過去の本ブログのレンズ紹介記事では未紹介のマニアックな
レンズを主に紹介するシリーズ記事。
今回は、未紹介レンズ3本および、比較用として紹介済み
レンズ1本を取り上げる。
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まず、今回最初の(未紹介)レンズ
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レンズは、TAMRON SP AF 90mm/f2.8 Di MACRO 1:1
(中古購入価格 8,000円)(Model 272E)
カメラは、CANON EOS 7D MarkⅡ(APS-C機)
2004年に発売された、フルサイズ対応AF中望遠等倍
マクロレンズ。
![_c0032138_07131157.jpg]()
これは言わずと知れた、「TAMRON 90マクロ」である。
銀塩AF時代からの等倍版(72系、F004系)のバージョン
と発売年次は以下の通り。
1996年:Model 72E:SP AF 90mm/f2.8 Macro[1:1]
1999年:Model 172E:SP AF 90mm/f2.8 Macro[1:1]
2004年:Model 272E:SP AF 90mm/f2.8 Di Macro 1:1
2012年:Model F004:SP 90mm/f2.8 Di MACRO 1:1 VC USD
2016年:Model F017:SP 90mm/f2.8 Di MACRO 1:1 VC USD
私は、これまで、72E型と172E型を異マウントで2本
使用して来たが、両者は外観デザインが異なるだけで、
内部光学系は同一である。(72系はすべて光学系は一緒)
なお、Model型番が変わった際にも、レンズ名称が踏襲
されるケースでは、それは微小な変更(マイナーチェンジ)
に留まっているという事である。また、Model型番の
下位の数値が同一の場合は、レンズ構成(光学系)も
同一である、というTAMRON社での慣例だ。
「デジタル対応」(Di型)を謳った本レンズが出た際、
それを買い足そうとしたのだが、ここでちょっと問題が・・
当初、本Di型の発表時に「光学系をデジタルに対応した」
という(誤まった)レビュー記事を目にしたのだ。
確か、「テレセントリック特性に配慮」といったような
説明があり、これはまあ、正しく解釈するのであれば、
デジタルの撮像素子においては、フィルムのように斜め
から入射する光に対して感度が低下してしまう。
よって、デジタルにおいてはレンズの後玉あたりの光学系
を見直し、できるだけ撮像素子(CCD/CMOSセンサー)に
垂直に光を投影するのが望ましい。この事を称して
「テレセントリック(特性)」と呼ぶ訳だ。
私は「その通り、ごもっともだ、よし、ではDi型を買おう」
と思っていたのだが・・ その後、良く良く調べてみると、
TAMRON側では、テレセントリック等については何も述べて
おらず、Di型は単に、撮像センサー面での反射(面間反射)
を防ぐ為に、「後玉表面にコーティングを施した」だけで、
レンズ自体の光学系は何も変わっていなかったのだ。
よって、「テレセントリック・・うんぬん」の、評価記事
だかレビュー記事だかは、「ガセ」であった事が判明した。
世の中は一眼レフがデジタルに切り替わる昏迷期である、
この件に限らず、当時は誤った情報が色々とあったのだ。
そもそも、172E→272EとModel型番下位が同じなので
光学系を変えている様相も無かった次第だ。
私は「なんだ・・ デタラメな情報だったのか!
172と光学系が同じならば、買う必要は無いな」
と判断し、この272E型を無視する事とした。
ところが、その後、この90マクロは、8年(ないし9年)
もの間、バージョンアップが止まってしまい、後継型が
何も出て来ない状況が続いた。
後継機種が出ない理由の1つは、この2000年代、殆どの
デジタル一眼レフはAPS-C型センサーを搭載していたので、
換算画角が1.5倍で、135mm相当にもなってしまう
「90マクロ」は、自然観察・フィールド分野では、
(画角が狭すぎて)やや使いにくかったのだ。
(注;「使い難い」と世間では言われたが、個人的
にはそうは思っていない。マクロレンズの画角の差は
通常レンズほど作画に影響するものではないし、むしろ
撮影倍率が高まる、または同一撮影倍率では、WDを長く
取れる利点がある、と思っていた)
この課題はTAMRONにおいても当然認識していたと思われ、
2009年には、APS-C機で90mm相当の画角となる
SP AF60mm/f2 DiⅡ LD [IF] MACRO 1:1(Model G005)
を、発売していた。(APS-C機専用のDiⅡ型)
(特殊レンズ第8回記事TAMRON SP編、等を参照)
だが、2010年代前半、フルサイズ機(一眼レフ)が
低価格機種発売等で身近になって来た事、そして同時代
のスマホやミラーレス機の台頭で、一眼レフおよび
その交換レンズ市場が縮退していくと、レンズメーカー
側では、販売数が減少した分を高付加価値化(=利益)で
補わないとならない。
高付加価値化、すなわち「値上げ」の為の方策としては、
VC(手ブレ補正)の内蔵、そしてUSD(超音波モーター)
内蔵がある。この措置の結果、F004型を8~9年ぶり
の「90マクロ」として新発売、価格も(本)272E型の
68,000円から90,000円と、3割以上もの値上げとなった。
私は「マクロ(近接)撮影では、手ブレ補正機能も
超音波モーターも不要だ」
と思っていたし、それらの付加機能により、価格のみ
ならず重量も3割増し(405g→550g)となっていたので、
このF004型も完全に無視する事とした。
(とは言いつつ、後に研究用として購入している)
それと、本272E型はF004型発売以降も、しばらくの
間、併売されていた模様であるが、272EもF004も
2010年代末頃には、知らぬ間に生産終了となっている。
なお、F004型では、(72E型から)実に16年ぶりに、
レンズ光学系の見直しが入っている。
これはつまり、16年もの間、光学系を特に変更する
必要が無かった、と好意的に解釈する事も出来る。
つまり、72E型から既に光学系の完成度は高かった、
という意味である。(まあ、だから8~9年もの間、
新製品を出せない期間があったのであろう)
![_c0032138_07131349.jpg]()
さて、本272E型であるが、Di(デジタル対応)を謳って
はいるが、その実際の効能は不明だ。コーティングの
比較はとても難しく、その方法論が思い付かない。
例えば、SONY α7系機体では装着するレンズによっては
画間反射による、盛大なフレアやゴーストが発生し、
回避困難となるが、もう、それは組みあわせの問題で、
レンズを変えるか母艦を変えるしかない。
だが、90マクロ(旧72系)では、これまで母艦を色々と
変えてみても画間反射などは出る事は無かった。
そもそも昔から、90マクロは近接撮影では良く写るし、
その点については定評があり、私も高く評価はしている。
コーティングの有無など、どうでも良いようにも思った。
(ただし、中距離以遠の撮影となると、細かい課題も
見えてくる、具体的には解像感の低下やボケ質破綻だ。
ただまあ、その程度は微細なものなので、そうした細かい
弱点は「90マクロ」の名を貶めるようなものでは無い)
所有している3本の等倍版90マクロ(72系)の、個人DB
での描写表現力の評価点は、いずれも4.5点(5点満点)
である。これは「完璧な写りで感動的というレベルでは
には満たないが、相当に良く写る」という評価点である。
まあつまり、実用上では何も問題は無い。
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今回、272E型を追加入手した理由は、Di型での後玉の
反射防止コーテイングの効能(効果)を確かめたかった事。
(注:前述のように、その効能は良くわからない・汗
恐らく、ゴースト等は「出るか出ないか」であり、
母艦との組み合わせで決まるだろうし、コーティング
によるコントラストや画質の向上等は、後玉の場合は
多分、ほとんど写真には現れて来ないのだろう)
それと、CANON EFマウント版の90マクロを所有して
いなかった為、本レンズで補填する事、それと最後の
理由は、本レンズの中古相場が8,000円と、安価で
あった事である。特に瑕疵(キズやカビ等の不備)は無く、
購入がカメラ専門店では無く、ハードウェアリサイクル
店であったので、相場にあまりシビアで無いのであろう。
まあ、性能的には殆ど何も問題が無いレンズであるので、
良い買い物であったと思う。
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では次は、上記との「比較用」(再掲)レンズである。
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レンズは、TAMRON SP 90mm/f2.5
(中古購入価格 20,000円)(Model 52BB)
カメラは、OLYMPUS OM-D E-M5 MarkⅡ Limited (μ4/3機)
1988年に発売された、フルサイズ対応MF中望遠
ハーフ(1/2倍)マクロレンズ。
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こちらも、言わずと知れた「TAMON 90マクロ」だが、
MF版が、そのシリーズの元祖である。
本レンズの事を「タムキュー」と呼んでいるケースを
近年見かけたが、あまりそうした呼び名は発売時には
マニア層においては、一般的では無かったと思う。
(まあ、語呂が悪いし・・)
銀塩MF時代での、1/2倍版のバージョンと発売年次は
以下の通り。
1979年:Model 52B :SP 90mm/f2.5
1988年:Model 52BB:SP 90mm/f2.5
1990年:Model 52E :SP AF 90mm/f2.5
1996年:Model 72B :SP 90mm/f2.8 Macro 1:1
ここは、ちょっと型番体系がややこしい。
まず「52系」は、全て開放F値がF2.5で1/2倍マクロだ。
MF版の52B,52BBは、アダプトール2交換マウント仕様
である。アダプトール2は、規格上、最大口径比が
F2.5までに制限されていた模様であり(注:その
理由は不明であるが、マウント交換を行う際の後玉の
限界値に応じた「決め事」であったのだろうと思う)
その為、これらの1/2倍(ハーフ)マクロの開放F値は
後の等倍版のF2.8よりも少し明るい。
本レンズ(52BB)の発売時点では、既に各社一眼レフ
