レンズマニアックス+(プラス)通算第18回目の
今回記事では「SIGMA MOUNT CONVERTER MC-11」
電子アダプターの徹底検証を行う事とする。
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SIGMA MOUNT CONVERTER MC-11(以下、MC-11)
は、2016年に発売されたアクセサリーであり、
基本的には「SIGMA製の一眼レフ用AFレンズを
SONY E(FE)マウントミラーレス機に装着する」為の
”電子マウントアダプター”であると思えば良い。
SIGMA SA(マウント)→SONY E/FE および
CANON EF(マウント)→SONY E/FE の2機種
が存在し、発売時定価は、税別37,500円、
中古品は2万円前後の相場で流通している。
姉妹製品として、MC-21(2019年発売、SIGMA製
一眼用レンズ→ミラーレスLマウント)および
MC-31(2020年発売、PLマウント・シネレンズ
→ミラーレスLマウント)が存在する。
これらのMC-11等の電子マウントアダプターは、
殆どのレンズ側機能(絞り制御、AF、シームレスMF、
APS-Cモード(DCレンズ)、OS(手ブレ補正)、等)
に対応しているので・・
例えば、SIGMA製高性能レンズ(ART LINE等)を、
CANON EOS一眼レフと、SONY α7/9系機体等で
実用的に(=AF等使用可で)兼用(共用)できる。
この特徴から、まず、職業写真家層や、上級層、
実践派マニア層等の間でMC-11の利用が流行する。
EOS(一眼レフ)とα(ミラーレス)は、それぞれ
長所短所や、異なる被写体適正があるから、業務上
又は重要な実用撮影において、どちらか(EOS or α)
のシステムだけでは、カバーできないケースも多々
あるからだ。つまり、1度の撮影シーンにおいて、
同じSIGMA製レンズを2系統の母艦で共用する訳だ。
まあ、SIGMA側としても、そういう風にユーザー
が使ってくれる事を意図し、SIGMA製レンズ
(特にCANON EF版)の販売機会を高める事をも
狙った商品企画であろう。
(事実、私も、MC-11の存在を知っていた為、
所有ART LINEレンズの内の4本をCANON EFマウント
版で購入している。NIKON Fマウント版のSIGMA製
レンズでは、MC-11が利用できないからだ)
(注:何故、NIKON Fマウント版のMC-11が存在
しないか?の正確な理由は不明。しかし、その推測は
SIGMA SAマウントレンズの電子接点を見て貰えれば
それがCANON EFマウントの電子接点と、そっくり同じ
ものである事から類推できるであろう。すなわち
SIGMAとCANON EFは親和性が高い、恐らくは電子通信
プロトコルも共通であり、両社は協業していた可能性
が、ずいぶんと高い訳だ。したがって、MC-11のSA
およびEFマウント版は、SIGMAとしても作り易い)
この用法を広める為、MC-11の発売頃(2016年)
には、SIGMA ART LINEの高性能レンズ(Art35/1.4
およびArt50/1.4 注:いずれもやや旧型)の
CANON EF版(とSIGMA SA版)に、MC-11を
バンドリングしたキットが限定数で販売されていた。
それらを「単品同士で買うより割安だ」と入手した
ユーザー層から、MC-11の人気が広まったのかも
知れない、という推測をする事も出来る。
(注:SAマウント用のMC-11/MC-21に関しては、
SIGMAはもうSAマウント機を新規に作らない事を
宣言しているので既存ユーザー救済の意味もある)
ただし、このMC-11等は、基本的にはSIGMA製レンズ
の機種毎でのレンズデータに個別に対応する製品だ。
よって、機種登録のアップデートが定期的に必要に
なるし、MC-11に非対応のレンズを装着した場合には、
それが、ちゃんと動作する保証は一切無い。
(注1:概ね2013年頃のSIGMAの3ラインナップ整備
以降の時代に発売されたSIGMA製レンズ群に対応)
(注2:今回の検証ではEF-E Ver 1.33を使用。
なお、MC-11のアップデートには、専用ソフト
「SIGMA Optimaization Pro」をPCにインストールし、
USBケーブル経由でファームアップを行う必要がある)
また、カメラ側も、全ての機種に対応している訳でも
無いのだが、ここについてはSONY NEX/α系機体は、
プロトコル互換性が高いからか? 「ほぼ全ての
SONYミラーレス機で利用できる」との事である。
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さて、今回の検証では、MC-11 EF-E (EOS EF用)
(中古購入価格 20,000円)を用いて、
SIGMA製CANON EFマウントレンズ、CANON純正EF
マウントレンズ等、多種多様のレンズを用いて
個別検証を行う。
勿論、あまりに変な組み合わせでは、動作しない
ケースもあるだろうが、そこは想定済みであり、
そうした仕組みがわかった上での、ユーザー側での
「自己責任」の範疇での検証である。
なお、MC-11にはステータスLEDが内蔵されていて、
装着したレンズが対応しているか否か? 又は
レンズやMC-11のファームアップが必要か?等の
情報を赤色や緑色の点灯・点滅で知らせてくれる。
(注:今回の試験レンズは、その多くがMC-11には
非対応のレンズであり、対応LEDは消灯したままだ。
だが、「その状態でも使えるか否か?」が、今回の
重要な検証ポイントとなる)
また、特殊な組み合わせ(=非対応状態)を試した
際、勿論、動作したり、しなかったりもするだろう。
場合により、異常動作になったり、プロトコル又は
カメラ・エラーとなったり、最悪は機器が故障して
しまうかも知れない。
だが、そこもマニア的な「自己責任」の範疇であるし、
このシステムの動作原理の概要を理解している上では、
あまり無茶な用法も、する筈も無い。
が、読者層については、あまり真似をしない方が良い
措置であろう、参考までに留めてもらうのが賢明だ。
で、こうした措置により、本「電子アダプター・
システム」の実用性を検証する記事とする。
準備している所有カメラ(SONY NEX/α)は5機種、
レンズは10機種である。これらを組み合わせて検証
するが、これらを「総あたり」にする必要は無い。
電気電子分野に詳しくない、技術系以外の人達だと、
すぐに、そういった「作業」(ともかく手を動かす事)
を行う発想になるが、エンジニア系であれば、中身の
仕組みを理解した上で、「問題になりそうなケース」
や「上手く動くだろうケース」を、ピンポイントで
チェック(動作検証)をしていく発想になる訳だ。
まあ、後者はソフトウェア開発における「デバッグ」
と類似であろう。テストデータ(良否等がある)を
ソフトに入力し、それらが全て問題なく計算や動作が
出来ているならば、「どんな場合でも、そのソフトは
ちゃんと動作するだろう」と推測できる次第だ。
今回準備した10本のレンズにおいても、ソフトウェア
の「デバッグ用データ」と同様に、様々な特性
(機能、特徴)を持つレンズ群を選んでいる。
「ヤバそうな」組み合わせを中心に、母艦1機種
あたりで各2種類のレンズで検証していこう。
なお、レンズは殆ど全てがCANON EFマウント版
であるが、「マウントアダプター重ね」も、一部
試してみる事とする。
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では、最初のシステム(組み合わせ)
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レンズは、SIGMA 135mm/f1.8 DG HSM | ART
(以下、A135/1.8)
マウントは、CANON EF(フルサイズ)
カメラは、SONY α7(フルサイズ機)
対応LED表示:対応(旧バージョン表示)
組み合わせ評価:良好
これは、オーソドックスな組み合わせだ。
近代のSIGMAを代表する、フルサイズ対応高性能
レンズ・シリーズである「ART LINE」の中核レンズ
A135/1.8に、SONY αフルサイズ・ミラーレス機
の最初期かつ最もベーシックな機体である「α7」
(注:像面位相差AF搭載)との、オーソドックスな
組み合わせだ。
もし、これで上手く動かないと「他の全てが怪しい」
という話となってしまう。さすがにそれは無かろう。
・・で、この組み合わせは、まともに動作する。
HSM(超音波モーター)は、やや遅いが、我慢が
出来ない程ではなく、静粛だしピント精度も高い。
撮影距離1m以下の近接域でも、AFの精度は出ている。
(注:本レンズの最短撮影距離は87.5cmだ)
ただしAFは、AFS(シングルAF)のみ対応であり、
AFC(コンティニュアスAF)、AFA(自動切換え)
には対応していない。
また、MINOLTA/SONY伝統の、DMF(ダイレクトMF)
には、対応/非対応レンズがあるが、本A135/1.8
や、比較的新しい(2010年代後半)のSIGMA製
レンズであれば、概ね対応している。
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AFが少し遅いのは、本A135/1.8では、内部の巨大
なレンズ質量を動かすので、まあ、やむを得ない。
これをEOS一眼レフで使っても、ほぼ同様だ。
レンズの性質(特性)上、そしてMC-11経由の
場合は特に、頻繁に動き回る(高速)動体被写体
にはあまり向かず、静止または準静止被写体向けの
システムとなる。
それと、本レンズはバージョンが1つ古い模様だ。
対応チェック用のLED表示は「緑の点滅」であり、
これは「アップデート推奨」という意味を示す。
だが、SIGMAの一眼レフ用レンズのファームウェア
のアップデートには、レンズ側のマウント毎の
「USB DOCK」を別途購入しなければならない。
アップデートの為だけに、余分な出費はかけたく
無いし、ほぼ全マウントのカメラを使う私としては、
USB DOCKをマウント毎に一々買ってはいられない。
で、MC-11にはUSB端子が付いているので、アップ
デート専用ソフト「SIGMA Optimaization Pro」を
使って「MC-11経由で、レンズのファームアップが
出来るのか?」と試してみたが、全く反応しない。
つまり「Optimaization Pro」は、MC-11そのものの
アップデートしか出来ず、レンズのアップデートには
やはり「USB DOCK」を別途買わなければならないのだ。
これはどうも・・ このシステムの設計仕様には
賛同が出来ない。なんとも不便な状況だ。
ちなみに、SONY Eマウント用のSIGMA製レンズの場合、
USB DOCKは不要であり、EマウントのカメラのUSB端子
を経由し、カメラ側からレンズ側にファームウェアを
流し込む事が可能だ。
まあ、これはSONY側のカメラの設計仕様もあるの
だろうが、消費者側から見て、不便さを感じない
(=ユーザーフレンドリーな)方法論だ。
MC-11とOptimaization ProはSIGMA自社内で完結する
システムであるから、MC-11のUSBを経由してレンズ
のアップデートが出来るようになって、しかるべきで
あろう。技術的には、実現はさほど困難では無い筈だ。
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さて、それと「ART LINEの中核レンズと言えば、
ART 85mm/F1.4ではないのか? そちらは
どうなのだ?」と、思う人も居るであろう。
実は私も、今回のテストはA85/1.4にするか、
A135/1.8にするか?を迷った。焦点距離等の
スペックこそ違うが、両者、ほぼ同等の重量と
サイズ感であるし、同じ時代の同じ製品系列でも
あるので同等の通信プロトコルを持っている事で
あろう。なので、両方ともテストするのは冗長だ。
でも1つだけ、この両者には大きな差異がある。
それは、A85/1.4には、何と500gも軽量化された
SONY FEマウント版の「SIGMA 85mm/F1.4 DG DN」
が、後継機として2020年に発売されているのだ。
当該、後継型レンズは未所有だが、500g(!)も
軽くなっているのであれば、今後FEマウントで
A85/1.4(一眼レフ用)を使う筈が無いであろう。
その両者の描写力に殆ど差異が無いのであれば、
レンズは、軽ければ軽い程、望ましい。
だからもう、既存のA85/1.4は一眼レフ用に特化
するしか方法が無い。その重いレンズをMC-11で
SONY FE機に装着するのは、軽量レンズが別途
存在している事を知っている以上、何だか癪だ。
(悔しいので、いずれ後継型を買う事としよう)
ちなみに、本A135/1.8以外の他の同時代の
EFマウント版での所有Art Lineレンズ(A40/1.4、
A50/1.4、A85/1.4)でも、問題無く動作する
事は確認済みだ。(ただし「バージョンが古い」と
LEDが点滅するので、なんだか「USB DOCKを買え」
と言われているようで、鬱陶しい・笑)
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続いて、2つ目の検証。
カメラはそのままで、レンズを交換しよう。
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レンズは、CANON EF-S 35mm/f2.8 Macro IS STM
マウントは、CANON EF-S(APS-C)
カメラは、SONY α7(フルサイズ機)
対応LED表示:装着不能
組み合わせ評価:装着不能につき、使用不可
この場合、レンズはCANON純正だがAPS-C機専用
のEF-Sタイプである。
この組み合わせは、残念ながら、MC-11には
装着不能であった。
【注意点】EF-SレンズはMC-11では使用不可。
まあつまり、MC-11はCANON EFマウント互換で
あった事が判明した訳だ。(詳細後述)
もし、このレンズが装着できていたならば、
FE機で自動的にAPS-Cモードに切り替わるか?とか、
マクロでのAF精度。そして、IS(手ブレ補正)や
STM(ステッピングモーター)の動作。さらには
LED照明までを内蔵している高機能型レンズなので、
このような「あれこれと沢山の機能が付いている」
レンズにおいても、それらがちゃんと動作するか?
