今回記事は補足編として「高マニアック度B級編(6)」
とし、既紹介レンズだが「それなりにマニアック」な
レンズを9本紹介する。
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まず、今回最初のB級マニアックレンズ。
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レンズは、CANON EF-S 35mm/f2.8 Macro IS STM
(中古購入価格 30,000円)(以下、EF-S35/2.8)
カメラは、CANON EOS 7D(APS-C機)
2017年頃発売の、APS-C機専用AF準広角(標準画角)
LED照明内蔵等倍マクロレンズ。
照明付きマクロレンズ、というものは、なんだか
購入意欲をそそるアイテムであろう。
銀塩時代から、「マクロリングライト」等といった
名称で、ストロボ(フラッシュ)を円周状に配置
(または多灯式)として、装着したレンズの周辺から
光らせるシステムがあったのだが・・
デジタル時代の2000年代後半頃からは、LED照明も
一般化した為、コンパクト・デジカメ(PENTAX/RICOH
等)で近接(マクロ)撮影時に有効な、LED照明付き
のカメラがチラホラと登場しはじめる。
しかし、デジタル一眼レフ/ミラーレス機用の交換
(マクロ)レンズにLED照明が搭載されているものは
なかなか発売されず、本レンズの前年2016年に、
CANONより発売されたミラーレス機EOS-M用レンズ
「EF-M 28mm/F3.5 Macro IS STM」が、LED搭載の
初の交換レンズであったかも知れない。
ただ、そのレンズは、EOS-Mシリーズ専用であった。
(私は、当時EOS-Mシリーズの購入を見送っていた)
本レンズは一般的なAPS-C以下のEOSデジタル一眼レフ
で使える初めてのLED内蔵マクロレンズとなった。
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LEDの効能だが、日中屋外の撮影では、あまり効果は
無い、太陽光の方がはるかに明るいからだ。
弱暗所や室内等で、被写体上での明暗差を消す効果が
あるのだが、質感とか色温度とか、そのあたりは
自然光の場合とは、ずいぶんと印象は変わるので、
使い方や仕上がりには要注意である。
厳密なライティングを要求される撮影(業務上での
商品撮影等)に、どこまで対応できるか?は不明、
個人的には、そうした用途は殆ど無いからだ。
まあでも、LEDの効能を、あまり過剰に期待せず、
「いざとなったら照明を当てる事もできる」位の
趣味撮影の範疇に留めておくのが無難であろう。
ユニークな機能を持ったレンズとして、歴史的価値
は高いと思う。
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では、次のレンズは旧ソ連製だ。
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レンズは、アルセナール MIR-24N (35mm/f2)
(中古購入価格 8,000円)(以下、MIR-24)
カメラは、NIKON Df (フルサイズ機)
製造年は不明、恐らくは1980年代前後であろうか?
ウクライナのKIEV(キエフ/キーイウ/キーイフ)にある
ソビエト連邦時代の国営工場で製造されたレンズだ。
現代では、ウクライナは旧ソ連から独立した共和制の
国家となり、アルセナール(アーセナルとも呼ばれる
原語綴りはАрсенал)も、国営工場では無く
独立した光学・電子機器メーカーとなっていると聞く。
(注:2022年には、ウクライナとロシアの対立に
よる軍事的緊張感が高まっている)
アルセナール工場は、旧ソ連時代では、軍需工場として
光学兵器などを開発製造した他、民間需要のカメラ関連
機器として、「KIEV」の名を冠したレンジファインダー機
(独国の旧CONTAXのコピー品)や中判カメラ(KIEV88等)
35mm判のNIKON Fマウント類似の一眼レフKIEV-19(M)等、
多数のカメラを発売した事で、日本でもカメラマニア層
を中心に良く知られている。
本レンズMIR-24NのラストのNは、「ニコン風マウント」
の意味だ(注:原語では「H」)、これは、Fマウント
類似のKIEV-19用マウントであるが、微妙に仕様が異なる
ので、国産NIKON機への直接装着は避ける事が賢明だ。
本記事で、それ(直接装着)を可能としているのは、
本レンズは20年以上所有しつづけ、銀塩時代からの
各時代の、十数台ものNIKON製一眼レフへの装着実験を
繰り返していて、本レンズに限って言えば、NIKON機への
直接装着が安全である事を確認した上での措置である。
だが、レンズ毎の製造個体差もあるかも知れず、他者
が同じ組み合わせで安全である事は保証できない。
必ず「自己責任」で、自身の持つ機材と組み合わせての
実験が必須だ。このようなテスト環境を持たない初級層に
おいては「ロシアンレンズは、必ずマウントアダプター
を介してミラーレス機で使う事」を強く推奨する。
万が一レンズが外れなかった場合でも、アダプターが
1個犠牲となり、専用となるだけで済むからだ。
なお、参考事例だが、1990年代に東京にあった
「ロシアンカメラ専門店」では、お客は、自身の
所有カメラをお店に持っていき、販売されている
レンズが脱着可能か?を、店頭でチェックし、問題
が無ければ購入するシステムであった。
(注:外れなかった場合は? そのまま修理行きか・汗)
さて、あれこれ面倒な措置をしても本レンズの使用を
続けているのは、本MIR-24が、大変に優れたロシアン
レンズであるという個人的な評価があるからだ。
過去記事ミラーレス・マニアックス名玉編では、
ロシアンレンズ中では本レンズのみが唯一(第17位に)
ランクインしている。
一般にマニア層の間では「ロシアンレンズは良く写る」
という噂が古くから伝わっているが、基本的には、
ロシアンレンズは、旧東独のツァイスの技術や設備を、
第二次大戦の戦後賠償でロシア等が接収した暗い歴史
からなる事が理由であり、現代から見れば、およそ
80年前の古い技術水準だ。銀塩時代の中古カメラ
ブーム(1990年代)であれば、まだそれらの古い
設計は通用したし、価格が安価であったから、コスパ
メリットは存在した。個人的にこれを解釈すれば、
「1980年代までのロシアンレンズは、安価であるが
戦前のツァイスの技術を応用したコスパの良い
レンズが多い」
あるいは
「1980年代までのロシアンレンズは、戦前のツァイス
の銘玉、名設計を近代に至るまで踏襲しているから
それらの性能や雰囲気(テイスト)を安価に味わう
のに適している」
・・が正解であって、「ロシアン=良い写り」という
公式は単純には成り立たないと思っている。
まあ、だから現代において、これらのロシアンが
希少価値から投機対象となって、3万円とか5万円に
相場高騰している状況は、理解しずらい。
「ロシアンレンズは1万円以下で購入する」事が、
銀塩時代のマニア層でのコスパ感覚であった訳だ。
まあ、古い設計といいつつも本MIR-24を開発した
アルセナール(工場)は、技術的に優れていた為、
