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特殊レンズ・スーパーマニアックス(68)超広角マニアックス(後編)

本シリーズは、やや特殊な交換レンズを、カテゴリー別に
紹介する記事群だ。

従前の記事に引き続き「超広角(レンズ)マニアックス」
という主旨で、「実焦点距離が21mm以下の超広角レンズ」
(ただし、特殊レンズを含む)27本の紹介を継続中。

今回は「後編」として、残りの9本を取り上げる事とする。
なお、いずれも過去記事で紹介済みのレンズであるので
個々のレンズの解説や評価は最小限としておき、適宜、
一般的な話題を取り混ぜていく。

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ではまず、最初のシステム
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レンズは、TOKINA AT-X AF 17mm/f3.5
(中古購入価格 17,000円)
カメラは、SONY α65(APS-C機)

1990年代頃に発売された、フルサイズ対応AF単焦点
超広角レンズ。

当時としては10mm台の(AF)単焦点レンズは種類が少なく
また、メーカー純正品は(数が出ない故に)割高となるので
消費者から見た超広角レンズの選択肢はとても少なかった。

「希少な超広角画角が得られるのであれば、画質は二の次」
という要素もあったので、本レンズあるいは、このシリーズで
紹介中の超広角レンズは、飛びぬけた、感動的とも言える
描写力を持つものは(近年の新鋭レンズ製品を除き)皆無で
あると思われる。(時代、つまり技術の未成熟も原因だと思う)
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そもそも何故、超広角画角が必要なのか?という点も、実は
曖昧である。一般的なニーズとして「風景を広く撮りたい」
という目的があったとしても、21mm~24mm程度の広角で
十分、という様相もある。

あるいは、高いビルとか大きな橋等の建築写真、大人数での
集合写真、引き(空間の余裕)が無い状態での店舗・店内写真
等が考えられるが、まあこれらは趣味撮影と言うより業務撮影
の要素が大きい。そして業務撮影においては超広角レンズでの
パースペクティブ(遠近感)の過剰による「歪み」が気になる。
(注:この「歪み」は「歪曲収差」とイコールでは無い。超広角
故に起こる物であるから、物理的な回避は出来ない。できるだけ
目立たないように、撮影距離や構図等を工夫して撮るしか無い)

よって、超広角の分野は、主にアート的表現を得る為のもので、
雲などを含めたダイナミックな風景とか、主要被写体と他との
遠近カを強く強調する表現とか、できるだけ主要被写体に
近接しつつ、背景を広く取り入れる超広角マクロ的表現とか・・
まあ、そんな用途に限られるであろう。

つまり、いずれもアート的な表現を狙う上級層あるいは
アート系職業写真家層が求めるものであり、一般初級中級層や
初級中級マニア層においては、超広角レンズの用途そのものが
あまり無いのではなかろうか?

ビギナー層等が、ただ単に「広く写るレンズが欲しい」とか
思ったとして、もし高価なそれらを購入したとしても、
まず使い道は無いだろうし、使いこなしも出来ないと思われる
ので念の為。そういう「広く写る」レンズが欲しい場合は
本カテゴリーでの紹介範囲をギリギリで外れた、換算22mm
程度以上(狭い)画角のレンズの方が、はるかにビギナー層
には使い易いと思われる。

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では、次のシステム
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レンズは、SIGMA 19mm/f2.8 EX DN
(新古品購入価格 7,000円)(以下、EX19/2.8)
カメラは、SONY NEX-7(APS-C機)

2012年に発売されたミーラレス(μ4/3、Eマウント)専用
AF単焦点超広角(広角画角)レンズ。
当時の名称でEX DN型となっているが、その後のラインナップ
整備により、外観が変更され、Art Lineに統合されている。
(注:現代では生産終了)

こちらはAPS-C機以下のミラーレス機専用レンズである為、
換算画角も、一般的な広角と同じ28mmか(または38mm)
となる為、初級中級層でも使いこなせる広角画角だ。
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ただ、マニア層あるいは上級層であれば、28mm前後の広角
レンズは他にも色々と所有しているであろうし、あるいは
初級中級層でも、「標準ズームの画角に含まれるから不要」
という判断を下す事もあるだろう。

