最強のマクロレンズを決定するシリーズ記事。
今回は「標準マクロ」カテゴリーの予選第4組、
これにて、標準マクロ編は終了となり、次回記事では
別の焦点距離カテゴリーでの対戦とする。
他、色々なルールに関しては、本シリーズ第一回記事
の冒頭部分を参照の事。
では早速、標準マクロの予選(4)を始めよう。
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まずは最初の標準マクロレンズ。
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レンズ名:TOKINA AT-X M35 PRO DX (35mm/f2.8)
レンズ購入価格:18,000円(中古)(以下、AT-X M35)
使用カメラ:NIKON D2H (APS-C機)
2007年発売の、APS-C機専用準広角(標準画角相当)
AF等倍マクロレンズ。
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2003年頃(今回使用機のNIKON D2Hも2003年発売)
から、デジタル一眼レフが、ポツポツと一般層にも
普及が始まり、翌2004年には、各社から低廉な
価格帯のデジタル一眼レフが出揃い、世の中は
本格的な「デジタル一眼レフ時代」となった為、
個人的には、2004年を「デジタル一眼レフ元年」
と呼んでいる。
ただ、その時点では、高価なCANON EOS-1Ds系機体
と、商業的に失敗したCONTAX N DIGITALを除き、
フルサイズ機(デジタル一眼レフ)は存在していない。
よって、一般的なAPS-C機を購入したユーザー層は
(4/3機を除き)銀塩時代からの(AF)交換レンズ群を
利用していたのだが、その際、焦点距離(換算画角)
が、1.5倍程度に伸びる事に、多くのユーザー層は
違和感や不満を持っていた。
なので、2003年頃から2005~6年頃にかけて、
市場では「35mm近辺の焦点距離の単焦点」を買う
ユーザー層が急増した。
何故ならば、それをAPS-C機に装着すれば、銀塩時代から
慣れ親しんだ50mmの「標準画角」が得られるからだ。
まあ、今から振り返ってみれば、APS-Cで変化した画角
に利用者の感覚をアジャスト(調整)すれば済む話で
あったので、35mmレンズを買う必然性も、さほど多くは
無かったのだが、それでも、フィルム機から持ち替えた
ばかりの「デジタルの初級ユーザー」(これは、たとえ
銀塩時代における中上級者層であっても、デジタルの
原理や撮影に関しては、完全なビギナー層と同等だった)
は、多くが35mmレンズを欲した。
その状況において、残念ながら「投機層」が動いてしまい、
(注:個人のみならず、流通等で、組織的にこの買占め
措置が行われた。一応、どこがやったかは知っている)
2004年~2005年にかけて、新品および中古市場から、
ありとあらゆる(注:デジタル機では使用が出来ない物
であっても)35mmレンズが買い占められ、少し時間を
置いて、中古市場にそれらが放出され、当然ながら
「とんでもない高値」で販売されるようになった。
(まあ、近年のコロナ禍の際の、トイレットペーパーや
マスクの転売と同じ事で、品薄になったものを欲しがる
人達が多ければ、不条理なまでの高値で売りつける事が
出来る訳だ。勿論、道義的には良く無い行為だから、
コロナ時には、市場や政府が転売を抑制したのだが、
カメラやレンズでは、市場介入が起こるはずもなく、
こうした「投機的」な話は、いつでも起こり得る。
その際の最大の課題は、消費者の皆が、同じものを
欲しがってしまう事だ。何故35mmレンズが、そんなに
必要なのか? 私には良く理解できなかった・・・)
SIGMAは、この状況を見て、すぐさま(AF)30mm/F1.4
EX DC HSMを発売(2005年)、これを中級層や
マニア層が買い求めるようになると、一応それで
心理的な課題は解決するから、程なくして2006年頃
には「35mmレンズの投機」も破綻して終息を迎えた。
まあSIGMAでは、すぐさまこの措置が出来たのだが、
カメラメーカーの純正レンズでは、なかなかAPS-C
専用の(単焦点)レンズが出て来ない。それでも、
APS-C用ズームレンズは、ぽつぽつ発売があったから、
そちらの開発を優先したのかも知れない。
あるいは、カメラメーカーは、むしろ良くわかっていて
「APS-Cで変化した画角等の課題は、単焦点レンズを
使う中級者クラスであれば、その感覚をアジャスト
して使えば、広角が不足する事以外、問題は無い」
と、冷静に判断していたのかも知れない。
なお、この点でもSIGMAは上手であり、デジタル化
の直前の2001年に、20mm/F1.8、24mm/F1.8、
28mm/F1.8の、通称「SIGMA広角3兄弟(トリオ)」
が発売されている。
(特殊レンズ第52回「SIGMA広角3兄弟」編参照)
私は、それら広角3兄弟の一部は既に使っていたし
(=デジタル化の時代に備えていた)、35mmレンズ
も銀塩時代の主要なものは、全て残していたので
デジタル化の準備は万全であったし、さらに言えば
(恐らくは)メーカー側が推察していた通りに、
単焦点で画角が変化する点は、私は、重要な課題だ
とは認識していなかった。
まあつまり、「銀塩時代の常識」から抜け出せ
なかった「デジタルの初心者」が、当時あまりにも
多かった事が、この歴史の上でのポイントであろう。
・・さて、そんな状況の中、マクロレンズであるが、
銀塩用のAF(等倍)標準マクロは、APS-C機では、
中望遠のマクロとなって、かつ、1.5倍マクロと
なるから、用途的には、むしろ嬉しい状況だ。
だが、撮影画角が狭くなる為、”標準画角で撮れる
マクロも必要だ”、とも言えない話では無い。
けど、APS-C機専用マクロは、その混乱期の2006年
まででは、どのメーカーからも発売されていない。
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そこに発売されたのが本AT-X M35(2007年)である。
次いで、翌年に、PENTAXからも、同一スペック
(レンズ構成も、最短撮影距離もほぼ同じ)の
smc PENTAX-DA 35mm/F2.8 Limited が発売された。
両レンズは全く外観は異なるが、個人的な分析では
「両者は同一の光学系だ。メーカー間で設計を売買
したか?又は協業した可能性が高い」と見なして、
いずれ、これらのどちらかを買う計画とした。
実際の購入は、遅れに遅れ、TOKINA版も、PENTAXの
改良版(smc → HDにコーティングを変更)も
2010年代中頃以降の購入となったのだが、まあ、
あまり優先的に必要とするレンズでは無かったので、
「十分に中古相場が下がるのを待っていた」
という理由もある。
本レンズの課題としては、レンズ内モーターが搭載
されていない為、これを使えるNIKON製のデジタル
機は、中級機以上(例:D5000/D3000番台以外等)
に制限される事だ。
実は、この件は事前に詳しく調べておらず(汗)
なんとなく「2007年頃の製品ならば、大丈夫だ」
と思ってしまって購入、試しにD5300に装着すると
「あちゃ~ やっぱ、AFが動かないか」となって
しまい「軽量マクロシステム」を構築するのが厳しい。
だがまあ、本レンズのAF精度は低いので、どうせ
MF主体で使用するのであれば、G型対応アダプターで
全てのミラーレス機等で使用できるので、問題点には
ならない(まあ、購入前にも、そう考えていたから、
レンズ内モーター仕様は、どうでも良い、と思った)
今回は、旗艦D2Hに装着しているので、AFの動作や
精度については比較的快適に使えるのだが、さすがに
古過ぎるシステムだ(汗) まあでも「発売当時の
雰囲気を味わう」ならば、D2H、D70、D300
あたりに装着するのが、クラシカルで良いであろう。