の検証を行いたかった訳だ。
ちなみに、CANON EFマウント(フルサイズ)と
EF-Sマウント(APS-C)は、形状は互換なのだが、
以下の装着条件がある。(レンズから見た場合)
*EFマウントレンズ
→EFマウントフルサイズ機、および
EF-SマウントAPS-C機の両者に装着可能。
*EF-Sマウントレンズ
→EF-SマウントAPS-C機にのみ装着可能。
なお、参考だが、CANON EF-EOS M電子アダプター
の場合、EFマウントも、EF-Sマウントのレンズも
両者共に装着可能である。(SIGMA MC-11も、
この仕様にしてくれれば良かったと思う)
それと、上記を逆に、ボディ側(マウント側)
から見れば、装着可能レンズは以下となる。
*EOS EFマウント フルサイズ機
→使用可能レンズは、 EFマウントレンズ。
(通常はAF+絞り環無しレンズだが、海外製等の
EFマウントMFレンズも装着可能。
絞り環を持つMF等のレンズの場合、絞り込み
測光(実絞り測光)となる。これは、絞り込み
すぎると光学ファインダーが暗くなるので注意)
(および、通常の(機械式)マウントアダプター
により、NIKON F、M42、CONTAX RTS(Y/C)
マウント等の、絞り環を持つ銀塩用(オールド)
レンズや海外製レンズが、MF+絞り込み測光で
使用可能。ただし、電子接点付きアダプターを
使わない限り、フォーカスエイドは無効となる)
*EOS EF-Sマウント APS-C機
→使用可能レンズは、 EFマウントレンズ、
および、EF-Sマウントレンズの両者。
(それと、MFレンズや機械式マウントアダプター
使用時の条件は、上記EFマウントと、ほぼ同等)
*EOS Mシリーズ APS-C機
→使用可能レンズは、 EF-Mマウントレンズ。
*EF-EOS M電子アダプターを介してEOS M機
→使用可能レンズは、 EFマウントレンズ。
およびEF-Sマウントレンズの両者。
(加えて、MFレンズや機械式マウントアダプター
も、上記と同様な条件にて重複使用可能)
*EOS Rシリーズ フルサイズ機および
EF-EOS R電子マウントアダプター
→未所有につき未検証。詳細割愛。
・・となる。
色々と、装着できる条件がややこしいが、
簡単に言えば、EOS系カメラを買うならば、APS-Cの
一眼レフ、および/又は、APS-Cのミラーレス機
(EF-Sマウント機、およびEF-Mマウント機+
EF-EOS M電子アダプター↓)を購入しておけば、
殆どのEF系マウントのレンズ(R/RFマウント除く)
等(や、一部のMFレンズ)が利用可能だ。
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注意すべきは、ビギナー層等が、最初にEF-Sの
APS-C型一眼レフ(キスデジ等)を買って、EF-S
マウントのレンズのみを買い揃えた場合・・
後にEFマウント機(EOS一眼レフ・フルサイズ機、
EOS 5D/6D系列等)に買い換えた場合、それまで
使っていたEF-Sマウントレンズは、全て装着
できなくなる。(=一切、使えなくなる)
これでは、途方に暮れてしまう事であろう。
この問題がある為、個人的にはEF-Sマウントの
レンズを研究用の2本を除き一切購入していない。
買うならば互換性の高いEFマウントのレンズだ。
また、中上級層であれば、CANONの一眼レフは
フルサイズ機とAPS-C機の両者を保有する事が
レンズ使用互換性からは、望ましい事となる。
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では、3番目のシステム(組み合わせ)
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レンズは、SIGMA MACRO 70mm/f2.8 EX DG
マウントは、CANON EF(フルサイズ)
カメラは、SONY NEX-7(APS-C機)
対応LED表示:非対応
組み合わせ評価:AFが合わない(MFならば使用可)
SIGMA自社製のレンズであるが、2006年製と、
やや古い。(かつ、ややレアなレンズである)
SIGMA自社製品と言っても、MC-11のレンズデータ
(ROM)は、もっと新しい時代(概ね2013年以降)
の機種が中心になっているし、そうであっても、
新製品の全機種のデータが入って(またはアップ
デートされて)いる訳では無い。
ここまで古いレンズは、果たして動作するか?
まあだけど、この時代のレンズに必要な情報伝達
プロトコルは、恐らくは、「レンズ種別、仕様、
AF開始、停止、MF、絞り値」、そのあたりだけだろう。
それ以外の情報伝達は、不要だと思われるし、
それ以外の複雑な情報をレンズに送っても、レンズ側に
そういう(新)機能は無いから、受け付けないだろう。
・・で、実際には、このシステムはAFがNGであった。
上記の基本プロトコルは確かに送受信されている模様
だが、AFが壊滅的に遅く、かつ、合焦距離でぴったり
とは止まらない。AFが何度か迷って停止した後では、
「必ず」ピンボケになってしまっている。
このレンズには、Full/Limitの切り替えがあり、
都合3種類の合焦距離範囲モードが使えるのだが、
どれを選んでもNGである。(無限遠合焦すらもしない)
また、カメラ側NEX-7は古い「コントラストAF機」
であるから、これを新しい「像面位相差AF機」に
変更しても、やはりNGだ、ピントが全く合わない。
まあ、作例はMFで撮ったものを載せておこう。
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ここでわかった事は「一般的なDCモーター内蔵の
レンズでは、MC-11ではまともにピントが合わない。
それは、例えSIGMA製のレンズであってもNGだ」
である。
【注意点】DCモーター型レンズはAF使用不可。
でも、ここも、あまり賛同できない設計思想だ。
少なくともSIGMA自社製品位は、多少古い時代の
レンズであっても、対応して貰いたいと思う。
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では、レンズを変えて4番目のシステム。
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レンズは、mEiKE MK-85mm/f1.8 (MK85F18EFAF)
マウントは、CANON EF(フルサイズ)
カメラは、SONY NEX-7(APS-C機)
対応LED表示:非対応
組み合わせ評価:使用不可(エラー状態)
2018年末頃発売の、中国製AF中望遠レンズ。
一応CANON EFマウント版であるが、さすがに
こうした非常にマイナーなレンズのデータが、
SIGMA MC-11のROM(内部メモリー)に入っている
筈は無いと思われるし、SONY機側からのAF関連の
通信プロトコルに対応している(またはMC-11で
プロトコルが変換(≒翻訳)できている)とも
思いにくい。
こうしたケースでは、最低限の「AFプロトコル」
(レンズ側に対して、AFモーターが動け、止まれ。
絞りを変えろ、という、基本的な命令群のやりとり)
が動作(解釈)できれば、それで良い、という感じだ。
だが・・ 本MK85/1.8をMC-11経由で装着し、
電源を入れた途端に、レンズから異音が発生(汗)
元々、AFがガタピシと言うレンズなので、まあ多少の
異音はやむを得ないのだが、それにしても、普段にも
増して様子がおかしい。レンズ側のAF初期化状態で、
既に通信エラーが発生しているのであろう。
ここからはカメラ側のEVFはブラックアウトしたまま。
背面モニターのカメラ設定一覧表示も、自分で設定した
表示内容とは異なって、撮影情報がかなり削減された、
普段では見た事が無い表示形態となっている。
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エラーメッセージ自体の表示は無いのだが、これは
まあ、間違いなく「プロトコルエラー」であろう。
試しにシャッターを切ってみる。AFも反応しないし、
写真そのものも、一切撮影できない。
これはもう「使用不可」だ、やむを得ない。
結論は「さすがに、ここまで怪しげなレンズでは
MC-11は、まともには動作しない。撮影不能。」
である。
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さて、5番目のシステム(組み合わせ)
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レンズは、CANON EF 40mm/f2.8 STM
マウントは、CANON EF(フルサイズ)
カメラは、SONY NEX-3(APS-C機)
対応LED表示:非対応
組み合わせ評価:AF動作はするが、実用範囲外
CANON純正の薄型(パンケーキ)AFレンズである。
STM(ステッピングモーター)は、カメラ側から
電源を通電(供給)しない限り、AFはもとより
MFも動かない。(勿論、絞り値変更も動作しない)
この仕様は、個人的には「短所」または「重欠点」
だ、と解釈している。
何故ならば、上級撮影技法の中には、できるだけ、
カメラの電源投入前(または電源投入と並行して)に
MFでの仮合焦を行い、AFの合焦速度を大幅に短縮する
事(=速写性を高める事)を目論むケース(技法)が
あるからだ。
この技法は、MFレンズであれば「当たり前」である。
AFレンズでも、レンズ内モーター非搭載型レンズや、
又は距離指標を持ち、ピント距離とAF距離が完全に
連動する通常(DC等)モーター内蔵型レンズの場合
では、同様に「とても有益な撮影技法」である。
しかし、各種(USM/HSM/STM等)の新型モーター搭載
レンズを用いる場合、ピントリングは無限回転式で、
上記の「MF位置とAF位置の連動」が成り立たない。
おまけに、それらのAF開始位置は、近接端または
無限遠から始まる仕様である。(途中の距離から
AFが動作開始をする事は、まず無い)
だから、これらの新方式のレンズの場合は、あくまで
カメラの電源を入れて、レンズに通電(給電)され、
カメラのOS(オペレーティングシステム)が起動後で
さらには、モーターのAF駆動系を初期化した後で
ないと、ピント系の、あらゆる操作が出来ない訳だ。
(勿論、絞り値動作も、同様に事前操作は出来ない)
旧来のMFレンズや一部のAFレンズであれば、カメラの
電源投入前に、ピントや絞り値を予め適正と思われる
設定としておく事は、不意に現れる被写体に対しての
「速写性」を高める措置として非常に有益だ。
(例:屋外で撮影時、野鳥等が飛行する可能性が
高い場所(川原等)で、絞り値を開放近くに開けた
ままにしておくと、銀塩機はもとより、デジタル機
でも、シャッター速度オーバーになるリスクがある。
こんな場合、予めレンズの絞り値をF5.6やF8程度
の、撮影場所での光線状態(輝度の環境)および
カメラ側ベースISO感度や、設定ISO感度に応じて
カメラの最高シャッター速度がカバーできる値に
したまま待機する。この措置は現代レンズでも可能
ではあるが、一々カメラの電源を入れないと絞り値
が変更できない。絞り環を持つMF/一部のAFレンズ
であれば、これは、いつでも手指で廻す事が可能だ。
そして、ここに前述のMF事前合焦動作を組み合わせ、
仮に、無限遠あたりにピントリングを手動で廻して
おいて待機すれば、不意に現れた、例えば遠距離に
飛ぶ野鳥等をカメラの起動直後に即時撮影が可能だ)
で、これらの例に挙げたような「事前操作」は、
現代的なシステム(具体的には、超音波モーター内蔵、
無限回転式ピントリング、距離指標無し、レンズ側
絞り環無し)では、実現不能である。
この結果、現代カメラシステムでの「速写性」は、
明らかに旧世代のカメラシステムよりも劣っている。
だが、そうなってしまった原因はどこにあるのか?
