安価な中古ミラーレス機に、少々マニアックなレンズを
組み合わせて楽しむシリーズ記事。第32弾。
まず、このシステムから。
カメラは今回初登場のマイクロフォーサーズ機、
Panasonic DMC-GX7である。
この機種以前の全てのGシリーズは、レンズ側手ブレ補正
であったのが、本機で初めてボディ内手ブレ補正を搭載した。
2013年発売の比較的新しい機種である。発売当初から注目
していたのだが、高価であった。
最近やっと、3万円程度まで値段が下がってきたので、
それであれば良いかと、購入した次第である。
マイクロフォーサーズ機の特性上、換算焦点距離が2倍に
なるという事から、本機は、手ブレ補正機能を活かした
「望遠母艦」にするのが望ましい、そのような目的に使う
カメラにするとしよう。
レンズは、京セラ・コンタックスのプラナー100mm/f2である、
カールツァイス系レンズや、一部のロシアンレンズ等では
開放f値を先にするf2/100mmのような記述が正式な模様だが
私はこの方式に反対である、一部のメーカーだけ異なる表記
をしていたら、他との統一性が失われてしまう。
たとえば電池や電球やCDやSDカードやUSBメモリー等では、
どのメーカーのものを購入しても使う事ができる、これは当然
の事であろう。
趣味の世界においても、電子楽器では、30年以上も前から
MIDIという規格で、どのメーカーの楽器間でも相互に通信する
事ができる。
しかし、カメラの世界では、いつになっても共通(統一)
マウントが出来ないのは何故だろうか? 何故皆それに
不満を持たないのであろうか?
PENTAX は古くから M42やKマウントで規格の統一化をはかって
いたし、OLYMPUS やPANASONICがマイクロフォーサーズを
提唱しても、結局それに乗ってくるメーカーはさほど多くない。
それはまあ大手メーカーは自社の製品が売れなくなってしまったら
困るのだろうが、それにしても自分勝手がすぎなくは無いだろうか?
まあ、元を言えば、戦前のライカ対コンタックスが、そもそもの
走りであろう、両者のカメラは操作性から様々な表記までも、
全部逆にしてしまった訳だから・・それが現代に至るまで、
まだ、その弊害が残っている事がどうしても信じられない。
(例えば、ニコンは戦前の旧コンタックスを参考にして
Sシリーズを作ったため、それが、Fマウントの銀塩一眼レフや
現代のDシリーズデジタル一眼にまで引き継がれ、結果として
レンズの装着方向、露出補正の方向、絞りの方向、それらが
全て他社カメラと逆になっている)
そのメーカーの製品しか使わないという「信者」であれば
ともかく、私のように、ほぼ全てのメーカーの製品を使う
マニアック・ユーザーであると、こうした、1つのメーカーだけ
の独自性(自分勝手)はどうしても受け入れることが出来ない。
余談が長くなったが、本ブログではたとえコンタックスの
レンズであっても、100mm/f2のように焦点距離を先に書く
スタイルを頑なに守っている訳だ。
さて、プラナー100mm/f2(以下P100/2)の写り。
第16回記事で、マクロプラナー100mm/f2.8を紹介した際、
「神格化」されたMP100/2.8よりも、本P100/2が良いと
実感していると書いた。
P100/2は、例の「プラナーボケ」と言われるボケ質破綻も
出難いし、逆に言えば、絞りの変化による画質の変化も
P85/1.4や、MP100/2.8より少ないので使い易い。
いや、使いやすいと言うと御幣があるかもしれないので、正確に
言えば「絞りを純粋に被写界深度の調整の目的で利用できる」
と言うべきであろう。
例えば、P85/1.4は、被写界深度を変えようと絞り値を調整
しようとすると、ボケ質が変化して時に破綻してしまったり、
焦点移動が起こってピント位置が変わったりしてしまうのだ。
P100/2の場合は、完璧とは言えないが、そのあたりの課題は
だいぶクリアされている。
非常に高性能のレンズであり、場合によっては、京セラ・
