所有している一眼レフ用の50mm標準レンズを、AF/MFや
開放F値等によるカテゴリー別で予選を行い、最後に
決勝で最強の50mmレンズを決定するというシリーズ記事。
本シリーズ記事は予選を終え、いよいよ決勝リーグに突入
したのだが、これまで都合15記事で、紹介(対戦)した
標準レンズのおよそ80本という中で、性能面等の評価が
上位となったのだが、惜しくも決勝戦に進出までの評価は
得られなかった「次点の標準レンズ群」を5本紹介する。
つまり、ここは「B決勝戦」(下位決勝戦、あるいは
順位決定戦と解釈する事もできるだろう)となる訳だ。
まずは、B決勝戦勝ちあがりレンズ名を列記してみよう。
1)SONY DT50mm/f1.8
2)PENTAX SMCT55mm/f1.8
3)MINOLTA MC50mm/f1.7
4)MINOLTA AF50mm/f2.8
5)CONTAX NP50mm/f1.4
これは省略表記である、正式なレンズ名は各々後述する。
そして、APS-C機専用、フルサイズ用、マクロレンズ等が
混在し、作られた時代も1970年代~2000年代末と、
まちまちである。
各レンズの詳細や評価は追って述べていこう。
---
さて、ではまずは今回最初のB決勝戦進出レンズ。
![_c0032138_16352402.jpg]()
レンズ名:SONY DT50mm/f1.8 SAM (SAL50F18)
レンズ購入価格:9,980円(中古)
使用カメラ:SONY α77Ⅱ(APS-C機)
総合評価点=3.8点
「総合評価点」とは、描写力、マニアック度、コスパ、
エンジョイ度、必要度の5項目を、各々5点満点で評価し
その平均値を出したものだ。これは3点が標準的な水準
となり、4点を越えるとかなり優秀な名レンズと見なせる。
(ミラーレス名玉編の入賞は、だいたいそのレベル)
仮に4.5点を越えたら、もう完全な超絶的レンズであり、
マニア等であれば無条件で購入に値するレンズだ。
(なお、コスパ点があるので、仮に性能が良くても値段が
それに見合わなければ、まず高得点は得られない)
![_c0032138_16352486.jpg]()
これまで紹介の各標準レンズ約80本、および所有している
他のレンズの全て(およそ400本強)も、この評価を
各々行っていて、それをエクセルの表に記録してある。
よって、並べ替え(ソート)操作により、上位の得点の
レンズを選び出す事は簡単ではあるのだが、本シリーズに
関しては、単に評価点の上位レンズを本B決勝や決勝戦に
進出させた訳ではなく、若干だが個人的な感覚値を加えて
(つまり好き嫌いで)決勝リーグ進出レンズを決めている。
「それでは公平では無い」と思うかも知れないが、事実上、
市場に存在する殆ど全てのレンズを所有できる筈もなく、
購入時点で既に多少の「好き嫌い」が加わっていて
公平性が失われている事は、まあ、やむを得ない。
ただし、できるだけ様々なメーカーの製品を選ぶようには
している。そもそも、そうでは無くて、特定のメーカーの
製品だけを使っている状態では、他社製品と比べた場合の
良し悪しを比較する事も知る事もできないだろう。
そして元々、これは自身の為に趣味でやっている事だ。
これを公式記録等にしたいという要素は微塵も無いし
別に「誰かの為」にやっている訳でも無い。
参考にするもしないも、それは読者の好き好きだ。
もし同じ事を他のマニア等がやってみたかったら、個々に
好きに行うのが良いと思う。元々映像や音楽等、アートに
係わる分野は「誰もが好む」という絶対的価値観は存在
しない訳で、個々に異なる評価になる事は避けられない。
加えて、評価者が、写真や撮影機材に求める内容や要素も
各々に異なる。例えば業務上で写真を撮らなくてはならない
職業写真家等においては、あまりに趣味性の高いレンズは
実用上ではまったくNGであろうし、趣味と業務という区分
以外においても、その撮影機材(レンズ等)を使用する
ユーザー毎の(撮影)目的、あるいは、そのユーザーの
スキル(撮影技術、技能、知識、経験等)によっても
評価傾向は大きく変化する。
具体的には、良い写りをするが使いこなしが非常に難しい
レンズがあったとして、それを初級者が使う場合と、
上級者が使う場合では、当然ながら評価点は大きく異なる
事であろう。
また、良い写りをするレンズだけが優れているレンズだ
とも言い切れない。コスパの評価もあるだろうし、利用者
によっては、「Lo-Fi」(低描写力)を志向する事すらある。
つまり、写真(撮影)機材、すなわちカメラやレンズの
評価は、ユーザーによってまちまちになる事は当然な訳だ。
しかし、いつも言うように「個人でまちまちだから・・」と
結論を出さないスタンスは好みでは無い。よって、本ブログ
では、様々なルールや価値観などの評価基準を明確に儲け、
できるだけ客観的に、こうした「趣味のジャンルの製品」
の事を評価しようとしている訳である。
で、もし仮に、誰かが本シリーズ等と同じ事をやったら、
それは、とても大変な事が実感できると思う。レンズの
特徴を表すような掲載写真は、そう高い確率(成功率)で
撮れるという訳ではなく、まあ、およそ1%程度でしか無い。
総撮影枚数は、本シリーズ記事だけでも、恐らくは5万枚
以上の撮影枚数となっている事だろう。
勿論、そう簡単にこの枚数を準備(撮影)できる筈もなく、
実際には、本シリーズ記事がスタートした2020年の
3年前、2017年から準備を始めていた次第だ。
(まあ、既に出来上がっている記事だから、コロナ禍の
現在においても記事の継続投稿が可能となっている訳だ)
本ブログでの他のレンズ系のマニアック記事も、だいたい
同様だ。概ね、掲載の数年前から構想を練り、その準備を
していかないと、とてもこういう風なシステマティックな
シリーズ記事は書けない。
このようなシリーズ記事が複数あるので、近年での各種
シリーズ記事のトータルでは、軽く数十万枚、恐らくは
100万枚程度の撮影枚数となっていると思う。
これは殆ど趣味でやっている(つまり、自身の撮影機材
の評価データベースを構築する為)事であって、強い
趣味的な要素(知的好奇心、探究心等)があり、よほどの
モチベーションが無いと、とても続ける事は出来ない。
お金を貰って「やってくれ」と頼まれても断るだろう・・
![_c0032138_16352465.jpg]()
・・前置きが長くなった(汗)
本SONY DT50/1.8であるが、典型的なエントリーレンズ
である、一般的には「安かろう、悪かろう」と判断されて
しまうかも知れないが、そういう様相は全く無い。
安価ながらも十分に良く写り、しかも最短撮影距離が
34cmと、一般的な標準レンズの45cmよりもかなり短く、
かつ、APS-C機専用であるから、撮影倍率をかなり大きく
取ることができる。(1/5倍以上となる)
なお、APS-機専用の50mmレンズを「標準レンズ」の
カテゴリーに入れてしまうのはどうか?という考え方も
あるだろう。
まあ、とは言え、現代の撮影環境では、母艦の選択肢は
自由自在であり、フレキシブルだ。
例えば本レンズをフルサイズ機SONY α99に装着すると、
この場合、確かに自動的にAPS-Cモードに切り替わる。
(注1:α99では、APS-C専用レンズを使用時に、APS-C
モード撮影を手動でOFFする事は出来ない。
注2:この用法では記録画素数が大幅に減少する
→L=10M、M=4.6M、S=2M ので注意する)
だが、フルサイズ・ミラーレス機SONY α7系の機体に
本レンズを(機械式マウントアダプター経由で)装着した
場合、フルサイズモードのままでも撮影が可能だ。
その時、APS-C機専用レンズだから、イメージサークル
が足りずに画面周辺がケラれる。(暗くなる)
しかし、そのケラれ方は「APS-C型センサーはフルサイズ
機の半分の面積だ!」という印象(予想)よりも弱く、
事前に思ったよりもケラれない。
まあ、トイレンズを使用時の「周辺光量落ち」のような
感覚で使えると思う。
であれば、「その(フルサイズ機で使用した)場合、
このDT50mm/F1.8レンズは標準レンズなのか否か?」
・・これはもう、誰も結論が出せない状態だと思う。
よって「APS-C機専用レンズだから、50mmの焦点距離
であっても標準レンズとは見なさない」という分類手法は、
本シリーズ記事(や、本ブログ全般)では行っていない。
さて、余談ばかりになってしまったが、最後にまとめだ、
本DT50/1.8は、エントリーレンズにつき、やや安っぽい
作りだが、その分、小型軽量であり、「消耗用レンズ」
としては最強レベルであろう。つまり過酷な撮影環境に
おいて使って、壊しても惜しくないレンズという事だ。
現代の相場はかなり安価であるし、SONY Aマウント機の
ユーザーであれば、所有していても悪く無い。
---
では、次の対戦レンズ。
![_c0032138_16353280.jpg]()
レンズ名:PENTAX SMC TAKUMAR 55mm/f1.8
レンズ購入価格:9,000円(中古)
使用カメラ:PANASONIC DMC-GX7(μ4/3機)
総合評価点=3.4点
通称「銀のタクマー」として、初級中級マニア層に
昔から愛用されていた高コスパレンズである。
まあ、これを紹介しない訳にも行かないであろう。