とっくに生産終了したレンズだし、特に現代において
推奨すべきレンズでは無いが、「初のAPS-C専用の
マクロ」として歴史的価値は高い。まあ、参考まで。
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では、次のマクロレンズ。
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レンズ名:HD PENTAX-DA 35mm/f2.8 Macro Limited
レンズ購入価格:26,000円(中古)(以下、HD35/2.8)
使用カメラ:PENTAX KP (APS-C機)
2013年に発売されたDA型(APS-C専用)準広角
(標準相当)AF等倍マクロレンズ。
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PENTAXのLimitedシリーズでは、初のマクロ仕様の
レンズとなっている。(注:厳密には、2008年の
smc版が「初」である)
本レンズの出自は、前項目のTOKINA AT-X M35で
説明した通りである、まあつまり両者は「兄弟レンズ」
である。
しかし、両者のデザイン感覚には雲泥の差があり、
本HD35/2.8は、流麗で優美であるが、AT-X M35は、
見るからに野暮ったい。
まあでも、PENTAXでは、1990年代のFAシリーズの
レンズの外観デザインは、上記TOKINAよりもなお、
野暮ったい状況であった(汗)
だが、「誰が見ても課題が明白」な状況であるから、
以前の記事でも書いたが、1990年代末のFA Limited
シリーズ、および2000年代のDA/DFAシリーズレンズ
あたりから、PENTAXは重点的にレンズの外観デザイン
の改善を始めていた。
もうこの2010年代の本レンズの時代では、デザインは
他社の同時代の交換レンズよりも、遥かに優れる。
やはりまあ、「誰が見ても問題だ」という状況の方が
メーカー全体での改善意識が高まるのであろう。
むしろ老舗メーカー等で、何十年間も課題を放置した
ままの状況が、いくつも見受けられ、それらは保守的と
言えば聞こえは良いが、「改善の為の努力が無い」又は
「改善する認識すら無い」と見なせ、悪印象が強い。
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さて、本HD35/2.8であるが、課題が殆ど無い、
優秀なマクロレンズである。
この為、過去シリーズ「最強35mm選手権」記事では
数多ある35mm級交換レンズの中から、B決勝(下位の
決勝戦)にノミネートされ、B決勝第1回戦において
第2位(35mmレンズ総合では、およそ8位相当)に
ランクインの高成績を上げているレンズである。
ビギナー層においては、APS-C機専用レンズである事が
気になるかも知れないが、PENTAX機(デジタル一眼レフ、
およびK-01)は、フルサイズのK-1系を除き、全てが
APS-C型機であるから、あまり、そこ(APS-C専用)に
拘る(卑下する)必要は、まるで無い。
PENTAX機ユーザーであれば、必携のマクロと言えよう。
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では、3本目のマクロレンズ。
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レンズ名:OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm/f3.5 Macro
レンズ購入価格:22,000円(中古)(以下、MZ30/3.5)
使用カメラ:OLYMPUS OM-D E-M5Ⅱ Limited(μ4/3機)
2016年発売のμ4/3機専用のAF1.25倍マクロ。
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1952年に、世界初の内視鏡(胃カメラ)を実用化した
オリンパスは、医療分野やマクロ分野に強いイメージが
世間一般的にある。
当然ながら、優秀なマクロレンズを沢山ラインナップ
しているのか?と思いきや、その数はさほど多くは無い。
銀塩時代のOM-SYSTEMでは、医療用の特殊マクロを除き、
一般撮影用のマクロレンズは3機種のみのラインナップ、
4/3時代のZUIKO DIGITALでは、マクロは2機種のみだ。
そして、μ4/3時代のM.ZUIKO DIGITALでも、
2012年に発売されたED 60mm/f2.8 Macro(未所有)と
本MZ30/3.5の、僅かに2機種しか無い。
(これらの、オリンパス製マクロレンズの歴史は、
「特殊レンズ第2回OLYMPUS新旧マクロ編」に詳しい)
で、2009年から、オリンパスのμ4/3機の展開が
始まっているのだが、本MZ30/3.5の発売は、ずいぶんと
遅いように思えてしまう。
まあ、「等倍以上の高倍率撮影」とか「フォーカス
ブラケットモード」への対応とか、これらの新機能
を搭載して、他社との差別化を狙おうとすれば、その
場合では、母艦(μ4/3機)側の進歩も必須であった
訳であり、像面位相差AF搭載機や、深度合成機能が
付いたOLYMPUS μ4/3機が普及したのは、2010年代
中頃からであったから、そのタイミングに合わせて
(待たせて)本MZ30/3.5を発売したのかも知れない。
そこまで「引っ張った」からか? 本レンズの描写
性能や基本性能は悪く無い。まあ、一級品であろう。
おまけに価格もそう高価では無い、本MZ30/3.5の
定価は37,500円+税であり、高性能マクロとしては
かなり安価だ。
また、超小型軽量(128g)であり、軽すぎて拍子
抜けするかも知れないが、システムが軽量化できる
事は悪く無い。
本レンズは、発売後あまり時間を置かない状況で
中古購入したが、税込み2万円強は、本レンズの
性能等を鑑みると「コスパは良い」と見なす事が
出来るであろう。
ただし、1点だけ重欠点が存在している。
それは、例によって無限回転式のピントリングであり
近接撮影で主体にすべきMF撮影の技法が、全くと
言っていい程に使えない点だ。
まあ、これはM.ZUIKO PREMIUM以下のランクのレンズ
(注:初級マニア層等では、俗に「松・竹・梅」と
呼ばれている。本レンズは中間の「竹」に相当する
「M.ZUIKO PREMIUM」のラインナップに属する)では、
ほぼ全てが「無限回転式ピントリング」であり・・
これはMF時において、最短撮影距離と無限遠の停止
感触が無かったり(つまり、手指の感触頼りのMFが
出来ない)、電源OFF時でのMF操作(合焦準備動作、
これで次の撮影を早める事ができる)が出来ない、
ピント位置をMFで仮固定しつつ電源を入り切りして
次の撮影時でも、撮影距離を一定化する、等の
MF上級技法が全く使えず、まるで実用的では無い。
なお、こういうMF技法は銀塩時代では「中級」程度
のレベルの技能であったのだが、カメラがAF化して
から30年以上も経過すると、ユーザー層においても
メーカー側においても、すっかりMF技法を使わず、
皆、忘れてしまった(又は、一切知らない)模様で
あり、上記のような、MFの基本的な撮影技法ですら、
「MF上級技法」に属する、レベルの高い技能となって
しまっている。
で、まあ、AFがちゃんと合ってくれるのであれば、
特にMF技法なんぞは使わないでも済むし、一般の
(マクロでは無い)レンズでは、中遠距離の撮影に
おいて、像面位相差AFが入っている高性能カメラと
一般レンズであれば、特殊な被写体(例:高速で飛ぶ
小さい鳥や昆虫等)で無ければ、AFのみで事足りる。
だがマクロレンズではダメだ。近接時に非常に浅く
なる被写界深度であれば、MFでの精密なピント合わせ
が必須となる。その場合「無限回転式ピントリング」