そうなると、本レンズの利用価値はいかに? という話に
なってしまう、ここで簡単に本レンズの長所を挙げておこう。

1)とても小型軽量である
2)とても安価である(消耗用途にも向く)
3)SIGMA高級コンパクトDP1(系)譲りの高描写力
4)最短撮影距離(20cm)が、一般的標準ズームより短い
5)フルサイズ用28mm広角より被写界深度を深く取れる

まあ、このあたり迄で十分であろう。こうした長所を理解し
上手く活用できる用途やスキルを持つ、中級層以上であれば、
本レンズの利用価値は十分にある、という事になる。

「スームが付いていなくちゃ嫌だ」「手ブレ補正が入って
いないと怖い」「フルサイズ対応でなくちゃ嫌だ」とか言う
超ビギナー向けのレンズでは無いので念の為。

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さて、3本目のシステム。
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レンズは、CBC(Computar) M1214-MP2 12mm/f1.4
(発売時定価 25,000円、中古購入価格 5,000円)
カメラは、OLYMPUS OM-D E-M1(μ4/3機)

発売年不明(2000年代?)のCCTV/マシンビジョン(FA)兼用、
メガピクセル対応、2/3型センサー用MF単焦点手動絞りレンズ。

本シリーズ第1回「マシンビジョン編」等で紹介済みだが
本記事ではμ4/3機に装着し、常時2倍テレコンモード
(4/3型÷2=2/3型であるから、イメージサークルが合致)
で使用する。
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毎回の説明だが、メーカー(ブランド)名は「Computar」
であり、一般的なComput「er」のスペルではなく「ar」が
正しい。
なお、一般にマシンビジョン用レンズは個人では入手困難で
あるが、本レンズは偶然、リサイクル店で発見したものだ。

しかし、あまりに専門性が強すぎるレンズであるので、
本レンズの紹介は最小限にとどめておく。
ちなみに、本記事においては、後で、もう1本のマシン
ビジョンレンズが登場する、そこでも少し追加で解説する
事としよう・・

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さて、4本目のシステム
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ユニットは、RICOH GR LENS A12 28mm/f2.5 (APS-C型)
(中古購入価格 26,000円)(以下、A28/2.5)
カメラは、RICOH GXR

2010年発売、他のユニットより少し遅れて出た広角
ユニットである、レンズ実焦点距離は約18mmであるが、
GXRシステムでは、フルサイズ換算画角での表記となる。

こちらも、過去記事で何度も紹介したユニットであり、
重複する為、説明は最小限としよう。
GXRの各所有ユニットの紹介は、本シリーズ第10回記事
「RICOH GXR編」にも詳しい。
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銀塩時代から続くGR/GR Digital/GXRシステムにおいては、
28mmという画角は「標準レンズ」とも言える。

ただ、最初期の銀塩GR1(1996年)においては、
「28mmという広角単焦点は、通(マニア)好み」と、
一般ユーザー層においては捉えられていた。ただし、これを
逆に言えば、「広角しかついていないカメラは、初級中級層
では使いこなす事が出来ない」という意味と等価となる。
(まあ、そうであるから、銀塩時代でのマニア層や上級層は、
28mm広角を使いこなす事が一種のステータスであった訳だ)

「そう(ビギナーには無理)なのだろうか?」と疑問を
持つかも知れないが、確かに、これらを購入したビギナー層
においては、銀塩またはデジタル初期でのGRシステムは、
上手く使いこなす事ができず、持て余して(=つまらない)
死蔵させてしまった人達を数多く知っている。
(注:デジタル期以降のGRでは、デジタルズームが内蔵
されていて、機種更新や時代を重ねるにつれ、その機能の
ユーザーでの使用頻度が高くなっていると思われる。
つまり、28mm画角に「頑なに拘る」GRユーザーの比率は、
銀塩時代よりも、だいぶ減っている、と見なす事も出来る)

ここで言う「使いこなす」とは、まず広角レンズでは、構図上
の意図が特に無い場合においては、できるだけ被写体に寄って
写す、というセオリーがある。何故ならば、主要被写体つまり
撮影者が注目した対象を、できるだけ明確化する必要がある事。
(さもないと、構図が散漫になる=何が言いたいかわからない)
さらには、寄って写す事で、主要被写体に対する背景の角度や
範囲、つまり「アングル」を自由自在にコントロールする事が
出来るようになるからだ。

