本シリーズは、各カメラメーカーが発売した銀塩・デジタル
のカメラを、主に1970年代から現代2020年代に至る迄の
約50年間の変遷の歴史を辿る記事である。
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今回は、PENTAX編(後編)として、主にデジタル時代の
PENTAX機や、取り巻く状況・世情を中心に紹介する。
なお、挿入している写真は、紹介機種の時代のPENTAX製
カメラおよびレンズで撮影したものである。
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さて、PENTAX前編記事は2000年代に到達した所であった。
カメラ形態の急速な転換時期であり、ちょうど中古カメラ
ブームもあった事等で、この時代のカメラは、およそ全ての
タイプのものが各メーカーより新発売されている。
具体的には、銀塩MF一眼レフ、銀塩AF一眼レフ、銀塩APS機
銀塩中判機、銀塩レンジファインダー機、銀塩コンパクト機、
レンズ付きフィルム、特殊フォーマット機(MINOX判等)、
デジタルコンパクト機、デジタル一眼レフ等である。
この混迷期をどのように乗り切るかが、PENTAXの課題となる。
下手をすると、いくつかの他社のように(この直後の時代に)
カメラ事業から撤退せざるを得なくなってしまうのだ。
老舗のPENTAXとしては、それはどうしても避けたい結末だ。
なお、「PENTAX」というのは光学機器(カメラ、双眼鏡等)
のブランド名であって、社名は「旭光学工業株式会社」で
あったが、この時代2002年に「ペンタックス株式会社」に
ようやく社名変更している。
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PENTAXのデジタルコンパクト機
1990年代後半からデジタルコンパクト機の発売を始めた
カメラメーカーも多かった中、PENTAXは後発であり
その初号機は、Optio 330(2001年)となる。
以降、2000年代を通じて極めて多数のOptioシリーズが
発売される。詳細はとても書ききれないので割愛する。
特徴として、初期(~2003)のコンパクト機の記録媒体
はCFカードであった事、操作系に優れた機種が多かった事。
それから、電源として汎用的な単三乾電池を使用する機種が
多かった事、があるが、後年にはSDカード利用となり、
2000年代後半からの手ブレ補正機能搭載後は単三電池では
なく、専用バッテリーとなった。(消費電力の問題か?)
Optioは初級層向けの比較的ポピュラーなシリーズでは
あったが、マニアック度に欠ける為、個人的には、殆ど
興味が持てなかった。
ここでは私が今でも所有しているコンパクトの2機種のみ
簡単に説明する。
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2003年 PENTAX DIGIBINO DB200
PENTAXが創業当時から得意とする双眼鏡と、デジカメを合体
させたユニークなカメラ。当時、双眼鏡一体型のデジカメは、
本機DB200(130万画素)と前機種DB100(85万画素)の
2機種しか存在していなかった。(注:近年では、海外製
等で、カメラ機能付き双眼鏡は色々と存在する)
これは双眼鏡光学系内にデジカメが組み込まれているのでは
なく、デジカメ部は別途250mm/F4相当の単焦点望遠だ。
(注:双眼鏡部より、やや広い画角)
両者が別々の光学系であるデメリットもあるが、実用上の
長所としては、電池切れ(注:単三電池だが、消耗が早い)
になった際にも、双眼鏡部は、そのまま使用できる事だ。
デジカメ部のピント合わせは双眼鏡光学系に同調して行う。
詳細は、コンパクト・デジタル・クラッシックス第1回
記事を参照の事。
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2005年 PENTAX Optio WP
コンパクト・デジタル・クラッシックス第2回記事で紹介。
PENTAX初の防水対応機。(型番はWater Proofの略であろう)
手ブレ補正内蔵だが、専用バッテリーの消費が極めて早い。
この機体は知人からの中古譲渡品で、バッテリーが消耗して
いた為、新品のバッテリーに交換したが、それでも消費が早い。
ボート競技等の水際での実用撮影には使えず、趣味専用機に
なってしまった。
まあこの機種に限らず、他社でも1990年代~2000年代の
デジタルコンパクト機の多くは、そうした弱点を持っていた。
この為、単三電池等を電源として、出先でのコンビニ等での
購入に対応していた機種もあったが、コスト高は避けられない。
単三電池でも専用電源でも、これらの機種の使用は、電池切れ
対策や省エネ撮影技法など、留意が必要だ。
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なお、PENTAXは2007年にHOYA社に吸収され、さらに
2011年に、カメラ事業は、リコー社の子会社として
吸収合併された。
この時代からの、スマホとミラーレス機の台頭により
コンパクト機の市場は縮退。新経営体制下での不採算部門
の整理の観点からも、2008年以降のPENTAXブランドでの
コンパクト・デジタル機の機種数は激減していて、Optioの
名称も廃止され、2014年からはRICOHブランドとなった。
なお、私見ではあるが、PENTAXは老舗ブランドであるが
旧来からのユーザー層(ファン層)を非常に大事にする。
これは前編で書いたSPシリーズが350万台という記録的な
ヒット商品となった事にも関連があるが、Kマウント転換時の
マウントアダプターKを30年間も1000円で売り続けた事や
中判カメラの生産を長年止めなかった事、それからAFや
デジタル移行期にもKマウントを堅持して変えなかった事、
等が多数の実例として挙げられる。
しかしながら、この時期に親会社が何度か変わった事で、
そうした「互換性」あるいは、心理的な「良心」や「温情」
の社風が失われてしまった節も多々見受けられる。
前述のマウントアダプターKは5000円以上にも値上げされ、
不採算なコンパクト機は、ばっさりと生産中止だ。
まあ、ビジネス的な視点からは、いずれもやむを得ないし、
銀塩時代からのPENTAX党も、もう殆ど残っていないのでは
あろうが、マニア的視点で、こういう記事を書いていって
PENTAXの歴史を辿っていくと、色々と残念な側面もある。
で、PENTAXコンパクトの最終機種として、銀塩一眼レフの
名機PENTAX MX(1976)のイメージを踏襲した真鍮ボディ
の高級コンパクト PENTAX MX-1(2013)が注目だ。
少し欲しかったのであるが、単焦点機では無かった事と、
中古相場が若干高価に推移していたので購入は見送った。
(ただ、PENTAXのコンパクト機終焉を見守る意味での
歴史的な価値は高い機体であろう)
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2000年代前半 PENTAX *istDシリーズ
PENTAXのデジタル一眼レフとして最初に発売されたのは
*istD(2003年)であった。まだ価格が高価(約20万円)
であった為、中上級層をターゲットとし、その為に
銀塩Zシリーズ(1990年代前半)に搭載されていて、後年の
MZシリーズ(MZ-S以外)では簡略化の為に廃止されていた
「ハイパー操作系」を復活させた。(同機は未所有)
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PENTAX銀塩末期AF交換レンズ群
また、この時代前後の銀塩末期交換レンズではFA Limited
シリーズや、FA★シリーズの超高性能単焦点レンズ群が
存在し、これらは極めて優秀である事は特筆すべき事実だ。
これらはデジタル時代においても十分に他社レンズに対する
優位性がある。こうした銀塩用レンズは、さらに後年では
解像力性能やAF性能等での不満も出てくるとは思われるが、
使用するカメラやセンサーとの性能バランス、そして適切な
撮影技法を細かく意識して使えば何ら問題無い。
(参考:「PENTAX党」と呼ばれるマニア層では、必ず
FA LimitedかFA★を所有しているであろう。逆に言えば
それらを所有していれば「PENTAX党だ」と見なせる)
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それから、この時代からDA型番として、APS-C機専用の
レング群が多数発売されている。
(上写真は、最初期に発売された DA16-45mm/F4)
レンズの焦点距離は当然銀塩時代よりも広角側にシフトして
いるが、ズームレンズが主力であり、それらの場合は単焦点に
対する性能的利点も感じ難く、ほとんど購入していない。
他には数本のDA型番単焦点を所有するに留まっている。
カメラとレンズとの情報伝達プロトコルは細かく変遷して
いて、KAF3型、KAF4型等があるが、幸いにしてユーザー側
では、基本的に銀塩時代からデジタル時代まで、あまり
その詳細を意識する必要は無く、レンズ使用互換性は高い。
まあ、2010年代以降の機種で無印(K,P)レンズが使えない
等、細かい課題はあるが、マニアであれば各時代のデジタル
PENTAX機を所有していると思うので、どれかの機種では
確実に使える。
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2004年 PENTAX *istDs
(デジタル一眼レフ・クラッシックス第2回記事参照)
この2004年は、各社から普及版デジタル一眼レフが
出揃った「デジタル一眼レフ元年」である。
中でもこのPENTAX *istDsは最も安価であり、初めて
10万円を切った価格帯(当時最安値)のデジタル一眼
レフであった。
ちなみに機種名だが、*istDsなのか、*istDSなのか?
はっきりしない(汗) と言うのも、最後のsは、他の型番
文字よりも小さい字体で書かれているのだが、大文字とも
小文字とも判別できないデザイン文字であるからだ。この為、
本ブログでは、昔から便宜的に「*istDs」と表記している。
この年のデジタル機は、各社同等の撮像センサーを用いて
いたのでCCD 600万画素の仕様等は他社機に見劣りしない。
