所有している古いデジタルカメラ(オールドデジタル機)
を時代とカテゴリーで分類し紹介していくシリーズ記事。
また、本シリーズ記事を通じての裏のテーマとして、
「何故、オールドデジタルカメラは不人気なのか?」
という分析や研究内容も多く含まれている。
今回は「ミラーレス編(3)」とし、紹介機は、
2012年~2014年の期間に発売されたミラーレス機
を5台とする。
装着レンズは、同時代(2010年代中頃)に発売
された、ミラーレス機用/汎用レンズを選択する。
その他、記事を進めるにあたり、様々な取り決めが
あるが、詳しくは本シリーズ第1回記事を参照の事。
---
では、今回最初のオールド・ミラーレス機。
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カメラは、PENTAX K-01 (APS-C機)
(2012年発売、発売時実勢価格約6万円)
(中古購入価格 17,000円)
紹介記事:ミラーレス・クラッシックス第9回
及びデジタル一眼レフ・クラッシックス第14回等
レンズは、smc PENTAX-DA 35mm/f2.4AL
(オーダーカラー品、Kマウント一眼レフ用)
(2010年より発売)を使用する。
本機K-01は、非常に特異なミラーレス機であり、
一眼レフ用(KAF2)マウントを、ミラーレス機に転用
した例は、後にも先にも本機K-01のみである。
この機体の特異さについては、いくら文章を書いても
語りきれるものでは無く、過去に3度も特集記事を書いて
いるくらいだ。
(最も新しい記事として、ミラーレス・クラッシックス
第9回記事をあげておく)
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このK-01の特殊性や存在自体に価値を感じれる一部の
マニア層のみに推奨できる機体であり、これを通常の
「カメラ」としてしか評価する事ができない一般層
(残念ながら、そういう初級評価情報が、ほぼ全てだ)
には、「いっさい非推奨」といった、そういう点でも
極めて特異な機体である。
さて、今回のシリーズ記事も中盤に差し掛かり、
そろそろ、本シリーズ開始当初からのテーマ群に
言及していく必要があるだろう。
具体的に、それらを再度挙げてみれば
*オールドレンズは人気があるのに、何故
オールド(デジタル)カメラは不人気なのか?
*オールドデジカメは、本当に性能が低いのか?
*何故オールドデジカメを使い続けるのか?
これらについて分析を纏めていくのだが、どれも
難しいテーマだと思う。まあ、個人的な見解は当然
あるのだが、誰にも同じ事が当てはまる訳では無い。
一般的な考え方、私の考え方、その他の考え方、の
ように、複数の視点が必要なのだろうと思う。
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記事中、カメラ(ミラーレス機)の紹介を続けながら
適宜、この話題を混ぜていこう。まずは・・
<なぜ、オールドレンズは人気があるのか?>
最初に「オールドレンズとは?」という定義が
必要だろう。これも難しいが、私の見解(感覚)では、
固有のレンズの事を指すのでは無く、時代によりけり
だと解釈している。近年の私の定義では、
オールドレンズ=
現時点から30~40年以上前に製造されたレンズ
と仮定している。現在、2020年代前半であれば
それは1980年代前半より以前の時代であり、これは
丁度、「銀塩MF時代」である。
ご存知、1980年代後半からはカメラやレンズはAF化
された訳だから、”それ以前のマニュアルフォーカス
時代のレンズである”とすれば、しっくりくる。
ただ、いつの時代でも「銀塩時代のマニュアル
フォーカスのレンズがオールドレンズだ」という
定義は成り立ち難い。
具体的には、1990年代後半の第一次中古カメラ
ブームの時代においては、1980年代のMFレンズ等は
マニア層において「バリバリの現役レンズ」であった
から、それを「オールドレンズだ」と呼ぶ事は皆無
であった。この1990年代でのオールドレンズとは、
やはり、その時代よりも遡る事30~40年以上前の
1950年代~1960年代の、レンジファインダー機用
や、初期一眼レフ用のレンズを「オールドレンズ」
と言っていた。
また、2010年代後半においては、中古店等において
1980年代後半(約30年前)の、初期AFレンズの
中古相場が下落していた。
つまり、それらに人気や実用価値がなくなりかけて
いた訳であり、この価値観の流れは、時代とともに、
少しづつだが、続く時代のレンズを「オールドレンズ」
と見なすようになって行く訳だ。
もう一度「オールドレンズ」の定義をしなおそう。
今(2020年代前半)の時代では、オールドレンズとは
1980年代前半以前の、銀塩(フィルム)カメラ用
MF(マニュアルフォーカス)レンズ、という定義で
ぴったりであるが、現代も含め、これ以降やそれ以前
の時代においては、だいたいだが「その時代よりも
30~40年以上前に製造されたレンズ」という感覚
が正解だと思う。
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ちなみに、私は以下の定義もしている
準オールドレンズ、セミ・オールドレンズ=
だいたいだが、四半世紀(25年間)程度、古い
時代に製造されたレンズ。
現代においては、1990年代前半頃のAFレンズが
これにあたる。
で、これらのオールドレンズが人気であるのは、既に
様々な、市場での情報や分析があるので、そのあたり
からの定番な意見を集約すれば・・
*現代のレンズには無い、個性的な写りをする
*Hi-Fiだけでは無く、時にLo-Fiであり、その特徴が
「懐かしい、ノスタルジック」等の映像表現を出し易い
*安価であり、買い易い
*クラッシックなデザインが格好良い
*ファッションや志向性として主張がしやすい
・・あたりが定番な理由だが、ここでは、もう少しだけ、
うがった(ひねくれた)心理分析を追加しておこう
*現代のレンズで他者と同じように撮ったら、上手な人
との腕前の差が出てしまう。オールドレンズであれば
下手な事をごまかせるし、いざとなれば、レンズの
性能が低い事を責任にしてしまえば良い。
*高価なレンズは経済的に買えないが、お金が無い事を
公言するのは格好が悪い。安価なオールドレンズならば
買えるし、それでマニア(通)っぽっく見られるから、
それならば格好がつく。
あたりである。まあ、追加した裏の理由を表立って言う
ユーザー層は居ないだろうが、それが「深層心理・真相の
心理」である事は、十分すぎる程に有り得る話だ。
さて、話の途中だが、ここで紹介機を交替する。
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では、2台目のオールド・ミラーレス機。
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カメラは、SONY α7 (フルサイズ機)
(2013年発売、発売時実勢価格約15万円)
(中古購入価格 72,000円)
紹介記事:ミラーレス・クラッシックス第13回
レンズは、SIGMA 70mm/f2.8 DG MACRO | Art
(2018年発売)を使用する。
本機SONY α7位の時代となると、もう「オールド
カメラ」という(市場)感覚も少ないであろう。
α7系機体は、2010年代後半における定番カメラ
であり、ユーザー層も多いので「現役機」という
印象や価値感覚もあると思う。
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そして、「幸か不幸か」なのだが、近代のSONY機
全般(特に、α7/9型機)で、段階的性能付加戦略
を取っており、次の後継機種と、大きく雰囲気が
変わった、という印象を受けにくくなっている。