ただ、総合評価点は、思ったほどには高くは無い。
まあ、本レンズではなくても、小口径標準レンズはどれも
たいてい良く写るし、特に本レンズの場合は、ありふれた
レンズであるが故に、マニアック度の評価点が下がって
しまっているのと、相場(価値感覚)よりも、高価に
買ってしまった為、コスパ点が低く評価されてしまった。
![_c0032138_16353218.jpg]()
さて、それでも本B決勝に取り上げるのは、まあ「好み」
である。前述の通り、個人的な主観だ。
でも、例えば「それでは信憑性が無い、数百人位に
アンケートを取るか、投票させて決めたらどうか?」
という考え方もあるだろう。
しかし、それもまた、例え千人や万人から意見を募った
としても、それが正確な情報に成りえる保証は無い。
例えば、世の中の99%以上のカメラユーザーは、
「高価なレンズの方が高性能で良く写るに決まっている」
と思い込んでいるのに違い無い。
しかしそれは、本ブログの読者であれば良くご存知の通り
「必ずしも高価なレンズが高性能だとは限らない」が、
むしろ真実であるのだ。
そんな市場状況において、1万人の投票をしたところで、
9900人以上は、高価なレンズに投票するだけである。
実際に、WEB上で人気カメラなどの投票ランキングを良く
見かけるが、その上位のカメラは、単に「高価な新型機で
ある」というだけの理由で選ばれていて、かつ実際にそれを
所有しているユーザーからの投票意見である事実もまるで無い。
まあ、殆どが、持ってもいないで、単に「欲しい」と思って
いるだけのカメラであり、つまり、そうした統計は、あまり
あてにならない訳だ。
加えて言えば、そういうランキングで上位になったカメラ
ほど、見事に、私が個人的に「絶対にすぐには買わない
だろう」というカメラがズラリと並んでいるのだ。
何故買わないか?は、当然ながらコスパが悪いからであり、
まあ、数年して中古相場が安価になって、コスパ上での
得失バランスが取れるようになれば買うかも知れないが
それはその時の話である。
本「選手権決勝リーグ」でも、高価なレンズばかりが
ランクインする訳では決して無い。むしろ、有名ブランド
等で高価なレンズなどは、1本もノミネートもされない。
何故ならば、そういったレンズはコスパが悪いと見なして
最初から購入もしていないからであり、持ってもいないで、
使った事も無いレンズなど、評価のしようも無いからだ。
「無駄に高すぎるレンズは買わない」これは、私の絶対的な
ポリシーであり、ここを曲げる訳には行かない。
どうしても、そういう有名ブランドレンズの方が良く写る
と信じているならば、少なくとも、本B決勝や次回決勝戦で
対戦する10本ほどの高評価レンズの内の複数(多く)を
入手して、その有名ブランドレンズと撮り比べをてして
みれば良い、自分の目で確かめれば、結果は明白であろう。
で、そこでコストの事を考えてみるのも良い。数十万円の
有名ブランド標準レンズと、数千円の無名だが高性能なレンズ
この両者の写りに、価格の分の100倍の差があるのだろうか?
そこを良く良く考えてみれば、どういう「価値判断」をする
べきかもわかってくるであろう。つまり、高価なレンズの
方が高性能で良く写る、というのは思い込みが殆どな訳だ。
![_c0032138_16353228.jpg]()
さて、本SMCT55/1.8の話が殆ど出てこないが、まあ特に
今更説明の必要も無いレンズであろう、中上級マニアで
あれば、本レンズを所有していない人を探す方が難しい。
なお、購入価格が9000円と、やや高価すぎたのはコスパ
評価点の減点対象であった。これはかなり昔に購入した
ものであったからだ。現代であれば、高くても5000円
程度までで、程度の良いものを入手可能であろう。
SMC TAKUMARの代表的レンズとして、本SMCT 55/1.8、
および、SMCT 120/2.8とSMCT 200/4は、所有するに
値するレンズ群だと思う。
---
では、3本目の対戦レンズ。
![_c0032138_16353856.jpg]()
レンズ名:MINOLTA MC ROKKOR PF 50mm/f1.7
レンズ購入価格:2,000円(中古)
使用カメラ:OLYMPUS OM-D E-M5 MarkⅡ Limited(μ4/3機)
総合評価点=4.1点
高評価点のレンズである。
ハイコスパレンズ名玉編では第3位に入賞しているし、
ミラーレス名玉編でも総合11位にランクインしている。
まあ、完成度の高い5群6枚(PF銘)のMF時代の
小口径標準である事と、また、鏡筒も結構大柄であり
(フィルター形φ55mm)前玉径や入射瞳に余裕がある
のも、高描写力を生み出す所以になっている事であろう。
購入価格も安価であったので言う事は無い。ハイコスパ
レンズとして堂々の第3位は伊達では無いという事だ。
![_c0032138_16353826.jpg]()
さて、個人の好みでランキング評価を行う件については
例えば、良く話題になるのが「世界の美女100人」という
ランキングだ。これは米国でのランキングだそうだが
これが賛否両論あるのは、少ない(1人?)の評価者の
とても個人的(主観的)な好みで順位を決めているからだ。
まあでも、そういう風に主観であろうが、「評価できる」
という事は、その評価者は「絶対的な美の基準の感覚値」
(審美眼)を確実に持っているだろう。で、そういう能力
を持つ事や、そういうランキングの為の各国からの情報の
収集は、そう容易では無いと思う。
公平性に欠けるからといって、一般投票にすれば信憑性
が上がるか? というと、そういう訳でも無いだろう。
下手をすれば関係者による「組織票」等も入ったりして
結局、何をやろうが信憑性の高い情報は集まらない。
「絶対価値感覚」を持つ事は大変難しい。膨大な労力を
割くのは勿論、そうした、金銭的あるいは時間的な負荷
のみらず、感覚的な面でも、それを高める事が必須に
なるからだ。
まあ、自分でも何らかのランキング等をやって見ると
良いと思う、どんなジャンルであっても、そんなに
簡単なものでは無い事が、すぐに実感できる筈だ。
![_c0032138_16353859.jpg]()
本MC50/1.7であるが、何故銀塩時代に好評価が無かった
のか?と言えば、要は、マニアの誰も買っていなかった
からであろう。”ミノルタの標準レンズ”と言えば、
「鷹の目ロッコール」という愛称で神格化された
MC ROKKOR PG58/1.2や姉妹レンズのMC PF58/1.4
ばかりが注目されていた。ニックネームがつけば欲しく
なる、というのも、まあ、マニアの悲しい習性だ・・
仮にそうしたレンズを入手したとしても、ミノルタの
銀塩MF一眼レフは、X-1を除き全て1/1000秒機である。
大口径レンズなのに、絞りを開けて撮る事が出来ないし
仮に暗所等でそれをやっても、開放付近では、甘々の
描写力でしか無い。
だとすれば、絞って使うしか無いが、絞った状態では、
ほとんどの銀塩MF時代の大口径標準レンズに、描写力の
差はあまり出ない。
(注:そもそも現代での機材感覚においては、絞り値の
制御を描写力の向上(=収差低減)の目的で使う事は、
ちょっと違和感がある。個人的には、絞り(の調整)は、
その大半が、描写表現意図のコントロールの為、残りが
ボケ質破綻の回避(制御)の為に使う、と言う認識だ)
・・まあつまり、「鷹の目ロッコール」に関しては、
ニックネームがついたことで有名になっただけであろう。
そういう意味では、他の愛称である「銀のタクマー」とか
「和製ズミクロン」なども同様だ、ごく普通の標準レンズ
が、有名になっただけで簡単に「神格化」されてしまう。
結局、銀塩時代では誰も体系的な評価手法など持ち合わせて
いなかった訳だ。マニアやら評論家やら、そういう人達が
自身の好みや思い込みで、好き勝手に「このレンズは良い」
と言えば、周囲の皆も、同じように思い込んでしまう・・
不条理な話だが、それがまあ、銀塩時代の真実である。
(注:銀塩時代の評価情報などを、現代において引用
するのは適切ではない、時代背景が違いすぎるからだ。
昔の書籍や雑誌の評価内容を一切参照しない事、これは
現代のマニア層において「絶対」とも言える鉄則である)
・・で、マニア層であっても、結局、そうした風評だけに
振り回されている為、本レンズのような無名の小口径標準
には誰も注目しないし、買って使っている人も居ない。
もし、目利きのできるマニア層が、「お、意外に良く写る
ではないか」と思ったとしても、その意見は、周囲の誰も
聞かない。何故ならば「鷹の目ロッコールの方が、はるかに
高価だし有名だ、だからそんな安物レンズが良く写るなど、
何を馬鹿な事を言っているのだ!」と一笑するだけだろう。
結局、銀塩時代には本レンズに係わる、まともな評価は
無いと思うが、まぎれもなく名レンズであり、現代に
おいても絶対に入手しておくべき小口径標準である。
ただし、MC/MD系マウントは現代のデジタル一眼レフに装着
する事は困難であるから、母艦はミラーレス機が必須になる。
ただまあ、今時のマニアであれば、ミラーレス機の1台や
2台は持っていても当然であろう、それらを各種オールド
マウントの母艦とする事はマニアとしては必須の状況だ。
なにせ、古今東西、およそあらゆる時代の、ほぼあらゆる
