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レンズ・マニアックス(85)補足編~85mm/F1.8級レンズ

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今回記事は、第85回記事にちなみ、補足編として
「85mm/F1.8級レンズ」編とする。

まあ、「世間では、85mmと言えばF1.4級の製品が
もてはやされているが、F1.8級もなかなか良い」
という観点の記事だ。加えて「85mmと言えば
人物撮影用途という常識だが、何故そうなのか?
そして、本当にそれは正しいのか?」という点
についても検証をして行く事とする。

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まず、今回最初の85mm/F1.8レンズ。
(注:全て過去記事で紹介済みのレンズとなる)
_c0032138_19295072.jpg
レンズは、mEiKE (MK85F18EFAF) MK-85mm/f1.8
(Canon EOS AF)
(新品購入価格 23,000円)(以下、MK85/1.8)
カメラは、CANON EOS 8000D (APS-C機)

2018年後半頃に発売された中国製のCANON EFマウント
専用(他マウント版は無い)のAF中望遠レンズ。

レンズに記載されているロゴマークは「mEiKE」と
大文字小文字が混じったデザインであるが、以下は
「Meike」と記載する。
_c0032138_19295144.jpg
ちなみに、何故、EFマウント版しか発売されていないの
かは不明である。例えば、同じ中国製でYOUNGNUO社が
CANON EF85/1.8USMをUSM無しでコピーしたYN85/1.8を
さらにコピーしたものが本MK85/1.8か?と思いきや、
レンズ構成がEF&YNの7群9枚に対して、本MK85/1.8
は6群9枚、と異なる模様であり、結局本レンズが
何故CANON EF用しか無いのか?の理由にたどり着く
事は出来なかった。

そもそも2010年代後半からの、中国の深セン地区や
香港地区あたりで大発展している光学産業全般の
相関関係や提携関係は、複雑すぎて、外から見ている
だけでは想像ができない。つまり、メーカー名こそ
異なれど、製造設備や設計資源、部品等を色々と共用、
使いまわししているのではなかろうか?という予想だ。

一度、現地に行って確かめてみるのも良さそうだが、
なかなかそういう機会も無いし、そうこう考えていた
うちにコロナ禍になってしまったので、輸入される
製品を見て調べ、色々と研究するしか無い状態だ。

十数本のそうした中国製レンズを入手してみると、
それらの製造や設計のクセも色々とわかりかけていて、
深センや香港地区にある様々なメーカーの製品は
「Made In 深セン」と呼んでも良いような、一種の
共通項が見えかけてきている、つまり、何か共用の
リソース(=資源:人、モノ、設備、資本等)が
存在するのではなかろうか?という感じだ。

一方、LAOWA等のメーカーは、同じ中国製と言っても
独自性が強い製品が多い。調べると、こちらは深セン
が拠点では無い模様であり、自社の持つリソースを
活用している様相だ。

まあ、そのあたりはまだ「情報不足」で、これ以上
の詳細分析は難しい。
しかし、わかっている事は、一般的な初級マニア層が
言うような「しょせんは中華レンズだ、安かろう、
悪かろう」という評価は、まず、だいぶ的外れであり、
かつ、そのように十把ひとからげ的(=あれこれと
種類の違う物を、全て同一に扱う考え方)に、中国製
レンズを判断出来る筈も無い事は確かである。

でもまあ、本レンズの描写力は個人的に好みである。
Meikeのレンズは何本か所有してはいるが、その中
でも本MK85/1.8が、最大のお気に入りだ。
_c0032138_19295191.jpg
本レンズの母艦は、EOS 8000Dとする事が最近の
通例だ、AF/MF性能に劣る機体ではあるが、小型軽量で
操作系に優れ、少数だがエフェクト(クリエイティブ
フィルター)を搭載している。

システム構成上、ピント精度が、かなりヤバい状況
(ピンボケ頻発)ではあるが、高い描写力と引き換え
であり、趣味撮影の用途では申し分なく、イベント等
での参加者単独撮影の業務用途でも(AFが厳しいながら)
何度が出動した事のあるシステムである。