では、お話にもならない訳だ。
「だったらAFを使わず、S-AF+MFまたはMFで撮れば
良いでは無いか?」と思うかも知れない。
でも、そういう風に、頭の中だけで考えているだけ
では、実際の操作性・操作系は理解できない。
オリンパス機では、MFモードにしたとしても、一旦は
ピントリングに触らない限りピーキングは出て来ない。
だから、撮影中にカメラの電源をOFFにしたり、あるいは
何らかのカメラ設定を変える(例:モードダイヤル
を廻す)と、もう、カメラはピーキングを表示する事を
すっかり忘れてしまう。だからそこでまたピントリング
に手を触れて、ピーキングを出しなおす必要があるが
被写界深度の浅い状態で、せっかくMFで精密にピント
を合わせていたのに、そこでまたピントリングを廻し
直しとなったら、”元の木阿弥”である。
また、ピーキングなしでもEVFで完璧にピントが合う
程には、OLYMPUS機のEVFの性能は高く無い。
また、画面拡大の操作系はOLYMPUS機全般で劣悪だ。
(注:これらは、PANSONICのμ4/3機だと、いくつかの
課題は解決される)
それと、S-AF+MF等のシームレスMFモードでは、さらに
酷く、MFが効くのは合焦後のシャッター半押し状態の
間だけであり、一旦シャッターを切って撮影をしたり、
あるいはシャッターボタンの半押しをし直しただけでも、
またMFでの意図とは別の測距点でAFが効いてしまい、
苦労して合わせたピント位置を、すっかりカメラ側は
忘れてしまっている。
まあ、これはオリンパスだけの問題なのでは無く
殆ど全てのミラーレス機用レンズ、および一眼レフ用
での超音波(等)モーター搭載のシームレスMF仕様の
レンズにおいて、同様に「MFが実用範囲外」という
大きな課題となっている。
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まあ、個人的には、この「非効率的な操作系」にも、
幸か不幸か(たぶん不幸だ)ずいぶんと慣れたので、
AFが強力なカメラ+通常レンズによる撮影では、殆ど
気にならないが、マクロレンズや大口径レンズ等の
精密なピント合わせが必要なレンズとなると、こうした
シームレスMF操作性仕様では、正直、使い物にならない。
それだったら、いっそ、フォクトレンダー製のマクロ・
アポランターのように、現代マクロレンズでもMF仕様に
特化してもらったほうが、ずっと潔いし、勿論ながら
撮影効率も、格段にそちらの方が高い。
まあつまり、マクロレンズで無限回転式ピントリング
やシームレスMF仕様のものは「実用価値が極めて低い」
という事である。
この事はメーカー側も、初級中級ユーザー層も理解が
できていない事かも知れないが、MFを多用する実践派
マニア層でマクロ撮影までする人達であれば、きっと
誰もが同様に、大きな不満に思っている事だろう。
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では、4本目のレンズ。
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レンズ名:Voigtlander NOKTON 25mm/f0.95(初期型)
(注:独語綴の変母音は省略)
レンズ購入価格:84,000円(新品)(以下、NOKTON25)
使用カメラ:PANASONIC DMC-G1(μ4/3機)
2011年発売のμ4/3機専用超大口径MF標準画角レンズ。
後年に、本NOKTON25は小改良されてType Ⅱ型となって
いるが、本レンズは初期型である。
Ⅱ型では、絞り環を逆転させると、クリック感の無い
「無音/無段階絞り」となり、動画撮影時での操作音
への配慮や、中間絞りを使用可能とする措置を行って
いるのであるが、他の仕様は、恐らく初期型と同じだ。
(注1:TYPEⅡでの「絞り環の仕様」は、他のNOKTON
F0.95シリーズのレンズでは、当初から搭載されている)
(注2:この「無段階絞り」の特徴を起因として、μ4/3
センサーを用いた動画撮影用機材として、何故かNOKTONの
人気が高い。だけど、それは「鶏が先か卵が先か?」という
話と類似に思えてしまう。「無段階絞り」だから動画用に
適するという単純な話でもあるまい。そして、被写界深度が
極めて浅いNOKTONは、動画撮影時に他者とは異なる映像表現が
出来る事が特徴だとは思うが、常時MFしか使用できないから
撮影難易度は極めて高い事であろう・・)
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本レンズはマクロでは無いが、最短撮影距離が
17cmと極めて寄れる。25mmが実焦点距離であるから、
その「10倍則」(=最短25cm)と比べてみれば実感が
できるだろう。最大撮影倍率は約1/4倍であるが、
μ4/3機であるし、適宜デジタル拡大機能を用いれば、
ほとんど等倍マクロレンズのように扱う事も出来る。
ただし、元々F0.95の大口径レンズであるから、
近接撮影時においては、多大なボケ量が得られる。
しかし逆に言えば、「被写界深度が極めて浅い」
状態になるので、(MFでの)ピント合わせは難関だ。
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おまけに絞り開放近く、かつ近接撮影においては
球面収差を始めとする諸収差の急激な増大により、
解像感の低下した描写になるので注意が必要だ。
まあ、本レンズは、ちょっと特殊すぎるであろう。
上級マニア層以外には非推奨だ。
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では、5本目のマクロ(マイクロ)レンズ。
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レンズ名:NIKON Ai Micro-NIKKOR 55mm/f3.5
レンズ購入価格:9,000円(中古)(以下、Ai55/3.5)
使用カメラ:NIKON Df(フルサイズ機)
1977年に発売のMF標準1/2倍マクロ。
ただし、NIKONにおいては、「マイクロ」レンズ
と呼ぶ。(注:本来は、そちらが正しい)
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今回は、ニコン製オールドレンズの装着汎用性の
高いNIKON Dfを母艦としているが、本レンズは
Ai仕様であるから、NIKON一眼レフでの高級機
(レンズ情報手動設定機能のある機種、Dヒトケタ
D三桁機等)であっても、露出制御においては問題
無く使用できる。
ただ、ピントがシビアなマイクロレンズであるから、
NIKON(デジタル/AF)一眼レフでのフォーカスエイド
機能に頼り難い(スキルの)場合は、汎用性の高い
NIKON Ai(F)マウントのメリットを活かして、任意の
ミラーレス機等にマウントアダプターを介して装着、
当該機体での、各種MFアシスト機能を活用すれば、
撮影難易度は、やや下がると思う。
また、本レンズは典型的な「平面マクロ」である為
その固いボケ質までを、ある程度、制御しようとする
ならば、もう一眼レフの光学ファインダーでは無理で
あり、高精細EVFを搭載したミラーレス機を母艦と
する方が、遥かに有利/効率的となる。
スペックだが、4群5枚構成、最短撮影距離24.1cm
である。この時代の、標準ハーフマクロであれば、
だいたいどれも似たような仕様ではあるが、たとえ
同じレンズ構成であっても、全く同じ性能(描写)に
なる訳ではなく、設計上の様々な基準となる事項
に合わせて、そのレンズの特性は変わる。
(注:非技術者層等においてのカメラ用語(俗語)で、
レンズの設計上で無限遠撮影を優先するか、あるいは
近接撮影時の性能を優先するか?を、「設計基準」と
呼ぶ事が多いのだが、実際の「設計」または仕様決定