α7/9型機の一部や、α6000シリーズ、さらには
コンパクト機RXシリーズでは旧型機が併売される
場合も多く、これはつまり、「全員が新型機に
買い換えてもらわないでも良いです、古い機種でも
僅かに性能が劣るだけで、十分に使えます。
新規購入者の方は、どの機体でも、ご予算に応じて
よりどりみどりですよ・・・」という状態であり、
製品の「ライフサイクル」(開発し発売してから
生産完了となるまでの期間)を伸ばし、開発費等の
償却を推進する効果が(まず)あるのだと思われる。
だから、α7は、Ⅱ型~Ⅳ型が出ていたとは言え、
「初代」を見ても、さほどの「古さ」は感じ難い。
消費者が感じるのは、「初代機は、手ブレ補正機能
も無いし、連写も弱いしなあ・・」といった、
スペック上での差異だけである。
だから、そのスペック(付加価値)が全て欲しいと
思うならば、新型機(当然、高価だ)を買わざるを
得ない訳だ。付加価値とは、消費者から見て商品の
魅力であるが、製造・販売側からすれば、値段が高い
(=利益の根幹)事への理由や大義名分な訳だ。
実際、初級中級層が、そのスペックの差異を見て
しまえば、普通は、新しい方を買うに決まっている。
つまり、例えば手ブレ補正機能が無かったら、上手く
撮れる自信(やスキル)を持っていないからだ。
この時代において、CANONやNIKONといった一眼
レフ・メーカーでは、最上位機、高級機、上級機、
中級機、初級機、入門機、という風に、実に6段階
もの製品ラインナップを組んでいた。これも同様に、
スペックの差異を意図的に設け、消費者層の目線を
上へ上へと誘導し、できるだけ高額なカメラを買って
もらう為の製品戦略である。(この時代、一眼レフの
販売数は、スマホやミラーレス機に押されて、大きく
縮退(減少)していたので、一眼レフの販売数が
少なくなっても、利益で稼がないと、メーカーや
流通はビジネスをやっていられなくなってしまう)
その戦略に見事に乗せられた、この時代(2010年代)
の消費者層は、皆、高級機または最上位機を買った。
だからこの時代、そうした上位機種のユーザーは、
殆どがビギナー層になってしまい、その腕前と
使用機材の価格が、完全に反比例する世情となった。
(つまり、ピカピカの新鋭機を使っているのは
スキルの低いビギナー層ばかり、という状況)
また、下位機種は、誰も欲しいと思わずに、中古
相場が数年で暴落した。私も、それら初級機等は
価格が安価なので何台か購入し、デジタル一眼レフ
クラッシックス記事等で、上位機との差異を詳しく
分析して紹介している。
で、このCANONやNIKONの(一眼レフ)製品戦略
には、大きな弱点が存在する。
一種の「捨て駒」となった下位機種群の開発費が
馬鹿にならないのだ、そして勿論、あまり売れない。
数年でこの戦略は崩壊し、2010年代後半頃からは
こうして上位機から下位機まで6段階もの段階的
ラインナップを組む事は出来なくなってしまった。
結局、2010年代後半では、売れ筋(・・というか、
最も利益率が高い)である上位機種をポツポツと
新発売する程度に留まり、「それでも一眼レフ市場
は限界がある」と見た二大メーカーは、いずれも
2018年からはフルサイズミラーレス機を新発売し
消費者層の目線を、新しい、それらに向ける戦略
を取った。しかし、高価すぎるそれらは、当初は
必ずしも商業的に成功したとは言えないであろう。
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そして、この時代のSONY αの戦略では「旧機種を、
その”捨て駒”とする」である。
これはαに限らず、コンパクト機のSONY DSC-RX
シリーズにおいて特に顕著だ。
例えばRX100シリーズでは、初代RX100(2012年)
から、毎年のようにM2,M3,M4・・等の新製品が
出ているが、旧型機はディスコン(生産完了)
にはならずに併売された。したがって、店頭では
時代の異なる何機種もがズラリと並んでいるのだが、
勿論、微妙にスペックの差があり、当然ながら
新しいカメラほどスペックが優れていて、高価だ。
ここで消費者層は、同時代のCANONやNIKONの
一眼レフでの場合と同様に、スペックを見比べて、
「どうせ買うならば、一番新しくて、一番性能の
優れたものを買うよ」という結論に至る訳だ。
この時、SONYでは旧機種を「捨て駒」にして
いるのだが、それらは、以前の時代では最新機種
であったから、それはそれで売り上げに貢献して
いた訳であり、開発費等が無駄になっていない。
(これはRXシリーズに限らず、αシリーズの一部、
例えばα6000シリーズや、α系Ⅱ~Ⅳ型機でも
同様な方式である)
まあ、結局のところ、これらの製品戦略の差で、
「SONY αシリーズの1人勝ち」という世情が
2010年代後半の様相となってしまった。
ただし、ここで1つ重要なポイントがある。
それは「本当に、スペックの優れた最新型機
で無いと、写真は上手く撮れないのか?」という
単純な話(疑問)だ。
まあ、そうでは無いであろう、だから旧型機を
SONYは販売継続している。旧型機でもカメラは
カメラであり、写真を撮るという行為に不足を
感じる訳では無い。
不足を感じるのは、消費者層が持つ、自身のスキル
に対する不安の方だ。
つまり「手ブレ補正機能が入っていなければ、
ワタシの腕前では、手ブレ写真を連発して周囲から
笑われてしまう」といった、自信の無さや脅迫観念
だけな訳だ。
これが、「オールドカメラを使えない」あるいは
「オールドデジカメは人気が無い」という世情での、
その理由の分析の1つとなる。
話の途中だが、ここでまたカメラを変更する。
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さて、3台目のオールド・ミラーレス機。
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カメラは、FUJIFILM X-T1 Graphite Silver Edition
(APS-C機)
(2014年発売、発売時実勢価格約17万円)
(中古購入価格 68,000円)
紹介記事:ミラーレス・クラッシックス第15回
レンズは、FUJIFILM FUJINON (LENS) XF60mm/f2.4
R Macro (2012年発売)を使用する。
本機以前に使用していたFUJIFILM X-E1(2012年)
が、FUJI最初期のミラーレス機であったが故に
完成度が低く、AF/MF性能に致命的な課題を持って
いた事から、X-E1を早期に使い潰し(=減価償却
ルールを完了させ)、実用機として買い増しを
行ったのが、本機X-T1(の特別塗装バージョン)
である。
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像面位相差AF搭載で、X-E1の時代でのAF問題は
だいぶ改善されたが、今度は「操作系」の課題が
襲ってきてしまった。
X-T1は、アナログ操作子を持つ格好良いカメラでは
あるが、デジタル撮影において、アナログ操作子を
有効に活用できるほどの「操作系の概念設計」が、
残念ながら出来ていない。
この問題は本機X-T1の前年に発売されたNIKON Df
(本シリーズ第7回記事、デジタル一眼第17回記事)
でも同様であり、両機とも、我慢の限度を超える
程の、使い難いカメラである。
ただ、そのあたりの使い難さは市場(世間一般)
では、あまり問題にはなっていない。
前項α7のところで説明したが、近代の世情では
DfやX-T1といった上位機を欲しがって買うのは
ビギナー層(注:これらの機体は、アナログ機の
雰囲気があるからシニア層やマニア層にも人気だ)
ばかりとなってしまっている事、そして、初級層の
撮影技法では、カメラの細かい設定を一切行わないで