はAF化がスタートしていた為、本レンズも2年後に
AF化した52E型となる。ただ、それまでのMFマウント
(アダプトール2)では、アダプターを購入すれば、
どのメーカーの(MF)一眼レフにも装着できたのが、
AFマウントとなると、その1つのメーカーの機体に
しか使えなくなってしまう。この頃のユーザー層は
これを嫌ったのか? AF版の52E型は、中古市場でも
殆ど流通していなかった。
1979年の52B型(そして、SP銘も、この時代に
付けられた称号だ)が市場において好評価であった
為、既に「ポートレートマクロ」と「TAMRON」の
名前は多くのユーザー層に有名になっていた。
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まあ、他記事でも良く書いているが、1980年代の
ユーザー層は、MF一眼レフと50mm標準レンズを
セットにして購入、そして次に「望遠レンズが欲しい」
となった場合、その候補は135mm単焦点MF望遠で
あったから、その間の中望遠域は、すっぽり抜けて
しまっているユーザーが殆どだった。
また、この時代には、交換レンズの普及と販促の為、
「85mmは人物撮影用」という概念を、メーカーや
流通市場では、ユーザーに刷り込もうとしていた。
その「常識(?)」が広まった頃に52B型の発売だ、
「これ1本で、人物撮影にも近接撮影にも使え、
かつ多くのユーザーが持っていない中望遠レンズだ」
となれば、メーカー側の企画意図通り、当時のユーザー
層のニーズにもピタリと嵌る。
結局、この「製品企画コンセプトの上手さ」が、
52B型や52BB型のヒットと好評価に繋がったのだろう
と分析している。
でも1990年代ともなると、各社は85mm/F1.2やF1.4
級の大口径(AF)中望遠を、人物撮影専用高性能レンズ
としてラインナップを始める。これらは価格が高価で
あった事もあいまって、初級中級層の「憧れのレンズ」
となり、そこにTAMRONが、52Bから52E型までで
「ポートレートもマクロも出来ます」と、17年間も
言い続けてきた戦略は、そろそろ通用しなくなった。
F2.5という開放F値は、F1.2やF1.4の大口径と比べて
しまうと、初級中級層に対しては訴求力が無い。
また、ポートレートもマクロも・・・といった、少々
みみっちい兼用戦略も、贅沢三昧のバブル期を経験
した当時のユーザー層には通用しにくい。
もっと「凄いモノ」で無いと、目を引かない訳だ。
そこでTAMRONは、ポートレート兼用の方針を潔く捨て、
近接(マクロ)撮影に特化した72系の等倍マクロの
開発をスタートしたのであろう。
72B(MF版)と、72E(AF版)の両者の発売は、
いずれも1996年である。
開放F値は、F2.5→F2.8と僅かに低下したが、
その分、1/2倍→等倍と、最大撮影倍率はアップ。
これは、ユーザー層に対し「近接撮影専用の本格的
レンズ」としての訴求力がある。
また、恐らくだが、52系では、中遠距離で最良の
描写力となるように光学系を設計していたのだろうが、
72系では、最短撮影距離付近で描写力を高めるという
設計コンセプトに移行している。
よって、72系の近接等倍付近での描写表現力は、
これ迄の52系よりも格段に向上した。
ただ、72系では、逆に中遠距離撮影が52系よりも不利
な状況となるが、この近接撮影での圧倒的描写力を
見てしまったら、もう誰も72系で中遠距離撮影
(特に人物撮影等)は、行わなくなる。
だから、72系の中遠距離撮影の弱点は、誰も気づかず
また気づいたとしても軽微な弱点だから、もう不問だ。
このあたりは、やはり「企画コンセプトの上手さ」を
感じる、戦略的シナリオの上手さも、さる事ながら、
1996年での72B、72Eの同時発売も洒落ている。
つまり、AF機全盛のこの時代、あえてMFレンズを
発売する理由は、「マクロ撮影だから、MFの方が
有利でしょう?」という核心を、ちゃんとメーカー
側が把握していた(理解していた)という意味だ。
この頃のメーカーは、現代よりも「実用撮影シーン」の
認識が高かったのではなかろうか?とも思ってしまう。
現代の一部の機種(カメラやレンズ)では、実際に
撮影に持ち出すと、ものの30分で気づく、重大な課題を
持つものが多々あり、「なんだこりゃ~!! 誰も
この機材を実際に使わないまま、売っているのか?!」
と怒りに近い感情を覚える機材が多く存在する状況だ。
まあ、場合により、それは事実であろう。
カメラやレンズのスペックばかり気にして新製品を
作っていれば、とても忙しいデジタルでの開発業務の
合間に、実用撮影を何万枚もこなす、など、まず
不可能であろう・・ 残念だが、そう思わざるを得ない
ような撮影機材の課題の実例を、山ほど見てきている。
また、ユーザー側にも問題がある。カメラやレンズが
家電製品化してしまい、ちゃんと用途上での事前検討
を行わないまま、量販店等で店員の薦めるままに購入
してしまい、購入後も実用的視点でそれの用法を修練
する事もなく、イベントや旅行の際に持ち出して1日
撮って終わりだ。実用上での機材の良し悪しなど全く
理解する事もできないユーザー層が大半という状況だ。
![_c0032138_07132912.jpg]()
さて、本52BB型だが、優秀なポートレートマクロ
という評価は、もう既に30年以上も前の昔話だ。
現代においては、本レンズの描写力では満足できない
ユーザーも多いと思う。
ちなみに個人DBでの本52BB型の描写表現力の評価点は
4点(5点満点)である。
これは、「悪くは無いが、上にはもっと上がある」
という感じの評価点だ。まあそれでも当時の技術水準を
加味して、多少は「ゲタ」をはかせている状況であり、
実際のところは3.5点、という感じであろう。
現代になって必死に探す類のレンズでは無いが、
もし中古があれば、現代では1万円を切る程の格安相場
になっていると思うので、52系、72系の、各TAMRONの
90マクロの時代による変遷や描写傾向の差異を研究する
目的であれば、購入は十分にアリだと思う。
なお、272E後継のF004型も入手済みなので、いずれ、
90マクロの全光学系(52系、72系、F004系)の
変遷についての記事を、本シリーズで掲載する予定だ。
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では、3本目のレンズ、以下は未紹介レンズとなる。
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レンズは、TOKINA AF100-300mm/f5.6-6.7(EMZ130)
(ジャンク購入価格 500円)
カメラは、SONY α65(APS-C機)
詳細不明、恐らくは1990年代前半頃の発売と思われる
AF望遠ズーム。勿論フルサイズ対応である。
![_c0032138_07134110.jpg]()
後継型のⅡ型(EMZ130AFⅡ)が存在する模様だが、
何処がどう違うかは不明。また、本レンズが初期型か
Ⅱ型かも不明。レンズ上の表記にはⅡの文字は無いので、
恐らくは初期型だと思われる。
そして、レンズ上には「MACRO 1:4」の表記がある。
最短撮影距離1.5m(?)の距離指標あたりに、その表記が
あるので、恐らく300mm端での(フルサイズ時)撮影
倍率が、1/4倍(0.25倍)となるという意味であろう。
ただ、この時代(1990年代)の300mm級望遠ズームは
一部が同様に「最短1.5mで1/4倍」の近接性能を持つ。
本シリーズ第59回記事で紹介のTAMRON 100-300/5-6.3
(Model 186D)も、まったく同じ性能仕様だ。
まあ、本レンズは「寄れる方である」という評価にして
おこう。
それから、TOKINAにおいても、前時代のMF望遠ズーム
で類似仕様のものが存在する。
「RMC TOKINA 100-300mm/f5.6」
(本シリーズ第49回記事参照)が、それであるが、
1980年代から1990年代にかけ、TOKINAには類似仕様
の望遠ズームレンズが極めて多く、また、それら個々に
関する情報も、現代となっては殆ど存在していない。
ただ、RMC版100-300は開放F値固定型ズームであっても
描写力がイマイチである。また、同時代1980年代の
MF望遠ズームは、TOKINAに限らず、他のメーカー製で
あっても同様であり・・
200mm級MF望遠ズーム(80-200mmや70-210mm等)
よりも、300mm級MF望遠ズーム(例:100-300mm、
90-300mm、60-300mm等)が、明らかに劣っている
例が多数ある。
これはつまり、200mmズームより300mmズームの方が、
当時の技術水準においては、設計が困難(収差が補正
しきれていない)からであろう。
しかし、TOKINA 60-300mm/f4.5-5.6 (ハイコスパ
第9回記事MFズーム編参照)は、そこそこ良く写る
望遠ズームである。
これはつまり、同じTOKINAの同じ300mm級ズームで
あっても、機種毎に性能がまちまちである、という
事実を意味する。
また、不思議な事に、新しい時代のレンズ方が常に
性能が高い訳でもなく、ここも個々にまちまちだ。
その理由だが、第一に、レンズの企画コンセプトの
違いがあり、高性能を目指した高級レンズなのか?
それとも市場への普及を狙ったローコストレンズなのか?
それによっても、設計や結果としての性能は異なるだろう。
ただ、発売時点から20~30年も経った現在においては
どの時代のどのTOKINA製ズームであっても、ジャンク品で
あれば500円~2000円という相場で、どれも安価だし
そもそも値段が高い方が常に高描写力である保証も無い
ので、詳細は個別に買って試してみるしかない。
結局私も、TOKINAのジャンク(望遠)ズームは、都合
10本(機種)程購入しているのだが、やはり「個々の
機種で性能のバラツキが多い」という印象だ。
これについても上記の商品企画(設計)コンセプトの
差異の他、1980年代商品については、どうも設計者の
設計技能(技術、経験等のスキル)の差異があるように
感じてしまう。
恐らくは、当時はコンピューター光路設計技法は未発達
の時代であったから、設計者は、極めて多数の光路を
レンズ入射角と波長毎に、三角関数を用いて「スネルの
法則」を元に屈折率を計算して求めて、その線を引く、
そしてレンズを1枚追加するたびに、その計算と試行錯誤
を延々と繰り返す必要がある(汗)
こんな非常に面倒な仕事であれば、設計技術者毎での
設計技能の差異、つまり性能差が出ても、やむを得ないと
思われる。
![_c0032138_07134207.jpg]()
まあ、そのあたりの設計の事情はどうでも良い・・
肝心な事は、本EMZ130AFが、どのような特性を持ち、
