本シリーズ記事は、「オールドレンズ」ならぬ、
古いデジタルカメラ(オールドデジタル機)を、時代と
カテゴリー(一眼レフ、コンパクト機、ミラーレス機)
で分類して、順次紹介していく記事群である。
紹介機は、いずれも2000年以降に発売されたもので
現在も所有しているのは勿論、いずれもちゃんと動作
する機体ばかりだ。(注:過去所有機で、故障廃棄や
譲渡等により、現在未所有のものは紹介対象外とする)
また、勿論、全て自分自身でお金を出して買った機体
である。どんな場合においても、「他人から借りた
カメラを評価する事」などは絶対に出来ない筈だ。
それは専門的評価者の場合でも同様だ。もし評論家が
「その機種を購入していない」様相が見られた場合、
その評価内容は信用しないばかりか、むしろ、経験も
知識も豊富な専門家層が「買わない」と言うならば、
その事が最も信用できる「逆情報」となる。つまり、
「私見では購入には値しない機材だ」という証拠だ。
で、高々20年前の機種であるのに、何故、これらの古い
カメラは「不人気」となってしまうのであろうか?
そのあたりの原因を究明していく事も、本シリーズ
のテーマの1つとなっている。
1記事あたり4~5機種の紹介、合計十数記事を目処に
本シリーズ記事を進めて行くことにしよう。
シリーズを進めるにあたり、様々な取り決めがあるが、
だいたい他のシリーズ記事と同様だ。(詳しくは、
本シリーズ第1回記事の冒頭を参照されたし)
なお、記事の掲載順だが、各カテゴリー(一眼レフ、
コンパクト、ミラーレス)毎に、ほぼ発売年代の順と
する(=例えば、一眼レフばかりを続けて紹介しない)
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では、今回最初のオールド(デジタル)一眼レフ。
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カメラは、NIKON D70 (APS-C機)
(2004年発売、発売時実勢価格約15万円)
(中古購入価格 75,000円)
紹介記事:デジタル一眼レフ・クラッシックス第4回
レンズは、NIKON Ai AF NIKKOR 85mm/f1.8D
(1994年頃発売)を使用する。
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今回紹介機4台の発売年代だが、2004年~2007年の
期間となる。
この時代は、各ユーザー層において、銀塩一眼レフ
から、デジタル一眼レフへの転換が進んだ時代だ。
だが、デジタル一眼レフは、まだ、若干だが高価な
値付けとなっていて、かつ、中古品も、あまり流通
していなかった。で、それらを新品ですぐに買える
裕福なユーザーと、そうで無い入門層等の消費者層
(学生とか、若年層)との間で、一種のヒエラルキー
(=差別化された階層構造)が発生していた。
これにより、高価なデジタル一眼レフを購入できない
層では、それを「ガンデジ」「イチデジ」「デジイチ」
等と呼び・・ (注:濁点やG/D/Zの発音が多い)
自身の所有する「コンデジ」(コンパクト・デジタル機)
と(卑屈な心理による)差別化された用語が流行した。
これらの俗称は、「デジタル一眼レフが欲しくても
買えない、だからあえて低俗な呼び方をする」という
心理が明白だった為、当時から既に開設されていた
本ブログでは、そうした俗称を排除し、その後に至る
までも、そうした用語を使う事は一切無かった。
これが心理的な理由による俗称(蔑称)であった事
の根拠としては、2000年代後半ともなると、もはや
銀塩一眼レフ等は誰も買わず、買うならば、ほぼ全員
がデジタル一眼レフとなった事。そして勿論、価格も
こなれて来ていたから、誰もがデジタル一眼レフを
買う事が困難では無くなっていたので、こうした俗称を
使う必要が無くなり、言われなくなった事でもわかる。
つまり、一旦カメラを買った以上は、「ガンデジ」等
とは、もう誰も呼ばず、「EOS 50Dを買ったぞ!」等と、
具体的な商品名で呼ぶ(周囲にアピールする)訳だ。
よって、この時代(2000年代後半)ともなると
早くも「ガンデジ」「イチデジ」「コンデジ」等の
差別化俗称は、使われずに「死語」となっていた。
で、そもそも、その時代以降、「デジ」では無い新製品
カメラなど、存在も非常に稀だし、買う人も稀だ。
(注1:その後の時代まで、これらの俗語を使っていると、
あまりに世情に疎いみたいで、むしろ格好が悪い。
→後年、カメラの専門性の低い大衆誌等のカメラ特集で、
よく「遅ればせながら」そんな俗称が使われていた)
(注2:アニメや映画・小説等のフィクションの世界
では、主人公と敵対する「敵役」の名称は、G/D/Z等
の濁点系発音を含むケースが非常に多い。すなわち
「ガンデジ」呼称は心理的に敵視した状態と言える。
ただし、初代「ガンダム」では、連邦軍もジオン軍も
両者の兵器名は濁点系発音ばかりだが、これはアニメ
のストーリー上で、どちらが「正義」であるか?を
あえて不明とするコンセプトであったからだろう)
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さて、本機D70であるが、NIKONがデジタル一眼レフを
市場に普及させる為に投入した「戦略的商品」である。
カメラ以外の市場分野でも、色々と同様な実例はあるが、
「戦略的商品」の多くは、性能や品質が高く、加えて
比較的安価であり、コスパが極めて良い。
つまり、メーカーにとっては、あまり儲かる商品では
無いのだが、その代わり、その商品を多数販売する事で
他社に対する市場優位性を築いたり、あるいはその事で
ユーザー層に、メーカーの信奉者(ファン/信者/党)
となって貰う事で、その後の関連商品(交換レンズ等)
の販売に繋げる、いわゆる現代で言う「囲い込み戦略」
が実施できる。(ごく近年の例としては「NIKON Zfc」
が「戦略的商品」にあたる)
D70が発売当初から完成度が高いカメラであった事は、
本機は、NIKONデジタル一眼レフの歴史の中では稀な
「S型後継機」が存在していた事からもうかがい知れる。
具体的には、NIKON D70S(2005年、未所有)である。
ここで「S」の意味は不明、Second(第二の)の略語
であろうか? まあつまり、D70のマイナーチェンジ版
であり、仕様上の差異は微少だ。でも、この時代、
2000年代前半は、デジタル一眼レフの技術的な改良が
爆発的に進んだ時代であるから、殆ど中身が変わらない
後継機を出せる、という事は、相当に初代機の完成度
が高かった状態を表している。
同様な例としては、NIKON D300(2007)(後日紹介)
と、NIKON D300S(2009年、未所有)の例がある。
他にもD2Hや、D3、D4で同様な例があるが、
それらは旗艦機であり、その寿命を長く持たす為の
措置であったりする。
(注:銀塩時代のNIKON Fヒトケタ旗艦機は、1機種の
寿命が、8~10年以上もあったのだが、進歩の速い
デジタルの世界では、とてもそこまでの長期間は持たせ
る事が出来ない。(→仕様が古くなり、見劣りする)
で、新機種の開発には膨大な費用がかかる為、旗艦機
クラスは、数年間の製品ライフサイクルを維持する為、
S型後継機で、マイナーチェンジを行ったのであろう)