世間一般では、「人物撮影と言えば、85mm/F1.4の
レンズをフルサイズ機で使う」という常識が蔓延して
いるのだが、それはまあ特定の条件では有益なシステム
ではあるが、必ずしも全ての撮影条件で、そのシステム
が有効である保証はまるで無い。

特に、撮影状況が刻々と変化するようなイベントの
最中では、”85mm/F1.4+フルサイズ機”での
「じっくりと1人の被写体に対峙して、時間を
かけて最高の1枚を撮る」等といったシチュエーション
は得られない。

だから、85mm/F1.4級よりも歩留まり(成功確率)の
高い(安全な)85mm/F1.8級で、全体のシステムが
大げさにならない小型軽量セットで(つまり、大型
機材は、一般的な人物被写体に威圧感を与えるので
緊張されてしまう) かつ、APS-C機を使う事で
フルサイズ機での間合いよりも、やや離れた撮影距離
で(つまり、撮影可能な対象の幅の自由度が高まる)
ポートレート風の背景をボカした写真が撮れるシステム
(=今回のような組み合わせ)が、そういう場では
有益な訳だ。
これらは経験則だ、あれやこれやと人物撮影の経験を
持っていない初級中級層等においては「撮影会で美女を
撮るのだからフルサイズ機と85mm/F1.4でなければ・・」
という完全な思い込みでの機材選択になってしまう訳だ。
_c0032138_19295196.jpg
さて、肝心の本MK85/1.8の話がちっとも無いのだが、
今回のレンズは全て過去記事でも(複数回)紹介
済みであるし、かつ、85mm/F1.8級レンズは、
銀塩時代から現代に至る迄、たいていどれを買っても
非常に良く写り、場合により、同時代に併売されて
いる85mm/F1.4級レンズの描写力をも上回ったりする
ケースも多々あった。

まあ、それもその筈であり、全ての点で85mm/F1.4級が
優れるのであれば、メーカーとしては、85mm/F1.8級を
併売せず、さっさと生産中止としたら良い。
(注:近代のSIGMA等では、そうしている)
その方が、高い製品が売れて儲かる訳だし、余分な併売
製品ラインナップで、生産や販売の複雑化を招く必要も
無いので効率的だ。だが、そう(廃止)できないのは、
85mm/F1.8級に多数のメリットがあり、わかっている
ユーザー層であれば、それを必要とするニーズがある
からだ。

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では、2本目のレンズ。
_c0032138_19300232.jpg
レンズは、NIKON AiAF NIKKOR 85mm/f1.8D
(中古購入価格 23,000円)(以下、AiAF85/1.8)
カメラは、NIKON D500/NIKON D2H (APS-C機)

1994年発売の単焦点AF中望遠レンズ。
D型は距離エンコーダー内蔵という意味である。
_c0032138_19300237.jpg
距離エンコーダーは、フラッシュ(NIKONでは
スピードライトと呼ぶ)の調光精度を増し、また、
この時代での、3Dマルチパターン測光機能搭載の
銀塩一眼レフとの組み合わせでは、露出の精度が
増す「可能性」がある。

ここで「可能性」というのは、「露出」とは撮影者
の求める表現形態の一環であるから、機械(カメラ)
が提示する露出値が常に適正であるとは限らない。
「オレはもっとアンダー(暗い)露出で撮りたいんだ」
とか言ったカメラマン側の要望は、いくらでも存在する
訳であり、カメラの言うがままに撮る人は、ビギナー
層くらいのものだ。

だから、カメラが「こんな露出でいかがでしょう?」
という提案が、3D測光とD型レンズでは、より普遍的・
一般的に適正と思われる値を提示してくれるだけ
であり、D型レンズにそれ以上の効能は無い。

