本シリーズでは、やや特殊な交換レンズを、カテゴリー別に
紹介している。
今回は「MINOLTA α単焦点 クラッシックス」という主旨で、
MINOLTA時代のαAF一眼レフ用の単焦点レンズ群を
13本準備し、前編、後編記事に分けて取り上げよう。
なお、今回の記事においては、個々のレンズは全て過去記事
で紹介済みの為、α用レンズ全般の話や、取り巻く世情等を
中心とし、個々のレンズに係わる説明は最小限とする。
----
ではまず、最初のシステム
![_c0032138_16125610.jpg]()
レンズは、MINOLTA AF 50mm/f1.4(初期型)
(中古購入価格 9,000円)(以下、AF50/1.4)
カメラは、SONY α700 (APS-C機)
1985年発売と思われる大口径AF標準レンズ。
![_c0032138_16125605.jpg]()
ミノルタは、1985年に「世界初」とも言える実用的な
AF一眼レフ「αシステム」(α-7000や、交換レンズ群)を
発売。これは「αショック」と呼ばれる歴史的な事件であり、
他社はすべて、ミノルタに追従する為に一眼レフのAF化を
急遽推進したり、あるいは様々な理由で、それが出来ずに
AF一眼レフ市場から撤退してしまった、という歴史である。
ミノルタαは、その後、色々と紆余曲折があって、2003年
頃にはコニカと合併し、KONICA MINOLTAとして新規の
デジタル一眼レフ(αレンズ対応)等を開発販売したが、
2006年には、αシステムを、そっくりSONYに譲渡して、
カメラ事業から撤退してしまう。
この、およそ20年間弱のみが「ミノルタαシステム」の
時代である。
本記事においては、そのおよそ20年弱の期間(まあ、
実質的には、1985年~2002年頃の約17年間)で
発売されたα用レンズ(非常に多数ある)の内から、
「単焦点」の物に絞って、それらを順次紹介する事とする。
なお、紹介レンズは、自身で購入し、今も所有している物に
限る。他人の所有物を借りたのでは公正に評価が出来ないし、
あるいは過去に譲渡してしまって、現在手元に無いレンズを
記憶に頼って(例:美化して)あれこれ書く事もフェアでは
無いと思うからだ。
さて、ここで少し本AF50/1.4について述べておく。
本レンズの発売は「αショック」と同じ1985年だ。
レンズ光学系は、MF時代のNew MD50/1.4の物を踏襲。
まあ、一眼レフとレンズのAF化に、とても忙しい状況で
あっただろうから、多数のAFレンズの光学系を新設計
するのは厳しい状況であっただろうと推察される。
で、この少し前の時代、1970年代~1980年代にかけ、
各社50mm/F1.4標準レンズの完成度は、とても向上した。
何故ならば、その時代の一眼レフのキットレンズは
50mm標準であり、その性能が低いとメーカーのブランド
的にもイメージが悪くなるからだ。よって1980年代には
各社の標準レンズは、ほぼ横並びの高い性能となった。
その後のAF時代になっても、各社は殆ど50/1.4の設計を
変えず、さらにそれはデジタル時代に入っても、銀塩時代
のAF標準レンズをそのまま、または小改良して継続販売
する事が各社とも普通であった。だから、レンズ光学系に
注目すれば、各社およそ30年間もの間、同じ標準レンズを
販売しつづけた事となる。まあ、つまり、改良の余地や
必要性が無い程に、完成度が高かったという訳だ。
![_c0032138_16125633.jpg]()
ただ、本AF50/1.4については、少々、いわくつきである。
MINOLTAでは、1970年代後半での各社の「小型化競争」
(OLYMPUS OM-1やPENTAX MXの登場から、各社は
一眼レフや交換レンズの小型化を推進した)の影響により、
50mm/F1.4レンズを小型化したが、ここで口径の小型化
(φ55mm→φ49mm)の弊害で、描写力が少し落ちて
しまっている。この小型化された方の標準レンズを
MINOLTA(SONYも)では、ずっと後年まで踏襲した為、
個人的な好みから言えばMINOLTAのφ49mm標準は、例え
安価であってもコスパが悪く感じ、好きなレンズでは無い。
そして、2010年前後にミラーレス機やスマホの急速な
普及により、一眼レフ市場が圧迫されると、各社は
こうした古くからある、こなれた光学設計を、お試し版
(エントリーレンズ)に一部応用、しかし、その戦略が
上手くいかない程に、エントリー層での一眼レフ離れが
進むと、2010年代前半からは各社とも、これまで定評が
あった標準レンズでの6群7枚変形ダブルガウス型構成を、
捨て、十数枚のレンズからなる複雑な新世代の単焦点
標準レンズの新規開発・販売を始める。
こうした新鋭標準レンズは、確かに良く写るが、その
価格も、旧来の標準レンズの3~5倍、重量も同様に
3~5倍にも肥大化してしまった。
まあ、これはメーカーから見れば縮退した一眼レフ
(用レンズ)の市場を支える為の「高付加価値化」戦略、
つまり「値上げ」であるからやむを得ない、
「高価すぎる」と思えば、「買わない」という選択肢も
まだユーザー側には残されている。
----
さて、ここでシステムを交替する。
![_c0032138_16125794.jpg]()
レンズは、MINOLTA AF 20mm/f2.8(New型)
(中古購入価格 36,000円)
カメラは、SONY α7 (フルサイズ機)
1990年代前半と思われる単焦点(超)広角レンズ。
ミノルタα用の単焦点では最も広角であり、10mm台の
α用超広角は、ズームレンズ以外では存在しない。
(注:MF時代のMC/MDレンズには10mm台単焦点は
存在していたが、利用者数が少なかったと思われ、
AF化の際にラインナップを整理したのであろう)
実用上で必要と思い購入したレンズであるが、写りは
そこそこ良いものの、生産本数の少なさで開発コストが
上乗せされたか?コスパがかなり悪く感じ、個人的には
あまり好みでは無いレンズだ。
![_c0032138_16130604.jpg]()
さて、ミノルタα用レンズには、「AF」という型番が
ついていて、過去(1980年代前半迄)のMF用のMC/MD系
の型番とは異なり、また、マウント互換性も無い。
(注1:MC/MDレンズは、マウントアダプターを使ったと
しても一眼レフでの使用は困難。よって、MC/MDは現代に
おいては各社ミラーレス機で用いる事が簡便である)
(注2:MC/MDとαのマウント互換性が失われた事に
ついては、αショックにおける新型一眼レフが、旧来の
Xシリーズに比べて圧倒的に性能が高かった為、ユーザー
層ではあまり問題視されていなかった。マウント変更での
