Quantcast
Channel: 【匠のデジタル工房・玄人専科】
Viewing all articles
Browse latest Browse all 791

【熱い季節2021】第9回スモールドラゴンボート日本選手権大会(前編)

$
0
0
2021年10月17日(日)に、滋賀県大津市にある
「びわこボートレース場」にて行われた
「第9回スモールドラゴンボート日本選手権大会」
(以下、「スモール選手権」)の模様より。
_c0032138_21171189.jpg
本記事では「前編」として、この大会での、競技
カテゴリーの「シニア」(40歳以上)の部と、
「オープン」(性別不問)の部の模様を主に紹介する。

さて、昨年(2020年)の本大会は、コロナ禍で中止と
なったので、2019年9月の第7回以来、約2年ぶりの
開催となる。 
なお、大会が中止となった場合でも、大会回数の
カウントは進む、つまり「第8回大会:中止」という
記録上での扱いだ。

本大会の前身は、2004年頃から開始された
「びわこスプリント(ドラゴンボート)選手権」
大会である。
その時代のドラゴンボートは、20人漕ぎであったが、
大人数の選手を集めるのが難しい世情となった為、
2010年代前半頃からは10人漕ぎのレギュレーション
が日本および世界的にも増えてきている。
(注:ただし20人漕ぎが廃止された訳ではなく、
現代においては、20人/10人漕ぎの並行運用という
感じである)

また、前身大会での「スプリント」の意味であるが、
旧来から、本会場でずっと行われていた大会である為
コース長を直線200~250mしか取る事ができない。
その当時(2000年代)の他のドラゴンボート系レースは
400~600mの、今にして思えば「中距離」のレースで
あるケースが多かった為、200m戦等を「短距離」
すなわち「スプリント」と呼んだ次第であった。
(現代では200m戦は普通であり、地方大会等では
150~180m程度の、スーパースプリント戦もある)

本「スモール選手権」は、2013年から始まり、
従来のスプリント大会(20人漕ぎ)から、10人漕ぎに

リニューアルされる事となった。この時点でも他の
地方大会等では、独自の小型艇使用で、10人前後の
漕手数の大会も色々あったのだが「ミニドラゴン」や
「ドラゴンカヌー」等、その呼び方も様々であった。
本大会をもってして「スモール(ドラゴンボート)」
という呼び名が一般的に広まったと言えると思う。

スモール大会となった事で、大規模(多人数)遠征が
難しい遠隔地や海外からも、強豪チームが参戦できる
ようになり、また10人漕ぎ専用の小型軽量艇の導入
により、そのレース速度も、大パワーの20人漕ぎと
同等となり、非常に競技性が高くなった。

すなわち、本スモール選手権は、各地のドラゴンボート
大会において、最も競技性が高く、強豪チームも
集まり易く、結果、大激戦となりやすい大会であり、
参戦のみならず観戦においても、とても興味深い大会
となっている。
_c0032138_21171124.jpg
本大会には、最大で60チーム前後が参加した年も
あったと思うが、今年はコロナ禍であるから、
参戦チーム数は、18チームと少なく、例年の1/3
以下である。

でも、凄いことに、参戦するチームのほぼ全てが、
本大会や各地の大会での、優勝・入賞経験を持つ
強豪、あるいは超強豪(常勝)チームである。
まあ、コロナ禍でも参戦するという事は、それなり
に本気度が高いチーム群が集まっている訳だ。

本大会の弱点だが、これはあくまで偶然なのだが・・
「非常に雨に見舞われやすい大会」である事だ。
2004年開始のスプリント大会からの時代を通じ、
この会場で、恐らくは17回程の大会が実施されている。
(注:通常、各ドラゴン大会は1年に1度の開催だ)
私は、その全てを観戦撮影しているのだが、内、
少なくとも10回以上は、雨天となった大会である。

雨天となる確率は60%以上もある(あった)と言え、
その全大会での開催時期は、6月、9月、10月と
まちまちであったのだが、いつ開催しても、
まるで追っかけてくるように、当日は雨模様だ。

10年ほど前には「雨男(雨女)が居るのでは?」と
まことしやかに囁かれた状態であったのだが、
他の大会には参加せず、本大会にのみ参戦している
選手や関係者は皆無であったので、そういう噂も
自然になくなってしまっている。
会場や開催時期にも依存しないという状態であれば
もう完全に「偶然」でしか無いのだが、それにしても
「降水確率」が高い大会である。

