最強のマクロレンズを決定するシリーズ記事。
今回は「中望遠マクロ」カテゴリーの予選第2組
とする。
「中望遠マクロ」とは、実焦点距離または換算
焦点距離が、70mm以上で110mm未満のマクロ
または準マクロレンズ、と定義している。
(注:一部例外あり)
今回は紹介(対戦)本数が多いので、各レンズ
あたりの実写掲載数は少な目とする。
その他、本シリーズ記事のルール等については、
本シリーズ第1回記事冒頭を参照の事。
では早速、中望遠マクロの予選(2)を始めよう。
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まずは最初の中望遠マクロレンズ。
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レンズ名:SIGMA (AF) MACRO 105mm/f2.8 EX DG
レンズ購入価格:25,000円(中古)(以下、EX105/2.8)
使用カメラ:NIKON Df (フルサイズ機)
2004年に発売されたフルサイズ対応AF等倍マクロ。
例によって、古い時代のSIGMA製のレンズは、
あまり情報が残っておらず、その多くが、正式な
型番(機種名)が不明である。
実際のレンズ上での記載を参考にしようにも、
EXとかMACROとか、部分的な型番が様々な位置に
順不同で書かれているだけなので、まあ、あまり
ここで記載している型番の厳密性は無い。
ただまあ、本レンズには、後継型の現行製品があり
それが「MACRO 105mm F2.8 EX DG OS HSM」
であるから、そこからOSとHSMを抜いたものが
妥当な製品名であろう。
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TAMRON SP90/2.8と並ぶ高性能マクロであり、
特に2000年代の本EX DG(のみの)バージョンは
コスパが良く、マクロレンズとして不要な機能
(手ブレ補正 OSや、超音波モーター HSM)を
搭載していない為、むしろそれがメリットとなる。
(超音波モーターは、不要どころか、MF操作性を
低める弊害があるので、マクロの場合は不利だ)
・・よって、本レンズは利便性が高く、主力マクロ
レンズとして、異マウントで2本所有している。
使いこなしとしては、AFで近接から遠距離までを
行ったり来たりするような撮影スタイルの場合は、
それではAF駆動が遅くてかったるいから、MFに特化
するか、又は(Focus) LIMIT SWを駆使するか?
だが、後者はむしろ被写体汎用性が失われてしまい、
うっとうしい。まあ、「MF特化」が潔いであろう。
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EX DG (MACRO)シリーズは、2013年頃のSIGMAでの
ラインナップ統合により、EX50/2.8やEX70/2.8
がディスコン(=Discontinued、生産終了)となった
のだが、本EX105/2.8だけは、その直前(2011年)
に「OS HSM」で高付加価値化されていた為、
「その他」のカテゴリーとして生き残れる事と
なった。
まあつまり、SIGMAとしても「最も重要な(主力の)
マクロレンズ」という扱いであったのであろう。
ちなみに、OS HSM版と、ほぼ同時期(2011年)に発売
されたMACROに「SIGMA APO MACRO 150mm/f2.8
EX DG OS HSM」(レンズ・マニアックス第46回記事)
があるが、2010年代末には生産完了となっている。
105mm/F2.8 OS HSM版以降のSIGMAの新型マクロは、
2018年に発売された、ART Lineでの70mm/F2.8
Macroがある。(次回記事で紹介予定)
すなわち、2010年代でのSIGMAのマクロの新機種の
発売は、さほど多くは無い訳で、あまりマクロに
力を入れているようには見られないが、その状況でも、
本EX105/2.8の後継のOS HSM版は、生産が継続され
ていた訳だ。ここもつまりSIGMAでの105mm/F2.8
系列の重要性が見て取れる。
(注:2020年には、ミラーレス機用版が追加。
これはART LINEとして分類されている)
まあつまり、本EX105/2.8は、あれこれと考えたり、
迷ったりせず、適価の中古品(1万円台)を見つけたら、
無条件で購入する選択も、決して悪くは無い。
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では、次のマクロレンズ。
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レンズ名:TAMRON SP AF 90mm/f2.8 MACRO [1:1]
(Model 172E)
レンズ購入価格:20,000円(中古)(以下、172E)
使用カメラ:PENTAX K-5 (APS-C機)
1999年発売のAF中望遠等倍マクロレンズ。
いわずと知れたTAMRON 90 MACROのシリーズでの
AF/F2.8版の二代目である。
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前モデル72E型(1996年)(又はMFの72B型)から、
「MACRO[1:1]」という正式名称が付いている。
(それ以前は、MACRO銘なしで、最大1/2倍だ)
72E型と172E型は、外観デザインが僅かに異なる
のと、NIKON(F)/CANON(EF)マウント版においては
レンズ前部のフォーカスリングをスライドする事
でのAFとMFの切換が、172E型では「1発で済む」
ようになった事、の差異がある。
これはつまり、72E型、あるいは172E型で
あってもPENTAX K版やMINOLTA(SONY)α版では、
AFとMFの切換は、レンズ側とカメラ本体側とでの
両者の操作を要求される場合があり、これは
あまり操作性が良く無い、という状態である。
しかしながら、1990年代あるいは続く2000年代
での、AF/デジタル一眼レフのAF性能(精度・速度)
は、近接撮影での被写界深度が浅い状態、または
無限遠ピント距離から、最短撮影距離までの長い
距離を動くマクロレンズでの、AFの精度・速度は
いずれも不満なレベル(場合により実用範囲以下)
の性能でしか無い。
よって、いっそMFに特化して撮った方が潔いし、
あるいは実際にも「効率的」であるので、この
172E型での、AF/MFの切換の改良は、どうでも良い
とも言えるし、そもそも私が保有している
172E型は、その改善が施されていないPENTAX用
とα用の2本なので、ますますどうでも良い話だ。
近接撮影を中心とするならば、最初から常にMFで
使う訳であり、頻繁にMFとAFを切り替えて使う
状況は、あまり想定しにくい。
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総括だが、この172E型あるいはDi仕様の272E型は、
前述のEX105/2.8と並んで、高性能で高コスパで
あるので、中古市場で安価な(1万円台)ものを
見つけたら、何も考えずに買ってしまっても良い
であろう。
ちなみに、「何も考えずに」とか「迷わずに」と
言っている意味だが、前述のSIGMA EX105/2.8も、
TAMRON SP90/2.8の172E/272E型も、それ以降の
後継型では、超音波モーターが搭載されていて、
マクロレンズとしての使いこなしには、若干の
弊害が出ていると思われるので、この時代のものを
「迷わずに」買ってしまうのが良い、という意味だ。
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では、3本目のマクロレンズ。
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レンズ名:KONICA MACRO HEXANON AR 105mm/f4
レンズ購入価格:9,000円(中古)(以下、AR105/4)
使用カメラ:Panasonic DMC-G1 (μ4/3機)
詳細不明、恐らくは1970年代~1980年代くらいの、
MF特殊マクロレンズ。
「特殊」というのは、本レンズは、一般的には
「ベローズマクロ」と呼ばれる、かなり「大げさ」
なシステムである事だ。
ベローズとは、蛇腹または延長用鏡筒を別途追加し
撮影倍率を上げられる部品を指し、主に学術用や
専門的分野での、特殊な近接撮影を行うものだ。
撮影倍率は、その当時(1970年代頃)の一般的な
マクロレンズが、最大1/2倍程度で留まっていた
状況に対し、こうしたベローズマクロでは、数倍
から十数倍という高い撮影倍率を得る事が出来る。
本AR105/4の場合は、実測での概算だが、最大
3倍強程度の撮影倍率が得られる。
(例:35mm判フィルム使用時、3倍マクロの場合