ツァイスのコピー品だけに留まらず、カメラにも
レンズにも独自の改良を施していた模様である。
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本MIR-24も恐らくは独自設計だ。本レンズに係わる
レンズ構成図とかの詳しい情報は無いので、私は
これと類似の描写傾向を持つ35mm級レンズを20年
以上も探索検証しているが(つまり、たとえば他に
これと類似の写りがあれば、コピー品やジェネリック
レンズであるという予想がつく)、そういう類の
ものは見当たらず、アルセナール(工場)独自の
設計なのだろう。
現代においては、このようにあまり褒めると、また
投機対象になってしまう危険性が高い。
私の本レンズの購入価格は8000円だ、実質的価値は
これ以上でも、これ以下でも無い。
現代で入手困難であれば、無理をして高価に入手する
ような類のレンズでも無い。
(追記:近年、1本中古品を見かけたが18,000円
の価格がついていた、これだとちょっと高価すぎる)
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では、3本目はマシンビジョン用レンズだ。
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レンズは、VS Technology VS-LD50
(発売時定価28,000円)
カメラは、PENTAX Q7 (1/1.7型機)
発売年不明、恐らくは2000年代と思われる、FA用
低歪曲望遠マクロ(近接専用)初期メガピクセル対応、
2/3型センサー対応、MF単焦点手動絞りレンズ。
開放F値は「露出倍数」に応じ、F2.7~F3.1程度となる。
望遠画角のマシンビジョンレンズであり、PENTAX Q7で
使用時では、フルサイズ換算230mm相当だ。
撮影倍率は不明、使用するシステム(センサーサイズ等)
に応じて、物差し(スケール)等を撮影して撮影範囲
から逆算して撮影倍率を求めるしか無いであろう。
こうしたマシンビジョン(FA用)レンズを、一般写真
撮影用途に使うには、その分野(FA、光学等)の専門的
知識が必要な為、一般カメラユーザーには初級層から
上級層に至るまで、完全非推奨である。
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まあ、普通はこの手のレンズには興味を持たないだろうし
興味があったとしても、一般的な個人購入が出来ない
ようなものばかりなので、入手する事自体が困難だ。
これ以上の詳しい説明は割愛するが、興味があれば、
例えば「特殊レンズ超マニアックス第1回、マシン
ビジョンレンズ編」等の過去記事を参照されたし。
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さて、4本目のB級マニアックレンズ
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レンズは、MC TELE ROKKOR QF 200mm/f3.5
(中古購入価格 3,000円相当)(以下、MC200/3.5)
カメラは、PANASONIC DMC-GX7 (μ4/3機)
1970年頃に発売の単焦点MF望遠レンズ。
MINOLTA MCマウント(AE対応だが、両優先AE非対応)
であるが、現代でこれを使うには、MINOLTA MD用の
マウントアダプターを用いれば大丈夫だ。
型番QFは4群6枚構成を示す、当時の単焦点望遠と
しては、比較的オーソドックな設計であろう。
ただし、開放F3.5は、当時ではまだ200mm級では
開放F2.8のレンズは殆ど存在していなかったので
最大口径のレンズだったと言える。
(参考:国産ではNIKON NIKKOR-P AUTO 180/2.8が
1971年に発売。ただし、海外ではレンジ機CONTAX
シリーズ用の、通称オリンピアゾナー、180mm/F2.8
が、ベルリンオリンピックの開催年1936年に発売
されている。ただ、オリンピアゾナーは、ヒトラーが
ドイツの国威を賭けて、その特殊レンズ開発を指示
した可能性も高く、あまり一般的な前例とは言えない
であろう。そのあたりの政治的・軍事的な事情からか?
後年1982年に京セラCONTAXが、同じ180mm/F2.8
のゾナーを開発した際、発売前はオリンピアゾナーと
呼んでいたのが、発売時には単なる「ゾナー」に
改められたという経緯がある。すなわち良く良く
歴史を調べてみたら、あまり堂々とはその名前では
呼び難い状況が発覚したからであろう)
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さて、本MC200/3.5であるが、描写力は、なかなか
優れている。まあ、それもその筈、本レンズの下位
にはMC200/4が併売されているからであり、それより
僅かに半段明るくなっただけで、レンズは大きく重く、
価格も高い「三重苦レンズ」となってしまっている。
これでもし、MC200/4と写りが大差無いのであれば、
わざわざ本レンズをラインナップさせる必要性が無い。
だから、下位機種と比較した際、十分に、その三重苦を
ユーザーに納得してもらう為の高い性能が与えられて
いた、と推察できる訳である。
まあ、同様な理由で、この時代1970年代頃の
200mm/F3.5級単焦点望遠全般は、描写力の高い物が
多いのではなかろうか? と個人的に推測している。
当該条件のレンズは、個人的には3本しか所有して
いないのだが、どれも大変良く写る。他社製品でも
市場競争力の維持の観点から同等の性能と考えれば、
もし、現代において、たまたま安価なジャンク品等を
見つけた際、200mm/F3.5であれば、購入しても悪くは
無いのではなかろうか?と思う。
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では、5本目のレンズ
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レンズは、CANON EF 85mm/f1.2 L USM(初期型)
(中古購入価格 94,000円)(以下、EF85/1.2L)
カメラは、CANON EOS 7D MarkⅡ (APS-C機)
1989年発売のEFマウント専用大口径AF中望遠レンズ。
上で何故「(EOS) EFマウント専用」と書いたかは、
本レンズは最初期のUSM(超音波モーター)搭載レンズ
であるのだが、仕様的な未成熟か? カメラ側から
電源を供給しないと、一切ピントリングが動作しない。
例えば、一般的な機械式マウントアダプターで他の
ミラーレス機に装着してもMFが効かず、お手上げだ。
後年1990年代からのUSM搭載レンズでは、そんな事は
無いので、やはり最初期のUSM故の問題点であろう。
ただ、本レンズは後年2006年にEF85mm/F1.2 L Ⅱ
USMに、リニューアルされているのだが(未所有)
初期型の本レンズとの仕様上の差異が良くわからず、
そのⅡ型でも、どうやらUSMに電源を供給しないと
MFが出来ない点は変わっていない模様である。
