過去未紹介のマニアックなレンズを主に紹介するシリーズ
記事ではあるが、今回は「補足編」とし、主旨を変えて、
「雨天専用システム」について紹介しよう。
これは読んで字のごとく、雨天(雨中)での使用を前提
としたシステムである。私の場合、この目的のシステムは
時代により異なっているが、今回の記事では、デジタル
時代2000年代、そして2010年代での雨天用システムを
それぞれ2組づつ紹介しよう。
なお、いずれも既紹介レンズ(カメラ)であるから、
今回の記事では、カメラやレンズ自体の特徴よりも、
どういう理由で、そのシステムが雨天専用となっているか
についてを主に解説していく。加えて「雨中撮影の際の
様々なノウハウ」についても紹介していこう。
----
まず、今回最初の(2000年代)システム
![_c0032138_10590638.jpg]()
レンズは、TAMRON AF200-400mm/f5.6 LD(IF)(Model 75D)
(レンズ中古購入価格 26,000円)
カメラは、CANON EOS 30D(APS-C機)
(カメラ中古購入価格 15,000円)
2000年代に使用した雨天専用システム、カメラも
レンズも非防水であるから、これは元々、天候耐性が
ある訳では無い。
このシステムを雨天専用とした理由であるが、最大の
ポイントは「安価な機材である」という理由だ。
型遅れのカメラとレンズは、中古相場が相当に安価
であり、濡らして仮に壊しても、大きな痛手は無い。
![_c0032138_10590745.jpg]()
そして勿論、これらに代替する上位システムも所有
しているから、まあつまりこれらは「二軍」なのだ。
でも、これらは、かつては「一軍」として活躍した
システムである。特にレンズのAF200-400/5.6は
銀塩時代より長きに渡り使用して来た物であるから、
「十分に元が取れている」という判断となる。
ただ、注意しなくてはならない点は、マニア層の多くは
機材を非常に大事にする。それはそれで良い事ではあるが、
「これは長年愛用したレンズだから・・」と、あまりに
入れ込み(思い入れ)が強くなりすぎると、今度は逆に、
ラフな使用が出来なくなってしまうのだ。
だが、「消耗用システム」というのも重要な用途である。
厳しい環境で撮影をしなければならないケースが無い
ユーザーには、それは分かり難い概念なのかも知れない。
まあ、そういうユーザー層は、ぱらりと雨が降った程度で、
撮影をあきらめて撤収してしまうのだが、それは「軟弱だ」
と言うよりも、「厳しい環境において撮影する、責任や
必然性が無い」とか「撮影が楽しめないのであれば、
無理をして撮影する必要が無い」という感覚であり、
まあ、それらはユーザー毎の目的や状況によりけりだ。
しかし、良く書く話であるが、アマチュア層であっても
撮影旅行や撮影会といったイベント時に雨に降られる事も
あるだろうし、あるいは、家族や知人の出場・出演する
スポーツやイベントが雨に見舞われ、そうであっても
イベントが継続される以上、雨中での撮影が必須の場合
もありうる。だから、そういう雨中での撮影状況を
「想定」あるいは「経験」しておかないと、想定外の
未経験には上手く対応できず、気持ち(モチベーション)も
結果(写真)もヘロヘロになってしまう可能性が高い訳だ。
普段から、たとえ責任の無い趣味撮影であっても、
雨天での撮影を経験あるいは練習しておけば、いざと
言う時に慌てたり困る事は、さほど無いだろう。
「備えあれば憂い無し」「転ばぬ先の杖」等と故事や
ことわざにも言われる事は、あながち的外れでは無い。
![_c0032138_10590712.jpg]()
で、そういう訳で、誰であっても雨中撮影を想定して
おかなければならないのであれば、「消耗用システム」
を必ず意識しておかなければならない。
「無理をして、一番良いカメラとレンズを買ったよ」
というビギナー層が現代ではとても多いのだが、その
理由の1つとして、「自身のスキルに自信が無い為、
カメラやレンズの性能に頼らないと撮影が出来ない」
という不安要素がある点だ。
それは、多くのビギナー層から実際にヒヤリングした
結論でもあるし、あるいは一般的にも、たとえば
ビギナー層の機材評価の記事等では「AF性能が・・」
などと真剣に討議しているのだが、そもそもAF性能が
どうであっても、MFで撮れば、簡単に弱点を回避したり、
AF性能の良否は問題では無くなる。
だからAF性能の良し悪しは、機材評価上では重要な要素
では無いのだが・・(だから、本ブログでの機材評価は
AF関連の性能については、ほとんど述べる事がない)
つまり、ビギナー層では「そういう性能に頼らないと
MFなどではスキルが無く、撮りようがない」という
事実を端的に示しているのであろう。
で、したがってビギナー層は必ず高価な(高価すぎる)
システムを揃えてしまうのであるが、そういう状況では、
心理的にも、いかにもそういう高級機材を雨に濡らす
のは忍びない・・
まあ実際には、高級機材は、業務用途を想定している
設計であるから、一般に天候耐性に優れ、多少の雨とか
温度差等には対応できる。したがって、むしろ雨天の
撮影に高級機材は向くのだが、ビギナー層においては
「どこまでカメラやレンズを濡らしたら危険なのか?」
という経験則を持たない為、ぱらりと小雨が降った
だけで、大事な高額機材を抱えて撤収してしまうのだ。
![_c0032138_10590768.jpg]()
だが、こうした事は経験則を積むのは少々難しい。
まさか、「どこまで濡らしたら壊れるのか?」などの
実験を豪雨の中でやるわけにもいかないであろう。
実際に、そういう状況を何度か体験し、カメラ等が
浸水により動作不調になる等の、故障寸前の状況を
体験してこない限りは、限界点を知る事は難しい。
まあともかく、「安価である」「元が取れている」
「壊しても惜しく無い」「代替機材を所有している」
という多くの条件が揃う機材であれば、雨天専用
システムとしての要件を備えている事になるだろう。
![_c0032138_10594790.jpg]()
ちなみに、上写真で同じくEOS 30Dに装着している
レンズは、TAMRON AF70-300mm/f4-5.6 LD Macro
(572D)であるが、これは半故障品のジャンクであり、
購入価格は僅かに500円であった。
この手のジャンクレンズは、弱点回避の練習用途の
「ワンコイン・レッスン」の目的で買う事が多いが、
研究・練習後は、雨天専用システムとしてしまうのも
効果的だ、それこそ壊しても惜しく無いし、雨中で
使う事で、さらに弱点回避の練習とする事も可能だ。
![_c0032138_10595187.jpg]()
後、本システムでは、同等性能の予備システムを
併用していた、それは上写真の、SONY α700+
TAMRON Model 75D(冒頭写真レンズの異マウント版)
である。このように、予備システムを運用する事で
雨天使用後の不調(乾かさないと復帰しない)等に
備えていた訳である。
----
では、次の(2000年代)システム
![_c0032138_10595940.jpg]()
カメラは、KONICA MINOLA DiMAGE A2 (2/3型センサー機)
搭載レンズ、GT28-200mm(換算値)/f2.8-3.5
(カメラ中古購入価格 35,000円)
2000年代に使用した雨天専用システムの、その2。
こちらは2004年に発売されたロングズーム機であるが、
これも非防水機だ。
コンパクト・デジタル・クラッシックス第1回記事で
紹介済みなので、仕様等の詳細については割愛しよう。
![_c0032138_10595996.jpg]()
ただ、コンパクト機としては意外に高価な印象があると思う。それもその筈、本機は当時のKONICA MINOLTA
における新鋭技術を集約して作られた最高級機であり、
内蔵手ブレ補正、大型センサー、高描写力高倍率ズーム、
マクロモード、高解像度EVF、露出制御はフルスペック、
2ダイヤル操作系、テイルト式EVF&モニター、等の
当時のコンパクト機での最高性能を目指した高付加価値
型機であって、その定価は14万円程(かなり高価だ)
していたと記憶している。
では、そこまで高価な高級機を、何故雨天専用機に
してしまうのか? という話なのだが・・
まずは、雨天専用機にする以前の段階で、購入機材は、
入手価格分の元を取っておく必要がある。
その目安は、持論では「1枚3円の法則」を定義して
いる。すると本機では、12000枚程度の撮影が必須
となる。この時代のデジタル(コンパクト)カメラは
連写性能が低く、かつ、バッテリーの持ちも悪いので
1日の撮影で、100枚や200枚程度撮るのが精一杯だ。
それでもまあ、数年で本機の「減価償却」は終了した。
さて、ここからは消耗用機材として扱う事ができる。
減価償却中に気づいた本機の特性としては、弱点と
して「高コントラスト被写体に極めて弱い」という
要素があった。これはまあ、2000年代前半での
デジタル黎明期の機材であったから、技術的にまだ
未成熟の部分があるのはやむを得ない。
つまり、CCDセンサーや画像処理エンジンにおける、
ダイナミックレンジ再現性が低く、日中等での明暗差の
大きい被写体では、ヘロヘロの写りとなってしまうのだ。
当時は、デジタル一眼レフも普及しはじめた時代だが、
デジタル一眼の方は、センサーサイズが圧倒的に大きい
ので、Dレンジ的には優位点があった。したがって、
私は、高コントラスト被写体にはデジタル一眼レフを、
そうで無い場合には(例:曇天や雨天等)、価格の
安さや、ハンドリング性能の高さもあいまって、
デジタル・コンパクト機を持ち出す事が多くなった。
そうすると、コンパクト機では傘を差しながらでも
片手でカメラ操作や撮影が可能であり、おまけに
雨天で荷物が多いのは何かと大変なのだが、コンパクト
機ではそれも無い。
で、意外にも曇天や雨天における、(センサーサイズの
小さい)コンパクト機の写りは悪く無いではないか!
まあつまり、センサーサイズの大小は、当然ながら
描写性能に関与するのだが、小さいセンサーだからと
言って、常に描写力が劣る訳ではなく、そのセンサーの
特性や限界点を良く見極めて用いれば問題無い・・
という事実に、この時点で私は気づいていた。
![_c0032138_11000453.jpg]()
この時代より以降、デジカメの世界は「画素数競争」が
始まり、それは2000年代を通じて続く。
初級中級層は「画素数の大きいカメラ=良いカメラ」と
単純に思い込んだ。あるいはその時代、撮像センサーは
ピクセルピッチを年々狭め、すなわち画素数を高める
方向に基礎技術を発展させていた為、その研究開発投資の
元を取る為には、メーカーは「画素数の大きいカメラは
良く写る」という事を、市場に向かって繰り返し言い続け、
そういう高画素機を、より高価に、多数販売しようとした。
で、その概念は、当時、銀塩時代から転換したばかりで、
デジタルの原理が何もわかっていない一般ユーザーにも
容易に理解が出来た為、市場での全ユーザーに至る迄
「画素数が大きいカメラが欲しい」と、刷り込まれて
しまっていた訳だ。
だが、2010年頃になり、撮像センサーのピクセルピッチ
が4μmあたりとなると、もう製造プロセスそのものを
大変革しない限りは、それ以上画素数の大きなカメラ
(センサー)は、作れなくなってしまった。
だとすれば、センサーの面積を増やせば良い、
APS-C機に比べフルサイズ機は、およそセンサーサイズ
が2倍の面積を持つ、であれば、同じ画素ピッチで
あっても「画素数が2倍に増えました」となる訳だ。
だが、もうこの時代、多くのユーザー層はデジタルの原理
を分かり始めていた。よって、「むやみに画素数ばかり
増えても意味無いよ、そんなに大きくプリントしないし」
と、しごくまっとうな解釈をするユーザーも増えて来た。
そこで、メーカーおよび市場が当時から取った方策は
今度は「センサーの大きなカメラは良く写る、だから
フルサイズ機は画質が高く、よって高価なのだ!」
という論理を、ユーザーに押し付け、そう信じ込ませよう
とした訳だ。
その「刷り込み」は、ビギナー層に対しては成功した。
2012年、デジタル一眼レフの多くはフルサイズ化し、
2013年、SONYがミラーレス機をフルサイズ化した。
2018年からは、各社ミラーレス機もフルサイズ化し、
気がつくと、新鋭カメラの価格は50万円にも跳ね上がって
しまっていた(汗)まあ、安価な一眼レフやミラーレス機
では新品5万円程度で買えたのに、その10倍である(汗)
よって、上級層や中上級マニア層は、このからくりに
気づき「フルサイズだから良く写るなど、馬鹿馬鹿しい
話だ、それ位投資するならば、良いレンズを沢山買うよ」
という風に、高額すぎる新鋭機を敬遠する風潮が出て来た。
よって、現代において、高付加価値型の高額な新鋭機を
購入するのは、その殆どが、何も知らないビギナー層で
ある、という極めて不自然は市場状況となってしまった
訳だ。
![_c0032138_11000450.jpg]()
余談が長くなったが、これは重要な「歴史」である。
特に、メーカーや流通市場においては、カメラ市場が
これ以上縮退しないように(=スマホ等に押されているから)
と、様々な「付加価値」を常に創生しようとしていて、
それが良いものだ、とユーザーに新たな価値観を、思い
込ませる(刷り込む)努力を常に行っている。
まあ、戦国時代の例で言えば、天下統一が目前に迫った
信長や秀吉の時代では、功績のあった武将に与える
恩賞としての土地が、もう足りなくなってしまった為、
それに代わる他の付加価値として「茶器」に目をつけ
「この茶器は、日ノ本の国の半分ほどの価値がある!」
などという新たな価値観を創生しようとした訳だ。
形は違えど、現代において高画素機やフルサイズ機に
付加価値を創生する、という事は、茶器の話と類似だ。
ちなみに、今回の本機DiMAGE A2の写真は、全て
200万画素で撮っている。2000万画素では無くて、
その1/10だ!
ビギナー層は機会があれば、カメラの最低画素数で
撮影してみる事を強く推奨する。これは画素数が高い
カメラが良く写るカメラだ、という誤解を解く為だ。
(もう1つ理由がある。ベイヤー配列型センサーでは
補間演算処理により、最大画素数で撮影をすると解像感
が低下したり偽色が発生するリスクがあるからだ)
それを自分で試してみれば容易に気がつくであろう。
逆に言えば、そんな簡単な実験すら行わないならば、
趣味としての好奇心が欠けているのではなかろうか?
さて話は戻って2000年代前半、センサーサイズの極めて
小さい(1/2.3型とか、1/2.5型等)コンパクト機は、
大型センサー(APS-C等)の一眼レフに比べて、特定の
条件下(高輝度差被写体等のDレンジ不足)において
不利は否めなかった。だが、センサーが小さくても
被写体条件が、そのDレンジ等の性能要件に収まるので
あれば、描写力上での大きな弱点となるものでは無い。
(よって、常にRAWで撮影する必要も全く無く、本ブログ
では、全ての機材紹介のケースでJPEGで撮影し、撮影時
にJPEGでの48bitのDレンジを意識するようにしている)
この原理から、私は、当時のコンパクト機の「親分格」
とも言える、本機DiMAGE A2に着目した。
他のコンパクト機より圧倒的に大きなセンサーサイズ、
そして、事実、雨天や曇天での低コントラスト環境に
おける本機の発色の良さは特筆すべきであり、殆どの
コンパクト機に勝利できるのは勿論、当時の、初期
デジタル一眼レフをも上回っていた。
その理由の推測だが、MINOLTAは、その前年にKONICAと
合併したところであり、KONICAの持つ100年にもおよぶ
フィルム関連事情でつちかった「発色」や「色再現性」
というノウハウが、この時代のMINOLTA機(の画像処理
エンジン)に応用されたのだと思われる。
その根拠は、本機DiMAGE A2だけでは何とも言えない
と思われるが、私は当時2004年に発売されたKONICA
MINOLTA α-7 DIGITALも所有していて、その機体にも
同じ特徴を感じていたし、さらに言えば、その年発売の
およそ全メーカーのデジタル一眼レフも所有していた
(デジタル一眼レフ・クラッシックス各記事参照)
ので、他社機との比較も容易であった訳だ。