ただし、NIKONに限らず、すぐに後継機が出るケース
では、一部に、初代機になんらかの問題点があって、
速やかに、その修正を施した改良機である場合もある。
こういうケースを、私は「ごめんなさい製品」と
呼んでいる。その実例はいくつか知ってはいるのだが、
初代機のオーナーにとっては不快な情報である場合も
あるだろうから実例は割愛する。
しかし、D70SやD300Sの例では、そうでは無く、
「初代機の完成度が高かったから、仕様老朽化寿命が
延びた」ケースである事は間違いない。
こうした場合、「初代機から完成度が高かった」と
見なして、新型機発売により(中古)相場が下落した
初代機をあえて買うのか? はたまた「後継機では
さらに完成度が上がり、非の打ち所が無い」とみなし
後継機を購入するべきか? の、どちらが正解かは
微妙な判断だ。ここはユーザーの価値感覚に依存する
部分だと思われるが、私の場合では、初代機を購入する
割合が多く、NIKONのS型改良機は所有していないし、
他社機の場合でも、Mark2やらⅡ型等を狙って購入
する比率も、さほど多くは無い。(注:明らかに
後継機での性能が向上している場合は、MarkⅡ型等
を指名買いするケースもある)
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さて、本機D70であるが、発売時実勢価格約15万円
と、他社機に比べて安価な類のデジタル一眼レフで
あるものの、1/8000秒シャッターや、1/500秒の
シンクロスピード、そして、いくらでも連写が出来る
(注:・・と、発売前には言われていたが、実際には
最小画素時でも最大49枚程度である)連写性能、
それから非常に長いバッテリーの持ち(低消費電力)
は、当時の上級機と同等か、一部のスペックは、
それよりも優れていた。
本機が「戦略的商品」であった他の証拠としては、
前年2003年にCANONが発売した EOS Kiss Digital
(初代、未所有)が12万円という、こちらも「戦略的」
な低価格で発売された、そのタイミングを見計らって、
NIKONから本機D70の「開発発表」が行われた事からも
うかがい知れる。
「開発発表」とは、つまり「近いうちにD70という
凄いカメラが出ますよ!」という事前告知であり、
これはすなわち「Kissデジなどは買わずに、待って
おけ」という、強気の市場へのアピールでもある。
この時代は、一般報道等の「メディア」もデジタル
一眼レフの普及に注目していて、Kiss Digitalや
D70の発売は、一般的なニュースでも取り上げられた。
ただ、カメラユーザーであってもデジタルの事は
良くわかっていない時代であったので、一般メディア
ではニュース内容の正確性や信憑性に欠ける節も正直
あった。具体例としては「NIKON D70は、いくらでも
連続撮影が出来るカメラだ」などといった調子だ。
(参考:2010年代以降の他社の近代機であれば、
カードの容量とバッテリーが持つ限り、文字どおり
「いくらでも連写が出来る機体」も存在する。
むしろNIKON機では、”連続連写200枚まで”とか
機構部品の耐久性を考えて、あえて性能を制限して
いる場合もある。また、そういう仕様においては、
下位機種との「仕様的差別化」もやりやすい。
具体例としては、同じ連写速度でも下位機種では
100枚までしか連写が効かない、等の制限である。
まあ、実用上では、どうでも良い話であるが、カメラ
の数値スペックばかりを気にする現代の初級中級層に
対しては、こうした仕様的差別化は有効なのであろう)
総括だが、本機D70、あるいは後継機D70Sあたりは
現代においても、かろうじて実用範囲の機体だ。
NIKONのデジタル一眼レフが欲しくて、「とりあえず
写れば良い」と言うならば、中古で数千円と二束三文
となった本機等を入手するのも悪く無い。
余った予算で、性能の高いレンズを入手すれば良い、
という話である。
ちなみに、本記事で紹介の機体は、K10Dを除き、全て
CF(コンパクトフラッシュ)カード使用機である。
「CFカードは何処で売っているか?」であるとか、
「CFカードから、どうやってパソコンに取り込むのだ?」
というようなビギナー質問をして来るようだと、ちょっと
これらのオールド機体を使うのは難しいかも知れない。
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では、2台目のオールド(デジタル)一眼レフ。
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カメラは、CANON EOS 30D (APS-C機)
(2006年発売、発売時実勢価格約16万円)
(中古購入価格 15,000円)
紹介記事:デジタル一眼レフ・クラッシックス第5回
レンズは、CANON EF35mm/f2
(1990年発売)を使用する。
本機30Dの購入価格がやたらと安価であったのは、
本機を購入前に、名機と謳われた「EOS 20D」
(2004年、故障廃棄)を長年愛用していたのだが、
そのEOS 20Dは、2010年代初頭に電気的故障に
見舞われて廃棄処分となってしまい、それの
代替機として、中古相場が安価であった本機を
購入したからである。
購入時には、40Dや50Dも発売済みではあったが、
本機であれば、相場がとんでも無く安価な他、
EOS 20Dのバッテリーや充電器が共用できた、
という実用上の利点が1点。もう1つは、非常に
マニアックな理由ではあるが、前記事で紹介済みの
「EOS D30」と極めて型番が近い機種であり、
ここまで類似した例は、あまり他に類を見ない為に、
歴史的な観点で、「両機を同時に所有しておこう」
と思った次第である。
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さて、本機EOS 30Dであるが、発売時には不人気の
機種であった。(だからこそ、中古相場も安価だ)
その理由だが、前機種EOS 20Dから2年もの期間が
過ぎて発売された新機種であるのに、EOS 20Dと
数値スペック(例:画素数等)が、殆ど変わらない
機種であったからだ。まあこれは前述のNIKON D70
の所でも書いたが、完成度の高い戦略的な商品を
展開後は、次の後継機では改良の余地があまり無い
事が理由なのであろう。NIKONであればEOS 20Ds
と命名した機体であったかも知れない。
そして、CANONがEOS Kiss Digitalを2003年に
低価格で販売すれば、2004年にはNIKONが、D70
を低価格+高性能で、ぶつけて来たのだが、
CANONでは、さらにD70に対抗する為に、本格的
上級機であるEOS 20Dを2004年に販売した訳だ。
EOS 20Dの完成度が高かった点もうなづける。
これらの市場の変化は「慌しい」とは言えるが、
それでも、ここまで市場が活性化しているならば、
消費者側としても、非常に興味深く見えて、
「どれを買おうか?」と楽しく迷ってしまえる。
で、ここで重要な事は、「どれを買おうか」という
考えでは、すでにどれかのカメラを買うという事は
消費者にとって、もう決まった事なのだ。
現代ではカメラ市場が縮退してしまっていて、新製品
が出たとしても「買うか、買わないか」の二択である。