弊害が大きかったのは、むしろCANONにおける(New)FD→
EF(EOS)の方であった。*旧FDマウント機が優秀だった為)
「AF」型番については、αが実質的に初のAF一眼レフで
あった為に、「早いもの勝ち」で「AF」というわかり易い
型番をつけたのであろう。
商標においては、(国内において)通常はアルファベット
2文字では「識別力が無い」と見なされる。すなわち2文字
では商標を取る事が出来ないので、これはミノルタ以外でも
利用できる製品型番だ。(例:SIGMA、TAMRON、TOKINA、
その他、海外製レンズでもAF型番のものが存在する)
他社に真似をされるが、その代わり他社においても商標を
独占できないので、「権利訴訟」などに発展する事は無く
安全ではある。また、知名度が圧倒的なメーカーがあれば
他社においては同一型番を使うのは市場戦略的には不利だ。
2文字より長い型番や機種名、シリーズ名等を使う場合は
商標を取得しておくことがメーカーにとっては安全だ。
ただし海外展開をする場合には、ある国で、その名前が
たまたま商標として登録されているとまずいので、海外
展開用に別の名前を用いる事もある。
たとえば、ミノルタの、この「α」(アルファ)も、
北米では「MAXXUM」(マクサム)、欧州では「Dynax」
(ダイナックス)という名前で出荷されていた。
近年のSONYミラーレス機αで、海外版名称がどうなっている
のかは調べていないが、数年前、香港のカメラマニア氏と
英語で話をしていた際、私が「前に持っていたα7(アルファ
セブン)はどうした?」と聞くと、彼は「アルファ??
ああ、A7(エーセブン)の事か! あれは妹にあげたよ」
と答えていたので、やはり海外向けは型番や名称が
異なっているのだろう。というか、α(アルファ)の
場合1文字型番では識別力が無い為、世界的な商標戦略は、
ますます面倒なのかも知れない。
2文字で識別力が無い、という件だが、国内においては
例外もある。それは、「すでに世の中に良く知られている」
場合においては、2文字でも「ロゴマーク」と合わせる事で、
商標(意匠)が取得できるのだ。
その実例としては「JR」「au」「JT」等がある。
(注:海外においては、どうだかは良く知らない)
型番で、カメラ界において有名な「事件」としては、
1972年にOLYMPUSが「M-1」を発表した際、ライカ
(エルンスト・ライツ)社から、
「自社の(レンジ機)Mシリーズと名前が被る」と
クレームが入り、やむなくオリンパスでは、翌1973年
頃から「OM-1」と名称を改めた、という歴史がある。
しかし、たった1文字の「M」だけに商標としての「識別力」
は当然存在せず、または、同じカメラとは言え、レンジ機
と一眼レフの差があり、かつ、ライカはM3、M6等、ハイフン
が入らない商品名だ。これはもう完全に「言いがかり」に
近いものであるから、現代の感覚であれば「徹底抗戦」が
望ましい判断であろう。ただ、1970年代では、訴訟とかは
世間一般的には企業・ブランドイメージを低下させる要因と
なる世情なので、オリンパスは型番変更の費用負担等を呑み、
まあ、「大人の対応」をした、という事だと思う。
同様に訴訟の例では、1990年代に、米国ハネウェル社が、
米国で成立していた(注:日本では成立していない)
AF(オートフォーカス)の基本特許を盾に、日本メーカー
のAF一眼レフの米国販売分の「利益をよこせ」という特許
訴訟を行った。あまりにシンプルすぎる特許であり、日本の
メーカーは無視していた状況だったが、これについては
ハネウェル側が勝訴、国内メーカーは多額の賠償金を同社
に払う事となった。その際、MINOLTAのα(Maxxum)が
最も売れていたので、ミノルタは百数十億円という金額を
支払った為、この事件は国内ではかなり大きく報道された。
だが、一般庶民には「ミノルタが技術を盗んだ」という風に
誤まって解釈されてしまい、ミノルタのブランドイメージが
大きく低下、「αショック」以降、順風満帆であった、αの
売れ行きも、丁度「バブル経済崩壊」と重なって大ブレーキ。
これは、およそ10年後のKONICAとの合併、そして、その後
のカメラ事業からの撤退(SONYへの譲渡)にも続いている
「遠因」になった、と、私は解釈していて、まあ、つくづく
不幸な話である。
まあ、一般庶民がワイドショー的にスキャンダルの話題
ばかりに興味がある事は昔も今も一緒であるが、そうした
報道等での、ごく一面を見ていたり、その分野の事を良く
知らないコメンテーター等の個人的な感想に対して、
視聴者は、それらを単純に「思い込んで」しまうだけでは、
物事の本質や真実は、何も見えてこない。
![_c0032138_16130601.jpg]()
また、近年においては、PANASONICのミラーレス機に
おいて、従来のDMC型番から、DC型番に変更した例が
ある(例:DMC-G8/DMC-GF8→DC-G9Pro/DC-GF9等)
こちらは訴訟とかは関係無いとは思われるが、3文字
型番では、識別力が出てきてしまい、海外展開等を含め
危険性がある(DMC型番が同じ「役務」(=商品の種類)
で登録されていた場合、訴訟を起こされるリスクがある。
----
なお、商品分野が異なる場合、同じ型番でも各々の分野
で商標登録が出来る。例:電子楽器のEOS(ヤマハ)と
カメラのEOS(キヤノン))
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話の途中だが、ここでシステムを交替する。
![_c0032138_16130739.jpg]()
レンズは、MINOLTA AF 100mm/f2.8 Macro(New型)
(中古購入価格 19,000円)
カメラは、PANASONIC DMC-G6 (μ4/3機)
1990年代前半頃に発売された、中望遠等倍マクロ。
![_c0032138_16130770.jpg]()
ここで、αレンズの時代を識別する為の補助型番に
ついて述べておく、これはメーカー側の正式名では
無い可能性もあるが、流通、あるいは中古市場等
では、個々の仕様差を明確に区分する為に必須だ。
<初期型/旧型/無印>
1980年代後半の最初期のミノルタAFレンズ群。
当時「AF技術は最先端、MFなど時代遅れ」という
風潮が世間一般的にあり、MFを軽視した仕様であり
ピントリングは固いプラスチック製の僅かに4mm
程度の幅である。当然、MFが使い難い印象があるが、
慣れると、さほど酷くは無い。個人的には初期型は
格好良く感じ、好みである。
<New型/NEW型/(ごく稀に)中期型>
1990年代前半の、改良されたミノルタAFレンズ群。