それでいて、他社機より圧倒的に小型軽量だ。
ただし、この機体は当時のPENTAXデジタル・コンパクト機
と同様に、電源に単三電池を使用する方式であり、それを
4本用いると、若干重量が増加してしまうのが難点だ。
カタログスペックに現れない長所として、AWBが優秀な事と
高感度(ISO3200)で、ノイズも他社機より少ない事から、
照明の色味が、ころころと変化するライブステージの撮影で
2000年代を通じて重宝していた。
他の2000年代前半の *istDシリーズとしては、
*ostDL,*istDs2(いずれも2005年),*istDL2(2006年)
があるが、どれも*istDsよりもスペックダウンした初級機で
あった為に購入していない。
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2000年代中頃~ PENTAX事業再編期
2002年に社名をPENTAX株式会社に変更した所ではあるが、
この頃からカメラ事業が苦しくなってきていた。
まあ、アナログからデジタルへの大変革期であるから、
そう簡単には行かないのは当然だ。
(KONICA)MINOLTAや京セラ(CONTAX)ですら、この事業
構造の大変革に耐えられず、この時期にカメラ事業から撤退
している。
提携、合併、資本投下、売却等の色々な道が模索されただろう
が、その詳細は、水面下での動きなので当然わからない。
有力な提携先としは、セイコーへの事業移管や、韓国サムスン
との合併の話が2005年前後に色々と出ていた模様だ。
2006年には光学ガラス事業で著名なHOYAとの吸収合併が発表
されたが、反対意見もあって、すったもんだがあった模様だ。
2007~2008年に、HOYA株式会社の中のカメラ事業部として
PENTAXのブランドは存続する。
しかし、色々と、やりにくい点もあったのだろうと推察され、
僅か3年後、2011年にHOYAはカメラ事業をRICOHに売却する。
ここで、RICOHがPENTAXの親会社となった訳だ。
2012年には、旧来のRICOHとPENTAXのカメラ事業を統合し
その後のカメラ製品のブランドは適宜RIOOHとPENTAXが
並存している。
とりあえずPENTAXのブランドは生き残った形になったのだが、
過去のRICOHとPENTAXのカメラ製品の関連等から、ここには
興味深い話が色々ある。長くなるので、そのあたりはまた後日
RICOH関連のカメラの記事で述べよう。
ただまあ、この事業再編のゴタゴタにより、PENTAXのカメラ
事業は、それぞれの時代(PENTAX単独末期、HOYA期、RICOH期)
で、大きくコンセプトや方針が違い、結果としての製品群も
そのテイストやターゲット層がずいぶん異なってしまっている。
ここをユーザー側(特にPENTAX党やマニア層)が、どう捉える
かは難しいところがある。個々の時代のシリーズ製品を全くの
別物として捉える事ができるのであれば、何ら問題は無いと
思うが、ずっとPENTAX製品を使い続けている等の、旧来型の
ユーザー心理においては、違和感が相当に大きい事であろう。
まあつまり、PENTAXユーザー側ではこれらの時代の製品群に
対して、柔軟に使い方の発想を変えていかなくてはならない、
と言う事になるのだが、それはあまり簡単な事では無い。
結局、ビギナーやエントリーユーザーの「使い捨てブランド」
(最初に安価なPENTAX機を買ったが、使いこなせないままで、
すぐ他社機に乗り換える等)に、なってしまわないようにする
為には、そしてPENTAXが生き残る為にも、PENTAXファン層
側の意識改革も重要な点だ。
(注:個人的には多くの「PENTAX党」に接して話を聞いては
いるが、所感では「PENTAX党」で他社機を購入する比率は
少なく、他社機との相対的な比較ができていないケースが多い。
まあこの点は他社のファン層でも同様だが、PENTAX党は絶対数
も少ない為か、余計にその排他的な比率が高く感じてしまう)
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2000年代後半 Kシリーズ初期デジタル一眼レフ
前述の事業再編の関連も大きくあったので、このあたりから
PENTAXのデジタル一眼レフは、旧来の、市場普及を狙った
*istDシリーズから、本格的なKシリーズに戦略転換していく。
K100D(2006)は、PENTAX初のボデイ内手ブレ補正搭載機だ。
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2006年 PENTAX K10D
(デジタル一眼レフ・クラッシックス第6回記事)
銀塩時代からのPENTAXの切り札である「ハイパー操作系」を
又、復活させた。つまりこれは「上位機種の証」という意味だ。
その他、多機能かつ優秀な機体であるので私も長期間愛用した。
近年わかった隠れた長所として、「プロトコル互換性が高い」
事があり、銀塩時代の古いパワーズームレンズや、無印(K/P)
レンズ等、およそこの機体以前の、殆どのPENTAX一眼レフ用
レンズを使用可能だ。
弱点は最高ISO感度がISO1600と低いところだが、この点は
2008年にISO6400の後継機K20D(未所有)が発売された。
が、K10Dには当時希少な低感度ISO100が搭載されている為、
大口径オールドレンズ母艦としての適正が高い。
AF性能が低い事もあいまって、MFの常用も意識しておく事
が、K10Dの使いこなしのコツだ。
この時点までがPENTAX株式会社としての製品群であり、
型番のハイフンは無く、機種名の最後にはDが入る慣習だ。
PENTAX独自の高性能機種群であり、最後に「老舗の意地」を
見せた形となった。
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その後、HOYAの子会社となってからは、K-m(2008)シリーズ
を低価格帯に置き、K-7(2009年、ハイフン有り、D無し)を
上級機として置く。なお、K-7ではサムスン製CMOS撮像素子を
採用していて、同社との合併が検討されていた2005年前後に
企画が行われた製品であると想像できる。(未所有だが、
国産機では稀な韓国製CMOS機である為、興味深い。
他に、PENTAX K20Dも、同様にサムスン製CMOSを搭載)
続くK-x(2009)、K-r(2010)では、ボディ色を沢山選べる
「オーダーカラー制(システム)」を採用。
ユーザーが好きな色を選べるという点では、カメラ界としては
画期的ではあるが、色つきボディは、前年(2008年末)の
初のミラーレス機 PANASONIC (LUMIX) DMC-G1でも、赤や
青のボディがあったし、銀塩時代でも、オリーブ、ゴールド、
白塗装、チタンカラー等の限定品が色々あったりしたので、
完全に初めてという訳では無い。
色つきボディは、その当時では、ベテラン層などに不評では
あったが、カメラ以外の他の市場分野(衣服、車両等)では、
あまりにも当たり前の商品展開であり、難なく定着する。
しかし、ユーザーがあまりに奇抜な色を指定してしまう等の
問題もあってか? オーダーカラーシステムは終焉したが、
その後の時代では、メーカー純正品の色つきボディとして
生き残っている。(特に、各社ミラーレス機では常識だ)
なお、K-rは、一見エントリー機に見えるが、中身は高性能
であり、当時、K-5のサブ機として購入を検討したのだが、
市場に出る中古品がオーダーカラーの変な色(汗)ばかり
であり、中古購入を見送った。オーダーカラー品が中古市場
での売買を抑制する(新品販売が増える)という、メーカー
側にとっての隠れた効能がある、と知った次第である。
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2010年代前半 Kシリーズ発展期
デジタル一眼レフの高機能化、高性能化が進んだ時代である。
この時期、親会社がRICOHに変わった事も理由としてか?
独自のデジタル関連「基礎技術」の研究開発も色々と進み、
それらが順次、各機種群に搭載されていく。
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2010年 PENTAX K-5
(デジタル一眼レフ・クラッシックス第6回記事)
非常に高機能な高性能機。特に最大ISO51200や、連写毎秒
7コマは、その後の時代の中上級一眼レフにも見劣りしない。
シャッター音等の静音化も優秀であり、暗所での舞台・ライブ
などの撮影に大活躍したカメラであった。
この頃、ミラーレス機やスマホの台頭から、国内一眼レフ
市場の縮退が始まり、PENTAXとしても(他社も)普及機から
上級機まで、きっちりと価格別のラインナップを揃える事が
難しくなって行く。
PENTAXでは、上位機、下位機の大きく2つのラインナップに
再編するが、下位機には、中級機クラスの高性能を与え、
(K-30,K-50,K-S1,K-S2等 2012~2015年)
上位機も、他社高級機並みの性能となっている。
(K-5Ⅱ,K-5Ⅱs,K-3,K-3Ⅱ等 2012~2015年)
(注:2011年は、未曾有の大災害「東日本大震災」が
起こってしまった為、その年の新機種の発売は大幅に
控えられていると思われる)
これらの機種群は、いずれもコスパが良いと思われ、
お買い得感が非常に強いラインナップだが、私は
「K-5があれば十分」と見なして購入していなかった。
(ただし、今後、「消耗機」として使い潰す等の理由で、
中古相場が非常に安価になった、これらの機種を追加購入
する可能性は多々ある)
お買い得である反面、メーカーから見れば高付加価値化が
しにくい(=強気の値付けが困難)為、ビジネス的には
やや苦しい商品展開だ。
それと、重要な点であるが、PENTAX機は基本的に銀塩時代
からデジタル時代に至る迄の、どの時代のカメラであっても
一見して”初級中級ユーザー層向け製品”に見える。
それは価格が安価であったり、エントリー層等が目を引く
部分を主体にアピールしている為もあるとは思うが・・
実際のカメラの中身は、その正反対だ。多くの時代のPENTAX機
は、非常に高機能かつ高性能であって、初級中級層では絶対に
理解できずに、使いこなせない高度な仕様が満載されている。
下手をするとその高度な超絶機能は、上級層や専門家層ですら
理解はしていたとしても、使いこなしは困難であり、結果的に