長所はそれを生かし、弱点があれば、それを認識して
回避手法を考察し、その回避を実践する事だ。
それらの措置が容易であれば「使い易いレンズ」となり
難しければ「使いこなしが困難なレンズ」となる。
なお、このあたりの「弱点の分析とその回避」は、
相当な高難易度の措置となり、まずは上級者以上で無いと
不可能だと思うし、現代の高性能な機材ばかり使っている、
上級者層や、職業写真家層、専門評論家層でも、まず、
それは無理だ。
実践派上級マニア層のみができる措置であるとも言える。
本レンズの弱点であるが、
第一に開放F値の暗さであろう、開放F5.6-6.7は、
やはり相当に暗いと思う。
今回母艦としているα65は、一応手ブレ補正内蔵では
あるが、1/3段露出設定はF6.7の値が無く、ズームを
望遠側にすると、少し上のF7.1が表示される。
「え? F7.1かよ、暗いなあ~」と、その表示を見て
シャッター速度やISO感度の確認や調整が毎回のように
発生する。
あらゆるケースで、手持ちほぼ100%の撮影スタイルが
信条で、それを続けていると、F値表示に7や8の数値が
出てくると、「手ブレがヤバい」という警戒心が働いて
しまう訳だ。
よって、銀塩時代の望遠ズームの殆どにある課題の
「望遠側にズーミングすると解像感が低下する」と
あいまって、本能的にズームを広角端に若干引いて、
F値表示が、F6.3やF5.6に低下する状況を見ると
「ほっ」と一安心する次第である、これの繰り返しだ。
ただまあ、本レンズに関して言えば、望遠端での解像感
の低下はあまり感じられない。そういえば1990年代の
AF望遠ズームの一部では(それが普及版であっても)
望遠端画質が改善さえている例も、いくつか知っている。
本レンズもその類であろう、つまり、この時代において
「望遠ズームの望遠端の解像力は改善されつつある」
という技術水準の変遷が良く見てとれる結果となった。
![_c0032138_07134228.jpg]()
しかしながら、解像感はともかく、ボケ質破綻が
結構出るレンズである、これは単焦点よりもズーム
の方が状況の把握やその回避措置が困難であり、現状
では、本レンズでは、その回避にまでは至っていない。
(複雑な発生条件を分析しきれていない)
単純な回避策として、本記事での掲載写真では、
「出来るだけ平面被写体に特化する」という方策を
用いている。
このレンズの特性であれば、この撮影技法が適正で
あるようにも予想している、事実、こうした撮り方では
本レンズの弱点は、あまり気にならず、むしろ「シャープ
で良く写る」ようにも感じる次第だ。
なお、こういう設計コンセプトや特性のレンズの場合、
像面湾曲収差、非点収差、歪曲収差等の補正への配慮が
少ないという可能性を抱えているのだが、それらについて
簡単な回避手段として「フルサイズ機では無く、APS-C機
を用いる」という方法がある。これは画角を狭めて、周辺
収差を消す(画角の広さに依存する収差を目立たなくする)
という方法論であり、当然、今回もそうしている。
「いつでもフルサイズ機の方が良く写る」というのは、
主に初級中級者層の持つ大きな誤解であり、レンズの特性に
よっては、正反対で、APS-C機やμ4/3機の方が画面全体
の平均画質に優れる、というケースが多々ある訳だ。
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では、今回ラストのシステム
![_c0032138_07134851.jpg]()
レンズは、YONGNUO YN 85mm/f1.8
(中古購入価格 14,000円)(以下、YN85/1.8)
カメラは、CANON EOS 8000D(APS-C機)
2017~2018年頃(?)に、発売された、中国製の
単焦点AF小口径中望遠レンズ。
![_c0032138_07134843.jpg]()
これでYONGNUO(ヨンヌオ)のレンズは、4本目の購入
であり、紹介順にYN50/1.8(EOS)、YN35/2N(NIKON)、
YN100/2N(NIKON)、YN85/1.8(EOS)となっている。
まだYONGNUO製のレンズは、1~2本未購入品が
残っているとは思われるのだが、研究用としては、
そろそろ十分だ、とも思っている。
何を研究しているのか? と言えば、これらの
レンズの「出自」である。
これらはCANON製の1990年代AFレンズ(EFマウント)
と同じスペック、同じ外観、同じ光学系である。
「何故、そのように全く同じ製品が作れるのか?」
それを研究(分析)している訳だ。
で、CANON製の銀塩AFレンズとの差異は以下の通りだ。
1)絞り羽根の枚数が異なる場合がある。
2)銀塩時代のCANONではUSM(超音波モーター)仕様
であったレンズでも、YONGNUO製ではDCモーター
仕様である。
3)このDCモーター搭載により、NIKON(F)マウント版の
レンズも作れる模様だ、その場合、NIKON低価格帯機
(例:D3000系/D5000系)であっても、AFが動作する。
ただしこの場合、MF時のピントリング回転方向きと
距離指標の回転方向きが逆になり、気持ち悪い。
いずれもレンズ構成(光学系)はCANON版と同様である。
(多分、全く同じであろう)
また、電子部品(CPUおよびROM等)を内蔵しているので
電子接点を介してレンズ情報を、CANONおよびNIKONの
プロトコルに応じて交換でき、絞り制御や、EXIFへの
反映が可能だ。(注:電子アダプター使用時等では
プロトコルの僅かな差異により、正しく動作しない
ケースが存在する)
で、偽札や偽美術品を作るのとは異なり、光学系設計
や電子部品とその通信プロトコル等は、製品を外から
見ただけでは、決してコピーする事が出来ない。
だから、これらのYONGNUO製レンズはCANONレンズの、
仕様書、設計図等の詳細、およびレンズ部品そのもの、
電子部品そのもの、製造設備、評価設備等が存在して
いないと、コピーは無理である。
だから、ダークな裏事情としては、CANONにおける、
それらの設計仕様関連資料と、一部の使用部品が
なんらかの事情等により、そのままYONGUOに流れて
これらのコピーレンズが製造されたと推測できる。
最も簡単な推測は、CANONの「元」海外工場であった、
というケースだ。
何故「元」なのかは不明だが、恐らくは1990年代の
ように沢山レンズが売れる世情では無くなっているので
海外での大量生産のメリットが、もう無いのであろう。
2015年には、それまで25年間も製造を続けた
CANON EF50/1.8Ⅱ(YONGNUO YN50/1.8と同一製品)
を生産完了として、CANON EF50/1.8STMにリニューアル
されている、STM(ステッピングモーター)を付加価値
とした訳だ。STM部品は国内生産の可能性も考えられるが
近年では小型STM本体は中国製がとても多い世情もあり、
ここはなんとも言えない。
で、USM(超音波モーター)、STM駆動機構、絞り部品、
等は何らかの事情で中国では調達が出来ず(つまり、
それらの高度技術部品は、国内生産として、中国等の
海外では容易に追従やコピーができないようにした)
よって、中国製のDC(直流)モーターで代用、また
絞り部品も中国(深セン地区)で製造したのであろう。
現代の”深セン”には、光学機器メーカーが多数集結
していて、2010年代後半頃から日本に多数輸入されて
いる安価なレンズ群は、殆どが”深セン”地区で製造
されたものである。そして、それらの品質は悪く無く、
むしろ、一部の国産レンズよりも品質や高級感は
上回る程である。
![_c0032138_07134821.jpg]()
さて、ここまでが研究成果であり、これらから
わかる事と注意点であるが。
A)YONGNUOとCANON EFレンズは、光学的には同一の
ものであり、よって写りも基本的に同じである。
B)ただし、機種によっては、絞り羽根枚数の違いにより、
ボケ形状が異なるケースがある。
C)YONGNUO製品には、超音波モーター等は搭載されて
おらず、機種によってはEF版レンズよりも、AFの
速度と精度に劣る場合がある。
D)機種および、母艦となるカメラ、あるいは電子
マウントアダプターとの組み合わせによっては、
カメラ・レンズ間通信プロトコルでのID/ヘッダー
部分(?)の差異により、他社製レンズと認識され、
カメラ側の排他的仕様が強い場合では、露出値等
での安定性が損なわれたり、収差補正等の付加機能
が効かないケースがある。(一部は実験済み)
E)いずれにしてもYONGNUOとCANON EFレンズの
仕様・性能的な差異は微小なレベルに留まっていて、
実用的な差は殆ど感じられない。
F)機種によっては、EF純正版の中古価格よりも
YONGNUO製の新品の方が安価なケースもあり、
さらにはYONGNUOレンズの中古が流通している場合
には、EF純正レンズ(の中古)よりも圧倒的に安価
であるので、極めてコスパに優れるレンズとなる。
以上である。
![_c0032138_07134837.jpg]()
まあつまり、YONGNUOレンズの中古が入手できるので
あれば、EF純正レンズと比較して、写りは同等で、
コスパは圧倒的に良い。
ただし、EFレンズとは言え、1990年代ではレガシー
(オーソドックス)な設計技法で作られているので、
収差補正等が完璧には行き届いておらず、弱点を
持つ場合が多々ある。
(つまり、これらは、古い時代のセミオールドレンズ
であるからだ)
また、オリジナルレンズがどうだったかは知らないが
本レンズに関しては、逆光耐性が低い。
(注:コーティングの差異か??)
よって、その弱点を良く分析・理解し、それを回避
する措置を行わなければ、これらのレンズはYONGNUO
であろうが、CANON EF純正であろうが、良く写らない。
初級中級層では、その弱点回避措置が出来ない為、
「中華レンズだ、良く写る筈が無い」という思い込み
またはスキル不足による評価しか出来なくなってしまう。
まあ逆に、そういう評価が見られたら「ビギナー層だ」
という事になり、その評価内容は信用に値しない。
どんなレンズであっても、その弱点を回避して使うのは
ユーザーの責務である。
参考関連記事:
レンズマニアックスプラス「海外レンズマニアックス」編
第2回「YONGNUOマニアックス」
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さて、今回の第59回記事は、このあたり迄で・・
次回記事に続く。
レンズを主に紹介するシリーズ記事。
今回は、未紹介レンズ3本および、比較用として紹介済み
レンズ1本を取り上げる。
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まず、今回最初の(未紹介)レンズ