また、2010年代から、CANONでは廉価版レンズには
USMでは無くSTM(ステッピングモーター)を搭載
する事が多くなってきたが、そのSTMでも同様に、
カメラ本体から電源を供給しないとMFが動作しない。
個人的には、こういう仕様の製品は好みでは無い。
なんだか「CANON EOS機でないと、使えません」
と「排他的仕様」になっているように思えるからだ。
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本来、近代の各技術分野では「オープン思想」が
重要であり、技術者や研究者の皆が、その思想に
基づいて新世代の技術革新を加速しようとしている
のであるが・・
カメラ業界では、他社の製品との連携を自ら強く拒む
ような「排他的仕様」「排他的思想」が様々な所で
見受けられ、このような旧態依然とした思想は、どうも
賛同できるようなものでは無いのだ。
スマホ等の簡易撮影機材に押されて、カメラやレンズ
市場が縮退しているから、各メーカーは利益を出す為
の事情構造に転換しなければならない事情はわかるが
そうだとしても、「自社の製品群でシステムを組まない
限りは最高性能が発揮できない」という企画思想は、
ユーザー利便性を著しく廃してしまうので、好まない。
まあ、カメラメーカーにオープン思想があったならば
とっくに「マウントの統一」とか、そんな風な改革が
行われていたはずだが、それは結局起こりえなかった
し、それが現代においても、カメラ入門ユーザーが
「え~? このメーカーのレンズは他社のカメラには
付かないの?」といった、素朴な疑問を投げかけ
られる状況となっている。
それがカメラ市場の縮退とは直接的に関係は無いとは
思うが、不便で複雑な市場分野である事による課題は
間接的に、消費者がカメラへの興味を失う事にも
繋がっているのかも知れない。
他の市場分野、例えば、乾電池とか蛍光灯とか、
SDカード、ガソリン等・・ どんな商品でもだが
それらが、特定の同じメーカーの製品だけにしか
使えなかったら・・ あるいは、携帯電話やスマホが、
同じメーカー同士の端末や同じキャリアの間でしか
通話やメールが出来なかったとしたら・・
そうなったら、いったい消費者はどう思うだろうか?
まあ、暴動が起こったり、そこまでは無いとしても
公正取引委員会に訴えられても不思議では無い。
だが、カメラの世界では、そうした利用者の不利益や
不便が存在する状況が、まかり通ってしまうのだ。
もう、いまさらどうにかなる問題では無いとは思うが、
カメラユーザー層においても、そうした不条理な
世界(市場)に身を置いている事は忘れてはならない
と思う。
本レンズEF85/1.2Lだが、個人的には好きなレンズ
では無い。古い設計だし、描写力も特別な特徴等は
何も無いし、なにせ価格が高価すぎる。
コスパ評価は最低点に近く、それ故に滅多に記事で
紹介する事も無いが、たまには使ってあげるように
してはいる。良いレンズも、そうではないレンズも
色々と常に接していないと、モノの価値を判断する
物差し(スケール)が鈍ってしまうからだ・・
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さて、6本目のシステム
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レンズは、PANASONIC LUMIX G 20mm/f1.7Ⅱ ASPH.
(型番:H-H020A)
(中古購入価格 23,000円)(以下G20/1.7)
カメラは、PANASONIC (LUMIX) DMC-G6 (μ4/3機)
2013年に発売された薄型(パンケーキ)AF広角
(準標準画角)レンズ。
F1.7の大口径ではあるが、それによるメリットは
得にくいレンズである。被写界深度を浅くするような
撮影に持ち込むには、近接撮影時(最短20cm)では
ミラーレス機のAFのピント精度が不足する事があり、
仮にMFに切り替えても、無限回転式ピントリングで、
最短撮影距離の停止感触が無いので近接撮影は困難だ。
だから、近中距離以上の撮影に特化する事となる
のだが、その際は、実焦点距離が20mmと短い事と
μ4/3機の小さいセンサーサイズでは、浅い被写界深度
となる用法が出来ない。
よって、本レンズは、ある程度の深さの被写界深度を
持つような被写体条件でしか使用できない。
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知人のカメラマニア氏は、私より先行して本レンズの
初期型(2009年版、新版とはデザインが異なるだけで
レンズの光学系は同じ)を所有していて、その彼から
「暗所の舞台・ライブ撮影で役に立つレンズだ」という
情報を貰い、私も本レンズを探す事となったのだが・・
何故か当該初期型は、ネット上での不自然な好評価に
よりビギナー層等に「神格化」されてしまい、投機層
が動いて中古相場が高騰してしまっていた。
コスパが悪いと思われるレンズは私は購入しないので
数年間、初期型の購入を見送り続け、2013年に本
レンズが、Ⅱ型としてリニューアルされると、ようやく
初期型の中古流通が復活、まあ、「これ以上(初期型)
を持っていても高値では売れない」と、投機層は判断
したのであろう。
同時に、Ⅱ型の中古流通も始まった為、私はデザイン
が改良された本Ⅱ型を購入した次第であった。
(なお、「投機層の様子を伺いながらモノを買う」
等は馬鹿馬鹿しい話だ。だけど、そこまでしなければ
高いモノを買わされ、消費者側が損をしてしまう。
当然、初期型の好評価を過剰に拡散したのは「投機層」
であろう。そうして「情報社会」のちょっとした歪みを
利用して、金を稼ごうとする等は、世知辛い世の中だ)
色々といわくつきのレンズだ。「ケチがついた」と
言っても過言では無く、本来、個人的には、そういう
ワケ有りの機材は無視するべき状態なのだが・・
まあ、もう買ってしまっているので、やむを得ない。
基本的には、当時の初級層が「神格化」する程の
高描写力レンズでは無いのだが、さほど悪くは無い。
現在においては、中古相場の高騰も収まり、適切な
価格帯となっていると思われるので、1万円台中程
で中古購入出来るのであれば、μ4/3機ユーザーで
あれば、持っていても悪く無いレンズだ。
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では、7本目のレンズ
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レンズは、CONTAX Planar T* 100mm/f2 MMJ(Y/C版)
(新品購入価格 106,000円)(以下、P100/2)
カメラは、CANON EOS 6D (フルサイズ機)
1980年代後半頃に発売された、MF中望遠レンズ。
本ブログでは何度も紹介している「名玉」である。
ただ、あまりに一般的知名度が低い。
およそマニア層であっても、あるいは金満家が多かった
銀塩時代の「CONTAX党」であっても、本レンズを所有
している人は少なかっただろうし、市場での本レンズ
に係わる(好)評価も、ほとんど存在しない。