まあ、私の場合は、たいていの近年の新製品は
「(高すぎて)買わない」という選択をするケース
が大半だ。既にちゃんとしたデジタル機は多数所有
しているし、「最新型機で無くては撮れない!」と
ダダをこねる事も勿論しない。よって、新型機は、
「そのうち値段が下がったら買う」という風に考え
自身の「購入予定リスト」に、たとえそれが定価で
50万円の最新型機であっても、「10万円」等と平然と
書き込む。それが私が考える、その機体の「真の実用
価値」であるからであって、後年に中古相場が自身の
想定した価格帯にまで落ちて来ない限りは、その機体の
事は完全に忘れておく。いや、「購入予定リスト」に
書き込まれるだけ、まだマシな措置であり、たいていの
新製品は「高価すぎて、かつ性能も魅力もイマイチで
箸にも棒にもかからない」という観点から、欲しい
とも思わない訳で、完全にスルー(無視)だ。
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さて、本機EOS 30Dの場合は、あるタイミングで、
ある理由で、特定の用途の為に購入した機体であり、
減価償却ルール(=1枚3円の法則)も瞬時に完了
したものだから、その後の時代には、もっぱら
「消耗機」としての役割を与え続けていた。
それは、雨天、酷暑、酷寒、水気、埃、落下や
衝撃の危険性が高い、等の過酷な撮影条件において
「使い潰して、壊れてしまっても構わない」という
ラフな使用を可能とする機体、という役目である。
(だから、本機の外観は、傷だらけでボロボロだ)
現代の初級中級層において、高価すぎる機体を買って
しまい、その結果として、例えば「雨が降ると大事な
カメラが濡れて壊れてしまうから、撮影ができない」
というケースを良く見るのだが、そうした事態に
直面する経験値が高くなれば、「壊しても良い機体」
の必要性は理解できるようになるであろう。
「消耗機」の存在や必要性は、決してレアケース
(稀な事、特別な事)では無い訳だ。
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別に、本機EOS 30Dをその目的に買え、と言う訳では
無いが、自身が、そういう目的で何らかのサブカメラを
買うようになれば「カメラには個々に適切な利用目的が
存在する」という重要な事実に気づく事であろう。
決して、現代での多くのビギナー層が考えるように、
「最高性能の最新型機を1台だけ持っていれば済む」
という話では無い訳だ。
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さて、3台目のオールド(デジタル)一眼レフ。
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カメラは、PENTAX K10D (APS-C機)
(2006年発売、発売時実勢価格約12万円)
(中古購入価格 35,000円)
紹介記事:デジタル一眼レフ・クラッシックス第6回
レンズは、smc PENTAX-FA 43mm/f1.9 Limited
(1997年頃発売)を使用する。
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どうも今回のシステム(本体+レンズの組み合わせ)
は、不調である。
AFがあまり合わず、ピンボケを連発するし、その際
にも、ファインダーではピントが合っているように
見えるし、AFやMFで、フォーカスエイドもちゃんと
動作しているように思えるが、それでもピンボケが
起こるのだ。
本機K10Dを長年使ってきた感覚では、まあAF精度は
低いものの、ここまで酷い事は無かったと思うので、
何らかの故障を疑い、後日、レンズを別のものに
交換して試写をしてみたが、やはり同様だった。
故障または劣化している可能性が高いが、思えば、
本機K10DのAF性能は、本機を主力としていた頃から、
あまり信用しておらず、もっぱら優れたファインダー
を頼りに、MFで撮るケースが多い状態であった・・
最近、滅多に使わない機体であったので、本機の使い
こなしをすっかり忘れていた訳だ(汗) やはり、
各所有機は定期的に使ってあげる必然性を感じる次第だ。
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さて、本機K10Dであるが、PENTAXが、それまでの
低価格帯機による普及化戦略から、中上級機による
本格派路線に転換した、歴史的価値の高い機体である。
まあつまり、「ハイパー操作系」の復活採用とか、
ボディ内手ブレ補正(SR)の搭載等である。
ただまあ、これまでのPENTAXの初級機戦略と、
そしてこの時代以降も、HOYAへの吸収合併により、
そこでHOYAは、初級層向けの市場戦略を2010年代
初頭頃迄(=RICOHの傘下となるまで)精力的に
展開した為(まあ、得意分野で売ろうとするのは
当然であり、このHOYA時代にPENTAXのカメラ事業
は黒字化している)・・そういう戦略であったから、
良くも悪くも「PENTAX機はビギナー向けである」
という印象が市場に定着してしまっていた。
しかし、実際のPENTAX機の仕様はそうでは無い。
ハイパー操作系1つを取ってみても、ビギナー層
では理解不能なものであるし(参考:この機能が
最初に搭載された銀塩PENTAX Zシリーズ(1990
年代前半)では「初級中級層から見て難解すぎる」
という理由で、1990年代後半の銀塩MZシリーズ
においては、「ハイパー操作系」は撤廃されて
しまっていた。当時は中古カメラブームであり
ユーザー層は良くカメラの事を勉強してはいたが
その時代でも難解な機能である。現代のビギナー層
では残念ながら、ハイパー操作系の恩恵は得られない
事であろう)・・と、理解不能なものであるから、
PENTAX機は、その実態(実は上級者向け)と、
その市場での評価(初級者向け)が、大きく乖離
(かいり)してしまっている状態だ。
こういった理由からか? 2010年代末頃からは、
PENTAXは新規のデジタル一眼レフを発売しておらず、
(注:2021年に、4年ぶりにK-3 MarkⅢが発売)
レンズメーカーですらもPENTAX機用のマウント版の
ものを販売しなくなってしまった。
どうにも残念な状況であるが、PENTAX機の本質を
理解できないユーザー・消費者側にも、その本質を
正しくアピールできなかったメーカーや市場側にも、
両者に課題がある話であろう。
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それから、本機K10Dでは、若干の「オリンパス・
ブルー」傾向が現れる。これは様々な記事で詳しく
説明済みであるが、2000年代前半でのデジタル機
(一眼レフ、コンパクト)で、センサーの青色域
のゲイン(利得)を誇張気味に補正する措置だ。
同時代の各社の機体で、それらは見られるが、
(注:オリンパス機だけの特徴では無い)
2000年代後半からは、撮像センサーの短波長
(青色)側の感度が向上したからか? そうした
エンハンス(増強/補正)処理をしている機種は
ずいぶんと少なくなった。本機K10Dあたりが、
かなり最後の方の、そうした「オリンパス・ブルー」
系の機体であろうか?