撮影範囲は12mm x 8mmと、およそ「パチンコ玉」
大のサイズとなる)
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本来であれば、室内利用で、かつ三脚の使用が必須
ではあるが、本ブログでは一般的な撮影条件では
「三脚使用を一切行わない」という方針である為、
このベローズシステムでも、複雑な構成部品から
その多くを取り外してダイエットし、なんとか屋外
手持ち撮影を可能とする状態にして撮影を行う。
非常に特殊なシステムで、レア物であるから、
あまり詳細な説明は省略しておく。今更、これを
無理して探す必要性も、まるで無いからである。
レア物にしては、比較的安価な中古相場であったのは
これを販売する中古店側においても、「実用価値が
全く無い」と想定したからであろう。
店「こんな変てこなもの、今時使えますかねぇ?」
・・という、捨て値での販売が見え見えだったので、
匠「そういうつもりなら、何とか使ってやろう」
と反骨精神が出てきて、これを購入した次弟だ。
1つだけ有益な情報を掲示しておくが、本レンズ
AR105/4の描写傾向は、前記事で紹介したNIKON製
Ai104/4と極めて類似している。
まあ、感覚的な話なのではあるが、もう「殆ど同じ
ものだ」とも思えてしまう。
レンズ構成も同一な模様であるし、もしかすると、
メーカー間で設計を売買、又は協業して開発した
マクロ光学系なのではなかろうか?とも思える。
そのAi105/4の記事では「解像感が高く、悪く無い
マクロだ、ただしボケ質破綻が出る」と、それを
評価した。本レンズも同様ではあるが、Ai105/4
よりも、ずっと寄れる「超マクロ」である為に、
いざとなれば、近接撮影で浅くなる被写界深度を
拠り所として、背景を「大ボケ」させてしまう
ならば、ボケ質の破綻は目立たなくなる。
まあ、本AR105/4の描写傾向が知りたい場合は、
類似(同一?)設計と思われるNIKON Ai105/4を
買えば十分だ。
そのAi105/4であれば、中古はいくらでも流通して
いるし、ちなみに、価格も、本AR105/4よりも
むしろ安価に入手している。
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では、4本目のレンズ。
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レンズ名:Voigtlander APO-LANTHAR 90mm/f3.5 SL
Close Focus(注:独語綴の変母音は省略)
レンズ購入価格:47,000円(新品)(以下、APO90/3.5)
使用カメラ:FUJIFILM X-T1(APS-C機)
2000年代初頭に発売のMF小口径中望遠レンズ。
「Close Focus」の型番は近接可能な事を示し、
最短撮影距離50cm、最大撮影倍率1/3.5倍である。
(APS-C機で使用時には約0.42倍マクロとなる)
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本レンズはマクロでは無いが、非常に優秀な
描写力(個人評価5点満点)を拠り所として、
思い切り近接撮影が出来るまでの仕様とした際でも
その設計基準・・
(注:初級マニア層とか評論家層が良く言う
「設計基準とは、レンズの設計上、無限遠での描写力
を優先するか?はたまた近接撮影を優先するか?」
・・との解釈は、基本的には推奨しない。
何故ならば、レンズや各種の製品を設計開発する際に、
決めなければならない基準や項目は、極めて多く存在
するからであり、ただ単に撮影距離の基準を決める
だけでは済まないからだ。
メーカーのエンジニア等では、非技術者層の一般人に
対して説明する際、わかりやすくする為に、たまたま
1つの意味での「設計基準」と言うケースは有り得る。
でも、それは「one of them」であり、沢山の仕様
決定項目の中の、単に1つだけの話に過ぎない訳だ。
「設計基準」を”ギョーカイ用語だ””専門用語だ”
などと思って、格好をつけて使っていると、むしろ
技術分野に全く無知な事がモロバレなので要注意だ)
・・(その、1種の)設計基準上での描写力限界を
下回る事無く、本APO90/3.5では、最短撮影距離を
縮める事が出来たのであろう、と推察できる。
つまり、通常のレンズでは撮影距離が短くなると、
諸収差の発生で、どんどん画質が低下していくから
ある程度の「設計基準」を満たすレベルでの、
最短撮影距離までで仕様を留めざるを得ない。
だが、極めて優秀な描写力を持つレンズであれば、
さらに最短撮影距離を縮めても「設計基準」となる
画質を下回らない、という訳だ。
その他、本レンズに関しては、過去記事でかなり
多くの回数、紹介しているので、もう詳細は割愛
しておく。現代ではセミレア品であり、あまり
評判が高くなると、「投機対象」となってしまう
恐れがあるからだ。(注:既にその傾向がある)
本レンズを高額なプレミアム相場で買うなどは、
馬鹿馬鹿しい話である。
本APO90/3.5は、後継型を含め、(コシナにしては)
比較的長期に渡り生産が継続されていた。
販売期間中に、消費者層は例えば「開放F3.5だから、
廉価版の低性能レンズだ」と誤解して、本レンズの
真の実力値を見抜けずに購入しなかったのであれば、
むしろ、買わなかった側の失策であろう。
いつも言うように「なぜ、買える時に買っておかない」
の、まさしくその状態である。
後になって「欲しい」と言われても、もう手遅れだ。
(参考:近年のコシナ製品であれば「マクロアポランター
110mm/F2.5」等が、少々ヤバいかも知れない。
今は「高価だから買わない」と思っていても、実力値が
「ハンパ無い」レンズなので、後年になり、生産中止に
なって希少化し、高評価から「投機対象」でプレミアム
価格化してから「欲しい」とか言っても完全に手遅れだ)
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では、5本目のマクロレンズ。
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レンズ名:NIKON おもしろレンズ工房
ぐぐっとマクロ (120mm/f4.5)
レンズ購入価格:7,000円相当(中古)
使用カメラ:OLYMPUS PEN-F(μ4/3機)
1995年に限定発売(2000年に再生産あり)された、
廉価版レンズ3本セット「NIKON おもしろレンズ工房」
の中の1本が、本「ぐぐっとマクロ」である。
なお、ニコンにおいては、「マイクロ」レンズと
呼ぶ慣習であるが(注:その呼称の方が意味的には
正しいと思う)本レンズのみ、ニコンのレンズ中、
唯一の「マクロ」表記である。
それと、本レンズは、焦点距離的には望遠マクロとも
言えるかも知れないが、便宜上、ここ(中望遠マクロ)
にカテゴライズしている。
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本レンズは「組み換え式」という珍しい機構持って
いる。
ユーザーがレンズを(簡単に)分解して、部品を
組み換える事で、
1)マクロレンズ(ぐぐっとマクロ)
2)ソフトフォーカスレンズ(ふわっとソフト)
および、さらに最短撮影距離を縮める
3)さらにぐぐっとマクロ(注:遠距離撮影不可)
の、3パターンの各々に変身させる事が可能だ。
今回は「ぐぐっとマクロ」の形態で使用する。
なお、この組み換え自体は手間のかかるものでは
無いのだが、手順を暗記するのが難しい。
まあ、頻繁にこのレンズを使っていれば、それ位の
簡単な手順は、覚えてしまえるのだろうが、滅多に
使わない状況だと、「あれ?どれがマクロだったか
なあ?」と、ちょっと苦しい。
・・なので、通常では、本レンズは、家の中で
説明書を見ながら、必要なパターンに組み換えて、
外に持ち出すようにしている。
勿論、手順を覚えるか、説明書を持っていけば屋外
での組み換えも、出来ない話では無い。
でも、1つ注意点がある、マクロ系からソフト系へ
組み換える際、レンズのパーツが1つ余るのだ。
屋外では、これの保管場所に困るし、下手をすると
紛失しそうである、だから家の中で組み換える訳だ。
さらに追加情報、この「ふわっとソフト」形態時に
余った部品は、ちょうど「フィルムのケース」の中に
収まるので、レンズに傷を付けたり、紛失し難いので
便利なのだが・・残念ながらこの優秀なアイデアも、
銀塩(フィルム)時代でしか有効では無い。
現代においてデジタルで撮るのに、わざわざフィルム
のケースは持っていく筈も無いが、もし、そうした
用途(屋外でのマクロからソフトへの組み換え)が
ある場合は、その為だけにフィルムケースを持って
行くのは「有り」だ。まあでも、今時のデジタル機
ユーザーだと、フィルムなど、1本も手元に持って
いないであろう。(見た事も無いとか・・?)