評論家や職業写真家層、上級マニア層等のレビューですらも、
そうした超高機能の使いこなしについては、ばっさりと割愛
されてしまっている(=説明できない/使っていない)場合が
多い。
まあ、このK-5あたりはその最たるものだ、すなわちPENTAX
のカメラ側が、ユーザーのレベルや予想の「斜め上」をいって
しまっているだけに、正当な好評価を誰も下す事が出来ない。
結局、PENTAXにとっては損をしているようにも思えるのだが、
かといって、実際に使いこなせる人が、ほんの一握りしか
居ないのであれば、仮に一部の人達が絶賛しても、それを聞いて
購入した一般層は、誰も、その高機能の恩恵には預かれない。
よって「過剰な仕様である」とも言え、何ともアンバランスだ。
すなわち、PENTAX機を購入する初級ユーザーは、それまでの
何倍も、写真や撮影に係わる知識や技能を猛勉強や修練して
いく必要がある。それをやらない、又は出来ないのであれば、
PENTAX機では無く、もっと安直で底の浅い他社機を購入する
方がマシだという、残念な結論になってしまう訳だ。
![_c0032138_19473552.jpg]()
HD型番レンズ群
さて、それから交換レンズ群も、この時期、旧来のsmc型番
からHD型番に順次シフトしてきている。このHDとは新型の
コーティング技術であり、私自身では余り多くを所有しては
いないが、低価格帯製品では、旧来のsmc型より逆光耐性が
明らかに向上している。(ただし、高価格帯製品では従来
から十分に高性能であったし、一部にはエアロ・ブライト等
の新型コーティング技術を搭載済みであった)
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2012年 PENTAX K-30
(参照:デジタル一眼レフ・クラッシックス第24回記事)
親会社がHOYAからRICOHに変わった直後に発売された
機種であるが、企画的にはHOYA時代のものであろう。
スポーティーな印象の防滴機、基本性能は悪く無い。
後年にかなり安価(2万円強)で展示品を入手している。
現在に至る迄、雨天や水際等を含む過酷な実用撮影環境で
大活躍中である。(注:内部の特定の電子部品/基板が
故障しやすい、という「持病」を抱えている為、その点
のみ注意が必要だ)
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2010年代前半 PENTAX ミラーレス一眼
このシリーズは、2011年からの超小型機Qシリーズが4機種、
2012年発売の、唯一のKマウント機K-01があるのだが、
いずれも2010年代後半には既に終焉してしまっていた。
![_c0032138_19474639.jpg]()
2012年 PENTAX K-01
(参照:ミラーレス・クラッシックス第9回記事等)
本ブログではK-01特集記事を過去3回掲載している程の、
”気になる”超個性的なカメラである。
基本性能はまったくの未成熟であり、そもそもカメラとして
成り立っていない(汗)(よって、後継機も一台も無い)
この為、私はK-01を「問題児」と称している。
![_c0032138_19475690.jpg]()
が、極めて個性的なデザイン、それからエフェクト操作系
等の特定の機能が優れ、特定のレンズ(例:ピンホールや
トイレンズ)との組み合わせで、多くの弱点を相殺できる
テクニカルなカメラであり、使い方次第で非常にエンジョイ
度を高めることができるという超マニアックなカメラである。
低性能ながら、各紹介記事での総合評価点は平均点程度に
留まり、なんとも不思議な、唯一無二の魅力的なカメラだ。
![_c0032138_19475777.jpg]()
2011年 PENTAX Q
(ミラーレス・クラッシックス第11回Q7編で少し紹介)
Qは、Qシリーズ(Q/Q10/Q7/Q-S1)の初代機種。
超小型機であるが、そこがこのシリーズの要点では無い。
Qシリーズの最大の特徴は、”エフェクト操作系”であり、
その点で優秀なK-01よりも、さらに優れている。
この為、PENTAX Q用純正トイレンズ(03,04,05,07)
(注:カメラメーカーが純正トイレンズを出すのは異例だ。
これらは、ミラーレス・マニアックス記事等で多数、また
特殊レンズ第16回「PENTAX TOYLENS」編で紹介済み)
・・との組み合わせや、他社製トイレンズ(HOLGA等)や
果ては、CCTV・マシンビジョン系のCマウント系レンズ
(特殊レンズ・超マニアックス第1回記事で6本紹介)
との組み合わせで使うのにかなり適している。
まあ、相当なマニアックな使い方であるし、トイレンズや
エフェクトの使いこなしは、一般ユーザーが想像するほど
安直で簡単なものではなく、「表現」を意識する上では
高度なデジタル知識や高度な技能が必要となり、実際には
非常に難しく、上級者レベルでも困難であろうが、その点は
逆に言えば、使いこなす為の挑戦意識や奥深さもあり、
テクニカル的エンジョイ度が高いシステムとなっている。
(注:Qシリーズおよび、同時代2011年~2013年頃の
PENTAX機は、スーパーキャパシタの電荷抜けの「持病」
を抱えている。それが発症すると、カメラ内部の時計が
発売年にリセットされてしまう。これの自力修理は困難だ。
PENTAXに限らず、この時代の各社機で、様々な共通の
「持病」(すなわち欠陥)があるのは、2011年の
東日本大震災や海外での大災害の影響で、一時的に各社
共通使用部品の品質が低下したのだろうと推測している。
この時代以前(~2010年)および、以降(2014年~)
では、各社のカメラに共通の欠陥が発生するケースは無い)
![_c0032138_19480473.jpg]()
PENTAX 中判(645)デジタル一眼レフ
PENTAX 645D(2010年)、645Z(2014年)等がある。
銀塩での645シリーズの後継機であり、旧来レンズの使用
互換性も高い。銀塩645システムユーザー等であれば興味
深い製品群だとは思うが、かなり高価なシステムであり、
個人的には、コスパ面において興味が持てずに未所有だ。
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2010年代後半 Kシリーズ成熟期デジタル一眼レフ
リアル・レゾリューションやローパスセレクター等の
PENTAX独自の新技術が実用化されている。これは技術系の
企業であるRICOHとの合併も良い方向に働いたかも知れない。
また、超高感度化も進み、他社機では高級級にのみ搭載
されていた超高感度性能も、この時代のPENTAX機では普通だ。
加えて、やっとフルサイズ一眼K-1(2016)が発売され、
交換レンズ群も、新時代の高解像力化製品開発が推進された。
まあ、いわゆる「超絶性能」となった訳だが、他社機や
他社レンズのような割高感は少なく、コスパが比較的良い。
ただ、この時代には、交換レンズサードパーティ
(SIGMA,TAMRON,TOKINA等)も、PENTAX Kマウント対応
での交換レンズ発売を控える状況があり、これはすなわち
PENTAXを見限っているという事にもなり、PENTAXとしても、
同社機ユーザーとしても、苦しい状況だ。
よって、よりマニアックな仕様(注:PENTAXのマニア層は
意外に多い)に特化していくのも1つの解決策だとは思う。
コスパが良く、機種数もさほど多くは無いので、殆どの
PENTAX製品を購入してしまうマニア(PENTAX党)も居る。
![_c0032138_19480491.jpg]()
2017年 PENTAX KP
(参照:デジタル一眼レフ・クラッシックス第22回記事)
超高性能、超高機能を「てんこ盛り」「なんでも乗せ丼」
とした超絶性能の中高級機。
私は、思わず新品同様品を高価に購入してしまったが、
少し待って中古で買えば極めてコスパが良い製品である。
コスパの弱点を含めた評価においても、過去のデジタル一眼
記事で最高点の評価が得られていて、特に「操作系」の
秀逸さは、他社の全デジタル一眼レフの追従を許さない。
基本的には、銀塩旗艦機Z-1(1991年)の、デジタルでの
最終進化形と言えるであろう。
ただ、あまりに高機能・高性能であり、操作系の利点すらも
初級中級者では、その恩恵に預かれないと思われる。
(難解な「ハイパー操作系」よりも、さらに高度であって、
初級層ではフルオート設定以外では撮りようが無い)
限られた上級者層のみがKPの高性能を発揮する事が出来る
状態ではあるが、製品の価格帯やターゲットユーザー層との
乖離(食い違い)が弱点だ(つまり、PENTAX初級層にとって
見れば、従来の中級機の2倍もする高価な機体であるものの、
他社であれば、これは3倍の価格でも上級層に売れる製品で
あるから、ビジネス的な視点からは苦しい製品だ。すなわち、
ユーザーにとって有利すぎる訳だ)
耐久性に優れる機体とは思えない為、実用(業務)撮影に
使えない点も、せっかくの高性能が生かせない弱点である。
![_c0032138_19474645.jpg]()
以降の時代のPENTAX機については所有していないし、
残念ながら、あまり新型機が発売されている状態でも無い。
KP以降では、KPの外装変更版(KP J Limited)が発売
されただけで、事実上、PENTAXの一眼レフの展開は
停止してしまっている。前述のようにレンズメーカーも
PENTAX Kマウントのレンズの新発売を止めているし、
このままフェードアウトに近い状況かも知れない。
(注:コロナ禍で中止になったCP+2020(展示会)で、
新規APS-C旗艦機が参考出品される予定だったと聞く。
これが実際に発売されれば、約3年ぶりの新機種となる)
いずれにしても、一眼レフの黎明期を支えたPENTAXが、
あまり元気が無いのは、寂しい限りである。
時代は変わったが、変化した時代に追従できなかったのは
メーカー側、ユーザー側いずれにも課題があったと思われる。
「PENTAX機の本質は何か?」それを皆が理解できていた
のであれば、状況は変わっていたかも知れない訳だ。
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さて、これにて本シリーズ「カメラの変遷」における
PENTAX編は終了、次回記事はMINOLTA編となる予定だ。
のカメラを、主に1970年代から現代2020年代に至る迄の
約50年間の変遷の歴史を辿る記事である。