(中古購入価格 8,000円)(Model 272E)
カメラは、CANON EOS 7D MarkⅡ(APS-C機)
2004年に発売された、フルサイズ対応AF中望遠等倍
マクロレンズ。

銀塩AF時代からの等倍版(72系、F004系)のバージョン
と発売年次は以下の通り。
1996年:Model 72E:SP AF 90mm/f2.8 Macro[1:1]
1999年:Model 172E:SP AF 90mm/f2.8 Macro[1:1]
2004年:Model 272E:SP AF 90mm/f2.8 Di Macro 1:1
2012年:Model F004:SP 90mm/f2.8 Di MACRO 1:1 VC USD
2016年:Model F017:SP 90mm/f2.8 Di MACRO 1:1 VC USD
私は、これまで、72E型と172E型を異マウントで2本
使用して来たが、両者は外観デザインが異なるだけで、
内部光学系は同一である。(72系はすべて光学系は一緒)
なお、Model型番が変わった際にも、レンズ名称が踏襲
されるケースでは、それは微小な変更(マイナーチェンジ)
に留まっているという事である。また、Model型番の
下位の数値が同一の場合は、レンズ構成(光学系)も
同一である、というTAMRON社での慣例だ。
「デジタル対応」(Di型)を謳った本レンズが出た際、
それを買い足そうとしたのだが、ここでちょっと問題が・・
当初、本Di型の発表時に「光学系をデジタルに対応した」
という(誤まった)レビュー記事を目にしたのだ。
確か、「テレセントリック特性に配慮」といったような
説明があり、これはまあ、正しく解釈するのであれば、
デジタルの撮像素子においては、フィルムのように斜め
から入射する光に対して感度が低下してしまう。
よって、デジタルにおいてはレンズの後玉あたりの光学系
を見直し、できるだけ撮像素子(CCD/CMOSセンサー)に
垂直に光を投影するのが望ましい。この事を称して
「テレセントリック(特性)」と呼ぶ訳だ。
私は「その通り、ごもっともだ、よし、ではDi型を買おう」
と思っていたのだが・・ その後、良く良く調べてみると、
TAMRON側では、テレセントリック等については何も述べて
おらず、Di型は単に、撮像センサー面での反射(面間反射)
を防ぐ為に、「後玉表面にコーティングを施した」だけで、
レンズ自体の光学系は何も変わっていなかったのだ。
よって、「テレセントリック・・うんぬん」の、評価記事
だかレビュー記事だかは、「ガセ」であった事が判明した。
世の中は一眼レフがデジタルに切り替わる昏迷期である、
この件に限らず、当時は誤った情報が色々とあったのだ。
そもそも、172E→272EとModel型番下位が同じなので
光学系を変えている様相も無かった次第だ。
私は「なんだ・・ デタラメな情報だったのか!
172と光学系が同じならば、買う必要は無いな」
と判断し、この272E型を無視する事とした。
ところが、その後、この90マクロは、8年(ないし9年)
もの間、バージョンアップが止まってしまい、後継型が
何も出て来ない状況が続いた。
後継機種が出ない理由の1つは、この2000年代、殆どの
デジタル一眼レフはAPS-C型センサーを搭載していたので、
換算画角が1.5倍で、135mm相当にもなってしまう
「90マクロ」は、自然観察・フィールド分野では、
(画角が狭すぎて)やや使いにくかったのだ。
(注;「使い難い」と世間では言われたが、個人的
にはそうは思っていない。マクロレンズの画角の差は
通常レンズほど作画に影響するものではないし、むしろ
撮影倍率が高まる、または同一撮影倍率では、WDを長く
取れる利点がある、と思っていた)
この課題はTAMRONにおいても当然認識していたと思われ、
2009年には、APS-C機で90mm相当の画角となる
SP AF60mm/f2 DiⅡ LD [IF] MACRO 1:1(Model G005)
を、発売していた。(APS-C機専用のDiⅡ型)
(特殊レンズ第8回記事TAMRON SP編、等を参照)
だが、2010年代前半、フルサイズ機(一眼レフ)が
低価格機種発売等で身近になって来た事、そして同時代
のスマホやミラーレス機の台頭で、一眼レフおよび
その交換レンズ市場が縮退していくと、レンズメーカー
側では、販売数が減少した分を高付加価値化(=利益)で
補わないとならない。
高付加価値化、すなわち「値上げ」の為の方策としては、
VC(手ブレ補正)の内蔵、そしてUSD(超音波モーター)
内蔵がある。この措置の結果、F004型を8~9年ぶり
の「90マクロ」として新発売、価格も(本)272E型の
68,000円から90,000円と、3割以上もの値上げとなった。
私は「マクロ(近接)撮影では、手ブレ補正機能も
超音波モーターも不要だ」
と思っていたし、それらの付加機能により、価格のみ
ならず重量も3割増し(405g→550g)となっていたので、
このF004型も完全に無視する事とした。
(とは言いつつ、後に研究用として購入している)
それと、本272E型はF004型発売以降も、しばらくの
間、併売されていた模様であるが、272EもF004も
2010年代末頃には、知らぬ間に生産終了となっている。
なお、F004型では、(72E型から)実に16年ぶりに、
レンズ光学系の見直しが入っている。
これはつまり、16年もの間、光学系を特に変更する
必要が無かった、と好意的に解釈する事も出来る。
つまり、72E型から既に光学系の完成度は高かった、
という意味である。(まあ、だから8~9年もの間、
新製品を出せない期間があったのであろう)