今回の「ぐぐっとマクロ」モード時のスペックは、
120mm/F4.5、2群3枚構成。
(注:「望遠マクロ」にカテゴライズしても
良かったかも知れない。本レンズは、ソフト時での
焦点距離は90mmなので、なんとも分類しにくかった)
最短撮影距離64cm、最大撮影倍率1/3倍、となる。
マクロとしての最大撮影倍率が物足りないので、
APS-C機やμ4/3機に装着するのも「有り」だ。
ただし、「絞り」を持たない仕様なので、
被写界深度の調整が出来ない。これについては、
「連続デジタルズーム機能」を持つ母艦を用いて、
撮影距離を離しながらデジタル拡大をかける事で
同一被写体サイズで、擬似的に被写界深度を深める
事は出来る。
また、絞りが無いので日中ではシャッター速度
オーバーに注意する、または、1/8000秒機を
用いれば、まず大丈夫であろう。一応φ52mmの
フィルター枠があるので、日中はND2~ND4を
併用しても良いが、その際、暗い被写体に向けると
結構な望遠画角なので、手ブレの危険性がある。
ピントリングだが、金属どうしを摺り合わせて
廻すような感じだ。感触が悪く、下手をすると
ギーギーと音もするし、あまり精密なピント合わせ
も出来ない。この場合には「初級MF技法」として、
予め最短撮影距離にピントリングをセットして、
体ごと前後しながらピントを合わせる。
この「初級MF技法」は、本レンズに限らず、殆どの
レンズでも、特に近接撮影時に極めて有効であるが、
近代の、各種モーター内蔵レンズで、無限回転式の
ピントリング+距離指標なし、のシームレスMF
仕様レンズでは、こんな初歩的な「MF技法」ですら
上手く使えない。いったい何故、近年では、そんな
劣悪な仕様のレンズばかりになってしまったのか?
レンズを作っている側も、使う側も、「MF撮影など
全く経験が無い」のだろうと推察している。
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総括だが、本レンズ、あるいは3本セットでの
「ニコン おもしろレンズ工房」は、中古流通が
少なく、現代では希少品である。
ただ、中古が皆無という訳では無く、数年前に
大阪の中古専門店で、元箱つきの3本セットで
9,800円で売られているのを見かけた。
まあ妥当な中古相場であろう、それ以上の価格に
高騰(投機対象としてプレミアム価格化)して
いる場合には購入には値しない。
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では、6本目のマクロレンズ。
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レンズ名:TOKINA AF 100mm/f3.5 MACRO
レンズ購入価格:3,000円(中古)
使用カメラ:NIKON D300 (APS-C機)
正式名称不明、発売年も不明、恐らくは1990年代と
思われる、AF中望遠1/2倍(ハーフ)マクロレンズ。
他のTOKINA製マクロとは異なり、プラスチッキーで
安っぽい、コストダウン型設計のレンズである。
まあでも、その措置により、小型軽量ではある。
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平面マクロに近い描写傾向だ、どうもこの描写は、
COSINA (MC) MACRO 100mm/f3.5(前記事で紹介)
に非常に良く似ている。
推察だが、両者の光学系は同じものではなかろうか?
1970年代~1990年代前半くらいの時代のレンズは、
非球面や異常低分散ガラスも使っておらず、比較的
オーソドックスな設計だ。これは、別の言い方を
すれば、メーカー間での設計の差異が少ないという
事である。(例:この時代の各社MF標準レンズは、
どれも殆ど同じ設計である)
さらに言えば、この時代の光学設計は手動である、
これは「とても手間と時間がかかる」と言う意味と
等価である。こういう状況では、たとえレンズメーカー
であっても、他社との間で、レンズ設計を売買する、
あるいは共同開発を行う(この場合でも設計を売買する、
という意味とほぼ同じだ)ケースは十分に考えられる。
社内で一から設計をやっていたら、手間がかかりすぎる
からだ。
また、この時代、TOKINAとCOSINAは、比較的近しい
関係にあったと推察できる。本件以外の組み合わせ
においても、レンズ設計を売買した?、すなわち同一
仕様のレンズが存在するケースがいくつかあるからだ。
でも、2000年代あたりからだろうか?もう、そうした
各社で同一な光学系のレンズとなるケースは、ずいぶん
と減って来たように思える、まあでも、その時代でも
TAMRONとMINOLTA、PENTAXとTOKINAといった
組み合わせで、同一スペックのレンズが販売された
実例はある。
何故、近代ではレンズ設計の共用が減ったのか?は、
恐らくだが、コンピューター光学設計技術の普及で
あろう、パソコンのソフトを使って簡便にレンズの
設計が出来るようになったから、以前の時代のように
レンズ設計が恐ろしく手間であった状態では無くなった。
だからもう、メーカー間で設計を売買/共用せずとも、
自社でレンズを設計する場合でも、手間が減ったし
メーカーでの独自性のある設計をする事も容易だ。
そして、メーカーにとって最大のメリットは、
コンピューター設計で、非常に高性能(高描写力)
を持つ、複雑な構成のレンズが作れるようになった
事である。こういう高性能レンズは、それまでの
時代よりも数倍高価に売る事が出来る。
つまり、高付加価値化(=値上げの理由、大義名分)
が、ここに成り立っている。
レンズ販売数が縮退した近代2010年代以降は、特に
このメーカー戦略は有効であろう。
ただ、これは消費者やユーザーにとっては、あまり
歓迎できる傾向では無い。描写力が上がった事は
確かに嬉しいが、大きく重く高価な「三重苦」レンズは
購入するのも使用するのも、躊躇いが発生してしまう。
もうここは、消費者個々のコスパ感覚や使用目的に
応じて、そうした「高付加価値化型の三重苦レンズ」
を買うか否かを選択しなければならない。
余談が長くなった、本レンズTOKINA AF100/3.5だが、
「三重苦レンズ」の反対である。つまり、小型軽量で
安価、しかし、性能はそこそこ(やや平面マクロ、
AFは低性能、外観はチープ)だ。
これを、どうとらえるか、ここもまた消費者各々の
「コスパ感覚」によりけりだろう。
ちなみに、個人的には、こうした「低付加価値」レンズ
は嫌いでは無い。
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次は本記事ラストのマクロとなる。
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レンズ名:OLYMPUS ZUIKO DIGITAL 50mm/f2 Macro
レンズ購入価格:22,000円(中古)(以下、ZD50/2)
電子アダプター:OLYMPUS MMF-2
使用カメラ:OLYMPUS OM-D E-M1 (μ4/3機)
2003年発売のフォーサーズ用のAF大口径1/2倍マクロ。
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フォーサーズ(4/3)システムの展開は2003年~
2010年代初頭の約10年間であり、現在では終焉
しているが、カメラやレンズの中古流通は、まだ
比較的潤沢であり、入手不能という訳でも無い。