(注:下記紹介のSONY α700、2007年でも若干の
「オリンパス・ブルー」傾向がある。2枚目のタンク
の写真参照)
また、本機K10Dは、PENTAX純正レンズにおける
過去プロトコル(例:KAF2パワーズーム規格)
への対応の汎用性が高い。
例えば、上記KAF2は、銀塩時代ではパワーズーム
用途だったのが、後年のデジタル時代では、レンズ内
AFモーターへの対応プロトコルに変遷している。
近代のPENTAX機では、古い時代のパワーズーム対応
を、すっかり撤廃(廃止)しているケースも多いが、
本機K10Dでは、様々な古い時代のPENTAXレンズも
使える為、本機を母艦とする利便性が出て来る。
まあ、それらの意味でも、本機K10Dの歴史的価値は
なかなか高いかも知れない。
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では、今回ラストのオールド(デジタル)一眼レフ。
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カメラは、SONY α700 (APS-C機)
(2007年発売、発売時実勢価格約18万円)
(中古購入価格 29,000円)
紹介記事:デジタル一眼レフ・クラッシックス第7回
レンズは、MINOLTA AF20mm/f2.8 (New)
(1990年代前半頃発売)を使用する。
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KONICA MINOLTAが、カメラ事業(α)をSONYに
譲渡後、SONYから最初に発売されたデジタル一眼
レフは、α100(2006年、未所有)であったのだが、
その機体は、外観こそ違えど、内容的には、
2005年発売のKONICA MINOLTA α-Sweet DIGITAL
(故障廃棄)と同等、という印象が強く、コニミノ
時代の多くのリソース(=資源。つまり技術や部品や
人材、工場等)を流用して、「慌てて作られたもの」
というイメージが強かったので、α100は、あまり
食指が動かないカメラとなっていた。
しかし、本機α700(注:SONY時代のα機では
MINOLTA時代とは異なり「-」(ハイフン)は入らない)
で、本格的な上級機となり、かつ、これも嬉しい事に
MINOLTA時代からの型番命名のテイストを、SONYでも
踏襲し、革新的な機体に「7番機」の名称を付ける
事には、好意的な印象もあった。
だが、本機α700は、非常に地味な印象が強い機体
であり、MINOLTA時代の7番機のようなセンセーショナル
でエポックメイキング(=新時代を開拓する)ような
機体では無かった事が、わずかな不満事項であった。
まあつまり、αの事業を引き継いだばかりのSONYは、
これまで一眼レフは全く作ってこなかった状況では
あるし、ともかく「先行他社に追いつく」事が急務で
あったのだろう。本機が性能的に不足している部分は
殆ど無いが、何と言うか、個性が無く、優等生的で
地味な機体なのだ。
私は、「ちょっと、そのあたりはがっかりだ」と本機
は、あまり趣味撮影に持ち出す事が無かった。
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本機の、そもそもの購入動機であるが、愛用して来た
KONICA MINOLTA α-7 DIGITALが物理的な老朽化が
酷くなって来た為、2010年代初頭、単純にそれの
代替機として、主に業務撮影用途機として本機
α700を追加購入して用いる事とした次第だ。
まあつまり、趣味的撮影に使うには、その機体を使って
いて楽しいと思える「エンジョイ度」が高くなくては
ならないが、本機では、さほど楽しめない訳だ。
多分、そのあたり(地味で個性が無い)は、作って
いるSONYでも感じていたのであろう。リソース(資源)
はKONICA MINOLTAから踏襲したので、手堅くは作った
機体ではあろうが、トランジスタラジオやトリニトロン、
ウォークマンといった、世の中が驚く製品で一世を風靡
し続けてきたSONYの社風には、ちょっと合わない製品で
あった、という話なのだろうと思う。
後年には、αフタケタ機(α55等、2010年以降~)で
かなりのエポックメイキングな機体に転進したので、
「まあ、やはりな、地味すぎたのか?」という印象は
確信に変わって行く。
ただ、この事が、後年、ちょっとした問題点に繋がる、
それは2010年代後半、SONYは、ミラーレス機のαに
注力し、一眼レフ(Aマウント)のαの展開を事実上
凍結してしまっていた。私はAマウントのレンズを
多数所有しているので、母艦が無いと困るし、近い
将来にAマウント機が完全に販売を停止してしまうと
さらに困った事になる。そこで、実用的なα一眼
レフを3~4台程度キープしておこう、と考えた。
その際、フルサイズ機を所有して無かったのだが、
Aマウントのフルサイズ機は、α900、α99、α99Ⅱ
の3機種しか存在しない。内、α900は、2010年代
後半では発売後10年が経過して相場がかなりこなれて
いたのだが、基本的に、本機α700の兄弟機である
から、その仕様が、とても地味なものに感じてしまい
その機体を購入する意思が無くなってしまったのだ。
(注:α900の外観デザインは格好良いし、光学
ファインダーも、なかなか優秀そうなのだが・・)
さらに後年のα99を購入する事で、とりあえずの
解決を見たのだが、α99以降は、高付加価値型商品
となっていて価格が高価であったから、連動して中古
相場も性能や発売時期と比べて高価すぎて、コスパが
悪いカメラだ、と悪印象が強い状態だった。
まあ、実用的には、フルサイズ撮影が必要であれば、
α FEマウント機(α7系等)に、α Aマウントレンズ
をアダプターを介して装着すれば済む話なのだが、
1985年から脈々と続く、α Aマウントの系譜を、
メーカーが、そしてユーザーである私までもが
見限ってしまう事には、どうも納得が行かなかった
訳である。カメラの歴史を研究すれば研究する程に、
α Aマウントを失わせてはならない、と、個人的にも
強く思うようになって来た訳だ。
SONYとしては、売れない商品をいつまでも売り続け
いても意味は無いし、そもそもαだってKONICA MINOLTA
から買ったものだし、「2006年~2016年(注:α99Ⅱ
の発売)まで、10年間も続けたのだから、もう責任も
果たしたし、αのブランドだって残したから、それで
良いではないか」と、考えたとしても非難は出来ない。
(あるいは、この戦略も「古い製品の事は忘れて下さい」
という、一種の「ソニータイマー思想」なのだろうか?)
だけど、それはある意味、SONYは、それ以前のαの
歴史には無関係だから、そこまでビジネスライクに
割り切れるのであろう。ユーザー側にはむしろ、
MINOLTAのαをずっと使い続けてきた長い時間、経験、
思い出や思い入れがある、そこはメーカー側には
むしろ分かり得ない事ではなかろうか・・?
まあ、他分野での例を挙げれば、鉄道の路線が廃線に
なってしまうケースが類似であろう。その赤字路線を
いつまでも走らせておくことは、鉄道会社から見れば
無駄な事であり、商売的にも酷な事だ。
でも、その路線の利用者(乗客)には、その路線には
数限りない思い出が、生活とともに存在しているのだ。
だから、現代の感覚には、あまりそぐわないながらも、
廃線となる鉄道のイベント等が開催され、そこに多くの
利用者が集まり、その別れを惜しむ訳である。
あるいは、長年乗り続けた愛車(乗用車やバイク)を
老朽化等で廃車する際、号泣してしまうオーナーも居る。
「それはめめしい」、とは笑えない、そのオーナーに
とっては、車は、生活や青春の思い出そのものなのだ。
現代のカメラ界は、そのビジネスが縮退している事も
あって、あくまで利益優先の考え方になるのだろう、
まあ、さもないと、大メーカーだって、やむなくカメラ
市場から撤退せざるを得なかった歴史も、いくつも
あったのだから、自分達がそうなるわけにはいかない。
だから不採算のジャンルは切り捨てざるを得ないのだが、
カメラというものが、他の家電製品や電子機器とは
ちょっと違うのは、これは、「思い出を記録する道具
である」という事なのだ。
メーカー側も、その点は十分に認識する必要がある
だろう。
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まあ、現代のデジタルカメラは完全なる消耗品で
あるから、たいていのユーザー層は、数年間使った
だけで、飽きてほったらかしか、あるいは新型機に
買い換えて下取り送りか、死蔵となってしまう。
さすがにカメラでは、廃線とか廃車のように号泣する
ユーザー等は、まず居ないだろうが・・ だけど、
そういう風に「カメラに何も愛着を持たないような
事が、ある意味問題なのだ」とも、思っている。
(また、メーカー側もそれがわかっていない状態で、
新機種が出たら旧機種は「使い捨て」になるような
「家電製品のようなカメラ」しか発売しない事も、
近代でのカメラ市場縮退を招いた原因の1つであろう)
結局、ユーザーが愛着も何も持っていないから、何年
写真を撮っていようが、知識も何も増えていかないし、
腕前も上達しないし、そもそも、思い出とか、感覚的
な感性も何も、経験則からの成長が見られないのでは
なかろうか? そうだとすれば、それこそ残念な話だ。
----
では、今回の「オールド・デジカメ(2)」編は、
このあたり迄で、次回記事に続く。
古いデジタルカメラ(オールドデジタル機)を、時代と
カテゴリー(一眼レフ、コンパクト機、ミラーレス機)
で分類して、順次紹介していく記事群である。
紹介機は、いずれも2000年以降に発売されたもので
現在も所有しているのは勿論、いずれもちゃんと動作
する機体ばかりだ。(注:過去所有機で、故障廃棄や
譲渡等により、現在未所有のものは紹介対象外とする)
また、勿論、全て自分自身でお金を出して買った機体
である。どんな場合においても、「他人から借りた
カメラを評価する事」などは絶対に出来ない筈だ。
それは専門的評価者の場合でも同様だ。もし評論家が
「その機種を購入していない」様相が見られた場合、
その評価内容は信用しないばかりか、むしろ、経験も
知識も豊富な専門家層が「買わない」と言うならば、
その事が最も信用できる「逆情報」となる。つまり、
「私見では購入には値しない機材だ」という証拠だ。
で、高々20年前の機種であるのに、何故、これらの古い
カメラは「不人気」となってしまうのであろうか?