マウントのレンズが自由に装着できる、というメリットは
極めて重要である、この汎用性に関しては、残念ながら
デジタル一眼レフでは全く勝ち目は無い。
---
さらに、次の対戦レンズ。
![_c0032138_16354519.jpg]()
レンズ名:MINOLTA AF Macro 50mm/f2.8(初期型)
レンズ購入価格:15,000円(中古)
使用カメラ:SONY α65(APS-C機)
総合評価点=4.5
非常に好(高)評価のレンズである、
ハイコスパ名玉編で栄光の第1位、ミラーレス名玉編
でも4位となっている。(両者の順位が異なるのは、
順位の付け方が異なるからであって、評価点そのものは
あくまで、ずっと全く同じままだ)
![_c0032138_16354529.jpg]()
で、本シリーズでも決勝進出するか?と思われたが、
正直言えば、さすがに、もう古い。
これは1980年代後半の発売と、もう約35年も前の
セミオールドレンズだからだ。
本シリーズの決勝戦では、もっと新しい時代のレンズが
主に対戦する予定なのだ。
でもまあ、本レンズも30数年前の発売と言いつつも、
SONY現行製品のAマウント用 SONY 50mm/f2.8 Macro
(SAL50M28)と中身は同じ光学系である。まあすなわち
初出の頃から完成の域に達していた訳であり、それ故に
30数年間も「光学系を改良する必要性が無かった」訳だ。
マニア必携の名玉とは言えるのだが、ただまあ、前述の通り
さすがにそろそろ古さを感じる。近年の新鋭マクロレンズ
と比べると描写力的(特に解像感)には。やや見劣りして
しまう要素も正直あるのだが・・
まだ、切り札としての「コスパ」が残っている。
本レンズ(初期型)であれば、現代では、中古相場は
1万円を軽く切り、8000円前後で購入可能なのだ。
その値段で、この描写力。コスパはまさしく最強であり、
それゆえに、高コスパを元に評価したハイコスパ名玉編で
堂々の「優勝レンズ」となった次第だ。
まあ、若干のボケ質破綻やら、若干の逆光耐性の低さは
あると思うが、利用者が、そういう細かい弱点に気がつく
中級レベルなのであれば、もう、重箱の隅をつつくように
ネチネチと、気にいらない点を探していても意味が無い。
そうした弱点を回避してレンズを使えるようになる事が、
上級マニアへステップアップする為の必須要件だ。
「レンズの弱点を回避するのはユーザー側の責務」である、
それをちゃんとやれば、レンズの本来の性能を引き出せる。
![_c0032138_16354515.jpg]()
ミノルタ初期型、N(NEW)型、D型、SONY型、どの時代
の本レンズでも良いので、必ず入手しておきたいレンズ
である。なお、Aマント用のレンズある事が、現代では、
SONY機はαのミラーレス機が人気なので、買い難いかも
知れないが、どうせMF撮影が中心となるマクロレンズだ、
Eマウントユーザーであっても、数千円のα(A)→SONY E
のマウントアダプターを買えば、絞りもちゃんと動かせ、
ミラーレスαの優秀なピーキング機能で、MFで撮る上で
何も不満や問題点は出ないであろう。
---
では、今回ラストの対戦レンズ。
![_c0032138_16355035.jpg]()
レンズ名:CONTAX N Planar 50mm/f1.4
レンズ購入価格:33,000円(新古)
使用カメラ:PANASONIC DMC-G6 (μ4/3機)
総合評価点=3.3点
本レンズは描写力は優秀なのだが評価点は伸びていない。
その理由は、第一に、国産CONTAX末期のNマウント製品
であり、Nシステムの「莫大な開発費」の償却の為に、
Nシステム製品は高価になりすぎていたからである。
つまり、Nシステムは、コスパが極めて悪い商品群だ。
(だから、発売していた数年間においても不人気だった)
それと、現代においてNシステムを使用する術が殆ど無い
事が次なる課題だ。母艦は無いし、マウントアダプターも
殆ど売っていない、売っていたとしても、機械絞り羽根式
のものでは、本来の絞りの制御も、まともには出来ない。
(開口絞りであるべきが、視野絞りとなり、効能が異なる)
まあ、つまりちゃんと使う事が不可能な訳だ。
だから、「必要度」という評価が極めて低くなってしまう
のも、Nシステムの重大な課題である。
![_c0032138_16355022.jpg]()
ただまあ、マニアック度評価は極めて高い、これについては
満点を超えて評価しても良いくらいであろう。
ちなみに余談だが、Y/Cマウントの Planar 50mm/f1.4
とは全くの別物である。本レンズはレアで殆ど出回って
いない為、所有しているマニアも皆無に近く、それらの
未所有マニア層から、「このレンズは、RTS(Y/C)版の
プラナー50mmにAFの側(がわ)を被せただけだ」
という噂が、まことしやかに広まっていたのだ。
だが、実際に見比べてみれば、後玉からして、まるっきり
違うのが良くわかると思う。つまり風評は全くの間違いだ。
「所有しておらず、見た事すらも無いのに評価するなかれ」
これはマニアの鉄則である。が、この大原則が守られてない
情報等が世の中には極めて多く、むしろそれが大半であろう、
情け無い話だが、それもまた事実である。
で、本NP50/1.4についてだが、このレンズがマニア必携か?
といえば、それは断然NOである。
まず入手が困難な超レア品であるし、なんとか買えたと
しても使う術がなく、下手をすれば「レアもの」だから、
投機層が絡んでくるかも知れず、中古相場がプレミアム化
(=不条理なまでに高騰)している状態かも知れないのだ。
別に、初級マニアが考えるように「CONTAXだから良く写る」
とか、そんな話ではまったく無い、単に普通の標準レンズだ。
一般的に、その類のAF時代の50mm/F1.4級標準レンズの
中古価値は、各社同等で1万円台である、そこは文字通り
「相場が決まっている」訳なのだ。
![_c0032138_16355056.jpg]()
あまり褒めて、また相場が上がるのも好ましく無い、
あくまで、どこにでもある、そこそこ良く写る、並みの
標準レンズである。
ただまあ、「国産CONTAX最後の標準レンズ」として、
歴史的価値は非常に高いレンズである。
なお、ちなみに、京セラCONTAXがカメラ事業から撤退した
2000年代中頃から、その後5~6年間は、CONTAX機材の
中古価格は暴落した。初級マニア層に人気のRTS Planar
85/1.4も3万円を切る相場になったし、中級マニア向けの
CONTAX Gレンズも1万台となった。
だが、その後、本来の「京セラCONTAXの時代」を知らない
新規マニア層が出てきて「CONTAXって、カール・ツァイス
だろう? だったら良く写るはずだ」という、意味が良く
わからない三段論法で、CONTAX製品の再評価が始まった。
そうなると、また投機層が動き出す、2010年代中頃には、
CONTAXのレンズ(や、CONTAX高級コンパクト機)の
中古相場は高騰、本来の性能からは納得が行かないほどに
コスパが悪化している。
これもまた、何もわかっていない購入者側の問題であろう、
ごく普通のレンズを神格化して、わざわざ自分達から
値段を吊り上げて、それを高値で買う必然性など、全く
無いではないか・・
---
では最後に、本記事で対戦した、これら5本の標準レンズ
中から「B優勝」を決める。
ここはちゃんと点数で評価しよう。
B優勝は、
MINOLTA AF Macro 50mm/f2.8(初期型)である。
![_c0032138_16355508.jpg]()
このレンズの評価点数の詳細は
描写表現力 =★★★★★
マニアック度=★★★
コスパ =★★★★★
エンジョイ度=★★★★☆
必要度 =★★★★★
総合評価点 =4.5点
である、まあ文句のつけようが無い結果であろう。
![_c0032138_16355506.jpg]()
なお、B優勝以下の順位付けは省略する。
さて、ここまでで「最強50mmレンズ選手権」における
「B決勝戦」の対戦記事は終了だ。
次回の本シリーズ記事は、いよいよ「決勝戦」となる。
開放F値等によるカテゴリー別で予選を行い、最後に
決勝で最強の50mmレンズを決定するというシリーズ記事。
本シリーズ記事は予選を終え、いよいよ決勝リーグに突入
したのだが、これまで都合15記事で、紹介(対戦)した
標準レンズのおよそ80本という中で、性能面等の評価が
上位となったのだが、惜しくも決勝戦に進出までの評価は
得られなかった「次点の標準レンズ群」を5本紹介する。
つまり、ここは「B決勝戦」(下位決勝戦、あるいは
順位決定戦と解釈する事もできるだろう)となる訳だ。
まずは、B決勝戦勝ちあがりレンズ名を列記してみよう。
1)SONY DT50mm/f1.8
2)PENTAX SMCT55mm/f1.8
3)MINOLTA MC50mm/f1.7
4)MINOLTA AF50mm/f2.8
5)CONTAX NP50mm/f1.4
これは省略表記である、正式なレンズ名は各々後述する。
そして、APS-C機専用、フルサイズ用、マクロレンズ等が
混在し、作られた時代も1970年代~2000年代末と、
まちまちである。
各レンズの詳細や評価は追って述べていこう。
---
さて、ではまずは今回最初のB決勝戦進出レンズ。