長くなってきたので総括であるが、すなわち本機
DiMAGE A2は、当時の技術的限界により、晴天時では
描写力が劣る課題を持っていたのだが、曇天または
雨天で使用すると、その時代ではトップレベルの
色再現性を誇った訳だ。
よって、他社機における色再現性が高くなる2009年
前後(デジタル一眼レフでの「第三世代」と、個人的
には定義している)までの期間では、本機DiMAGE A2
は「雨天最強機」として、数多くの雨天撮影に出動
した次第だ・・
----
では、次の(2010年代)雨天用システム
![_c0032138_11000900.jpg]()
レンズは、HD PENTAX-DA 18-50mm/f4-5.6 DC WR RE
(レンズ中古購入価格 16,000円)
カメラは、PENTAX K-30 (APS-C機)
(カメラ新古購入価格 21,980円)
レンズは、2015年に発売されたAPS-C機専用AF標準
ズームであるが、WR型番(Water Resistant)であるので、
簡易防滴仕様となっている。
カメラは、2012年発売の初級兼中級機だが、こちらも
簡易防滴仕様、すなわち、本システムはカメラもレンズ
も防水(簡易防滴)となっている訳だ。
![_c0032138_11000972.jpg]()
まず、本システムもトータルのコストが安価であり、
かつ、2010年代での実用的(高)性能になっている
点がポイントだ。
だが、別の理由もある。それは地球規模の大きな
話となるが、温暖化等を原因とした「異常気象」だ。
![_c0032138_11001527.jpg]()
2000年代、まだ天気予報の精度は、現代より僅かに
低かったとは思わるが、それでも既に、その撮影当日が
雨になるか否か?程度は事前に知る事は出来た。
で、雨の予報がある場合には、前述の「格安システム」
や「低コントラスト専用機」を持ち出して対応して
いた訳なのだが、たとえ雨となったとしても、まあ、
普通の雨天であり、それに危険性や恐怖心を感じる事は、
さほど無かったと思われる。
しかし、2010年ごろから、いわゆる「ゲリラ豪雨」
とか「集中豪雨」が頻繁に起こるようになり、天気予報
の精度が高くなったり、「雨雲レーダー」を出先等でも
確認できるようになったとしても、その反面、そうした
「異常気象」の完全な予測は難しい状況だ。
そして、実際にそうした「ゲリラ豪雨」等に見舞われて
しまうと、それまでの時代のような、大人しい雨天では
無く、一瞬で周囲が冠水してしまい、カメラどころか
身の危険すらも感じるようになっている。
こうした「ゲリラ豪雨」で、実際に何台かの非防水型
カメラが、一瞬で浸水して動作停止した事がある。
これは故障寸前の状態であり、ここで無理に電源を
入り切りさせると、水分で短絡(ショート)したりして
致命的な故障に至る危険性がある。なので、動作停止
あるいは動作不調になったカメラは、もう使用できない。
外部の水分をよくふきとったら、そのまま濡れないように
家に持ち帰り、最低1日から、長ければ3~4日も
そのまま自然乾燥させ、その後、電源を入れて動作を
確認、うまくいけば、直る(復帰)するケースも多い。
しかし、完全水没のような状態では、一部のカメラ機能が
復帰せず、やむなく廃棄処分としてしまった事もある。
![_c0032138_11001509.jpg]()
また、変わったケースでは、浸水してから乾燥させた
AFレンズだが、残念ながら復調せず、やむなく同型の
レンズを買い替え、故障レンズは、そのまま室内に飾って
おいた事がある。約2年後に知人が中古カメラを買ったが、
「交換レンズが無い」と言うので、その飾っておいた
レンズが同じマウントであった事を思い出し、なにげに
私のカメラに装着してみると、何と、完全に復活している
では無いか!
知人には「水没したレンズなので、いつまた動かなくなる
かは、わからないけど、とりあえずこれを使って」と、
それを無償で譲渡した。(後で、お礼の品を貰ったので、
ちょっと私には嬉しい取引となった)
まあ、ともかく浸水(水没)機材には、私も色々と
苦労していたのだ。で、2000年代では、非防水カメラ
でも、雨中で、のらりくらりとそれを使用し、なんとか
壊さずに使用できていたのだが、近年の異常気象は、
本当にいけない、それら浸水事故(故障)は、いずれも
2010年代に入ってからの出来事であったのだ。
なので、2010年代中頃から「天候耐性の強いカメラを
使わなくてはならないな」と真剣に意識するようになり
本システムを揃えた、という次第だ。
実際に本システムは、雨天のボート競技撮影等で、
何度も使用したが、さすがに故障した事は一度も無い。
![_c0032138_11001517.jpg]()
さらに言えば、本システムは、ズーミングの操作以外
は、全て片手で操作から撮影までをこなす事が出来る。
スーミングは、さほどズーム比も高くないし、撮影
する前に、ちょこちょこっと焦点距離を両手で調整
してしまえば、後は片手撮影が可能である。
なので「雨天においても傘を差しながら片手で撮れる」
という大きなメリットが生じる訳だ。
まあ、さしもの防塵防滴機システムであっても、
ゲリラ豪雨の中にさらしてしまったりしたら、さすがに
カメラもレンズも無傷では済まされない、浸水を防御
できる限界を超えて、故障してしまうであろう。
そういう「防水等級」等の性能は、仕様書等に数値が
書かれている場合もあるが、大事な事は、その仕様を
覚えるとかでは無く、「どの程度までならば大丈夫か?」
という経験値だ。私の経験値であれば、雨天であっても
傘を差した状態では、カメラが多少(だいぶ)濡れても
防滴(簡易防水)システムでは故障までには至らない。
だから「片手で撮影できる」事は、機器の故障リスク
を減らす意味でも、とても重要な事だ。
なお、雨天では、当然日照が暗い為、シャッター速度
ISO感度、自身の手ブレ限界、等をよく認識していない
と、片手ではブレブレになって撮れない。
なので、ビギナー層が簡単に出来る技法では無いので、
あまり参考にはならないかも知れないが、それを
目指して片手撮りの練習をする事は悪く無いと思う。
----
では、今回ラストの(2010年代)雨天用システム
![_c0032138_11001908.jpg]()
レンズは、TAMRON 100-400mm/f4.5-6.3 Di VC USD
(Model A035) (レンズ新古購入価格 62,000円)
カメラは、NIKON D500(APS-C機)
(カメラ中古購入価格 150,000円)
こちらは2010年代後半より使用している雨天用の
望遠システムである。
相当に高価なシステムだが、では、何故これが
雨天専用システムになり得るのか? という話だが・・
ボート競技の撮影では、雨になる場合がよくあるし、
しかも水上競技であるが故に、多少の雨でも競技は
続行される(選手は、どうせ濡れるのだから一緒だ)
その際、遠距離の競技撮影では、望遠システムが
どうしても必要なのだ。
そして、本システムは、レンズは簡易防滴(防水
パッキンを装備)であるし、カメラも天候耐性が高い。
だから、2010年代での「異常気象」においても、
これ位のレベルの天候耐性があれば、あとは経験値で
カメラを壊さずに済む、という話となる。
なお、ほぼ同等の性能のシステムを他に「晴天専用」
として組んであって、イベント等の当日の天気予報を
参考として、どちらの(雨天、晴天)システムを
出動させるかを決める訳だ。
![_c0032138_11002303.jpg]()
だがまあ、雨天での遠距離撮影は、上写真のように
雨粒がカーテンのように光線を邪魔し、非常に低い
コントラストの低画質な写真となる。
そこはやむを得ず、遠距離撮影を諦めて、近距離撮影
とするしか回避策は無い。(次の写真)
それから、銀塩時代から近年に至るまで、一部の
NIKON高級機では、電源スイッチやら露出補正やら
様々なダイヤル等に、全てロック機構がついていて
「両手で」それらのロックを外してあげないと、操作
が出来ない、という極めて重大な欠点を抱えていた。
これは、それらの高級機の設計コンセプト上の問題で
あって、勿論「誤操作を防ぐ為」という理由があるが、
上級層や職業写真家層にとっては、極めて迷惑な話で
あり、例えば、様々な理由や状況で、片手撮影をせざるを
得ないようなケースでは、それらNIKON高級機は撮影
不能となってしまい、重要な撮影機会を逃してしまう。
それらの高級機は、結局のところ、銀塩時代において
常に三脚を立てて撮影し、30分に1枚程度しか写真を
撮らないビギナー層に向けての安全機構であったとも
言える。つまりその時代から既に、主にビギナー層が
NIKON高級機の販売対象ターゲットであった訳だ。
あるいは設計者が様々な現実的(実践的)な撮影状況を
全く知らないままでカメラを設計していたのでは
なかろうか? という想像すらもできる。様々な操作性
や操作系の不出来が、その状況を暗示させているのだ。
そうであれば、「重量級の上級機を片手撮りで使う」
などの撮影技法は、完全に「想定外」であった可能性も
高い。
だが、片手撮りは決してイレギュラーな技法では無い。
そして、NIKON D500は上級機ながら、そうした誤操作
安全対策の為のロック機構が、殆どついていない。
D500でロックがあるのは、ドライブモードのダイヤル
のみだ。しかし、私はそれは常にCH(高速連写)で
使うので、触る事は無い。
つまり、D500は秒10コマの高速連写機であるから、
その特徴を最大に活用しようとすれば、天気が良くても
雨天であっても、常に高速連写としておくのが望ましい。
・・で、「撮りすぎる」という問題は、連写枚数を
状況に合わせてコントロールするので課題にならない。
D500では、1枚~200枚まで、一定の秒10コマで
連写が可能だ、レリーズを短時間で止めれば1~2枚
だけの撮影ができ、あるいは「間欠連写技法」を
用いれば、数枚ずつの必要なシーンだけを撮れる。
(注:これを、従来は「クラスター(集合体)連写」
技法と命名して呼んでいたのだが・・
近年のコロナ禍で「クラスターとは集団感染の事」と
いう解釈が、一般層に広まってしまったので、あまり
使いたくない用語となった)
あるいは、両手でカメラを操作する機会さえ作れば、
CL(低速連写)には、秒4~6コマの設定がしてあり、
かつ、マイメニューに低速連写速度設定をアサインして
いるので、状況によっては、そのレベルの中速連写に
(両手で)切り替えて使う事が簡便に出来る。
まあ、こういう技法が自在に使いこなせないビギナー層
では、高速連写機を使用すると、簡単に数千枚も撮って
しまって、埒があかない(編集や選別を行う気にも
なれなくなる)状況となる危険性が高い。
それと、秒6コマ程度の中速連写で良い状況であれば
D500の先祖とも言えるD300(2007年)を使用すれば、
だいたい事足りる。基本性能にも大差は無いし
おまけに現代では中古相場が2万円程度と、極めて
安価だ。だからD500以前にはD300を主力機として
いたのだが、この機体は「ISO感度を高めると
連写性能が著しく低下する」という重大な欠点を持ち、
暗所となる雨天での使用は、ISOを高めると連写が
殆ど出来なくなる為、雨天専用機には成り得ない。
![_c0032138_11002370.jpg]()
話がそれた・・(汗)
すなわちNIKON D500は、かろうじて片手操作が可能な
希少なNIKON上級機なのだ。
で、傘をさしながら(重量級の)この望遠システムを
片手で使う事も想定範囲内だ。
カメラとレンズで2kgを超える望遠システムで、
手ブレをしないで撮れるのか? そもそも構える事が
出来るのか? あるいは、持ち上げられるのか?
という疑問点については、「ほとんど無理だが、
全く出来ないという状態では無い」と述べておく。
まあ、「片手撮り」といっても完全に片手だけで撮る
訳でも無く、傘をさしながらで機器を軽くホールド
するという、片手撮りに近い両手撮りとなるケースが
多いと思う。
重量や重心バランスの件は、超望遠ズームでは、
重さとバランスの課題で、完全片手撮りは正直困難だ。
(参考:高倍率ズーム(500g前後)であれば楽勝だ)
重さについては、他分野での例であれば、劇画の
「GOLGO 13」では、約4kgの重さの銃を、デューク
東郷(ゴルゴ13)は、片手で常用している。
「それは漫画だから・・」と思うかも知れないが、
「アーマライトM16」(AR-15、銃の名称)は、実際の
様々な戦場で兵士達が長年使用してきた銃である、
片手撃ちくらいは日常的に行われていたであろう。
カメラシステムでは、その半分から1/3の重量だ。
ただまあ、機材の重心を支えられる場合と、そうで
無い場合は、体感的な重量はかなり変わる。
重たい望遠レンズを装着したカメラで、カメラ本体
のみのホールディングで、全体重量を支えるのは
相当に厳しい事は確かだ。
ちなみに、本システムでは片手撮りが可能とは言え、
回転式ズームリングであるから、ズーミング操作は
片手だけでは困難だ。なので前出のK-30+HD18-50の
システムと同様に、片手撮りがどうしても必要な
場合は、あらかじめズームリングを適正な画角に
(両手で)セットしてから、片手(右手)を主体に
撮影を行う(この時、左手を、傘を持ちながらで
レンズに添えておく事は可能ではあるが、カメラや
レンズ操作は殆ど出来ないであろう)
「被写体を見ずにズームの画角を決めれるのか?」
という話であるが、それを可能とする為に、
何百本もの単焦点レンズを何十年も使って、画角
感覚を身につけるように練習してきた訳だ。
ファインダーを見ながらズーミングをしていたら
どうしても非効率的な撮影になり、重要な撮影機会を
(モタモタして)逃してしまうかも知れない。
そうならないように、ファインダーを覗く前に、
あらかじめズーミング操作を済ませ、後はAFで
ピントを合わせれば、即時シャッターが切れる状況を
作り出しておく事が望ましい。
なお、この技法は「匠の写真用語辞典第12回記事」
の項目「構えながら設定を行う」「構える前にカメラ
設定を行う」で説明した事と、同等の概念である。
ズームであろうが単焦点であろうが、AFでもMFでも
晴天でも雨天でも、これは基本的な上級撮影技法だ。
後、手ブレについては、D500あるいは多くのNIKON、
CANON上級機には「AUTO ISO感度の低速限界シャッター
速度」の機能がある。これは上手く使えば、十分に
手ブレ補正機能の代用となる。ただしオーナー自身の
手ブレ限界値を、経験的・実践的に把握していないと
使えない機能であるので念のため。
![_c0032138_11002308.jpg]()
総括だが、本システムにおいては簡易防滴機構等で
天候耐性が高く、雨天等において問題無く使用できる。
また、重量級望遠システムながら、いざとなれば
傘をさしたままで片手撮影すら、ぎりぎりで出来る
というシステム上でのメリットも存在している。
様々な撮影技法は、それなりに高難易度なものも
あるが、これも多くは、雨中撮影の経験値に依存
するものだと思う。ちょっと雨が降っただけで、
すぐに高級機材を抱えて撤収してしまうようでは
雨中撮影でのスキルも経験値も何も身に付かない。
また、今回の記事で紹介した各システムには、各々
「雨天専用システムとなりうる理由」が存在し、
「それは状況によりけり」という点も、総括として
述べておく。別に、防水(防滴)機能があるカメラ
のみが雨中撮影に適性がある、という話では無いのだ。
----
さて、今回の第58回記事は、このあたり迄で・・
次回記事に続く。
記事ではあるが、今回は「補足編」とし、主旨を変えて、
「雨天専用システム」について紹介しよう。
これは読んで字のごとく、雨天(雨中)での使用を前提
としたシステムである。私の場合、この目的のシステムは
時代により異なっているが、今回の記事では、デジタル
時代2000年代、そして2010年代での雨天用システムを
それぞれ2組づつ紹介しよう。
なお、いずれも既紹介レンズ(カメラ)であるから、
今回の記事では、カメラやレンズ自体の特徴よりも、
どういう理由で、そのシステムが雨天専用となっているか
についてを主に解説していく。加えて「雨中撮影の際の
様々なノウハウ」についても紹介していこう。
----
まず、今回最初の(2000年代)システム