「超音波モーターが入っている”爆速AF”で無いと、
上手く撮れない」とかの感覚を持つ、超ビギナー的
な消費者層の比率の高さが、まず第一の課題だ。
彼らは、機材側の性能に頼りきった撮影技法しか
出来ない。(それしか知らない)
で、どんな”爆速AF”であろうと、上級MF技法による
「ゼロタイム・フォーカス」には決して敵わない。
次いで、そうしたビギナー層のニーズ(要望)を調べ、
「超音波モーター搭載レンズならば高価に売れる」と、
そういう製品を企画したメーカー側にも問題がある。
何故、高価に売りたいか?は、カメラ・レンズ市場が
スマホの台頭等の原因で、大きく縮退しているからだ。
つまり、レンズが殆ど売れないから、1本あたりの
販売利益を高めないと、メーカーも流通(販売店等)
も、事業(ビジネス)をやっていけない訳だ。
そうやって、「超音波モーター」等をありがたがる
ビギナー層(注:スキルのある中上級層以上ならば
むしろ旧システムの方が素早く撮れる事は知っている)
等に向け、それは「付加価値」(=消費者側から見た
製品を欲しい、と思う魅力・理由・購買動機)となり、
メーカー側からも「付加価値」(=高額な商品を販売
する事による、利益構造そのもの)となる訳だ。
一見、Win-Win(どちらも得する)市場原理に見えるが、
何度も書いているように、それが旧来システムよりも
非効率的な撮影しか出来ないので、上級ユーザー層
(ハイアマチュア層、ベテラン層、マニア層、職業
写真家層、等)全般では、これが大きな不満なのだ。
だから、上級ユーザー層は、こうした不条理な仕様と
なってしまった新製品には興味を持つ事が出来ず、
旧来のシステムを頑なに使い続ける訳だ。
(参考:TAMRON社では看板商品の90マクロにおいて、
超音波モーター(USD)搭載の新型が2010年代に
F004/F017と順次新発売されているのに、
2004年頃に発売された、USD無しの旧272E型が
長期間(~2019年頃迄)併売されていた。
まあつまり、USD仕様では、近接撮影がやり難い
(効率的では無い)事は、メーカー側でもわかって
いるのであろう。USD仕様の新型マクロを手にして
「こんなもの、使いものになるか!」と不満を持つ
煩い消費者が居たならば、「ではUSD無しのレンズは
いかがでしょうか?」と代替案を提示出来る訳だ)
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・・で、話は戻ってSTMだが、事前撮影準備動作が
一切効かないSTM仕様は、個人的な好みに合わない
機材であり、たった2機種しかこの仕様のレンズを
購入していない(2010年代中頃迄は、むしろ頑なに
STMレンズを買わないようにしていた位でもある)
「汎用的では無い」というのも、嫌いな理由だ。
高価な電子アダプターを使わない限りは、STMレンズ
は、CANON機(EOS一眼レフ、EOSミラーレスM/R機)
以外では使用不可だからだ。こうした「排他的仕様」
(自社同士の製品でシステムを固めない限り、他社
製品と組み合わせた場合に性能が発揮できない、又は
そもそも撮影する事ができない等)には賛同出来ない。
さて、STM仕様への苦言はここまでとしておき、
肝心のEF40/2.8の動作だが、一応AFは効く。
しかし、AF合焦までは、まず大振幅(長周期)で
ピント(STM)が行ったり来たりし、次いでその振幅
(周期)が小さくなっていき、いずれ、AF合焦距離で
収束して止まる・・ (注:止まってもピントが
合っていない場合もある)
その間、優に数秒間という、壊滅的な遅さだ。
まあ、実際の多くのカメラでのAF機構で、同様な
動作シーケンスをしてAF駆動を停止させているの
だとは思うが、この組み合わせでは、その動作が
まるでスローモーションのように遅いのだ。
ちなみに、カメラ側を像面位相差AF搭載機に変更
しても、動作はほぼ同等であり、やはり、遅くて
AFは実用範囲外となる。
【注意点】STM型レンズはAFは実用範囲外。
結論としては、CANON STM搭載レンズの場合、
「一応、SONY機で絞りを制御して撮れる」という
程度のレベルであり、低性能なAFを我慢して使うか、
またはSONYミラーレス機での、優秀なピーキング
機能を頼りに、MFで撮るしか無いと思う。
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さて、レンズを変えて、6番目のシステム
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レンズは、SIGMA AF 50mm/f2.8 Macro
マウントは、CANON EF(銀塩用フルサイズ)
カメラは、SONY NEX-3(APS-C機)
対応LED表示:非対応
組み合わせ評価:MFで撮影可、露出不安定。
いわくつきの1990年代の銀塩用AFマクロレンズだ。
何が問題か?は、過去記事で何度も書いているので、
今回は簡単に説明しよう。
この時代のSIGMA製CANON EFマウント用レンズは、
2000年以降のCANON一眼レフ(銀塩EOS 7以降、
デジタルEOS D30以降)に装着すると、エラーと
なって撮影できない。
理由は、この時期(2000年頃)に、CANON側が、
レンズ・カメラ間の通信プロトコルを変更したから
であろう。(注:とは言え、この時代にはSIGMAは
CANON銘レンズのOEM生産を行っていた可能性は高いし、
SIGMA SAマウントレンズの電子接点形状、および
通信プロトコルも、恐らくはCANON EFレンズと同等だ。
であれば、「CANON側が勝手に変えた」という類推も
実際には違うかも知れず、そうであれば「デジタル
時代に入るのを機に」という事で、問題点の発生には
目をつぶり、CANONとSIGMAが協調して、プロトコルの
変更を行ったのかも知れない。まあ、いずれも推測では
あるが、結果的に旧SIGMAレンズを新型EOS機で使えない
のは確かな事実だ)
ユーザーに取っては困った話だ。これまで使っていた
SIGMA製レンズが、新しいカメラ(EOS)に買い換えたら、
全て使えなくなってしまうのだから(怒)
だが、この事は、メーカー側からは納得のいく発表も
対策(救済措置)も行われなかったし、ユーザー側
からも、あまり問題にはされなかった。
それは、丁度、デジタルへの転換期であった為、
「ああ、それはフィルムカメラ用のレンズなので、
デジタル一眼レフでは使えませんよ」と言われて
しまえば、皆、何となくそれで納得してしまうからで
あろう。
だから、デジタル転換期の「どさくさ」にまぎれて、
本件は「うやむや」になってしまっている。
今時であれば、大問題になりそうな話なのだが、
ユーザー側からの情報発信手段も殆ど無い時代だ、
多くのケースで「泣き寝入り」となっていたであろう。
本ブログでは、この問題を長年、何度も記載しており、
それを回避する(すなわち、旧SIGMA製レンズを使用
する)手段も、時代に応じて様々な検証を続けて来た。
有益な手段(対策)としては・・
まず、銀塩EOS機(1990年代末迄の製品)を
用いれば、旧SIGMA製AFレンズは問題無く使える。
だが勿論、現代においてフィルム撮影は、あまり
現実的な対応では無い。
次いで、
「CANON EF→ミラーレス機用の、機械絞り羽根機構
内蔵型マウントアダプターを用いる」である。
これで、とりあえずMFでは動作はする。
しかし、この絞り羽根は本来の絞り構造とは異なる
為、この方式では、露出調整には有効ではあるが、
光学的効能(例:被写界深度の調整、諸収差低減、
ボケ質破綻の回避等)は、殆ど得られない。
第三の手段として、プロトコル互換性が高い(つまり
あまり、ずる賢くない/シンプルな)電子アダプター
を用いる事だ。
「CANON EF-EOS M」(EFからミラーレスM機用)
電子アダプターを用いた検証では、SIGMA旧レンズの
ごく一部の機能は復活できる。だが、AFや露出制御の
全てが動作する訳では無いし、非常に不安定でもある
ので、これは「実用範囲以下」という結論であった。
今回は、電子アダプターMC-11を用いる事で、
SIGMA製の旧型(1990年代)AFレンズを、ちゃんと
使えるようになるのか? そこの検証である。
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状況だが、まず、旧SIGMA製AFレンズを装着しても
エラーにはならない。
が、AFは動作しない。レンズ側AF/MFスイッチを
AFに切り替えると、稀に「キュイーン」と異音が
して、故障リスクがあり、危険である。
絞り値は、カメラ側からは一応制御が可能だ。
ただし、実際に撮影すると、相当に不安定であり、
少し絞り値を変えてみたりすると、露出が出鱈目に
なる。多分、全く絞り込まれていないのであろう。
まあ、前述のEF-EOS M電子アダプターを使った状況と、
ほぼ同等だ。エラーにはならないが、不安定なので、
実用上では、残念ながら使い物にならない。
絞り開放だと、露出が合うケースもあるが、
それだと、前述の「機械絞り羽根機構内蔵型」の
マウントアダプターを使った方が、露出値制御の
自由度がある分、まだマシだ、と言う事となる。
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では、7番目のシステム(組み合わせ)
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レンズは、SIGMA 100-400mm/f5-6.3 DG OS HSM |
Contemporary (以下、C100-400)
マウントは、CANON EF(フルサイズ)
カメラは、SONY α6000(APS-C機)
対応LED表示:対応
組み合わせ評価:静止被写体は可、動体撮影はNG
大型の(超)望遠AFズームである。
で、「C100-400レンズが、MC-11に対応した」
というSIGMAからのアナウンス(2020年頃?)を
見て、それがMC-11の直接の購入動機となった。
(理由は後述する)
本C100-400は、2017年の発売直後から、ずっと
ボート競技の記録撮影用の主力レンズとして
大活躍している。2017年より前では、SIGMAも
TAMRONも150-600mm級超望遠しか(当時では)
ラインナップしておらず、それらは、重すぎて
実用範囲外であった次第だ。だから400mm級の
軽量な新製品の登場(TAMRONも2017年に同等
仕様品を発売。まあ、「600mmはデカすぎる」
と言う、当然の市場判断であろう)は、大歓迎
できる状況であった。
ちなみに近年のSIGMAでは、各レンズの型番として、
「エディションナンバー」が個別についている。
本レンズは「C017」であり、これは「Contemporary
の2017年発売」を表す。
だが、この型番は、レンズ毎の固有(ユニークな)
番号では無い。例えば、同じ2017年に発売された
「SIGMA 16mm/F1.4 DC DN Contemporary」も
全く同じ「C017」のエディションナンバーである。
これ、わざわざ新規にエディションナンバーを
付与する位ならば、どうせならばTAMRONのように
レンズ機種毎に個別の型番を付けた方が良かったの
ではなかろうか? レンズの発売年だけを知っても、
あまり意味(有益性)は無いように思えるのだが・・
(まあ、中古買いの際に、便利なくらいか)
で、本C100-400は「ライト・バズーカ」の愛称を
持つレンズであり、重量は1100g台と、確かに、
このクラスの超望遠ズームとしては軽量な類だが、
これを普段は、「CANON EOS 7D MarkⅡ」(注:
APS-C型高速連写機)に装着して用いる次第であり、
その強力なドライブ性能と引き換えに、総重量は
2kgを超え、ハンドリング性能としてはギリギリ
のレベルだ。これ以上重いと、長時間での手持ち
撮影が困難または不可能となるし、この重量でも
疲労が蓄積していく。
なので、もしEOS 7DⅡと同等性能の、軽量な
ミラーレス機(例:今回使用のSONY α6000。
APS-C機で、秒11コマの高速連写性能がある。
→ただし、バースト枚数は、EOS 7DⅡには
太刀打ちできない)に装着すれば、システムの
総重量を、およそ500g軽減でき、「ハンドリング
性能を向上できるかも知れない」という目論見が
あって、MC-11の購入動機に繋がった訳である。
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さて、実際の使用感だが・・
HSM(超音波モーター)によるAF動作は遅くはなく、
静止被写体ならば、これで十分であろう。
しかし、AF精度があまり高くなく、外しやすい。
上写真のボート競技のような動体被写体の場合では
ピントが合わず、肝心なシーンを撮れないケースが
多発する。(注:α6000は像面位相差AF搭載機
である。また、MC-11も像面位相差AF対応だ。
ただしα6000やα7の像面位相差AFは、最初期
のものなので、技術的には未成熟かも知れない)
DMF(ダイレクトマニュアルフォカース)機能が
動作するのは良いのだが、小型機α6000に装着時
には、システム重心バランス点をホールドした際、
ピントリングに指が届かずに、システム全体の
持ち替え動作が発生する(これは疲労を誘発する)
同様にズーミング操作も重心バランスがやや悪い。
(→本レンズの特徴である「直進式ズーム的用法」
が、やや厳しい。重心の変動が大きいのだ)
これでは、動体被写体で、頻繁にズーミングや
ピント設定を変更する操作には向かなそうである。
OS(手ブレ補正)は、Mode1(通常)は動作する。
Mode2(流し撮り)は、該当する被写体では試して
いないので、有益に動作するか?は不明だ。
また、殆どのα系機体はバッテリーの持ちが悪い
為、丸一日での数千枚の業務撮影には使い難い。
そこで、ボート競技撮影では、予選の間はMC-11
経由で本レンズをα機で用い、決勝リーグでは、
同じレンズをEOS機に付け替える、という措置を
行ったのだが・・ 「システム重量の軽減」という
目的があったのに、結局、カメラを2台持ち出さなく
てはならず、なんだか軽量化メリットが半減だ。
(注:冒頭に記載した「同じ1度の撮影シーンで
同じレンズをEOSとαで共用する」という用法は、
どうも、常に有益という訳ではなく、ケースバイ
ケースとして考えておくのが良さそうだ)
総括的には、静止被写体では有効だが、動体の
被写体だと、まずAF精度が低くて実用範囲外だし、
加えて、各種操作が煩雑となり、少々非効率的だ。
その(動体被写体の)場合は、オリジナルマウント
のEOS一眼レフ機で使用した方が、AF精度が高く、
操作性バランスが良いと思う。
(場合により、他の大型ズームレンズも同様か?)