ピントリングがゴム製となり、初期型のおよそ倍の
8mm幅程度となった。勿論、「AFが万能で最新鋭」
という市場感覚はすぐに廃れていて、初期型レンズの
MF操作性の、市場からの不満への対応の措置である。
だが、個人的には、この改善は、あまりMF操作性の
改善に寄与していないと見なしている。
また、デザイン的に、やや格好悪くなったという
感覚があり、個人的には、あまり好まない。
<D型/後期型>
1990年代後半発売の一部のレンズには、「D」の
型番が付与されている。このDは、Distance(距離)
の意味であり「距離エンコーダーが内蔵されている」
という仕様を示す。この時代、MINOLTA以外の
NIKONでも、D型レンズが発売され、意味は全く同様
である。
「距離エンコーダー」とは、レンズ内部のヘリコイド
外装に「グレイコード」(交番二進符号と訳される)
の金属片が貼ってあって、レンズのヘリコイド距離
が変化すると、そのグレイコード金属板の通電により、
マウント接点を経由し、カメラ本体側に距離情報が
伝えられる。つまりカメラ本体が(合焦点)被写体
までの距離を認識できる事となり、その情報を元に
露出決定アルゴリズムの精度を高めたり、フラッシュ
の光量調整の精度アップを図る。ただし、この機構
による画質向上の効果は無い。すなわち、MINOLTA
でもNIKONでも、D型となっても同じ光学系である
事が殆どなので、D型の方が良く写るという事は無い。
(ここを誤解している初級マニア層等が極めて多い)
この構造については、一般には公開されていないが
距離エンコーダー内蔵レンズを分解してみれば、
エンジニアであれば容易に、この機構を理解できる。
一般的な二進符号ではなく「グレイコード」となって
いる理由は、グレイコードであれば、距離情報が
変化(累進)した場合、常に1ビットしか変化量が
無い事が情報伝達上での利点となるからだ。
<型番「G」>
これについては、MINOLTAでは高画質レンズを
示す称号である。これは、その後のSONYにおいても、
高性能レンズをG(またはG MASTER)レンズと呼び、
(KONICA)MINOLTAから、その文化が引き継がれている。
現代では、MINOLTA/SONY系の他、各社においても、
同様に高画質を表す称号がある場合が殆どである。
(L、★、SP、ART、PRO、Leica、S-Line等)
ただし、個人的には、このようにメーカー側から
押し付けのように「高画質だ、だから高価なのだ!」
と言われる事には賛同できず、好みでは無い。
(まあ、つまり、こうした高画質称号がついていなく
でも大変良く写るレンズを沢山知っている為、
単なる「値上げの弁明」のように感じるからだ。
個人的には、高画質称号レンズは、コスパがとても
悪く感じ、出来るだけ買わないようにしている位だ)
![_c0032138_16131758.jpg]()
本レンズであるが、銀塩時代に同AF 100/2.8 Macroの
初期型を使っていたものの、TAMRON SP 90/2.8 Macro
に買い換えた為、譲渡していた。このTAMRONの名マクロの
写りには満足していたが、ずっと後年になって「初期型の
写りも悪く無かった」と思い出し、再購入の為、それを
探したが、その際に見つかったのが、本New型であった、
ただ、銀塩時代の感覚で良く写った印象は、現代において
デジタル機で多数試写し、綿密に検証すると、撮影条件に
よっては、描写力が低下するケースが散見され、なかなか
使いこなしが難しいレンズだ、という感想に変わっている。
----
さて、ここでまたシステムを交替する、4本目だ。
![_c0032138_16131720.jpg]()
レンズは、MINOLTA AF 28mm/f2(初期型)
(中古購入価格 18,000円)
カメラは、SONY NEX-7 (APS-C機)
1980年代後半頃発売と思われる、大口径広角レンズ。
本シリーズ第72回(2つ前)の記事でも紹介した
ばかりであり、その記事でも書いたが、個人的には
嫌いなレンズだ。
![_c0032138_16131871.jpg]()
その理由は、当該記事に詳しいが、本レンズや
同等の仕様の一部の他社レンズは、一般的な28mm
広角のF2.8に対し、1段明るい開放F2にしただけで、
描写力が、かなり落ちてしまい、実用的な性能に達して
おらず、コスパがとても悪く感じるからである。
本レンズの紹介は早々に終了し、次のレンズに移る。
----
さて、5本目のシステム。
![_c0032138_16131818.jpg]()
レンズは、MINOLTA AF 85mm/f1.4 G (D) Limited
(新品購入価格 145,000円)
カメラは、SONY α65 (APS-C機)
2002年に限定700本で販売されたAF大口径中望遠。
「幻のレンズ」とも言える希少レンズであり、残念
ながら「投機対象」となってしまっていて、現代に
おいては入手困難、あるいは極めて高額な相場だ。
![_c0032138_16132533.jpg]()
MINOLTA α用レンズでは、唯一「Limited」の名前が
冠されている。これは実際に限定販売だったからであり、
他社での高級仕様レンズでの Limited(仕様)とは
意味が異なっている。
限定発売時、完全予約制であったが、当初、販売金額
が不明であった。700本(恐らくは、国内のみならず
海外も含まれた数だったか?)は、あっと言う間に
売り切れたと思うが、値段のわからないレンズを予約
するのは、相当に思い入れがあったマニア層であった
事だろうから、一般ユーザー層に本レンズが出回って
いない事は、やむを得ない。
本シリーズでは過去複数回登場している、その理由は
大きく3つあり・・
1)所有している人が極めて少なく、実際の写りを
知らないままで、「物凄く良く写る」などの
想像による誤解が蔓延している事。
2)その結果として、際限無く相場がプレミアム化
(=不条理なまでに価格が高騰している状態)
している事には、個人的には賛同できない為、
正しい情報を提供しようと考えている。
3)コスパが極めて悪いレンズである為、個人的な
好みに合わない。そこで、元を取る為にガンガンに
使って使い潰してしまいたい、と思っているので、
利用頻度を増やしている。(その結果、ブログ記事
にも、重複して登場している)
である。
本レンズの出自等については、多数の記事で紹介済み
であるが、その出自にはあまり画質や性能上の優位点と
なるべき内容は無い、基本、今から40年程前に設計された
完全なオールドレンズであり、現代的な描写特性でも無い。
まあ、単に希少な事が理由で、高価になっただけの