(レンズ中古購入価格 26,000円)
カメラは、CANON EOS 30D(APS-C機)
(カメラ中古購入価格 15,000円)
2000年代に使用した雨天専用システム、カメラも
レンズも非防水であるから、これは元々、天候耐性が
ある訳では無い。
このシステムを雨天専用とした理由であるが、最大の
ポイントは「安価な機材である」という理由だ。
型遅れのカメラとレンズは、中古相場が相当に安価
であり、濡らして仮に壊しても、大きな痛手は無い。

しているから、まあつまりこれらは「二軍」なのだ。
でも、これらは、かつては「一軍」として活躍した
システムである。特にレンズのAF200-400/5.6は
銀塩時代より長きに渡り使用して来た物であるから、
「十分に元が取れている」という判断となる。
ただ、注意しなくてはならない点は、マニア層の多くは
機材を非常に大事にする。それはそれで良い事ではあるが、
「これは長年愛用したレンズだから・・」と、あまりに
入れ込み(思い入れ)が強くなりすぎると、今度は逆に、
ラフな使用が出来なくなってしまうのだ。
だが、「消耗用システム」というのも重要な用途である。
厳しい環境で撮影をしなければならないケースが無い
ユーザーには、それは分かり難い概念なのかも知れない。
まあ、そういうユーザー層は、ぱらりと雨が降った程度で、
撮影をあきらめて撤収してしまうのだが、それは「軟弱だ」
と言うよりも、「厳しい環境において撮影する、責任や
必然性が無い」とか「撮影が楽しめないのであれば、
無理をして撮影する必要が無い」という感覚であり、
まあ、それらはユーザー毎の目的や状況によりけりだ。
しかし、良く書く話であるが、アマチュア層であっても
撮影旅行や撮影会といったイベント時に雨に降られる事も
あるだろうし、あるいは、家族や知人の出場・出演する
スポーツやイベントが雨に見舞われ、そうであっても
イベントが継続される以上、雨中での撮影が必須の場合
もありうる。だから、そういう雨中での撮影状況を
「想定」あるいは「経験」しておかないと、想定外の
未経験には上手く対応できず、気持ち(モチベーション)も
結果(写真)もヘロヘロになってしまう可能性が高い訳だ。
普段から、たとえ責任の無い趣味撮影であっても、
雨天での撮影を経験あるいは練習しておけば、いざと
言う時に慌てたり困る事は、さほど無いだろう。
「備えあれば憂い無し」「転ばぬ先の杖」等と故事や
ことわざにも言われる事は、あながち的外れでは無い。