まあ、人気レンズのPlanar 85/1.4とMakro-Planar
100/2.8に挟まれ、かつ1990年代の販売時での価格
が178,000円と異常に高価であった事が、不人気や
知名度の無さの原因である事は明白だ。
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だが、現代において本レンズを使ってみれば、
隠れた名玉である事は、容易に実感する事が出来ると
思う。
価値(コスパ)感覚であるが、本レンズは発売時点
での新品購入で、10万円越えと高価な入手価格で
あった、現代で精密に本レンズの適正価格を分析
するならば、まあ、4~5万円、というあたりが
性能と価格の比率が適正になる水準だと思われる。
中古市場では、その程度(4万円台)の価格で
ある場合と、CONTAXのブランドバリューから、
もう少し強気の高値(6~8万円)という相場の
ケースがあると思う、高価すぎるものは買う必要は
無いが、適正相場のものを見つけたら、買っても悪く
無いであろう。
ちなみに、私の場合は、殆どカメラやレンズの中古
相場を暗記しているし、それを時代とともに更新して
いる。だから中古店等に行った場合、その店の値付け
の傾向も良くわかる。
仮に、ブランドの知名度等を盾にして、高価すぎる
値付けとなっているような店の場合、「足元を見て
いる」と判断し、その店では何も買わずに帰る事も
ある。
(追記:コロナ禍以降、金あまり(→使い道が無い)
から、各市場分野での投機の状況が加速し、CONTAXの
RTS系中古レンズも、軒並み相場高騰した。そうした
中で本レンズは、非常にレアであり、ほとんど流通
しなくなってしまった。仮に見かけた場合は、上記に
書いた金額以上では、コスパが悪いと判断する事が
適切であろう。高額な中古相場は「高く売れるかも
知れない」という投機的相場だ。だから、仮に誰も
買わなければ、相場は必ず下落する)
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さて、8本目のシステム
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レンズは、mEiKE 12mm/f2.8
(新品購入価格 27,000円)(以下、Meike12/2.8)
カメラは、FUJIFILM X-T1(APS-C機)
2018年頃に発売された、中国製のAPS-C型対応
ミラーレス機用MF超広角単焦点レンズ。
「mEiKE」と、大文字小文字が入り乱れたロゴマーク
であるが、以下はMeikeと記載する。
個人的には、「恐らくはツァイス・ディスタゴン系
構成の21mm/F2.8級レンズを2/3倍~1/2倍に
スケールダウンしたジェネリック・レンズであろう」
と推察しているレンズだ。
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作り(品質)は良い。近年の中国製レンズの多くは
製造品質が高く、国産の普及レンズを上回る高級感が
存在する。
名レンズのジェネリックなので、写りも悪く無い、
僅かな「像面湾曲収差」によりボケ質の低下や
周辺の甘さが見られるが、重欠点とは言えず、むしろ
解像感、周辺減光、歪曲収差等のビギナー層でも目に
つきやすい課題は良く抑えられている。
僅かな弱点としては、まずMeike製のレンズのいくつか
は、レンズ上のピント指標がおかしい場合があり、
本レンズも同様である。仕様上では最短撮影距離10cm
であるが、本レンズには15cmまでしか指標が無く
それ以下、どこまで寄れるか? よくわからない。
他のMeikeレンズでも、オーバーインフ(無限遠を
超えて廻る)になっている場合もあり、これは設計上
の課題か、あるいは各ミラーレス機用マウントで製造
販売される上で、マウント毎の微妙な仕様の差異に
対応できる基本設計が出来ていないのか? まあそんな
感じであろう。
また、「ディスタゴン構成はピントが分かり難い」
という弱点があると個人的に分析しているが、本レンズ
も同様にピントの山がわかりにくい。
でも、全般的に悪く無いレンズである。
特に、FUJIFILM Xマウントで購入する事にも意味があり
APS-C型センサーのXマウント機で、超広角画角を得よう
とすると、メーカー純正レンズは販売数の少なさから
超割高になってしまい、購入不能であるから、本レンズ
のようなジェネリック高性能超広角レンズは購入する
意味や価値が大きい。
他マウントの場合は微妙であり、μ4/3機では24mm
相当と平凡な広角画角となってしまう。
また、フルサイズ機では本レンズはケラれてしまう。
限られたユーザー向けレンズだとは思うが、参考まで。
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では、今回ラストのB級マニアックシステム
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レンズは、日本光学 NIKKOR-P 10.5cm/f2.5
(中古購入価格 15,000円)(以下、S105/2.5)
カメラは、SONY α7(フルサイズ機)
1953年発売の、レンジファインダー機、「ニコンS
シリーズ」用のMF単焦点中望遠レンズ。
型番「P」はペンタ、つまり5枚レンズを指し、
本レンズは、ツァイス・ゾナー型の3群5枚構成を
採用しているのだが、1971年からの一眼レフ用
Fマウント「NIKKOR-P Auto 105mm/F2.5」系統
では同じP型番ながらも、4群5枚(クセノター型)と
なっていて、本レンズとは構成が異なっている。
4群5枚構成版のAi105/2.5は、かつて所有して
いて、写りも気に入っていたのだが、訳あって
譲渡してしまっていた。
後年、2010年代にAi105/2.5を買いなおそうとした
のだが、NIKON フルサイズ・デジタル一眼レフの
普及に伴う、NIKON銀塩用MFレンズの投機的な値上げ
により、中古相場が不条理なまでに高騰してしまい、
「そんな高いAi105/2.5はいらんよ!」と思い、
本レンズ(ゾナー型旧タイプ)を歴史的価値から
購入し、さらに後年には、Ai105/2.5の購入を避けて
個性的な描写特徴を持つ、Ai105/1.8S(1981年、
5群5枚構成)の購入に至った次第である。
(追記:記事執筆後にAi105/2.5を適価で入手
でき、NIKKOR 105mmが多数揃ったので、いずれ
それらの歴史的変遷を紹介する記事を掲載予定だ)
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本レンズS105/2.5だが、70年近くも前のレンズとは
思え無い程に、驚くほど描写力が高い。
「ツァイスの名レンズ、Sonnar 85/2の1.25倍拡大
ジェネリックだ」という高描写力の理由(根拠)は、
あるのだが、それにしても、このレンズの写りを
見てしまうと、「その後の70年間も、レンズの開発は
いったい何をやっていたのだ?」と、不満や懸念を
感じる程である。
弱点はただ1つ、現代ではレア品で入手困難である
という点か。まあ、一眼レフ用のFマウント105/2.5