コンタックスのY/Cマウント群の中では最良のレンズであるの
かも知れないのだが、このレンズがさほど評価されなかった
のは何故であろうか?恐らくは最大の課題はその価格であろう。
このレンズが販売されていた1990年代前後、
コンタックスのレンズ群の価格は、P85/1.4が10万円強、
MP100/2.8が20万円弱、本レンズは、定価178000円であった。
コンタックス党は、このあたりの焦点距離では、まずP85/1.4
を購入し、さらに予算に余裕があれば、MP100/2.8を購入する
まあ、これらのレンズは評判が良く「神格化」されていたからだ。
でも、さらにこれらに加え、似たような焦点距離のP100/2を
購入するユーザーなど、滅多にいなかったに違い無いし、
高価なコンタックスのレンズあれもこれも次々に買うような
ブルジョアなユーザー層が、レンズの性能のぎりぎりまで使い込んで
正当な評価を下す、などというケースはなかなか想定しにくい。
まあ、レンズをしっかり使いこむマニアであっても、お金を貯めて
コンタックスの中望遠を買おうとした際、神格化されている
P85/1.4やMP100/2.8を避けて、わざわざマイナーなP100/2
を購入するであろうか? いや、それはまず無い・・・
まあ、なので、本レンズは単純にユーザー数が少ないのだろうと
思われる、だから良い評判もあまり流れていなかったのであろう。
私は、1990年代後半に、本レンズを新品で購入した、
行きつけの中古カメラ屋さんで、長い間売れ残っていた物だ
カメラ屋の店長いわく
店「もう誰も買わないので困ってますねん、
匠さん、買ってくれないかなあ、お安くしておきまっせ」
ということで、定価178000円を、10万6000円まで
値切って購入した次第であった。
まあもっとも、私もそこまで懐に余裕はなかったので、
その代償として、P85/1.4を手離す事になったのだが・・
(でもP85/1.4の個性も忘れがたく、その後10年近くたってから
コシナ・バージョンの同一レンズ構成のP85/1.4を買いなおした)
ちなみに、P100/2の最短撮影距離は1m弱と、100mmレンズ
としては標準的な性能だ。
GX7との組み合わせだが、基本的には悪く無い、200mm
相当の焦点距離は、静止被写体であれば手ブレ補正は効果が
あるし、G6/GX7以降のシリーズで搭載されているピーキング
機能も良く効く、ピント拡大時の画面分割も悪くない。
ただし、GX7のデジタルズーム系の操作系は、G5/G6に比べ
悪化している、これは、静止画撮影をメインとしているGに
比べ、GXだからそうなのかと思いきや、G7でさえも、GX7と
同様に、G6から一部の操作系が改悪されているのでちょっと
困ったものである。GX7の後継機のGX8では、また改善されて
いる部分も多々あるが、なにせ現在はまだ高価である。
G7の発売以降、G6の中古価格が急落しているので、現在G6は
狙い目である、ただし、私はG5を既に使っているので、G6の
選択は微妙なところだ、なのでまあ、GX7に方向転換した訳だ。
ちなみに、G5とG6の差異は微妙であり、目に見えるスペック差と
しては、G5の最高ISO感度は12800で、G6が25600。
そして、ピーキング機能なしがG5で、有りがG6。
目に見えない差異は、G5のEVFはピント合わせがしやすいが
ボケ質がわかりにくく、G6は逆で、ピントの山がつかめないが
ボケ質が若干わかりやすい。
他にも微少な差異があるが、実用面での差は上記しか無い、
中古相場は、G5が1万円台後半、G6が2万円台前半だ。
G7はまだ高価であるし、操作系が改悪されている部分もあるので
購入対象外だ、空間認識AFとかは、MFで使う上ではどうでもよい。
なお、GX7のEVFは、G5ともG6とも違うスペックだ、276万ドットと、
ミラーレス機の中では最高スペックの解像度、しかし、まだ
これを使っている期間が短いので、現段階での評価は避けておこう、