はいるが、その実際の効能は不明だ。コーティングの
比較はとても難しく、その方法論が思い付かない。
例えば、SONY α7系機体では装着するレンズによっては
画間反射による、盛大なフレアやゴーストが発生し、
回避困難となるが、もう、それは組みあわせの問題で、
レンズを変えるか母艦を変えるしかない。
だが、90マクロ(旧72系)では、これまで母艦を色々と
変えてみても画間反射などは出る事は無かった。
そもそも昔から、90マクロは近接撮影では良く写るし、
その点については定評があり、私も高く評価はしている。
コーティングの有無など、どうでも良いようにも思った。
(ただし、中距離以遠の撮影となると、細かい課題も
見えてくる、具体的には解像感の低下やボケ質破綻だ。
ただまあ、その程度は微細なものなので、そうした細かい
弱点は「90マクロ」の名を貶めるようなものでは無い)
所有している3本の等倍版90マクロ(72系)の、個人DB
での描写表現力の評価点は、いずれも4.5点(5点満点)
である。これは「完璧な写りで感動的というレベルでは
には満たないが、相当に良く写る」という評価点である。
まあつまり、実用上では何も問題は無い。

反射防止コーテイングの効能(効果)を確かめたかった事。
(注:前述のように、その効能は良くわからない・汗
恐らく、ゴースト等は「出るか出ないか」であり、
母艦との組み合わせで決まるだろうし、コーティング
によるコントラストや画質の向上等は、後玉の場合は
多分、ほとんど写真には現れて来ないのだろう)
それと、CANON EFマウント版の90マクロを所有して
いなかった為、本レンズで補填する事、それと最後の
理由は、本レンズの中古相場が8,000円と、安価で
あった事である。特に瑕疵(キズやカビ等の不備)は無く、
購入がカメラ専門店では無く、ハードウェアリサイクル
店であったので、相場にあまりシビアで無いのであろう。
まあ、性能的には殆ど何も問題が無いレンズであるので、
良い買い物であったと思う。
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では次は、上記との「比較用」(再掲)レンズである。