の技術的な業務においては、そのように、どの性能を
優先すべきか?の「基準」は、いくらでも存在する。
だから、単に「設計基準」と言っただけでは、それが
撮影距離の設計要素を表すものには、なりようが無い。
が、恐らくだが設計サイドの人達であれば、そうした
非技術者層に説明する際に、わかりやすく「設計基準」
という言葉を使う事も有り得ると思う。よってこの
用語は、どこかで、そういう言葉を聞いた記者等が、
「その事を設計基準と言うのだ」と、誤解して広まった
次第であろう。本ブログでは基本的に非推奨の用語だ。
→匠の写真用語辞典第38回記事(予定)参照。
さらに余談だが、”カードゲーム”(Playing Cards)
の事を、日本で「トランプ」と呼ぶのは、いくつかの
種類のゲーム(例:コントラクトブリッジ等)で、
「切り札」の意味で「トランプ!」とコールしたのを、
ある日本人が聞いて、カードそのものの事を「トランプ」
と呼ぶと誤解し、それが広まった、という説がある。
その真偽は不明だが、設計上での優先撮影距離の事を
「設計基準」と誤解する事と似たような話か・・)
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総括だが、「平面マクロ」特性を体感したい、または
そういう特性のマクロ(マイクロ)レンズでも用途が
ある、と考えるならば、本Ai55/3.5の選択は悪く無い。
だが、そういう具体的な用途が一切無く、ただ単に
「マクロ(マイクロ)レンズが欲しい」と、ざっくりと
考えているならば、本Ai55/3.5は、全く推奨できない
レンズとなる。NIKON純正であれば、ずっと後年の
機種か、またはレンズサードパーティ製の2000年代
以降のマクロを選択する事が賢明であろう。
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次は本記事ラストのマクロとなる。
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レンズ名:Voigtlander MACRO APO-LANTHAR 65mm/f2
(注:独語綴りの変母音記載は省略)
レンズ購入価格:122,000円(新品)(以下、MAP65/2)
使用カメラ:SONY α7 (フルサイズ機)
2017年に発売されたフルサイズ対応大口径MFマクロ
レンズ。最大1/2倍仕様である。
現状、SONY E(FE)マウント専用で、他のマウント対応
版は発売されていない。
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実焦点距離が65mmと変則的なので、標準マクロの
カテゴリーとするか、準中望遠?と扱うのが良いか
微妙である。ただまあ、それは単なるカテゴリー分け
での話なので、重要では無い。
実用上では、本レンズは、個人的には「APS-C機に
装着した方が良い」と考えている。
フルサイズ機を母艦として、1/2倍の撮影倍率では、
「やや寄れない」という不満があり、これをAPS-C
機で使用時は、約100mm画角、0.75倍(以上)の
慣れた中望遠マクロ画角となり、おまけに開放F2
は、一般のF2.8級マクロより2倍も明るい。
(注:近接撮影では「露光(露出)倍数」が係り
開放F値が、見かけ上で低下するので、少しでも
口径比が明るいレンズを使うのが有利だ)
SONYのAPS-C機で、NEX-7やα6000系機体を選び
それらに装着した場合の重量バランスについては
ややトップヘビー(レンズ側が重い)ながらも、
システムの重心位置が、ほぼピントリングの所に
来る事。そして、そこに指を当ててホールドすれば、
本レンズでの変則的な絞り環の位置(レンズ前部)
にも指が同時に届き、快適なMF操作性が実現できる。
今回のように、α7で使った場合は、重心位置が
やや変わって後方にずれ、ピントリング位置はまあ
良いのだが、絞り環の操作で左手の持ち替えが発生
してしまうのだ。(=操作性の悪化を招いている)
(注:カメラ本体側の電子ダイヤルでの絞り値操作
を実現する「A」位置の絞りは、本レンズには無い。
まあ個人的には、そこはあまり気にしないのだが、
本レンズの絞り環は若干のクリック音が出るので、
動画撮影を志向する人には辛いかも知れない)
なお、このように、MFレンズの場合では、カメラ
本体との重量バランス、またはシステム総合重心位置
とレンズの仕様とのマッチングは重要だ。
ここで注意点は、
1)銀塩時代に良く言われていたように、「重たい
レンズには、重たいカメラをあてがうのが良い」
というのは、総合的には俗説(デマ)である。
ただ、MFシステムでは「重心位置を上手く整える」
という意味においてのみ、それは正しい。
また、超重量級システムは当然、三脚必須となる為
現代的な手持ち撮影技法とは環境が異なっている。
まあ、”ケースバイケースだ”という事だ。
2)AFレンズ、かつ単焦点の場合は特にだが、
左手のレンズ操作が殆ど無く、左手はただ単に
システム重心をホールドしているだけで済む。
この場合、銀塩時代での常識とは全く逆に、
「重たい単焦点AFレンズには軽いカメラをあてがい、
システムの総重量を軽減、ハンドリング性能を上げる」
というのが現代的な方法論である。
現に、SONY α7/9系、OLYMPUS OM-D E-M1系等の
軽量機体に、大型レンズを装着して業務撮影用途に
使うケースも相当に増えて来ている模様だ。
という感じになる。
さて、本レンズはMF仕様であるから、ちょっと前述した
ような近代のミラーレス機用マクロでの、ピントリング
の問題での、AFおよびシームレスMFでの操作系の課題は
一切発生しない点が利点であろう。
ただまあ、これでも電子接点を持つレンズであるから
自動的にカメラ内に距離指標が出てしまって鬱陶しい。
なお、ピントリングに触れると「自動拡大表示」を行う
αミラーレス機の機能については完全にOFFしておく事が
望ましい、何故ならば、ピント合わせは常に画面中央で
行う訳では無いから、画面上の、どこででもMFでピント
を合わせる事を可能とするのが重要であるからだ。
なお、手動による画面拡大は、近年のSONYミラーレス機
では、あまり操作系が練られてはおらず、使い難い。
これであれば、画面拡大は行わず、SONY機での優秀な
ピーキング機能に頼る方が賢明だ。
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総括であるが、悪い性能のレンズでは全く無いので、
中級層以上であれば、十分に推奨できるのであるが、
最大の課題は価格の高さである。
(注:本MAP65/2の評価上での重欠点は「コスパ」
の評価のみであり、他の弱点はほとんど無い。
だから、安価に購入できればコスパ評価が向上する)
これを無理して新品では買おうとせず、中古市場を
ウォッチして適正な相場となっているものを狙うのが
良いであろう。幸いにして中古の玉数は、さほど
少ない訳ではなく、程度に応じて8万円台あたりから、
色々と出回っている。
そこで注意点だが、コシナ(フォクトレンダー)製品
は、どれも長期間の販売を継続する訳では無く、所定
の生産台数(企画台数)が終了したら、いつの間にか
生産中止となっている事が極めて多い。
で、たいていの場合、生産中止となったフォクトレンダー
レンズは、投機的な要素からプレミアム相場(=これは
不条理なまでに高額、という意味)になってしまうので
後になって「どうしても欲しい」と言っても手遅れだ。
欲しければ、適正な価格で入手できる期間内に必ず
買って置く事。もし買いそびれたら、もうその場合は
「縁が無かった」と思って、すっぱりと諦めてしまう
のが良いだろう。 希少なレンズは、必ずと言っていい
程、後年に投機層や流通市場が「これは凄いレンズだ!」
と不自然な迄の高評価を広めるから、「好事家」等は