光学系は、ほとんどの場合、従前のAiAF~S型と
同等であるから、露出値が同じであれば、S型と
D型の写りは全く同じである。

銀塩時代の初級中級層では、この原理や効能を
理解できず、「D型は、さすがに最新型であって
良く写る、S型から買い換えて良かった!」などの
思い込み評価をする人達が大半であった。

もっとも、そういう風に意図的に誤解させるように
新製品を出せば、それが売れて、メーカーや流通側
としては儲かる訳だから、真実を誰も知らない方が
皆が幸せ(Win-Win関係)であった次第だ。

現代のデジタル時代においては、銀塩時代とは異なり
撮影後ただちに、あるいはライブビュー機能等で
撮影前にも露出値が確認できる。
よって、S型レンズであってもD型レンズであっても
どちらでも、カメラの提示する露出値が気に入らない
のであれば、その場で露出補正をかけるなりで
それを撮影者の意のままにコントロール可能だ。

銀塩時代であれば、撮影後にフィルムを現像して
プリントが上がってくるまで、露出値が適正か
どうかは、わかりようが無かったし、あるいは
ネガフィルムの場合は、プリント時に自動現像機
の自動輝度補正や、DPE店の店員の手動補正で
(平均)露出値が変わってしまった訳だから、
ともかく現代とは環境が全く違う訳だ。

で、銀塩時代の初級層であれば、カメラまかせや、
DPE店まかせで現像からプリント迄を行う訳だから、
D型の方がS型よりも露出が良く合ったかも知れない。
まあでも、いずれにしても、様々な条件が合致した、
たまたま、偶然、という状況であり、「D型レンズ
の方が良く写る」というのは完全な誤解である。
_c0032138_19300291.jpg
さて、本AiAF85/1.8だが、本レンズ入手以前の
銀塩時代末期で使用していたAiAF85/1.4が、
どうにも描写力や歩留まり(成功確率)に課題が
あると感じていて、F1.8級にダウングレードした
(あえて安価な製品に買い換えた)という話は
毎回の本レンズの紹介記事でも述べている通りだ。

買い替えは、たまたまである。当時の私も、まさか
「安い製品の方が優れている」などという考えを
持っていた訳はなかったからだ。
だが、本レンズの方がF1.4版よりも、全般的な実用性
に優れる事を知り「レンズの値段と性能は比例しない」
という事実を、初めて突きつけられる結果となった。

それ以降、たとえ同じメーカーの同じ時代の同じ
焦点距離のレンズであっても、大口径版と小口径版
が併売されている場合、その両者を入手する事に
ついて、全く厭わなくなった。それまでは、必ず
「大口径版の方が優れている、何故ならば高価だから
である」という(誤まった)論理で、大口径版
ばかりを買い続けていた訳だ。

大口径と小口径を同時に入手してみると、小口径版
の方が性能(あるいは実用性)に優れるケースが
多々ある事に気づいた。というか、大半がそのケース
であって、そこでふと思ったのは・・
「なるほどな、小口径版の方が優れるから、メーカー
 としても、両者を併売せざるを得ないのであろう。
 大口径版の圧勝ならば、それだけを売っていれば
 良い訳だからな・・・」
という論理であった。
これが恐らく真理(事実)であろう。

例えば、近代のSIGMA ART LINEでの、ほぼ全ての
単焦点レンズは、大口径版のみで小口径版は存在しない。
(35mm/F1.2と35mm/F1.4の並存は、事情があり例外)
これはまあ、大口径版が十分に高性能だから、
小口径版を並存させるのは、設計、製造、流通、販売、
販促等の全ての面で非効率的であるからだ。