フルオート(全自動撮影モード)のままで撮っている。
それは、私も上位機を使っている人を見かけると
話を聞いたり、カメラのモードダイヤル設定を
チラリと見る等をして判断をしている事実であり、
下手をすれば、上位機のAFの合焦音を「ピピッ」と
鳴らしている人すらもいる(その音を出しているのは、
超ビギナー層だけであり、中級層はもとより、初級層
でもOFFにしている。勿論、合焦音が出ただけでは
所望する測距点にピントが合っている保証は無いし、
そもそも周囲に迷惑だし、ビギナーのように見られて
格好も悪いからだ。→それらを知らないから初心者だ)
だから、DfやX-T1の「操作系」の使い難さは
市場では話題にはならない。まあそうだろう、誰も
カメラの複雑な設定などは使っていないからだ。
SONY機でも同様、高度な操作系を持つNEX-7(2012年)
は、結局誰もそれを使いこなせず、続くα7系では
安易な操作系にダウングレードされてしまっている。
つまり「難しい事は誰も出来ないから」と解釈されて
製品企画がレベルダウンしてしまったわけだ。
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話はちょっと変わって実際の所、オールド(デジタル)
カメラを使う上では、細かいカメラ設定にも、十分に
配慮する必要がある。
例えば、古いデジタルカメラでは、ISO感度を少しでも
上げると急激にノイズが増えたり、あるいはISO感度
と連動して連写等の性能が低下する機種すらある。
また、露出補正をちゃんと掛けないと古いデジカメの
撮像センサーや画像処理エンジンでは、しっかりした
写りにならない。(他にも色々と例があるが割愛する)
この為、古い(デジタル)カメラであれば古いほどに、
複雑な、いや頻繁すぎるほどのカメラ設定操作が必須と
なる訳であり、操作性や操作系の仕様が(デジタルカメラ
全体において)不十分である事とあいまって、あるいは
これらのデジタルの原理が初級中級層にとって難解で
ある事も加わり、恐ろしく高度なカメラ/撮影スキルが
要求されてしまう事が、オールドデジカメでの課題だ。
だから、初級中級層等が、オールドデジカメを手に
したとしても、まずその性能を発揮する事は出来ない。
何も工夫せずに、カメラの言うがままに撮っていたら
「やはり古いデジカメは酷いな、発色は悪いし、
ノイズは出るし、ブレやピンボケも起こり易い・・」
という評価だけで終わってしまう訳だ。
でも実際は違う、オールド(デジタル)カメラでも、
設定をちゃんと整え、適正な撮影技法を用いれば、
多くの場合、発色もノイズもブレやピント精度も
問題にはならない。
だけど、それが出来ないユーザーが、ほぼ全てなので
結局、「オールド(デジタル)カメラは、低性能だ」
という評価から、不人気となってしまう訳だ。
まあ、実際には低性能なオールドカメラも存在している
そういう場合は、低性能である事を逆手に取って、
「Lo-Fi(低画質表現)母艦」としてしまう用法も
本シリーズ記事では色々と紹介している。
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そして、ここで課題となるのは、現代における初級中級
層が、いずれも「写真は高画質でなければならない」
という、強い思い込みを持って(持たされて)いる事だ。
これが、必ずしもそうとは限らない事は、さんざん本
シリーズや他記事でも書いてきたのだが、残念ながら
それを理解できる人は、世の中全体の僅かでしかなく、
そういう少数派意見は、現代の情報化社会では他数派
意見の中で埋もれてしまう。
つまり、ネット等の普及で、情報のやりとり自体が
多くはなっているが、その情報価値を自ら判断できない
人達は、他人の意見や情報に容易に流されてしまい、
例えば一極集中化現象を引き起こす。(その例として、
グルメ店に行列が出来たり、デマに惑わされてトイレット
ペーパーや、うがい薬を買占めしたりする訳だ)
世の中には、正しい情報ばかりが流れている訳ではなく
むしろその大半が、誤まった情報か、または意図的に
情報操作(誘導)を行うケースすら多々ある。
だから、必ず、その情報の真偽や価値は、ユーザーや
消費者が自分自身で判断しなければならない。
カメラやレンズでも同様だ、ネットの評判を見て購入を
決める等は、最もやってはならない事だ。
自身で判断できないならば、判断できるようにスキルを
高めるしかないではないか・・ その間に、ハズレの
商品を掴まされてしまったとしても、それは授業料だ。
でもそれは、その商品自体が悪いものだとは限らないで
あろう、今の世の中にある商品の大半は、ちゃんと
考えて作られているので、単に購入者(消費者)が
その商品企画に満足できなかっただけの状態だ。
よって、何がハズれなのか?何が自身の用途や目的には
合わなかったのか? そこを考えるのが本筋であろう。
その経験を積むことで、モノ(商品)の価値判断が
出来るようになっていく。
本ブログでは、沢山のカメラ関連機材を評価紹介して
いるが、その目的は、大半が自分自身の為の研究だ。
つまり、ここでは研究ノートを公開しているのに過ぎない。
そこには、こういう考え方で、こういう風に評価している
という評価の手法やプロセスも記載されている訳であり
これは読者もまた、自分なりの機材評価の価値感覚を
作り上げていく上で、参考になるかも知れない、という
視点である。
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さて、4台目のオールド・ミラーレス機。
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カメラは、OLYMPUS OM-D E-M1 (μ4/3機)
(2013年発売、発売時実勢価格約14万5000円)
(中古購入価格 43,000円)
紹介記事:ミラーレス・クラッシックス第14回
レンズは、安原製作所 MOMO 100 (28mm/f6.4)
(2016年発売、軟焦点レンズ)を使用する。
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本機は、一眼レフ陣営の「フルサイズ化戦略」
(2012年頃~)に対抗し、μ4/3機であっても
プロユース(≒業務撮影や本格的撮影)に使える
事を証明するが為の(あるいは、そういう方向性
を今後のμ4/3機に与える為の)超本格機であり
この当時に考えられる、ありとあらゆる機能や
性能を「てんこ盛り」とした高性能機体である。
ただ、残念ながら、まだ本格的撮影に耐えられる
レベルに少しだけ至っていない点が1つ目の課題。
2つ目の課題は、SONY α7シリーズと同時期発売
になってしまった点だ。
一眼レフ陣営が「フルサイズは良い」と言い続けた
世情である。背景としてフルサイズセンサー部品の
製造の歩留まりが向上し、コストダウンされた時代
だから、安価になった部品を高価なカメラとして
売れるならば、一眼レフ陣営は助かる訳だ。
だが、SONY α7では、「フルサイズは良い」と
言われていた世情を逆手に取り、「フルサイズで
軽量なミラーレス機はもっと良い」という新たな
市場での価値観をアピールした訳だ。
まあ、各社にセンサー部品を供給している立場の
SONYであるから、このあたりの市場戦略の実施や
そのタイミングについては「確信犯」であろう。
よって、本機OM-D E-M1の市場戦略はトーンダウン
してしまい、後年には不人気となり、中古相場も
大きく下落した。まあ個人的には、性能に対して
中古価格が安価な本機は、「かなりコスパが良い」
と評価している。
結局のところ、時代であるとか、市場であるとか、
世情とか、流されている情報とか、そういう理由で、
カメラの人気(や販売数や相場)は変わってしまう。
これは、カメラ自体の性能の良し悪しや実用性とは、
あまり関係の無い話だ。