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さて、カメラはそのままでレンズは8番目となる。
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レンズは、YONGNUO YN 50mm/f1.8
マウントは、CANON EF(銀塩用フルサイズ)
カメラは、SONY α6000(APS-C機)
対応LED表示:非対応
組み合わせ評価:MFで撮影可、露出不安定で使用困難。
本レンズは、CANON EF50/1.8Ⅱ(1990年頃~
2014年頃の期間で販売)の、デッド(完全)
コピー製品である。
複雑な電子機器である近代レンズの、完全コピー
製品が作れる背景には、色々と裏の事情があると
推察できるが、そこは、今回の検証ポイントでは
無いので割愛する。
で、CANONの銀塩AF時代のDC(直流)モーター
仕様の本レンズだ。付加機能も何も無い為、その
通信プロトコルも、最もシンプル(AF駆動、停止、
絞り値)なものしか無いであろう。
・・で、実際の検証だが、AFが全く合わない。
前述の3番目の組み合わせ、SIGMA EX70/2.8の
時と同様な感じである。
これもまた、MFで撮るしか無い組み合わせだ。
ただまあ、4番目のMeike MK85/1.8(中国製
AFレンズ) のように異音がして動作停止して
しまう(カメラもエラーとなり写真が撮れない)
状態よりはマシかも知れない。
しかし露出も不安定だ。絞り値F90等の異常な値
が表示され、絞り値の制御が効かない(動かない)
が、これでも、だいたいだが露出は合っている。
でも、微妙に露出が違うので鬱陶しく、カメラ等の
電源ON/OFFを繰り返すと、稀に絞り値が動くように
なるのだが、今度は露出値がデタラメになる(↓)
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これはもう、「使用困難」としておこう。
ちなみに、本YN50/1.8のコピーの元となったと
思われるCANON EF50/1.8(Ⅱ型では無く初期型)
を装着してみると、5番目に紹介したEF40/2.8STM
同様に、AFは極めて遅いが一応動作し、絞り値も
なんとか制御できる。
YN50/1.8は、EF50/1.8Ⅱのフル(完全)コピー品
というよりも「同じ余剰部品を使って作られた物」
ではなかろうか?と予想していたのだが、どうやら
通信プロトコルが異なる模様だ。そうであれば電気・
電子系部品は、新たに作ったのかも知れない。
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では、9番目のシステム(組み合わせ)
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レンズは、NIKON Ai AF NIKKOR 20mm/f2.8S
マウントは、NIKON F(Ai)(フルサイズ)
カメラは、SONY α7S(フルサイズ機)
対応LED表示:非対応
組み合わせ評価:MFのみで使用可能
ここでは、NIKON F→CANON EF 機械式アダプター
を介して、MC-11経由で、銀塩時代のNIKON製
AFレンズを用いる。
この場合、電子接点を持たず、AFモーターも無く、
AF駆動用カプラーも存在しないので、勿論だが、
MF操作専用であり、絞り値変更もレンズの絞り環
による直接操作となる。
もとより、このシステムではAFが動く筈は無い。
それはマニア層や中上級者ならば、誰でもが容易に
理解できる事だ。
だが、稀に、初級マニア層等では、このシステムと
同じでは無いが、似たようなアダプター構成を用いて、
「効率的では無い(または、まともに動作しない)
システム(組み合わせ)」を組んでいる状況を
見かける。
要は、原理や仕組みが、まるでわかっていない訳だ、
「マウントアダプターとか言う物が流行っているみたい
なので、オレもやってみよう。そうだ、今持っている
レンズを、アルファに付けられないだろうか?」
・・といった、単純な考えなのだろう。
まあ仕方が無い、レンズ等の知識を全く持っていない
事は現代のビギナー層全般の課題である。しかし知識を
学ぶ術すらも知らないのだから、もう止むを得ない。
カメラ雑誌の発刊も減り、ネット上の記事の大半は
新製品を売る為の広告宣伝記事だ。そこには通常の
オーソドックスな用法しか書かれておらず、かつ、
機材の短所や弱点を記載する事もはばかられる世情だ。
マニア人口も著しく減り、彼らからの情報発信も無い。
新規ビギナー層は、レンズ等のマニアックな知識を
入手する術(すべ)が無いのである。
・・で、もし、今回の、この組み合わせが、実際に
必要になるだろうユーザーのケースとしては・・
「銀塩AF時代に、NIKON銀塩一眼レフを使っていて、
その頃のレンズが手元に何本か残っていて、
その後、CANONのデジタル一眼レフEOSを買い、
EOSでNIKONレンズを使う為のアダプターを買い、
さらに、フルサイズのSONY α7(系)を買った。
そして”SIGMA MC-11があれば、CANON用レンズも
α7(系)で使える”と聞いて、それを購入した」
・・という、複雑なストーリーしか考えられない。
ちなみに、こんな特殊なケースでは無いのであれば、
NIKON F→SONY E(FE)の通常型(機械式)の安価な
マウントアダプターが1個あれば、それで済む話だ。
何も、高価なMC-11を買う必要は無い。
その場合、当然AFは効かないが、今回のシステムに
限って言えば、20mm/F2.8のような(超)広角
レンズであれば、少し絞って使えばパンフォーカス化
する為、ピント合わせ動作そのものが、殆ど不要だ。
「MFができない」とかの、情けない事を憂慮する
必要もまるで無い。
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まあ、この組み合わせは、一般的な(電子式では無い)
マウントアダプターの利用と等価である。
「有限回転式ピントリングを持ちMFが出来、かつ
絞り環を持ち、絞り値の直接操作が出来るレンズ」
であれば、とりあえず何らかの(機械式)アダプター
で、マウント形状だけ変換してしまえば良い訳だ。
かつて、2000年代では「一眼レフのマウント毎
でのフランジバック長の差異」の問題により、
実用的なマウント変換ができる組み合わせは限られて
いたのだが、2010年代以降のミラーレス時代では、
フランジバック長の短い各社ミラーレス機において
およそ殆ど全ての旧マウントのレンズが、アダプター
経由で利用できる。
使えない/使い難いのは、旧マウントの中でも完全に
電子化されたマウントの場合のみであり、それには
CANON EOS(EF)、CONTAX N、4/3(フォーサーズ)
の実例がある。(注:MINOLTA α(AF)では、機械式
絞り操作機構で露出連動できるケースが殆どである)
上記の電子化マウントのうち、EOS(EF)は、例えば
EF-EOS Mアダプターで、EOS Mミラーレス機で利用可。
(注:未所有だが、EOS Rミラーレス機でも同様だろう)
また、CANON製EFレンズの一部も、今回の検証により、
MC-11経由で、SONY E(EF)で、なんとか利用可能な
ものもある(注:MFのみの制限であっても、絞り値の
電子的制御により、少なくとも露出は合う)
CONTAX Nは、残念ながら現代では殆ど使用不能だ。
が、Nシステムのユーザー数も非常に少ないであろう。
4/3レンズは、OLYMPUS純正μ4/3用電子アダプター
(MMF-1~3)で、その多くが問題なく利用できる。
なお、電子接点の無い4/3用レンズ(トイレンズ等)
も稀に存在するが、その場合は、マウント形状のみ
変換可能な機械式マウントアダプター利用で十分だ。
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では、本記事ラストの10番目のシステム
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レンズは、CANON EF 85mm/f1.2 L USM
マウントは、CANON EF(銀塩用フルサイズ)
カメラは、SONY α7S(フルサイズ機)
対応LED表示:非対応
組み合わせ評価:AFが合わない(MFならば使用可)
これは、「問題あり」のレンズである。
1989年発売、CANON EF用としては最も初期の、
USM(超音波モーター)搭載レンズだ。
このUSMは極めて動作が遅く(注:レンズも約1kg
という大型なので多少は止むを得ない)、加えて
カメラ側から電源を供給しないと、このUSMは
全く回転しない、つまり、MFすらも動かない。
この為、本EF85/1.2はレンズに給電可能な電子式
のマウントアダプターを使用しない限り、他社の
システム(例:各社ミラーレス機)では、ピント
リングが空回りし、一切使用する事が出来ない。
(注:未所有だが、後継型のEF85/1.2 LⅡ USM
も、恐らく同様の状況だと思われる)
かなり未成熟な製品仕様だが、これはまあ当時の
「バブル経済期」真っ最中での企画商品だ。
当時は「ともかく凄くて高価な商品」が求められる
恣意的な世情であり、85mmでF1.2の大口径で、
最新のUSM(超音波モーター)まで搭載されている、
定価が17万700円(+ 始まったばかりの消費税)
という風に、まあ、「高価で凄いモノ」な訳だ。
まあ、この世情なので、商品(レンズ)自体の性能や
仕様なんて、あまり重要では無かったのかもしれない。
「ともかく凄くて高価なモノ」を買えば、消費者は
それで満足した、というバブリーな時代であった。
ちなみに、本レンズの描写力も、各社の各85mm級
レンズの中では最低レベルに近い。浅い被写界深度
による歩留まりの悪化と、(超)大口径化に対して
当時の技術水準では諸収差の補正が追いついていない。
よって、個人的には「コスパが壊滅的に悪い」と
見なしているレンズだ。
まあでも、せっかく高価に買ったレンズである、
「レンズの弱点を回避できないのはユーザーの責任」
という持論がある為、なんとか使いこなしてやろう。
まあでも、こんな「検証記事」以外では、まず使わない
レンズだ、せめて、しっかり実験台になってもらおう。
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検証の結果だが、残念ながらAFが全く合わない。
3本目で紹介したSIGMA EX70/2.8と類似の
状況であり、AFが行ったり来たりはするが
合焦距離において収束する事は無く、AFが停止
した状態でもピントが合っていない。
AF動作の振る舞いは、5本目で紹介のCANON EF
40mm/f2.8 STMと類似ではあるが、STMでは
なんとか合焦したが、本レンズのUSMでは無理だ。
【注意点】古いUSM型レンズはAFは使用不可。
ちなみに、絞り値の変更は動作するのだが、
開放測光となるので普段での(絞り込み測光の)
αミラーレス機の使い勝手とは異なる。
(常に絞り開放の被写界深度の浅い映像が見える)
それと、電子アダプターからはレンズのUSMに
電源供給だけはされているので、本レンズの
最大の弱点であった「USMに給電しないと、
MFですら動かない」という課題は解消されている。
SONY Eマウント機には、優秀なピーキング機能が
搭載されているので、まあ、この状態でも
「MFで使うならば、かろうじて実用範囲だ」と
言えよう。
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本記事の総括であるが、SIGMA MC-11は、
SIGMA製のラインナップ整備後(2013年以降)の
レンズであれば、そこそこ快適に、SONY E(FE)
マウント機で利用できる。
しかし、その時代のSIGMA製レンズは高付加価値化
の弊害で三重苦(大きく、重く、高価)なものが
多いので、買いにくい事、および大型のレンズは
小型のSONY機とはアンバランスである事は確かで
あろう。(特に、ズーミングやピントリング操作時
において、重心位置が常にホールドできず、左手の
持ち替え動作が発生すると、操作性が繁雑になり
かつ、重量級レンズでは疲労を誘発する為にNGだ)
MC-11対応レンズ以外(本記事で色々と検証)に
おいては、個々に様々な問題点が発生する。
それらを理解・把握して、問題点を回避しながら
使用するには、中上級マニア級のスキルが必要と
されるし、問題点が回避不能のケースすらもある。
さらに加えて、機材故障等の危険性を伴うので、
やるならば、あくまで自己責任だ。
非対応レンズでは、どれも実用的なレベルとは
言えない為、実用撮影(アマチュア層での趣味
撮影や、重要な記録撮影、および職業写真家層等
での依頼・業務撮影)には一切向かない。
---
では、本記事はここまでで。
本「レンズマニアックス+(プラス)」シリーズ
は、レンズに関わるマニアックな内容を、雑多な
テーマを設けて紹介する、不定期連載シリーズと
なっている。
今回記事では「SIGMA MOUNT CONVERTER MC-11」
電子アダプターの徹底検証を行う事とする。
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は、2016年に発売されたアクセサリーであり、
基本的には「SIGMA製の一眼レフ用AFレンズを
SONY E(FE)マウントミラーレス機に装着する」為の
”電子マウントアダプター”であると思えば良い。