そのあたりの原因を究明していく事も、本シリーズ
のテーマの1つとなっている。
1記事あたり4~5機種の紹介、合計十数記事を目処に
本シリーズ記事を進めて行くことにしよう。
シリーズを進めるにあたり、様々な取り決めがあるが、
だいたい他のシリーズ記事と同様だ。(詳しくは、
本シリーズ第1回記事の冒頭を参照されたし)
なお、記事の掲載順だが、各カテゴリー(一眼レフ、
コンパクト、ミラーレス)毎に、ほぼ発売年代の順と
する(=例えば、一眼レフばかりを続けて紹介しない)
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では、今回最初のオールド(デジタル)一眼レフ。
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(2004年発売、発売時実勢価格約15万円)
(中古購入価格 75,000円)
紹介記事:デジタル一眼レフ・クラッシックス第4回
レンズは、NIKON Ai AF NIKKOR 85mm/f1.8D
(1994年頃発売)を使用する。
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期間となる。
この時代は、各ユーザー層において、銀塩一眼レフ
から、デジタル一眼レフへの転換が進んだ時代だ。
だが、デジタル一眼レフは、まだ、若干だが高価な
値付けとなっていて、かつ、中古品も、あまり流通
していなかった。で、それらを新品ですぐに買える
裕福なユーザーと、そうで無い入門層等の消費者層
(学生とか、若年層)との間で、一種のヒエラルキー
(=差別化された階層構造)が発生していた。
これにより、高価なデジタル一眼レフを購入できない
層では、それを「ガンデジ」「イチデジ」「デジイチ」
等と呼び・・ (注:濁点やG/D/Zの発音が多い)
自身の所有する「コンデジ」(コンパクト・デジタル機)
と(卑屈な心理による)差別化された用語が流行した。
これらの俗称は、「デジタル一眼レフが欲しくても
買えない、だからあえて低俗な呼び方をする」という
心理が明白だった為、当時から既に開設されていた
本ブログでは、そうした俗称を排除し、その後に至る
までも、そうした用語を使う事は一切無かった。
これが心理的な理由による俗称(蔑称)であった事
の根拠としては、2000年代後半ともなると、もはや
銀塩一眼レフ等は誰も買わず、買うならば、ほぼ全員
がデジタル一眼レフとなった事。そして勿論、価格も
こなれて来ていたから、誰もがデジタル一眼レフを
買う事が困難では無くなっていたので、こうした俗称を
使う必要が無くなり、言われなくなった事でもわかる。
つまり、一旦カメラを買った以上は、「ガンデジ」等
とは、もう誰も呼ばず、「EOS 50Dを買ったぞ!」等と、
具体的な商品名で呼ぶ(周囲にアピールする)訳だ。
よって、この時代(2000年代後半)ともなると
早くも「ガンデジ」「イチデジ」「コンデジ」等の
差別化俗称は、使われずに「死語」となっていた。
で、そもそも、その時代以降、「デジ」では無い新製品
カメラなど、存在も非常に稀だし、買う人も稀だ。
(注1:その後の時代まで、これらの俗語を使っていると、
あまりに世情に疎いみたいで、むしろ格好が悪い。
→後年、カメラの専門性の低い大衆誌等のカメラ特集で、
よく「遅ればせながら」そんな俗称が使われていた)
(注2:アニメや映画・小説等のフィクションの世界
では、主人公と敵対する「敵役」の名称は、G/D/Z等
の濁点系発音を含むケースが非常に多い。すなわち
「ガンデジ」呼称は心理的に敵視した状態と言える。
ただし、初代「ガンダム」では、連邦軍もジオン軍も
両者の兵器名は濁点系発音ばかりだが、これはアニメ
のストーリー上で、どちらが「正義」であるか?を
あえて不明とするコンセプトであったからだろう)
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市場に普及させる為に投入した「戦略的商品」である。
カメラ以外の市場分野でも、色々と同様な実例はあるが、
「戦略的商品」の多くは、性能や品質が高く、加えて
比較的安価であり、コスパが極めて良い。
つまり、メーカーにとっては、あまり儲かる商品では
無いのだが、その代わり、その商品を多数販売する事で
他社に対する市場優位性を築いたり、あるいはその事で
ユーザー層に、メーカーの信奉者(ファン/信者/党)
となって貰う事で、その後の関連商品(交換レンズ等)
の販売に繋げる、いわゆる現代で言う「囲い込み戦略」
が実施できる。(ごく近年の例としては「NIKON Zfc」
が「戦略的商品」にあたる)
D70が発売当初から完成度が高いカメラであった事は、
本機は、NIKONデジタル一眼レフの歴史の中では稀な
「S型後継機」が存在していた事からもうかがい知れる。
具体的には、NIKON D70S(2005年、未所有)である。
ここで「S」の意味は不明、Second(第二の)の略語
であろうか? まあつまり、D70のマイナーチェンジ版
であり、仕様上の差異は微少だ。でも、この時代、
2000年代前半は、デジタル一眼レフの技術的な改良が
爆発的に進んだ時代であるから、殆ど中身が変わらない
後継機を出せる、という事は、相当に初代機の完成度
が高かった状態を表している。
同様な例としては、NIKON D300(2007)(後日紹介)
と、NIKON D300S(2009年、未所有)の例がある。
他にもD2Hや、D3、D4で同様な例があるが、
それらは旗艦機であり、その寿命を長く持たす為の
措置であったりする。
(注:銀塩時代のNIKON Fヒトケタ旗艦機は、1機種の
寿命が、8~10年以上もあったのだが、進歩の速い
デジタルの世界では、とてもそこまでの長期間は持たせ
る事が出来ない。(→仕様が古くなり、見劣りする)
で、新機種の開発には膨大な費用がかかる為、旗艦機
クラスは、数年間の製品ライフサイクルを維持する為、
S型後継機で、マイナーチェンジを行ったのであろう)
ただし、NIKONに限らず、すぐに後継機が出るケース
では、一部に、初代機になんらかの問題点があって、
速やかに、その修正を施した改良機である場合もある。
こういうケースを、私は「ごめんなさい製品」と
呼んでいる。その実例はいくつか知ってはいるのだが、
初代機のオーナーにとっては不快な情報である場合も
あるだろうから実例は割愛する。
しかし、D70SやD300Sの例では、そうでは無く、
「初代機の完成度が高かったから、仕様老朽化寿命が
延びた」ケースである事は間違いない。
こうした場合、「初代機から完成度が高かった」と
見なして、新型機発売により(中古)相場が下落した