PENTAX機や、取り巻く状況・世情を中心に紹介する。
なお、挿入している写真は、紹介機種の時代のPENTAX製
カメラおよびレンズで撮影したものである。
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さて、PENTAX前編記事は2000年代に到達した所であった。
カメラ形態の急速な転換時期であり、ちょうど中古カメラ
ブームもあった事等で、この時代のカメラは、およそ全ての
タイプのものが各メーカーより新発売されている。
具体的には、銀塩MF一眼レフ、銀塩AF一眼レフ、銀塩APS機
銀塩中判機、銀塩レンジファインダー機、銀塩コンパクト機、
レンズ付きフィルム、特殊フォーマット機(MINOX判等)、
デジタルコンパクト機、デジタル一眼レフ等である。
この混迷期をどのように乗り切るかが、PENTAXの課題となる。
下手をすると、いくつかの他社のように(この直後の時代に)
カメラ事業から撤退せざるを得なくなってしまうのだ。
老舗のPENTAXとしては、それはどうしても避けたい結末だ。
なお、「PENTAX」というのは光学機器(カメラ、双眼鏡等)
のブランド名であって、社名は「旭光学工業株式会社」で
あったが、この時代2002年に「ペンタックス株式会社」に
ようやく社名変更している。

1990年代後半からデジタルコンパクト機の発売を始めた
カメラメーカーも多かった中、PENTAXは後発であり
その初号機は、Optio 330(2001年)となる。
以降、2000年代を通じて極めて多数のOptioシリーズが
発売される。詳細はとても書ききれないので割愛する。
特徴として、初期(~2003)のコンパクト機の記録媒体
はCFカードであった事、操作系に優れた機種が多かった事。
それから、電源として汎用的な単三乾電池を使用する機種が
多かった事、があるが、後年にはSDカード利用となり、
2000年代後半からの手ブレ補正機能搭載後は単三電池では
なく、専用バッテリーとなった。(消費電力の問題か?)
Optioは初級層向けの比較的ポピュラーなシリーズでは
あったが、マニアック度に欠ける為、個人的には、殆ど
興味が持てなかった。
ここでは私が今でも所有しているコンパクトの2機種のみ
簡単に説明する。