おかなければならないのであれば、「消耗用システム」
を必ず意識しておかなければならない。
「無理をして、一番良いカメラとレンズを買ったよ」
というビギナー層が現代ではとても多いのだが、その
理由の1つとして、「自身のスキルに自信が無い為、
カメラやレンズの性能に頼らないと撮影が出来ない」
という不安要素がある点だ。
それは、多くのビギナー層から実際にヒヤリングした
結論でもあるし、あるいは一般的にも、たとえば
ビギナー層の機材評価の記事等では「AF性能が・・」
などと真剣に討議しているのだが、そもそもAF性能が
どうであっても、MFで撮れば、簡単に弱点を回避したり、
AF性能の良否は問題では無くなる。
だからAF性能の良し悪しは、機材評価上では重要な要素
では無いのだが・・(だから、本ブログでの機材評価は
AF関連の性能については、ほとんど述べる事がない)
つまり、ビギナー層では「そういう性能に頼らないと
MFなどではスキルが無く、撮りようがない」という
事実を端的に示しているのであろう。
で、したがってビギナー層は必ず高価な(高価すぎる)
システムを揃えてしまうのであるが、そういう状況では、
心理的にも、いかにもそういう高級機材を雨に濡らす
のは忍びない・・
まあ実際には、高級機材は、業務用途を想定している
設計であるから、一般に天候耐性に優れ、多少の雨とか
温度差等には対応できる。したがって、むしろ雨天の
撮影に高級機材は向くのだが、ビギナー層においては
「どこまでカメラやレンズを濡らしたら危険なのか?」
という経験則を持たない為、ぱらりと小雨が降った
だけで、大事な高額機材を抱えて撤収してしまうのだ。