(中古購入価格 20,000円)(Model 52BB)
カメラは、OLYMPUS OM-D E-M5 MarkⅡ Limited (μ4/3機)
1988年に発売された、フルサイズ対応MF中望遠
ハーフ(1/2倍)マクロレンズ。

MF版が、そのシリーズの元祖である。
本レンズの事を「タムキュー」と呼んでいるケースを
近年見かけたが、あまりそうした呼び名は発売時には
マニア層においては、一般的では無かったと思う。
(まあ、語呂が悪いし・・)
銀塩MF時代での、1/2倍版のバージョンと発売年次は
以下の通り。
1979年:Model 52B :SP 90mm/f2.5
1988年:Model 52BB:SP 90mm/f2.5
1990年:Model 52E :SP AF 90mm/f2.5
1996年:Model 72B :SP 90mm/f2.8 Macro 1:1
ここは、ちょっと型番体系がややこしい。
まず「52系」は、全て開放F値がF2.5で1/2倍マクロだ。
MF版の52B,52BBは、アダプトール2交換マウント仕様
である。アダプトール2は、規格上、最大口径比が
F2.5までに制限されていた模様であり(注:その
理由は不明であるが、マウント交換を行う際の後玉の
限界値に応じた「決め事」であったのだろうと思う)
その為、これらの1/2倍(ハーフ)マクロの開放F値は
後の等倍版のF2.8よりも少し明るい。
本レンズ(52BB)の発売時点では、既に各社一眼レフ
はAF化がスタートしていた為、本レンズも2年後に
AF化した52E型となる。ただ、それまでのMFマウント
(アダプトール2)では、アダプターを購入すれば、
どのメーカーの(MF)一眼レフにも装着できたのが、
AFマウントとなると、その1つのメーカーの機体に
しか使えなくなってしまう。この頃のユーザー層は
これを嫌ったのか? AF版の52E型は、中古市場でも
殆ど流通していなかった。
1979年の52B型(そして、SP銘も、この時代に
付けられた称号だ)が市場において好評価であった
為、既に「ポートレートマクロ」と「TAMRON」の
名前は多くのユーザー層に有名になっていた。

ユーザー層は、MF一眼レフと50mm標準レンズを
セットにして購入、そして次に「望遠レンズが欲しい」
となった場合、その候補は135mm単焦点MF望遠で
あったから、その間の中望遠域は、すっぽり抜けて
しまっているユーザーが殆どだった。
また、この時代には、交換レンズの普及と販促の為、
「85mmは人物撮影用」という概念を、メーカーや
流通市場では、ユーザーに刷り込もうとしていた。
その「常識(?)」が広まった頃に52B型の発売だ、
「これ1本で、人物撮影にも近接撮影にも使え、
かつ多くのユーザーが持っていない中望遠レンズだ」
となれば、メーカー側の企画意図通り、当時のユーザー
層のニーズにもピタリと嵌る。
結局、この「製品企画コンセプトの上手さ」が、
52B型や52BB型のヒットと好評価に繋がったのだろう
と分析している。
でも1990年代ともなると、各社は85mm/F1.2やF1.4
級の大口径(AF)中望遠を、人物撮影専用高性能レンズ
としてラインナップを始める。これらは価格が高価で
あった事もあいまって、初級中級層の「憧れのレンズ」
となり、そこにTAMRONが、52Bから52E型までで
「ポートレートもマクロも出来ます」と、17年間も
言い続けてきた戦略は、そろそろ通用しなくなった。
F2.5という開放F値は、F1.2やF1.4の大口径と比べて
しまうと、初級中級層に対しては訴求力が無い。
また、ポートレートもマクロも・・・といった、少々
みみっちい兼用戦略も、贅沢三昧のバブル期を経験
した当時のユーザー層には通用しにくい。
もっと「凄いモノ」で無いと、目を引かない訳だ。
そこでTAMRONは、ポートレート兼用の方針を潔く捨て、
近接(マクロ)撮影に特化した72系の等倍マクロの
開発をスタートしたのであろう。
72B(MF版)と、72E(AF版)の両者の発売は、
いずれも1996年である。
開放F値は、F2.5→F2.8と僅かに低下したが、
その分、1/2倍→等倍と、最大撮影倍率はアップ。
これは、ユーザー層に対し「近接撮影専用の本格的
レンズ」としての訴求力がある。
また、恐らくだが、52系では、中遠距離で最良の
描写力となるように光学系を設計していたのだろうが、
72系では、最短撮影距離付近で描写力を高めるという
設計コンセプトに移行している。
よって、72系の近接等倍付近での描写表現力は、
これ迄の52系よりも格段に向上した。
ただ、72系では、逆に中遠距離撮影が52系よりも不利
な状況となるが、この近接撮影での圧倒的描写力を
見てしまったら、もう誰も72系で中遠距離撮影
(特に人物撮影等)は、行わなくなる。
だから、72系の中遠距離撮影の弱点は、誰も気づかず
また気づいたとしても軽微な弱点だから、もう不問だ。
このあたりは、やはり「企画コンセプトの上手さ」を
感じる、戦略的シナリオの上手さも、さる事ながら、
1996年での72B、72Eの同時発売も洒落ている。
つまり、AF機全盛のこの時代、あえてMFレンズを
発売する理由は、「マクロ撮影だから、MFの方が
有利でしょう?」という核心を、ちゃんとメーカー
側が把握していた(理解していた)という意味だ。
この頃のメーカーは、現代よりも「実用撮影シーン」の
認識が高かったのではなかろうか?とも思ってしまう。
現代の一部の機種(カメラやレンズ)では、実際に
撮影に持ち出すと、ものの30分で気づく、重大な課題を
持つものが多々あり、「なんだこりゃ~!! 誰も
この機材を実際に使わないまま、売っているのか?!」
と怒りに近い感情を覚える機材が多く存在する状況だ。
まあ、場合により、それは事実であろう。
カメラやレンズのスペックばかり気にして新製品を
作っていれば、とても忙しいデジタルでの開発業務の
合間に、実用撮影を何万枚もこなす、など、まず
不可能であろう・・ 残念だが、そう思わざるを得ない
ような撮影機材の課題の実例を、山ほど見てきている。
また、ユーザー側にも問題がある。カメラやレンズが
家電製品化してしまい、ちゃんと用途上での事前検討
を行わないまま、量販店等で店員の薦めるままに購入
してしまい、購入後も実用的視点でそれの用法を修練
する事もなく、イベントや旅行の際に持ち出して1日
撮って終わりだ。実用上での機材の良し悪しなど全く
理解する事もできないユーザー層が大半という状況だ。