「どうしてもそれが欲しい」という風になってしまう。
だが、「好事家」ではなく「マニア」を目指すならば、
レンズ(やカメラ)の価値は、必ず自分自身で判断
しなくてはならない。元々、価値観も機材用途も撮影
の目的も撮影技能も全てが異なる他人の、意見や評価
内容などは、一切参考にはならない事は当然であろう。
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なお、姉妹レンズMAP110/2.5との差異が気になる
かも知れないが、両レンズの描写傾向はそっくりで
あり、単に利用者の使用目的により、両者を選ぶのが
良いであろう。
(参考:特殊レンズ第11回「マクロアポランター・
グランドスラム」編で、両レンズを紹介している)
----
では今回はこのあたり迄で。なお、決勝リーグへの
勝ち上がりマクロレンズは、シリーズ終盤で発表する。
次回の本シリーズ記事は、
「最強マクロ選手権・広角マクロ・予選(1)」を予定。
今回は「標準マクロ」カテゴリーの予選第4組、
これにて、標準マクロ編は終了となり、次回記事では
別の焦点距離カテゴリーでの対戦とする。
他、色々なルールに関しては、本シリーズ第一回記事
の冒頭部分を参照の事。
では早速、標準マクロの予選(4)を始めよう。
----
まずは最初の標準マクロレンズ。
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レンズ購入価格:18,000円(中古)(以下、AT-X M35)
使用カメラ:NIKON D2H (APS-C機)
2007年発売の、APS-C機専用準広角(標準画角相当)
AF等倍マクロレンズ。
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から、デジタル一眼レフが、ポツポツと一般層にも
普及が始まり、翌2004年には、各社から低廉な
価格帯のデジタル一眼レフが出揃い、世の中は
本格的な「デジタル一眼レフ時代」となった為、
個人的には、2004年を「デジタル一眼レフ元年」
と呼んでいる。
ただ、その時点では、高価なCANON EOS-1Ds系機体
と、商業的に失敗したCONTAX N DIGITALを除き、
フルサイズ機(デジタル一眼レフ)は存在していない。
よって、一般的なAPS-C機を購入したユーザー層は
(4/3機を除き)銀塩時代からの(AF)交換レンズ群を
利用していたのだが、その際、焦点距離(換算画角)
が、1.5倍程度に伸びる事に、多くのユーザー層は
違和感や不満を持っていた。
なので、2003年頃から2005~6年頃にかけて、
市場では「35mm近辺の焦点距離の単焦点」を買う
ユーザー層が急増した。
何故ならば、それをAPS-C機に装着すれば、銀塩時代から
慣れ親しんだ50mmの「標準画角」が得られるからだ。
まあ、今から振り返ってみれば、APS-Cで変化した画角
に利用者の感覚をアジャスト(調整)すれば済む話で
あったので、35mmレンズを買う必然性も、さほど多くは
無かったのだが、それでも、フィルム機から持ち替えた
ばかりの「デジタルの初級ユーザー」(これは、たとえ
銀塩時代における中上級者層であっても、デジタルの
原理や撮影に関しては、完全なビギナー層と同等だった)
は、多くが35mmレンズを欲した。
その状況において、残念ながら「投機層」が動いてしまい、
(注:個人のみならず、流通等で、組織的にこの買占め
措置が行われた。一応、どこがやったかは知っている)
2004年~2005年にかけて、新品および中古市場から、
ありとあらゆる(注:デジタル機では使用が出来ない物
であっても)35mmレンズが買い占められ、少し時間を
置いて、中古市場にそれらが放出され、当然ながら
「とんでもない高値」で販売されるようになった。
(まあ、近年のコロナ禍の際の、トイレットペーパーや
マスクの転売と同じ事で、品薄になったものを欲しがる
人達が多ければ、不条理なまでの高値で売りつける事が
出来る訳だ。勿論、道義的には良く無い行為だから、
コロナ時には、市場や政府が転売を抑制したのだが、
カメラやレンズでは、市場介入が起こるはずもなく、
こうした「投機的」な話は、いつでも起こり得る。
その際の最大の課題は、消費者の皆が、同じものを
欲しがってしまう事だ。何故35mmレンズが、そんなに
必要なのか? 私には良く理解できなかった・・・)
SIGMAは、この状況を見て、すぐさま(AF)30mm/F1.4
EX DC HSMを発売(2005年)、これを中級層や
マニア層が買い求めるようになると、一応それで
心理的な課題は解決するから、程なくして2006年頃
には「35mmレンズの投機」も破綻して終息を迎えた。
まあSIGMAでは、すぐさまこの措置が出来たのだが、
カメラメーカーの純正レンズでは、なかなかAPS-C
専用の(単焦点)レンズが出て来ない。それでも、
APS-C用ズームレンズは、ぽつぽつ発売があったから、
そちらの開発を優先したのかも知れない。
あるいは、カメラメーカーは、むしろ良くわかっていて
「APS-Cで変化した画角等の課題は、単焦点レンズを
使う中級者クラスであれば、その感覚をアジャスト
して使えば、広角が不足する事以外、問題は無い」
と、冷静に判断していたのかも知れない。
なお、この点でもSIGMAは上手であり、デジタル化
の直前の2001年に、20mm/F1.8、24mm/F1.8、
28mm/F1.8の、通称「SIGMA広角3兄弟(トリオ)」
が発売されている。
(特殊レンズ第52回「SIGMA広角3兄弟」編参照)
私は、それら広角3兄弟の一部は既に使っていたし
(=デジタル化の時代に備えていた)、35mmレンズ
も銀塩時代の主要なものは、全て残していたので
デジタル化の準備は万全であったし、さらに言えば
(恐らくは)メーカー側が推察していた通りに、
単焦点で画角が変化する点は、私は、重要な課題だ
とは認識していなかった。
まあつまり、「銀塩時代の常識」から抜け出せ
なかった「デジタルの初心者」が、当時あまりにも
多かった事が、この歴史の上でのポイントであろう。
・・さて、そんな状況の中、マクロレンズであるが、
銀塩用のAF(等倍)標準マクロは、APS-C機では、
中望遠のマクロとなって、かつ、1.5倍マクロと
なるから、用途的には、むしろ嬉しい状況だ。
だが、撮影画角が狭くなる為、”標準画角で撮れる
マクロも必要だ”、とも言えない話では無い。
けど、APS-C機専用マクロは、その混乱期の2006年
まででは、どのメーカーからも発売されていない。
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次いで、翌年に、PENTAXからも、同一スペック
(レンズ構成も、最短撮影距離もほぼ同じ)の
smc PENTAX-DA 35mm/F2.8 Limited が発売された。
両レンズは全く外観は異なるが、個人的な分析では
「両者は同一の光学系だ。メーカー間で設計を売買
したか?又は協業した可能性が高い」と見なして、
いずれ、これらのどちらかを買う計画とした。
実際の購入は、遅れに遅れ、TOKINA版も、PENTAXの
改良版(smc → HDにコーティングを変更)も
2010年代中頃以降の購入となったのだが、まあ、
あまり優先的に必要とするレンズでは無かったので、
「十分に中古相場が下がるのを待っていた」
という理由もある。
本レンズの課題としては、レンズ内モーターが搭載
されていない為、これを使えるNIKON製のデジタル
機は、中級機以上(例:D5000/D3000番台以外等)
に制限される事だ。
実は、この件は事前に詳しく調べておらず(汗)
なんとなく「2007年頃の製品ならば、大丈夫だ」
と思ってしまって購入、試しにD5300に装着すると
「あちゃ~ やっぱ、AFが動かないか」となって