解像度の数値が高ければ良いというものでもないし、ちょっと
今後はシビアにそのあたりを見て、このEVFの特徴を掴むとしよう。
AFレンズでしか撮らないユーザー層には、わからないと思うが、
アダプターでMFレンズを使う上では、EVFの性能や特性は
生命線であるとも言えるのだ。
---
さて、次のシステム。
カメラは LUMIX DMC-GF1、最初期のμ4/3機であり、同時期の
G1と比較して、小型化の為に簡略化されすぎたスペックにより
カメラとしての基本機能のピント合わせに弱点を持つように
なってしまった。後継機のGFシリーズでも、基本的な部分と
してのMF操作系の改善は図られてはいない。
また、派生シリーズとして前述のGX7の前機種のGX1は、
(注:他のGシリーズの型番が先行しすぎていたため、
GX1の次が、いきなりGX7になってしまった)
外観や操作系などはGF1と大差無いため、数値上のスペックが
上がっていても、あまり興味がもてなかった。
後期GFシリーズや、GX1を買うのであれば、GF1でも十分という
事であったのだ。
で、レンズはかなりマニアックな、インダスター26M 50/2.8
である、このレンズは、ロシアのFEDシリーズの付属標準レンズ
とされていたもので、ライカLマウントのレンジファインダー機
用のレンズである。
GF1に装着しているのは組み合わせ特性上の理由よりも、ボディ
との価格バランスが主眼だ、ともかく安価なレンズなのである。
なので、あまり高価なボディに装着するのはアンバランスだ。
写りは典型的に「テッサー」臭い(笑)
テッサーとは、今から100年以上も前にツアイス社により
開発されたシンプルな構成の標準レンズであり、ガウス型が
標準レンズのノーマルな構成になり始める1960年代以前は
極めて多くのカメラの標準レンズとして使われた構成である。
本インダスターも、テッサー型構成を採用している。
テッサーの使いこなしは、f5.6~f8前後まで絞って、メリハリの
ある被写体を撮る事が基本である。
メリハリとは、まずコントラストや形状がはっきりしているもの
それから、色も原色系ではっきりしているものがあげられる。
テッサー型レンズの弱点は4つある、
1)開放f値があまり明るくできない(f2.8程度まで)
2)最短撮影距離の長さ
3)条件によりボケ質が破綻する場合がある
4)焦点移動、すなわち絞り値を変えるとピント位置が変わる
このうち、1)はまあ良い、4)は、ミラーレス機で絞り込み
測光(絞込み撮影)であれば、これも全く問題は無い。
3)のボケ質破綻は、回避する技術があれば問題ない。
すると、最大の問題点は、2)の最短撮影距離である。
一眼レフ用の標準レンズであれば、(変形)ガウス型構成の
50mm標準レンズの最短撮影距離は、45cm~50cmである。
同、一眼レフ用のテッサー型3群4枚構成の45mm~50mm
標準レンズの最短撮影距離は、おおむね60cmと、ちょっと長い。
そして本レンズはレンジファインダー機用であるので、
その場合は、距離計の精度の問題から、どのレンズであっても
70cm程度が最短撮影距離になるのが本来なのだが、本レンズは
なんと最短1mである。
標準レンズで、この長い最短撮影距離は致命的に近い問題点
だと思う、一般にレンジ機では、広角レンズにおいて、本来は、
20cm~30cmであるべき最短撮影距離が、70~90cm程度に
まで(レンジ機の構造上・仕様上)伸びてしまうことが、大いに
不満であったのだ。
せめて、最短が近ければよかったものの、最短1mでは、
50mmレンズとしては、「使えないレンズ」となってしまうのも
やむを得ないと思う。
本レンズは、アタリ(外観のダメージ)があるジャンク品で
2010年ごろの購入で、価格は1000円(!)であった。
しかし、この時代は、地方DPE店などの廃業から、一眼レフ用の
MF標準レンズなどが集められ、そのジャンク品が大量に販売
されていた。それらは1000円~3000円程度の価格であったので、