よってカメラ(やレンズ)の価値を自身で判断でき
さらに、それを自身で使う目的もはっきり把握して
あって、かつ、こうした市場や世情の状況の理由から
ある意味「不当に不人気な」製品等が理解できる
のであれば、それは相当にお買い得な、コスパの
良い買い物となる訳だ。
別に、撮影機材に弱点があっても良いでは無いか。
それを理解でき、かつ、それを弱点にはしないような
用法が出来たり(例:AF性能に劣ったカメラには
パンフォーカスレンズを装着すれば何ら問題は無い)
その弱点を回避するスキルがあれば(例:手ブレ補正
機能が無いシステムでも、AUTO ISO低速限界の機能を
正しく設定活用できれば、手ブレ補正の代用となる)
その機材の弱点は、問題では無くなる訳だ。
(=「弱点相殺型システム」)
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で、オールドデジカメというのは、時代による技術的な
未成熟から、弱点や性能の低さが現れる場合がある。
それの弱点を正しく見抜き、それを回避する用法や
技能(スキル)があるならば、オールドデジタルカメラ
であっても、大きな問題点にはならず、快適に使用する
事ができたり、あるいは、その弱点すらもまた、逆に
現代機には無い長所としての利用すらも可能である。
(例:2000年代各社デジカメでの、通称「オリンパス・
ブルー」の発色傾向は、現代機では殆ど見られない)
これは、私が「オールドデジカメを使い続ける理由」
の1つとなっている。まだ他にも理由はあるが、追々
説明していく事としよう。
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では、今回ラストのオールド・ミラーレス機。
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カメラは、PANASONIC DMC-GX7 (μ4/3機)
(2013年発売、発売時実勢価格約10万3000円)
(中古購入価格 29,000円)
紹介記事:ミラーレス・クラッシックス第12回
レンズは、(Kenko) TOKINA Reflex 300mm/f6.3
MF MACRO (2012年発売)を使用する。
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GX7は、DMC-GX1(2011年)の後継機であるが、
GX1発売時に、他の同社Gシリーズ機では、型番が
3や5にまで進んでいたので、「古い機種か?」と
誤解されてしまった節がある。よってGX1の後継機
では、GX2~GX6を全てパスして、他のGシリーズ機
と型番番号を合わせたGX7が、次の機体となった。
本機GX7はレンジ機風の外観を持つEVF搭載機であり
中身のスペックは、他のGシリーズを上回る高性能
機で、マニア層やシニア層をターゲットとした
機体であろう。当時のPANASONICは、シリーズ毎に
ユーザー・ターゲットを変えて、市場からの反応を
探っていた(テストマーケティング)様相がある。
その結果、後継機のGX8(2015年)が出た後では、
人気のあったGX7は、Panasonicとしては異例の
(つまり他シリーズ機では全て型番の数字が進む)
DMC-GX7MK2(2016)、DC-GX7MK3(2018)と
同一型番機でのバージョンアップ戦略を取る。
ただ、これらのMK2、MK3機体は、何故か、必ずしも
前機種の性能やスペックを上回っていた訳ではなく、
スペックダウンしてしまった様相もあり・・
(その理由は価格帯のコストダウンもあっただろう。
GX7が10万円以上の発売時実勢価格と高価であった
のが、MK2で約9万円と一旦下げ、またMK3で10万円
となった)・・そのスペックダウンにより、後継機
には個人的には興味が持てず、ずっと初代のGX7の
ままで使い続けている。
まあ、実は、このあたりも私が「オールドデジカメ
を使い続ける理由」の1つにもなっている訳だ。
つまり、2010年代は本格派デジタルカメラの市場が
スマホやミーラレス機に押されて縮退してしまった
事は何度も説明してきた通りの歴史であるが、ここで
安価なカメラを売っていたら、メーカーや流通は
儲けが出ずに厳しい。だから高付加価値化で値上げを
するか、または性能を絞って、値段を維持するか
その両者のいずれかしか取り得ない。
新規にカメラを購入する消費者層、つまりエントリー
(入門)層であれば、カメラを欲しいと思った時点で
量販店に行ったり、価格サイトや通販サイトで現代の
カメラを調べて購入する訳なのだが・・
従前のカメラの事を知っている中上級層やマニア層
では、カメラが大きく値上がりしてしまった状況を
理解しているから、新型機のコスパを、とんでも無く
悪くにしか感じない。よって、新型機を買い控えし、
できるだけ長く、古い時代のカメラを使い続けよう
とする訳だ。だが、それでも「仕様老朽化寿命」の
問題があるから、あまりに周囲の新型機に比べて
見劣りするスペックのカメラは使いたくなくなり、
ある時点で新型機に買い替え/買い増しをせざるを
得なくなる。
だけど、その買い替え時期は、入門層や初級層より
確実に遅くなる。すぐに新機種を買う必要性が無い
から、時間がたって新品販売価格が下がった頃や、
または中古で、それを買えば良い訳だ。
この状況も、前述のように「ピカピカの新型機を
使っているのは、見事なまでにビギナー層ばかり」
という不自然な状況に直結してしまう訳だ。
実は、1990年代中頃でも同様な世情があり、
バブル崩壊や阪神淡路大震災の影響で、魅力的な
新型機が発売されず、新鋭機を買っているのは
殆どがビギナー層ばかりとなった。それらと同列に
見られるのを嫌ったマニア層等を中心に、その後
一大「第一次中古カメラブーム」が起こった訳だ。
古い時代のカメラを使う事は、ビギナー層には無理
な為に、「それが格好良い」という新たな認識が、
この1990年代後半に発生した訳である。
ただ、だからといって、現代において、オールド
デジタルカメラブームが起こる事は、まず無いと
思われる。それは、銀塩時代であれば、古いカメラ
例えば、NIKON F2やF3、ライカM3やM6、
CANON New F-1とかいった機種でも、十分に
実用範囲であったからだ。
(・・だと、一般層でも見なす事ができた。すなわち
銀塩カメラは言い方は悪いが、単なるフィルムを入れる
箱であるから、一般的な撮影技能を持つユーザー層で
あれば、古いカメラでも使いこなす事はできた訳だ)
だが、現代、オールドデジタルカメラを使いこなす事
は、銀塩時代のオールドカメラの場合よりも困難だ。
たとえ上級マニア層であったとしても、デジタル
一眼レフ第0~第1世代(2000年頃~2005年頃)の
オールド機を使いこなす事は、まず困難であろう。
現代機の高性能に慣れきってしまっていれば、それら
オールドデジカメは、とてつもなく不便であり、利用者
の言う事も一切聞かない頑固オヤジ(?)のカメラ群だ。
これを好んで使う事はまず無いし、銀塩カメラブーム
の時のように「古いカメラを使いこなす事は格好良い」
という風潮(価値観)すら出て来る事は無いであろう。
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ただ、僅かにその(ブーム化)可能性はある。なにせ
現代の新鋭機は高価すぎるし、本シリーズ記事で紹介
しているようなオールド(デジタル)カメラにおいては
2000年代デジタル一眼レフや、初期(2010年前後)の
ミラーレス機は、まさしく二束三文の中古相場なのだ。
これらを入手し「お、意外に、今でも使えるじゃん」
という感覚を持てるのであれば、あるいは使いこなす
スキルがあるならば、これは、とてもコスパが良い
買い物となるだろうし、それが「格好良い事」と
ユーザーや、その周囲の意識が変化していく可能性も