レンズ購入価格:9,980円(中古)
使用カメラ:SONY α77Ⅱ(APS-C機)
総合評価点=3.8点
「総合評価点」とは、描写力、マニアック度、コスパ、
エンジョイ度、必要度の5項目を、各々5点満点で評価し
その平均値を出したものだ。これは3点が標準的な水準
となり、4点を越えるとかなり優秀な名レンズと見なせる。
(ミラーレス名玉編の入賞は、だいたいそのレベル)
仮に4.5点を越えたら、もう完全な超絶的レンズであり、
マニア等であれば無条件で購入に値するレンズだ。
(なお、コスパ点があるので、仮に性能が良くても値段が
それに見合わなければ、まず高得点は得られない)

他のレンズの全て(およそ400本強)も、この評価を
各々行っていて、それをエクセルの表に記録してある。
よって、並べ替え(ソート)操作により、上位の得点の
レンズを選び出す事は簡単ではあるのだが、本シリーズに
関しては、単に評価点の上位レンズを本B決勝や決勝戦に
進出させた訳ではなく、若干だが個人的な感覚値を加えて
(つまり好き嫌いで)決勝リーグ進出レンズを決めている。
「それでは公平では無い」と思うかも知れないが、事実上、
市場に存在する殆ど全てのレンズを所有できる筈もなく、
購入時点で既に多少の「好き嫌い」が加わっていて
公平性が失われている事は、まあ、やむを得ない。
ただし、できるだけ様々なメーカーの製品を選ぶようには
している。そもそも、そうでは無くて、特定のメーカーの
製品だけを使っている状態では、他社製品と比べた場合の
良し悪しを比較する事も知る事もできないだろう。
そして元々、これは自身の為に趣味でやっている事だ。
これを公式記録等にしたいという要素は微塵も無いし
別に「誰かの為」にやっている訳でも無い。
参考にするもしないも、それは読者の好き好きだ。
もし同じ事を他のマニア等がやってみたかったら、個々に
好きに行うのが良いと思う。元々映像や音楽等、アートに
係わる分野は「誰もが好む」という絶対的価値観は存在
しない訳で、個々に異なる評価になる事は避けられない。
加えて、評価者が、写真や撮影機材に求める内容や要素も
各々に異なる。例えば業務上で写真を撮らなくてはならない
職業写真家等においては、あまりに趣味性の高いレンズは
実用上ではまったくNGであろうし、趣味と業務という区分
以外においても、その撮影機材(レンズ等)を使用する
ユーザー毎の(撮影)目的、あるいは、そのユーザーの
スキル(撮影技術、技能、知識、経験等)によっても
評価傾向は大きく変化する。
具体的には、良い写りをするが使いこなしが非常に難しい
レンズがあったとして、それを初級者が使う場合と、
上級者が使う場合では、当然ながら評価点は大きく異なる
事であろう。
また、良い写りをするレンズだけが優れているレンズだ
とも言い切れない。コスパの評価もあるだろうし、利用者
によっては、「Lo-Fi」(低描写力)を志向する事すらある。
つまり、写真(撮影)機材、すなわちカメラやレンズの
評価は、ユーザーによってまちまちになる事は当然な訳だ。
しかし、いつも言うように「個人でまちまちだから・・」と
結論を出さないスタンスは好みでは無い。よって、本ブログ
では、様々なルールや価値観などの評価基準を明確に儲け、
できるだけ客観的に、こうした「趣味のジャンルの製品」
の事を評価しようとしている訳である。
で、もし仮に、誰かが本シリーズ等と同じ事をやったら、
それは、とても大変な事が実感できると思う。レンズの
特徴を表すような掲載写真は、そう高い確率(成功率)で
撮れるという訳ではなく、まあ、およそ1%程度でしか無い。
総撮影枚数は、本シリーズ記事だけでも、恐らくは5万枚
以上の撮影枚数となっている事だろう。
勿論、そう簡単にこの枚数を準備(撮影)できる筈もなく、
実際には、本シリーズ記事がスタートした2020年の
3年前、2017年から準備を始めていた次第だ。
(まあ、既に出来上がっている記事だから、コロナ禍の
現在においても記事の継続投稿が可能となっている訳だ)
本ブログでの他のレンズ系のマニアック記事も、だいたい
同様だ。概ね、掲載の数年前から構想を練り、その準備を
していかないと、とてもこういう風なシステマティックな
シリーズ記事は書けない。
このようなシリーズ記事が複数あるので、近年での各種
シリーズ記事のトータルでは、軽く数十万枚、恐らくは
100万枚程度の撮影枚数となっていると思う。
これは殆ど趣味でやっている(つまり、自身の撮影機材
の評価データベースを構築する為)事であって、強い
趣味的な要素(知的好奇心、探究心等)があり、よほどの
モチベーションが無いと、とても続ける事は出来ない。
お金を貰って「やってくれ」と頼まれても断るだろう・・