本大会開催当日も朝から雨だ(汗)、
ただ、今回は珍しく、会場に到着した頃(8時台)
には、もう雨はやんで、曇天となっていた。

結局、本大会を通じて、主に曇天で、稀に陽がさし、
反面、ごく少量パラリと雨が降る程度で済んだ。
大会後の夕方には、虹も出ていた模様だ。

なお、本日の最高気温は17~18℃くらいであり、
昨日(キッズ大会)と比べて10℃近くも下がって
いるので、長袖やウィンドブレーカーの上着を
着こんでの撮影である。

さて、この大会の写真を撮る上では、雨天には
メリットとデメリットの両者が存在する。

デメリットは、勿論、撮り難い点だ。
合羽を羽織っての手持ち撮影、機材は比較的天候耐性
の高いものを持ち込んではいるが、故障リスクはある。
故障しないまでも、レンズ等への水滴の付着もある。

望遠(遠距離)撮影では、途中の雨粒のカーテンにより、
画像のコントラストが大幅に低下し鮮明な写真は撮れない。
選手達の集合写真やスナップ写真も、屋外雨天では
そもそもやりにくいし、室内では暗く撮り難い。
なお、本会場では、全天候型の屋内観覧席の施設が存在
するが、その位置からは遠すぎるし、ガラス越しとなる
から写真撮影には適さない。
(↓写真は、一昨年の雨天時のレースの写真)
_c0032138_21171155.jpg
対して、数少ないメリットだが、晴天時の午前中には
酷い逆光状態となる本会場でにおいては、フラット光
である雨天は、レースの模様についてはむしろ撮り易い。
その点においては、理想的には「曇天」なのだが、
まあ、そう都合よく天気は変わってはくれない。

・・で、本日の天候は幸いにして曇天が主体だ。
一応、曇天での発色の悪さを意識し、メインカメラ
(NIKON D500+TAMRON 100-400mm/F4.5-6.3)
のカメラ設定では「彩度」を、高目に強調している。
これは、一眼レフ上級機では比較的地味な色味設定と
なっている事も理由である。(=後編集を前提とする
為。彩度を高めて撮って「色飽和」してしまったら、
そこから彩度を下げる後編集は困難となる。対して、
ビギナー向け撮影機材は、後編集を前提としない為、
派手に彩度を高めた基本設定となっている事が普通だ)

しかし、結果として、かなり彩度が高く、こってりした
色味の写真が多くなってしまった(汗) ・・まあでも
近代の一般層向けカメラの色味設定は、だいたいこんな
感じなので(→ビギナー層は、そういう設定を好む為)
さほど大きな違和感は無いであろう。
_c0032138_21171160.jpg
では、本大会のレギュレーションである。

*直線250m、10人漕ぎ(+鼓手、舵手)

*競技カテゴリーは3つ。
 シニア(40歳以上)、混合(男女漕手それぞれ
 4人以上である事)、オープン(性別無関係)
 なお、いずれも鼓手・舵手の年齢や性別は問わない。

*レースフローはカテゴリー毎で異なる。
 3回戦制(シニア)、又はオープンと混合では
 予選→準決勝→順位決定戦or決勝戦
 となっている。

*チャンピオン社製、10人漕ぎ競技艇(公式艇)
 を使用。
(注:ただし、初期に輸入した数艇と、後で
 追加輸入あるいは国内製造されたものとは、
 僅かに仕様が異なる。
 後期型では幅が狭くなり、さらに速度が出るが
 その分、安定性は低い。
 本大会ではレース毎に両者を交代等で用いる、
 両者は、艇の番号プレートの色(赤、黄)で
 識別する事ができる。(赤が後期型か?)
 この為、レースによっては2秒前後のタイム差が
 発生する。選手達の間では、両者を区別して
 「通常艇」「高速艇」等と呼ばれている)

(ちなみに、本来、2021年に行われる予定であった
「ワールドマスターズゲームス関西」は、コロナの
影響で順次延期されている。順調に海外からの入国の
制限が解除されていけば、来年2022年に開催予定だ。
その大会では、本会場(びわこボートレース場)で
「ドラゴンボートの部」が開催される予定であり、
その為に、滋賀県ドラゴンボート協会においては、
公式艇である「チャンピオン艇」を20人漕ぎ、10人
漕ぎ両者の数を準備して備えている。その状況から
旧来では本大会は、旧型の重量艇をビギナー向け
のカテゴリーで使っていたが、今回の大会からは
全て公式艇(軽量のチャンピオン社製等の艇)と
なっている次第だ)