なきにしもあらず、だからだ。
(追記:コロナ禍以降、中古カメラ市場も非常に
厳しくなり、旧型機を二束三文で店頭やWeb上に
並べることはしなくなった。それを安価に売っても
儲からないからであろう。現代では、旧型機を入手
する事自体が、少々難しい状況だ)
まあ、ごく僅かだが、オールド・デジカメを志向する
中上級マニアも居て、そうした古い時代のカメラを
評価し「意外に使える」と述べている情報も見かける。
オールド・デジカメの分析はまだまだ続くが、残りの
本シリーズ記事の範疇で、他のテーマ等についても
纏めていく事にしよう。
----
では、今回の「オールド・デジカメ(8)」編は、
このあたり迄で、次回記事に続く。
を時代とカテゴリーで分類し紹介していくシリーズ記事。
また、本シリーズ記事を通じての裏のテーマとして、
「何故、オールドデジタルカメラは不人気なのか?」
という分析や研究内容も多く含まれている。
今回は「ミラーレス編(3)」とし、紹介機は、
2012年~2014年の期間に発売されたミラーレス機
を5台とする。
装着レンズは、同時代(2010年代中頃)に発売
された、ミラーレス機用/汎用レンズを選択する。
その他、記事を進めるにあたり、様々な取り決めが
あるが、詳しくは本シリーズ第1回記事を参照の事。
---
では、今回最初のオールド・ミラーレス機。
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(2012年発売、発売時実勢価格約6万円)
(中古購入価格 17,000円)
紹介記事:ミラーレス・クラッシックス第9回
及びデジタル一眼レフ・クラッシックス第14回等
レンズは、smc PENTAX-DA 35mm/f2.4AL
(オーダーカラー品、Kマウント一眼レフ用)
(2010年より発売)を使用する。
本機K-01は、非常に特異なミラーレス機であり、
一眼レフ用(KAF2)マウントを、ミラーレス機に転用
した例は、後にも先にも本機K-01のみである。
この機体の特異さについては、いくら文章を書いても
語りきれるものでは無く、過去に3度も特集記事を書いて
いるくらいだ。
(最も新しい記事として、ミラーレス・クラッシックス
第9回記事をあげておく)
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マニア層のみに推奨できる機体であり、これを通常の
「カメラ」としてしか評価する事ができない一般層
(残念ながら、そういう初級評価情報が、ほぼ全てだ)
には、「いっさい非推奨」といった、そういう点でも
極めて特異な機体である。
さて、今回のシリーズ記事も中盤に差し掛かり、
そろそろ、本シリーズ開始当初からのテーマ群に
言及していく必要があるだろう。
具体的に、それらを再度挙げてみれば
*オールドレンズは人気があるのに、何故
オールド(デジタル)カメラは不人気なのか?
*オールドデジカメは、本当に性能が低いのか?
*何故オールドデジカメを使い続けるのか?
これらについて分析を纏めていくのだが、どれも
難しいテーマだと思う。まあ、個人的な見解は当然
あるのだが、誰にも同じ事が当てはまる訳では無い。
一般的な考え方、私の考え方、その他の考え方、の
ように、複数の視点が必要なのだろうと思う。
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適宜、この話題を混ぜていこう。まずは・・
<なぜ、オールドレンズは人気があるのか?>
最初に「オールドレンズとは?」という定義が
必要だろう。これも難しいが、私の見解(感覚)では、
固有のレンズの事を指すのでは無く、時代によりけり
だと解釈している。近年の私の定義では、
オールドレンズ=
現時点から30~40年以上前に製造されたレンズ
と仮定している。現在、2020年代前半であれば
それは1980年代前半より以前の時代であり、これは
丁度、「銀塩MF時代」である。
ご存知、1980年代後半からはカメラやレンズはAF化
された訳だから、”それ以前のマニュアルフォーカス
時代のレンズである”とすれば、しっくりくる。
ただ、いつの時代でも「銀塩時代のマニュアル
フォーカスのレンズがオールドレンズだ」という
定義は成り立ち難い。
具体的には、1990年代後半の第一次中古カメラ
ブームの時代においては、1980年代のMFレンズ等は
マニア層において「バリバリの現役レンズ」であった
から、それを「オールドレンズだ」と呼ぶ事は皆無
であった。この1990年代でのオールドレンズとは、
やはり、その時代よりも遡る事30~40年以上前の
1950年代~1960年代の、レンジファインダー機用
や、初期一眼レフ用のレンズを「オールドレンズ」
と言っていた。
また、2010年代後半においては、中古店等において
1980年代後半(約30年前)の、初期AFレンズの
中古相場が下落していた。
つまり、それらに人気や実用価値がなくなりかけて
いた訳であり、この価値観の流れは、時代とともに、
少しづつだが、続く時代のレンズを「オールドレンズ」
と見なすようになって行く訳だ。
もう一度「オールドレンズ」の定義をしなおそう。
今(2020年代前半)の時代では、オールドレンズとは
1980年代前半以前の、銀塩(フィルム)カメラ用
MF(マニュアルフォーカス)レンズ、という定義で
ぴったりであるが、現代も含め、これ以降やそれ以前
の時代においては、だいたいだが「その時代よりも
30~40年以上前に製造されたレンズ」という感覚
が正解だと思う。
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準オールドレンズ、セミ・オールドレンズ=
だいたいだが、四半世紀(25年間)程度、古い
時代に製造されたレンズ。
現代においては、1990年代前半頃のAFレンズが
これにあたる。
で、これらのオールドレンズが人気であるのは、既に
様々な、市場での情報や分析があるので、そのあたり
からの定番な意見を集約すれば・・
*現代のレンズには無い、個性的な写りをする
*Hi-Fiだけでは無く、時にLo-Fiであり、その特徴が
「懐かしい、ノスタルジック」等の映像表現を出し易い
*安価であり、買い易い
*クラッシックなデザインが格好良い
*ファッションや志向性として主張がしやすい
・・あたりが定番な理由だが、ここでは、もう少しだけ、
うがった(ひねくれた)心理分析を追加しておこう
*現代のレンズで他者と同じように撮ったら、上手な人
との腕前の差が出てしまう。オールドレンズであれば
下手な事をごまかせるし、いざとなれば、レンズの
性能が低い事を責任にしてしまえば良い。
*高価なレンズは経済的に買えないが、お金が無い事を
公言するのは格好が悪い。安価なオールドレンズならば
買えるし、それでマニア(通)っぽっく見られるから、
それならば格好がつく。
あたりである。まあ、追加した裏の理由を表立って言う
ユーザー層は居ないだろうが、それが「深層心理・真相の
心理」である事は、十分すぎる程に有り得る話だ。
さて、話の途中だが、ここで紹介機を交替する。
----
では、2台目のオールド・ミラーレス機。
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(2013年発売、発売時実勢価格約15万円)
(中古購入価格 72,000円)
紹介記事:ミラーレス・クラッシックス第13回
レンズは、SIGMA 70mm/f2.8 DG MACRO | Art
(2018年発売)を使用する。
本機SONY α7位の時代となると、もう「オールド
カメラ」という(市場)感覚も少ないであろう。
α7系機体は、2010年代後半における定番カメラ
であり、ユーザー層も多いので「現役機」という
印象や価値感覚もあると思う。