しまい「軽量マクロシステム」を構築するのが厳しい。
だがまあ、本レンズのAF精度は低いので、どうせ
MF主体で使用するのであれば、G型対応アダプターで
全てのミラーレス機等で使用できるので、問題点には
ならない(まあ、購入前にも、そう考えていたから、
レンズ内モーター仕様は、どうでも良い、と思った)
今回は、旗艦D2Hに装着しているので、AFの動作や
精度については比較的快適に使えるのだが、さすがに
古過ぎるシステムだ(汗) まあでも「発売当時の
雰囲気を味わう」ならば、D2H、D70、D300
あたりに装着するのが、クラシカルで良いであろう。
とっくに生産終了したレンズだし、特に現代において
推奨すべきレンズでは無いが、「初のAPS-C専用の
マクロ」として歴史的価値は高い。まあ、参考まで。
---
では、次のマクロレンズ。
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レンズ購入価格:26,000円(中古)(以下、HD35/2.8)
使用カメラ:PENTAX KP (APS-C機)
2013年に発売されたDA型(APS-C専用)準広角
(標準相当)AF等倍マクロレンズ。
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レンズとなっている。(注:厳密には、2008年の
smc版が「初」である)
本レンズの出自は、前項目のTOKINA AT-X M35で
説明した通りである、まあつまり両者は「兄弟レンズ」
である。
しかし、両者のデザイン感覚には雲泥の差があり、
本HD35/2.8は、流麗で優美であるが、AT-X M35は、
見るからに野暮ったい。
まあでも、PENTAXでは、1990年代のFAシリーズの
レンズの外観デザインは、上記TOKINAよりもなお、
野暮ったい状況であった(汗)
だが、「誰が見ても課題が明白」な状況であるから、
以前の記事でも書いたが、1990年代末のFA Limited
シリーズ、および2000年代のDA/DFAシリーズレンズ
あたりから、PENTAXは重点的にレンズの外観デザイン
の改善を始めていた。
もうこの2010年代の本レンズの時代では、デザインは
他社の同時代の交換レンズよりも、遥かに優れる。
やはりまあ、「誰が見ても問題だ」という状況の方が
メーカー全体での改善意識が高まるのであろう。
むしろ老舗メーカー等で、何十年間も課題を放置した
ままの状況が、いくつも見受けられ、それらは保守的と
言えば聞こえは良いが、「改善の為の努力が無い」又は
「改善する認識すら無い」と見なせ、悪印象が強い。
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優秀なマクロレンズである。
この為、過去シリーズ「最強35mm選手権」記事では
数多ある35mm級交換レンズの中から、B決勝(下位の
決勝戦)にノミネートされ、B決勝第1回戦において
第2位(35mmレンズ総合では、およそ8位相当)に
ランクインの高成績を上げているレンズである。
ビギナー層においては、APS-C機専用レンズである事が
気になるかも知れないが、PENTAX機(デジタル一眼レフ、
およびK-01)は、フルサイズのK-1系を除き、全てが
APS-C型機であるから、あまり、そこ(APS-C専用)に
拘る(卑下する)必要は、まるで無い。
PENTAX機ユーザーであれば、必携のマクロと言えよう。
---
では、3本目のマクロレンズ。
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レンズ購入価格:22,000円(中古)(以下、MZ30/3.5)
使用カメラ:OLYMPUS OM-D E-M5Ⅱ Limited(μ4/3機)
2016年発売のμ4/3機専用のAF1.25倍マクロ。
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オリンパスは、医療分野やマクロ分野に強いイメージが
世間一般的にある。
当然ながら、優秀なマクロレンズを沢山ラインナップ
しているのか?と思いきや、その数はさほど多くは無い。
銀塩時代のOM-SYSTEMでは、医療用の特殊マクロを除き、
一般撮影用のマクロレンズは3機種のみのラインナップ、
4/3時代のZUIKO DIGITALでは、マクロは2機種のみだ。
そして、μ4/3時代のM.ZUIKO DIGITALでも、
2012年に発売されたED 60mm/f2.8 Macro(未所有)と
本MZ30/3.5の、僅かに2機種しか無い。
(これらの、オリンパス製マクロレンズの歴史は、
「特殊レンズ第2回OLYMPUS新旧マクロ編」に詳しい)
で、2009年から、オリンパスのμ4/3機の展開が
始まっているのだが、本MZ30/3.5の発売は、ずいぶんと
遅いように思えてしまう。
まあ、「等倍以上の高倍率撮影」とか「フォーカス
ブラケットモード」への対応とか、これらの新機能
を搭載して、他社との差別化を狙おうとすれば、その
場合では、母艦(μ4/3機)側の進歩も必須であった
訳であり、像面位相差AF搭載機や、深度合成機能が
付いたOLYMPUS μ4/3機が普及したのは、2010年代
中頃からであったから、そのタイミングに合わせて
(待たせて)本MZ30/3.5を発売したのかも知れない。
そこまで「引っ張った」からか? 本レンズの描写
性能や基本性能は悪く無い。まあ、一級品であろう。
おまけに価格もそう高価では無い、本MZ30/3.5の
定価は37,500円+税であり、高性能マクロとしては
かなり安価だ。
また、超小型軽量(128g)であり、軽すぎて拍子
抜けするかも知れないが、システムが軽量化できる
事は悪く無い。
本レンズは、発売後あまり時間を置かない状況で
中古購入したが、税込み2万円強は、本レンズの
性能等を鑑みると「コスパは良い」と見なす事が
出来るであろう。
ただし、1点だけ重欠点が存在している。
それは、例によって無限回転式のピントリングであり
近接撮影で主体にすべきMF撮影の技法が、全くと
言っていい程に使えない点だ。
まあ、これはM.ZUIKO PREMIUM以下のランクのレンズ
(注:初級マニア層等では、俗に「松・竹・梅」と
呼ばれている。本レンズは中間の「竹」に相当する
「M.ZUIKO PREMIUM」のラインナップに属する)では、
ほぼ全てが「無限回転式ピントリング」であり・・
これはMF時において、最短撮影距離と無限遠の停止
感触が無かったり(つまり、手指の感触頼りのMFが
出来ない)、電源OFF時でのMF操作(合焦準備動作、
これで次の撮影を早める事ができる)が出来ない、
ピント位置をMFで仮固定しつつ電源を入り切りして
次の撮影時でも、撮影距離を一定化する、等の
MF上級技法が全く使えず、まるで実用的では無い。
なお、こういうMF技法は銀塩時代では「中級」程度
のレベルの技能であったのだが、カメラがAF化して
から30年以上も経過すると、ユーザー層においても
メーカー側においても、すっかりMF技法を使わず、
皆、忘れてしまった(又は、一切知らない)模様で
あり、上記のような、MFの基本的な撮影技法ですら、
「MF上級技法」に属する、レベルの高い技能となって
しまっている。
で、まあ、AFがちゃんと合ってくれるのであれば、
特にMF技法なんぞは使わないでも済むし、一般の
(マクロでは無い)レンズでは、中遠距離の撮影に
おいて、像面位相差AFが入っている高性能カメラと
一般レンズであれば、特殊な被写体(例:高速で飛ぶ
小さい鳥や昆虫等)で無ければ、AFのみで事足りる。
だがマクロレンズではダメだ。近接時に非常に浅く
なる被写界深度であれば、MFでの精密なピント合わせ
が必須となる。その場合「無限回転式ピントリング」
では、お話にもならない訳だ。