なお、勿論、コロナ感染拡大防止対策は万全である、
(詳細は、前記事「ドラゴンキッズ大会編」参照)
_c0032138_21171700.jpg
ちなみに、レース以外においては選手や関係者は
全員、マスク又はフェイスシールドの着用が必須。
レース中(水上)においては、万が一の水没時の
呼吸確保の為の安全性から、チームまたは個人の
選択判断により、マスクを外す事が許されている。

さて、レース(や開会式)が始まる前には、個々に
参集したチーム達は、それぞれウォーミングアップを
行っている。

この(通称「アップ」)措置(練習メニュー)は、
各チームでまちまちであり、見ていると興味深い。

例えば、以下は、一般的な「漕ぎ」の事前練習。
(チームは、混合の部の「すいすい丸」である)
これに加えて「軽いランニング」が、どのチーム
でもやる措置だ。
_c0032138_21171773.jpg
違うのは準備体操のメニューである、ここが各チーム
で完全にバラバラのスタイルだ。

特に強豪チームの場合は、チーム独自のルーチーンが
ある模様だ。
_c0032138_21171764.jpg
上写真は、「東京龍舟マスターズ」、
シニアのカテゴリーへの参戦である。

ベテラン選手達であるからか、比較的オーソドックス
なストレッチメニューを淡々とこなしている。
それにしても、ソーシャルディスタンスが大きい(笑)
まあ、本会場は広いし、本日は参加チームも少ない
ので、このように広々と使って貰えれば良いであろう。

(参考:本会場の収容人数は12000人。滋賀県の
現状のコロナ対策では、イベント時、会場収容人数
の半分以下であればOKである。つまり6000人までが
可であるが、今日の参加人数は、選手と関係者等を
合わせても400人にも満たないであろう。すなわち
スカスカの状態である。
ちなみに、世情から、あまり告知をしていないので、
一般観戦者はゼロに近い(注:禁止はしていない)、
また、若干の報道関係者が来場している)
_c0032138_21171721.jpg
上写真は「bp」(軍団)のアップメニュー。
かなりアクロバティックな体勢も多く、通常の
ストレッチ運動を、より発展した形なのであろう。
_c0032138_21173019.jpg
上写真は「磯風」(軍団)のアップメニュー。
エアロビやダンスの要素を多く盛り込んでいて
現代的ではあるが、基礎体力が無いと、この準備
運動だけでヘトヘトに疲労してしまいそうだ(汗)
_c0032138_21173080.jpg
上写真は「東京龍舟」(男女混合)の準備運動。
女性が多いチームの場合は、優雅な体勢で、主に
柔軟性が主体のストレッチが多い模様だ。

このように、各チームの(ウォーミング)アップは
まちまちである。 これまで、ドラゴンを観戦して
いても、あまりアップの内容に気を配る事は、私も
無かったのだが、近年のコロナ禍において、各チーム
ともに「練習不足(人が集まらない、集まっては
ならない、時間が取れない、等)」が懸念されていて、
そうした状況において、選手達の間においても、
「あの(ライバル)チームは、どんな練習をして
 きたのだろうか?」という疑問・質問点が、選手間
においても、非常に増えてきている。

勿論、アップ措置だけでは、練習メニューを推測する
事は不可能ではあるが、「体の出来(作り)具合」は
ある程度推測できるのではなかろうか?

ちなみに、ベテランの常連チームなどでは、アップも
殆どやらず、いきなりのレース本番、というケースも
見受けられるが、そんな場合には、やはり、それなりの
体の動きであり、パドル(漕ぎ)も揃っていない場合も
あるように見受けられる(汗)
_c0032138_21173088.jpg
さて、では、レースの模様である。
まずはシニアの部。

こちらは、3チームのみの参加である。「東京龍舟」
「Rスポーツマン」「GPO」と、いずれも超ベテラン
のチームであり、多くのメンバーは、およそ20年以上
もの選手暦(参戦実績)を誇る。

参戦の少ないリーグ戦では、予選→決勝等のレース
フローが組めない為、3回戦ポイント制である。
すなわち、3度漕ぎ、各レースの順位を加算して最終
順位を決める。 

一時期(10年ほど前)のシニア戦では、レース毎に
順位が異なるという実力伯仲の状況もあったのだが、
近年においては、様相も変わり、ほぼ「東京龍舟
(マスターズ)」(↓)が常勝軍団となっている。
_c0032138_21173079.jpg
結局、3レースとも順位は変化せず、以下の順位が
決定した。