余談が長くなったが、余談とも言い切れず、こうした
世の中の仕組みは、ユーザー側ではちゃんと理解して
おく必要がある。さも無いと、無駄に高価なだけの
商品を買わされる事となり、それは販売側に主導権
がある「ユーザー(消費者)の負け」状態となり、
個人的には、「それは最も戒めるべき消費行動だ」
と思っているからだ。
_c0032138_19300288.jpg
さて、本AiAF85/1.8であるが、2000年代を通じて
様々な実用(業務)人物撮影で活躍したレンズだ。
(上写真は、2000年代のNIKON D2Hを用いて撮影)
当時の母艦は、その全てがAPS-C機であったが、
「フルサイズ機で無いと85mmレンズは適正では無い」
という通説も、それが必ずしもそうとは言い切れない
事を体感する結果となった。

85mmの「画角」だけを重視するならば、より安価な
50mm/F1.4級レンズをAPS-C機で使っても十分だ。
画角も、画質も、コスパも、全て良好である。

現代において、本レンズは後継型のAF-S NIKKOR
85mm/f1.8G(2012年発売)となっている。
本レンズは6群6枚構成であるが、その最新型は
9群9枚だ。
時代も20年を経ているし、ずいぶんと光学系も
変化しているので興味はある、いずれ機会があれば、
そちらも入手するつもりである。

----
では、次の85mm/F1.8システム。
_c0032138_19300964.jpg
レンズは、YONGNUO YN 85mm/f1.8
(中古購入価格 14,000円)(以下、YN85/1.8)
カメラは、CANON EOS 7D MarkⅡ(APS-C機)

2017~2018年頃(?)に、発売された、中国製の
単焦点AF小口径中望遠レンズ。

CANON EF85/1.8 USM (1992年)の、コピー品
であるが、USM(超音波モーター)は搭載されて
いない。(恐らくはDCモーター仕様)
_c0032138_19300993.jpg
YONGNUOは、1990年代のCANON製EFマウント
のレンズの完全なコピー品を、35mm/F2、
50mm/F1.8、50mm/F1.4、85mm/F1.8、
100mm/F2の計5本を発売している。
私は、内4本を所有済みで、かつ2本はEF版の同
レンズを所有しており、それとの厳密な比較では
「全く同じレンズである」という印象だ。

完全に同じレンズを作れる理由は、個人的には
分析済みであるが、あまり公にして良い情報か
どうか?は微妙だ。個々に想像してもらえば良い
であろう。(だいたいは、他記事に書いてある)

さて、本YN85/1.8は、オリジナル版(EF85/1.8)
を所有していないので、それとの厳密な比較が
出来ない。ただ、他のレンズが全てコピー品で
あるから、本レンズもEF85/1.8と同じ写りであろう。

しかし超音波モーター(USM)を搭載していない事で、
シームレス(フルタイム)MF仕様となっていない。

正規の使い方では、AF/MF切換スイッチを用いるが、
裏技があり、それは、このスイッチがAFのままでも
ピントリングを廻して強制的にMFに移行できる。

「それなら、フルタイムMFと同じでは?」と
思うかも知れないが、あくまでこれは変則的な
用法だ。この操作を用いたい場合、まずAF合焦が
済んでなくてはならない(だからフルタイムMFとは
言えない)そして、そこからピントリングを廻した
としても、EOS機(一眼レフ)に備わる、フォーカス
エイドのマークは点灯したままである。
(つまり、カメラ側は、そこでAFが合ったまま、
という認識となっている)

これだと、シームレスにMFとしても、MFでピント
が合っているかどうかに確信が持てない。
さらには、AEとの連動等にも、課題が出てくる
リスクもある。
あくまで、この用法は「変則的である」と認識
しておくのが良いであろう。想定外の用法で
カメラやレンズが不調になってしまっても、それは
あくまで自己責任だ。マニア層であれば、こうした
「オウンリスク」の概念は誰でも持っている。

AF/MFの(切換の)弱点を除き、まあまあ良く
写るレンズである。
_c0032138_19300933.jpg
ちなみに、オリジナルのEF85/1.8USMを購入して
いなかった理由は、上位のEF85/1.2L USM(1989)
を所有していたからだ。普通は上位機種を持って
いれば下位機種は不要だと思うのだが・・
しかし、そのレンズは大きく重く高価な「三重苦」
に加え、描写力やMF仕様に多大な課題を抱えていて、
「コスパが壊滅的に悪い」と見なしている。
私は、数十本の85mmレンズを所有しているが、
そのレンズは残念ながら「最も嫌いな85mm」と
なってしまっている。