まさか、「どこまで濡らしたら壊れるのか?」などの
実験を豪雨の中でやるわけにもいかないであろう。
実際に、そういう状況を何度か体験し、カメラ等が
浸水により動作不調になる等の、故障寸前の状況を
体験してこない限りは、限界点を知る事は難しい。
まあともかく、「安価である」「元が取れている」
「壊しても惜しく無い」「代替機材を所有している」
という多くの条件が揃う機材であれば、雨天専用
システムとしての要件を備えている事になるだろう。

レンズは、TAMRON AF70-300mm/f4-5.6 LD Macro
(572D)であるが、これは半故障品のジャンクであり、
購入価格は僅かに500円であった。
この手のジャンクレンズは、弱点回避の練習用途の
「ワンコイン・レッスン」の目的で買う事が多いが、
研究・練習後は、雨天専用システムとしてしまうのも
効果的だ、それこそ壊しても惜しく無いし、雨中で
使う事で、さらに弱点回避の練習とする事も可能だ。

併用していた、それは上写真の、SONY α700+
TAMRON Model 75D(冒頭写真レンズの異マウント版)
である。このように、予備システムを運用する事で
雨天使用後の不調(乾かさないと復帰しない)等に
備えていた訳である。
----
では、次の(2000年代)システム

搭載レンズ、GT28-200mm(換算値)/f2.8-3.5
(カメラ中古購入価格 35,000円)
2000年代に使用した雨天専用システムの、その2。
こちらは2004年に発売されたロングズーム機であるが、
これも非防水機だ。
コンパクト・デジタル・クラッシックス第1回記事で
紹介済みなので、仕様等の詳細については割愛しよう。