後者の例は、簡単に言えば、望遠レンズを使っている際には
花や人物等の被写体を、遠くから「水平のアングル」でしか
狙う事が出来ないが、広角で近寄って写せば、花等を、上から
でも下からでも、どの角度からでも自由に写せる、という
意味である。

これらの事は、銀塩時代には「広角は一歩踏み込んで写せ」と
いう風に、アマチュア層の間では広まって(推奨されて)いた。
だけど、ただその「格言」だけで、技法的な説明が全く無ければ、
ただ単に、1歩だけ近寄って写そうとするだけで、ビギナー層
には、意味や意図が全く通じなかったとも思われる。

で、広角レンズには、そういう特性(または撮影技法)が
あるから、その性能(スペック)上では、最短撮影距離が
できるだけ短くないと、お話にもならない。

その目安は、広角レンズの(実)焦点距離の10倍、という
法則があり、例えば28mm広角レンズだと最短撮影距離は、
28cm以下のスペックでないと、用途的に苦しくなる訳だ。


本ユニットのレンズは約18mmの実焦点距離であるから、
希望する最短撮影距離は約18cm、しかしながら性能上の
最短は20cmと、ほんの僅かに足りない。
でもまあ、希望する値とほぼ同じではあるが、問題点は
本GXRシステムの初期ミラーレス機であるが故の貧弱な
コントラストAFシステムでは、近接撮影で、ほとんど
ピントが合わない事である。 


まあ、それはもういい、もはやGXRシステムは仕様老朽化寿命
(持論では、発売後10年迄)を超えてしまっているし、
今更GXRシステムを購入しようとするユーザーも少ない事で
あろう。そして、そういう人達は、よほどのマニアかベテラン
層であると思う、だから広角の撮影技法も、性能的な要点も
全てわかっているだろうし、AFの課題とか、最短撮影距離とか、
多少の問題点は、なんとでもしてしまう層だとも思われる。
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すなわち、本GXRシステムは完全に上級マニア層向けであり、
これもまた、初級中級層には(今となっては)全く推奨できない
システムである。

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では、5本目のシステムはトイレンズだ。
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レンズは、HOLGA LENS 10mm/f8 HL-PQ
(新品購入価格 3,000円)
カメラは、PENTAX Q7(1/1.7型センサー機)

2010年代に発売された、PENTAX Qシステム用トイレンズ。
実焦点距離は短いが、Qシステムはセンサーサイズが
小さい為、今回使用のPENTAX Q7では、換算焦点距離
(画角)は46mm相当となる。(注:Qシステム全機種
には、デジタルズーム(拡大)系の機能は入っていない)

さて、「HOLGA」と名がつく様々なカメラやレンズの
描写での共通の特徴は「周辺減光」(周辺光量落ち、
またはヴィネッティング等)が発生する事である。
(注:「トンネル効果」の呼び方は非推奨。理由は、
それ以前に、同じ名称の偉大な(ノーベル賞受賞)
電子物理学上の発見が日本人によりあったからである)
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何故、銀塩HOLGA(系)カメラに「周辺減光」が発生する
か?は、「口径食」によるものだが、ここで言う「口径食」
も、複数の原因・意味があり、そう単純な話ではない。

「光学」は、古くからある技術分野または学問であるが、
残念ながら「用語」が上手く統一されていない。
専門家ですら、そういう状態である事に加え、カメラや
レンズ等の一般庶民への普及も盛んであるから、そこでも
また好き勝手に用語が出来てきたり、広まったりする。

まあ、ここはやむを得ない節があるが、その結果として
注意するべきは、世の中一般には間違った概念等がとても
多く広まってしまっている事が1つ、もう1つは、真面目に
光学の勉強をしようとしても、①用語や概念の不統一
②専門的概念を一般に平易に説明する方法論が未成熟
(例:昔からある露出概念の「バケツに水を貯める」という
 説明の方法論では、デジタル時代に入り、ISO等の概念が
 追加された現代では、さっぱり意味が通じない説明手法だ。
 上記はごく単純な例だが、例えば「口径食」が発生する
 概念を平易に説明する手段は、まず無い。あるいはもっと
 シンプルな「絞り込むと被写界深度が増える」という原理
 をビギナーにわかりやすく説明する方法論は、皆無である)
③メーカーや市場にとって都合の悪い概念等は、あまり詳しく
 消費者層には伝えようとしない。例えば、一般的な撮像
 センサーでの「ベイヤー配列」では、原理的にフル画素の
 1/4しか解像度(画素数)が得られないが、その事は
 ちゃんとはユーザー層に対して説明されていない。
④デジタル光学分野はまだ新しい技術分野で、専門家層で
 すらも、解明できていない部分が多々ある。