まあそういう状況で、前述のNIKON AiAF85/1.4
→AiAF85/1.8へのダウングレードの例もあるが、

何度も同じ事を繰り返すのも癪(しゃく)なので、
EF85/1.8USMを買う事を、ずっと保留していた
次第だ。
結局、ずいぶんと時代が過ぎて、本レンズYN85/1.8
を購入した事で、EF85mmレンズに係わるわだかまり
が、やっと解消した事になる。

----
では、4本目のシステム。
_c0032138_19301698.jpg
レンズは、smc PENTAX-FA 77mm/f1.8 Limited
(新品購入価格 74,000円)(以下、FA77/1.8)
カメラは、PENTAX KP/K10D(APS-C機)

2000年発売の変則焦点距離AF中望遠レンズ。
本ブログでの通称は「ナナナナ」だ。

本レンズは85mm/F1.8では無いが、購入後は
ずっと「85mm/F1.8と同クラス、同一用途」
という感覚で使用を続けている。
_c0032138_19302696.jpg
本ブログでは、過去、非常に多数の記事で紹介
していて、いわずと知れた名玉「ナナナナ」だが、
まあ、2000年代~2010年代前半迄の時代での
「最強・最高傑作レンズ」であろう。
過去記事「ミラーレス・マニアックス名玉編」
では、第1位の栄冠に輝いている。

いまさら、本レンズの話をしても冗長なので、
少し視点を変えよう。

まず、77mmと85mmは、どれだけ違うのか?
という話だが、例えば、人物撮影を想定して、
銀塩又はフルサイズ機で、撮影距離が1.5mで
カメラを縦位置に構えた場合、だいたい半身像
撮影となるが、その場合の縦の撮影範囲は、
77mm=約70cm
85mm=約63cm
と、およそ10%程度、異なる事となる。

単焦点レンズであれば、この程度の差異は、
あまり気にならないであろう。フットワークで
撮影距離を微妙に変えれば良いだけの話だ。
むしろ、カメラ毎に異なるファインダーの視野率
(%で仕様表記)の差の方が気になり、カメラを
構えている時には、それでぴったりと思って
いても、微妙に周辺構図に空白が出たりする。

さらに困った事には、銀塩(35mm判)機、および
デジタル一眼レフでのデフォルト・アスペクト
(縦横比)は、2:3であるが、それは写真にそう
写る、という話であり、人物撮影(等)でそれを
印画紙やフォトペーパーに印刷・プリントする際
六つ切りや四つ切(あるいは、A4やA3)の
いずれの場合でも、縦横比が2:3では無いのだ。
具体的に縦横比の数字を上げる(少数以下2桁迄)

写真本体=1:1.50(2:3)
六つ切り=1:1.25
四つ切り=1:1.20
ワイド四=1:1.44
A4/A3等 =1:1.41
(参考:4/3機、μ4/3機、デジタルコンパクト機
等では、1:1.33(3:4)比率がデフォルトだ)

まあ、このように、写真本体と印刷媒体は必ず
と言って良い程に縦横比が異なっている。

よって、いかに「ファインダー視野率100%」の
高級機で厳密に構図を決めてシャッターを切ったと
しても、いざ、その写真をDPE店(の本格印刷機)
等でプリントする際に・・
「あれ、上下が切れてしまうなぁ(注:縦位置)
 しかし、上下をぴったり合わせると、左右に
 余白が出来てしまうよ・・(汗)」
という状況に確実に陥る。

結局、この問題は絶対に解決する事が出来ず、
もう、上下等が切れてしまう事を容認するか、
印画紙等を本来の縦横比以外に切断するか、
あるいは撮影時に人物等の周囲に構図上での
十分な余白を持って撮るしか無いのだ。