レンズだ。「高価だから良く写る」等は完全な誤解である。
![_c0032138_16132524.jpg]()
もう20年近くも実用で使っているので、そろそろ
経年変化で、ピントリング感触等が劣化してきているが、
思い入れの無いレンズだ、まだしばらくは酷使し続ける
事としよう。
なお、本レンズは、私の購入したレンズの中では、
珍しくコスパ的に「大失敗」のレンズであった、と強く
認識しており、この教訓から、その後、本レンズの
購入価格の14万5000円を超えるレンズ(新品、中古)は、
どんなに高性能とかの評価や噂があったとしても、
絶対に買わない、と決め。実際に、そのルールを現代に
至るまで、ずっと守っている。(注:近年、消費税率
アップ等の理由で、上限金額を15万円税込みに修正)
----
さて、6本目のシステム
![_c0032138_16132572.jpg]()
レンズは、MINOLTA AF MACRO 50mm/f3.5 (New)
(中古購入価格 10,000円)
カメラは、OLYMPUS OM-D E-M1(μ4/3機)
1990年代と思われる、1/2倍標準マクロレンズ。
前述の、初期型→New型→D型の区分において、他の
多くのαレンズは、その順番で改良されながら継続販売が
されたが、本レンズは、New型しか存在せず、事前にも
事後にもラインナップには存在していなかった。
過去のMFレンズでスペックの似ているものは存在するが
それの焼き直し版とも、あまり思えなかった。
![_c0032138_16132615.jpg]()
ミノルタの標準マクロとしては、AF 50mm/f2.8 Macro
が特に優秀であると私は認識している(後編記事で紹介)
そちらのレンズは、ミラーレス・マニアックス名玉編で
第4位、ハイコスパ名玉編で堂々の第1位となった、
正真正銘の名玉である。しかし、その名玉が別途存在
するのに、何故、スペックが僅かに劣る本レンズが
ラインナップされているか? その点がずっと不思議で
あった。
そうした理由から、私は、本レンズを「F2.8版が
あれば不用」と解釈し、長期間無視し続けたのだが、
後年には中古相場も下落していて、
「どうして併売されていたのか? そして、何故、
いきなりNew型で登場し、すぐに消えたのか?」
そういう疑問点が出てきて、その研究・解析を行う
目的で本レンズを購入した次第である。
しかし、他の紹介記事でも書いたが、その理由は、
試写からは解析しずらく、結局「良くわからない」と
いうのが、実際のところだ(汗)
(追記:さらなる研究により、「発売当時、低迷
していたαシステムの売り上げを回復する為に投入
された、一種のエントリー(お試し版)レンズで
あったかも知れない」という分析が見えて来た。
詳細は長くなるので、いずれ他の記事で紹介する)
----
では、今回ラストのシステム
![_c0032138_16133433.jpg]()
レンズは、MINOLTA HI-SPEED AF APO (TELE) 200mm/f2.8 (中古購入価格 44,000円)
カメラは、SONY α77Ⅱ(APS-C機)
1990年代のAF単焦点望遠レンズ。
正確な型番は不明。良くある事だが、当時の公式
資料が残っておらず、レンズ上に記載されている
型番は、様々な場所に順不動で書かれているからだ。
他の資料によっては、別の型番記載もあるのだが、
個々にまちまちであるし、実際にそのレンズを手にして
の資料であるか?は、わからないので信用できない。
ここには実物があるので、これを元に、本記事では
型番記載を行っている。
なお「HI-SPEED」とは、大口径(シャッター速度が速い)
を間接的に意味する英語表現であり、「AFが速い」という
意味では無い。
なお、高画質称号である「G」は、本レンズには冠されて
いないが、ところどころ金色の銘版やデザインもあって、
それ(G型)相当の高級品である事を示しているのであろう。
「G型」と記載された資料も見かけるが、真偽は不明だ。
実物から見る限り、G型では無いのかもしれないが、
そんな称号は、単なる名前なので、どうでも良く、基本的
には、とても良く写るレンズである。
![_c0032138_16133422.jpg]()
本レンズの用途としては、2000年代では暗所での長距離
人物撮影(例:ステージでのライブ等)が中心であったが
デジタル拡大機能(テレコンやズーム等)の機能がカメラ
に搭載された2010年代においては、暗所ステージの長距離
人物撮影用途は、135mm/F1.8レンズに代替していて、
出番が少なくなった。
その代わりの「用途開発」としては、高画質、優れたボケ質、
(200mmとしては)短い最短撮影距離(1.5m)を活用した、
「自然観察撮影」(小さい昆虫や花等)が増えている。
![_c0032138_16133449.jpg]()
今回は、ちょっと捻くれて、数km先の遠距離の花火の
手持ち撮影をやっている。
普通、三脚を立てないと撮影できない分野ではあるが、
シャッター速度1/20秒程度であれば、まあそこそこ花火
らしい形状で写る。これは手持ちでの手ブレ限界速度の
4段落ちの厳しい状態だが、SONY機の内蔵手ブレ補正機能
と、構えを工夫する事で、撮れる確率はゼロでは無い。
また、手持ち撮影は、縦位置撮影が容易な点も長所だ。
(一般的な三脚花火撮影は大半が横位置なのが不満点だ)
あるいは、あえて1/2~1秒程度のスローシャッター
として、手持ち「踊り撮り」(匠の写真用語辞典第15回、
意図的にブラして撮る技法)を行う事も出来るであろう。
![_c0032138_16133574.jpg]()
あまりノーマルな撮影技法とは言えないが、参考まで。
本レンズの総括だが、描写力の高い点は大きな利点だが、
SONYには引き継がれず、2000年代前半に生産完了と
なってしまった為、現代における中古相場はプレミアム
化(=高騰)して、やや高価であるところが弱点だ。
5万円台程度であれば、十分にコスパが優れたレンズと
なりうると思うが、なかなかそこまで低相場のものは
見つけ難いと思われる。
---
では、今回の「MINOLTA α単焦点 クラッシックス(前編)」
は、このあたり迄で。次回後編記事に続く。
紹介している。
今回は「MINOLTA α単焦点 クラッシックス」という主旨で、
MINOLTA時代のαAF一眼レフ用の単焦点レンズ群を
13本準備し、前編、後編記事に分けて取り上げよう。
なお、今回の記事においては、個々のレンズは全て過去記事
で紹介済みの為、α用レンズ全般の話や、取り巻く世情等を
中心とし、個々のレンズに係わる説明は最小限とする。
----
ではまず、最初のシステム