1000円のレンズでも安すぎると驚く事は無い。
むしろ、同じ1000円ならば、一眼レフ用の標準レンズの方が
使いやすいのは確かだ、それほど最短撮影距離の長さは致命的な
問題だと思う。まあ、将来Lマウントのヘリコイドアダプターを
入手して、そのあたりを緩和する手はあるが・・
---
さて、次のシステム
ボディは、いつものDMC-G1である。
レンズは、SIGMA AF24mm/f1.8 EX DG
AFレンズであり、本来はAF(デジタル)一眼レフに装着して
用いるのがAFなどの機能制約が無く、本筋である。
AFデジタル一眼レフも、近年は中古が安価であり、2~3万円
程度も出せば、実用的に十分の高性能機を入手することができる。
優秀なレンズを買う予算で、ボディが2~3台買える訳であり、
つまり、ある1本のレンズを使う為に専用のボディを買うのも
アリという事である(=レンズの方が価値が高い)
で、今回あえてマイクロフォーサーズ機に装着している理由で
あるが、ミラーレス・マニアックスというシリーズ記事を
進めていく上で、従来はあえて掲載対象外としていた個性的な
一眼用AFレンズも、いくつか取り上げていこうと思った次第であり、
まあ、リファレンスとして比較の対象として行こうという理由だ。
本レンズの特徴であるが、2000年頃の銀塩末期に「大口径広角
3兄弟」の1本として発売されたレンズだ、シリーズ第18回記事で
紹介したAF20/1.8の兄弟レンズであり、20mm,24mm,28mm
がラインナップされていた。
その発売当時は他にあまりなかった、広角で、大口径で、寄れる
レンズであり、普及し始めたAPS-C撮像素子のデジタル一眼に
装着した場合でも、それぞれ30mm,36mm,42mmの使い易い
画角となるので、銀塩、デジタル両用レンズとして重宝した。
寄れる、という性能は、前述のインダスターと対極にあり、極めて
実用的だ。本レンズの最短撮影距離は、18cmであり、24mm
レンズとしては(第16回記事の「サイコール」の16cmはさておき)
トップクラスの近接性能である。
ちなみに、第26回記事で紹介した、SIGMA AF24/2.8(この
レンズの旧型にあたる)も、本レンズと同じ18cmの最短だ。
広角レンズは理論上は被写界深度が深いのであるが、近接すると
それに応じて被写界深度が浅くなる、その感覚は、一般的な標準
レンズ等に比べて分かり難い、つまり、広角でレンズの先ぎりぎり
まで寄れるレンズなど、他にあまり無いからだ。
だからこそ、本レンズを本来の(デジタル)一眼レフではなく、
ミラーレス機で使用する理由はある、被写界深度が直接EVFや
背面モニターで確認できるからだ。
まあ、この写真も、もう少し絞ってもよかったのだが、飲食店
の中だったので、あまり時間をかけて撮っても、餃子が冷めて
しまう(笑)
本レンズの弱点は、フレアやゴーストであった。
あった、と言うのは、μ4/3機で使うとだいぶ様相が変わって
くるからだ、まず画角が狭いので、太陽などが入り込みにくく
なるのだが、これについては、見かけの画角が狭くなっていて
も、レンズは広範囲の光を取り込んでいるので、レンズの内面
反射などの問題は残っているかも知れない。
そして、銀塩時代では存在しなかった広角マクロ的な撮影技法
において、フレアやゴーストを回避するような撮りかたも意識して
出来るからである、まあ、後者は技法なので、μ4/3に限らず、
APS-Cでもフルサイズでも同じと言えば同じだが・・
それとフレアやゴーストは、そもそも悪か?といえば、これが
また微妙である、作画表現上ゴーストを取り込んだりする事は
今の時代の映像作品では、ごく一般的に行われている技法であり
そういう画(え)が欲しい場合に、ゴーストが全く出ない高性能
レンズだと、ちょっと寂しくなってしまう事すらある。
本レンズの購入価格は、2000年代前半に新品で38000円
であった(定価は5万円台ではなかっただろうか?)