本SONY DT50/1.8であるが、典型的なエントリーレンズ
である、一般的には「安かろう、悪かろう」と判断されて
しまうかも知れないが、そういう様相は全く無い。
安価ながらも十分に良く写り、しかも最短撮影距離が
34cmと、一般的な標準レンズの45cmよりもかなり短く、
かつ、APS-C機専用であるから、撮影倍率をかなり大きく
取ることができる。(1/5倍以上となる)
なお、APS-機専用の50mmレンズを「標準レンズ」の
カテゴリーに入れてしまうのはどうか?という考え方も
あるだろう。
まあ、とは言え、現代の撮影環境では、母艦の選択肢は
自由自在であり、フレキシブルだ。
例えば本レンズをフルサイズ機SONY α99に装着すると、
この場合、確かに自動的にAPS-Cモードに切り替わる。
(注1:α99では、APS-C専用レンズを使用時に、APS-C
モード撮影を手動でOFFする事は出来ない。
注2:この用法では記録画素数が大幅に減少する
→L=10M、M=4.6M、S=2M ので注意する)
だが、フルサイズ・ミラーレス機SONY α7系の機体に
本レンズを(機械式マウントアダプター経由で)装着した
場合、フルサイズモードのままでも撮影が可能だ。
その時、APS-C機専用レンズだから、イメージサークル
が足りずに画面周辺がケラれる。(暗くなる)
しかし、そのケラれ方は「APS-C型センサーはフルサイズ
機の半分の面積だ!」という印象(予想)よりも弱く、
事前に思ったよりもケラれない。
まあ、トイレンズを使用時の「周辺光量落ち」のような
感覚で使えると思う。
であれば、「その(フルサイズ機で使用した)場合、
このDT50mm/F1.8レンズは標準レンズなのか否か?」
・・これはもう、誰も結論が出せない状態だと思う。
よって「APS-C機専用レンズだから、50mmの焦点距離
であっても標準レンズとは見なさない」という分類手法は、
本シリーズ記事(や、本ブログ全般)では行っていない。
さて、余談ばかりになってしまったが、最後にまとめだ、
本DT50/1.8は、エントリーレンズにつき、やや安っぽい
作りだが、その分、小型軽量であり、「消耗用レンズ」
としては最強レベルであろう。つまり過酷な撮影環境に
おいて使って、壊しても惜しくないレンズという事だ。
現代の相場はかなり安価であるし、SONY Aマウント機の
ユーザーであれば、所有していても悪く無い。
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では、次の対戦レンズ。