初代機をあえて買うのか? はたまた「後継機では
さらに完成度が上がり、非の打ち所が無い」とみなし
後継機を購入するべきか? の、どちらが正解かは
微妙な判断だ。ここはユーザーの価値感覚に依存する
部分だと思われるが、私の場合では、初代機を購入する
割合が多く、NIKONのS型改良機は所有していないし、
他社機の場合でも、Mark2やらⅡ型等を狙って購入
する比率も、さほど多くは無い。(注:明らかに
後継機での性能が向上している場合は、MarkⅡ型等
を指名買いするケースもある)
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と、他社機に比べて安価な類のデジタル一眼レフで
あるものの、1/8000秒シャッターや、1/500秒の
シンクロスピード、そして、いくらでも連写が出来る
(注:・・と、発売前には言われていたが、実際には
最小画素時でも最大49枚程度である)連写性能、
それから非常に長いバッテリーの持ち(低消費電力)
は、当時の上級機と同等か、一部のスペックは、
それよりも優れていた。
本機が「戦略的商品」であった他の証拠としては、
前年2003年にCANONが発売した EOS Kiss Digital
(初代、未所有)が12万円という、こちらも「戦略的」
な低価格で発売された、そのタイミングを見計らって、
NIKONから本機D70の「開発発表」が行われた事からも
うかがい知れる。
「開発発表」とは、つまり「近いうちにD70という
凄いカメラが出ますよ!」という事前告知であり、
これはすなわち「Kissデジなどは買わずに、待って
おけ」という、強気の市場へのアピールでもある。
この時代は、一般報道等の「メディア」もデジタル
一眼レフの普及に注目していて、Kiss Digitalや
D70の発売は、一般的なニュースでも取り上げられた。
ただ、カメラユーザーであってもデジタルの事は
良くわかっていない時代であったので、一般メディア
ではニュース内容の正確性や信憑性に欠ける節も正直
あった。具体例としては「NIKON D70は、いくらでも
連続撮影が出来るカメラだ」などといった調子だ。
(参考:2010年代以降の他社の近代機であれば、
カードの容量とバッテリーが持つ限り、文字どおり
「いくらでも連写が出来る機体」も存在する。
むしろNIKON機では、”連続連写200枚まで”とか
機構部品の耐久性を考えて、あえて性能を制限して
いる場合もある。また、そういう仕様においては、
下位機種との「仕様的差別化」もやりやすい。
具体例としては、同じ連写速度でも下位機種では
100枚までしか連写が効かない、等の制限である。
まあ、実用上では、どうでも良い話であるが、カメラ
の数値スペックばかりを気にする現代の初級中級層に
対しては、こうした仕様的差別化は有効なのであろう)
総括だが、本機D70、あるいは後継機D70Sあたりは
現代においても、かろうじて実用範囲の機体だ。
NIKONのデジタル一眼レフが欲しくて、「とりあえず
写れば良い」と言うならば、中古で数千円と二束三文
となった本機等を入手するのも悪く無い。
余った予算で、性能の高いレンズを入手すれば良い、
という話である。
ちなみに、本記事で紹介の機体は、K10Dを除き、全て
CF(コンパクトフラッシュ)カード使用機である。
「CFカードは何処で売っているか?」であるとか、
「CFカードから、どうやってパソコンに取り込むのだ?」
というようなビギナー質問をして来るようだと、ちょっと
これらのオールド機体を使うのは難しいかも知れない。
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では、2台目のオールド(デジタル)一眼レフ。
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(2006年発売、発売時実勢価格約16万円)
(中古購入価格 15,000円)
紹介記事:デジタル一眼レフ・クラッシックス第5回
レンズは、CANON EF35mm/f2
(1990年発売)を使用する。
本機30Dの購入価格がやたらと安価であったのは、
本機を購入前に、名機と謳われた「EOS 20D」
(2004年、故障廃棄)を長年愛用していたのだが、
そのEOS 20Dは、2010年代初頭に電気的故障に
見舞われて廃棄処分となってしまい、それの
代替機として、中古相場が安価であった本機を
購入したからである。
購入時には、40Dや50Dも発売済みではあったが、
本機であれば、相場がとんでも無く安価な他、
EOS 20Dのバッテリーや充電器が共用できた、
という実用上の利点が1点。もう1つは、非常に
マニアックな理由ではあるが、前記事で紹介済みの
「EOS D30」と極めて型番が近い機種であり、
ここまで類似した例は、あまり他に類を見ない為に、
歴史的な観点で、「両機を同時に所有しておこう」
と思った次第である。
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機種であった。(だからこそ、中古相場も安価だ)
その理由だが、前機種EOS 20Dから2年もの期間が
過ぎて発売された新機種であるのに、EOS 20Dと
数値スペック(例:画素数等)が、殆ど変わらない
機種であったからだ。まあこれは前述のNIKON D70
の所でも書いたが、完成度の高い戦略的な商品を
展開後は、次の後継機では改良の余地があまり無い
事が理由なのであろう。NIKONであればEOS 20Ds
と命名した機体であったかも知れない。
そして、CANONがEOS Kiss Digitalを2003年に
低価格で販売すれば、2004年にはNIKONが、D70
を低価格+高性能で、ぶつけて来たのだが、
CANONでは、さらにD70に対抗する為に、本格的
上級機であるEOS 20Dを2004年に販売した訳だ。
EOS 20Dの完成度が高かった点もうなづける。
これらの市場の変化は「慌しい」とは言えるが、
それでも、ここまで市場が活性化しているならば、
消費者側としても、非常に興味深く見えて、
「どれを買おうか?」と楽しく迷ってしまえる。
で、ここで重要な事は、「どれを買おうか」という
考えでは、すでにどれかのカメラを買うという事は
消費者にとって、もう決まった事なのだ。
現代ではカメラ市場が縮退してしまっていて、新製品
が出たとしても「買うか、買わないか」の二択である。
まあ、私の場合は、たいていの近年の新製品は
「(高すぎて)買わない」という選択をするケース
が大半だ。既にちゃんとしたデジタル機は多数所有
しているし、「最新型機で無くては撮れない!」と