その後、長期にわたって販売され、中古もたまに出ていたが
おおむね3万円弱程度の相場であったように思える。
しかし、最近、本レンズは新型のA24/1.4にリニューアルされ
同時に販売価格が10万円程度と、値段が跳ね上がってしまった。
その直前に旧型の在庫処分で、24/1.8の新品が量販店で
3万円程度で多数販売されていた、まだ残っているかも知れないし、
中古も今後も出てくるだろうから、まあ、焦って購入する必要は
無いのだが、コスパと使い勝手からすると、デジタル一眼レフ
ユーザーであれば、必携レンズと言っても良いと思う。
---
さて、次は今回のラストのシステム。
カメラが、SONY NEX-7 フルサイズでこそ無いが、
Eマウント最強の高度な操作系を誇る名機だ。
レンズは、MINOLTA New MD 50mm/f1.4である。
1980年代前半に発売された、MF一眼レフ用のレンズ、
もっとも、それ以前にMD 50/1.4があり、New MDとなって
最小絞りのロック機構(すなわちプログラムAE対応)が追加
されただけであった、と思っていたのだが、どうやら、この時点で
レンズ構成にも手が入れられていた様子である。
ミノルタのMF一眼用標準レンズは、ロッコール時代、MC時代、
MD,Mew MDと、発売期間が長く、非常に多くの種類がある。
全て同じようなものかと思いきや、微妙に描写力などが異なる
ので、ミノルタの標準を集めているだけでも面白い。
このNew MDは、ミノルタ標準の中ではどうか?と言えば
まあ、中庸な部類の性能であろう、最大の問題は、この当時
(1980年代)PENTAX や OLYMPUSの小型MF一眼レフが
流行していて、それらはボディのみならず、レンズも小型化され、
それまでの一眼レフのイメージである、大きく、重く、高価
という印象を払拭しつつあった。
そんな中、ミノルタも従来のMCシリーズ等のラインナップは
大型のレンズが多く、例えばフィルター径1つとってみても、
MC50/1.4は、55mmΦであり、他社に負けじと小型化する
必要性があった。
本New MD(MD)は、フィルター径は49mmΦに小型化されて
いる、勿論レンズ全体のサイズや重量も、従来のMCタイプに
比べて相当小さくなっている。
しかし、レンズの開放f値というのは、光を取り込む量、
すなわち有効瞳径、まあ簡単に言えば、レンズの大きさで
決まるのだ、レンズを小さくした事で、同じ開放f値を実現
する上で何か弊害は起こらなかったのであろうか?