レンズ購入価格:9,000円(中古)
使用カメラ:PANASONIC DMC-GX7(μ4/3機)
総合評価点=3.4点
通称「銀のタクマー」として、初級中級マニア層に
昔から愛用されていた高コスパレンズである。
まあ、これを紹介しない訳にも行かないであろう。
ただ、総合評価点は、思ったほどには高くは無い。
まあ、本レンズではなくても、小口径標準レンズはどれも
たいてい良く写るし、特に本レンズの場合は、ありふれた
レンズであるが故に、マニアック度の評価点が下がって
しまっているのと、相場(価値感覚)よりも、高価に
買ってしまった為、コスパ点が低く評価されてしまった。

である。前述の通り、個人的な主観だ。
でも、例えば「それでは信憑性が無い、数百人位に
アンケートを取るか、投票させて決めたらどうか?」
という考え方もあるだろう。
しかし、それもまた、例え千人や万人から意見を募った
としても、それが正確な情報に成りえる保証は無い。
例えば、世の中の99%以上のカメラユーザーは、
「高価なレンズの方が高性能で良く写るに決まっている」
と思い込んでいるのに違い無い。
しかしそれは、本ブログの読者であれば良くご存知の通り
「必ずしも高価なレンズが高性能だとは限らない」が、
むしろ真実であるのだ。
そんな市場状況において、1万人の投票をしたところで、
9900人以上は、高価なレンズに投票するだけである。
実際に、WEB上で人気カメラなどの投票ランキングを良く
見かけるが、その上位のカメラは、単に「高価な新型機で
ある」というだけの理由で選ばれていて、かつ実際にそれを
所有しているユーザーからの投票意見である事実もまるで無い。
まあ、殆どが、持ってもいないで、単に「欲しい」と思って
いるだけのカメラであり、つまり、そうした統計は、あまり
あてにならない訳だ。
加えて言えば、そういうランキングで上位になったカメラ
ほど、見事に、私が個人的に「絶対にすぐには買わない
だろう」というカメラがズラリと並んでいるのだ。
何故買わないか?は、当然ながらコスパが悪いからであり、
まあ、数年して中古相場が安価になって、コスパ上での
得失バランスが取れるようになれば買うかも知れないが
それはその時の話である。
本「選手権決勝リーグ」でも、高価なレンズばかりが
ランクインする訳では決して無い。むしろ、有名ブランド
等で高価なレンズなどは、1本もノミネートもされない。
何故ならば、そういったレンズはコスパが悪いと見なして
最初から購入もしていないからであり、持ってもいないで、
使った事も無いレンズなど、評価のしようも無いからだ。
「無駄に高すぎるレンズは買わない」これは、私の絶対的な
ポリシーであり、ここを曲げる訳には行かない。
どうしても、そういう有名ブランドレンズの方が良く写る
と信じているならば、少なくとも、本B決勝や次回決勝戦で
対戦する10本ほどの高評価レンズの内の複数(多く)を
入手して、その有名ブランドレンズと撮り比べをてして
みれば良い、自分の目で確かめれば、結果は明白であろう。
で、そこでコストの事を考えてみるのも良い。数十万円の
有名ブランド標準レンズと、数千円の無名だが高性能なレンズ
この両者の写りに、価格の分の100倍の差があるのだろうか?
そこを良く良く考えてみれば、どういう「価値判断」をする
べきかもわかってくるであろう。つまり、高価なレンズの
方が高性能で良く写る、というのは思い込みが殆どな訳だ。