SIGMA SA(マウント)→SONY E/FE および
CANON EF(マウント)→SONY E/FE の2機種
が存在し、発売時定価は、税別37,500円、
中古品は2万円前後の相場で流通している。
姉妹製品として、MC-21(2019年発売、SIGMA製
一眼用レンズ→ミラーレスLマウント)および
MC-31(2020年発売、PLマウント・シネレンズ
→ミラーレスLマウント)が存在する。
これらのMC-11等の電子マウントアダプターは、
殆どのレンズ側機能(絞り制御、AF、シームレスMF、
APS-Cモード(DCレンズ)、OS(手ブレ補正)、等)
に対応しているので・・
例えば、SIGMA製高性能レンズ(ART LINE等)を、
CANON EOS一眼レフと、SONY α7/9系機体等で
実用的に(=AF等使用可で)兼用(共用)できる。
この特徴から、まず、職業写真家層や、上級層、
実践派マニア層等の間でMC-11の利用が流行する。
EOS(一眼レフ)とα(ミラーレス)は、それぞれ
長所短所や、異なる被写体適正があるから、業務上
又は重要な実用撮影において、どちらか(EOS or α)
のシステムだけでは、カバーできないケースも多々
あるからだ。つまり、1度の撮影シーンにおいて、
同じSIGMA製レンズを2系統の母艦で共用する訳だ。
まあ、SIGMA側としても、そういう風にユーザー
が使ってくれる事を意図し、SIGMA製レンズ
(特にCANON EF版)の販売機会を高める事をも
狙った商品企画であろう。
(事実、私も、MC-11の存在を知っていた為、
所有ART LINEレンズの内の4本をCANON EFマウント
版で購入している。NIKON Fマウント版のSIGMA製
レンズでは、MC-11が利用できないからだ)
(注:何故、NIKON Fマウント版のMC-11が存在
しないか?の正確な理由は不明。しかし、その推測は
SIGMA SAマウントレンズの電子接点を見て貰えれば
それがCANON EFマウントの電子接点と、そっくり同じ
ものである事から類推できるであろう。すなわち
SIGMAとCANON EFは親和性が高い、恐らくは電子通信
プロトコルも共通であり、両社は協業していた可能性
が、ずいぶんと高い訳だ。したがって、MC-11のSA
およびEFマウント版は、SIGMAとしても作り易い)
この用法を広める為、MC-11の発売頃(2016年)
には、SIGMA ART LINEの高性能レンズ(Art35/1.4
およびArt50/1.4 注:いずれもやや旧型)の
CANON EF版(とSIGMA SA版)に、MC-11を
バンドリングしたキットが限定数で販売されていた。
それらを「単品同士で買うより割安だ」と入手した
ユーザー層から、MC-11の人気が広まったのかも
知れない、という推測をする事も出来る。
(注:SAマウント用のMC-11/MC-21に関しては、
SIGMAはもうSAマウント機を新規に作らない事を
宣言しているので既存ユーザー救済の意味もある)
ただし、このMC-11等は、基本的にはSIGMA製レンズ
の機種毎でのレンズデータに個別に対応する製品だ。
よって、機種登録のアップデートが定期的に必要に
なるし、MC-11に非対応のレンズを装着した場合には、
それが、ちゃんと動作する保証は一切無い。
(注1:概ね2013年頃のSIGMAの3ラインナップ整備
以降の時代に発売されたSIGMA製レンズ群に対応)
(注2:今回の検証ではEF-E Ver 1.33を使用。
なお、MC-11のアップデートには、専用ソフト
「SIGMA Optimaization Pro」をPCにインストールし、
USBケーブル経由でファームアップを行う必要がある)
また、カメラ側も、全ての機種に対応している訳でも
無いのだが、ここについてはSONY NEX/α系機体は、
プロトコル互換性が高いからか? 「ほぼ全ての
SONYミラーレス機で利用できる」との事である。
----
さて、今回の検証では、MC-11 EF-E (EOS EF用)
(中古購入価格 20,000円)を用いて、
SIGMA製CANON EFマウントレンズ、CANON純正EF
マウントレンズ等、多種多様のレンズを用いて
個別検証を行う。
勿論、あまりに変な組み合わせでは、動作しない
ケースもあるだろうが、そこは想定済みであり、
そうした仕組みがわかった上での、ユーザー側での
「自己責任」の範疇での検証である。
なお、MC-11にはステータスLEDが内蔵されていて、
装着したレンズが対応しているか否か? 又は
レンズやMC-11のファームアップが必要か?等の
情報を赤色や緑色の点灯・点滅で知らせてくれる。
(注:今回の試験レンズは、その多くがMC-11には
非対応のレンズであり、対応LEDは消灯したままだ。
だが、「その状態でも使えるか否か?」が、今回の
重要な検証ポイントとなる)
また、特殊な組み合わせ(=非対応状態)を試した
際、勿論、動作したり、しなかったりもするだろう。
場合により、異常動作になったり、プロトコル又は
カメラ・エラーとなったり、最悪は機器が故障して
しまうかも知れない。
だが、そこもマニア的な「自己責任」の範疇であるし、
このシステムの動作原理の概要を理解している上では、
あまり無茶な用法も、する筈も無い。
が、読者層については、あまり真似をしない方が良い
措置であろう、参考までに留めてもらうのが賢明だ。
で、こうした措置により、本「電子アダプター・
システム」の実用性を検証する記事とする。
準備している所有カメラ(SONY NEX/α)は5機種、
レンズは10機種である。これらを組み合わせて検証
するが、これらを「総あたり」にする必要は無い。
電気電子分野に詳しくない、技術系以外の人達だと、
すぐに、そういった「作業」(ともかく手を動かす事)
を行う発想になるが、エンジニア系であれば、中身の
仕組みを理解した上で、「問題になりそうなケース」
や「上手く動くだろうケース」を、ピンポイントで
チェック(動作検証)をしていく発想になる訳だ。
まあ、後者はソフトウェア開発における「デバッグ」
と類似であろう。テストデータ(良否等がある)を
ソフトに入力し、それらが全て問題なく計算や動作が
出来ているならば、「どんな場合でも、そのソフトは
ちゃんと動作するだろう」と推測できる次第だ。
今回準備した10本のレンズにおいても、ソフトウェア
の「デバッグ用データ」と同様に、様々な特性
(機能、特徴)を持つレンズ群を選んでいる。
「ヤバそうな」組み合わせを中心に、母艦1機種
あたりで各2種類のレンズで検証していこう。
なお、レンズは殆ど全てがCANON EFマウント版
であるが、「マウントアダプター重ね」も、一部
試してみる事とする。
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では、最初のシステム(組み合わせ)
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(以下、A135/1.8)
マウントは、CANON EF(フルサイズ)
カメラは、SONY α7(フルサイズ機)
対応LED表示:対応(旧バージョン表示)
組み合わせ評価:良好
これは、オーソドックスな組み合わせだ。
近代のSIGMAを代表する、フルサイズ対応高性能
レンズ・シリーズである「ART LINE」の中核レンズ
A135/1.8に、SONY αフルサイズ・ミラーレス機
の最初期かつ最もベーシックな機体である「α7」
(注:像面位相差AF搭載)との、オーソドックスな
組み合わせだ。
もし、これで上手く動かないと「他の全てが怪しい」
という話となってしまう。さすがにそれは無かろう。
・・で、この組み合わせは、まともに動作する。
HSM(超音波モーター)は、やや遅いが、我慢が
出来ない程ではなく、静粛だしピント精度も高い。
撮影距離1m以下の近接域でも、AFの精度は出ている。
(注:本レンズの最短撮影距離は87.5cmだ)
ただしAFは、AFS(シングルAF)のみ対応であり、
AFC(コンティニュアスAF)、AFA(自動切換え)
には対応していない。
また、MINOLTA/SONY伝統の、DMF(ダイレクトMF)
には、対応/非対応レンズがあるが、本A135/1.8
や、比較的新しい(2010年代後半)のSIGMA製
レンズであれば、概ね対応している。
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なレンズ質量を動かすので、まあ、やむを得ない。
これをEOS一眼レフで使っても、ほぼ同様だ。
レンズの性質(特性)上、そしてMC-11経由の
場合は特に、頻繁に動き回る(高速)動体被写体
にはあまり向かず、静止または準静止被写体向けの
システムとなる。
それと、本レンズはバージョンが1つ古い模様だ。
対応チェック用のLED表示は「緑の点滅」であり、
これは「アップデート推奨」という意味を示す。
だが、SIGMAの一眼レフ用レンズのファームウェア
のアップデートには、レンズ側のマウント毎の
「USB DOCK」を別途購入しなければならない。
アップデートの為だけに、余分な出費はかけたく
無いし、ほぼ全マウントのカメラを使う私としては、
USB DOCKをマウント毎に一々買ってはいられない。
で、MC-11にはUSB端子が付いているので、アップ
デート専用ソフト「SIGMA Optimaization Pro」を
使って「MC-11経由で、レンズのファームアップが
出来るのか?」と試してみたが、全く反応しない。
つまり「Optimaization Pro」は、MC-11そのものの
アップデートしか出来ず、レンズのアップデートには
やはり「USB DOCK」を別途買わなければならないのだ。
これはどうも・・ このシステムの設計仕様には
賛同が出来ない。なんとも不便な状況だ。
ちなみに、SONY Eマウント用のSIGMA製レンズの場合、
USB DOCKは不要であり、EマウントのカメラのUSB端子
を経由し、カメラ側からレンズ側にファームウェアを
流し込む事が可能だ。
まあ、これはSONY側のカメラの設計仕様もあるの
だろうが、消費者側から見て、不便さを感じない
(=ユーザーフレンドリーな)方法論だ。
MC-11とOptimaization ProはSIGMA自社内で完結する
システムであるから、MC-11のUSBを経由してレンズ
のアップデートが出来るようになって、しかるべきで
あろう。技術的には、実現はさほど困難では無い筈だ。
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さて、それと「ART LINEの中核レンズと言えば、
ART 85mm/F1.4ではないのか? そちらは
どうなのだ?」と、思う人も居るであろう。
実は私も、今回のテストはA85/1.4にするか、
A135/1.8にするか?を迷った。焦点距離等の
スペックこそ違うが、両者、ほぼ同等の重量と
サイズ感であるし、同じ時代の同じ製品系列でも
あるので同等の通信プロトコルを持っている事で
あろう。なので、両方ともテストするのは冗長だ。
でも1つだけ、この両者には大きな差異がある。
それは、A85/1.4には、何と500gも軽量化された
SONY FEマウント版の「SIGMA 85mm/F1.4 DG DN」
が、後継機として2020年に発売されているのだ。
当該、後継型レンズは未所有だが、500g(!)も
軽くなっているのであれば、今後FEマウントで
A85/1.4(一眼レフ用)を使う筈が無いであろう。
その両者の描写力に殆ど差異が無いのであれば、
レンズは、軽ければ軽い程、望ましい。
だからもう、既存のA85/1.4は一眼レフ用に特化
するしか方法が無い。その重いレンズをMC-11で
SONY FE機に装着するのは、軽量レンズが別途
存在している事を知っている以上、何だか癪だ。
(悔しいので、いずれ後継型を買う事としよう)
ちなみに、本A135/1.8以外の他の同時代の
EFマウント版での所有Art Lineレンズ(A40/1.4、
A50/1.4、A85/1.4)でも、問題無く動作する
事は確認済みだ。(ただし「バージョンが古い」と
LEDが点滅するので、なんだか「USB DOCKを買え」
と言われているようで、鬱陶しい・笑)
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続いて、2つ目の検証。
カメラはそのままで、レンズを交換しよう。
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マウントは、CANON EF-S(APS-C)
カメラは、SONY α7(フルサイズ機)
対応LED表示:装着不能
組み合わせ評価:装着不能につき、使用不可
この場合、レンズはCANON純正だがAPS-C機専用
のEF-Sタイプである。
この組み合わせは、残念ながら、MC-11には
装着不能であった。
【注意点】EF-SレンズはMC-11では使用不可。
まあつまり、MC-11はCANON EFマウント互換で
あった事が判明した訳だ。(詳細後述)
もし、このレンズが装着できていたならば、
FE機で自動的にAPS-Cモードに切り替わるか?とか、
マクロでのAF精度。そして、IS(手ブレ補正)や
STM(ステッピングモーター)の動作。さらには
LED照明までを内蔵している高機能型レンズなので、
このような「あれこれと沢山の機能が付いている」
レンズにおいても、それらがちゃんと動作するか?