実はそれはあった模様で、小型化の為に若干描写性能が
犠牲になっていた様子である。
後年、当時のミノルタでαなどのレンズ設計に関わっていた
元ミノルタの技術者の方から話を聞く機会があった。
彼は、そのあたりの技術の詳細は語らなかったが
「50/1.4は、MDよりMCの方が良いですよ・・」と一言、
まあ、それだけでも、私としては、その背景に何があった
のかは、だいたい察したのであるが・・
その彼も、銀塩時代は、ミノルタXEにMC50/1.4という
かなりマニアックなシステムで写真を撮っていた。
「XEですか? 普通はX-700か、ちょっと通の人であっても
X-1や、XD等、まあ、そこらへんでしょうが・・」
と思わず私は聞き返す。
マニアである私も、それらの一眼は一通り持っていたが、
XEまでは所有していなかった。
しかし開発に関わった彼が選んだシステムなのだから恐らく
それが最も正解だったのであろう、XEは「感触性能」に優れて
いるという事であったが、1990年代の私には、その性能を
正しく理解、評価することができず、結局、XDの両優先とか、
旗艦のX-1とか、見た目のスペックに走ってしまった訳だ(汗)
まあ、XEはマウントを変更して、ライカR3になったという事
からも、感触性能による高級感を持つカメラであったのだろう。
今から思うと、これを使っていなかったのはちょっと惜しい・・
さて、New MD 50/1.4であるが、特筆すべき性能は持って
いない、まあ、ごく普通の標準レンズという訳である。
ボケ質の破綻が生じる場合もあり、絞り値のコントロールには
神経を使う。最高シャッター速度1/4000秒、最低ISO100の
NEX-7であっても、晴天時には絞りを開けて使う事が出来なく
なる(シャッター速度オーバー)、減光フィルター(ND4/ND8)の
装着が望ましかったが、今回は持ってきていなかったので、
やむを得ない。
思えば、私もMF銀塩時代は、50/1.4のレンズを、最高シャッター
速度1/1000や、せいぜい1/2000秒のカメラで良く使っていた
なあ、と思う、ISO100のフィルムを使っても、絞りを開けることが
出来なかったではないか・・
そういえば、MF銀塩一眼レフを使うビギナーユーザーで、
白トビしている写真ばかりになっているケースも良く見かけた
「絞り優先で撮りなさい」と言われても、露出の概念を理解して
いなかっただろうから、50/1,4でシャッター速度オーバーの
まま使っていたのであろう。
ベテランやマニアであっても、いちいち標準レンズにNDなどを
装着している人はあまり見かけなかった。ただし、PLフィルターを
装着していた人は多かったので、PLフィルターを正しく使用すれば
最大2段(4分の1)相当の減光効果は得られたのであろう、
まあ、でも、PL(偏光)の仕組みを正しく理解して、ちゃんと
使用しているユーザーの比率は、ベテランであっても、あまり多く
なかったように思うし、もしかすると、そのころ良く言われていた、
「レンズは絞りを絞って使いなさい」という、良くわからない
アドバイスに従っていただけなのかも知れない。
(MTF値を向上させるメリットはあるが、作画表現が制限される)
さて、特徴の無いレンズに飽きてきたので(汗)NEX-7で
エフェクトを使用しはじめた、まあ、いざというときに、こういう
遊びが出来るカメラは、やはりオールドレンズ母艦としては
適していると思う。オールドといっても、面白いとか、良く写る
レンズばかりでは無いことも確かなのだ。
で、1990年代に、前述の元ミノルタ技術者の言葉を信じて、
私は、ミノルタ標準レンズは、MC系ばかりを集めていたのだ。
2000年代、デジタル時代になってしばらくは、ミノルタMD系
レンズは一眼レフ用のアダプターは作りづらく、活躍の場を
失っていたのだが、2010年代のミラーレス時代になってからは
MD系アダプターの製造が容易となり、このあたりのレンズも
揃って復活する事となった。
同じく2010年代、ちょっと前述したが、地方のカメラ店など
からの大量のMD一眼用レンズの流通が起こり、MCやMD系の
レンズが安価でよりどりみどりの状態になった。
その際、私は、これまであまり手を出していなかったMD系標準
も色々と入手、このNMD50/1.4も、その中の1本であり、
購入価格は、僅かに1000円であったのだ。
まあ、1000円でちゃんと写るレンズであれば、あまり文句は
言うまい、ちなみに、ジャンク標準レンズの流通は、現在
2016年ではほぼ止まっていて、整備されたB級品以上の品質
の中古が、だいたい相場として5000円~10000円の間で販売
されている、まあ、本レンズは、1万円も出す程のレンズでは無い
と思うので、もし購入する場合は、価格に注意する必要がある。
結局、色々と追加購入したので、ミノルタMF標準レンズは、
今7~8種類が手元ある、まあ、今後の記事でも順次紹介して
いく事にしよう。
さて、今回はこのあたりまで、次回シリーズ記事に続く・・