という評価は、もう既に30年以上も前の昔話だ。
現代においては、本レンズの描写力では満足できない
ユーザーも多いと思う。
ちなみに個人DBでの本52BB型の描写表現力の評価点は
4点(5点満点)である。
これは、「悪くは無いが、上にはもっと上がある」
という感じの評価点だ。まあそれでも当時の技術水準を
加味して、多少は「ゲタ」をはかせている状況であり、
実際のところは3.5点、という感じであろう。
現代になって必死に探す類のレンズでは無いが、
もし中古があれば、現代では1万円を切る程の格安相場
になっていると思うので、52系、72系の、各TAMRONの
90マクロの時代による変遷や描写傾向の差異を研究する
目的であれば、購入は十分にアリだと思う。
なお、272E後継のF004型も入手済みなので、いずれ、
90マクロの全光学系(52系、72系、F004系)の
変遷についての記事を、本シリーズで掲載する予定だ。
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では、3本目のレンズ、以下は未紹介レンズとなる。

(ジャンク購入価格 500円)
カメラは、SONY α65(APS-C機)
詳細不明、恐らくは1990年代前半頃の発売と思われる
AF望遠ズーム。勿論フルサイズ対応である。

何処がどう違うかは不明。また、本レンズが初期型か
Ⅱ型かも不明。レンズ上の表記にはⅡの文字は無いので、
恐らくは初期型だと思われる。
そして、レンズ上には「MACRO 1:4」の表記がある。
最短撮影距離1.5m(?)の距離指標あたりに、その表記が
あるので、恐らく300mm端での(フルサイズ時)撮影
倍率が、1/4倍(0.25倍)となるという意味であろう。
ただ、この時代(1990年代)の300mm級望遠ズームは
一部が同様に「最短1.5mで1/4倍」の近接性能を持つ。
本シリーズ第59回記事で紹介のTAMRON 100-300/5-6.3
(Model 186D)も、まったく同じ性能仕様だ。
まあ、本レンズは「寄れる方である」という評価にして
おこう。
それから、TOKINAにおいても、前時代のMF望遠ズーム
で類似仕様のものが存在する。
「RMC TOKINA 100-300mm/f5.6」
(本シリーズ第49回記事参照)が、それであるが、
1980年代から1990年代にかけ、TOKINAには類似仕様
の望遠ズームレンズが極めて多く、また、それら個々に
関する情報も、現代となっては殆ど存在していない。
ただ、RMC版100-300は開放F値固定型ズームであっても
描写力がイマイチである。また、同時代1980年代の
MF望遠ズームは、TOKINAに限らず、他のメーカー製で
あっても同様であり・・
200mm級MF望遠ズーム(80-200mmや70-210mm等)
よりも、300mm級MF望遠ズーム(例:100-300mm、
90-300mm、60-300mm等)が、明らかに劣っている
例が多数ある。
これはつまり、200mmズームより300mmズームの方が、
当時の技術水準においては、設計が困難(収差が補正
しきれていない)からであろう。
しかし、TOKINA 60-300mm/f4.5-5.6 (ハイコスパ
第9回記事MFズーム編参照)は、そこそこ良く写る
望遠ズームである。
これはつまり、同じTOKINAの同じ300mm級ズームで
あっても、機種毎に性能がまちまちである、という
事実を意味する。
また、不思議な事に、新しい時代のレンズ方が常に
性能が高い訳でもなく、ここも個々にまちまちだ。
その理由だが、第一に、レンズの企画コンセプトの
違いがあり、高性能を目指した高級レンズなのか?
それとも市場への普及を狙ったローコストレンズなのか?
それによっても、設計や結果としての性能は異なるだろう。
ただ、発売時点から20~30年も経った現在においては
どの時代のどのTOKINA製ズームであっても、ジャンク品で
あれば500円~2000円という相場で、どれも安価だし
そもそも値段が高い方が常に高描写力である保証も無い
ので、詳細は個別に買って試してみるしかない。
結局私も、TOKINAのジャンク(望遠)ズームは、都合
10本(機種)程購入しているのだが、やはり「個々の
機種で性能のバラツキが多い」という印象だ。
これについても上記の商品企画(設計)コンセプトの
差異の他、1980年代商品については、どうも設計者の
設計技能(技術、経験等のスキル)の差異があるように
感じてしまう。
恐らくは、当時はコンピューター光路設計技法は未発達
の時代であったから、設計者は、極めて多数の光路を
レンズ入射角と波長毎に、三角関数を用いて「スネルの
法則」を元に屈折率を計算して求めて、その線を引く、
そしてレンズを1枚追加するたびに、その計算と試行錯誤
を延々と繰り返す必要がある(汗)
こんな非常に面倒な仕事であれば、設計技術者毎での
設計技能の差異、つまり性能差が出ても、やむを得ないと
思われる。

肝心な事は、本EMZ130AFが、どのような特性を持ち、
長所はそれを生かし、弱点があれば、それを認識して
回避手法を考察し、その回避を実践する事だ。
それらの措置が容易であれば「使い易いレンズ」となり
難しければ「使いこなしが困難なレンズ」となる。
なお、このあたりの「弱点の分析とその回避」は、
相当な高難易度の措置となり、まずは上級者以上で無いと
不可能だと思うし、現代の高性能な機材ばかり使っている、
上級者層や、職業写真家層、専門評論家層でも、まず、
それは無理だ。
実践派上級マニア層のみができる措置であるとも言える。
本レンズの弱点であるが、
第一に開放F値の暗さであろう、開放F5.6-6.7は、
やはり相当に暗いと思う。
今回母艦としているα65は、一応手ブレ補正内蔵では
あるが、1/3段露出設定はF6.7の値が無く、ズームを
望遠側にすると、少し上のF7.1が表示される。
「え? F7.1かよ、暗いなあ~」と、その表示を見て
シャッター速度やISO感度の確認や調整が毎回のように
発生する。
あらゆるケースで、手持ちほぼ100%の撮影スタイルが
信条で、それを続けていると、F値表示に7や8の数値が
出てくると、「手ブレがヤバい」という警戒心が働いて
しまう訳だ。
よって、銀塩時代の望遠ズームの殆どにある課題の
「望遠側にズーミングすると解像感が低下する」と
あいまって、本能的にズームを広角端に若干引いて、
F値表示が、F6.3やF5.6に低下する状況を見ると
「ほっ」と一安心する次第である、これの繰り返しだ。
ただまあ、本レンズに関して言えば、望遠端での解像感
の低下はあまり感じられない。そういえば1990年代の
AF望遠ズームの一部では(それが普及版であっても)
望遠端画質が改善さえている例も、いくつか知っている。
本レンズもその類であろう、つまり、この時代において
「望遠ズームの望遠端の解像力は改善されつつある」
という技術水準の変遷が良く見てとれる結果となった。

