本シリーズでは、やや特殊な交換レンズを、カテゴリー別に
紹介している。
今回の記事では「OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO F2レンズ」を
4本紹介しよう。ここでF2とは「開放F値が2」という意味だ。
オリンパスは先日、カメラ(映像)事業を分社化する事を
発表したばかりであるが・・・ その話はさておき、
本記事での時代背景は、今から数十年も前の話である。
![_c0032138_11590963.jpg]()
OLYMPUS OM-SYSTEMは、およそ1970年代~1990年代の
銀塩時代に展開された、一眼レフ(OM)および各種交換レンズ
(ZUIKO)と、アクセサリー群からなるシステムである。
これらの詳細は長くなるので、記事中で順次説明していこう。
(注:レンズ上には「OM-SYSTEM」と、 ハイフン有りで
書かれていて、ハイフン無しの「OM SYSTEM」は誤りだ。
だが、その開発時には、恐らく「SYSTEM」とは綴らず
「OMシステム」というカナ表記が殆どだったと思われる。
本記事/本ブログでは、適宜、両者を混在して用いている。
また、「SYSTEM」は、色々な意味を持つ英単語であるが
本ブログでは、OM-SYSTEMのような固有名の場合を除き、
通常では「カメラ+レンズ」の撮影機材の事を示している)
----
ではまず、最初のOMシステム
![_c0032138_11593676.jpg]()
レンズは、OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-T 100mm/f2
(中古購入価格 35,000円)(以下、OM100/2)
カメラは、OLYMPUS OM-D E-M5 MarkⅡ Limited (μ4/3機)
発売年不明、恐らくは1980年代頃と思われる大口径
単焦点MF中望遠レンズ。
ハイコスパレンズ第18回記事等でも紹介済みだ。
![_c0032138_11593651.jpg]()
まず最初に「OM-SYSTEM」(OMシステム)の由来だが、
オリンパスには、銀塩のPENや、XAシリーズ、OMシリーズ
といった名機を次々に設計した、天才と呼ばれた技術者
米谷(まいたに)美久氏(1933-2009)が居た。
彼が1970年前後に小型の一眼レフを新規に企画・開発を
する際、米谷氏の頭文字を取って、あるいは一眼の1を表す
「MONO」と言う言葉に絡めて、これは「Mシステム」と
呼ばれた。
1972年に、世界最小・最軽量の一眼レフとしてM-1が無事
発売されたのだが、展示発表会?の際にトラブルが起こる。
「ライカM3」などの銀塩レンジファインダー機を販売する
エルンスト・ライツ社(現ライカ)から、「Mはいかん」と
クレームが入ったのだ。
この結果M-1は、初回生産分以降はオリンパスのOをつけて、
1973年頃から「OM-1」と改名される事となった。
この事件はあまりに有名であり、その後の「オリンパス党」の
マニアの中には「ライカは度量が狭い」とか言って、頑なに
アンチライカとなった人も多い。(まあ、私個人もライカは
コスパが悪すぎるとずっと思っていて、その類に近い人種だ。
ライカ(M3等)を好む人達は、その工芸品のような作りこみを
美術的観点から嗜好するケースが多いのだが、私は「カメラは
全て実用品だ」と思っているから、「傷を付けるのが怖いから
外に持ち出したく無い」といった思想には賛同できない)
注意点だが、その後、1990年代の中古カメラブームの際にも
初回生産分のM-1は、ごく少数流通していたが、「珍品」として
極めて高額に取引されていた。しかし、その多くは、後年の
OM-1にM-1のエンブレム(機種名が書いてある部分の部品)
だけを組み合わせた「偽のM-1」だったのだ(!)