まあ、4/3機(カメラ)自体は2000年代の技術水準
であるから、現代の新鋭機と比べると、連写性能、
高(ISO)感度性能、記録画素数等の面で、古さを
感じるので、「仕様老朽化寿命」に達してしまって
いるかも知れない。
しかし、4/3用レンズの方は、まだまだ現役で
使用可能だ。
日中の趣味撮影等で、カメラ側の「超絶性能」を
必要としない場合では、そのまま古い4/3機に装着
して使っても良いし、さもなければ、OLYMPUS純正の
4/3→μ4/3電子アダプター(MMF-1~3)を介して
新鋭μ4/3機で使うならば、母艦側の性能への不満は
まず無いであろう。
今回は後者の用法で、電子アダプターを使って
μ4/3機に装着して用いる。
さて、本ZD50/2であるが、初の4/3機(E-1)の
登場に合わせて発売された、高性能マクロレンズだ、
銀塩時代のOLYMPUS OM-SYSTEMでも、同じスペック
のレンズが存在していたので、その後継代替機の
ような感じだが、OM-SYSTEMは勿論銀塩(フルサイズ)
であり、本ZD50/2は、換算画角が2倍となる4/3では
100mmの中望遠画角相当、撮影倍率も(フルサイズに
換算すれば)ほぼ等倍マクロに相当する。
両者を所有していれば、差異もわかりやすいのだが、
生憎、OM50/2は、希少レンズで中古相場も高価な
故に購入の機会に恵まれていないので、本ZD50/2
との比較(スペックの比較遊びのような事)は、
やめておく。
(注:旧製品と新製品の仕様とかを色々調べて
比較をまとめただけの評価(サイト、記事)は、
あまり意味が無い事だと思い、個人的には好まない。
仕様を比較するだけならば、それらの製品を、
所有もしておらず、使った事すら無いのに、評価
記事等が書けてしまう。
まあ、情報まとめサイトへのアクセス数を増やして
アフィリエイト(広告賃料)を集めたいのだろう。
私も、色々とレンズ等の出自を調べていて、そんな
宣伝サイトに当たった時の「がっかり感」は強い。
私が知りたいのは、その製品のオーナーならではの
目線による「生きた評価」や「一次情報」なのだ。
・・とは言っても、価格サイトや通販サイトでの
ビギナー層の書き込みは、思い込みとか、誤まった
情報ばかりで、それもまた、一切参考にならない。
「インターネットによる情報化社会」とか言っても、
世に数多(あまた)ある情報の中で、質が良く信頼に
値する情報は、ごくごく僅か、多分、0.1%にも
満たないだろう事は、本当に残念な世情である・・)
本ZD50/2の特徴であるが、
まずは初期4/3システムの中核レンズでありながら、
4/3の終焉と発売の古さにより、中古相場が大きく
下落していて、価格と性能の比、つまり「コスパ」
が、かなり良い事がある。
私の入手時点よりも現代では、さらに中古相場が
下がり、1万円台から入手可能だ。
初級者層ではレンズの開放F値が小さいレンズが
常に「高級で、高描写力で、だから高価なのだ」
と大きなカン違いをしているのだが、勿論そんな
「公式」は有り得ない事は、中級層以上やマニア層
ならば誰でも知っている。
だが、一応開放F値の話をしておけば、マクロ
レンズと呼ばれるもの(一応、1/2倍以上とする)
で一般的な最大口径はF2.8までであり、それより
明るいF2級のマクロは希少であり、歴代でも
数える程しか存在しない。
本シリーズ記事では、約80本のマクロ・準マクロを
紹介(対戦)しているが、その中で、純粋なマクロ
として開放F2のものは、たった4本しか登場しない。
私が未所有の範囲まで広げても、古今東西で恐らく
10機種にも満たず、数える程しか存在しない。
そして、そのF2級マクロの中で、フルサイズ換算
で等倍(を超える)ものは、恐らくだが本ZD50/2
と、TAMRON SP60/2(G005)の2機種しか
世の中に無いと思われる。
つまり、それだけ本Z50/2のスペックは希少だ。
本ZD50/2の描写力だが、逆光耐性がかなり弱い
事が気になる点であろう。ちょっとした逆光で
すぐフレアっぽい描写となりコントラストが低下
してしまう。
ただ、これはフードの装着+光線状況に留意する、
事で概ね回避可能だ。
その点を除き、解像感は高く、ボケ質破綻も
少ないので、描写力全般としては及第点だ。
まあ、発売時点でHG(ハイグレード)レンズと
銘打たれていた為、あまり中途半端な設計は
していないと思われる。
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他の弱点だが、レンズに通電(電源を入れる)
しないとピントリングが廻らない(空廻りをする)
よって、カメラの電源をOFFの状態で(またはON
しながら)ピントリングを手動で廻しながら
被写体に向け、カメラ起動後に半合焦状態から
速やかに撮影する、といった類の、上級MF技法が
一切使えない。
これは近接撮影でMFを主体とするマクロレンズ
においては、残念ながらかなりマイナス評価と
なってしまう。
また、この仕様では、最近接撮影でレンズ鏡筒が
伸びている状態でカメラの電源をOFFしてしまうと
レンズが伸びっぱなしとなり、カメラバッグの
収納性に劣ってしまう。(注:4/3機を母艦とした
場合、機種によっては電源OFFで自動的にレンズを
引っ込める事が出来るものもあるが、電子アダプター
MMF-2等を介してμ4/3機で使った場合では、恐らく
全ての機種で、この困った状態となってしまう)
この為、必ず無限遠等でダミー合焦し、レンズの
鏡筒を引っ込めてからでないとカメラの電源を切る
事ができない。
ちなみに、この仕様は全ての4/3レンズで同様だと
思われるが、他の4/3レンズでは、鏡筒長の変化が
無いIF(イナーフォーカス)仕様であったり、または
鏡筒長の変化幅が少なかったりするし、近接撮影で
MFを主体にするようなレンズも少ないので問題には
ならず、ほぼ、本レンズZD50/2だけの問題となる。
まあ、悪いレンズでは無いが、逆光耐性とMFの
操作性だけ注意して使う必要があるだろう。
----
次回の本シリーズ記事は、
「最強マクロ選手権・中望遠マクロ・予選(3)」
を予定している。
今回は「中望遠マクロ」カテゴリーの予選第2組
とする。
「中望遠マクロ」とは、実焦点距離または換算
焦点距離が、70mm以上で110mm未満のマクロ
または準マクロレンズ、と定義している。
(注:一部例外あり)
今回は紹介(対戦)本数が多いので、各レンズ
あたりの実写掲載数は少な目とする。
その他、本シリーズ記事のルール等については、
本シリーズ第1回記事冒頭を参照の事。
では早速、中望遠マクロの予選(2)を始めよう。
----
まずは最初の中望遠マクロレンズ。
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レンズ購入価格:25,000円(中古)(以下、EX105/2.8)
使用カメラ:NIKON Df (フルサイズ機)
2004年に発売されたフルサイズ対応AF等倍マクロ。
例によって、古い時代のSIGMA製のレンズは、
あまり情報が残っておらず、その多くが、正式な
型番(機種名)が不明である。
実際のレンズ上での記載を参考にしようにも、
EXとかMACROとか、部分的な型番が様々な位置に
順不同で書かれているだけなので、まあ、あまり
ここで記載している型番の厳密性は無い。
ただまあ、本レンズには、後継型の現行製品があり
それが「MACRO 105mm F2.8 EX DG OS HSM」