PENTAXが創業当時から得意とする双眼鏡と、デジカメを合体
させたユニークなカメラ。当時、双眼鏡一体型のデジカメは、
本機DB200(130万画素)と前機種DB100(85万画素)の
2機種しか存在していなかった。(注:近年では、海外製
等で、カメラ機能付き双眼鏡は色々と存在する)
これは双眼鏡光学系内にデジカメが組み込まれているのでは
なく、デジカメ部は別途250mm/F4相当の単焦点望遠だ。
(注:双眼鏡部より、やや広い画角)
両者が別々の光学系であるデメリットもあるが、実用上の
長所としては、電池切れ(注:単三電池だが、消耗が早い)
になった際にも、双眼鏡部は、そのまま使用できる事だ。
デジカメ部のピント合わせは双眼鏡光学系に同調して行う。
詳細は、コンパクト・デジタル・クラッシックス第1回
記事を参照の事。

コンパクト・デジタル・クラッシックス第2回記事で紹介。
PENTAX初の防水対応機。(型番はWater Proofの略であろう)
手ブレ補正内蔵だが、専用バッテリーの消費が極めて早い。
この機体は知人からの中古譲渡品で、バッテリーが消耗して
いた為、新品のバッテリーに交換したが、それでも消費が早い。
ボート競技等の水際での実用撮影には使えず、趣味専用機に
なってしまった。
まあこの機種に限らず、他社でも1990年代~2000年代の
デジタルコンパクト機の多くは、そうした弱点を持っていた。
この為、単三電池等を電源として、出先でのコンビニ等での
購入に対応していた機種もあったが、コスト高は避けられない。
単三電池でも専用電源でも、これらの機種の使用は、電池切れ
対策や省エネ撮影技法など、留意が必要だ。

2011年に、カメラ事業は、リコー社の子会社として
吸収合併された。
この時代からの、スマホとミラーレス機の台頭により
コンパクト機の市場は縮退。新経営体制下での不採算部門
の整理の観点からも、2008年以降のPENTAXブランドでの
コンパクト・デジタル機の機種数は激減していて、Optioの
名称も廃止され、2014年からはRICOHブランドとなった。
なお、私見ではあるが、PENTAXは老舗ブランドであるが
旧来からのユーザー層(ファン層)を非常に大事にする。
これは前編で書いたSPシリーズが350万台という記録的な
ヒット商品となった事にも関連があるが、Kマウント転換時の
マウントアダプターKを30年間も1000円で売り続けた事や
中判カメラの生産を長年止めなかった事、それからAFや
デジタル移行期にもKマウントを堅持して変えなかった事、
等が多数の実例として挙げられる。
しかしながら、この時期に親会社が何度か変わった事で、
そうした「互換性」あるいは、心理的な「良心」や「温情」
の社風が失われてしまった節も多々見受けられる。
前述のマウントアダプターKは5000円以上にも値上げされ、
不採算なコンパクト機は、ばっさりと生産中止だ。
まあ、ビジネス的な視点からは、いずれもやむを得ないし、
銀塩時代からのPENTAX党も、もう殆ど残っていないのでは
あろうが、マニア的視点で、こういう記事を書いていって
PENTAXの歴史を辿っていくと、色々と残念な側面もある。
で、PENTAXコンパクトの最終機種として、銀塩一眼レフの
名機PENTAX MX(1976)のイメージを踏襲した真鍮ボディ
の高級コンパクト PENTAX MX-1(2013)が注目だ。
少し欲しかったのであるが、単焦点機では無かった事と、
中古相場が若干高価に推移していたので購入は見送った。
(ただ、PENTAXのコンパクト機終焉を見守る意味での
歴史的な価値は高い機体であろう)
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2000年代前半 PENTAX *istDシリーズ
PENTAXのデジタル一眼レフとして最初に発売されたのは
*istD(2003年)であった。まだ価格が高価(約20万円)
であった為、中上級層をターゲットとし、その為に
銀塩Zシリーズ(1990年代前半)に搭載されていて、後年の
MZシリーズ(MZ-S以外)では簡略化の為に廃止されていた
「ハイパー操作系」を復活させた。(同機は未所有)