は入手は容易だとは思うが、前述のように、それらは
レンズ構成がゾナー型では無くなっているし、さらに
場合によっては投機的措置が加わって高額相場に
なっている場合もある。
レンジ用、一眼用、いずれの場合でも、NIKON製の
105mm/F2.5の適正相場は、15000円程度となると
思われる、それより高価ならばコスパが悪くなって
しまうのだ・・
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さて、今回の補足編「高マニアック度B級編(6)」記事は、
このあたり迄で。次回記事に続く。
とし、既紹介レンズだが「それなりにマニアック」な
レンズを9本紹介する。
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まず、今回最初のB級マニアックレンズ。
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(中古購入価格 30,000円)(以下、EF-S35/2.8)
カメラは、CANON EOS 7D(APS-C機)
2017年頃発売の、APS-C機専用AF準広角(標準画角)
LED照明内蔵等倍マクロレンズ。
照明付きマクロレンズ、というものは、なんだか
購入意欲をそそるアイテムであろう。
銀塩時代から、「マクロリングライト」等といった
名称で、ストロボ(フラッシュ)を円周状に配置
(または多灯式)として、装着したレンズの周辺から
光らせるシステムがあったのだが・・
デジタル時代の2000年代後半頃からは、LED照明も
一般化した為、コンパクト・デジカメ(PENTAX/RICOH
等)で近接(マクロ)撮影時に有効な、LED照明付き
のカメラがチラホラと登場しはじめる。
しかし、デジタル一眼レフ/ミラーレス機用の交換
(マクロ)レンズにLED照明が搭載されているものは
なかなか発売されず、本レンズの前年2016年に、
CANONより発売されたミラーレス機EOS-M用レンズ
「EF-M 28mm/F3.5 Macro IS STM」が、LED搭載の
初の交換レンズであったかも知れない。
ただ、そのレンズは、EOS-Mシリーズ専用であった。
(私は、当時EOS-Mシリーズの購入を見送っていた)
本レンズは一般的なAPS-C以下のEOSデジタル一眼レフ
で使える初めてのLED内蔵マクロレンズとなった。
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無い、太陽光の方がはるかに明るいからだ。
弱暗所や室内等で、被写体上での明暗差を消す効果が
あるのだが、質感とか色温度とか、そのあたりは
自然光の場合とは、ずいぶんと印象は変わるので、
使い方や仕上がりには要注意である。
厳密なライティングを要求される撮影(業務上での
商品撮影等)に、どこまで対応できるか?は不明、
個人的には、そうした用途は殆ど無いからだ。
まあでも、LEDの効能を、あまり過剰に期待せず、
「いざとなったら照明を当てる事もできる」位の
趣味撮影の範疇に留めておくのが無難であろう。
ユニークな機能を持ったレンズとして、歴史的価値
は高いと思う。
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では、次のレンズは旧ソ連製だ。
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(中古購入価格 8,000円)(以下、MIR-24)
カメラは、NIKON Df (フルサイズ機)
製造年は不明、恐らくは1980年代前後であろうか?
ウクライナのKIEV(キエフ/キーイウ/キーイフ)にある
ソビエト連邦時代の国営工場で製造されたレンズだ。
現代では、ウクライナは旧ソ連から独立した共和制の
国家となり、アルセナール(アーセナルとも呼ばれる
原語綴りはАрсенал)も、国営工場では無く
独立した光学・電子機器メーカーとなっていると聞く。
(注:2022年には、ウクライナとロシアの対立に
よる軍事的緊張感が高まっている)
アルセナール工場は、旧ソ連時代では、軍需工場として
光学兵器などを開発製造した他、民間需要のカメラ関連
機器として、「KIEV」の名を冠したレンジファインダー機
(独国の旧CONTAXのコピー品)や中判カメラ(KIEV88等)
35mm判のNIKON Fマウント類似の一眼レフKIEV-19(M)等、
多数のカメラを発売した事で、日本でもカメラマニア層
を中心に良く知られている。
本レンズMIR-24NのラストのNは、「ニコン風マウント」
の意味だ(注:原語では「H」)、これは、Fマウント
類似のKIEV-19用マウントであるが、微妙に仕様が異なる
ので、国産NIKON機への直接装着は避ける事が賢明だ。
本記事で、それ(直接装着)を可能としているのは、
本レンズは20年以上所有しつづけ、銀塩時代からの
各時代の、十数台ものNIKON製一眼レフへの装着実験を
繰り返していて、本レンズに限って言えば、NIKON機への
直接装着が安全である事を確認した上での措置である。
だが、レンズ毎の製造個体差もあるかも知れず、他者
が同じ組み合わせで安全である事は保証できない。
必ず「自己責任」で、自身の持つ機材と組み合わせての
実験が必須だ。このようなテスト環境を持たない初級層に
おいては「ロシアンレンズは、必ずマウントアダプター
を介してミラーレス機で使う事」を強く推奨する。
万が一レンズが外れなかった場合でも、アダプターが
1個犠牲となり、専用となるだけで済むからだ。
なお、参考事例だが、1990年代に東京にあった
「ロシアンカメラ専門店」では、お客は、自身の
所有カメラをお店に持っていき、販売されている
レンズが脱着可能か?を、店頭でチェックし、問題
が無ければ購入するシステムであった。
(注:外れなかった場合は? そのまま修理行きか・汗)
さて、あれこれ面倒な措置をしても本レンズの使用を
続けているのは、本MIR-24が、大変に優れたロシアン
レンズであるという個人的な評価があるからだ。
過去記事ミラーレス・マニアックス名玉編では、
ロシアンレンズ中では本レンズのみが唯一(第17位に)
ランクインしている。
一般にマニア層の間では「ロシアンレンズは良く写る」
という噂が古くから伝わっているが、基本的には、
ロシアンレンズは、旧東独のツァイスの技術や設備を、
第二次大戦の戦後賠償でロシア等が接収した暗い歴史
からなる事が理由であり、現代から見れば、およそ
80年前の古い技術水準だ。銀塩時代の中古カメラ
ブーム(1990年代)であれば、まだそれらの古い
設計は通用したし、価格が安価であったから、コスパ
メリットは存在した。個人的にこれを解釈すれば、
「1980年代までのロシアンレンズは、安価であるが
戦前のツァイスの技術を応用したコスパの良い
レンズが多い」
あるいは
「1980年代までのロシアンレンズは、戦前のツァイス
の銘玉、名設計を近代に至るまで踏襲しているから
それらの性能や雰囲気(テイスト)を安価に味わう
のに適している」
・・が正解であって、「ロシアン=良い写り」という
公式は単純には成り立たないと思っている。