その課題があるので、85mmレンズよりも10%程
の余白を作り易い(画角が広い)、本FA77/1.8が

(フルサイズでもAPS-C機でも)若干ながら
プリント(印刷)納品用途には、使いやすさを
感じていた次第である。

ここまでの話は、本FA77/1.8とは、あまり関係
が無いとは言えるが・・ 冠婚葬祭の撮影等で
印刷納品が必要な場合には、必ず問題となる話
なので、覚えておいても損は無いであろう。
(下写真は、PENTAX K10Dとの組み合わせで
撮影。ただし、1:1.33比率にトリミング済み)
_c0032138_19485686.jpg
(注:PENTAX K10Dでは、ファインダー映像と
構図が僅かにずれてしまう問題が良く発生した。
機体固有の問題(準故障)かも知れないが、他機
でも起こるケースもあるかもしれず、上記の印刷
比率との差異問題も関係し、かなりややこしい)

本FA77/1.8だが、まあ、つい最近までは最強の
レンズであったと思うが、発売後十数年を経過
した2010年代後半からは、新鋭レンズと比較した
場合に、あるいはローパスレスの高画素機等と
組み合わせた場合での解像感の低さ等が、段々と
気になるようになってきた。まあすなわち、古い
レンズであるから「仕様老朽化寿命」が来ている
状態であり、周囲の新製品の性能が、どんどんと
上がって来ているので、たとえ、ある時代に
どんなに優れた製品(レンズやカメラ)であって
かつ、それが、今なお完動品であったとしても、
周囲の新製品に比べて見劣りして、使いたくなく
なってしまう現象である。
後継用途(レンズ)については、だいたい目処が
ついている、本記事のラストで紹介しよう。

(追記:本レンズは、2021年、およそ20年
ぶりに、後継のHD型にリニューアルされているが
レンズ構成自体には旧型からの変更は無い)

----
では、5本目の85mm/F1.8レンズ。
_c0032138_19303101.jpg
レンズは、VILTROX PFU RBMH 85mm/f1.8 (VM8518E)
(中古購入価格 15,000円)(以下、VM8518E)
カメラは、SONY α7S(フルサイズ機)

2019年に発売された中国製のフルサイズ対応MF
中望遠レンズ。

AF版も存在しているが、ずいぶんと安価な本MF版
で中古購入した。(注:値段は販売店の付け間違い
かも知れない。中古流通の前例が無い機種では、
いくらにすべきか、良くわからないだろうからだ)

まあ、比較的被写界深度の浅い85mm級単焦点では、
AFの精度は、基本的にはあまり期待が出来ないから、
MFのレンズでも実用上では殆ど問題無い。
_c0032138_19303185.jpg
で、これまで紹介して来た85mm/F1.8級レンズ
でも、AFレンズでありながらもMFでの使用頻度が
とても高かったのだ。特に、カメラのAF精度が
低い時代(例:1990年代の銀塩AF一眼レフや
2010年代前半のミラーレス機)においては、
精密ピント合わせ型レンズ(大口径単焦点や
マクロレンズ等)を使用する際は、MFで使う事が
システムの弱点回避上、必須の技法であったのだ。

さて、本レンズも新鋭機であるので、中国製とは
言え、あまり描写力上の不満は無い。

ここからは視点を変えた説明を交えていくが・・
まず、そもそも、何故、85mm=ポートレート、
という常識が定着してしまったのであろうか?