の検証を行いたかった訳だ。
ちなみに、CANON EFマウント(フルサイズ)と
EF-Sマウント(APS-C)は、形状は互換なのだが、
以下の装着条件がある。(レンズから見た場合)
*EFマウントレンズ
→EFマウントフルサイズ機、および
EF-SマウントAPS-C機の両者に装着可能。
*EF-Sマウントレンズ
→EF-SマウントAPS-C機にのみ装着可能。
なお、参考だが、CANON EF-EOS M電子アダプター
の場合、EFマウントも、EF-Sマウントのレンズも
両者共に装着可能である。(SIGMA MC-11も、
この仕様にしてくれれば良かったと思う)
それと、上記を逆に、ボディ側(マウント側)
から見れば、装着可能レンズは以下となる。
*EOS EFマウント フルサイズ機
→使用可能レンズは、 EFマウントレンズ。
(通常はAF+絞り環無しレンズだが、海外製等の
EFマウントMFレンズも装着可能。
絞り環を持つMF等のレンズの場合、絞り込み
測光(実絞り測光)となる。これは、絞り込み
すぎると光学ファインダーが暗くなるので注意)
(および、通常の(機械式)マウントアダプター
により、NIKON F、M42、CONTAX RTS(Y/C)
マウント等の、絞り環を持つ銀塩用(オールド)
レンズや海外製レンズが、MF+絞り込み測光で
使用可能。ただし、電子接点付きアダプターを
使わない限り、フォーカスエイドは無効となる)
*EOS EF-Sマウント APS-C機
→使用可能レンズは、 EFマウントレンズ、
および、EF-Sマウントレンズの両者。
(それと、MFレンズや機械式マウントアダプター
使用時の条件は、上記EFマウントと、ほぼ同等)
*EOS Mシリーズ APS-C機
→使用可能レンズは、 EF-Mマウントレンズ。
*EF-EOS M電子アダプターを介してEOS M機
→使用可能レンズは、 EFマウントレンズ。
およびEF-Sマウントレンズの両者。
(加えて、MFレンズや機械式マウントアダプター
も、上記と同様な条件にて重複使用可能)
*EOS Rシリーズ フルサイズ機および
EF-EOS R電子マウントアダプター
→未所有につき未検証。詳細割愛。
・・となる。
色々と、装着できる条件がややこしいが、
簡単に言えば、EOS系カメラを買うならば、APS-Cの
一眼レフ、および/又は、APS-Cのミラーレス機
(EF-Sマウント機、およびEF-Mマウント機+
EF-EOS M電子アダプター↓)を購入しておけば、
殆どのEF系マウントのレンズ(R/RFマウント除く)
等(や、一部のMFレンズ)が利用可能だ。
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APS-C型一眼レフ(キスデジ等)を買って、EF-S
マウントのレンズのみを買い揃えた場合・・
後にEFマウント機(EOS一眼レフ・フルサイズ機、
EOS 5D/6D系列等)に買い換えた場合、それまで
使っていたEF-Sマウントレンズは、全て装着
できなくなる。(=一切、使えなくなる)
これでは、途方に暮れてしまう事であろう。
この問題がある為、個人的にはEF-Sマウントの
レンズを研究用の2本を除き一切購入していない。
買うならば互換性の高いEFマウントのレンズだ。
また、中上級層であれば、CANONの一眼レフは
フルサイズ機とAPS-C機の両者を保有する事が
レンズ使用互換性からは、望ましい事となる。
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では、3番目のシステム(組み合わせ)
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マウントは、CANON EF(フルサイズ)
カメラは、SONY NEX-7(APS-C機)
対応LED表示:非対応
組み合わせ評価:AFが合わない(MFならば使用可)
SIGMA自社製のレンズであるが、2006年製と、
やや古い。(かつ、ややレアなレンズである)
SIGMA自社製品と言っても、MC-11のレンズデータ
(ROM)は、もっと新しい時代(概ね2013年以降)
の機種が中心になっているし、そうであっても、
新製品の全機種のデータが入って(またはアップ
デートされて)いる訳では無い。
ここまで古いレンズは、果たして動作するか?
まあだけど、この時代のレンズに必要な情報伝達
プロトコルは、恐らくは、「レンズ種別、仕様、
AF開始、停止、MF、絞り値」、そのあたりだけだろう。
それ以外の情報伝達は、不要だと思われるし、
それ以外の複雑な情報をレンズに送っても、レンズ側に
そういう(新)機能は無いから、受け付けないだろう。
・・で、実際には、このシステムはAFがNGであった。
上記の基本プロトコルは確かに送受信されている模様
だが、AFが壊滅的に遅く、かつ、合焦距離でぴったり
とは止まらない。AFが何度か迷って停止した後では、
「必ず」ピンボケになってしまっている。
このレンズには、Full/Limitの切り替えがあり、
都合3種類の合焦距離範囲モードが使えるのだが、
どれを選んでもNGである。(無限遠合焦すらもしない)
また、カメラ側NEX-7は古い「コントラストAF機」
であるから、これを新しい「像面位相差AF機」に
変更しても、やはりNGだ、ピントが全く合わない。
まあ、作例はMFで撮ったものを載せておこう。
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レンズでは、MC-11ではまともにピントが合わない。
それは、例えSIGMA製のレンズであってもNGだ」
である。
【注意点】DCモーター型レンズはAF使用不可。
でも、ここも、あまり賛同できない設計思想だ。
少なくともSIGMA自社製品位は、多少古い時代の
レンズであっても、対応して貰いたいと思う。
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では、レンズを変えて4番目のシステム。
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マウントは、CANON EF(フルサイズ)
カメラは、SONY NEX-7(APS-C機)
対応LED表示:非対応
組み合わせ評価:使用不可(エラー状態)
2018年末頃発売の、中国製AF中望遠レンズ。
一応CANON EFマウント版であるが、さすがに
こうした非常にマイナーなレンズのデータが、
SIGMA MC-11のROM(内部メモリー)に入っている
筈は無いと思われるし、SONY機側からのAF関連の
通信プロトコルに対応している(またはMC-11で
プロトコルが変換(≒翻訳)できている)とも
思いにくい。
こうしたケースでは、最低限の「AFプロトコル」
(レンズ側に対して、AFモーターが動け、止まれ。
絞りを変えろ、という、基本的な命令群のやりとり)
が動作(解釈)できれば、それで良い、という感じだ。
だが・・ 本MK85/1.8をMC-11経由で装着し、
電源を入れた途端に、レンズから異音が発生(汗)
元々、AFがガタピシと言うレンズなので、まあ多少の
異音はやむを得ないのだが、それにしても、普段にも
増して様子がおかしい。レンズ側のAF初期化状態で、
既に通信エラーが発生しているのであろう。
ここからはカメラ側のEVFはブラックアウトしたまま。
背面モニターのカメラ設定一覧表示も、自分で設定した
表示内容とは異なって、撮影情報がかなり削減された、
普段では見た事が無い表示形態となっている。
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まあ、間違いなく「プロトコルエラー」であろう。
試しにシャッターを切ってみる。AFも反応しないし、
写真そのものも、一切撮影できない。
これはもう「使用不可」だ、やむを得ない。
結論は「さすがに、ここまで怪しげなレンズでは
MC-11は、まともには動作しない。撮影不能。」
である。
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さて、5番目のシステム(組み合わせ)
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マウントは、CANON EF(フルサイズ)
カメラは、SONY NEX-3(APS-C機)
対応LED表示:非対応
組み合わせ評価:AF動作はするが、実用範囲外
CANON純正の薄型(パンケーキ)AFレンズである。
STM(ステッピングモーター)は、カメラ側から
電源を通電(供給)しない限り、AFはもとより
MFも動かない。(勿論、絞り値変更も動作しない)
この仕様は、個人的には「短所」または「重欠点」
だ、と解釈している。
何故ならば、上級撮影技法の中には、できるだけ、
カメラの電源投入前(または電源投入と並行して)に
MFでの仮合焦を行い、AFの合焦速度を大幅に短縮する
事(=速写性を高める事)を目論むケース(技法)が
あるからだ。
この技法は、MFレンズであれば「当たり前」である。
AFレンズでも、レンズ内モーター非搭載型レンズや、
又は距離指標を持ち、ピント距離とAF距離が完全に
連動する通常(DC等)モーター内蔵型レンズの場合
では、同様に「とても有益な撮影技法」である。
しかし、各種(USM/HSM/STM等)の新型モーター搭載
レンズを用いる場合、ピントリングは無限回転式で、
上記の「MF位置とAF位置の連動」が成り立たない。
おまけに、それらのAF開始位置は、近接端または
無限遠から始まる仕様である。(途中の距離から
AFが動作開始をする事は、まず無い)
だから、これらの新方式のレンズの場合は、あくまで
カメラの電源を入れて、レンズに通電(給電)され、
カメラのOS(オペレーティングシステム)が起動後で
さらには、モーターのAF駆動系を初期化した後で
ないと、ピント系の、あらゆる操作が出来ない訳だ。
(勿論、絞り値動作も、同様に事前操作は出来ない)
旧来のMFレンズや一部のAFレンズであれば、カメラの
電源投入前に、ピントや絞り値を予め適正と思われる
設定としておく事は、不意に現れる被写体に対しての
「速写性」を高める措置として非常に有益だ。
(例:屋外で撮影時、野鳥等が飛行する可能性が
高い場所(川原等)で、絞り値を開放近くに開けた
ままにしておくと、銀塩機はもとより、デジタル機
でも、シャッター速度オーバーになるリスクがある。
こんな場合、予めレンズの絞り値をF5.6やF8程度
の、撮影場所での光線状態(輝度の環境)および
カメラ側ベースISO感度や、設定ISO感度に応じて
カメラの最高シャッター速度がカバーできる値に
したまま待機する。この措置は現代レンズでも可能
ではあるが、一々カメラの電源を入れないと絞り値
が変更できない。絞り環を持つMF/一部のAFレンズ
であれば、これは、いつでも手指で廻す事が可能だ。
そして、ここに前述のMF事前合焦動作を組み合わせ、
仮に、無限遠あたりにピントリングを手動で廻して
おいて待機すれば、不意に現れた、例えば遠距離に
飛ぶ野鳥等をカメラの起動直後に即時撮影が可能だ)
で、これらの例に挙げたような「事前操作」は、
現代的なシステム(具体的には、超音波モーター内蔵、
無限回転式ピントリング、距離指標無し、レンズ側
絞り環無し)では、実現不能である。
この結果、現代カメラシステムでの「速写性」は、
明らかに旧世代のカメラシステムよりも劣っている。
だが、そうなってしまった原因はどこにあるのか?