まあ、だから現代において、これらのロシアンが
希少価値から投機対象となって、3万円とか5万円に
相場高騰している状況は、理解しずらい。
「ロシアンレンズは1万円以下で購入する」事が、
銀塩時代のマニア層でのコスパ感覚であった訳だ。
まあ、古い設計といいつつも本MIR-24を開発した
アルセナール(工場)は、技術的に優れていた為、
ツァイスのコピー品だけに留まらず、カメラにも
レンズにも独自の改良を施していた模様である。
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レンズ構成図とかの詳しい情報は無いので、私は
これと類似の描写傾向を持つ35mm級レンズを20年
以上も探索検証しているが(つまり、たとえば他に
これと類似の写りがあれば、コピー品やジェネリック
レンズであるという予想がつく)、そういう類の
ものは見当たらず、アルセナール(工場)独自の
設計なのだろう。
現代においては、このようにあまり褒めると、また
投機対象になってしまう危険性が高い。
私の本レンズの購入価格は8000円だ、実質的価値は
これ以上でも、これ以下でも無い。
現代で入手困難であれば、無理をして高価に入手する
ような類のレンズでも無い。
(追記:近年、1本中古品を見かけたが18,000円
の価格がついていた、これだとちょっと高価すぎる)
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では、3本目はマシンビジョン用レンズだ。
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(発売時定価28,000円)
カメラは、PENTAX Q7 (1/1.7型機)
発売年不明、恐らくは2000年代と思われる、FA用
低歪曲望遠マクロ(近接専用)初期メガピクセル対応、
2/3型センサー対応、MF単焦点手動絞りレンズ。
開放F値は「露出倍数」に応じ、F2.7~F3.1程度となる。
望遠画角のマシンビジョンレンズであり、PENTAX Q7で
使用時では、フルサイズ換算230mm相当だ。
撮影倍率は不明、使用するシステム(センサーサイズ等)
に応じて、物差し(スケール)等を撮影して撮影範囲
から逆算して撮影倍率を求めるしか無いであろう。
こうしたマシンビジョン(FA用)レンズを、一般写真
撮影用途に使うには、その分野(FA、光学等)の専門的
知識が必要な為、一般カメラユーザーには初級層から
上級層に至るまで、完全非推奨である。
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興味があったとしても、一般的な個人購入が出来ない
ようなものばかりなので、入手する事自体が困難だ。
これ以上の詳しい説明は割愛するが、興味があれば、
例えば「特殊レンズ超マニアックス第1回、マシン
ビジョンレンズ編」等の過去記事を参照されたし。
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さて、4本目のB級マニアックレンズ
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(中古購入価格 3,000円相当)(以下、MC200/3.5)
カメラは、PANASONIC DMC-GX7 (μ4/3機)
1970年頃に発売の単焦点MF望遠レンズ。
MINOLTA MCマウント(AE対応だが、両優先AE非対応)
であるが、現代でこれを使うには、MINOLTA MD用の
マウントアダプターを用いれば大丈夫だ。
型番QFは4群6枚構成を示す、当時の単焦点望遠と
しては、比較的オーソドックな設計であろう。
ただし、開放F3.5は、当時ではまだ200mm級では
開放F2.8のレンズは殆ど存在していなかったので
最大口径のレンズだったと言える。
(参考:国産ではNIKON NIKKOR-P AUTO 180/2.8が
1971年に発売。ただし、海外ではレンジ機CONTAX
シリーズ用の、通称オリンピアゾナー、180mm/F2.8
が、ベルリンオリンピックの開催年1936年に発売
されている。ただ、オリンピアゾナーは、ヒトラーが
ドイツの国威を賭けて、その特殊レンズ開発を指示
した可能性も高く、あまり一般的な前例とは言えない
であろう。そのあたりの政治的・軍事的な事情からか?
後年1982年に京セラCONTAXが、同じ180mm/F2.8
のゾナーを開発した際、発売前はオリンピアゾナーと
呼んでいたのが、発売時には単なる「ゾナー」に
改められたという経緯がある。すなわち良く良く
歴史を調べてみたら、あまり堂々とはその名前では
呼び難い状況が発覚したからであろう)
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優れている。まあ、それもその筈、本レンズの下位
にはMC200/4が併売されているからであり、それより
僅かに半段明るくなっただけで、レンズは大きく重く、
価格も高い「三重苦レンズ」となってしまっている。
これでもし、MC200/4と写りが大差無いのであれば、
わざわざ本レンズをラインナップさせる必要性が無い。
だから、下位機種と比較した際、十分に、その三重苦を
ユーザーに納得してもらう為の高い性能が与えられて
いた、と推察できる訳である。
まあ、同様な理由で、この時代1970年代頃の
200mm/F3.5級単焦点望遠全般は、描写力の高い物が
多いのではなかろうか? と個人的に推測している。
当該条件のレンズは、個人的には3本しか所有して
いないのだが、どれも大変良く写る。他社製品でも
市場競争力の維持の観点から同等の性能と考えれば、
もし、現代において、たまたま安価なジャンク品等を
見つけた際、200mm/F3.5であれば、購入しても悪くは
無いのではなかろうか?と思う。
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では、5本目のレンズ
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(中古購入価格 94,000円)(以下、EF85/1.2L)
カメラは、CANON EOS 7D MarkⅡ (APS-C機)
1989年発売のEFマウント専用大口径AF中望遠レンズ。
上で何故「(EOS) EFマウント専用」と書いたかは、
本レンズは最初期のUSM(超音波モーター)搭載レンズ
であるのだが、仕様的な未成熟か? カメラ側から
電源を供給しないと、一切ピントリングが動作しない。
例えば、一般的な機械式マウントアダプターで他の
ミラーレス機に装着してもMFが効かず、お手上げだ。
後年1990年代からのUSM搭載レンズでは、そんな事は
無いので、やはり最初期のUSM故の問題点であろう。
ただ、本レンズは後年2006年にEF85mm/F1.2 L Ⅱ
USMに、リニューアルされているのだが(未所有)
初期型の本レンズとの仕様上の差異が良くわからず、
そのⅡ型でも、どうやらUSMに電源を供給しないと
MFが出来ない点は変わっていない模様である。
また、2010年代から、CANONでは廉価版レンズには