また、この時代前後の銀塩末期交換レンズではFA Limited
シリーズや、FA★シリーズの超高性能単焦点レンズ群が
存在し、これらは極めて優秀である事は特筆すべき事実だ。
これらはデジタル時代においても十分に他社レンズに対する
優位性がある。こうした銀塩用レンズは、さらに後年では
解像力性能やAF性能等での不満も出てくるとは思われるが、
使用するカメラやセンサーとの性能バランス、そして適切な
撮影技法を細かく意識して使えば何ら問題無い。
(参考:「PENTAX党」と呼ばれるマニア層では、必ず
FA LimitedかFA★を所有しているであろう。逆に言えば
それらを所有していれば「PENTAX党だ」と見なせる)

レング群が多数発売されている。
(上写真は、最初期に発売された DA16-45mm/F4)
レンズの焦点距離は当然銀塩時代よりも広角側にシフトして
いるが、ズームレンズが主力であり、それらの場合は単焦点に
対する性能的利点も感じ難く、ほとんど購入していない。
他には数本のDA型番単焦点を所有するに留まっている。
カメラとレンズとの情報伝達プロトコルは細かく変遷して
いて、KAF3型、KAF4型等があるが、幸いにしてユーザー側
では、基本的に銀塩時代からデジタル時代まで、あまり
その詳細を意識する必要は無く、レンズ使用互換性は高い。
まあ、2010年代以降の機種で無印(K,P)レンズが使えない
等、細かい課題はあるが、マニアであれば各時代のデジタル
PENTAX機を所有していると思うので、どれかの機種では
確実に使える。

(デジタル一眼レフ・クラッシックス第2回記事参照)
この2004年は、各社から普及版デジタル一眼レフが
出揃った「デジタル一眼レフ元年」である。
中でもこのPENTAX *istDsは最も安価であり、初めて
10万円を切った価格帯(当時最安値)のデジタル一眼
レフであった。
ちなみに機種名だが、*istDsなのか、*istDSなのか?
はっきりしない(汗) と言うのも、最後のsは、他の型番
文字よりも小さい字体で書かれているのだが、大文字とも
小文字とも判別できないデザイン文字であるからだ。この為、
本ブログでは、昔から便宜的に「*istDs」と表記している。
この年のデジタル機は、各社同等の撮像センサーを用いて
いたのでCCD 600万画素の仕様等は他社機に見劣りしない。
それでいて、他社機より圧倒的に小型軽量だ。
ただし、この機体は当時のPENTAXデジタル・コンパクト機
と同様に、電源に単三電池を使用する方式であり、それを
4本用いると、若干重量が増加してしまうのが難点だ。
カタログスペックに現れない長所として、AWBが優秀な事と
高感度(ISO3200)で、ノイズも他社機より少ない事から、
照明の色味が、ころころと変化するライブステージの撮影で
2000年代を通じて重宝していた。
他の2000年代前半の *istDシリーズとしては、
*ostDL,*istDs2(いずれも2005年),*istDL2(2006年)
があるが、どれも*istDsよりもスペックダウンした初級機で
あった為に購入していない。

2002年に社名をPENTAX株式会社に変更した所ではあるが、
この頃からカメラ事業が苦しくなってきていた。
まあ、アナログからデジタルへの大変革期であるから、
そう簡単には行かないのは当然だ。
(KONICA)MINOLTAや京セラ(CONTAX)ですら、この事業
構造の大変革に耐えられず、この時期にカメラ事業から撤退
している。
提携、合併、資本投下、売却等の色々な道が模索されただろう
が、その詳細は、水面下での動きなので当然わからない。
有力な提携先としは、セイコーへの事業移管や、韓国サムスン
との合併の話が2005年前後に色々と出ていた模様だ。
2006年には光学ガラス事業で著名なHOYAとの吸収合併が発表
されたが、反対意見もあって、すったもんだがあった模様だ。
2007~2008年に、HOYA株式会社の中のカメラ事業部として
PENTAXのブランドは存続する。
しかし、色々と、やりにくい点もあったのだろうと推察され、
僅か3年後、2011年にHOYAはカメラ事業をRICOHに売却する。
ここで、RICOHがPENTAXの親会社となった訳だ。
2012年には、旧来のRICOHとPENTAXのカメラ事業を統合し
その後のカメラ製品のブランドは適宜RIOOHとPENTAXが
並存している。
とりあえずPENTAXのブランドは生き残った形になったのだが、
過去のRICOHとPENTAXのカメラ製品の関連等から、ここには
興味深い話が色々ある。長くなるので、そのあたりはまた後日
RICOH関連のカメラの記事で述べよう。
ただまあ、この事業再編のゴタゴタにより、PENTAXのカメラ
事業は、それぞれの時代(PENTAX単独末期、HOYA期、RICOH期)
で、大きくコンセプトや方針が違い、結果としての製品群も
そのテイストやターゲット層がずいぶん異なってしまっている。
ここをユーザー側(特にPENTAX党やマニア層)が、どう捉える
かは難しいところがある。個々の時代のシリーズ製品を全くの
別物として捉える事ができるのであれば、何ら問題は無いと
思うが、ずっとPENTAX製品を使い続けている等の、旧来型の
ユーザー心理においては、違和感が相当に大きい事であろう。
まあつまり、PENTAXユーザー側ではこれらの時代の製品群に
対して、柔軟に使い方の発想を変えていかなくてはならない、
と言う事になるのだが、それはあまり簡単な事では無い。
結局、ビギナーやエントリーユーザーの「使い捨てブランド」
(最初に安価なPENTAX機を買ったが、使いこなせないままで、
すぐ他社機に乗り換える等)に、なってしまわないようにする
為には、そしてPENTAXが生き残る為にも、PENTAXファン層
側の意識改革も重要な点だ。
(注:個人的には多くの「PENTAX党」に接して話を聞いては
いるが、所感では「PENTAX党」で他社機を購入する比率は
少なく、他社機との相対的な比較ができていないケースが多い。
まあこの点は他社のファン層でも同様だが、PENTAX党は絶対数
も少ない為か、余計にその排他的な比率が高く感じてしまう)
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2000年代後半 Kシリーズ初期デジタル一眼レフ
前述の事業再編の関連も大きくあったので、このあたりから
PENTAXのデジタル一眼レフは、旧来の、市場普及を狙った
*istDシリーズから、本格的なKシリーズに戦略転換していく。
K100D(2006)は、PENTAX初のボデイ内手ブレ補正搭載機だ。