まあ、私の解釈としては・・
「異性を撮る場合が多いポートレート撮影に
 おいて、人間が見知らぬ他人に対して本能的に
 警戒する距離(パーソナル・スペース)という
 ものが存在している。それは基本的にはおよそ
 70cm程度であるが、人物と撮影者の親密度等に
 よっても変化する。よって業務撮影等で初見の 
(赤の他人の)場合には、およそ1m程度以上の
 距離を開けないとならず、85mmレンズであれば
 最短撮影距離がおよそ1m程度であり問題無い。
 さらには、標準レンズ以下の焦点距離のレンズ
 では、パースペクティブ(遠近感)が肉眼より
 少しづつ強調されて行き、人物のフォルムが
 変化してしまうので、それを避ける意味でも
 85mm程度のレンズは適正だ。」
・・・という感じだ。

(注:コロナ禍での「ソーシャル・ディスタンス」
の概念の浸透から、上記の「パーソナル・スペース」
の概念は、現代では、そぐわなくなってきている)

まあ、理屈の上ではそうなる。
ただ、私が気になっているのは、銀塩時代の
1970年代前後であろうか・・? 交換レンズの
販売促進の為に、メーカーや流通市場が、こぞって

28mm=風景、35mm=スナップ、50mm=汎用、
85mm=人物、といった風に、レンズの焦点距離別
の用途を決め付けるように広めた歴史があった。

まあ、1970年代では(注:現代でもか?)
カメラを買った入門層は、カメラの付属レンズ
(=キットレンズ。1970年代では「50mm単焦点」
であり、現代では大半の場合は「標準ズーム」だ)
を使うだけで、他の交換レンズは一切買わない。
その理由は、「高いから」と「(種類が多すぎて)
どれを買ったら良いのか、わからないから」である。

値段はともかく「どれを買ったら良いかわからない」
という課題に対応する為に、レンズ別に用途を提唱
した市場(販売)戦略であった。

優れた販売戦略だとは思う、だけど効果が大きすぎた。
それから半世紀が経つのに、いまだにビギナー層や
ベテラン層等では、上記の、レンズ焦点距離毎の
被写体の定義を、頑なに守ろうとしているのだ。

勿論、写真は「表現」であるから、どの焦点距離の
レンズを、どのような目的に使っても問題は無い。
むしろ、焦点距離別の用途を定めてしまう事の方が
写真表現上での「制約」が極めて大きい状態だ。

で、結局、1970年代から現代に至るまで、
85mmレンズの新製品のレビューや紹介記事等では
美人の職業モデル等を雇って、それを撮って
「良く写るレンズですね、はい、オシマイ」という
判で押したような、一様なレビュー記事ばかりだ。

それでは、モデルさんの魅力を紹介する記事に
しかならず、レンズの性能やら長所短所やらは
さっぱり参考にならない。まあ元々、他人の評価等は
写真を撮る目的も用途もスキルも価値観も何もかも
異なるわけだから、全く参考になる筈も無いのだが、
それにしても、美人を撮って、それでおしまい、では
いかにも情報価値が無さ過ぎる。

(まあ、かく言う私も、その昔に、展示会や品評会
等での作品提出に困った際に、美人を撮ってオシマイ
と、お茶を濁した事が良くあった(汗)そういう写真
を出せば、その作品性・表現性等を問われる事が無く、
被写体の魅力で「誤魔化してしまう」事が出来るからだ)

で、85mm=ポートレート、と、そういう状況(常識)
が何十年も続いていて、少々辟易している為、
近年では私は、85mmレンズで人物写真を撮る事を
殆どしなくなってしまっている。そういう没個性な
行為とか、思い込みばかりの考え方に対し、反発心が
強くなって来たからだ。
_c0032138_19303570.jpg
本レンズVM8518Eの話が出来ていないが、安価で
比較的良く写るレンズで、コスパがかなり良い。
フルサイズEマウント機(α7/α7S等)で使用した
場合、僅かな周辺減光、および後玉反射による
僅かなゴーストが発生する場合があるが、
気にしないか、またはEマウントAPS-C機で使用
すれば、問題点は回避可能である。

---
では、次は今回ラストの85mm/F1.8レンズ
_c0032138_19305261.jpg
レンズは、TAMRON SP 85mm/f1.8 Di VC USD(Model F016)
(新古品購入価格 70,000円)(以下、SP85/1.8)
カメラは、NIKON Df (フルサイズ機)