USMでは無くSTM(ステッピングモーター)を搭載
する事が多くなってきたが、そのSTMでも同様に、
カメラ本体から電源を供給しないとMFが動作しない。
個人的には、こういう仕様の製品は好みでは無い。
なんだか「CANON EOS機でないと、使えません」
と「排他的仕様」になっているように思えるからだ。
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重要であり、技術者や研究者の皆が、その思想に
基づいて新世代の技術革新を加速しようとしている
のであるが・・
カメラ業界では、他社の製品との連携を自ら強く拒む
ような「排他的仕様」「排他的思想」が様々な所で
見受けられ、このような旧態依然とした思想は、どうも
賛同できるようなものでは無いのだ。
スマホ等の簡易撮影機材に押されて、カメラやレンズ
市場が縮退しているから、各メーカーは利益を出す為
の事情構造に転換しなければならない事情はわかるが
そうだとしても、「自社の製品群でシステムを組まない
限りは最高性能が発揮できない」という企画思想は、
ユーザー利便性を著しく廃してしまうので、好まない。
まあ、カメラメーカーにオープン思想があったならば
とっくに「マウントの統一」とか、そんな風な改革が
行われていたはずだが、それは結局起こりえなかった
し、それが現代においても、カメラ入門ユーザーが
「え~? このメーカーのレンズは他社のカメラには
付かないの?」といった、素朴な疑問を投げかけ
られる状況となっている。
それがカメラ市場の縮退とは直接的に関係は無いとは
思うが、不便で複雑な市場分野である事による課題は
間接的に、消費者がカメラへの興味を失う事にも
繋がっているのかも知れない。
他の市場分野、例えば、乾電池とか蛍光灯とか、
SDカード、ガソリン等・・ どんな商品でもだが
それらが、特定の同じメーカーの製品だけにしか
使えなかったら・・ あるいは、携帯電話やスマホが、
同じメーカー同士の端末や同じキャリアの間でしか
通話やメールが出来なかったとしたら・・
そうなったら、いったい消費者はどう思うだろうか?
まあ、暴動が起こったり、そこまでは無いとしても
公正取引委員会に訴えられても不思議では無い。
だが、カメラの世界では、そうした利用者の不利益や
不便が存在する状況が、まかり通ってしまうのだ。
もう、いまさらどうにかなる問題では無いとは思うが、
カメラユーザー層においても、そうした不条理な
世界(市場)に身を置いている事は忘れてはならない
と思う。
本レンズEF85/1.2Lだが、個人的には好きなレンズ
では無い。古い設計だし、描写力も特別な特徴等は
何も無いし、なにせ価格が高価すぎる。
コスパ評価は最低点に近く、それ故に滅多に記事で
紹介する事も無いが、たまには使ってあげるように
してはいる。良いレンズも、そうではないレンズも
色々と常に接していないと、モノの価値を判断する
物差し(スケール)が鈍ってしまうからだ・・
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さて、6本目のシステム
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(型番:H-H020A)
(中古購入価格 23,000円)(以下G20/1.7)
カメラは、PANASONIC (LUMIX) DMC-G6 (μ4/3機)
2013年に発売された薄型(パンケーキ)AF広角
(準標準画角)レンズ。
F1.7の大口径ではあるが、それによるメリットは
得にくいレンズである。被写界深度を浅くするような
撮影に持ち込むには、近接撮影時(最短20cm)では
ミラーレス機のAFのピント精度が不足する事があり、
仮にMFに切り替えても、無限回転式ピントリングで、
最短撮影距離の停止感触が無いので近接撮影は困難だ。
だから、近中距離以上の撮影に特化する事となる
のだが、その際は、実焦点距離が20mmと短い事と
μ4/3機の小さいセンサーサイズでは、浅い被写界深度
となる用法が出来ない。
よって、本レンズは、ある程度の深さの被写界深度を
持つような被写体条件でしか使用できない。
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初期型(2009年版、新版とはデザインが異なるだけで
レンズの光学系は同じ)を所有していて、その彼から
「暗所の舞台・ライブ撮影で役に立つレンズだ」という
情報を貰い、私も本レンズを探す事となったのだが・・
何故か当該初期型は、ネット上での不自然な好評価に
よりビギナー層等に「神格化」されてしまい、投機層
が動いて中古相場が高騰してしまっていた。
コスパが悪いと思われるレンズは私は購入しないので
数年間、初期型の購入を見送り続け、2013年に本
レンズが、Ⅱ型としてリニューアルされると、ようやく
初期型の中古流通が復活、まあ、「これ以上(初期型)
を持っていても高値では売れない」と、投機層は判断
したのであろう。
同時に、Ⅱ型の中古流通も始まった為、私はデザイン
が改良された本Ⅱ型を購入した次第であった。
(なお、「投機層の様子を伺いながらモノを買う」
等は馬鹿馬鹿しい話だ。だけど、そこまでしなければ
高いモノを買わされ、消費者側が損をしてしまう。
当然、初期型の好評価を過剰に拡散したのは「投機層」
であろう。そうして「情報社会」のちょっとした歪みを
利用して、金を稼ごうとする等は、世知辛い世の中だ)
色々といわくつきのレンズだ。「ケチがついた」と
言っても過言では無く、本来、個人的には、そういう
ワケ有りの機材は無視するべき状態なのだが・・
まあ、もう買ってしまっているので、やむを得ない。
基本的には、当時の初級層が「神格化」する程の
高描写力レンズでは無いのだが、さほど悪くは無い。
現在においては、中古相場の高騰も収まり、適切な
価格帯となっていると思われるので、1万円台中程
で中古購入出来るのであれば、μ4/3機ユーザーで
あれば、持っていても悪く無いレンズだ。
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では、7本目のレンズ
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(新品購入価格 106,000円)(以下、P100/2)
カメラは、CANON EOS 6D (フルサイズ機)
1980年代後半頃に発売された、MF中望遠レンズ。
本ブログでは何度も紹介している「名玉」である。
ただ、あまりに一般的知名度が低い。
およそマニア層であっても、あるいは金満家が多かった
銀塩時代の「CONTAX党」であっても、本レンズを所有
している人は少なかっただろうし、市場での本レンズ
に係わる(好)評価も、ほとんど存在しない。
まあ、人気レンズのPlanar 85/1.4とMakro-Planar
100/2.8に挟まれ、かつ1990年代の販売時での価格
が178,000円と異常に高価であった事が、不人気や
知名度の無さの原因である事は明白だ。
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隠れた名玉である事は、容易に実感する事が出来ると