・・といった課題があり、結局、ある程度より上のレベル
での光学の勉強・研究をする事自体が困難なのだ。

用語の未定義や不統一は、混乱を招く事もあるだろう。
たとえば、前述した「口径食」は複数の意味(原因)が
ある為、単にそう書いただけでは、何を意味しているかを
正しく伝える事はできない。また、デジタル光学の分野は
日進月歩の為、どんどんと新しい技術や概念が出来てくるが
そこでメーカー間や利用者間での用語統一など、そう簡単
には出来る筈もない。(それが出来るくらいならば、とっくに
カメラのマウントも統一されていただろう、各メーカーは自社
の都合や利益を優先するばかりだし、ユーザー層の大半も
自分が購入したカメラのブランドのみを信奉し、他社機材に
どんな特徴や機能があるか?なども、殆ど誰も知らない)

本ブログでは、そうした不明瞭な用語の課題を緩和する為に
数年前から「匠の写真用語辞典シリーズ」を展開しているが、
それもずっと継続中で、数十記事、数百項目のレベルにまで
膨れ上がってしまっている、という状況だ(汗)

まあ私も、自分で勝手に新しい用語を生み出している状態で
あるし、あまり人の事は言えない(汗)ただ、他の状況とは
異なるのは、新用語には、かならず「明確な定義」を添えて
説明・運用している事である。

結局、これらの状況により、ネット上、あるいはリアル世界上
において、あっちでも、こっちでも、光学的や物理的に正確
では無い情報や、それぞれの思い込み、あるいは勝手な解釈が
蔓延してしまう。これは困ったものであり、結局、そうした
世間一般の情報は、どれも参考にしたり信用する事が出来ない。
参照出来るのは、数値スペックとか、発売年などの歴史的な
事実のみとなる。

まあ、その結果、世間一般では、ややこしい光学の話とかは、
さっぱり理解できないから、「数値性能が優れていて、かつ
新しいカメラやレンズは良いものだ」とか、あるいは
「世間で評判が良い、有名なカメラやレンズは良いものだ」
という、まるで子供のようなレベルでの概念や思い込みで
しか、機材の評価や価値がわからない、という残念な
状況となってしまう。(まあ、この結果、近年での高額な
高付加価値型機材は、初級中級層にしか売れなくなって
しまった、現在ではマニア層でそれらの高額商品を志向する
要素は皆無であるとも言えると思う。不自然な状態ではあるが、
そうなっていかないと、縮退したカメラ市場が支えきれないで
崩壊の危機もある、という深刻な理由も状況としてある)

さて、余談が長くなったが、こうした事は、余談とは
言い切れず、とても重要な話だ。
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で、本HOLGAレンズは、典型的なトイレンズである。
トイレンズの存在意義等は、ここで書き出すと長くなるが
例えば「匠の写真用語辞典第5回記事」などを参照して
もらえれば良い、その概念が理解でき、自身の利用目的に
合うのであれば、トイレンズやLo-Fi機材を使えば良いし
理解できない、または賛同できないのであれば、こうした
トイレンズを買う必要はまるで無い。

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さて、6本目の超広角レンズ
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レンズは、OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-W 21mm/f3.5
(中古購入価格 30,000円)
カメラは、OLYMPUS OM-D E-M5 MarkⅡ Limited(μ4/3機)

発売年不明、恐らくは1970年代頃の発売と思われる
MF超広角レンズ。
他のOMレンズのように、G.ZUIKO等の、レンズ構成を
示す文字(Aが1枚であり、アルファベット順がレンズ
枚数となる。例:D.ZUIKOならば4枚構成)は付いて
いないが、本レンズは、7群7枚構成だと思われる。
まあ、広角レンズ故に若干レンズ枚数は多いが、極めて
小型軽量、コンパクトに作られている事が特徴だ。