(中古購入価格 9,000円)(以下、AF50/1.4)
カメラは、SONY α700 (APS-C機)
1985年発売と思われる大口径AF標準レンズ。

AF一眼レフ「αシステム」(α-7000や、交換レンズ群)を
発売。これは「αショック」と呼ばれる歴史的な事件であり、
他社はすべて、ミノルタに追従する為に一眼レフのAF化を
急遽推進したり、あるいは様々な理由で、それが出来ずに
AF一眼レフ市場から撤退してしまった、という歴史である。
ミノルタαは、その後、色々と紆余曲折があって、2003年
頃にはコニカと合併し、KONICA MINOLTAとして新規の
デジタル一眼レフ(αレンズ対応)等を開発販売したが、
2006年には、αシステムを、そっくりSONYに譲渡して、
カメラ事業から撤退してしまう。
この、およそ20年間弱のみが「ミノルタαシステム」の
時代である。
本記事においては、そのおよそ20年弱の期間(まあ、
実質的には、1985年~2002年頃の約17年間)で
発売されたα用レンズ(非常に多数ある)の内から、
「単焦点」の物に絞って、それらを順次紹介する事とする。
なお、紹介レンズは、自身で購入し、今も所有している物に
限る。他人の所有物を借りたのでは公正に評価が出来ないし、
あるいは過去に譲渡してしまって、現在手元に無いレンズを
記憶に頼って(例:美化して)あれこれ書く事もフェアでは
無いと思うからだ。
さて、ここで少し本AF50/1.4について述べておく。
本レンズの発売は「αショック」と同じ1985年だ。
レンズ光学系は、MF時代のNew MD50/1.4の物を踏襲。
まあ、一眼レフとレンズのAF化に、とても忙しい状況で
あっただろうから、多数のAFレンズの光学系を新設計
するのは厳しい状況であっただろうと推察される。
で、この少し前の時代、1970年代~1980年代にかけ、
各社50mm/F1.4標準レンズの完成度は、とても向上した。
何故ならば、その時代の一眼レフのキットレンズは
50mm標準であり、その性能が低いとメーカーのブランド
的にもイメージが悪くなるからだ。よって1980年代には
各社の標準レンズは、ほぼ横並びの高い性能となった。
その後のAF時代になっても、各社は殆ど50/1.4の設計を
変えず、さらにそれはデジタル時代に入っても、銀塩時代
のAF標準レンズをそのまま、または小改良して継続販売
する事が各社とも普通であった。だから、レンズ光学系に
注目すれば、各社およそ30年間もの間、同じ標準レンズを
販売しつづけた事となる。まあ、つまり、改良の余地や
必要性が無い程に、完成度が高かったという訳だ。

MINOLTAでは、1970年代後半での各社の「小型化競争」
(OLYMPUS OM-1やPENTAX MXの登場から、各社は
一眼レフや交換レンズの小型化を推進した)の影響により、
50mm/F1.4レンズを小型化したが、ここで口径の小型化
(φ55mm→φ49mm)の弊害で、描写力が少し落ちて
しまっている。この小型化された方の標準レンズを
MINOLTA(SONYも)では、ずっと後年まで踏襲した為、
個人的な好みから言えばMINOLTAのφ49mm標準は、例え
安価であってもコスパが悪く感じ、好きなレンズでは無い。
そして、2010年前後にミラーレス機やスマホの急速な
普及により、一眼レフ市場が圧迫されると、各社は
こうした古くからある、こなれた光学設計を、お試し版
(エントリーレンズ)に一部応用、しかし、その戦略が
上手くいかない程に、エントリー層での一眼レフ離れが
進むと、2010年代前半からは各社とも、これまで定評が
あった標準レンズでの6群7枚変形ダブルガウス型構成を、
捨て、十数枚のレンズからなる複雑な新世代の単焦点
標準レンズの新規開発・販売を始める。
こうした新鋭標準レンズは、確かに良く写るが、その
価格も、旧来の標準レンズの3~5倍、重量も同様に
3~5倍にも肥大化してしまった。
まあ、これはメーカーから見れば縮退した一眼レフ
(用レンズ)の市場を支える為の「高付加価値化」戦略、
つまり「値上げ」であるからやむを得ない、
「高価すぎる」と思えば、「買わない」という選択肢も
まだユーザー側には残されている。
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さて、ここでシステムを交替する。