(デジタル一眼レフ・クラッシックス第6回記事)
銀塩時代からのPENTAXの切り札である「ハイパー操作系」を
又、復活させた。つまりこれは「上位機種の証」という意味だ。
その他、多機能かつ優秀な機体であるので私も長期間愛用した。
近年わかった隠れた長所として、「プロトコル互換性が高い」
事があり、銀塩時代の古いパワーズームレンズや、無印(K/P)
レンズ等、およそこの機体以前の、殆どのPENTAX一眼レフ用
レンズを使用可能だ。
弱点は最高ISO感度がISO1600と低いところだが、この点は
2008年にISO6400の後継機K20D(未所有)が発売された。
が、K10Dには当時希少な低感度ISO100が搭載されている為、
大口径オールドレンズ母艦としての適正が高い。
AF性能が低い事もあいまって、MFの常用も意識しておく事
が、K10Dの使いこなしのコツだ。
この時点までがPENTAX株式会社としての製品群であり、
型番のハイフンは無く、機種名の最後にはDが入る慣習だ。
PENTAX独自の高性能機種群であり、最後に「老舗の意地」を
見せた形となった。

を低価格帯に置き、K-7(2009年、ハイフン有り、D無し)を
上級機として置く。なお、K-7ではサムスン製CMOS撮像素子を
採用していて、同社との合併が検討されていた2005年前後に
企画が行われた製品であると想像できる。(未所有だが、
国産機では稀な韓国製CMOS機である為、興味深い。
他に、PENTAX K20Dも、同様にサムスン製CMOSを搭載)
続くK-x(2009)、K-r(2010)では、ボディ色を沢山選べる
「オーダーカラー制(システム)」を採用。
ユーザーが好きな色を選べるという点では、カメラ界としては
画期的ではあるが、色つきボディは、前年(2008年末)の
初のミラーレス機 PANASONIC (LUMIX) DMC-G1でも、赤や
青のボディがあったし、銀塩時代でも、オリーブ、ゴールド、
白塗装、チタンカラー等の限定品が色々あったりしたので、
完全に初めてという訳では無い。
色つきボディは、その当時では、ベテラン層などに不評では
あったが、カメラ以外の他の市場分野(衣服、車両等)では、
あまりにも当たり前の商品展開であり、難なく定着する。
しかし、ユーザーがあまりに奇抜な色を指定してしまう等の
問題もあってか? オーダーカラーシステムは終焉したが、
その後の時代では、メーカー純正品の色つきボディとして
生き残っている。(特に、各社ミラーレス機では常識だ)
なお、K-rは、一見エントリー機に見えるが、中身は高性能
であり、当時、K-5のサブ機として購入を検討したのだが、
市場に出る中古品がオーダーカラーの変な色(汗)ばかり
であり、中古購入を見送った。オーダーカラー品が中古市場
での売買を抑制する(新品販売が増える)という、メーカー
側にとっての隠れた効能がある、と知った次第である。
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2010年代前半 Kシリーズ発展期
デジタル一眼レフの高機能化、高性能化が進んだ時代である。
この時期、親会社がRICOHに変わった事も理由としてか?
独自のデジタル関連「基礎技術」の研究開発も色々と進み、
それらが順次、各機種群に搭載されていく。

(デジタル一眼レフ・クラッシックス第6回記事)
非常に高機能な高性能機。特に最大ISO51200や、連写毎秒
7コマは、その後の時代の中上級一眼レフにも見劣りしない。
シャッター音等の静音化も優秀であり、暗所での舞台・ライブ
などの撮影に大活躍したカメラであった。
この頃、ミラーレス機やスマホの台頭から、国内一眼レフ
市場の縮退が始まり、PENTAXとしても(他社も)普及機から
上級機まで、きっちりと価格別のラインナップを揃える事が
難しくなって行く。
PENTAXでは、上位機、下位機の大きく2つのラインナップに
再編するが、下位機には、中級機クラスの高性能を与え、
(K-30,K-50,K-S1,K-S2等 2012~2015年)
上位機も、他社高級機並みの性能となっている。
(K-5Ⅱ,K-5Ⅱs,K-3,K-3Ⅱ等 2012~2015年)
(注:2011年は、未曾有の大災害「東日本大震災」が
起こってしまった為、その年の新機種の発売は大幅に
控えられていると思われる)
これらの機種群は、いずれもコスパが良いと思われ、
お買い得感が非常に強いラインナップだが、私は
「K-5があれば十分」と見なして購入していなかった。
(ただし、今後、「消耗機」として使い潰す等の理由で、
中古相場が非常に安価になった、これらの機種を追加購入
する可能性は多々ある)
お買い得である反面、メーカーから見れば高付加価値化が
しにくい(=強気の値付けが困難)為、ビジネス的には
やや苦しい商品展開だ。
それと、重要な点であるが、PENTAX機は基本的に銀塩時代
からデジタル時代に至る迄の、どの時代のカメラであっても
一見して”初級中級ユーザー層向け製品”に見える。
それは価格が安価であったり、エントリー層等が目を引く
部分を主体にアピールしている為もあるとは思うが・・
実際のカメラの中身は、その正反対だ。多くの時代のPENTAX機
は、非常に高機能かつ高性能であって、初級中級層では絶対に
理解できずに、使いこなせない高度な仕様が満載されている。
下手をするとその高度な超絶機能は、上級層や専門家層ですら
理解はしていたとしても、使いこなしは困難であり、結果的に
評論家や職業写真家層、上級マニア層等のレビューですらも、
そうした超高機能の使いこなしについては、ばっさりと割愛
されてしまっている(=説明できない/使っていない)場合が
多い。
まあ、このK-5あたりはその最たるものだ、すなわちPENTAX
のカメラ側が、ユーザーのレベルや予想の「斜め上」をいって
しまっているだけに、正当な好評価を誰も下す事が出来ない。
結局、PENTAXにとっては損をしているようにも思えるのだが、
かといって、実際に使いこなせる人が、ほんの一握りしか
居ないのであれば、仮に一部の人達が絶賛しても、それを聞いて
購入した一般層は、誰も、その高機能の恩恵には預かれない。
よって「過剰な仕様である」とも言え、何ともアンバランスだ。
すなわち、PENTAX機を購入する初級ユーザーは、それまでの
何倍も、写真や撮影に係わる知識や技能を猛勉強や修練して
いく必要がある。それをやらない、又は出来ないのであれば、
PENTAX機では無く、もっと安直で底の浅い他社機を購入する
方がマシだという、残念な結論になってしまう訳だ。

さて、それから交換レンズ群も、この時期、旧来のsmc型番
からHD型番に順次シフトしてきている。このHDとは新型の
コーティング技術であり、私自身では余り多くを所有しては
いないが、低価格帯製品では、旧来のsmc型より逆光耐性が
明らかに向上している。(ただし、高価格帯製品では従来
から十分に高性能であったし、一部にはエアロ・ブライト等
の新型コーティング技術を搭載済みであった)

(参照:デジタル一眼レフ・クラッシックス第24回記事)
親会社がHOYAからRICOHに変わった直後に発売された
機種であるが、企画的にはHOYA時代のものであろう。
スポーティーな印象の防滴機、基本性能は悪く無い。
後年にかなり安価(2万円強)で展示品を入手している。
現在に至る迄、雨天や水際等を含む過酷な実用撮影環境で
大活躍中である。(注:内部の特定の電子部品/基板が
故障しやすい、という「持病」を抱えている為、その点
のみ注意が必要だ)
----
2010年代前半 PENTAX ミラーレス一眼
このシリーズは、2011年からの超小型機Qシリーズが4機種、
2012年発売の、唯一のKマウント機K-01があるのだが、
いずれも2010年代後半には既に終焉してしまっていた。

