喜び勇んで、友人知人の女性達の中から綺麗どころを選んで
モデルになってもらい、撮影を続けた。ちなみにこれを装着した
カメラは、まだ銀塩時代であったので、MINOKTA α-9または
α-7Limitedであった。

だが・・ちょっとなんとなくおかしい。
まず、このレンズを使用するのは、開発者の言葉を信じて
開放近辺のみとしたのだが、ほとんどピントが合わない。

α-7ではまずお手上げであったので、α-9を使用する。
このカメラのAF測距点は3点しか無いが、中央の1点は非常に
高精度であったので中央1点固定とする、しかし、それでも
厳しいのだ、被写界深度が浅すぎるのがその理由であった。

この時、私のα-9は、MⅡ型スクリーンに換装してあった。
このスクリーンは、高精度のMFピント合わせを実現するのだが、
ファインダーが著しく暗くなり、f2.8以下の大口径レンズ専用
として、ミノルタのサービスセンターに行って換装するのだ。
サービスセンターに行くと、係員から
係「本当によろしいですか?
  普通のレンズを装着すると暗くて使えませんよ」
という脅し(笑)を受けて、それを了解しないと交換してくれない
という仕組みであったのだ。

匠「いいですよ、f1.4のレンズしか使いません!」
などと言いつつも・・
「ああ、STF (135mm[T4.5])はもうα-9で使えないかなあ・・」と、
ちょっとドキドキしながら交換したのを覚えている。

で、そのα-9の当時最強(今でもか?)のファインダーをもって
しても、このレンズのMFピント合わせは困難を極めた。
だったら絞って使えば良いではないか?と思うのだが、「開放で
最高の性能を発揮する」とまで言われてしまえば、もう意地でも
開放で使うしかない(汗)

匠「うわ~ 困ったなあ・・
  これだったら、元の普通のAF85/1.4を残しておけば良かった、
  その方がずっと汎用性が高く、多くのシチュエーションで
  良い写真が撮れたよ。やっぱ、1980年代のミノルタの
  選択は正しかったと思うな、このレンズが発売されていたら、
  使いこなせるユーザーは皆無に近かった事であろうし・・」

だが、この2~3年後、(コニカ)ミノルタは、SONYにαシステム
を譲渡して、カメラ事業から撤退してしまう。
この時、ミノルタ時代の優秀なαレンズのいくつかは、大手カメラ
チェーン店やブローカー等の買占めに合い、一瞬で中古市場から
消えてしまった。
しばらくの間、市場でのレア感が演出され、再度出てきたときには、
ノーマルのα85/1.4の価格は、10数万円というプレミアム価格
となってしまった訳だ。
私が初期型のα85/1.4を購入した時の中古価格は3万円台だったし、
それが欲しい、といった友人の為に2003年ごろに中古店で探した
時も、結局29800円のものを探し当ててそれを購入していた。

10数万円は無いでしょう!(怒)と思ったのだが、後の祭り、
その後も高値安定が続き、ノーマルのα85/1.4の再購入の夢は
消えてしまったのだ・・
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という事で、今、このレンズは、着物撮影などで使う場合が
たまにあるくらいで、他はほとんど休眠している。
そうした撮影に使う場合でも、被写界深度問題による歩留まり
の悪さ(ピンボケ確率が高い)ので、あまり使いたくないレンズ
でもあり、もっと安定した FA77/1.8などを代用するケースの
方が多いくらいだ。

本レンズをアダプターで使う場合の注意点だが、αのレンズ
であるので絞り環が無い、よって、アダプター側に、レンズ
後部の絞りレバーを機械的に動作させる機構を持つアダプター
の使用が必須となる。
本レンズは大型であり9枚の絞りが非常に強い力で、常に絞り込
もうとして動作している。これはつまり、この大口径レンズを
連写して使う際など一眼レフでの絞り動作機構が連写に間に
合わないという問題が発生するので当然なのだが、絞る力が強い
ために、アダプターの機械絞り機構が負けて、常に最小絞りに
戻ってしまう。

これはアダプター側の問題であろう、緩いのかも知れない。
家に帰ったら修理してみよう。だが、撮影中は、もうこのままだ。
結局、ピント合わせ操作に加え、余った指でアダプターの絞り
機構を、絞りに負けないように廻して押さえておく必要がある。
これは非常にかったるい操作であり、ただでさえピントが合わない
レンズであるので、イヤになってくる。
ちなみに、優秀な GX7のピーキング機能を用いても、被写界深度
が極めて浅いため、ピーキングが反応しない場合が殆どだ。

まあ「非常に趣味的なレンズである」といって過言ではない。
実用価値はさほと高くなく、現代における入手性も極めて低く
700本しか存在しないので、もし中古が出たとしても、かなり
のプレミアム価格となるだろう(30万円以上か?)

そこまでして入手しても使えるレンズではない、それであれば
FA77/1.8の中古を6万円くらいで購入して使った方がはるかに
実用的であろう。他社85mm/f1.4も生産中止品はプレミアム
価格となっている事が多いが、何故そもそも生産中止に
なったのか? たとえば、PENTAX は2000年ごろにFA★85/1.4
とFA77/1.8を併売していたのに、何故、FA77を残し、FA★85を
生産中止にしたのか?そのあたりを良く考えてみれば、
85mm/f1.4の実用性がさほど高くないという事にも気がつくで
あろう。

ちなみに、SONY αの時代になってから、SONYから発売された
Planar T*85mm/f1.4ZA が、本レンズと同じである、
(だから本レンズを無理に探さず、そちらを買えば良い)という
噂もマニアの間で流れたのだが、良く見ると、レンズ構成も
異なっており、違うもののようだ。

さて、そろそろ文字数が限界なので次回記事に続く・・

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