結構出るレンズである、これは単焦点よりもズーム
の方が状況の把握やその回避措置が困難であり、現状
では、本レンズでは、その回避にまでは至っていない。
(複雑な発生条件を分析しきれていない)
単純な回避策として、本記事での掲載写真では、
「出来るだけ平面被写体に特化する」という方策を
用いている。
このレンズの特性であれば、この撮影技法が適正で
あるようにも予想している、事実、こうした撮り方では
本レンズの弱点は、あまり気にならず、むしろ「シャープ
で良く写る」ようにも感じる次第だ。
なお、こういう設計コンセプトや特性のレンズの場合、
像面湾曲収差、非点収差、歪曲収差等の補正への配慮が
少ないという可能性を抱えているのだが、それらについて
簡単な回避手段として「フルサイズ機では無く、APS-C機
を用いる」という方法がある。これは画角を狭めて、周辺
収差を消す(画角の広さに依存する収差を目立たなくする)
という方法論であり、当然、今回もそうしている。
「いつでもフルサイズ機の方が良く写る」というのは、
主に初級中級者層の持つ大きな誤解であり、レンズの特性に
よっては、正反対で、APS-C機やμ4/3機の方が画面全体
の平均画質に優れる、というケースが多々ある訳だ。
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では、今回ラストのシステム

(中古購入価格 14,000円)(以下、YN85/1.8)
カメラは、CANON EOS 8000D(APS-C機)
2017~2018年頃(?)に、発売された、中国製の
単焦点AF小口径中望遠レンズ。

であり、紹介順にYN50/1.8(EOS)、YN35/2N(NIKON)、
YN100/2N(NIKON)、YN85/1.8(EOS)となっている。
まだYONGNUO製のレンズは、1~2本未購入品が
残っているとは思われるのだが、研究用としては、
そろそろ十分だ、とも思っている。
何を研究しているのか? と言えば、これらの
レンズの「出自」である。
これらはCANON製の1990年代AFレンズ(EFマウント)
と同じスペック、同じ外観、同じ光学系である。
「何故、そのように全く同じ製品が作れるのか?」
それを研究(分析)している訳だ。
で、CANON製の銀塩AFレンズとの差異は以下の通りだ。
1)絞り羽根の枚数が異なる場合がある。
2)銀塩時代のCANONではUSM(超音波モーター)仕様
であったレンズでも、YONGNUO製ではDCモーター
仕様である。
3)このDCモーター搭載により、NIKON(F)マウント版の
レンズも作れる模様だ、その場合、NIKON低価格帯機
(例:D3000系/D5000系)であっても、AFが動作する。
ただしこの場合、MF時のピントリング回転方向きと
距離指標の回転方向きが逆になり、気持ち悪い。
いずれもレンズ構成(光学系)はCANON版と同様である。
(多分、全く同じであろう)
また、電子部品(CPUおよびROM等)を内蔵しているので
電子接点を介してレンズ情報を、CANONおよびNIKONの
プロトコルに応じて交換でき、絞り制御や、EXIFへの
反映が可能だ。(注:電子アダプター使用時等では
プロトコルの僅かな差異により、正しく動作しない
ケースが存在する)
で、偽札や偽美術品を作るのとは異なり、光学系設計
や電子部品とその通信プロトコル等は、製品を外から
見ただけでは、決してコピーする事が出来ない。
だから、これらのYONGNUO製レンズはCANONレンズの、
仕様書、設計図等の詳細、およびレンズ部品そのもの、
電子部品そのもの、製造設備、評価設備等が存在して
いないと、コピーは無理である。
だから、ダークな裏事情としては、CANONにおける、
それらの設計仕様関連資料と、一部の使用部品が
なんらかの事情等により、そのままYONGUOに流れて
これらのコピーレンズが製造されたと推測できる。
最も簡単な推測は、CANONの「元」海外工場であった、
というケースだ。
何故「元」なのかは不明だが、恐らくは1990年代の
ように沢山レンズが売れる世情では無くなっているので
海外での大量生産のメリットが、もう無いのであろう。
2015年には、それまで25年間も製造を続けた
CANON EF50/1.8Ⅱ(YONGNUO YN50/1.8と同一製品)
を生産完了として、CANON EF50/1.8STMにリニューアル
されている、STM(ステッピングモーター)を付加価値
とした訳だ。STM部品は国内生産の可能性も考えられるが
近年では小型STM本体は中国製がとても多い世情もあり、
ここはなんとも言えない。
で、USM(超音波モーター)、STM駆動機構、絞り部品、
等は何らかの事情で中国では調達が出来ず(つまり、
それらの高度技術部品は、国内生産として、中国等の
海外では容易に追従やコピーができないようにした)
よって、中国製のDC(直流)モーターで代用、また
絞り部品も中国(深セン地区)で製造したのであろう。
現代の”深セン”には、光学機器メーカーが多数集結
していて、2010年代後半頃から日本に多数輸入されて
いる安価なレンズ群は、殆どが”深セン”地区で製造
されたものである。そして、それらの品質は悪く無く、
むしろ、一部の国産レンズよりも品質や高級感は
上回る程である。

わかる事と注意点であるが。
A)YONGNUOとCANON EFレンズは、光学的には同一の
ものであり、よって写りも基本的に同じである。
B)ただし、機種によっては、絞り羽根枚数の違いにより、
ボケ形状が異なるケースがある。
C)YONGNUO製品には、超音波モーター等は搭載されて
おらず、機種によってはEF版レンズよりも、AFの
速度と精度に劣る場合がある。
D)機種および、母艦となるカメラ、あるいは電子
マウントアダプターとの組み合わせによっては、
カメラ・レンズ間通信プロトコルでのID/ヘッダー
部分(?)の差異により、他社製レンズと認識され、
カメラ側の排他的仕様が強い場合では、露出値等
での安定性が損なわれたり、収差補正等の付加機能
が効かないケースがある。(一部は実験済み)
E)いずれにしてもYONGNUOとCANON EFレンズの
仕様・性能的な差異は微小なレベルに留まっていて、
実用的な差は殆ど感じられない。
F)機種によっては、EF純正版の中古価格よりも
YONGNUO製の新品の方が安価なケースもあり、
さらにはYONGNUOレンズの中古が流通している場合
には、EF純正レンズ(の中古)よりも圧倒的に安価
であるので、極めてコスパに優れるレンズとなる。
以上である。

あれば、EF純正レンズと比較して、写りは同等で、
コスパは圧倒的に良い。
ただし、EFレンズとは言え、1990年代ではレガシー
(オーソドックス)な設計技法で作られているので、
収差補正等が完璧には行き届いておらず、弱点を
持つ場合が多々ある。
(つまり、これらは、古い時代のセミオールドレンズ
であるからだ)
また、オリジナルレンズがどうだったかは知らないが
本レンズに関しては、逆光耐性が低い。
(注:コーティングの差異か??)
よって、その弱点を良く分析・理解し、それを回避
する措置を行わなければ、これらのレンズはYONGNUO
であろうが、CANON EF純正であろうが、良く写らない。
初級中級層では、その弱点回避措置が出来ない為、
「中華レンズだ、良く写る筈が無い」という思い込み
またはスキル不足による評価しか出来なくなってしまう。
まあ逆に、そういう評価が見られたら「ビギナー層だ」
という事になり、その評価内容は信用に値しない。
どんなレンズであっても、その弱点を回避して使うのは
ユーザーの責務である。
参考関連記事:
レンズマニアックスプラス「海外レンズマニアックス」編
第2回「YONGNUOマニアックス」
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さて、今回の第59回記事は、このあたり迄で・・
次回記事に続く。