ダダをこねる事も勿論しない。よって、新型機は、
「そのうち値段が下がったら買う」という風に考え
自身の「購入予定リスト」に、たとえそれが定価で
50万円の最新型機であっても、「10万円」等と平然と
書き込む。それが私が考える、その機体の「真の実用
価値」であるからであって、後年に中古相場が自身の
想定した価格帯にまで落ちて来ない限りは、その機体の
事は完全に忘れておく。いや、「購入予定リスト」に
書き込まれるだけ、まだマシな措置であり、たいていの
新製品は「高価すぎて、かつ性能も魅力もイマイチで
箸にも棒にもかからない」という観点から、欲しい
とも思わない訳で、完全にスルー(無視)だ。
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ある理由で、特定の用途の為に購入した機体であり、
減価償却ルール(=1枚3円の法則)も瞬時に完了
したものだから、その後の時代には、もっぱら
「消耗機」としての役割を与え続けていた。
それは、雨天、酷暑、酷寒、水気、埃、落下や
衝撃の危険性が高い、等の過酷な撮影条件において
「使い潰して、壊れてしまっても構わない」という
ラフな使用を可能とする機体、という役目である。
(だから、本機の外観は、傷だらけでボロボロだ)
現代の初級中級層において、高価すぎる機体を買って
しまい、その結果として、例えば「雨が降ると大事な
カメラが濡れて壊れてしまうから、撮影ができない」
というケースを良く見るのだが、そうした事態に
直面する経験値が高くなれば、「壊しても良い機体」
の必要性は理解できるようになるであろう。
「消耗機」の存在や必要性は、決してレアケース
(稀な事、特別な事)では無い訳だ。
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無いが、自身が、そういう目的で何らかのサブカメラを
買うようになれば「カメラには個々に適切な利用目的が
存在する」という重要な事実に気づく事であろう。
決して、現代での多くのビギナー層が考えるように、
「最高性能の最新型機を1台だけ持っていれば済む」
という話では無い訳だ。
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さて、3台目のオールド(デジタル)一眼レフ。
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(2006年発売、発売時実勢価格約12万円)
(中古購入価格 35,000円)
紹介記事:デジタル一眼レフ・クラッシックス第6回
レンズは、smc PENTAX-FA 43mm/f1.9 Limited
(1997年頃発売)を使用する。
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は、不調である。
AFがあまり合わず、ピンボケを連発するし、その際
にも、ファインダーではピントが合っているように
見えるし、AFやMFで、フォーカスエイドもちゃんと
動作しているように思えるが、それでもピンボケが
起こるのだ。
本機K10Dを長年使ってきた感覚では、まあAF精度は
低いものの、ここまで酷い事は無かったと思うので、
何らかの故障を疑い、後日、レンズを別のものに
交換して試写をしてみたが、やはり同様だった。
故障または劣化している可能性が高いが、思えば、
本機K10DのAF性能は、本機を主力としていた頃から、
あまり信用しておらず、もっぱら優れたファインダー
を頼りに、MFで撮るケースが多い状態であった・・
最近、滅多に使わない機体であったので、本機の使い
こなしをすっかり忘れていた訳だ(汗) やはり、
各所有機は定期的に使ってあげる必然性を感じる次第だ。
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低価格帯機による普及化戦略から、中上級機による
本格派路線に転換した、歴史的価値の高い機体である。
まあつまり、「ハイパー操作系」の復活採用とか、
ボディ内手ブレ補正(SR)の搭載等である。
ただまあ、これまでのPENTAXの初級機戦略と、
そしてこの時代以降も、HOYAへの吸収合併により、
そこでHOYAは、初級層向けの市場戦略を2010年代
初頭頃迄(=RICOHの傘下となるまで)精力的に
展開した為(まあ、得意分野で売ろうとするのは
当然であり、このHOYA時代にPENTAXのカメラ事業
は黒字化している)・・そういう戦略であったから、
良くも悪くも「PENTAX機はビギナー向けである」
という印象が市場に定着してしまっていた。
しかし、実際のPENTAX機の仕様はそうでは無い。
ハイパー操作系1つを取ってみても、ビギナー層
では理解不能なものであるし(参考:この機能が
最初に搭載された銀塩PENTAX Zシリーズ(1990
年代前半)では「初級中級層から見て難解すぎる」
という理由で、1990年代後半の銀塩MZシリーズ
においては、「ハイパー操作系」は撤廃されて
しまっていた。当時は中古カメラブームであり
ユーザー層は良くカメラの事を勉強してはいたが
その時代でも難解な機能である。現代のビギナー層
では残念ながら、ハイパー操作系の恩恵は得られない
事であろう)・・と、理解不能なものであるから、
PENTAX機は、その実態(実は上級者向け)と、
その市場での評価(初級者向け)が、大きく乖離
(かいり)してしまっている状態だ。
こういった理由からか? 2010年代末頃からは、
PENTAXは新規のデジタル一眼レフを発売しておらず、
(注:2021年に、4年ぶりにK-3 MarkⅢが発売)
レンズメーカーですらもPENTAX機用のマウント版の
ものを販売しなくなってしまった。
どうにも残念な状況であるが、PENTAX機の本質を
理解できないユーザー・消費者側にも、その本質を
正しくアピールできなかったメーカーや市場側にも、
両者に課題がある話であろう。
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ブルー」傾向が現れる。これは様々な記事で詳しく
説明済みであるが、2000年代前半でのデジタル機
(一眼レフ、コンパクト)で、センサーの青色域
のゲイン(利得)を誇張気味に補正する措置だ。
同時代の各社の機体で、それらは見られるが、
(注:オリンパス機だけの特徴では無い)
2000年代後半からは、撮像センサーの短波長
(青色)側の感度が向上したからか? そうした
エンハンス(増強/補正)処理をしている機種は
ずいぶんと少なくなった。本機K10Dあたりが、
かなり最後の方の、そうした「オリンパス・ブルー」
系の機体であろうか?