それは製造番号やら他の部品の仕様を見れば偽物である事は
わかるのだが、投機層等が高価に売りたいが故での改造で
あったのだろう。
その理由の1つは、M-1/初期OM-1は、1990年代後半では
既に発売から四半世紀が過ぎていて、各種部品の劣化が進んで
いたのだ。特に大きな弱点としては、ファインダーのプリズム
の接着部からカビが繁殖して、とても汚く見えてしまう事だ。
そうやって劣化したM-1では高価に売る事は出来ないので、
ファインダーがマシなOM-1を改造して偽M-1としていた訳だ。
私は、そもそもM-1を高価に買うつもりもなかった、そういう
取引は「真のマニア道」とは無縁の、富裕層のコレクターの
世界の話だからだ(=単に、”珍しい物を集めればマニアだと
認められる”と思ってしまう人達)
1990年代末頃、この状況を知ったオリンパスは、マニア層
向けにOM-1用の新品プリズム部品を1000個だったか1500個
だったか販売する事となった。ただ、これはあっと言う間に
売り切れてしまった。当時私はOM-1(MD)を所有していたが、
これは少しだけOM-1より後年の発売であり、プリズムの
劣化は無かったから、補修部品は購入しなかった。
(購入した人達は、もしかすると、「偽M-1」を作る為の
目的もあるのでは? とも勘ぐってしまっていた)
以降、すぐにデジタル時代となり、私はOM-1を譲渡して
現在では所有していない。歴史的価値からは残しておくべき
機体ではあったが、どうも、それらの経緯(ライカの話や
偽M-1の話)が、あまり気分の良いものではなかったからだ。
ごく近年、知人が、「父親の形見のカメラ」といって、
ピカピカのOM-1を私に見せてくれた。その知人は、
知「私は使わないし、よかったら匠さんに差し上げます」
と言ってくれたのだが、まずは「どれどれ」と拝見する。
「チャラララー」と、TVの鑑定番組のテーマソングが流れて
来そうな雰囲気だが、まあ、白手袋やルーペなどは持って
いない(笑)
実際に見てびっくり、まずは、あまりに程度が良かった事
(つまり、プリズムやシャッターの劣化などは殆ど無い)
で、逆に恐縮してしまい、まるでTVでの鑑定士のように、
以下のように答えた。
匠「1973年製、発売当時で世界最小・最軽量の一眼レフ
であったOLYMPUS OM-1の初期型ですね。
これは、オリンパスにおいて歴史的価値がある名機です。
天才と呼ばれたエンジニアが苦心して作ったカメラですよ。
で、その当時、このカメラを買うのは、その時のお父様の
ご年齢(若い)から想像すると、とても大きな決断での
買い物だったと思いますよ。
ましてや形見でしたら、是非大事に持っておいてください。
ちなみに現在の中古市場では、ここまで程度の良いOM-1は
殆ど現存していません。で、この皮製保管箱はカビが生える
危険性が高いので、防湿庫または防湿ケースに入れ替える
事をおすすめします。あるいは、たまには撮影してあげるのも
こういう機械式カメラの寿命を伸ばすコツです。その際、
露出計電源は、今は販売が禁止されている「水銀電池」です、
このMR-9、かろうじて生きてますが、もう持たないでしょう。
水銀は有害なので、このまま捨てる事ができませんが・・
私は代替電池を持っていますので、このカメラを実際に使う
のであれば、いつでも言ってきてください。」
そのOM-1を私が引き取る事はなかった。上記の発言は本音
ではあるが、裏には、ライカ事件や偽M-1事件の経緯により
あまり好んで所有しておきたいカメラでは無かったからだ。
まあそれは、OM-1自体の責任では無い、むしろOM-1は
正真正銘の名機だ。だが、「ケチがついてしまっている」
という事での、マニア的観点からの反発心だ。
ちなみに、2020年の「オリンパスがカメラ事業から撤退」
というニュース(注:実際には撤退ではなく事業移管)
を最初に聞いたのは、そのOM-1のオーナー氏からだった。
私は「そうそう、例の、お父様のカメラ(OM-1)ですが、
最近、中古相場が高騰していて、美品だと5万円位
もしていますよ・・」
と、ニュース情報のお礼に伝えておいた。
まあ、「亡父の形見なら、簡単には売らないように・・」
という意味を暗に込めている訳だ。
![_c0032138_11593608.jpg]()
さて、余談ばかりで、ちっともOM100/2の話が出来ないので
あるが、レンズそのものは、過去記事で何度も紹介している
名レンズである、いまさら、あれこれと長所や短所を述べる
必要も無いであろう。
そして、そういう他に何処にでもありそうな視点の記事よりも、
このブログにしか存在していない「一次情報」を提供する事が
近年の本ブログでの主眼となっている。
それと、長所短所などを書いても意味があまり無い理由の
1つとして、今回本記事で紹介する、OMのF2級レンズは、
現在、まず入手困難(または不可能)とも言える、レアもの
ばかりだからだ。
本記事を読んでレンズが欲しいと思っても、手に入らないのだ。