(中古購入価格 36,000円)
カメラは、SONY α7 (フルサイズ機)
1990年代前半と思われる単焦点(超)広角レンズ。
ミノルタα用の単焦点では最も広角であり、10mm台の
α用超広角は、ズームレンズ以外では存在しない。
(注:MF時代のMC/MDレンズには10mm台単焦点は
存在していたが、利用者数が少なかったと思われ、
AF化の際にラインナップを整理したのであろう)
実用上で必要と思い購入したレンズであるが、写りは
そこそこ良いものの、生産本数の少なさで開発コストが
上乗せされたか?コスパがかなり悪く感じ、個人的には
あまり好みでは無いレンズだ。

ついていて、過去(1980年代前半迄)のMF用のMC/MD系
の型番とは異なり、また、マウント互換性も無い。
(注1:MC/MDレンズは、マウントアダプターを使ったと
しても一眼レフでの使用は困難。よって、MC/MDは現代に
おいては各社ミラーレス機で用いる事が簡便である)
(注2:MC/MDとαのマウント互換性が失われた事に
ついては、αショックにおける新型一眼レフが、旧来の
Xシリーズに比べて圧倒的に性能が高かった為、ユーザー
層ではあまり問題視されていなかった。マウント変更での
弊害が大きかったのは、むしろCANONにおける(New)FD→
EF(EOS)の方であった。*旧FDマウント機が優秀だった為)
「AF」型番については、αが実質的に初のAF一眼レフで
あった為に、「早いもの勝ち」で「AF」というわかり易い
型番をつけたのであろう。
商標においては、(国内において)通常はアルファベット
2文字では「識別力が無い」と見なされる。すなわち2文字
では商標を取る事が出来ないので、これはミノルタ以外でも
利用できる製品型番だ。(例:SIGMA、TAMRON、TOKINA、
その他、海外製レンズでもAF型番のものが存在する)
他社に真似をされるが、その代わり他社においても商標を
独占できないので、「権利訴訟」などに発展する事は無く
安全ではある。また、知名度が圧倒的なメーカーがあれば
他社においては同一型番を使うのは市場戦略的には不利だ。
2文字より長い型番や機種名、シリーズ名等を使う場合は
商標を取得しておくことがメーカーにとっては安全だ。
ただし海外展開をする場合には、ある国で、その名前が
たまたま商標として登録されているとまずいので、海外
展開用に別の名前を用いる事もある。
たとえば、ミノルタの、この「α」(アルファ)も、
北米では「MAXXUM」(マクサム)、欧州では「Dynax」
(ダイナックス)という名前で出荷されていた。
近年のSONYミラーレス機αで、海外版名称がどうなっている
のかは調べていないが、数年前、香港のカメラマニア氏と
英語で話をしていた際、私が「前に持っていたα7(アルファ
セブン)はどうした?」と聞くと、彼は「アルファ??
ああ、A7(エーセブン)の事か! あれは妹にあげたよ」
と答えていたので、やはり海外向けは型番や名称が
異なっているのだろう。というか、α(アルファ)の
場合1文字型番では識別力が無い為、世界的な商標戦略は、
ますます面倒なのかも知れない。
2文字で識別力が無い、という件だが、国内においては
例外もある。それは、「すでに世の中に良く知られている」
場合においては、2文字でも「ロゴマーク」と合わせる事で、
商標(意匠)が取得できるのだ。
その実例としては「JR」「au」「JT」等がある。
(注:海外においては、どうだかは良く知らない)
型番で、カメラ界において有名な「事件」としては、
1972年にOLYMPUSが「M-1」を発表した際、ライカ
(エルンスト・ライツ)社から、
「自社の(レンジ機)Mシリーズと名前が被る」と
クレームが入り、やむなくオリンパスでは、翌1973年
頃から「OM-1」と名称を改めた、という歴史がある。
しかし、たった1文字の「M」だけに商標としての「識別力」
は当然存在せず、または、同じカメラとは言え、レンジ機
と一眼レフの差があり、かつ、ライカはM3、M6等、ハイフン
が入らない商品名だ。これはもう完全に「言いがかり」に
近いものであるから、現代の感覚であれば「徹底抗戦」が
望ましい判断であろう。ただ、1970年代では、訴訟とかは
世間一般的には企業・ブランドイメージを低下させる要因と
なる世情なので、オリンパスは型番変更の費用負担等を呑み、
まあ、「大人の対応」をした、という事だと思う。
同様に訴訟の例では、1990年代に、米国ハネウェル社が、
米国で成立していた(注:日本では成立していない)
AF(オートフォーカス)の基本特許を盾に、日本メーカー
のAF一眼レフの米国販売分の「利益をよこせ」という特許
訴訟を行った。あまりにシンプルすぎる特許であり、日本の
メーカーは無視していた状況だったが、これについては
ハネウェル側が勝訴、国内メーカーは多額の賠償金を同社
に払う事となった。その際、MINOLTAのα(Maxxum)が
最も売れていたので、ミノルタは百数十億円という金額を
支払った為、この事件は国内ではかなり大きく報道された。
だが、一般庶民には「ミノルタが技術を盗んだ」という風に
誤まって解釈されてしまい、ミノルタのブランドイメージが
大きく低下、「αショック」以降、順風満帆であった、αの
売れ行きも、丁度「バブル経済崩壊」と重なって大ブレーキ。
これは、およそ10年後のKONICAとの合併、そして、その後
のカメラ事業からの撤退(SONYへの譲渡)にも続いている
「遠因」になった、と、私は解釈していて、まあ、つくづく
不幸な話である。
まあ、一般庶民がワイドショー的にスキャンダルの話題
ばかりに興味がある事は昔も今も一緒であるが、そうした
報道等での、ごく一面を見ていたり、その分野の事を良く
知らないコメンテーター等の個人的な感想に対して、
視聴者は、それらを単純に「思い込んで」しまうだけでは、
物事の本質や真実は、何も見えてこない。

おいて、従来のDMC型番から、DC型番に変更した例が
ある(例:DMC-G8/DMC-GF8→DC-G9Pro/DC-GF9等)
こちらは訴訟とかは関係無いとは思われるが、3文字
型番では、識別力が出てきてしまい、海外展開等を含め
危険性がある(DMC型番が同じ「役務」(=商品の種類)
で登録されていた場合、訴訟を起こされるリスクがある。
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なお、商品分野が異なる場合、同じ型番でも各々の分野
で商標登録が出来る。例:電子楽器のEOS(ヤマハ)と
カメラのEOS(キヤノン))
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話の途中だが、ここでシステムを交替する。