「だったらAFを使わず、S-AF+MFまたはMFで撮れば
良いでは無いか?」と思うかも知れない。
でも、そういう風に、頭の中だけで考えているだけ
では、実際の操作性・操作系は理解できない。
オリンパス機では、MFモードにしたとしても、一旦は
ピントリングに触らない限りピーキングは出て来ない。
だから、撮影中にカメラの電源をOFFにしたり、あるいは
何らかのカメラ設定を変える(例:モードダイヤル
を廻す)と、もう、カメラはピーキングを表示する事を
すっかり忘れてしまう。だからそこでまたピントリング
に手を触れて、ピーキングを出しなおす必要があるが
被写界深度の浅い状態で、せっかくMFで精密にピント
を合わせていたのに、そこでまたピントリングを廻し
直しとなったら、”元の木阿弥”である。
また、ピーキングなしでもEVFで完璧にピントが合う
程には、OLYMPUS機のEVFの性能は高く無い。
また、画面拡大の操作系はOLYMPUS機全般で劣悪だ。
(注:これらは、PANSONICのμ4/3機だと、いくつかの
課題は解決される)
それと、S-AF+MF等のシームレスMFモードでは、さらに
酷く、MFが効くのは合焦後のシャッター半押し状態の
間だけであり、一旦シャッターを切って撮影をしたり、
あるいはシャッターボタンの半押しをし直しただけでも、
またMFでの意図とは別の測距点でAFが効いてしまい、
苦労して合わせたピント位置を、すっかりカメラ側は
忘れてしまっている。
まあ、これはオリンパスだけの問題なのでは無く
殆ど全てのミラーレス機用レンズ、および一眼レフ用
での超音波(等)モーター搭載のシームレスMF仕様の
レンズにおいて、同様に「MFが実用範囲外」という
大きな課題となっている。
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幸か不幸か(たぶん不幸だ)ずいぶんと慣れたので、
AFが強力なカメラ+通常レンズによる撮影では、殆ど
気にならないが、マクロレンズや大口径レンズ等の
精密なピント合わせが必要なレンズとなると、こうした
シームレスMF操作性仕様では、正直、使い物にならない。
それだったら、いっそ、フォクトレンダー製のマクロ・
アポランターのように、現代マクロレンズでもMF仕様に
特化してもらったほうが、ずっと潔いし、勿論ながら
撮影効率も、格段にそちらの方が高い。
まあつまり、マクロレンズで無限回転式ピントリング
やシームレスMF仕様のものは「実用価値が極めて低い」
という事である。
この事はメーカー側も、初級中級ユーザー層も理解が
できていない事かも知れないが、MFを多用する実践派
マニア層でマクロ撮影までする人達であれば、きっと
誰もが同様に、大きな不満に思っている事だろう。
---
では、4本目のレンズ。
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(注:独語綴の変母音は省略)
レンズ購入価格:84,000円(新品)(以下、NOKTON25)
使用カメラ:PANASONIC DMC-G1(μ4/3機)
2011年発売のμ4/3機専用超大口径MF標準画角レンズ。
後年に、本NOKTON25は小改良されてType Ⅱ型となって
いるが、本レンズは初期型である。
Ⅱ型では、絞り環を逆転させると、クリック感の無い
「無音/無段階絞り」となり、動画撮影時での操作音
への配慮や、中間絞りを使用可能とする措置を行って
いるのであるが、他の仕様は、恐らく初期型と同じだ。
(注1:TYPEⅡでの「絞り環の仕様」は、他のNOKTON
F0.95シリーズのレンズでは、当初から搭載されている)
(注2:この「無段階絞り」の特徴を起因として、μ4/3
センサーを用いた動画撮影用機材として、何故かNOKTONの
人気が高い。だけど、それは「鶏が先か卵が先か?」という
話と類似に思えてしまう。「無段階絞り」だから動画用に
適するという単純な話でもあるまい。そして、被写界深度が
極めて浅いNOKTONは、動画撮影時に他者とは異なる映像表現が
出来る事が特徴だとは思うが、常時MFしか使用できないから
撮影難易度は極めて高い事であろう・・)
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17cmと極めて寄れる。25mmが実焦点距離であるから、
その「10倍則」(=最短25cm)と比べてみれば実感が
できるだろう。最大撮影倍率は約1/4倍であるが、
μ4/3機であるし、適宜デジタル拡大機能を用いれば、
ほとんど等倍マクロレンズのように扱う事も出来る。
ただし、元々F0.95の大口径レンズであるから、
近接撮影時においては、多大なボケ量が得られる。
しかし逆に言えば、「被写界深度が極めて浅い」
状態になるので、(MFでの)ピント合わせは難関だ。
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球面収差を始めとする諸収差の急激な増大により、
解像感の低下した描写になるので注意が必要だ。
まあ、本レンズは、ちょっと特殊すぎるであろう。
上級マニア層以外には非推奨だ。
---
では、5本目のマクロ(マイクロ)レンズ。
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レンズ購入価格:9,000円(中古)(以下、Ai55/3.5)
使用カメラ:NIKON Df(フルサイズ機)
1977年に発売のMF標準1/2倍マクロ。
ただし、NIKONにおいては、「マイクロ」レンズ
と呼ぶ。(注:本来は、そちらが正しい)
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高いNIKON Dfを母艦としているが、本レンズは
Ai仕様であるから、NIKON一眼レフでの高級機
(レンズ情報手動設定機能のある機種、Dヒトケタ
D三桁機等)であっても、露出制御においては問題
無く使用できる。
ただ、ピントがシビアなマイクロレンズであるから、
NIKON(デジタル/AF)一眼レフでのフォーカスエイド
機能に頼り難い(スキルの)場合は、汎用性の高い
NIKON Ai(F)マウントのメリットを活かして、任意の
ミラーレス機等にマウントアダプターを介して装着、
当該機体での、各種MFアシスト機能を活用すれば、
撮影難易度は、やや下がると思う。
また、本レンズは典型的な「平面マクロ」である為
その固いボケ質までを、ある程度、制御しようとする
ならば、もう一眼レフの光学ファインダーでは無理で
あり、高精細EVFを搭載したミラーレス機を母艦と
する方が、遥かに有利/効率的となる。
スペックだが、4群5枚構成、最短撮影距離24.1cm
である。この時代の、標準ハーフマクロであれば、
だいたいどれも似たような仕様ではあるが、たとえ
同じレンズ構成であっても、全く同じ性能(描写)に
なる訳ではなく、設計上の様々な基準となる事項
に合わせて、そのレンズの特性は変わる。
(注:非技術者層等においてのカメラ用語(俗語)で、
レンズの設計上で無限遠撮影を優先するか、あるいは
近接撮影時の性能を優先するか?を、「設計基準」と
呼ぶ事が多いのだが、実際の「設計」または仕様決定
の技術的な業務においては、そのように、どの性能を
優先すべきか?の「基準」は、いくらでも存在する。
だから、単に「設計基準」と言っただけでは、それが
撮影距離の設計要素を表すものには、なりようが無い。
が、恐らくだが設計サイドの人達であれば、そうした
非技術者層に説明する際に、わかりやすく「設計基準」
という言葉を使う事も有り得ると思う。よってこの
用語は、どこかで、そういう言葉を聞いた記者等が、
「その事を設計基準と言うのだ」と、誤解して広まった
次第であろう。本ブログでは基本的に非推奨の用語だ。
→匠の写真用語辞典第38回記事(予定)参照。