これを無理して入手しようとしても意味が無い、そのように
現物も見ないで、その真の性能も知らずに、想像だけで
「神格化」してしまうと、また前述の、偽M-1事件の時の
ような”投機的な世界の価値感覚”に入り込んでしまう。
![_c0032138_11593600.jpg]()
本OM100/2は、描写力や総合性能に優れたレンズで、
私の評価も高い(総合得点5点満点中3.9点) まあでも、
100mm/F2レンズとしてみれば別にOLYMPUS製でなくても、
後年に同様のスペックのレンズはいくらでもある。
例えば2016年のLAOWA105/2は本OM100/2と同等の
評価点(総合3.9点と同じ。描写力も両者同点の4.5点)
であるし・・ 滅多に見つからず、あってもプレミアム価格
となるだろう本OM100/2に対し、LAOWA105/2は同等か
それ以下の価格で新品購入できる。
おまけになんと「アポダイゼーション」仕様である。
(本シリーズ第0回「アポダイゼーション」編記事参照)
これはどうみても、LAOWA105/2に分がある事だろう。
私が本OM100/2を所有し続け、しかも高く評価しているのは
2000年頃に35,000円という比較的適性な価格で買えたからだ。
しかし、コスパ評価は2.5点と、これでも標準以下でしかない、
つまり、もっと安価であってしかるべきという事を意味する。
(25,000円~30,000円が性能からして妥当な相場だ)
もし本レンズを10万円とかのプレミアム相場で購入していたら、
コスパが悪すぎて、「ふざけるな!」と、早々に手放していた
事であろう。
----
さて、話が際限なく長くなりそうなので、このあたりで
紹介レンズを変えよう。
では、次のシステム
![_c0032138_11594706.jpg]()
レンズは、OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO MC AUTO-W 35mm/f2
(中古購入価格 19,000円)(以下、OM35/2)
カメラは、SONY α7 (フルサイズ機)
ミラーレス・マニアックス第73回記事で紹介の
これも発売年不明(恐らくは1970年代)の単焦点MF準広角
レンズ。
![_c0032138_11594755.jpg]()
描写力等の性能から比較すると、高価に買いすぎてしまった
と後悔しているレンズだ。まあ、中古カメラブームの際の
準レアものであるが故の、強気の高値相場であった事だろう。
正直言えば、小口径版のOM35/2.8(ミラーレス第48回)
の方が写りが良く、かつ安価でコスパが良いし、他の
同等のスペックのMFレンズであっても、ロシア(ウクライナ)
製のMIR-24(35mm/F2 ミラーレス名玉編第1回、総合17位)
の方が優れる部分が多い。
また現代機で使うならば、類似スペックである、TAMRON
SP35mm/F1.8(F012型。本シリーズ第8回記事)の方が、
現代レンズ(2015年発売)であるが故に、銀塩MF時代とは
ケタ違いの高性能だ。
新製品は確かに価格は高いが本OM35/2の約2万円に対して、
F012は中古で約4万円(注:現在はもっと安価)と、
まあ、不条理な迄の価格差とは言えないと思う。
さて、OM-SYSTEMの話がまだまだ途中であった。
OM-SYSTEM用のレンズ名はZUIKO(ズイコー)である。
これは、「瑞光」(めでたい兆しの光)という言葉や、
「瑞穂光学研究所」で開発された事を由来としている。
このレンズ名(ブランド名)は、OLYMPUSにおいて、
OMシステム以前から銀塩時代全般を通じて続き、その後の
2000年代のデジタル(4/3:フォーサーズ)時代では、
「ZUIKO DIGITAL」銘となり、さらに2010年代からの
μ4/3時代では「M.ZUIKO DIGITAL」銘となって、現代に
至っている。
なお、OMの「ZUIKO」および「ZUIKO DIGITAL」では、
レンズにそのように記載されていて、かつ全て大文字で
記載されている(よって、WEB上で良くある「Zuiko」等
の記載は誤りだ。恐らく現物を見た事が無いのであろう)
また、μ4/3用「M.ZUIKO DIGITAL」では、レンズ上には
「OLYMPUS DIGITAL」としか書かれていない場合もある。
OMシステムの時代のZUIKOレンズ群は、小型軽量のOMシリーズ
カメラに合わせて、小型軽量の(開放F値の暗い)レンズが
主流であったが、それでは他社システムに対して商売的に弱い。
つまり、当時の(現代でもそうだが)初級中級ユーザー層
においては、「開放F値の明るいレンズの方が、高性能で
高描写力で、だから高価なのだ」という、極めて大きな誤解が
存在しているからだ。
必ずしもそうで無い事は上級者層や上級マニア層においては
常識であり、言うまでも無い事だが、それは実際に自分で
多数のレンズを買って写して確かめないかぎりは、その誤解は
なかなか解けない事であろう。
ちなみに周囲の人達に聞いても無意味だ。高価なレンズを