「超音波モーターが入っている”爆速AF”で無いと、
上手く撮れない」とかの感覚を持つ、超ビギナー的
な消費者層の比率の高さが、まず第一の課題だ。
彼らは、機材側の性能に頼りきった撮影技法しか
出来ない。(それしか知らない)
で、どんな”爆速AF”であろうと、上級MF技法による
「ゼロタイム・フォーカス」には決して敵わない。
次いで、そうしたビギナー層のニーズ(要望)を調べ、
「超音波モーター搭載レンズならば高価に売れる」と、
そういう製品を企画したメーカー側にも問題がある。
何故、高価に売りたいか?は、カメラ・レンズ市場が
スマホの台頭等の原因で、大きく縮退しているからだ。
つまり、レンズが殆ど売れないから、1本あたりの
販売利益を高めないと、メーカーも流通(販売店等)
も、事業(ビジネス)をやっていけない訳だ。
そうやって、「超音波モーター」等をありがたがる
ビギナー層(注:スキルのある中上級層以上ならば
むしろ旧システムの方が素早く撮れる事は知っている)
等に向け、それは「付加価値」(=消費者側から見た
製品を欲しい、と思う魅力・理由・購買動機)となり、
メーカー側からも「付加価値」(=高額な商品を販売
する事による、利益構造そのもの)となる訳だ。
一見、Win-Win(どちらも得する)市場原理に見えるが、
何度も書いているように、それが旧来システムよりも
非効率的な撮影しか出来ないので、上級ユーザー層
(ハイアマチュア層、ベテラン層、マニア層、職業
写真家層、等)全般では、これが大きな不満なのだ。
だから、上級ユーザー層は、こうした不条理な仕様と
なってしまった新製品には興味を持つ事が出来ず、
旧来のシステムを頑なに使い続ける訳だ。
(参考:TAMRON社では看板商品の90マクロにおいて、
超音波モーター(USD)搭載の新型が2010年代に
F004/F017と順次新発売されているのに、
2004年頃に発売された、USD無しの旧272E型が
長期間(~2019年頃迄)併売されていた。
まあつまり、USD仕様では、近接撮影がやり難い
(効率的では無い)事は、メーカー側でもわかって
いるのであろう。USD仕様の新型マクロを手にして
「こんなもの、使いものになるか!」と不満を持つ
煩い消費者が居たならば、「ではUSD無しのレンズは
いかがでしょうか?」と代替案を提示出来る訳だ)
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一切効かないSTM仕様は、個人的な好みに合わない
機材であり、たった2機種しかこの仕様のレンズを
購入していない(2010年代中頃迄は、むしろ頑なに
STMレンズを買わないようにしていた位でもある)
「汎用的では無い」というのも、嫌いな理由だ。
高価な電子アダプターを使わない限りは、STMレンズ
は、CANON機(EOS一眼レフ、EOSミラーレスM/R機)
以外では使用不可だからだ。こうした「排他的仕様」
(自社同士の製品でシステムを固めない限り、他社
製品と組み合わせた場合に性能が発揮できない、又は
そもそも撮影する事ができない等)には賛同出来ない。
さて、STM仕様への苦言はここまでとしておき、
肝心のEF40/2.8の動作だが、一応AFは効く。
しかし、AF合焦までは、まず大振幅(長周期)で
ピント(STM)が行ったり来たりし、次いでその振幅
(周期)が小さくなっていき、いずれ、AF合焦距離で
収束して止まる・・ (注:止まってもピントが
合っていない場合もある)
その間、優に数秒間という、壊滅的な遅さだ。
まあ、実際の多くのカメラでのAF機構で、同様な
動作シーケンスをしてAF駆動を停止させているの
だとは思うが、この組み合わせでは、その動作が
まるでスローモーションのように遅いのだ。
ちなみに、カメラ側を像面位相差AF搭載機に変更
しても、動作はほぼ同等であり、やはり、遅くて
AFは実用範囲外となる。
【注意点】STM型レンズはAFは実用範囲外。
結論としては、CANON STM搭載レンズの場合、
「一応、SONY機で絞りを制御して撮れる」という
程度のレベルであり、低性能なAFを我慢して使うか、
またはSONYミラーレス機での、優秀なピーキング
機能を頼りに、MFで撮るしか無いと思う。
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さて、レンズを変えて、6番目のシステム
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マウントは、CANON EF(銀塩用フルサイズ)
カメラは、SONY NEX-3(APS-C機)
対応LED表示:非対応
組み合わせ評価:MFで撮影可、露出不安定。
いわくつきの1990年代の銀塩用AFマクロレンズだ。
何が問題か?は、過去記事で何度も書いているので、
今回は簡単に説明しよう。
この時代のSIGMA製CANON EFマウント用レンズは、
2000年以降のCANON一眼レフ(銀塩EOS 7以降、
デジタルEOS D30以降)に装着すると、エラーと
なって撮影できない。
理由は、この時期(2000年頃)に、CANON側が、
レンズ・カメラ間の通信プロトコルを変更したから
であろう。(注:とは言え、この時代にはSIGMAは
CANON銘レンズのOEM生産を行っていた可能性は高いし、
SIGMA SAマウントレンズの電子接点形状、および
通信プロトコルも、恐らくはCANON EFレンズと同等だ。
であれば、「CANON側が勝手に変えた」という類推も
実際には違うかも知れず、そうであれば「デジタル
時代に入るのを機に」という事で、問題点の発生には
目をつぶり、CANONとSIGMAが協調して、プロトコルの
変更を行ったのかも知れない。まあ、いずれも推測では
あるが、結果的に旧SIGMAレンズを新型EOS機で使えない
のは確かな事実だ)
ユーザーに取っては困った話だ。これまで使っていた
SIGMA製レンズが、新しいカメラ(EOS)に買い換えたら、
全て使えなくなってしまうのだから(怒)
だが、この事は、メーカー側からは納得のいく発表も
対策(救済措置)も行われなかったし、ユーザー側
からも、あまり問題にはされなかった。
それは、丁度、デジタルへの転換期であった為、
「ああ、それはフィルムカメラ用のレンズなので、
デジタル一眼レフでは使えませんよ」と言われて
しまえば、皆、何となくそれで納得してしまうからで
あろう。
だから、デジタル転換期の「どさくさ」にまぎれて、
本件は「うやむや」になってしまっている。
今時であれば、大問題になりそうな話なのだが、
ユーザー側からの情報発信手段も殆ど無い時代だ、
多くのケースで「泣き寝入り」となっていたであろう。
本ブログでは、この問題を長年、何度も記載しており、
それを回避する(すなわち、旧SIGMA製レンズを使用
する)手段も、時代に応じて様々な検証を続けて来た。
有益な手段(対策)としては・・
まず、銀塩EOS機(1990年代末迄の製品)を
用いれば、旧SIGMA製AFレンズは問題無く使える。
だが勿論、現代においてフィルム撮影は、あまり
現実的な対応では無い。
次いで、
「CANON EF→ミラーレス機用の、機械絞り羽根機構
内蔵型マウントアダプターを用いる」である。
これで、とりあえずMFでは動作はする。
しかし、この絞り羽根は本来の絞り構造とは異なる
為、この方式では、露出調整には有効ではあるが、
光学的効能(例:被写界深度の調整、諸収差低減、
ボケ質破綻の回避等)は、殆ど得られない。
第三の手段として、プロトコル互換性が高い(つまり
あまり、ずる賢くない/シンプルな)電子アダプター
を用いる事だ。
「CANON EF-EOS M」(EFからミラーレスM機用)
電子アダプターを用いた検証では、SIGMA旧レンズの
ごく一部の機能は復活できる。だが、AFや露出制御の
全てが動作する訳では無いし、非常に不安定でもある
ので、これは「実用範囲以下」という結論であった。
今回は、電子アダプターMC-11を用いる事で、
SIGMA製の旧型(1990年代)AFレンズを、ちゃんと
使えるようになるのか? そこの検証である。
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エラーにはならない。
が、AFは動作しない。レンズ側AF/MFスイッチを
AFに切り替えると、稀に「キュイーン」と異音が
して、故障リスクがあり、危険である。
絞り値は、カメラ側からは一応制御が可能だ。
ただし、実際に撮影すると、相当に不安定であり、
少し絞り値を変えてみたりすると、露出が出鱈目に
なる。多分、全く絞り込まれていないのであろう。
まあ、前述のEF-EOS M電子アダプターを使った状況と、
ほぼ同等だ。エラーにはならないが、不安定なので、
実用上では、残念ながら使い物にならない。
絞り開放だと、露出が合うケースもあるが、
それだと、前述の「機械絞り羽根機構内蔵型」の
マウントアダプターを使った方が、露出値制御の
自由度がある分、まだマシだ、と言う事となる。
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では、7番目のシステム(組み合わせ)
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Contemporary (以下、C100-400)
マウントは、CANON EF(フルサイズ)
カメラは、SONY α6000(APS-C機)
対応LED表示:対応
組み合わせ評価:静止被写体は可、動体撮影はNG
大型の(超)望遠AFズームである。
で、「C100-400レンズが、MC-11に対応した」
というSIGMAからのアナウンス(2020年頃?)を
見て、それがMC-11の直接の購入動機となった。
(理由は後述する)
本C100-400は、2017年の発売直後から、ずっと
ボート競技の記録撮影用の主力レンズとして
大活躍している。2017年より前では、SIGMAも
TAMRONも150-600mm級超望遠しか(当時では)
ラインナップしておらず、それらは、重すぎて
実用範囲外であった次第だ。だから400mm級の
軽量な新製品の登場(TAMRONも2017年に同等
仕様品を発売。まあ、「600mmはデカすぎる」
と言う、当然の市場判断であろう)は、大歓迎
できる状況であった。
ちなみに近年のSIGMAでは、各レンズの型番として、
「エディションナンバー」が個別についている。
本レンズは「C017」であり、これは「Contemporary
の2017年発売」を表す。
だが、この型番は、レンズ毎の固有(ユニークな)
番号では無い。例えば、同じ2017年に発売された
「SIGMA 16mm/F1.4 DC DN Contemporary」も
全く同じ「C017」のエディションナンバーである。
これ、わざわざ新規にエディションナンバーを
付与する位ならば、どうせならばTAMRONのように
レンズ機種毎に個別の型番を付けた方が良かったの
ではなかろうか? レンズの発売年だけを知っても、
あまり意味(有益性)は無いように思えるのだが・・
(まあ、中古買いの際に、便利なくらいか)
で、本C100-400は「ライト・バズーカ」の愛称を
持つレンズであり、重量は1100g台と、確かに、
このクラスの超望遠ズームとしては軽量な類だが、
これを普段は、「CANON EOS 7D MarkⅡ」(注:
APS-C型高速連写機)に装着して用いる次第であり、
その強力なドライブ性能と引き換えに、総重量は
2kgを超え、ハンドリング性能としてはギリギリ
のレベルだ。これ以上重いと、長時間での手持ち
撮影が困難または不可能となるし、この重量でも
疲労が蓄積していく。
なので、もしEOS 7DⅡと同等性能の、軽量な
ミラーレス機(例:今回使用のSONY α6000。
APS-C機で、秒11コマの高速連写性能がある。
→ただし、バースト枚数は、EOS 7DⅡには
太刀打ちできない)に装着すれば、システムの
総重量を、およそ500g軽減でき、「ハンドリング
性能を向上できるかも知れない」という目論見が
あって、MC-11の購入動機に繋がった訳である。
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HSM(超音波モーター)によるAF動作は遅くはなく、
静止被写体ならば、これで十分であろう。
しかし、AF精度があまり高くなく、外しやすい。
上写真のボート競技のような動体被写体の場合では
ピントが合わず、肝心なシーンを撮れないケースが
多発する。(注:α6000は像面位相差AF搭載機
である。また、MC-11も像面位相差AF対応だ。
ただしα6000やα7の像面位相差AFは、最初期
のものなので、技術的には未成熟かも知れない)
DMF(ダイレクトマニュアルフォカース)機能が
動作するのは良いのだが、小型機α6000に装着時
には、システム重心バランス点をホールドした際、
ピントリングに指が届かずに、システム全体の
持ち替え動作が発生する(これは疲労を誘発する)
同様にズーミング操作も重心バランスがやや悪い。
(→本レンズの特徴である「直進式ズーム的用法」
が、やや厳しい。重心の変動が大きいのだ)
これでは、動体被写体で、頻繁にズーミングや
ピント設定を変更する操作には向かなそうである。
OS(手ブレ補正)は、Mode1(通常)は動作する。
Mode2(流し撮り)は、該当する被写体では試して
いないので、有益に動作するか?は不明だ。
また、殆どのα系機体はバッテリーの持ちが悪い
為、丸一日での数千枚の業務撮影には使い難い。
そこで、ボート競技撮影では、予選の間はMC-11
経由で本レンズをα機で用い、決勝リーグでは、
同じレンズをEOS機に付け替える、という措置を
行ったのだが・・ 「システム重量の軽減」という
目的があったのに、結局、カメラを2台持ち出さなく
てはならず、なんだか軽量化メリットが半減だ。
(注:冒頭に記載した「同じ1度の撮影シーンで
同じレンズをEOSとαで共用する」という用法は、
どうも、常に有益という訳ではなく、ケースバイ
ケースとして考えておくのが良さそうだ)
総括的には、静止被写体では有効だが、動体の
被写体だと、まずAF精度が低くて実用範囲外だし、
加えて、各種操作が煩雑となり、少々非効率的だ。
その(動体被写体の)場合は、オリジナルマウント
のEOS一眼レフ機で使用した方が、AF精度が高く、
操作性バランスが良いと思う。
(場合により、他の大型ズームレンズも同様か?)