今更説明の必要も無いレンズであろう、中上級マニアで
あれば、本レンズを所有していない人を探す方が難しい。
なお、購入価格が9000円と、やや高価すぎたのはコスパ
評価点の減点対象であった。これはかなり昔に購入した
ものであったからだ。現代であれば、高くても5000円
程度までで、程度の良いものを入手可能であろう。
SMC TAKUMARの代表的レンズとして、本SMCT 55/1.8、
および、SMCT 120/2.8とSMCT 200/4は、所有するに
値するレンズ群だと思う。
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では、3本目の対戦レンズ。

レンズ購入価格:2,000円(中古)
使用カメラ:OLYMPUS OM-D E-M5 MarkⅡ Limited(μ4/3機)
総合評価点=4.1点
高評価点のレンズである。
ハイコスパレンズ名玉編では第3位に入賞しているし、
ミラーレス名玉編でも総合11位にランクインしている。
まあ、完成度の高い5群6枚(PF銘)のMF時代の
小口径標準である事と、また、鏡筒も結構大柄であり
(フィルター形φ55mm)前玉径や入射瞳に余裕がある
のも、高描写力を生み出す所以になっている事であろう。
購入価格も安価であったので言う事は無い。ハイコスパ
レンズとして堂々の第3位は伊達では無いという事だ。

例えば、良く話題になるのが「世界の美女100人」という
ランキングだ。これは米国でのランキングだそうだが
これが賛否両論あるのは、少ない(1人?)の評価者の
とても個人的(主観的)な好みで順位を決めているからだ。
まあでも、そういう風に主観であろうが、「評価できる」
という事は、その評価者は「絶対的な美の基準の感覚値」
(審美眼)を確実に持っているだろう。で、そういう能力
を持つ事や、そういうランキングの為の各国からの情報の
収集は、そう容易では無いと思う。
公平性に欠けるからといって、一般投票にすれば信憑性
が上がるか? というと、そういう訳でも無いだろう。
下手をすれば関係者による「組織票」等も入ったりして
結局、何をやろうが信憑性の高い情報は集まらない。
「絶対価値感覚」を持つ事は大変難しい。膨大な労力を
割くのは勿論、そうした、金銭的あるいは時間的な負荷
のみらず、感覚的な面でも、それを高める事が必須に
なるからだ。
まあ、自分でも何らかのランキング等をやって見ると
良いと思う、どんなジャンルであっても、そんなに
簡単なものでは無い事が、すぐに実感できる筈だ。

のか?と言えば、要は、マニアの誰も買っていなかった
からであろう。”ミノルタの標準レンズ”と言えば、
「鷹の目ロッコール」という愛称で神格化された
MC ROKKOR PG58/1.2や姉妹レンズのMC PF58/1.4
ばかりが注目されていた。ニックネームがつけば欲しく
なる、というのも、まあ、マニアの悲しい習性だ・・
仮にそうしたレンズを入手したとしても、ミノルタの
銀塩MF一眼レフは、X-1を除き全て1/1000秒機である。
大口径レンズなのに、絞りを開けて撮る事が出来ないし
仮に暗所等でそれをやっても、開放付近では、甘々の
描写力でしか無い。
だとすれば、絞って使うしか無いが、絞った状態では、
ほとんどの銀塩MF時代の大口径標準レンズに、描写力の
差はあまり出ない。
(注:そもそも現代での機材感覚においては、絞り値の
制御を描写力の向上(=収差低減)の目的で使う事は、
ちょっと違和感がある。個人的には、絞り(の調整)は、
その大半が、描写表現意図のコントロールの為、残りが
ボケ質破綻の回避(制御)の為に使う、と言う認識だ)
・・まあつまり、「鷹の目ロッコール」に関しては、
ニックネームがついたことで有名になっただけであろう。
そういう意味では、他の愛称である「銀のタクマー」とか
「和製ズミクロン」なども同様だ、ごく普通の標準レンズ
が、有名になっただけで簡単に「神格化」されてしまう。
結局、銀塩時代では誰も体系的な評価手法など持ち合わせて
いなかった訳だ。マニアやら評論家やら、そういう人達が
自身の好みや思い込みで、好き勝手に「このレンズは良い」
と言えば、周囲の皆も、同じように思い込んでしまう・・
不条理な話だが、それがまあ、銀塩時代の真実である。
(注:銀塩時代の評価情報などを、現代において引用
するのは適切ではない、時代背景が違いすぎるからだ。
昔の書籍や雑誌の評価内容を一切参照しない事、これは
現代のマニア層において「絶対」とも言える鉄則である)
・・で、マニア層であっても、結局、そうした風評だけに
振り回されている為、本レンズのような無名の小口径標準
には誰も注目しないし、買って使っている人も居ない。
もし、目利きのできるマニア層が、「お、意外に良く写る
ではないか」と思ったとしても、その意見は、周囲の誰も
聞かない。何故ならば「鷹の目ロッコールの方が、はるかに
高価だし有名だ、だからそんな安物レンズが良く写るなど、
何を馬鹿な事を言っているのだ!」と一笑するだけだろう。
結局、銀塩時代には本レンズに係わる、まともな評価は
無いと思うが、まぎれもなく名レンズであり、現代に
おいても絶対に入手しておくべき小口径標準である。
ただし、MC/MD系マウントは現代のデジタル一眼レフに装着
する事は困難であるから、母艦はミラーレス機が必須になる。
ただまあ、今時のマニアであれば、ミラーレス機の1台や
2台は持っていても当然であろう、それらを各種オールド
マウントの母艦とする事はマニアとしては必須の状況だ。
なにせ、古今東西、およそあらゆる時代の、ほぼあらゆる
マウントのレンズが自由に装着できる、というメリットは
極めて重要である、この汎用性に関しては、残念ながら
デジタル一眼レフでは全く勝ち目は無い。
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さらに、次の対戦レンズ。

レンズ購入価格:15,000円(中古)
使用カメラ:SONY α65(APS-C機)
総合評価点=4.5
非常に好(高)評価のレンズである、
ハイコスパ名玉編で栄光の第1位、ミラーレス名玉編
でも4位となっている。(両者の順位が異なるのは、
順位の付け方が異なるからであって、評価点そのものは
あくまで、ずっと全く同じままだ)