であるから、そこからOSとHSMを抜いたものが
妥当な製品名であろう。
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特に2000年代の本EX DG(のみの)バージョンは
コスパが良く、マクロレンズとして不要な機能
(手ブレ補正 OSや、超音波モーター HSM)を
搭載していない為、むしろそれがメリットとなる。
(超音波モーターは、不要どころか、MF操作性を
低める弊害があるので、マクロの場合は不利だ)
・・よって、本レンズは利便性が高く、主力マクロ
レンズとして、異マウントで2本所有している。
使いこなしとしては、AFで近接から遠距離までを
行ったり来たりするような撮影スタイルの場合は、
それではAF駆動が遅くてかったるいから、MFに特化
するか、又は(Focus) LIMIT SWを駆使するか?
だが、後者はむしろ被写体汎用性が失われてしまい、
うっとうしい。まあ、「MF特化」が潔いであろう。
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ラインナップ統合により、EX50/2.8やEX70/2.8
がディスコン(=Discontinued、生産終了)となった
のだが、本EX105/2.8だけは、その直前(2011年)
に「OS HSM」で高付加価値化されていた為、
「その他」のカテゴリーとして生き残れる事と
なった。
まあつまり、SIGMAとしても「最も重要な(主力の)
マクロレンズ」という扱いであったのであろう。
ちなみに、OS HSM版と、ほぼ同時期(2011年)に発売
されたMACROに「SIGMA APO MACRO 150mm/f2.8
EX DG OS HSM」(レンズ・マニアックス第46回記事)
があるが、2010年代末には生産完了となっている。
105mm/F2.8 OS HSM版以降のSIGMAの新型マクロは、
2018年に発売された、ART Lineでの70mm/F2.8
Macroがある。(次回記事で紹介予定)
すなわち、2010年代でのSIGMAのマクロの新機種の
発売は、さほど多くは無い訳で、あまりマクロに
力を入れているようには見られないが、その状況でも、
本EX105/2.8の後継のOS HSM版は、生産が継続され
ていた訳だ。ここもつまりSIGMAでの105mm/F2.8
系列の重要性が見て取れる。
(注:2020年には、ミラーレス機用版が追加。
これはART LINEとして分類されている)
まあつまり、本EX105/2.8は、あれこれと考えたり、
迷ったりせず、適価の中古品(1万円台)を見つけたら、
無条件で購入する選択も、決して悪くは無い。
---
では、次のマクロレンズ。
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(Model 172E)
レンズ購入価格:20,000円(中古)(以下、172E)
使用カメラ:PENTAX K-5 (APS-C機)
1999年発売のAF中望遠等倍マクロレンズ。
いわずと知れたTAMRON 90 MACROのシリーズでの
AF/F2.8版の二代目である。
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「MACRO[1:1]」という正式名称が付いている。
(それ以前は、MACRO銘なしで、最大1/2倍だ)
72E型と172E型は、外観デザインが僅かに異なる
のと、NIKON(F)/CANON(EF)マウント版においては
レンズ前部のフォーカスリングをスライドする事
でのAFとMFの切換が、172E型では「1発で済む」
ようになった事、の差異がある。
これはつまり、72E型、あるいは172E型で
あってもPENTAX K版やMINOLTA(SONY)α版では、
AFとMFの切換は、レンズ側とカメラ本体側とでの
両者の操作を要求される場合があり、これは
あまり操作性が良く無い、という状態である。
しかしながら、1990年代あるいは続く2000年代
での、AF/デジタル一眼レフのAF性能(精度・速度)
は、近接撮影での被写界深度が浅い状態、または
無限遠ピント距離から、最短撮影距離までの長い
距離を動くマクロレンズでの、AFの精度・速度は
いずれも不満なレベル(場合により実用範囲以下)
の性能でしか無い。
よって、いっそMFに特化して撮った方が潔いし、
あるいは実際にも「効率的」であるので、この
172E型での、AF/MFの切換の改良は、どうでも良い
とも言えるし、そもそも私が保有している
172E型は、その改善が施されていないPENTAX用
とα用の2本なので、ますますどうでも良い話だ。
近接撮影を中心とするならば、最初から常にMFで
使う訳であり、頻繁にMFとAFを切り替えて使う
状況は、あまり想定しにくい。
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前述のEX105/2.8と並んで、高性能で高コスパで
あるので、中古市場で安価な(1万円台)ものを
見つけたら、何も考えずに買ってしまっても良い
であろう。
ちなみに、「何も考えずに」とか「迷わずに」と
言っている意味だが、前述のSIGMA EX105/2.8も、
TAMRON SP90/2.8の172E/272E型も、それ以降の
後継型では、超音波モーターが搭載されていて、
マクロレンズとしての使いこなしには、若干の
弊害が出ていると思われるので、この時代のものを
「迷わずに」買ってしまうのが良い、という意味だ。
---
では、3本目のマクロレンズ。
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レンズ購入価格:9,000円(中古)(以下、AR105/4)
使用カメラ:Panasonic DMC-G1 (μ4/3機)
詳細不明、恐らくは1970年代~1980年代くらいの、
MF特殊マクロレンズ。
「特殊」というのは、本レンズは、一般的には
「ベローズマクロ」と呼ばれる、かなり「大げさ」
なシステムである事だ。
ベローズとは、蛇腹または延長用鏡筒を別途追加し
撮影倍率を上げられる部品を指し、主に学術用や
専門的分野での、特殊な近接撮影を行うものだ。
撮影倍率は、その当時(1970年代頃)の一般的な
マクロレンズが、最大1/2倍程度で留まっていた
状況に対し、こうしたベローズマクロでは、数倍
から十数倍という高い撮影倍率を得る事が出来る。
本AR105/4の場合は、実測での概算だが、最大
3倍強程度の撮影倍率が得られる。
(例:35mm判フィルム使用時、3倍マクロの場合
撮影範囲は12mm x 8mmと、およそ「パチンコ玉」
大のサイズとなる)
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ではあるが、本ブログでは一般的な撮影条件では
「三脚使用を一切行わない」という方針である為、
このベローズシステムでも、複雑な構成部品から
その多くを取り外してダイエットし、なんとか屋外
手持ち撮影を可能とする状態にして撮影を行う。
非常に特殊なシステムで、レア物であるから、
あまり詳細な説明は省略しておく。今更、これを
無理して探す必要性も、まるで無いからである。
レア物にしては、比較的安価な中古相場であったのは
これを販売する中古店側においても、「実用価値が
全く無い」と想定したからであろう。
店「こんな変てこなもの、今時使えますかねぇ?」