における新鋭技術を集約して作られた最高級機であり、
内蔵手ブレ補正、大型センサー、高描写力高倍率ズーム、
マクロモード、高解像度EVF、露出制御はフルスペック、
2ダイヤル操作系、テイルト式EVF&モニター、等の
当時のコンパクト機での最高性能を目指した高付加価値
型機であって、その定価は14万円程(かなり高価だ)
していたと記憶している。
では、そこまで高価な高級機を、何故雨天専用機に
してしまうのか? という話なのだが・・
まずは、雨天専用機にする以前の段階で、購入機材は、
入手価格分の元を取っておく必要がある。
その目安は、持論では「1枚3円の法則」を定義して
いる。すると本機では、12000枚程度の撮影が必須
となる。この時代のデジタル(コンパクト)カメラは
連写性能が低く、かつ、バッテリーの持ちも悪いので
1日の撮影で、100枚や200枚程度撮るのが精一杯だ。
それでもまあ、数年で本機の「減価償却」は終了した。
さて、ここからは消耗用機材として扱う事ができる。
減価償却中に気づいた本機の特性としては、弱点と
して「高コントラスト被写体に極めて弱い」という
要素があった。これはまあ、2000年代前半での
デジタル黎明期の機材であったから、技術的にまだ
未成熟の部分があるのはやむを得ない。
つまり、CCDセンサーや画像処理エンジンにおける、
ダイナミックレンジ再現性が低く、日中等での明暗差の
大きい被写体では、ヘロヘロの写りとなってしまうのだ。
当時は、デジタル一眼レフも普及しはじめた時代だが、
デジタル一眼の方は、センサーサイズが圧倒的に大きい
ので、Dレンジ的には優位点があった。したがって、
私は、高コントラスト被写体にはデジタル一眼レフを、
そうで無い場合には(例:曇天や雨天等)、価格の
安さや、ハンドリング性能の高さもあいまって、
デジタル・コンパクト機を持ち出す事が多くなった。
そうすると、コンパクト機では傘を差しながらでも
片手でカメラ操作や撮影が可能であり、おまけに
雨天で荷物が多いのは何かと大変なのだが、コンパクト
機ではそれも無い。
で、意外にも曇天や雨天における、(センサーサイズの
小さい)コンパクト機の写りは悪く無いではないか!
まあつまり、センサーサイズの大小は、当然ながら
描写性能に関与するのだが、小さいセンサーだからと
言って、常に描写力が劣る訳ではなく、そのセンサーの
特性や限界点を良く見極めて用いれば問題無い・・
という事実に、この時点で私は気づいていた。

始まり、それは2000年代を通じて続く。
初級中級層は「画素数の大きいカメラ=良いカメラ」と
単純に思い込んだ。あるいはその時代、撮像センサーは
ピクセルピッチを年々狭め、すなわち画素数を高める
方向に基礎技術を発展させていた為、その研究開発投資の
元を取る為には、メーカーは「画素数の大きいカメラは
良く写る」という事を、市場に向かって繰り返し言い続け、
そういう高画素機を、より高価に、多数販売しようとした。
で、その概念は、当時、銀塩時代から転換したばかりで、
デジタルの原理が何もわかっていない一般ユーザーにも
容易に理解が出来た為、市場での全ユーザーに至る迄
「画素数が大きいカメラが欲しい」と、刷り込まれて
しまっていた訳だ。
だが、2010年頃になり、撮像センサーのピクセルピッチ
が4μmあたりとなると、もう製造プロセスそのものを
大変革しない限りは、それ以上画素数の大きなカメラ
(センサー)は、作れなくなってしまった。
だとすれば、センサーの面積を増やせば良い、
APS-C機に比べフルサイズ機は、およそセンサーサイズ
が2倍の面積を持つ、であれば、同じ画素ピッチで
あっても「画素数が2倍に増えました」となる訳だ。
だが、もうこの時代、多くのユーザー層はデジタルの原理
を分かり始めていた。よって、「むやみに画素数ばかり
増えても意味無いよ、そんなに大きくプリントしないし」
と、しごくまっとうな解釈をするユーザーも増えて来た。
そこで、メーカーおよび市場が当時から取った方策は
今度は「センサーの大きなカメラは良く写る、だから
フルサイズ機は画質が高く、よって高価なのだ!」
という論理を、ユーザーに押し付け、そう信じ込ませよう
とした訳だ。
その「刷り込み」は、ビギナー層に対しては成功した。
2012年、デジタル一眼レフの多くはフルサイズ化し、
2013年、SONYがミラーレス機をフルサイズ化した。
2018年からは、各社ミラーレス機もフルサイズ化し、
気がつくと、新鋭カメラの価格は50万円にも跳ね上がって
しまっていた(汗)まあ、安価な一眼レフやミラーレス機
では新品5万円程度で買えたのに、その10倍である(汗)
よって、上級層や中上級マニア層は、このからくりに
気づき「フルサイズだから良く写るなど、馬鹿馬鹿しい
話だ、それ位投資するならば、良いレンズを沢山買うよ」
という風に、高額すぎる新鋭機を敬遠する風潮が出て来た。
よって、現代において、高付加価値型の高額な新鋭機を
購入するのは、その殆どが、何も知らないビギナー層で
ある、という極めて不自然は市場状況となってしまった
訳だ。

特に、メーカーや流通市場においては、カメラ市場が
これ以上縮退しないように(=スマホ等に押されているから)
と、様々な「付加価値」を常に創生しようとしていて、
それが良いものだ、とユーザーに新たな価値観を、思い
込ませる(刷り込む)努力を常に行っている。
まあ、戦国時代の例で言えば、天下統一が目前に迫った
信長や秀吉の時代では、功績のあった武将に与える
恩賞としての土地が、もう足りなくなってしまった為、
それに代わる他の付加価値として「茶器」に目をつけ
「この茶器は、日ノ本の国の半分ほどの価値がある!」
などという新たな価値観を創生しようとした訳だ。
形は違えど、現代において高画素機やフルサイズ機に
付加価値を創生する、という事は、茶器の話と類似だ。
ちなみに、今回の本機DiMAGE A2の写真は、全て
200万画素で撮っている。2000万画素では無くて、
その1/10だ!
ビギナー層は機会があれば、カメラの最低画素数で
撮影してみる事を強く推奨する。これは画素数が高い
カメラが良く写るカメラだ、という誤解を解く為だ。
(もう1つ理由がある。ベイヤー配列型センサーでは
補間演算処理により、最大画素数で撮影をすると解像感
が低下したり偽色が発生するリスクがあるからだ)
それを自分で試してみれば容易に気がつくであろう。
逆に言えば、そんな簡単な実験すら行わないならば、
趣味としての好奇心が欠けているのではなかろうか?
さて話は戻って2000年代前半、センサーサイズの極めて
小さい(1/2.3型とか、1/2.5型等)コンパクト機は、
大型センサー(APS-C等)の一眼レフに比べて、特定の
条件下(高輝度差被写体等のDレンジ不足)において
不利は否めなかった。だが、センサーが小さくても
被写体条件が、そのDレンジ等の性能要件に収まるので
あれば、描写力上での大きな弱点となるものでは無い。
(よって、常にRAWで撮影する必要も全く無く、本ブログ
では、全ての機材紹介のケースでJPEGで撮影し、撮影時
にJPEGでの48bitのDレンジを意識するようにしている)
この原理から、私は、当時のコンパクト機の「親分格」
とも言える、本機DiMAGE A2に着目した。
他のコンパクト機より圧倒的に大きなセンサーサイズ、
そして、事実、雨天や曇天での低コントラスト環境に
おける本機の発色の良さは特筆すべきであり、殆どの
コンパクト機に勝利できるのは勿論、当時の、初期
デジタル一眼レフをも上回っていた。
その理由の推測だが、MINOLTAは、その前年にKONICAと
合併したところであり、KONICAの持つ100年にもおよぶ
フィルム関連事情でつちかった「発色」や「色再現性」
というノウハウが、この時代のMINOLTA機(の画像処理
エンジン)に応用されたのだと思われる。
その根拠は、本機DiMAGE A2だけでは何とも言えない
と思われるが、私は当時2004年に発売されたKONICA
MINOLTA α-7 DIGITALも所有していて、その機体にも
同じ特徴を感じていたし、さらに言えば、その年発売の
およそ全メーカーのデジタル一眼レフも所有していた
(デジタル一眼レフ・クラッシックス各記事参照)
ので、他社機との比較も容易であった訳だ。
長くなってきたので総括であるが、すなわち本機
DiMAGE A2は、当時の技術的限界により、晴天時では
描写力が劣る課題を持っていたのだが、曇天または
雨天で使用すると、その時代ではトップレベルの
色再現性を誇った訳だ。
よって、他社機における色再現性が高くなる2009年
前後(デジタル一眼レフでの「第三世代」と、個人的
には定義している)までの期間では、本機DiMAGE A2
は「雨天最強機」として、数多くの雨天撮影に出動
した次第だ・・
----
では、次の(2010年代)雨天用システム