1位:東京龍舟マスターズ
2位:Rスポーツマンクラブ
3位:Dragon Boat Club G.P.O シニア

本大会は「2022 ADBFアジアドラゴンボート選手権」
の代表選考も兼ねている為、「東京龍舟マスターズ」
が当該国際(海外)大会でのシニアの部の日本代表
チームとして選出されている。
(注:ドラゴンボートはマイナーな競技ではあるが
このように、海外の大会に参戦する事は比較的容易
であり、選手達の多くは海外大会の参加経験がある。
野球やサッカーのようなメジャースポーツの場合は
海外で活躍する事は容易では無いが、ドラゴンボート
の場合では、その夢を叶えることは十分に可能だ)

ちなみに、「東京龍舟」のメンバーは、その名の
通り東京在住の人たちが殆どだ。本大会への参加は
新幹線を使って来て、翌日は仕事の人も多く、帰路の
新幹線の指定席を19時頃で予約する事が殆どだった。

だが、本大会は、何故か荒天となるケースも多く、
台風が接近している中で大会が行われ、帰路で
新幹線の京都駅(本会場の最寄駅からはJRで2駅)
までのJR線が強風で止まりそうになって、やきもき
した事もあった。また、万が一、予選などで敗退を
してしまうと、夕刻の指定新幹線までの多大な時間を
もてあます可能性もあり、ここも注意事項であった。

匠「今回は、新幹線はすいていたでしょう?」
東「はい、コロナなのでガラガラです。
  来る時も自由席に乗って座ってきました」
匠「では、帰路の心配もありませんね、思う存分
  戦ってください!」
_c0032138_21173971.jpg
上写真は「Rスポーツマンクラブ」のメンバー。

いわく、
R「今日は普通にオープンの部に参加しようと思ったが
  集まったメンバーを見ると、もう全員がシニアの
  年齢だったので、シニアの部に出場する事にしたよ」

まあ、それでも新人選手(体験会からの入団)も居る
みたいなので、長く続けていただきたいものだ。

ちなみに、今年は中止となっているが、毎年行われて
いる「グランドシニア大会」(年齢に応じたハンデ戦)
では「R」は、ダントツで連覇を続ける強豪チームと
なっている。つまり、年齢に比較した実力値は高い
チームである。

それから、「G.P.O」は、今回は、シニアカテゴリーと
(男女)混合の部への、ダブルエントリーとなっている。
_c0032138_21173919.jpg
さて、次は「オープンの部」である。
このカテゴリーは男女の性別無関係であるが、実質的
には、ほぼ男性の漕手が中心となる。
なお、太鼓手や舵手は、女性となるケースも多い。

一般的な200m戦では、ベストタイムは50秒くらい、
しかし、本大会は250m戦である為、これを1.25倍
した値は、1分02秒程度となる。
このあたりが本日の優勝ラインとなるだろう。

オープンの部の参戦チームは、これも7チームと
少ない(まあ、コロナ禍なので、やむをえない)
しかし、「磯風x2」「bpx2」「小寺x2」
のダブルエントリー(=兄弟チームで同時出場し、
戦略的に上位を狙う作戦)
そして「池の里x1」と、いずれも様々な大会で
優勝・入賞経験多数の強豪チーム揃いだ。
(上の集合写真は「小寺製作所x2」チーム)

特に「磯風」と「bp」は、それぞれ常勝軍団
としての超強豪チームだ。
「磯風」対「bp」の、選手権クラスの大会での
直接対決においては、過去、「磯風」の方に分がある
状態が殆どであったが、稀に「bp」が「磯風」を
倒すケースもあるので、観戦側としては、最も注目
すべきレースとなる。

レースフローについては、予選→準決勝→決勝戦
の、これも3本漕ぎである。今回は参加チーム数が
少ないので、どのチームも3回(レース)は漕げる
ように、レースフローについては配慮してあるとの事。
(注:決勝に進めなかったチームは、順位決定戦へ)
_c0032138_21173942.jpg
ただし、予選→準決勝に関しては、
ある種の見方をするならば、「対戦相手を替えて
レースをしているだけ」の状態となる。

しかし、準決勝→決勝、は、とてもシビアであり、
最大4艘建ての各レースにおいて、準決勝の上位の
2チームのみが決勝へ進出できる。
そこに入れなければ、順位決定戦(5~7(8)位)
行きである。