・・という、捨て値での販売が見え見えだったので、
匠「そういうつもりなら、何とか使ってやろう」
と反骨精神が出てきて、これを購入した次弟だ。
1つだけ有益な情報を掲示しておくが、本レンズ
AR105/4の描写傾向は、前記事で紹介したNIKON製
Ai104/4と極めて類似している。
まあ、感覚的な話なのではあるが、もう「殆ど同じ
ものだ」とも思えてしまう。
レンズ構成も同一な模様であるし、もしかすると、
メーカー間で設計を売買、又は協業して開発した
マクロ光学系なのではなかろうか?とも思える。
そのAi105/4の記事では「解像感が高く、悪く無い
マクロだ、ただしボケ質破綻が出る」と、それを
評価した。本レンズも同様ではあるが、Ai105/4
よりも、ずっと寄れる「超マクロ」である為に、
いざとなれば、近接撮影で浅くなる被写界深度を
拠り所として、背景を「大ボケ」させてしまう
ならば、ボケ質の破綻は目立たなくなる。
まあ、本AR105/4の描写傾向が知りたい場合は、
類似(同一?)設計と思われるNIKON Ai105/4を
買えば十分だ。
そのAi105/4であれば、中古はいくらでも流通して
いるし、ちなみに、価格も、本AR105/4よりも
むしろ安価に入手している。
---
では、4本目のレンズ。
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Close Focus(注:独語綴の変母音は省略)
レンズ購入価格:47,000円(新品)(以下、APO90/3.5)
使用カメラ:FUJIFILM X-T1(APS-C機)
2000年代初頭に発売のMF小口径中望遠レンズ。
「Close Focus」の型番は近接可能な事を示し、
最短撮影距離50cm、最大撮影倍率1/3.5倍である。
(APS-C機で使用時には約0.42倍マクロとなる)
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描写力(個人評価5点満点)を拠り所として、
思い切り近接撮影が出来るまでの仕様とした際でも
その設計基準・・
(注:初級マニア層とか評論家層が良く言う
「設計基準とは、レンズの設計上、無限遠での描写力
を優先するか?はたまた近接撮影を優先するか?」
・・との解釈は、基本的には推奨しない。
何故ならば、レンズや各種の製品を設計開発する際に、
決めなければならない基準や項目は、極めて多く存在
するからであり、ただ単に撮影距離の基準を決める
だけでは済まないからだ。
メーカーのエンジニア等では、非技術者層の一般人に
対して説明する際、わかりやすくする為に、たまたま
1つの意味での「設計基準」と言うケースは有り得る。
でも、それは「one of them」であり、沢山の仕様
決定項目の中の、単に1つだけの話に過ぎない訳だ。
「設計基準」を”ギョーカイ用語だ””専門用語だ”
などと思って、格好をつけて使っていると、むしろ
技術分野に全く無知な事がモロバレなので要注意だ)
・・(その、1種の)設計基準上での描写力限界を
下回る事無く、本APO90/3.5では、最短撮影距離を
縮める事が出来たのであろう、と推察できる。
つまり、通常のレンズでは撮影距離が短くなると、
諸収差の発生で、どんどん画質が低下していくから
ある程度の「設計基準」を満たすレベルでの、
最短撮影距離までで仕様を留めざるを得ない。
だが、極めて優秀な描写力を持つレンズであれば、
さらに最短撮影距離を縮めても「設計基準」となる
画質を下回らない、という訳だ。
その他、本レンズに関しては、過去記事でかなり
多くの回数、紹介しているので、もう詳細は割愛
しておく。現代ではセミレア品であり、あまり
評判が高くなると、「投機対象」となってしまう
恐れがあるからだ。(注:既にその傾向がある)
本レンズを高額なプレミアム相場で買うなどは、
馬鹿馬鹿しい話である。
本APO90/3.5は、後継型を含め、(コシナにしては)
比較的長期に渡り生産が継続されていた。
販売期間中に、消費者層は例えば「開放F3.5だから、
廉価版の低性能レンズだ」と誤解して、本レンズの
真の実力値を見抜けずに購入しなかったのであれば、
むしろ、買わなかった側の失策であろう。
いつも言うように「なぜ、買える時に買っておかない」
の、まさしくその状態である。
後になって「欲しい」と言われても、もう手遅れだ。
(参考:近年のコシナ製品であれば「マクロアポランター
110mm/F2.5」等が、少々ヤバいかも知れない。
今は「高価だから買わない」と思っていても、実力値が
「ハンパ無い」レンズなので、後年になり、生産中止に
なって希少化し、高評価から「投機対象」でプレミアム
価格化してから「欲しい」とか言っても完全に手遅れだ)
---
では、5本目のマクロレンズ。
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ぐぐっとマクロ (120mm/f4.5)
レンズ購入価格:7,000円相当(中古)
使用カメラ:OLYMPUS PEN-F(μ4/3機)
1995年に限定発売(2000年に再生産あり)された、
廉価版レンズ3本セット「NIKON おもしろレンズ工房」
の中の1本が、本「ぐぐっとマクロ」である。
なお、ニコンにおいては、「マイクロ」レンズと
呼ぶ慣習であるが(注:その呼称の方が意味的には
正しいと思う)本レンズのみ、ニコンのレンズ中、
唯一の「マクロ」表記である。
それと、本レンズは、焦点距離的には望遠マクロとも
言えるかも知れないが、便宜上、ここ(中望遠マクロ)
にカテゴライズしている。
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いる。
ユーザーがレンズを(簡単に)分解して、部品を
組み換える事で、
1)マクロレンズ(ぐぐっとマクロ)
2)ソフトフォーカスレンズ(ふわっとソフト)
および、さらに最短撮影距離を縮める
3)さらにぐぐっとマクロ(注:遠距離撮影不可)
の、3パターンの各々に変身させる事が可能だ。
今回は「ぐぐっとマクロ」の形態で使用する。
なお、この組み換え自体は手間のかかるものでは
無いのだが、手順を暗記するのが難しい。
まあ、頻繁にこのレンズを使っていれば、それ位の
簡単な手順は、覚えてしまえるのだろうが、滅多に
使わない状況だと、「あれ?どれがマクロだったか
なあ?」と、ちょっと苦しい。
・・なので、通常では、本レンズは、家の中で
説明書を見ながら、必要なパターンに組み換えて、
外に持ち出すようにしている。
勿論、手順を覚えるか、説明書を持っていけば屋外
での組み換えも、出来ない話では無い。
でも、1つ注意点がある、マクロ系からソフト系へ
組み換える際、レンズのパーツが1つ余るのだ。
屋外では、これの保管場所に困るし、下手をすると
紛失しそうである、だから家の中で組み換える訳だ。
さらに追加情報、この「ふわっとソフト」形態時に
余った部品は、ちょうど「フィルムのケース」の中に
収まるので、レンズに傷を付けたり、紛失し難いので
便利なのだが・・残念ながらこの優秀なアイデアも、
銀塩(フィルム)時代でしか有効では無い。
現代においてデジタルで撮るのに、わざわざフィルム
のケースは持っていく筈も無いが、もし、そうした
用途(屋外でのマクロからソフトへの組み換え)が
ある場合は、その為だけにフィルムケースを持って
行くのは「有り」だ。まあでも、今時のデジタル機
ユーザーだと、フィルムなど、1本も手元に持って
いないであろう。(見た事も無いとか・・?)