(注:下記紹介のSONY α700、2007年でも若干の
「オリンパス・ブルー」傾向がある。2枚目のタンク
の写真参照)
また、本機K10Dは、PENTAX純正レンズにおける
過去プロトコル(例:KAF2パワーズーム規格)
への対応の汎用性が高い。
例えば、上記KAF2は、銀塩時代ではパワーズーム
用途だったのが、後年のデジタル時代では、レンズ内
AFモーターへの対応プロトコルに変遷している。
近代のPENTAX機では、古い時代のパワーズーム対応
を、すっかり撤廃(廃止)しているケースも多いが、
本機K10Dでは、様々な古い時代のPENTAXレンズも
使える為、本機を母艦とする利便性が出て来る。
まあ、それらの意味でも、本機K10Dの歴史的価値は
なかなか高いかも知れない。
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では、今回ラストのオールド(デジタル)一眼レフ。
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(2007年発売、発売時実勢価格約18万円)
(中古購入価格 29,000円)
紹介記事:デジタル一眼レフ・クラッシックス第7回
レンズは、MINOLTA AF20mm/f2.8 (New)
(1990年代前半頃発売)を使用する。
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譲渡後、SONYから最初に発売されたデジタル一眼
レフは、α100(2006年、未所有)であったのだが、
その機体は、外観こそ違えど、内容的には、
2005年発売のKONICA MINOLTA α-Sweet DIGITAL
(故障廃棄)と同等、という印象が強く、コニミノ
時代の多くのリソース(=資源。つまり技術や部品や
人材、工場等)を流用して、「慌てて作られたもの」
というイメージが強かったので、α100は、あまり
食指が動かないカメラとなっていた。
しかし、本機α700(注:SONY時代のα機では
MINOLTA時代とは異なり「-」(ハイフン)は入らない)
で、本格的な上級機となり、かつ、これも嬉しい事に
MINOLTA時代からの型番命名のテイストを、SONYでも
踏襲し、革新的な機体に「7番機」の名称を付ける
事には、好意的な印象もあった。
だが、本機α700は、非常に地味な印象が強い機体
であり、MINOLTA時代の7番機のようなセンセーショナル
でエポックメイキング(=新時代を開拓する)ような
機体では無かった事が、わずかな不満事項であった。
まあつまり、αの事業を引き継いだばかりのSONYは、
これまで一眼レフは全く作ってこなかった状況では
あるし、ともかく「先行他社に追いつく」事が急務で
あったのだろう。本機が性能的に不足している部分は
殆ど無いが、何と言うか、個性が無く、優等生的で
地味な機体なのだ。
私は、「ちょっと、そのあたりはがっかりだ」と本機
は、あまり趣味撮影に持ち出す事が無かった。
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KONICA MINOLTA α-7 DIGITALが物理的な老朽化が
酷くなって来た為、2010年代初頭、単純にそれの
代替機として、主に業務撮影用途機として本機
α700を追加購入して用いる事とした次第だ。
まあつまり、趣味的撮影に使うには、その機体を使って
いて楽しいと思える「エンジョイ度」が高くなくては
ならないが、本機では、さほど楽しめない訳だ。
多分、そのあたり(地味で個性が無い)は、作って
いるSONYでも感じていたのであろう。リソース(資源)
はKONICA MINOLTAから踏襲したので、手堅くは作った
機体ではあろうが、トランジスタラジオやトリニトロン、
ウォークマンといった、世の中が驚く製品で一世を風靡
し続けてきたSONYの社風には、ちょっと合わない製品で
あった、という話なのだろうと思う。
後年には、αフタケタ機(α55等、2010年以降~)で
かなりのエポックメイキングな機体に転進したので、
「まあ、やはりな、地味すぎたのか?」という印象は
確信に変わって行く。
ただ、この事が、後年、ちょっとした問題点に繋がる、
それは2010年代後半、SONYは、ミラーレス機のαに
注力し、一眼レフ(Aマウント)のαの展開を事実上
凍結してしまっていた。私はAマウントのレンズを
多数所有しているので、母艦が無いと困るし、近い
将来にAマウント機が完全に販売を停止してしまうと
さらに困った事になる。そこで、実用的なα一眼
レフを3~4台程度キープしておこう、と考えた。
その際、フルサイズ機を所有して無かったのだが、
Aマウントのフルサイズ機は、α900、α99、α99Ⅱ
の3機種しか存在しない。内、α900は、2010年代
後半では発売後10年が経過して相場がかなりこなれて
いたのだが、基本的に、本機α700の兄弟機である
から、その仕様が、とても地味なものに感じてしまい
その機体を購入する意思が無くなってしまったのだ。
(注:α900の外観デザインは格好良いし、光学
ファインダーも、なかなか優秀そうなのだが・・)
さらに後年のα99を購入する事で、とりあえずの
解決を見たのだが、α99以降は、高付加価値型商品
となっていて価格が高価であったから、連動して中古
相場も性能や発売時期と比べて高価すぎて、コスパが
悪いカメラだ、と悪印象が強い状態だった。
まあ、実用的には、フルサイズ撮影が必要であれば、
α FEマウント機(α7系等)に、α Aマウントレンズ
をアダプターを介して装着すれば済む話なのだが、
1985年から脈々と続く、α Aマウントの系譜を、
メーカーが、そしてユーザーである私までもが
見限ってしまう事には、どうも納得が行かなかった
訳である。カメラの歴史を研究すれば研究する程に、
α Aマウントを失わせてはならない、と、個人的にも
強く思うようになって来た訳だ。
SONYとしては、売れない商品をいつまでも売り続け
いても意味は無いし、そもそもαだってKONICA MINOLTA
から買ったものだし、「2006年~2016年(注:α99Ⅱ
の発売)まで、10年間も続けたのだから、もう責任も
果たしたし、αのブランドだって残したから、それで
良いではないか」と、考えたとしても非難は出来ない。
(あるいは、この戦略も「古い製品の事は忘れて下さい」
という、一種の「ソニータイマー思想」なのだろうか?)
だけど、それはある意味、SONYは、それ以前のαの
歴史には無関係だから、そこまでビジネスライクに
割り切れるのであろう。ユーザー側にはむしろ、
MINOLTAのαをずっと使い続けてきた長い時間、経験、
思い出や思い入れがある、そこはメーカー側には
むしろ分かり得ない事ではなかろうか・・?
まあ、他分野での例を挙げれば、鉄道の路線が廃線に
なってしまうケースが類似であろう。その赤字路線を
いつまでも走らせておくことは、鉄道会社から見れば
無駄な事であり、商売的にも酷な事だ。
でも、その路線の利用者(乗客)には、その路線には
数限りない思い出が、生活とともに存在しているのだ。
だから、現代の感覚には、あまりそぐわないながらも、
廃線となる鉄道のイベント等が開催され、そこに多くの
利用者が集まり、その別れを惜しむ訳である。
あるいは、長年乗り続けた愛車(乗用車やバイク)を
老朽化等で廃車する際、号泣してしまうオーナーも居る。
「それはめめしい」、とは笑えない、そのオーナーに
とっては、車は、生活や青春の思い出そのものなのだ。
現代のカメラ界は、そのビジネスが縮退している事も
あって、あくまで利益優先の考え方になるのだろう、
まあ、さもないと、大メーカーだって、やむなくカメラ
市場から撤退せざるを得なかった歴史も、いくつも
あったのだから、自分達がそうなるわけにはいかない。
だから不採算のジャンルは切り捨てざるを得ないのだが、
カメラというものが、他の家電製品や電子機器とは
ちょっと違うのは、これは、「思い出を記録する道具
である」という事なのだ。
メーカー側も、その点は十分に認識する必要がある
だろう。
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あるから、たいていのユーザー層は、数年間使った
だけで、飽きてほったらかしか、あるいは新型機に
買い換えて下取り送りか、死蔵となってしまう。
さすがにカメラでは、廃線とか廃車のように号泣する
ユーザー等は、まず居ないだろうが・・ だけど、
そういう風に「カメラに何も愛着を持たないような
事が、ある意味問題なのだ」とも、思っている。
(また、メーカー側もそれがわかっていない状態で、
新機種が出たら旧機種は「使い捨て」になるような
「家電製品のようなカメラ」しか発売しない事も、
近代でのカメラ市場縮退を招いた原因の1つであろう)
結局、ユーザーが愛着も何も持っていないから、何年
写真を撮っていようが、知識も何も増えていかないし、
腕前も上達しないし、そもそも、思い出とか、感覚的
な感性も何も、経験則からの成長が見られないのでは
なかろうか? そうだとすれば、それこそ残念な話だ。
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では、今回の「オールド・デジカメ(2)」編は、
このあたり迄で、次回記事に続く。