(参照:ミラーレス・クラッシックス第9回記事等)
本ブログではK-01特集記事を過去3回掲載している程の、
”気になる”超個性的なカメラである。
基本性能はまったくの未成熟であり、そもそもカメラとして
成り立っていない(汗)(よって、後継機も一台も無い)
この為、私はK-01を「問題児」と称している。

等の特定の機能が優れ、特定のレンズ(例:ピンホールや
トイレンズ)との組み合わせで、多くの弱点を相殺できる
テクニカルなカメラであり、使い方次第で非常にエンジョイ
度を高めることができるという超マニアックなカメラである。
低性能ながら、各紹介記事での総合評価点は平均点程度に
留まり、なんとも不思議な、唯一無二の魅力的なカメラだ。

(ミラーレス・クラッシックス第11回Q7編で少し紹介)
Qは、Qシリーズ(Q/Q10/Q7/Q-S1)の初代機種。
超小型機であるが、そこがこのシリーズの要点では無い。
Qシリーズの最大の特徴は、”エフェクト操作系”であり、
その点で優秀なK-01よりも、さらに優れている。
この為、PENTAX Q用純正トイレンズ(03,04,05,07)
(注:カメラメーカーが純正トイレンズを出すのは異例だ。
これらは、ミラーレス・マニアックス記事等で多数、また
特殊レンズ第16回「PENTAX TOYLENS」編で紹介済み)
・・との組み合わせや、他社製トイレンズ(HOLGA等)や
果ては、CCTV・マシンビジョン系のCマウント系レンズ
(特殊レンズ・超マニアックス第1回記事で6本紹介)
との組み合わせで使うのにかなり適している。
まあ、相当なマニアックな使い方であるし、トイレンズや
エフェクトの使いこなしは、一般ユーザーが想像するほど
安直で簡単なものではなく、「表現」を意識する上では
高度なデジタル知識や高度な技能が必要となり、実際には
非常に難しく、上級者レベルでも困難であろうが、その点は
逆に言えば、使いこなす為の挑戦意識や奥深さもあり、
テクニカル的エンジョイ度が高いシステムとなっている。
(注:Qシリーズおよび、同時代2011年~2013年頃の
PENTAX機は、スーパーキャパシタの電荷抜けの「持病」
を抱えている。それが発症すると、カメラ内部の時計が
発売年にリセットされてしまう。これの自力修理は困難だ。
PENTAXに限らず、この時代の各社機で、様々な共通の
「持病」(すなわち欠陥)があるのは、2011年の
東日本大震災や海外での大災害の影響で、一時的に各社
共通使用部品の品質が低下したのだろうと推測している。
この時代以前(~2010年)および、以降(2014年~)
では、各社のカメラに共通の欠陥が発生するケースは無い)

PENTAX 645D(2010年)、645Z(2014年)等がある。
銀塩での645シリーズの後継機であり、旧来レンズの使用
互換性も高い。銀塩645システムユーザー等であれば興味
深い製品群だとは思うが、かなり高価なシステムであり、
個人的には、コスパ面において興味が持てずに未所有だ。
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2010年代後半 Kシリーズ成熟期デジタル一眼レフ
リアル・レゾリューションやローパスセレクター等の
PENTAX独自の新技術が実用化されている。これは技術系の
企業であるRICOHとの合併も良い方向に働いたかも知れない。
また、超高感度化も進み、他社機では高級級にのみ搭載
されていた超高感度性能も、この時代のPENTAX機では普通だ。
加えて、やっとフルサイズ一眼K-1(2016)が発売され、
交換レンズ群も、新時代の高解像力化製品開発が推進された。
まあ、いわゆる「超絶性能」となった訳だが、他社機や
他社レンズのような割高感は少なく、コスパが比較的良い。
ただ、この時代には、交換レンズサードパーティ
(SIGMA,TAMRON,TOKINA等)も、PENTAX Kマウント対応
での交換レンズ発売を控える状況があり、これはすなわち
PENTAXを見限っているという事にもなり、PENTAXとしても、
同社機ユーザーとしても、苦しい状況だ。
よって、よりマニアックな仕様(注:PENTAXのマニア層は
意外に多い)に特化していくのも1つの解決策だとは思う。
コスパが良く、機種数もさほど多くは無いので、殆どの
PENTAX製品を購入してしまうマニア(PENTAX党)も居る。

(参照:デジタル一眼レフ・クラッシックス第22回記事)
超高性能、超高機能を「てんこ盛り」「なんでも乗せ丼」
とした超絶性能の中高級機。
私は、思わず新品同様品を高価に購入してしまったが、
少し待って中古で買えば極めてコスパが良い製品である。
コスパの弱点を含めた評価においても、過去のデジタル一眼
記事で最高点の評価が得られていて、特に「操作系」の
秀逸さは、他社の全デジタル一眼レフの追従を許さない。
基本的には、銀塩旗艦機Z-1(1991年)の、デジタルでの
最終進化形と言えるであろう。
ただ、あまりに高機能・高性能であり、操作系の利点すらも
初級中級者では、その恩恵に預かれないと思われる。
(難解な「ハイパー操作系」よりも、さらに高度であって、
初級層ではフルオート設定以外では撮りようが無い)
限られた上級者層のみがKPの高性能を発揮する事が出来る
状態ではあるが、製品の価格帯やターゲットユーザー層との
乖離(食い違い)が弱点だ(つまり、PENTAX初級層にとって
見れば、従来の中級機の2倍もする高価な機体であるものの、
他社であれば、これは3倍の価格でも上級層に売れる製品で
あるから、ビジネス的な視点からは苦しい製品だ。すなわち、
ユーザーにとって有利すぎる訳だ)
耐久性に優れる機体とは思えない為、実用(業務)撮影に
使えない点も、せっかくの高性能が生かせない弱点である。

残念ながら、あまり新型機が発売されている状態でも無い。
KP以降では、KPの外装変更版(KP J Limited)が発売
されただけで、事実上、PENTAXの一眼レフの展開は
停止してしまっている。前述のようにレンズメーカーも
PENTAX Kマウントのレンズの新発売を止めているし、
このままフェードアウトに近い状況かも知れない。
(注:コロナ禍で中止になったCP+2020(展示会)で、
新規APS-C旗艦機が参考出品される予定だったと聞く。
これが実際に発売されれば、約3年ぶりの新機種となる)
いずれにしても、一眼レフの黎明期を支えたPENTAXが、
あまり元気が無いのは、寂しい限りである。
時代は変わったが、変化した時代に追従できなかったのは
メーカー側、ユーザー側いずれにも課題があったと思われる。
「PENTAX機の本質は何か?」それを皆が理解できていた
のであれば、状況は変わっていたかも知れない訳だ。
----
さて、これにて本シリーズ「カメラの変遷」における
PENTAX編は終了、次回記事はMINOLTA編となる予定だ。