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全般(特に、α7/9型機)で、段階的性能付加戦略
を取っており、次の後継機種と、大きく雰囲気が
変わった、という印象を受けにくくなっている。
α7/9型機の一部や、α6000シリーズ、さらには
コンパクト機RXシリーズでは旧型機が併売される
場合も多く、これはつまり、「全員が新型機に
買い換えてもらわないでも良いです、古い機種でも
僅かに性能が劣るだけで、十分に使えます。
新規購入者の方は、どの機体でも、ご予算に応じて
よりどりみどりですよ・・・」という状態であり、
製品の「ライフサイクル」(開発し発売してから
生産完了となるまでの期間)を伸ばし、開発費等の
償却を推進する効果が(まず)あるのだと思われる。
だから、α7は、Ⅱ型~Ⅳ型が出ていたとは言え、
「初代」を見ても、さほどの「古さ」は感じ難い。
消費者が感じるのは、「初代機は、手ブレ補正機能
も無いし、連写も弱いしなあ・・」といった、
スペック上での差異だけである。
だから、そのスペック(付加価値)が全て欲しいと
思うならば、新型機(当然、高価だ)を買わざるを
得ない訳だ。付加価値とは、消費者から見て商品の
魅力であるが、製造・販売側からすれば、値段が高い
(=利益の根幹)事への理由や大義名分な訳だ。
実際、初級中級層が、そのスペックの差異を見て
しまえば、普通は、新しい方を買うに決まっている。
つまり、例えば手ブレ補正機能が無かったら、上手く
撮れる自信(やスキル)を持っていないからだ。
この時代において、CANONやNIKONといった一眼
レフ・メーカーでは、最上位機、高級機、上級機、
中級機、初級機、入門機、という風に、実に6段階
もの製品ラインナップを組んでいた。これも同様に、
スペックの差異を意図的に設け、消費者層の目線を
上へ上へと誘導し、できるだけ高額なカメラを買って
もらう為の製品戦略である。(この時代、一眼レフの
販売数は、スマホやミラーレス機に押されて、大きく
縮退(減少)していたので、一眼レフの販売数が
少なくなっても、利益で稼がないと、メーカーや
流通はビジネスをやっていられなくなってしまう)
その戦略に見事に乗せられた、この時代(2010年代)
の消費者層は、皆、高級機または最上位機を買った。
だからこの時代、そうした上位機種のユーザーは、
殆どがビギナー層になってしまい、その腕前と
使用機材の価格が、完全に反比例する世情となった。
(つまり、ピカピカの新鋭機を使っているのは
スキルの低いビギナー層ばかり、という状況)
また、下位機種は、誰も欲しいと思わずに、中古
相場が数年で暴落した。私も、それら初級機等は
価格が安価なので何台か購入し、デジタル一眼レフ
クラッシックス記事等で、上位機との差異を詳しく
分析して紹介している。
で、このCANONやNIKONの(一眼レフ)製品戦略
には、大きな弱点が存在する。
一種の「捨て駒」となった下位機種群の開発費が
馬鹿にならないのだ、そして勿論、あまり売れない。
数年でこの戦略は崩壊し、2010年代後半頃からは
こうして上位機から下位機まで6段階もの段階的
ラインナップを組む事は出来なくなってしまった。
結局、2010年代後半では、売れ筋(・・というか、
最も利益率が高い)である上位機種をポツポツと
新発売する程度に留まり、「それでも一眼レフ市場
は限界がある」と見た二大メーカーは、いずれも
2018年からはフルサイズミラーレス機を新発売し
消費者層の目線を、新しい、それらに向ける戦略
を取った。しかし、高価すぎるそれらは、当初は
必ずしも商業的に成功したとは言えないであろう。
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その”捨て駒”とする」である。
これはαに限らず、コンパクト機のSONY DSC-RX
シリーズにおいて特に顕著だ。
例えばRX100シリーズでは、初代RX100(2012年)
から、毎年のようにM2,M3,M4・・等の新製品が
出ているが、旧型機はディスコン(生産完了)
にはならずに併売された。したがって、店頭では
時代の異なる何機種もがズラリと並んでいるのだが、
勿論、微妙にスペックの差があり、当然ながら
新しいカメラほどスペックが優れていて、高価だ。
ここで消費者層は、同時代のCANONやNIKONの
一眼レフでの場合と同様に、スペックを見比べて、
「どうせ買うならば、一番新しくて、一番性能の
優れたものを買うよ」という結論に至る訳だ。
この時、SONYでは旧機種を「捨て駒」にして
いるのだが、それらは、以前の時代では最新機種
であったから、それはそれで売り上げに貢献して
いた訳であり、開発費等が無駄になっていない。
(これはRXシリーズに限らず、αシリーズの一部、
例えばα6000シリーズや、α系Ⅱ~Ⅳ型機でも
同様な方式である)
まあ、結局のところ、これらの製品戦略の差で、
「SONY αシリーズの1人勝ち」という世情が
2010年代後半の様相となってしまった。
ただし、ここで1つ重要なポイントがある。
それは「本当に、スペックの優れた最新型機
で無いと、写真は上手く撮れないのか?」という
単純な話(疑問)だ。
まあ、そうでは無いであろう、だから旧型機を
SONYは販売継続している。旧型機でもカメラは
カメラであり、写真を撮るという行為に不足を
感じる訳では無い。
不足を感じるのは、消費者層が持つ、自身のスキル
に対する不安の方だ。
つまり「手ブレ補正機能が入っていなければ、
ワタシの腕前では、手ブレ写真を連発して周囲から
笑われてしまう」といった、自信の無さや脅迫観念
だけな訳だ。
これが、「オールドカメラを使えない」あるいは
「オールドデジカメは人気が無い」という世情での、
その理由の分析の1つとなる。
話の途中だが、ここでまたカメラを変更する。
----
さて、3台目のオールド・ミラーレス機。
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(APS-C機)
(2014年発売、発売時実勢価格約17万円)
(中古購入価格 68,000円)
紹介記事:ミラーレス・クラッシックス第15回
レンズは、FUJIFILM FUJINON (LENS) XF60mm/f2.4
R Macro (2012年発売)を使用する。
本機以前に使用していたFUJIFILM X-E1(2012年)
が、FUJI最初期のミラーレス機であったが故に
完成度が低く、AF/MF性能に致命的な課題を持って
いた事から、X-E1を早期に使い潰し(=減価償却
ルールを完了させ)、実用機として買い増しを
行ったのが、本機X-T1(の特別塗装バージョン)
である。
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だいぶ改善されたが、今度は「操作系」の課題が
襲ってきてしまった。
X-T1は、アナログ操作子を持つ格好良いカメラでは
あるが、デジタル撮影において、アナログ操作子を
有効に活用できるほどの「操作系の概念設計」が、
残念ながら出来ていない。
この問題は本機X-T1の前年に発売されたNIKON Df
(本シリーズ第7回記事、デジタル一眼第17回記事)
でも同様であり、両機とも、我慢の限度を超える
程の、使い難いカメラである。
ただ、そのあたりの使い難さは市場(世間一般)
では、あまり問題にはなっていない。
前項α7のところで説明したが、近代の世情では
DfやX-T1といった上位機を欲しがって買うのは
ビギナー層(注:これらの機体は、アナログ機の
雰囲気があるからシニア層やマニア層にも人気だ)
ばかりとなってしまっている事、そして、初級層の
撮影技法では、カメラの細かい設定を一切行わないで
フルオート(全自動撮影モード)のままで撮っている。
それは、私も上位機を使っている人を見かけると