また、ダブルエントリー(兄弟参戦)チームが
多い為、味方チーム同士が準決勝で潰しあう
(強いチームに阻まれて、どちらかが落ちる)
事は、戦略的には絶対に禁物であろう。

したがって、予選に関しては、場合により、順位
調整が有り得るかも知れない。
(=レースフローを熟読し、兄弟チームが同一の
準決勝戦で当たらないように、順位に配慮する)
又、場合により新人メンバー等を乗せ、レース経験を
積ませる育成措置を取っているかも知れない状態だ。
その為、予選のタイムは、あまり参考にならない、

さらには、本大会で用いる10人艇には、2タイプが
存在している。
旧型(初期に中国から輸入した)の4艇は、やや
幅広で安定性が高い。 新型(後期型)では、
やや幅が狭く、安定性が悪いがスピードが出る。
これらをレース毎に交互に用いる(勿論だが、
同一のレースで使う艇は、全て同タイプだ)為に
両タイプで、恐らくは最大2秒程度のタイム差が出る。

加えて、本日は風がやや強く、最大で8~10m/s程度
の向かい風となるレースも存在している為に、
予選や各レースでのタイムは、ますます参考には
ならない。

つまり、戦略的には「準決勝の1本勝負」である。
準決勝で最大のパフォーマンスを発揮して、なんと
しても2位に食い込み、決勝戦に進出しないとならない。
恐らくは、常勝軍団の「磯風x2」「bpx2」が
決勝進出チームになるとは思うが、準決勝の組み合わせ
次第では、兄弟チームが潰しあう可能性もある為、
それら超強豪に続いて決勝進出を狙う「池の里」や
「小寺」(注:いずれも滋賀県の強豪チーム)は、
ますます準決勝に力を入れないとならない。
(↓写真は、準決勝2回戦、磯風vs磯風の模様)
_c0032138_21174048.jpg
注目は「池の里 LAKERS!」である、予選ではbpの
サブ(育成)チームである「bp next」を上回る
タイムを出していた。 条件が揃えば準決勝で、
同様に「bp next」を倒して、念願の決勝進出に
なるかも知れない。

(注:「池の里」や「小寺」。後、今回不参加だが
「龍人(どらんちゅ)」は、「琵琶湖の三国志」と
呼ばれ、地元滋賀県の様々な大会では、いつも
優勝を争う強豪チーム群である。しかし、全国区と
なる「選手権」クラスの大会では、各地から、さらに
実力の高い超強豪チームが多数参戦するため、例年、
下位決勝戦や順位決定戦に、滋賀県の強豪チームが
並び「琵琶湖ローカル戦」と自嘲する事も多い次第だ。
その状況を打開し、なんとか数少ないチャンスを
狙って、まずは決勝進出が、滋賀県チームの目標だ)

だが、せっかくのチャンスも、準決勝戦では、
「池の里」は「bp next」に約2秒およばず、決勝
進出の夢は途絶えた。まあ、前述のように、予選は
「チームのレース戦略」「艇の種類」「風の状況」
があるので、単純に予選のタイムを比較しただけでは
優劣の予想はつかない状態ではあった次第だ。

匠「池の里さんにとって、今回は準決勝が全てでした。
  特定のレースで最高のパフォーマンスを発揮できる
  ような方法も必要かも知れませんね。
  後、チャンピオン艇に慣れていないように思います、
  漕ぎが軽量艇に合っていないですね、もっと手数を
  繰り出した(ピッチ漕法)が良さそうですよ。
  では、負けた(とは言え、総合5位)レースも
  ”徳川家康”のように、撮っておきましょうか?」
_c0032138_21174949.jpg
池「最近は”万年2位”とは言われなくなりましたね(笑)
  でも、チャンピオン艇に慣れていないのは事実です、
  また精進しておきますね」
匠「オーパル(練習拠点)と交渉して、協会では普段は
  使用していないチャンピオン艇数艇を練習用に回航して
  貰ったらいかがでしょうか?琵琶湖のチームのレベル
  アップの為には必要な措置だと思いますよ」
というやりとりがあった。

さて、いよいよオープンの部の決勝戦だ。
進出チームとレーン番号は以下の通り。
1レーン:bp (注:主力チーム)
2レーン:磯風韋駄天 (注:主力チーム)
3レーン:bp next (注:若手育成メンバー)
4レーン:磯風Maters (注:ベテランのメンバー)

レースの予想だが、1レーンと2レーンは、最後まで
接戦となるだろう。3レーンと4レーンは、撮影地点
からは距離があり、かつ、主力チーム群とは約1艇身
(=約9m)位の差がついてしまうかも知れない。