さらに余談だが、”カードゲーム”(Playing Cards)
の事を、日本で「トランプ」と呼ぶのは、いくつかの
種類のゲーム(例:コントラクトブリッジ等)で、
「切り札」の意味で「トランプ!」とコールしたのを、
ある日本人が聞いて、カードそのものの事を「トランプ」
と呼ぶと誤解し、それが広まった、という説がある。
その真偽は不明だが、設計上での優先撮影距離の事を
「設計基準」と誤解する事と似たような話か・・)
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そういう特性のマクロ(マイクロ)レンズでも用途が
ある、と考えるならば、本Ai55/3.5の選択は悪く無い。
だが、そういう具体的な用途が一切無く、ただ単に
「マクロ(マイクロ)レンズが欲しい」と、ざっくりと
考えているならば、本Ai55/3.5は、全く推奨できない
レンズとなる。NIKON純正であれば、ずっと後年の
機種か、またはレンズサードパーティ製の2000年代
以降のマクロを選択する事が賢明であろう。
----
次は本記事ラストのマクロとなる。
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(注:独語綴りの変母音記載は省略)
レンズ購入価格:122,000円(新品)(以下、MAP65/2)
使用カメラ:SONY α7 (フルサイズ機)
2017年に発売されたフルサイズ対応大口径MFマクロ
レンズ。最大1/2倍仕様である。
現状、SONY E(FE)マウント専用で、他のマウント対応
版は発売されていない。
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カテゴリーとするか、準中望遠?と扱うのが良いか
微妙である。ただまあ、それは単なるカテゴリー分け
での話なので、重要では無い。
実用上では、本レンズは、個人的には「APS-C機に
装着した方が良い」と考えている。
フルサイズ機を母艦として、1/2倍の撮影倍率では、
「やや寄れない」という不満があり、これをAPS-C
機で使用時は、約100mm画角、0.75倍(以上)の
慣れた中望遠マクロ画角となり、おまけに開放F2
は、一般のF2.8級マクロより2倍も明るい。
(注:近接撮影では「露光(露出)倍数」が係り
開放F値が、見かけ上で低下するので、少しでも
口径比が明るいレンズを使うのが有利だ)
SONYのAPS-C機で、NEX-7やα6000系機体を選び
それらに装着した場合の重量バランスについては
ややトップヘビー(レンズ側が重い)ながらも、
システムの重心位置が、ほぼピントリングの所に
来る事。そして、そこに指を当ててホールドすれば、
本レンズでの変則的な絞り環の位置(レンズ前部)
にも指が同時に届き、快適なMF操作性が実現できる。
今回のように、α7で使った場合は、重心位置が
やや変わって後方にずれ、ピントリング位置はまあ
良いのだが、絞り環の操作で左手の持ち替えが発生
してしまうのだ。(=操作性の悪化を招いている)
(注:カメラ本体側の電子ダイヤルでの絞り値操作
を実現する「A」位置の絞りは、本レンズには無い。
まあ個人的には、そこはあまり気にしないのだが、
本レンズの絞り環は若干のクリック音が出るので、
動画撮影を志向する人には辛いかも知れない)
なお、このように、MFレンズの場合では、カメラ
本体との重量バランス、またはシステム総合重心位置
とレンズの仕様とのマッチングは重要だ。
ここで注意点は、
1)銀塩時代に良く言われていたように、「重たい
レンズには、重たいカメラをあてがうのが良い」
というのは、総合的には俗説(デマ)である。
ただ、MFシステムでは「重心位置を上手く整える」
という意味においてのみ、それは正しい。
また、超重量級システムは当然、三脚必須となる為
現代的な手持ち撮影技法とは環境が異なっている。
まあ、”ケースバイケースだ”という事だ。
2)AFレンズ、かつ単焦点の場合は特にだが、
左手のレンズ操作が殆ど無く、左手はただ単に
システム重心をホールドしているだけで済む。
この場合、銀塩時代での常識とは全く逆に、
「重たい単焦点AFレンズには軽いカメラをあてがい、
システムの総重量を軽減、ハンドリング性能を上げる」
というのが現代的な方法論である。
現に、SONY α7/9系、OLYMPUS OM-D E-M1系等の
軽量機体に、大型レンズを装着して業務撮影用途に
使うケースも相当に増えて来ている模様だ。
という感じになる。
さて、本レンズはMF仕様であるから、ちょっと前述した
ような近代のミラーレス機用マクロでの、ピントリング
の問題での、AFおよびシームレスMFでの操作系の課題は
一切発生しない点が利点であろう。
ただまあ、これでも電子接点を持つレンズであるから
自動的にカメラ内に距離指標が出てしまって鬱陶しい。
なお、ピントリングに触れると「自動拡大表示」を行う
αミラーレス機の機能については完全にOFFしておく事が
望ましい、何故ならば、ピント合わせは常に画面中央で
行う訳では無いから、画面上の、どこででもMFでピント
を合わせる事を可能とするのが重要であるからだ。
なお、手動による画面拡大は、近年のSONYミラーレス機
では、あまり操作系が練られてはおらず、使い難い。
これであれば、画面拡大は行わず、SONY機での優秀な
ピーキング機能に頼る方が賢明だ。
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中級層以上であれば、十分に推奨できるのであるが、
最大の課題は価格の高さである。
(注:本MAP65/2の評価上での重欠点は「コスパ」
の評価のみであり、他の弱点はほとんど無い。
だから、安価に購入できればコスパ評価が向上する)
これを無理して新品では買おうとせず、中古市場を
ウォッチして適正な相場となっているものを狙うのが
良いであろう。幸いにして中古の玉数は、さほど
少ない訳ではなく、程度に応じて8万円台あたりから、
色々と出回っている。
そこで注意点だが、コシナ(フォクトレンダー)製品
は、どれも長期間の販売を継続する訳では無く、所定
の生産台数(企画台数)が終了したら、いつの間にか
生産中止となっている事が極めて多い。
で、たいていの場合、生産中止となったフォクトレンダー
レンズは、投機的な要素からプレミアム相場(=これは
不条理なまでに高額、という意味)になってしまうので
後になって「どうしても欲しい」と言っても手遅れだ。
欲しければ、適正な価格で入手できる期間内に必ず
買って置く事。もし買いそびれたら、もうその場合は
「縁が無かった」と思って、すっぱりと諦めてしまう
のが良いだろう。 希少なレンズは、必ずと言っていい
程、後年に投機層や流通市場が「これは凄いレンズだ!」
と不自然な迄の高評価を広めるから、「好事家」等は
「どうしてもそれが欲しい」という風になってしまう。
だが、「好事家」ではなく「マニア」を目指すならば、
レンズ(やカメラ)の価値は、必ず自分自身で判断
しなくてはならない。元々、価値観も機材用途も撮影
の目的も撮影技能も全てが異なる他人の、意見や評価
内容などは、一切参考にはならない事は当然であろう。
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かも知れないが、両レンズの描写傾向はそっくりで
あり、単に利用者の使用目的により、両者を選ぶのが
良いであろう。
(参考:特殊レンズ第11回「マクロアポランター・
グランドスラム」編で、両レンズを紹介している)
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では今回はこのあたり迄で。なお、決勝リーグへの
勝ち上がりマクロレンズは、シリーズ終盤で発表する。
次回の本シリーズ記事は、
「最強マクロ選手権・広角マクロ・予選(1)」を予定。