超広角レンズと広角レンズの狭間に位置するレンズだ。
超広角は前述のように用途開発が難しいが、本レンズの
場合には、ぎりぎりの汎用性がある。
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さほど高価という訳でも無いので、銀塩時代には重宝した
レンズである、まあでも、それは他の20~21mm級の
各社レンズも同様であり、なんとか実用範囲の焦点距離
として使用できる。
OM ZUIKO ではF2版が併売されていたと思うが、そちらは
レアで高額なレンズだ(未所有) まあ、超広角レンズの
場合は、用途上においても、開放F値が明るい事は、あまり
大きな利点に繋がる訳でも無い事は述べておく。

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さて、7本目の超広角レンズ
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レンズは、TAMRON SP 17mm/f3.5 (Model 51B)
(中古購入価格 10,000円)(以下、SP17/3.5)
カメラは、SONY α7 (フルサイズ機)

1979年に発売された、MF超広角単焦点レンズ。
アダプトール2(交換マウント)仕様である。

現代においては高画質を表す、「SP」銘が付いているが、
この年1979年には、TAMRONでは様々な大きな経営改革
が行われ、レンズラインナップの見直しもあり、それ以降
「やや特殊な仕様」を持つ特別なレンズ群の多くに「SP」銘
が付けられていた(~1990年前後頃まで)

つまり、17mm超広角という特殊なレンズであるが故に
SP銘なのであって、これは高描写力を示す称号ではない。
まあ、ぶっちゃけ言えば、本レンズSP17/3.5においては、
「描写力はたいした事が無い」という事である。
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では、こうした低描写力の超広角をどう活用すか?だが
たとえば、フルサイズ機ではなく、APS-C機に装着する
という手法もある、すると、おおよそ25mmの画角となり
周辺収差も、ある程度消えて描写力上の課題が低減する。

ただまあ、その場合、フルサイズ機+高性能24mmレンズ
という選択肢もある訳で、まあ、どっちもどっちという
雰囲気だ。
本記事では、本レンズの限界性能チェックの為、そして
「用途開発」の為、あえてフルサイズ機を用いているが、
なんとも微妙なところであり、過去記事での紹介時や
他での利用時には、たいていAPS-C機で本レンズを使用
している。

まあ、本レンズについては、あまり「指名買い」の
必要性は無いであろう。TAMRONレンズの変遷を知る上
での研究用資料としての要素が、私にとっては大きい。

(参考:本レンズは、銀塩時代に後期型(151B)を所有
していたのだが、そちらは描写力の不満により、譲渡して
しまっていた、でも、歴史的価値を鑑みて、本初期型を
後年に再入手した次第である)

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では、8本目のシステム
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レンズは、VS Technology SV-1214H (12mm/F1.4)
(新品購入価格 18,000円)(以下、SV1214H)
カメラは、PENTAX Q(1/2.3型センサー機)

レンズ・マニアックス第20回記事で紹介の、
2010年代後半に発売されたと思われる、2/3型対応
Cマウント、マシンビジョン(FA)用単焦点汎用レンズ。

本シリーズ第1回記事「マシンビジョン編」では未紹介
であり、その記事で「SV-1214Hが欲しい」と書いては
いたが、その後の購入に至った次第である。

何故本レンズが欲しかったのかといえば、マシンビジョン
レンズを写真用に転用する際、最も被写体汎用性が高い
レンズだと思われたからだ。たとえば最短撮影距離は
10cmと、焦点距離10倍則を下回る高性能であり、
FA用によくある近接専用レンズでも無く、ちゃんと
無限遠までの撮影が可能だ。
また新鋭レンズであり、恐らくだが、170LP/mm以上
の高解像力仕様になっていると思われる、
VS Technology社製のレンズで、型番Hが付く機種は
珍しく、この意味はHigh Definition等であろうか?
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課題は、この手のマシンビジョン用レンズは、一般ルート
ではまず入手不能である事だ。普通は、個人には売っては
貰えず、必ず法人(企業等)で、ややこしい手続き
(見積書や発注書等の発行)を行わないと買えない。
ただ、マシンビジョン用レンズ商社等と親しくなれば
稀に個人に対してでも売ってくれる場合があるので、
そうやって入手したマシンビジョン用レンズも数本ある。