(中古購入価格 19,000円)
カメラは、PANASONIC DMC-G6 (μ4/3機)
1990年代前半頃に発売された、中望遠等倍マクロ。

ついて述べておく、これはメーカー側の正式名では
無い可能性もあるが、流通、あるいは中古市場等
では、個々の仕様差を明確に区分する為に必須だ。
<初期型/旧型/無印>
1980年代後半の最初期のミノルタAFレンズ群。
当時「AF技術は最先端、MFなど時代遅れ」という
風潮が世間一般的にあり、MFを軽視した仕様であり
ピントリングは固いプラスチック製の僅かに4mm
程度の幅である。当然、MFが使い難い印象があるが、
慣れると、さほど酷くは無い。個人的には初期型は
格好良く感じ、好みである。
<New型/NEW型/(ごく稀に)中期型>
1990年代前半の、改良されたミノルタAFレンズ群。
ピントリングがゴム製となり、初期型のおよそ倍の
8mm幅程度となった。勿論、「AFが万能で最新鋭」
という市場感覚はすぐに廃れていて、初期型レンズの
MF操作性の、市場からの不満への対応の措置である。
だが、個人的には、この改善は、あまりMF操作性の
改善に寄与していないと見なしている。
また、デザイン的に、やや格好悪くなったという
感覚があり、個人的には、あまり好まない。
<D型/後期型>
1990年代後半発売の一部のレンズには、「D」の
型番が付与されている。このDは、Distance(距離)
の意味であり「距離エンコーダーが内蔵されている」
という仕様を示す。この時代、MINOLTA以外の
NIKONでも、D型レンズが発売され、意味は全く同様
である。
「距離エンコーダー」とは、レンズ内部のヘリコイド
外装に「グレイコード」(交番二進符号と訳される)
の金属片が貼ってあって、レンズのヘリコイド距離
が変化すると、そのグレイコード金属板の通電により、
マウント接点を経由し、カメラ本体側に距離情報が
伝えられる。つまりカメラ本体が(合焦点)被写体
までの距離を認識できる事となり、その情報を元に
露出決定アルゴリズムの精度を高めたり、フラッシュ
の光量調整の精度アップを図る。ただし、この機構
による画質向上の効果は無い。すなわち、MINOLTA
でもNIKONでも、D型となっても同じ光学系である
事が殆どなので、D型の方が良く写るという事は無い。
(ここを誤解している初級マニア層等が極めて多い)
この構造については、一般には公開されていないが
距離エンコーダー内蔵レンズを分解してみれば、
エンジニアであれば容易に、この機構を理解できる。
一般的な二進符号ではなく「グレイコード」となって
いる理由は、グレイコードであれば、距離情報が
変化(累進)した場合、常に1ビットしか変化量が
無い事が情報伝達上での利点となるからだ。
<型番「G」>
これについては、MINOLTAでは高画質レンズを
示す称号である。これは、その後のSONYにおいても、
高性能レンズをG(またはG MASTER)レンズと呼び、
(KONICA)MINOLTAから、その文化が引き継がれている。
現代では、MINOLTA/SONY系の他、各社においても、
同様に高画質を表す称号がある場合が殆どである。
(L、★、SP、ART、PRO、Leica、S-Line等)
ただし、個人的には、このようにメーカー側から
押し付けのように「高画質だ、だから高価なのだ!」
と言われる事には賛同できず、好みでは無い。
(まあ、つまり、こうした高画質称号がついていなく
でも大変良く写るレンズを沢山知っている為、
単なる「値上げの弁明」のように感じるからだ。
個人的には、高画質称号レンズは、コスパがとても
悪く感じ、出来るだけ買わないようにしている位だ)

初期型を使っていたものの、TAMRON SP 90/2.8 Macro
に買い換えた為、譲渡していた。このTAMRONの名マクロの
写りには満足していたが、ずっと後年になって「初期型の
写りも悪く無かった」と思い出し、再購入の為、それを
探したが、その際に見つかったのが、本New型であった、
ただ、銀塩時代の感覚で良く写った印象は、現代において
デジタル機で多数試写し、綿密に検証すると、撮影条件に
よっては、描写力が低下するケースが散見され、なかなか
使いこなしが難しいレンズだ、という感想に変わっている。
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さて、ここでまたシステムを交替する、4本目だ。

(中古購入価格 18,000円)
カメラは、SONY NEX-7 (APS-C機)
1980年代後半頃発売と思われる、大口径広角レンズ。
本シリーズ第72回(2つ前)の記事でも紹介した
ばかりであり、その記事でも書いたが、個人的には
嫌いなレンズだ。

同等の仕様の一部の他社レンズは、一般的な28mm
広角のF2.8に対し、1段明るい開放F2にしただけで、
描写力が、かなり落ちてしまい、実用的な性能に達して
おらず、コスパがとても悪く感じるからである。
本レンズの紹介は早々に終了し、次のレンズに移る。
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さて、5本目のシステム。

(新品購入価格 145,000円)
カメラは、SONY α65 (APS-C機)
2002年に限定700本で販売されたAF大口径中望遠。
「幻のレンズ」とも言える希少レンズであり、残念
ながら「投機対象」となってしまっていて、現代に
おいては入手困難、あるいは極めて高額な相場だ。