(レンズ中古購入価格 16,000円)
カメラは、PENTAX K-30 (APS-C機)
(カメラ新古購入価格 21,980円)
レンズは、2015年に発売されたAPS-C機専用AF標準
ズームであるが、WR型番(Water Resistant)であるので、
簡易防滴仕様となっている。
カメラは、2012年発売の初級兼中級機だが、こちらも
簡易防滴仕様、すなわち、本システムはカメラもレンズ
も防水(簡易防滴)となっている訳だ。

かつ、2010年代での実用的(高)性能になっている
点がポイントだ。
だが、別の理由もある。それは地球規模の大きな
話となるが、温暖化等を原因とした「異常気象」だ。

低かったとは思わるが、それでも既に、その撮影当日が
雨になるか否か?程度は事前に知る事は出来た。
で、雨の予報がある場合には、前述の「格安システム」
や「低コントラスト専用機」を持ち出して対応して
いた訳なのだが、たとえ雨となったとしても、まあ、
普通の雨天であり、それに危険性や恐怖心を感じる事は、
さほど無かったと思われる。
しかし、2010年ごろから、いわゆる「ゲリラ豪雨」
とか「集中豪雨」が頻繁に起こるようになり、天気予報
の精度が高くなったり、「雨雲レーダー」を出先等でも
確認できるようになったとしても、その反面、そうした
「異常気象」の完全な予測は難しい状況だ。
そして、実際にそうした「ゲリラ豪雨」等に見舞われて
しまうと、それまでの時代のような、大人しい雨天では
無く、一瞬で周囲が冠水してしまい、カメラどころか
身の危険すらも感じるようになっている。
こうした「ゲリラ豪雨」で、実際に何台かの非防水型
カメラが、一瞬で浸水して動作停止した事がある。
これは故障寸前の状態であり、ここで無理に電源を
入り切りさせると、水分で短絡(ショート)したりして
致命的な故障に至る危険性がある。なので、動作停止
あるいは動作不調になったカメラは、もう使用できない。
外部の水分をよくふきとったら、そのまま濡れないように
家に持ち帰り、最低1日から、長ければ3~4日も
そのまま自然乾燥させ、その後、電源を入れて動作を
確認、うまくいけば、直る(復帰)するケースも多い。
しかし、完全水没のような状態では、一部のカメラ機能が
復帰せず、やむなく廃棄処分としてしまった事もある。

AFレンズだが、残念ながら復調せず、やむなく同型の
レンズを買い替え、故障レンズは、そのまま室内に飾って
おいた事がある。約2年後に知人が中古カメラを買ったが、
「交換レンズが無い」と言うので、その飾っておいた
レンズが同じマウントであった事を思い出し、なにげに
私のカメラに装着してみると、何と、完全に復活している
では無いか!
知人には「水没したレンズなので、いつまた動かなくなる
かは、わからないけど、とりあえずこれを使って」と、
それを無償で譲渡した。(後で、お礼の品を貰ったので、
ちょっと私には嬉しい取引となった)
まあ、ともかく浸水(水没)機材には、私も色々と
苦労していたのだ。で、2000年代では、非防水カメラ
でも、雨中で、のらりくらりとそれを使用し、なんとか
壊さずに使用できていたのだが、近年の異常気象は、
本当にいけない、それら浸水事故(故障)は、いずれも
2010年代に入ってからの出来事であったのだ。
なので、2010年代中頃から「天候耐性の強いカメラを
使わなくてはならないな」と真剣に意識するようになり
本システムを揃えた、という次第だ。
実際に本システムは、雨天のボート競技撮影等で、
何度も使用したが、さすがに故障した事は一度も無い。

は、全て片手で操作から撮影までをこなす事が出来る。
スーミングは、さほどズーム比も高くないし、撮影
する前に、ちょこちょこっと焦点距離を両手で調整
してしまえば、後は片手撮影が可能である。
なので「雨天においても傘を差しながら片手で撮れる」
という大きなメリットが生じる訳だ。
まあ、さしもの防塵防滴機システムであっても、
ゲリラ豪雨の中にさらしてしまったりしたら、さすがに
カメラもレンズも無傷では済まされない、浸水を防御
できる限界を超えて、故障してしまうであろう。
そういう「防水等級」等の性能は、仕様書等に数値が
書かれている場合もあるが、大事な事は、その仕様を
覚えるとかでは無く、「どの程度までならば大丈夫か?」
という経験値だ。私の経験値であれば、雨天であっても
傘を差した状態では、カメラが多少(だいぶ)濡れても
防滴(簡易防水)システムでは故障までには至らない。
だから「片手で撮影できる」事は、機器の故障リスク
を減らす意味でも、とても重要な事だ。
なお、雨天では、当然日照が暗い為、シャッター速度
ISO感度、自身の手ブレ限界、等をよく認識していない
と、片手ではブレブレになって撮れない。
なので、ビギナー層が簡単に出来る技法では無いので、
あまり参考にはならないかも知れないが、それを
目指して片手撮りの練習をする事は悪く無いと思う。
----
では、今回ラストの(2010年代)雨天用システム

(Model A035) (レンズ新古購入価格 62,000円)
カメラは、NIKON D500(APS-C機)
(カメラ中古購入価格 150,000円)
こちらは2010年代後半より使用している雨天用の
望遠システムである。
相当に高価なシステムだが、では、何故これが
雨天専用システムになり得るのか? という話だが・・
ボート競技の撮影では、雨になる場合がよくあるし、
しかも水上競技であるが故に、多少の雨でも競技は
続行される(選手は、どうせ濡れるのだから一緒だ)
その際、遠距離の競技撮影では、望遠システムが
どうしても必要なのだ。
そして、本システムは、レンズは簡易防滴(防水
パッキンを装備)であるし、カメラも天候耐性が高い。
だから、2010年代での「異常気象」においても、
これ位のレベルの天候耐性があれば、あとは経験値で
カメラを壊さずに済む、という話となる。
なお、ほぼ同等の性能のシステムを他に「晴天専用」
として組んであって、イベント等の当日の天気予報を
参考として、どちらの(雨天、晴天)システムを
出動させるかを決める訳だ。