正直言えば、さすがに、もう古い。
これは1980年代後半の発売と、もう約35年も前の
セミオールドレンズだからだ。
本シリーズの決勝戦では、もっと新しい時代のレンズが
主に対戦する予定なのだ。
でもまあ、本レンズも30数年前の発売と言いつつも、
SONY現行製品のAマウント用 SONY 50mm/f2.8 Macro
(SAL50M28)と中身は同じ光学系である。まあすなわち
初出の頃から完成の域に達していた訳であり、それ故に
30数年間も「光学系を改良する必要性が無かった」訳だ。
マニア必携の名玉とは言えるのだが、ただまあ、前述の通り
さすがにそろそろ古さを感じる。近年の新鋭マクロレンズ
と比べると描写力的(特に解像感)には。やや見劣りして
しまう要素も正直あるのだが・・
まだ、切り札としての「コスパ」が残っている。
本レンズ(初期型)であれば、現代では、中古相場は
1万円を軽く切り、8000円前後で購入可能なのだ。
その値段で、この描写力。コスパはまさしく最強であり、
それゆえに、高コスパを元に評価したハイコスパ名玉編で
堂々の「優勝レンズ」となった次第だ。
まあ、若干のボケ質破綻やら、若干の逆光耐性の低さは
あると思うが、利用者が、そういう細かい弱点に気がつく
中級レベルなのであれば、もう、重箱の隅をつつくように
ネチネチと、気にいらない点を探していても意味が無い。
そうした弱点を回避してレンズを使えるようになる事が、
上級マニアへステップアップする為の必須要件だ。
「レンズの弱点を回避するのはユーザー側の責務」である、
それをちゃんとやれば、レンズの本来の性能を引き出せる。

の本レンズでも良いので、必ず入手しておきたいレンズ
である。なお、Aマント用のレンズある事が、現代では、
SONY機はαのミラーレス機が人気なので、買い難いかも
知れないが、どうせMF撮影が中心となるマクロレンズだ、
Eマウントユーザーであっても、数千円のα(A)→SONY E
のマウントアダプターを買えば、絞りもちゃんと動かせ、
ミラーレスαの優秀なピーキング機能で、MFで撮る上で
何も不満や問題点は出ないであろう。
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では、今回ラストの対戦レンズ。

レンズ購入価格:33,000円(新古)
使用カメラ:PANASONIC DMC-G6 (μ4/3機)
総合評価点=3.3点
本レンズは描写力は優秀なのだが評価点は伸びていない。
その理由は、第一に、国産CONTAX末期のNマウント製品
であり、Nシステムの「莫大な開発費」の償却の為に、
Nシステム製品は高価になりすぎていたからである。
つまり、Nシステムは、コスパが極めて悪い商品群だ。
(だから、発売していた数年間においても不人気だった)
それと、現代においてNシステムを使用する術が殆ど無い
事が次なる課題だ。母艦は無いし、マウントアダプターも
殆ど売っていない、売っていたとしても、機械絞り羽根式
のものでは、本来の絞りの制御も、まともには出来ない。
(開口絞りであるべきが、視野絞りとなり、効能が異なる)
まあ、つまりちゃんと使う事が不可能な訳だ。
だから、「必要度」という評価が極めて低くなってしまう
のも、Nシステムの重大な課題である。

満点を超えて評価しても良いくらいであろう。
ちなみに余談だが、Y/Cマウントの Planar 50mm/f1.4
とは全くの別物である。本レンズはレアで殆ど出回って
いない為、所有しているマニアも皆無に近く、それらの
未所有マニア層から、「このレンズは、RTS(Y/C)版の
プラナー50mmにAFの側(がわ)を被せただけだ」
という噂が、まことしやかに広まっていたのだ。
だが、実際に見比べてみれば、後玉からして、まるっきり
違うのが良くわかると思う。つまり風評は全くの間違いだ。
「所有しておらず、見た事すらも無いのに評価するなかれ」
これはマニアの鉄則である。が、この大原則が守られてない
情報等が世の中には極めて多く、むしろそれが大半であろう、
情け無い話だが、それもまた事実である。
で、本NP50/1.4についてだが、このレンズがマニア必携か?
といえば、それは断然NOである。
まず入手が困難な超レア品であるし、なんとか買えたと
しても使う術がなく、下手をすれば「レアもの」だから、
投機層が絡んでくるかも知れず、中古相場がプレミアム化
(=不条理なまでに高騰)している状態かも知れないのだ。
別に、初級マニアが考えるように「CONTAXだから良く写る」
とか、そんな話ではまったく無い、単に普通の標準レンズだ。
一般的に、その類のAF時代の50mm/F1.4級標準レンズの
中古価値は、各社同等で1万円台である、そこは文字通り
「相場が決まっている」訳なのだ。

あくまで、どこにでもある、そこそこ良く写る、並みの
標準レンズである。
ただまあ、「国産CONTAX最後の標準レンズ」として、
歴史的価値は非常に高いレンズである。
なお、ちなみに、京セラCONTAXがカメラ事業から撤退した
2000年代中頃から、その後5~6年間は、CONTAX機材の
中古価格は暴落した。初級マニア層に人気のRTS Planar
85/1.4も3万円を切る相場になったし、中級マニア向けの
CONTAX Gレンズも1万台となった。
だが、その後、本来の「京セラCONTAXの時代」を知らない
新規マニア層が出てきて「CONTAXって、カール・ツァイス
だろう? だったら良く写るはずだ」という、意味が良く
わからない三段論法で、CONTAX製品の再評価が始まった。
そうなると、また投機層が動き出す、2010年代中頃には、
CONTAXのレンズ(や、CONTAX高級コンパクト機)の
中古相場は高騰、本来の性能からは納得が行かないほどに
コスパが悪化している。
これもまた、何もわかっていない購入者側の問題であろう、
ごく普通のレンズを神格化して、わざわざ自分達から
値段を吊り上げて、それを高値で買う必然性など、全く
無いではないか・・
---
では最後に、本記事で対戦した、これら5本の標準レンズ
中から「B優勝」を決める。
ここはちゃんと点数で評価しよう。
B優勝は、
MINOLTA AF Macro 50mm/f2.8(初期型)である。

描写表現力 =★★★★★
マニアック度=★★★
コスパ =★★★★★
エンジョイ度=★★★★☆
必要度 =★★★★★
総合評価点 =4.5点
である、まあ文句のつけようが無い結果であろう。

さて、ここまでで「最強50mmレンズ選手権」における
「B決勝戦」の対戦記事は終了だ。
次回の本シリーズ記事は、いよいよ「決勝戦」となる。