今回の「ぐぐっとマクロ」モード時のスペックは、
120mm/F4.5、2群3枚構成。
(注:「望遠マクロ」にカテゴライズしても
良かったかも知れない。本レンズは、ソフト時での
焦点距離は90mmなので、なんとも分類しにくかった)
最短撮影距離64cm、最大撮影倍率1/3倍、となる。
マクロとしての最大撮影倍率が物足りないので、
APS-C機やμ4/3機に装着するのも「有り」だ。
ただし、「絞り」を持たない仕様なので、
被写界深度の調整が出来ない。これについては、
「連続デジタルズーム機能」を持つ母艦を用いて、
撮影距離を離しながらデジタル拡大をかける事で
同一被写体サイズで、擬似的に被写界深度を深める
事は出来る。
また、絞りが無いので日中ではシャッター速度
オーバーに注意する、または、1/8000秒機を
用いれば、まず大丈夫であろう。一応φ52mmの
フィルター枠があるので、日中はND2~ND4を
併用しても良いが、その際、暗い被写体に向けると
結構な望遠画角なので、手ブレの危険性がある。
ピントリングだが、金属どうしを摺り合わせて
廻すような感じだ。感触が悪く、下手をすると
ギーギーと音もするし、あまり精密なピント合わせ
も出来ない。この場合には「初級MF技法」として、
予め最短撮影距離にピントリングをセットして、
体ごと前後しながらピントを合わせる。
この「初級MF技法」は、本レンズに限らず、殆どの
レンズでも、特に近接撮影時に極めて有効であるが、
近代の、各種モーター内蔵レンズで、無限回転式の
ピントリング+距離指標なし、のシームレスMF
仕様レンズでは、こんな初歩的な「MF技法」ですら
上手く使えない。いったい何故、近年では、そんな
劣悪な仕様のレンズばかりになってしまったのか?
レンズを作っている側も、使う側も、「MF撮影など
全く経験が無い」のだろうと推察している。
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「ニコン おもしろレンズ工房」は、中古流通が
少なく、現代では希少品である。
ただ、中古が皆無という訳では無く、数年前に
大阪の中古専門店で、元箱つきの3本セットで
9,800円で売られているのを見かけた。
まあ妥当な中古相場であろう、それ以上の価格に
高騰(投機対象としてプレミアム価格化)して
いる場合には購入には値しない。
---
では、6本目のマクロレンズ。
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レンズ購入価格:3,000円(中古)
使用カメラ:NIKON D300 (APS-C機)
正式名称不明、発売年も不明、恐らくは1990年代と
思われる、AF中望遠1/2倍(ハーフ)マクロレンズ。
他のTOKINA製マクロとは異なり、プラスチッキーで
安っぽい、コストダウン型設計のレンズである。
まあでも、その措置により、小型軽量ではある。
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COSINA (MC) MACRO 100mm/f3.5(前記事で紹介)
に非常に良く似ている。
推察だが、両者の光学系は同じものではなかろうか?
1970年代~1990年代前半くらいの時代のレンズは、
非球面や異常低分散ガラスも使っておらず、比較的
オーソドックスな設計だ。これは、別の言い方を
すれば、メーカー間での設計の差異が少ないという
事である。(例:この時代の各社MF標準レンズは、
どれも殆ど同じ設計である)
さらに言えば、この時代の光学設計は手動である、
これは「とても手間と時間がかかる」と言う意味と
等価である。こういう状況では、たとえレンズメーカー
であっても、他社との間で、レンズ設計を売買する、
あるいは共同開発を行う(この場合でも設計を売買する、
という意味とほぼ同じだ)ケースは十分に考えられる。
社内で一から設計をやっていたら、手間がかかりすぎる
からだ。
また、この時代、TOKINAとCOSINAは、比較的近しい
関係にあったと推察できる。本件以外の組み合わせ
においても、レンズ設計を売買した?、すなわち同一
仕様のレンズが存在するケースがいくつかあるからだ。
でも、2000年代あたりからだろうか?もう、そうした
各社で同一な光学系のレンズとなるケースは、ずいぶん
と減って来たように思える、まあでも、その時代でも
TAMRONとMINOLTA、PENTAXとTOKINAといった
組み合わせで、同一スペックのレンズが販売された
実例はある。
何故、近代ではレンズ設計の共用が減ったのか?は、
恐らくだが、コンピューター光学設計技術の普及で
あろう、パソコンのソフトを使って簡便にレンズの
設計が出来るようになったから、以前の時代のように
レンズ設計が恐ろしく手間であった状態では無くなった。
だからもう、メーカー間で設計を売買/共用せずとも、
自社でレンズを設計する場合でも、手間が減ったし
メーカーでの独自性のある設計をする事も容易だ。
そして、メーカーにとって最大のメリットは、
コンピューター設計で、非常に高性能(高描写力)
を持つ、複雑な構成のレンズが作れるようになった
事である。こういう高性能レンズは、それまでの
時代よりも数倍高価に売る事が出来る。
つまり、高付加価値化(=値上げの理由、大義名分)
が、ここに成り立っている。
レンズ販売数が縮退した近代2010年代以降は、特に
このメーカー戦略は有効であろう。
ただ、これは消費者やユーザーにとっては、あまり
歓迎できる傾向では無い。描写力が上がった事は
確かに嬉しいが、大きく重く高価な「三重苦」レンズは
購入するのも使用するのも、躊躇いが発生してしまう。
もうここは、消費者個々のコスパ感覚や使用目的に
応じて、そうした「高付加価値化型の三重苦レンズ」
を買うか否かを選択しなければならない。
余談が長くなった、本レンズTOKINA AF100/3.5だが、
「三重苦レンズ」の反対である。つまり、小型軽量で
安価、しかし、性能はそこそこ(やや平面マクロ、
AFは低性能、外観はチープ)だ。
これを、どうとらえるか、ここもまた消費者各々の
「コスパ感覚」によりけりだろう。
ちなみに、個人的には、こうした「低付加価値」レンズ
は嫌いでは無い。
----
次は本記事ラストのマクロとなる。
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レンズ購入価格:22,000円(中古)(以下、ZD50/2)
電子アダプター:OLYMPUS MMF-2