マシンビジョンは、カメラ中古市場には、絶対と言って
いいほど出回らないレンズでもあり、唯一の例外として、
ハードウェア系のリサイクル店で一度見かけ、喜んで
購入した事がある。場合により電気街等での監視カメラ
販売店でも扱っているケースもあるかもしれないが、
残念ながら中古レンズは、過去見つけた事が無い。
また仮にあった場合でも、監視カメラ全体のジャンク等と
なり、そこから取り外して使う事となるだろう。

結局、欲しいマシンビジョン用レンズがある場合は、
かなり特殊な購入方法で、かつ、殆ど値引き無しの
新品購入をするしか無い。そして、この市場分野も、
2011年の地デジ化以降、監視カメラ用で用いるモニター
TVがハイビジョン化されてしまった為に、要求される
レンズ性能(スペック)が高まり、結果的に高付加価値型
レンズとなり高価になっている。こうしたレンズの価格
は、2万円~5万円にも及ぶ事もあり、あまり趣味的な
要素で使うには向かない高額価格帯だ。

それに、数々の難条件をクリアして、無事レンズを入手
したとしても、こうしたレンズを写真用に使う条件を
整えるには、この分野(CCTV)の専門的な知識が必要
となる。あまりに専門的であり、上級マニアや職業写真家
であっても、その原理理解は困難だと思われる。

さらに、そこまでわかっていて、マシンビジョン用レンズ
を使う際、今度は、極めて高度な撮影技能が要求される
事に気づくであろう、一般的なカメラシステムでは、
ピントを合わせるだけでも困難な状況に陥ってしまう。

まあ、とても一般的に推奨する事が出来ない「特殊
レンズ」である、それ故に、本シリーズ第1回記事では、
当時このシリーズは非常にマニアックな特殊レンズを
紹介する目的でスタートした為、第1回記事で特集した
次第である。
なお、その後、本シリーズ記事は「超マニアック」という
要素は緩和し、各種レンズの総集編としての長期連載の
コンセプトに改めた為、一般的なレンズも紹介する事と
なったのだが、それでもまあ、基本的に私が欲しいと思う
レンズはマニアックなものばかりであるので、一般的とは
言うものの、初級中級層が欲しがる「人気レンズ」等は、
まず登場する事は無い。
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さて、本SV1214Hであるが、マシンビジョンレンズの
中では写真用途には向く方であろう、しかし元々
マシンビジョンを写真用途に用いる方が変則的であるし
実利用も困難すぎるし、入手性の課題もあり、あまりに
マニアック度が過剰だ。
まあ、一般的に推奨できるものでは決して無い状況だが
参考まで・・

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では、今回ラストのシステム
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レンズは、LAOWA 15mm/f4 (LAO006)
(新品購入価格 75,000円)(以下、LAOWA15/4)
カメラは、CANON EOS 6D (フルサイズ機)

2016年に発売された中国製MF特殊広角レンズ。

超広角レンズで等倍マクロ、そしてシフト機能を備える
かつて前例が無いスペック故に「特殊」と呼んでいる。

フルサイズ機で超広角、APS-C機で22mm程度の画角
となり、いずれも使い易い。写りはスペシャルな要素は
無いが、大きく不満に感じる点も少ないであろう。写り
よりもむしろ付加機能を楽しむ事が本レンズの主眼であり、
過去記事では、良く「宙玉」(ZENJIX SORATAMA 72)
用のマスター(装着用)レンズとしても紹介している。
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課題は、高価な事である。LAOWAは中国製と言っても
安価なレンズを売らず、高付加価値型、すなわち高性能
で特殊な仕様の、高級(高額)レンズメーカーなのだ。

必要か否か? という点に関しては、本レンズに限らず
他のLAOWAレンズも同様だが、世の中にはまず有り得ない
独自のスペックに対して、興味を感じるか? という
消費者側の心情に完全に依存する。

ただし、欲しくて買った場合、購入後は少し真剣に
本レンズと向き合う必要がある。
超広角シフトマクロなど、過去に前例が無いのだから、
他に参考にするべき情報は一切存在しない。
だからユーザー自身で「用途開発」を行いながら同時に
様々な研究や練習を進めていかなければならない訳だ。
高価なレンズであるから、それをしないならば、何も
意味が無い。同じ中国製レンズでも、一般的な超広角
(12mm程度)であれば、本レンズの1/3以下程度の
予算で買えてしまう訳だ・・

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では、今回の「超広角マニアックス(後編)」は、
このあたり迄で。次回記事は別カテゴリーとなる。


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