思う。
価値(コスパ)感覚であるが、本レンズは発売時点
での新品購入で、10万円越えと高価な入手価格で
あった、現代で精密に本レンズの適正価格を分析
するならば、まあ、4~5万円、というあたりが
性能と価格の比率が適正になる水準だと思われる。
中古市場では、その程度(4万円台)の価格で
ある場合と、CONTAXのブランドバリューから、
もう少し強気の高値(6~8万円)という相場の
ケースがあると思う、高価すぎるものは買う必要は
無いが、適正相場のものを見つけたら、買っても悪く
無いであろう。
ちなみに、私の場合は、殆どカメラやレンズの中古
相場を暗記しているし、それを時代とともに更新して
いる。だから中古店等に行った場合、その店の値付け
の傾向も良くわかる。
仮に、ブランドの知名度等を盾にして、高価すぎる
値付けとなっているような店の場合、「足元を見て
いる」と判断し、その店では何も買わずに帰る事も
ある。
(追記:コロナ禍以降、金あまり(→使い道が無い)
から、各市場分野での投機の状況が加速し、CONTAXの
RTS系中古レンズも、軒並み相場高騰した。そうした
中で本レンズは、非常にレアであり、ほとんど流通
しなくなってしまった。仮に見かけた場合は、上記に
書いた金額以上では、コスパが悪いと判断する事が
適切であろう。高額な中古相場は「高く売れるかも
知れない」という投機的相場だ。だから、仮に誰も
買わなければ、相場は必ず下落する)
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さて、8本目のシステム
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(新品購入価格 27,000円)(以下、Meike12/2.8)
カメラは、FUJIFILM X-T1(APS-C機)
2018年頃に発売された、中国製のAPS-C型対応
ミラーレス機用MF超広角単焦点レンズ。
「mEiKE」と、大文字小文字が入り乱れたロゴマーク
であるが、以下はMeikeと記載する。
個人的には、「恐らくはツァイス・ディスタゴン系
構成の21mm/F2.8級レンズを2/3倍~1/2倍に
スケールダウンしたジェネリック・レンズであろう」
と推察しているレンズだ。
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製造品質が高く、国産の普及レンズを上回る高級感が
存在する。
名レンズのジェネリックなので、写りも悪く無い、
僅かな「像面湾曲収差」によりボケ質の低下や
周辺の甘さが見られるが、重欠点とは言えず、むしろ
解像感、周辺減光、歪曲収差等のビギナー層でも目に
つきやすい課題は良く抑えられている。
僅かな弱点としては、まずMeike製のレンズのいくつか
は、レンズ上のピント指標がおかしい場合があり、
本レンズも同様である。仕様上では最短撮影距離10cm
であるが、本レンズには15cmまでしか指標が無く
それ以下、どこまで寄れるか? よくわからない。
他のMeikeレンズでも、オーバーインフ(無限遠を
超えて廻る)になっている場合もあり、これは設計上
の課題か、あるいは各ミラーレス機用マウントで製造
販売される上で、マウント毎の微妙な仕様の差異に
対応できる基本設計が出来ていないのか? まあそんな
感じであろう。
また、「ディスタゴン構成はピントが分かり難い」
という弱点があると個人的に分析しているが、本レンズ
も同様にピントの山がわかりにくい。
でも、全般的に悪く無いレンズである。
特に、FUJIFILM Xマウントで購入する事にも意味があり
APS-C型センサーのXマウント機で、超広角画角を得よう
とすると、メーカー純正レンズは販売数の少なさから
超割高になってしまい、購入不能であるから、本レンズ
のようなジェネリック高性能超広角レンズは購入する
意味や価値が大きい。
他マウントの場合は微妙であり、μ4/3機では24mm
相当と平凡な広角画角となってしまう。
また、フルサイズ機では本レンズはケラれてしまう。
限られたユーザー向けレンズだとは思うが、参考まで。
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では、今回ラストのB級マニアックシステム
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(中古購入価格 15,000円)(以下、S105/2.5)
カメラは、SONY α7(フルサイズ機)
1953年発売の、レンジファインダー機、「ニコンS
シリーズ」用のMF単焦点中望遠レンズ。
型番「P」はペンタ、つまり5枚レンズを指し、
本レンズは、ツァイス・ゾナー型の3群5枚構成を
採用しているのだが、1971年からの一眼レフ用
Fマウント「NIKKOR-P Auto 105mm/F2.5」系統
では同じP型番ながらも、4群5枚(クセノター型)と
なっていて、本レンズとは構成が異なっている。
4群5枚構成版のAi105/2.5は、かつて所有して
いて、写りも気に入っていたのだが、訳あって
譲渡してしまっていた。
後年、2010年代にAi105/2.5を買いなおそうとした
のだが、NIKON フルサイズ・デジタル一眼レフの
普及に伴う、NIKON銀塩用MFレンズの投機的な値上げ
により、中古相場が不条理なまでに高騰してしまい、
「そんな高いAi105/2.5はいらんよ!」と思い、
本レンズ(ゾナー型旧タイプ)を歴史的価値から
購入し、さらに後年には、Ai105/2.5の購入を避けて
個性的な描写特徴を持つ、Ai105/1.8S(1981年、
5群5枚構成)の購入に至った次第である。
(追記:記事執筆後にAi105/2.5を適価で入手
でき、NIKKOR 105mmが多数揃ったので、いずれ
それらの歴史的変遷を紹介する記事を掲載予定だ)
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思え無い程に、驚くほど描写力が高い。
「ツァイスの名レンズ、Sonnar 85/2の1.25倍拡大
ジェネリックだ」という高描写力の理由(根拠)は、
あるのだが、それにしても、このレンズの写りを
見てしまうと、「その後の70年間も、レンズの開発は
いったい何をやっていたのだ?」と、不満や懸念を
感じる程である。
弱点はただ1つ、現代ではレア品で入手困難である
という点か。まあ、一眼レフ用のFマウント105/2.5
は入手は容易だとは思うが、前述のように、それらは
レンズ構成がゾナー型では無くなっているし、さらに
場合によっては投機的措置が加わって高額相場に
なっている場合もある。
レンジ用、一眼用、いずれの場合でも、NIKON製の
105mm/F2.5の適正相場は、15000円程度となると
思われる、それより高価ならばコスパが悪くなって
しまうのだ・・
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さて、今回の補足編「高マニアック度B級編(6)」記事は、
このあたり迄で。次回記事に続く。