使用カメラ:OLYMPUS OM-D E-M1 (μ4/3機)
2003年発売のフォーサーズ用のAF大口径1/2倍マクロ。
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2010年代初頭の約10年間であり、現在では終焉
しているが、カメラやレンズの中古流通は、まだ
比較的潤沢であり、入手不能という訳でも無い。
まあ、4/3機(カメラ)自体は2000年代の技術水準
であるから、現代の新鋭機と比べると、連写性能、
高(ISO)感度性能、記録画素数等の面で、古さを
感じるので、「仕様老朽化寿命」に達してしまって
いるかも知れない。
しかし、4/3用レンズの方は、まだまだ現役で
使用可能だ。
日中の趣味撮影等で、カメラ側の「超絶性能」を
必要としない場合では、そのまま古い4/3機に装着
して使っても良いし、さもなければ、OLYMPUS純正の
4/3→μ4/3電子アダプター(MMF-1~3)を介して
新鋭μ4/3機で使うならば、母艦側の性能への不満は
まず無いであろう。
今回は後者の用法で、電子アダプターを使って
μ4/3機に装着して用いる。
さて、本ZD50/2であるが、初の4/3機(E-1)の
登場に合わせて発売された、高性能マクロレンズだ、
銀塩時代のOLYMPUS OM-SYSTEMでも、同じスペック
のレンズが存在していたので、その後継代替機の
ような感じだが、OM-SYSTEMは勿論銀塩(フルサイズ)
であり、本ZD50/2は、換算画角が2倍となる4/3では
100mmの中望遠画角相当、撮影倍率も(フルサイズに
換算すれば)ほぼ等倍マクロに相当する。
両者を所有していれば、差異もわかりやすいのだが、
生憎、OM50/2は、希少レンズで中古相場も高価な
故に購入の機会に恵まれていないので、本ZD50/2
との比較(スペックの比較遊びのような事)は、
やめておく。
(注:旧製品と新製品の仕様とかを色々調べて
比較をまとめただけの評価(サイト、記事)は、
あまり意味が無い事だと思い、個人的には好まない。
仕様を比較するだけならば、それらの製品を、
所有もしておらず、使った事すら無いのに、評価
記事等が書けてしまう。
まあ、情報まとめサイトへのアクセス数を増やして
アフィリエイト(広告賃料)を集めたいのだろう。
私も、色々とレンズ等の出自を調べていて、そんな
宣伝サイトに当たった時の「がっかり感」は強い。
私が知りたいのは、その製品のオーナーならではの
目線による「生きた評価」や「一次情報」なのだ。
・・とは言っても、価格サイトや通販サイトでの
ビギナー層の書き込みは、思い込みとか、誤まった
情報ばかりで、それもまた、一切参考にならない。
「インターネットによる情報化社会」とか言っても、
世に数多(あまた)ある情報の中で、質が良く信頼に
値する情報は、ごくごく僅か、多分、0.1%にも
満たないだろう事は、本当に残念な世情である・・)
本ZD50/2の特徴であるが、
まずは初期4/3システムの中核レンズでありながら、
4/3の終焉と発売の古さにより、中古相場が大きく
下落していて、価格と性能の比、つまり「コスパ」
が、かなり良い事がある。
私の入手時点よりも現代では、さらに中古相場が
下がり、1万円台から入手可能だ。
初級者層ではレンズの開放F値が小さいレンズが
常に「高級で、高描写力で、だから高価なのだ」
と大きなカン違いをしているのだが、勿論そんな
「公式」は有り得ない事は、中級層以上やマニア層
ならば誰でも知っている。
だが、一応開放F値の話をしておけば、マクロ
レンズと呼ばれるもの(一応、1/2倍以上とする)
で一般的な最大口径はF2.8までであり、それより
明るいF2級のマクロは希少であり、歴代でも
数える程しか存在しない。
本シリーズ記事では、約80本のマクロ・準マクロを
紹介(対戦)しているが、その中で、純粋なマクロ
として開放F2のものは、たった4本しか登場しない。
私が未所有の範囲まで広げても、古今東西で恐らく
10機種にも満たず、数える程しか存在しない。
そして、そのF2級マクロの中で、フルサイズ換算
で等倍(を超える)ものは、恐らくだが本ZD50/2
と、TAMRON SP60/2(G005)の2機種しか
世の中に無いと思われる。
つまり、それだけ本Z50/2のスペックは希少だ。
本ZD50/2の描写力だが、逆光耐性がかなり弱い
事が気になる点であろう。ちょっとした逆光で
すぐフレアっぽい描写となりコントラストが低下
してしまう。
ただ、これはフードの装着+光線状況に留意する、
事で概ね回避可能だ。
その点を除き、解像感は高く、ボケ質破綻も
少ないので、描写力全般としては及第点だ。
まあ、発売時点でHG(ハイグレード)レンズと
銘打たれていた為、あまり中途半端な設計は
していないと思われる。
Clik here to view.

しないとピントリングが廻らない(空廻りをする)
よって、カメラの電源をOFFの状態で(またはON
しながら)ピントリングを手動で廻しながら
被写体に向け、カメラ起動後に半合焦状態から
速やかに撮影する、といった類の、上級MF技法が
一切使えない。
これは近接撮影でMFを主体とするマクロレンズ
においては、残念ながらかなりマイナス評価と
なってしまう。
また、この仕様では、最近接撮影でレンズ鏡筒が
伸びている状態でカメラの電源をOFFしてしまうと
レンズが伸びっぱなしとなり、カメラバッグの
収納性に劣ってしまう。(注:4/3機を母艦とした
場合、機種によっては電源OFFで自動的にレンズを
引っ込める事が出来るものもあるが、電子アダプター
MMF-2等を介してμ4/3機で使った場合では、恐らく
全ての機種で、この困った状態となってしまう)
この為、必ず無限遠等でダミー合焦し、レンズの
鏡筒を引っ込めてからでないとカメラの電源を切る
事ができない。
ちなみに、この仕様は全ての4/3レンズで同様だと
思われるが、他の4/3レンズでは、鏡筒長の変化が
無いIF(イナーフォーカス)仕様であったり、または
鏡筒長の変化幅が少なかったりするし、近接撮影で
MFを主体にするようなレンズも少ないので問題には
ならず、ほぼ、本レンズZD50/2だけの問題となる。
まあ、悪いレンズでは無いが、逆光耐性とMFの
操作性だけ注意して使う必要があるだろう。
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次回の本シリーズ記事は、
「最強マクロ選手権・中望遠マクロ・予選(3)」
を予定している。