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さて、カメラはそのままでレンズは8番目となる。
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マウントは、CANON EF(銀塩用フルサイズ)
カメラは、SONY α6000(APS-C機)
対応LED表示:非対応
組み合わせ評価:MFで撮影可、露出不安定で使用困難。
本レンズは、CANON EF50/1.8Ⅱ(1990年頃~
2014年頃の期間で販売)の、デッド(完全)
コピー製品である。
複雑な電子機器である近代レンズの、完全コピー
製品が作れる背景には、色々と裏の事情があると
推察できるが、そこは、今回の検証ポイントでは
無いので割愛する。
で、CANONの銀塩AF時代のDC(直流)モーター
仕様の本レンズだ。付加機能も何も無い為、その
通信プロトコルも、最もシンプル(AF駆動、停止、
絞り値)なものしか無いであろう。
・・で、実際の検証だが、AFが全く合わない。
前述の3番目の組み合わせ、SIGMA EX70/2.8の
時と同様な感じである。
これもまた、MFで撮るしか無い組み合わせだ。
ただまあ、4番目のMeike MK85/1.8(中国製
AFレンズ) のように異音がして動作停止して
しまう(カメラもエラーとなり写真が撮れない)
状態よりはマシかも知れない。
しかし露出も不安定だ。絞り値F90等の異常な値
が表示され、絞り値の制御が効かない(動かない)
が、これでも、だいたいだが露出は合っている。
でも、微妙に露出が違うので鬱陶しく、カメラ等の
電源ON/OFFを繰り返すと、稀に絞り値が動くように
なるのだが、今度は露出値がデタラメになる(↓)
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ちなみに、本YN50/1.8のコピーの元となったと
思われるCANON EF50/1.8(Ⅱ型では無く初期型)
を装着してみると、5番目に紹介したEF40/2.8STM
同様に、AFは極めて遅いが一応動作し、絞り値も
なんとか制御できる。
YN50/1.8は、EF50/1.8Ⅱのフル(完全)コピー品
というよりも「同じ余剰部品を使って作られた物」
ではなかろうか?と予想していたのだが、どうやら
通信プロトコルが異なる模様だ。そうであれば電気・
電子系部品は、新たに作ったのかも知れない。
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では、9番目のシステム(組み合わせ)
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マウントは、NIKON F(Ai)(フルサイズ)
カメラは、SONY α7S(フルサイズ機)
対応LED表示:非対応
組み合わせ評価:MFのみで使用可能
ここでは、NIKON F→CANON EF 機械式アダプター
を介して、MC-11経由で、銀塩時代のNIKON製
AFレンズを用いる。
この場合、電子接点を持たず、AFモーターも無く、
AF駆動用カプラーも存在しないので、勿論だが、
MF操作専用であり、絞り値変更もレンズの絞り環
による直接操作となる。
もとより、このシステムではAFが動く筈は無い。
それはマニア層や中上級者ならば、誰でもが容易に
理解できる事だ。
だが、稀に、初級マニア層等では、このシステムと
同じでは無いが、似たようなアダプター構成を用いて、
「効率的では無い(または、まともに動作しない)
システム(組み合わせ)」を組んでいる状況を
見かける。
要は、原理や仕組みが、まるでわかっていない訳だ、
「マウントアダプターとか言う物が流行っているみたい
なので、オレもやってみよう。そうだ、今持っている
レンズを、アルファに付けられないだろうか?」
・・といった、単純な考えなのだろう。
まあ仕方が無い、レンズ等の知識を全く持っていない
事は現代のビギナー層全般の課題である。しかし知識を
学ぶ術すらも知らないのだから、もう止むを得ない。
カメラ雑誌の発刊も減り、ネット上の記事の大半は
新製品を売る為の広告宣伝記事だ。そこには通常の
オーソドックスな用法しか書かれておらず、かつ、
機材の短所や弱点を記載する事もはばかられる世情だ。
マニア人口も著しく減り、彼らからの情報発信も無い。
新規ビギナー層は、レンズ等のマニアックな知識を
入手する術(すべ)が無いのである。
・・で、もし、今回の、この組み合わせが、実際に
必要になるだろうユーザーのケースとしては・・
「銀塩AF時代に、NIKON銀塩一眼レフを使っていて、
その頃のレンズが手元に何本か残っていて、
その後、CANONのデジタル一眼レフEOSを買い、
EOSでNIKONレンズを使う為のアダプターを買い、
さらに、フルサイズのSONY α7(系)を買った。
そして”SIGMA MC-11があれば、CANON用レンズも
α7(系)で使える”と聞いて、それを購入した」
・・という、複雑なストーリーしか考えられない。
ちなみに、こんな特殊なケースでは無いのであれば、
NIKON F→SONY E(FE)の通常型(機械式)の安価な
マウントアダプターが1個あれば、それで済む話だ。
何も、高価なMC-11を買う必要は無い。
その場合、当然AFは効かないが、今回のシステムに
限って言えば、20mm/F2.8のような(超)広角
レンズであれば、少し絞って使えばパンフォーカス化
する為、ピント合わせ動作そのものが、殆ど不要だ。
「MFができない」とかの、情けない事を憂慮する
必要もまるで無い。
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マウントアダプターの利用と等価である。
「有限回転式ピントリングを持ちMFが出来、かつ
絞り環を持ち、絞り値の直接操作が出来るレンズ」
であれば、とりあえず何らかの(機械式)アダプター
で、マウント形状だけ変換してしまえば良い訳だ。
かつて、2000年代では「一眼レフのマウント毎
でのフランジバック長の差異」の問題により、
実用的なマウント変換ができる組み合わせは限られて
いたのだが、2010年代以降のミラーレス時代では、
フランジバック長の短い各社ミラーレス機において
およそ殆ど全ての旧マウントのレンズが、アダプター
経由で利用できる。
使えない/使い難いのは、旧マウントの中でも完全に
電子化されたマウントの場合のみであり、それには
CANON EOS(EF)、CONTAX N、4/3(フォーサーズ)
の実例がある。(注:MINOLTA α(AF)では、機械式
絞り操作機構で露出連動できるケースが殆どである)
上記の電子化マウントのうち、EOS(EF)は、例えば
EF-EOS Mアダプターで、EOS Mミラーレス機で利用可。
(注:未所有だが、EOS Rミラーレス機でも同様だろう)
また、CANON製EFレンズの一部も、今回の検証により、
MC-11経由で、SONY E(EF)で、なんとか利用可能な
ものもある(注:MFのみの制限であっても、絞り値の
電子的制御により、少なくとも露出は合う)
CONTAX Nは、残念ながら現代では殆ど使用不能だ。
が、Nシステムのユーザー数も非常に少ないであろう。
4/3レンズは、OLYMPUS純正μ4/3用電子アダプター
(MMF-1~3)で、その多くが問題なく利用できる。
なお、電子接点の無い4/3用レンズ(トイレンズ等)
も稀に存在するが、その場合は、マウント形状のみ
変換可能な機械式マウントアダプター利用で十分だ。
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では、本記事ラストの10番目のシステム
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マウントは、CANON EF(銀塩用フルサイズ)
カメラは、SONY α7S(フルサイズ機)
対応LED表示:非対応
組み合わせ評価:AFが合わない(MFならば使用可)
これは、「問題あり」のレンズである。
1989年発売、CANON EF用としては最も初期の、
USM(超音波モーター)搭載レンズだ。
このUSMは極めて動作が遅く(注:レンズも約1kg
という大型なので多少は止むを得ない)、加えて
カメラ側から電源を供給しないと、このUSMは
全く回転しない、つまり、MFすらも動かない。
この為、本EF85/1.2はレンズに給電可能な電子式
のマウントアダプターを使用しない限り、他社の
システム(例:各社ミラーレス機)では、ピント
リングが空回りし、一切使用する事が出来ない。
(注:未所有だが、後継型のEF85/1.2 LⅡ USM
も、恐らく同様の状況だと思われる)
かなり未成熟な製品仕様だが、これはまあ当時の
「バブル経済期」真っ最中での企画商品だ。
当時は「ともかく凄くて高価な商品」が求められる
恣意的な世情であり、85mmでF1.2の大口径で、
最新のUSM(超音波モーター)まで搭載されている、
定価が17万700円(+ 始まったばかりの消費税)
という風に、まあ、「高価で凄いモノ」な訳だ。
まあ、この世情なので、商品(レンズ)自体の性能や
仕様なんて、あまり重要では無かったのかもしれない。
「ともかく凄くて高価なモノ」を買えば、消費者は
それで満足した、というバブリーな時代であった。
ちなみに、本レンズの描写力も、各社の各85mm級
レンズの中では最低レベルに近い。浅い被写界深度
による歩留まりの悪化と、(超)大口径化に対して
当時の技術水準では諸収差の補正が追いついていない。
よって、個人的には「コスパが壊滅的に悪い」と
見なしているレンズだ。
まあでも、せっかく高価に買ったレンズである、
「レンズの弱点を回避できないのはユーザーの責任」
という持論がある為、なんとか使いこなしてやろう。
まあでも、こんな「検証記事」以外では、まず使わない
レンズだ、せめて、しっかり実験台になってもらおう。
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3本目で紹介したSIGMA EX70/2.8と類似の
状況であり、AFが行ったり来たりはするが
合焦距離において収束する事は無く、AFが停止
した状態でもピントが合っていない。
AF動作の振る舞いは、5本目で紹介のCANON EF
40mm/f2.8 STMと類似ではあるが、STMでは
なんとか合焦したが、本レンズのUSMでは無理だ。
【注意点】古いUSM型レンズはAFは使用不可。
ちなみに、絞り値の変更は動作するのだが、
開放測光となるので普段での(絞り込み測光の)
αミラーレス機の使い勝手とは異なる。
(常に絞り開放の被写界深度の浅い映像が見える)
それと、電子アダプターからはレンズのUSMに
電源供給だけはされているので、本レンズの
最大の弱点であった「USMに給電しないと、
MFですら動かない」という課題は解消されている。
SONY Eマウント機には、優秀なピーキング機能が
搭載されているので、まあ、この状態でも
「MFで使うならば、かろうじて実用範囲だ」と
言えよう。
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本記事の総括であるが、SIGMA MC-11は、
SIGMA製のラインナップ整備後(2013年以降)の
レンズであれば、そこそこ快適に、SONY E(FE)
マウント機で利用できる。
しかし、その時代のSIGMA製レンズは高付加価値化
の弊害で三重苦(大きく、重く、高価)なものが
多いので、買いにくい事、および大型のレンズは
小型のSONY機とはアンバランスである事は確かで
あろう。(特に、ズーミングやピントリング操作時
において、重心位置が常にホールドできず、左手の
持ち替え動作が発生すると、操作性が繁雑になり
かつ、重量級レンズでは疲労を誘発する為にNGだ)
MC-11対応レンズ以外(本記事で色々と検証)に
おいては、個々に様々な問題点が発生する。
それらを理解・把握して、問題点を回避しながら
使用するには、中上級マニア級のスキルが必要と
されるし、問題点が回避不能のケースすらもある。
さらに加えて、機材故障等の危険性を伴うので、
やるならば、あくまで自己責任だ。
非対応レンズでは、どれも実用的なレベルとは
言えない為、実用撮影(アマチュア層での趣味
撮影や、重要な記録撮影、および職業写真家層等
での依頼・業務撮影)には一切向かない。
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では、本記事はここまでで。
本「レンズマニアックス+(プラス)」シリーズ
は、レンズに関わるマニアックな内容を、雑多な
テーマを設けて紹介する、不定期連載シリーズと
なっている。