冠されている。これは実際に限定販売だったからであり、
他社での高級仕様レンズでの Limited(仕様)とは
意味が異なっている。
限定発売時、完全予約制であったが、当初、販売金額
が不明であった。700本(恐らくは、国内のみならず
海外も含まれた数だったか?)は、あっと言う間に
売り切れたと思うが、値段のわからないレンズを予約
するのは、相当に思い入れがあったマニア層であった
事だろうから、一般ユーザー層に本レンズが出回って
いない事は、やむを得ない。
本シリーズでは過去複数回登場している、その理由は
大きく3つあり・・
1)所有している人が極めて少なく、実際の写りを
知らないままで、「物凄く良く写る」などの
想像による誤解が蔓延している事。
2)その結果として、際限無く相場がプレミアム化
(=不条理なまでに価格が高騰している状態)
している事には、個人的には賛同できない為、
正しい情報を提供しようと考えている。
3)コスパが極めて悪いレンズである為、個人的な
好みに合わない。そこで、元を取る為にガンガンに
使って使い潰してしまいたい、と思っているので、
利用頻度を増やしている。(その結果、ブログ記事
にも、重複して登場している)
である。
本レンズの出自等については、多数の記事で紹介済み
であるが、その出自にはあまり画質や性能上の優位点と
なるべき内容は無い、基本、今から40年程前に設計された
完全なオールドレンズであり、現代的な描写特性でも無い。
まあ、単に希少な事が理由で、高価になっただけの
レンズだ。「高価だから良く写る」等は完全な誤解である。

経年変化で、ピントリング感触等が劣化してきているが、
思い入れの無いレンズだ、まだしばらくは酷使し続ける
事としよう。
なお、本レンズは、私の購入したレンズの中では、
珍しくコスパ的に「大失敗」のレンズであった、と強く
認識しており、この教訓から、その後、本レンズの
購入価格の14万5000円を超えるレンズ(新品、中古)は、
どんなに高性能とかの評価や噂があったとしても、
絶対に買わない、と決め。実際に、そのルールを現代に
至るまで、ずっと守っている。(注:近年、消費税率
アップ等の理由で、上限金額を15万円税込みに修正)
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さて、6本目のシステム

(中古購入価格 10,000円)
カメラは、OLYMPUS OM-D E-M1(μ4/3機)
1990年代と思われる、1/2倍標準マクロレンズ。
前述の、初期型→New型→D型の区分において、他の
多くのαレンズは、その順番で改良されながら継続販売が
されたが、本レンズは、New型しか存在せず、事前にも
事後にもラインナップには存在していなかった。
過去のMFレンズでスペックの似ているものは存在するが
それの焼き直し版とも、あまり思えなかった。

が特に優秀であると私は認識している(後編記事で紹介)
そちらのレンズは、ミラーレス・マニアックス名玉編で
第4位、ハイコスパ名玉編で堂々の第1位となった、
正真正銘の名玉である。しかし、その名玉が別途存在
するのに、何故、スペックが僅かに劣る本レンズが
ラインナップされているか? その点がずっと不思議で
あった。
そうした理由から、私は、本レンズを「F2.8版が
あれば不用」と解釈し、長期間無視し続けたのだが、
後年には中古相場も下落していて、
「どうして併売されていたのか? そして、何故、
いきなりNew型で登場し、すぐに消えたのか?」
そういう疑問点が出てきて、その研究・解析を行う
目的で本レンズを購入した次第である。
しかし、他の紹介記事でも書いたが、その理由は、
試写からは解析しずらく、結局「良くわからない」と
いうのが、実際のところだ(汗)
(追記:さらなる研究により、「発売当時、低迷
していたαシステムの売り上げを回復する為に投入
された、一種のエントリー(お試し版)レンズで
あったかも知れない」という分析が見えて来た。
詳細は長くなるので、いずれ他の記事で紹介する)
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では、今回ラストのシステム

カメラは、SONY α77Ⅱ(APS-C機)
1990年代のAF単焦点望遠レンズ。
正確な型番は不明。良くある事だが、当時の公式
資料が残っておらず、レンズ上に記載されている
型番は、様々な場所に順不動で書かれているからだ。
他の資料によっては、別の型番記載もあるのだが、
個々にまちまちであるし、実際にそのレンズを手にして
の資料であるか?は、わからないので信用できない。
ここには実物があるので、これを元に、本記事では
型番記載を行っている。
なお「HI-SPEED」とは、大口径(シャッター速度が速い)
を間接的に意味する英語表現であり、「AFが速い」という
意味では無い。
なお、高画質称号である「G」は、本レンズには冠されて
いないが、ところどころ金色の銘版やデザインもあって、
それ(G型)相当の高級品である事を示しているのであろう。
「G型」と記載された資料も見かけるが、真偽は不明だ。
実物から見る限り、G型では無いのかもしれないが、
そんな称号は、単なる名前なので、どうでも良く、基本的
には、とても良く写るレンズである。

人物撮影(例:ステージでのライブ等)が中心であったが
デジタル拡大機能(テレコンやズーム等)の機能がカメラ
に搭載された2010年代においては、暗所ステージの長距離
人物撮影用途は、135mm/F1.8レンズに代替していて、
出番が少なくなった。
その代わりの「用途開発」としては、高画質、優れたボケ質、
(200mmとしては)短い最短撮影距離(1.5m)を活用した、
「自然観察撮影」(小さい昆虫や花等)が増えている。

手持ち撮影をやっている。
普通、三脚を立てないと撮影できない分野ではあるが、
シャッター速度1/20秒程度であれば、まあそこそこ花火
らしい形状で写る。これは手持ちでの手ブレ限界速度の
4段落ちの厳しい状態だが、SONY機の内蔵手ブレ補正機能
と、構えを工夫する事で、撮れる確率はゼロでは無い。
また、手持ち撮影は、縦位置撮影が容易な点も長所だ。
(一般的な三脚花火撮影は大半が横位置なのが不満点だ)
あるいは、あえて1/2~1秒程度のスローシャッター
として、手持ち「踊り撮り」(匠の写真用語辞典第15回、
意図的にブラして撮る技法)を行う事も出来るであろう。

本レンズの総括だが、描写力の高い点は大きな利点だが、
SONYには引き継がれず、2000年代前半に生産完了と
なってしまった為、現代における中古相場はプレミアム
化(=高騰)して、やや高価であるところが弱点だ。
5万円台程度であれば、十分にコスパが優れたレンズと
なりうると思うが、なかなかそこまで低相場のものは
見つけ難いと思われる。
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では、今回の「MINOLTA α単焦点 クラッシックス(前編)」
は、このあたり迄で。次回後編記事に続く。