話を聞いたり、カメラのモードダイヤル設定を
チラリと見る等をして判断をしている事実であり、
下手をすれば、上位機のAFの合焦音を「ピピッ」と
鳴らしている人すらもいる(その音を出しているのは、
超ビギナー層だけであり、中級層はもとより、初級層
でもOFFにしている。勿論、合焦音が出ただけでは
所望する測距点にピントが合っている保証は無いし、
そもそも周囲に迷惑だし、ビギナーのように見られて
格好も悪いからだ。→それらを知らないから初心者だ)
だから、DfやX-T1の「操作系」の使い難さは
市場では話題にはならない。まあそうだろう、誰も
カメラの複雑な設定などは使っていないからだ。
SONY機でも同様、高度な操作系を持つNEX-7(2012年)
は、結局誰もそれを使いこなせず、続くα7系では
安易な操作系にダウングレードされてしまっている。
つまり「難しい事は誰も出来ないから」と解釈されて
製品企画がレベルダウンしてしまったわけだ。
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カメラを使う上では、細かいカメラ設定にも、十分に
配慮する必要がある。
例えば、古いデジタルカメラでは、ISO感度を少しでも
上げると急激にノイズが増えたり、あるいはISO感度
と連動して連写等の性能が低下する機種すらある。
また、露出補正をちゃんと掛けないと古いデジカメの
撮像センサーや画像処理エンジンでは、しっかりした
写りにならない。(他にも色々と例があるが割愛する)
この為、古い(デジタル)カメラであれば古いほどに、
複雑な、いや頻繁すぎるほどのカメラ設定操作が必須と
なる訳であり、操作性や操作系の仕様が(デジタルカメラ
全体において)不十分である事とあいまって、あるいは
これらのデジタルの原理が初級中級層にとって難解で
ある事も加わり、恐ろしく高度なカメラ/撮影スキルが
要求されてしまう事が、オールドデジカメでの課題だ。
だから、初級中級層等が、オールドデジカメを手に
したとしても、まずその性能を発揮する事は出来ない。
何も工夫せずに、カメラの言うがままに撮っていたら
「やはり古いデジカメは酷いな、発色は悪いし、
ノイズは出るし、ブレやピンボケも起こり易い・・」
という評価だけで終わってしまう訳だ。
でも実際は違う、オールド(デジタル)カメラでも、
設定をちゃんと整え、適正な撮影技法を用いれば、
多くの場合、発色もノイズもブレやピント精度も
問題にはならない。
だけど、それが出来ないユーザーが、ほぼ全てなので
結局、「オールド(デジタル)カメラは、低性能だ」
という評価から、不人気となってしまう訳だ。
まあ、実際には低性能なオールドカメラも存在している
そういう場合は、低性能である事を逆手に取って、
「Lo-Fi(低画質表現)母艦」としてしまう用法も
本シリーズ記事では色々と紹介している。
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層が、いずれも「写真は高画質でなければならない」
という、強い思い込みを持って(持たされて)いる事だ。
これが、必ずしもそうとは限らない事は、さんざん本
シリーズや他記事でも書いてきたのだが、残念ながら
それを理解できる人は、世の中全体の僅かでしかなく、
そういう少数派意見は、現代の情報化社会では他数派
意見の中で埋もれてしまう。
つまり、ネット等の普及で、情報のやりとり自体が
多くはなっているが、その情報価値を自ら判断できない
人達は、他人の意見や情報に容易に流されてしまい、
例えば一極集中化現象を引き起こす。(その例として、
グルメ店に行列が出来たり、デマに惑わされてトイレット
ペーパーや、うがい薬を買占めしたりする訳だ)
世の中には、正しい情報ばかりが流れている訳ではなく
むしろその大半が、誤まった情報か、または意図的に
情報操作(誘導)を行うケースすら多々ある。
だから、必ず、その情報の真偽や価値は、ユーザーや
消費者が自分自身で判断しなければならない。
カメラやレンズでも同様だ、ネットの評判を見て購入を
決める等は、最もやってはならない事だ。
自身で判断できないならば、判断できるようにスキルを
高めるしかないではないか・・ その間に、ハズレの
商品を掴まされてしまったとしても、それは授業料だ。
でもそれは、その商品自体が悪いものだとは限らないで
あろう、今の世の中にある商品の大半は、ちゃんと
考えて作られているので、単に購入者(消費者)が
その商品企画に満足できなかっただけの状態だ。
よって、何がハズれなのか?何が自身の用途や目的には
合わなかったのか? そこを考えるのが本筋であろう。
その経験を積むことで、モノ(商品)の価値判断が
出来るようになっていく。
本ブログでは、沢山のカメラ関連機材を評価紹介して
いるが、その目的は、大半が自分自身の為の研究だ。
つまり、ここでは研究ノートを公開しているのに過ぎない。
そこには、こういう考え方で、こういう風に評価している
という評価の手法やプロセスも記載されている訳であり
これは読者もまた、自分なりの機材評価の価値感覚を
作り上げていく上で、参考になるかも知れない、という
視点である。
----
さて、4台目のオールド・ミラーレス機。
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(2013年発売、発売時実勢価格約14万5000円)
(中古購入価格 43,000円)
紹介記事:ミラーレス・クラッシックス第14回
レンズは、安原製作所 MOMO 100 (28mm/f6.4)
(2016年発売、軟焦点レンズ)を使用する。
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(2012年頃~)に対抗し、μ4/3機であっても
プロユース(≒業務撮影や本格的撮影)に使える
事を証明するが為の(あるいは、そういう方向性
を今後のμ4/3機に与える為の)超本格機であり
この当時に考えられる、ありとあらゆる機能や
性能を「てんこ盛り」とした高性能機体である。
ただ、残念ながら、まだ本格的撮影に耐えられる
レベルに少しだけ至っていない点が1つ目の課題。
2つ目の課題は、SONY α7シリーズと同時期発売
になってしまった点だ。
一眼レフ陣営が「フルサイズは良い」と言い続けた
世情である。背景としてフルサイズセンサー部品の
製造の歩留まりが向上し、コストダウンされた時代
だから、安価になった部品を高価なカメラとして
売れるならば、一眼レフ陣営は助かる訳だ。
だが、SONY α7では、「フルサイズは良い」と
言われていた世情を逆手に取り、「フルサイズで
軽量なミラーレス機はもっと良い」という新たな
市場での価値観をアピールした訳だ。
まあ、各社にセンサー部品を供給している立場の
SONYであるから、このあたりの市場戦略の実施や
そのタイミングについては「確信犯」であろう。
よって、本機OM-D E-M1の市場戦略はトーンダウン
してしまい、後年には不人気となり、中古相場も
大きく下落した。まあ個人的には、性能に対して
中古価格が安価な本機は、「かなりコスパが良い」
と評価している。
結局のところ、時代であるとか、市場であるとか、
世情とか、流されている情報とか、そういう理由で、
カメラの人気(や販売数や相場)は変わってしまう。
これは、カメラ自体の性能の良し悪しや実用性とは、
あまり関係の無い話だ。
よってカメラ(やレンズ)の価値を自身で判断でき
さらに、それを自身で使う目的もはっきり把握して
あって、かつ、こうした市場や世情の状況の理由から
ある意味「不当に不人気な」製品等が理解できる
のであれば、それは相当にお買い得な、コスパの
良い買い物となる訳だ。
別に、撮影機材に弱点があっても良いでは無いか。
それを理解でき、かつ、それを弱点にはしないような
用法が出来たり(例:AF性能に劣ったカメラには