雨粒がカーテンのように光線を邪魔し、非常に低い
コントラストの低画質な写真となる。
そこはやむを得ず、遠距離撮影を諦めて、近距離撮影
とするしか回避策は無い。(次の写真)
それから、銀塩時代から近年に至るまで、一部の
NIKON高級機では、電源スイッチやら露出補正やら
様々なダイヤル等に、全てロック機構がついていて
「両手で」それらのロックを外してあげないと、操作
が出来ない、という極めて重大な欠点を抱えていた。
これは、それらの高級機の設計コンセプト上の問題で
あって、勿論「誤操作を防ぐ為」という理由があるが、
上級層や職業写真家層にとっては、極めて迷惑な話で
あり、例えば、様々な理由や状況で、片手撮影をせざるを
得ないようなケースでは、それらNIKON高級機は撮影
不能となってしまい、重要な撮影機会を逃してしまう。
それらの高級機は、結局のところ、銀塩時代において
常に三脚を立てて撮影し、30分に1枚程度しか写真を
撮らないビギナー層に向けての安全機構であったとも
言える。つまりその時代から既に、主にビギナー層が
NIKON高級機の販売対象ターゲットであった訳だ。
あるいは設計者が様々な現実的(実践的)な撮影状況を
全く知らないままでカメラを設計していたのでは
なかろうか? という想像すらもできる。様々な操作性
や操作系の不出来が、その状況を暗示させているのだ。
そうであれば、「重量級の上級機を片手撮りで使う」
などの撮影技法は、完全に「想定外」であった可能性も
高い。
だが、片手撮りは決してイレギュラーな技法では無い。
そして、NIKON D500は上級機ながら、そうした誤操作
安全対策の為のロック機構が、殆どついていない。
D500でロックがあるのは、ドライブモードのダイヤル
のみだ。しかし、私はそれは常にCH(高速連写)で
使うので、触る事は無い。
つまり、D500は秒10コマの高速連写機であるから、
その特徴を最大に活用しようとすれば、天気が良くても
雨天であっても、常に高速連写としておくのが望ましい。
・・で、「撮りすぎる」という問題は、連写枚数を
状況に合わせてコントロールするので課題にならない。
D500では、1枚~200枚まで、一定の秒10コマで
連写が可能だ、レリーズを短時間で止めれば1~2枚
だけの撮影ができ、あるいは「間欠連写技法」を
用いれば、数枚ずつの必要なシーンだけを撮れる。
(注:これを、従来は「クラスター(集合体)連写」
技法と命名して呼んでいたのだが・・
近年のコロナ禍で「クラスターとは集団感染の事」と
いう解釈が、一般層に広まってしまったので、あまり
使いたくない用語となった)
あるいは、両手でカメラを操作する機会さえ作れば、
CL(低速連写)には、秒4~6コマの設定がしてあり、
かつ、マイメニューに低速連写速度設定をアサインして
いるので、状況によっては、そのレベルの中速連写に
(両手で)切り替えて使う事が簡便に出来る。
まあ、こういう技法が自在に使いこなせないビギナー層
では、高速連写機を使用すると、簡単に数千枚も撮って
しまって、埒があかない(編集や選別を行う気にも
なれなくなる)状況となる危険性が高い。
それと、秒6コマ程度の中速連写で良い状況であれば
D500の先祖とも言えるD300(2007年)を使用すれば、
だいたい事足りる。基本性能にも大差は無いし
おまけに現代では中古相場が2万円程度と、極めて
安価だ。だからD500以前にはD300を主力機として
いたのだが、この機体は「ISO感度を高めると
連写性能が著しく低下する」という重大な欠点を持ち、
暗所となる雨天での使用は、ISOを高めると連写が
殆ど出来なくなる為、雨天専用機には成り得ない。

すなわちNIKON D500は、かろうじて片手操作が可能な
希少なNIKON上級機なのだ。
で、傘をさしながら(重量級の)この望遠システムを
片手で使う事も想定範囲内だ。
カメラとレンズで2kgを超える望遠システムで、
手ブレをしないで撮れるのか? そもそも構える事が
出来るのか? あるいは、持ち上げられるのか?
という疑問点については、「ほとんど無理だが、
全く出来ないという状態では無い」と述べておく。
まあ、「片手撮り」といっても完全に片手だけで撮る
訳でも無く、傘をさしながらで機器を軽くホールド
するという、片手撮りに近い両手撮りとなるケースが
多いと思う。
重量や重心バランスの件は、超望遠ズームでは、
重さとバランスの課題で、完全片手撮りは正直困難だ。
(参考:高倍率ズーム(500g前後)であれば楽勝だ)
重さについては、他分野での例であれば、劇画の
「GOLGO 13」では、約4kgの重さの銃を、デューク
東郷(ゴルゴ13)は、片手で常用している。
「それは漫画だから・・」と思うかも知れないが、
「アーマライトM16」(AR-15、銃の名称)は、実際の
様々な戦場で兵士達が長年使用してきた銃である、
片手撃ちくらいは日常的に行われていたであろう。
カメラシステムでは、その半分から1/3の重量だ。
ただまあ、機材の重心を支えられる場合と、そうで
無い場合は、体感的な重量はかなり変わる。
重たい望遠レンズを装着したカメラで、カメラ本体
のみのホールディングで、全体重量を支えるのは
相当に厳しい事は確かだ。
ちなみに、本システムでは片手撮りが可能とは言え、
回転式ズームリングであるから、ズーミング操作は
片手だけでは困難だ。なので前出のK-30+HD18-50の
システムと同様に、片手撮りがどうしても必要な
場合は、あらかじめズームリングを適正な画角に
(両手で)セットしてから、片手(右手)を主体に
撮影を行う(この時、左手を、傘を持ちながらで
レンズに添えておく事は可能ではあるが、カメラや
レンズ操作は殆ど出来ないであろう)
「被写体を見ずにズームの画角を決めれるのか?」
という話であるが、それを可能とする為に、
何百本もの単焦点レンズを何十年も使って、画角
感覚を身につけるように練習してきた訳だ。
ファインダーを見ながらズーミングをしていたら
どうしても非効率的な撮影になり、重要な撮影機会を
(モタモタして)逃してしまうかも知れない。
そうならないように、ファインダーを覗く前に、
あらかじめズーミング操作を済ませ、後はAFで
ピントを合わせれば、即時シャッターが切れる状況を
作り出しておく事が望ましい。
なお、この技法は「匠の写真用語辞典第12回記事」
の項目「構えながら設定を行う」「構える前にカメラ
設定を行う」で説明した事と、同等の概念である。
ズームであろうが単焦点であろうが、AFでもMFでも
晴天でも雨天でも、これは基本的な上級撮影技法だ。
後、手ブレについては、D500あるいは多くのNIKON、
CANON上級機には「AUTO ISO感度の低速限界シャッター
速度」の機能がある。これは上手く使えば、十分に
手ブレ補正機能の代用となる。ただしオーナー自身の
手ブレ限界値を、経験的・実践的に把握していないと
使えない機能であるので念のため。

天候耐性が高く、雨天等において問題無く使用できる。
また、重量級望遠システムながら、いざとなれば
傘をさしたままで片手撮影すら、ぎりぎりで出来る
というシステム上でのメリットも存在している。
様々な撮影技法は、それなりに高難易度なものも
あるが、これも多くは、雨中撮影の経験値に依存
するものだと思う。ちょっと雨が降っただけで、
すぐに高級機材を抱えて撤収してしまうようでは
雨中撮影でのスキルも経験値も何も身に付かない。
また、今回の記事で紹介した各システムには、各々
「雨天専用システムとなりうる理由」が存在し、
「それは状況によりけり」という点も、総括として
述べておく。別に、防水(防滴)機能があるカメラ
のみが雨中撮影に適性がある、という話では無いのだ。
----
さて、今回の第58回記事は、このあたり迄で・・
次回記事に続く。