2016年に発売された、単焦点AF中望遠レンズ。
手ブレ補正内蔵は、85mmレンズとしては初であるが、
そこは、さほど重要な事では無い。
そもそも口径比が明るい中望遠レンズは、ほとんど
絞り値は開放近くで使用するだろうから、よほどの
暗所等の撮影でなければ手ブレは起こりようが無い。
その事は、他社SIGMA ART LINEの大口径レンズ群が
いずれも手ブレ補正を内蔵していない事でも実例がある。
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手ブレ補正や超音波モーターを内蔵する理由の1つ
として「定価を値上げしたいから」と言う意図がある。
だが、それは売り手側の都合であるし、それが購買層に
とって主導権を無くしている(売り手の勝ちの状態)で
ある事は、特にビギナー層では強く認識する必要がある。

何故ならば、多くのビギナー層では「超音波モーター
が入っていなければ、ピンボケ写真を連発して、格好が
悪い。手ブレ補正機能が入っていないと、ブレブレ写真
となって、周囲の人達に笑われてしまう・・」といった
「被害妄想」を強く持っていて、その為に、そうした
付加機能の搭載されたレンズを欲しがるからだ。
中級レベルにステップアップしたいのであれば、
まずは「機材の性能に頼る」という発想を捨てないと
ならない、そこは鉄則だ。

そんな事よりも、注目すべきは、本レンズの持つ
「非常に高い描写力」であろう。
だが、それもまたビギナー層には、なかなか理解
出来ない。何故ならば、ビギナー層等の論理では、
「85mmといったら、普通はF1.4だよね?
 F1.8の85mmなんぞ、廉価版で低性能な安物だから
 良く写る筈が無い!」と、極めて重大な誤解を
しているからである。

その、誤まった論理を持っている初級中級層には
本レンズは売れない。そして、そういう誤解を
持たない上級層では、85mm級レンズの1本や
2本は所有しているだろうから、やはり売れない。

結局、哀れ、本レンズは、その高い描写表現力を
知られる事も無く、不人気商品となり、発売後
2年程してから在庫処分の新古品が安価に沢山
中古市場に出回り、さらに2年程後では、中古相場
も大きく下落している。
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しかしながら、本SP85/1.8の描写力はホンモノだ。
前述の、名玉「ナナナナ」(FA77/1.8)が、高い
描写力を誇りながらも、「仕様的老朽化」により
近年、あるいは近い将来での使用が、だんだんと
厳しくなって来ている事に対しての「実用的な
後継レンズ」として、私は本SP85/1.8を捉えている。

だから、相場が下落した本レンズの中古品を
購入する事は、極めてコスパが良い状態となる。
弱点は、NIKON Fマウント品では電磁絞り使用
(NIKONでのE型レンズ相当)であるので、NIKON機
以外のシステムでの使用が困難な事だ。

NIKON機でしか使えないのでは、汎用性が欠けるし、
操作性・操作系・MF性能・エフェクト機能等に劣る
NIKON機で使うのも、様々な制限事項となる。
つまり、せっかくの高描写表現力レンズだから、
様々な他社機で使えない状態は、極めて勿体が無い。

まあ、機会があれば、SONY Aマウント版あたりを
買い増ししておこうか?とも思っている。そちらで
あれば、SONYの一眼レフとミラーレス機でも使える
為、汎用性が高く、各社の機体における個々の付加
機能も利用できるので望ましい。
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今回の記事中では、FA77/1.8と本SP85/1.8のみが
マニア層のみならず、初級中級層にも推奨できる
レンズではあるが、「どうせ買うならば、F1.4の
85mmが欲しいよね」という論理になるだろうから、
ビギナー層等が、それらのレンズを買う事は、まず
有り得ないであろう。まあ、それはそれでも良い、
わかる人だけが買えば良いレンズであるからだ。

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さて、今回の補足編「85mm/F1.8級編」記事は、
このあたり迄で。次回記事に続く。


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