撮影地点をゴール前50mに設定、ここで頭1つ
抜け出したチームが優勝だ。

さあ、決勝レースがスタートした。
_c0032138_21174988.jpg
序盤の展開は写真に撮っても、よくわからない。
150m~200mも先では、撮影地点からは斜めの
アングルがついているので、ライバルチーム間の
距離差も不明なのだ。

レース終盤に近づき、撮影地点から並行に撮れる
瞬間に、その順位(距離差)が正確に見て取れる。
_c0032138_21174976.jpg
1レーンの「bp」に対して、2レーンの
「磯風韋駄天」がやや有利か・・ しかし僅差だ、
「bp」の方が、少しスピードに乗っているように
思えるが、撮影アングル上での錯覚(=つまり、
距離の近い手前のレーンの方が、移動角速度が大きい
為、速く感じてしまう)もあるかも知れず、
最終結果は、競艇場備えつけの大型ビジョン(TV)で
見るか、または大会本部からの正式な発表待ちとなる。

両者、ほぼ同時にゴールしたように感じたが、
やはり「磯風(韋駄天)」が、やや早かっただろう。

数分後、大会本部からの結果の放送があった。

「1位、1分02秒57、磯風韋駄天
 2位、1分02秒94、bp・・・」

思ったよりもタイム差は小さく、ごく僅かであった。
250mを約63秒であるから、秒速は約3.96m/s
となる、これはドラゴンボートとしては、ほぼ最高速
であろう、4m/sを超えるレース(チーム)は、殆ど
見た事がない。そして、この磯風のタイムは、200m
戦に単純換算すると、丁度50秒くらいとなる。
200m戦で50秒を切るケースは非常に稀であるから、
ほぼこれでレコードタイムだ。
向かい風条件としては、とても立派なタイムだ。

両チームの差だが、速度を約4m/sとして計算すると、
両チームの0.37秒の差は、約1.4mの距離差となる。
まあ見た目(肉眼)でも、差がわかる程度だ。

この差が、0.01秒とかになるレースも、様々な大会
において過去何度かあった。その際の距離の差は、
僅かに4cm程度である。これはもう肉眼では判別が
出来ず、高速フレームビデオカメラ(毎秒100枚等)
の専門的な機器を使わないと勝敗の判定はできない。
(そういう機器を使っても、必ず、ゴール地点の
真横から、ある程度拡大して撮らないとならない)

ちなみに、今日使っているNIKON D500のカメラは
毎秒10コマの高速連写が可能で、一眼レフでは最強
クラスのスポーツ用のカメラなのだが、このD500を
使っても、ドラゴン艇は1枚撮るたびに約40cmも
進んでしまう計算だし、近年では選手達の漕ぐ回転数
(ピッチ)は120(毎分120回)にも及ぶ事もある為、
秒10コマのカメラでも、5コマでワンストロークだ。
タイミング良く、パドルが頂点、入水、離水している
瞬間を捉えるのは、この高速連写機でもギリギリだ。

なお、ミラーレス機であれば、秒12コマおよび15コマ
も出る高速連写機も持っているので(注:動体撮影
であるから、「機械式シャッター」のスペックでしか
性能判断できない。電子式シャッターでは秒60コマも
出るカメラも持っているが、それでは動く被写体が
歪んで写ってしまうし、そうした超高速連写は2秒程で
連写が途絶えてしまうので、そのモードは使用できない。
本ドラゴン競技の撮影用には、7秒以上のAF追従の
高速(秒8コマ以上)大量連写が必須となる)

今後、それらを旧来からの一眼レフに替わって持ち出す
事もあるかも知れない。つまり、競技のレベルアップ
に合わせて、撮影機材も、より強力な性能なものが
必須となりつつある状況であるが、現状ではカメラの
連写・AF性能等が追いつかないような感じである。
_c0032138_21175025.jpg
上写真はレースを終えて戻ってくる「磯風(漕友会)」
のメンバー。お疲れ様でした。
観戦側としても良いレースを堪能できた次第である。

なお、記事での紹介の順番を替えているのだが、
このオープンの部の決勝戦は、本大会の最終レース
であった。残る「(男女)混合の部」のカテゴリーの
チームやレースの模様は、続く記事で紹介していこう。

---
では今回の記事はこのあたりまでで、
次回記事は「スモール選手権(後編)」になる予定だ。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 791

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>