パンフォーカスレンズを装着すれば何ら問題は無い)
その弱点を回避するスキルがあれば(例:手ブレ補正
機能が無いシステムでも、AUTO ISO低速限界の機能を
正しく設定活用できれば、手ブレ補正の代用となる)
その機材の弱点は、問題では無くなる訳だ。
(=「弱点相殺型システム」)
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未成熟から、弱点や性能の低さが現れる場合がある。
それの弱点を正しく見抜き、それを回避する用法や
技能(スキル)があるならば、オールドデジタルカメラ
であっても、大きな問題点にはならず、快適に使用する
事ができたり、あるいは、その弱点すらもまた、逆に
現代機には無い長所としての利用すらも可能である。
(例:2000年代各社デジカメでの、通称「オリンパス・
ブルー」の発色傾向は、現代機では殆ど見られない)
これは、私が「オールドデジカメを使い続ける理由」
の1つとなっている。まだ他にも理由はあるが、追々
説明していく事としよう。
----
では、今回ラストのオールド・ミラーレス機。
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(2013年発売、発売時実勢価格約10万3000円)
(中古購入価格 29,000円)
紹介記事:ミラーレス・クラッシックス第12回
レンズは、(Kenko) TOKINA Reflex 300mm/f6.3
MF MACRO (2012年発売)を使用する。
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GX1発売時に、他の同社Gシリーズ機では、型番が
3や5にまで進んでいたので、「古い機種か?」と
誤解されてしまった節がある。よってGX1の後継機
では、GX2~GX6を全てパスして、他のGシリーズ機
と型番番号を合わせたGX7が、次の機体となった。
本機GX7はレンジ機風の外観を持つEVF搭載機であり
中身のスペックは、他のGシリーズを上回る高性能
機で、マニア層やシニア層をターゲットとした
機体であろう。当時のPANASONICは、シリーズ毎に
ユーザー・ターゲットを変えて、市場からの反応を
探っていた(テストマーケティング)様相がある。
その結果、後継機のGX8(2015年)が出た後では、
人気のあったGX7は、Panasonicとしては異例の
(つまり他シリーズ機では全て型番の数字が進む)
DMC-GX7MK2(2016)、DC-GX7MK3(2018)と
同一型番機でのバージョンアップ戦略を取る。
ただ、これらのMK2、MK3機体は、何故か、必ずしも
前機種の性能やスペックを上回っていた訳ではなく、
スペックダウンしてしまった様相もあり・・
(その理由は価格帯のコストダウンもあっただろう。
GX7が10万円以上の発売時実勢価格と高価であった
のが、MK2で約9万円と一旦下げ、またMK3で10万円
となった)・・そのスペックダウンにより、後継機
には個人的には興味が持てず、ずっと初代のGX7の
ままで使い続けている。
まあ、実は、このあたりも私が「オールドデジカメ
を使い続ける理由」の1つにもなっている訳だ。
つまり、2010年代は本格派デジタルカメラの市場が
スマホやミーラレス機に押されて縮退してしまった
事は何度も説明してきた通りの歴史であるが、ここで
安価なカメラを売っていたら、メーカーや流通は
儲けが出ずに厳しい。だから高付加価値化で値上げを
するか、または性能を絞って、値段を維持するか
その両者のいずれかしか取り得ない。
新規にカメラを購入する消費者層、つまりエントリー
(入門)層であれば、カメラを欲しいと思った時点で
量販店に行ったり、価格サイトや通販サイトで現代の
カメラを調べて購入する訳なのだが・・
従前のカメラの事を知っている中上級層やマニア層
では、カメラが大きく値上がりしてしまった状況を
理解しているから、新型機のコスパを、とんでも無く
悪くにしか感じない。よって、新型機を買い控えし、
できるだけ長く、古い時代のカメラを使い続けよう
とする訳だ。だが、それでも「仕様老朽化寿命」の
問題があるから、あまりに周囲の新型機に比べて
見劣りするスペックのカメラは使いたくなくなり、
ある時点で新型機に買い替え/買い増しをせざるを
得なくなる。
だけど、その買い替え時期は、入門層や初級層より
確実に遅くなる。すぐに新機種を買う必要性が無い
から、時間がたって新品販売価格が下がった頃や、
または中古で、それを買えば良い訳だ。
この状況も、前述のように「ピカピカの新型機を
使っているのは、見事なまでにビギナー層ばかり」
という不自然な状況に直結してしまう訳だ。
実は、1990年代中頃でも同様な世情があり、
バブル崩壊や阪神淡路大震災の影響で、魅力的な
新型機が発売されず、新鋭機を買っているのは
殆どがビギナー層ばかりとなった。それらと同列に
見られるのを嫌ったマニア層等を中心に、その後
一大「第一次中古カメラブーム」が起こった訳だ。
古い時代のカメラを使う事は、ビギナー層には無理
な為に、「それが格好良い」という新たな認識が、
この1990年代後半に発生した訳である。
ただ、だからといって、現代において、オールド
デジタルカメラブームが起こる事は、まず無いと
思われる。それは、銀塩時代であれば、古いカメラ
例えば、NIKON F2やF3、ライカM3やM6、
CANON New F-1とかいった機種でも、十分に
実用範囲であったからだ。
(・・だと、一般層でも見なす事ができた。すなわち
銀塩カメラは言い方は悪いが、単なるフィルムを入れる
箱であるから、一般的な撮影技能を持つユーザー層で
あれば、古いカメラでも使いこなす事はできた訳だ)
だが、現代、オールドデジタルカメラを使いこなす事
は、銀塩時代のオールドカメラの場合よりも困難だ。
たとえ上級マニア層であったとしても、デジタル
一眼レフ第0~第1世代(2000年頃~2005年頃)の
オールド機を使いこなす事は、まず困難であろう。
現代機の高性能に慣れきってしまっていれば、それら
オールドデジカメは、とてつもなく不便であり、利用者
の言う事も一切聞かない頑固オヤジ(?)のカメラ群だ。
これを好んで使う事はまず無いし、銀塩カメラブーム
の時のように「古いカメラを使いこなす事は格好良い」
という風潮(価値観)すら出て来る事は無いであろう。
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現代の新鋭機は高価すぎるし、本シリーズ記事で紹介
しているようなオールド(デジタル)カメラにおいては
2000年代デジタル一眼レフや、初期(2010年前後)の
ミラーレス機は、まさしく二束三文の中古相場なのだ。
これらを入手し「お、意外に、今でも使えるじゃん」
という感覚を持てるのであれば、あるいは使いこなす
スキルがあるならば、これは、とてもコスパが良い
買い物となるだろうし、それが「格好良い事」と
ユーザーや、その周囲の意識が変化していく可能性も
なきにしもあらず、だからだ。
(追記:コロナ禍以降、中古カメラ市場も非常に
厳しくなり、旧型機を二束三文で店頭やWeb上に
並べることはしなくなった。それを安価に売っても
儲からないからであろう。現代では、旧型機を入手
する事自体が、少々難しい状況だ)
まあ、ごく僅かだが、オールド・デジカメを志向する
中上級マニアも居て、そうした古い時代のカメラを
評価し「意外に使える」と述べている情報も見かける。
オールド・デジカメの分析はまだまだ続くが、残りの
本シリーズ記事の範疇で、他のテーマ等についても
纏めていく事にしよう。
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では、今回の「オールド・デジカメ(8)」編は、
このあたり迄で、次回記事に続く。