購入した事への意義、あるいは言い訳を保持する為には、
「この大口径レンズは良く写るのだ」としか言わないからだ。
また、職業評論家などのレビュー記事等を見ても無意味だ。
メーカーにとって大口径レンズは利益の得られる高付加価値型
商品であるから、それを否定してしまったら、商売の邪魔を
する事になるので、そうした評価は、やってはならない訳だ。
自分で多数の大口径レンズと小口径レンズを同時に買って、
それぞれ詳細がわかるまで長期間徹底的に使い込んで、
そうすることでやっとわかる。すなわち、「下手をすれば
小口径版の方が良く写るでは無いか」という恐ろしい事実だ。
何故恐ろしいか?これは自分が気がついただけならば良いが
世の中のカメラユーザー全てが、真実を知ってしまったら、
「高い物は常に良いものだ」という世の中の、基本的な
経済原理が崩れてしまう。これは太陽が西から昇るような
もので、あってはならない事であろう。
安い方が良いモノであれば、誰も高いレンズなど買わない
ではないか・・ まあ、そういう事になってしまう訳だ。
![_c0032138_11594759.jpg]()
余談はともかく、小型軽量のOM-SYSTEMであっても、
大口径のレンズは商売的観点から言っても必要だ。
だがまあ、他社同様の、ありきたりな50mm/F1.4や
55mm/F1.2等を出しても、あまりインパクトは無い。
なので、当時のOM ZUIKOのラインナップの特徴は
「21mmから250mmまで開放F2で揃えられる」事である。
これは、結構な「売り文句」となっていて、後年の中古
カメラブームの際も「オリンパス党」の人達の間において、
その事を繰り返し何度も聞いた事がある。
(参考:OM-SYSTEM F2級レンズはマクロを含み11本が
存在する。他に、医療用特殊マクロ20mm/F2があった。
その20mm/F2は、2017年に中国の中一光学から復刻版の
FREEWALKER 20mm/F2 SUPER MACROとして発売されている。
→本シリーズ第2回「OLYMPUS新旧マクロ編」記事参照)
でも、実際に、相当の「オリンパス党」であっても、
では、21mmから250mmまでの全てのF2級レンズを所有できた
のか? と言えば、それはまず不可能であった事であろう。
まず、それらはどれも高価であった。1990年代であれば
かろうじて現行商品として新品購入は可能であったが、
生憎、オリンパスは1980年代後半にOMシステム一眼レフ
のAF化に事実上失敗し、1990年代を通じて、MFのままの
OMシステムの販売を継続していた。が、1970年代当時の
ままの定価では、物価水準などが大きく異なっていた為
バブル崩壊後のこの時期にも係わらず、何度もOMシステムの
カメラやレンズの値上げを行ってしまっていたのだ。
例えば、1990年代後半当時、OM-4Tiが定価18万円、
OM-3Tiが定価20万円であった。これは他社AF高級機や
旗艦機と同等か、それ以上の高値であり、OM一眼レフは
完全な「趣味の世界の贅沢品」となっていたのだ。
OM用ZUIKO交換レンズも同様な値上げで、非常に高価であり
ましてや、そのF2級大口径版は、いくらオリンパス党の
マニアであるといっても、数本を買うのがせいいっぱいで
あり、21mmから250mmまで全て揃える事など、経済的に
誰も出来る筈も無かったのだ。
では中古はどうか? という点だが、どの時代をとっても
ZUIKO F2級レンズは高価だ。より安価で小型軽量な小口径版
が売っているのに、わざわざF2級を買うのは、よほど裕福な
人達だけであったので、販売数は極めて少なく、したがって
中古市場にも、殆ど流通していなかった。
私がやっと購入できたF2級レンズは、本記事で紹介の
4本のみである。さらに後年、デジタル時代になっても、
これらF2級レンズは希少価値から、中古相場は高値、又は
もう「時価」であり、たまに出ても、とんでも無く不条理な
プレミアム(高)価格となってしまう事が大半であった。
まあ、そうした希少なレンズを保有している人達は、
「このレンズは凄いんだぜ、幻のレンズだ!」と周囲に
自慢するのは間違いが無い事なので、ますます「欲しい人は
多いけど、モノが無い」という事から、値段が吊り上る。
そうして、モノの値段が不当な迄に吊りあがってしまうのは、
1つは、そのように「何が何でも欲しいんだ!」と思って
しまう消費者層が居る事が、まず大きな問題点だ。
本当に、それが欲しいという理由が妥当か否か?そこを
良く良く考える必要があるだろう。
もう1つの問題点は、そうやって「レアな(珍しい)物を
高値で入手する事がマニアなのだ」という世間一般での
大誤解がある事だ。
他には「オリンパス党であるから、何がなんでも入手
しなくちゃ」という心理は、まだちょっとはマシで理解も
出来るが、上記の間違ったマニア感覚と大同小異だ。
ちなみに、私が定義するマニアは、最も簡単に言うならば
「モノの真の価値がわかる人」である。
「コスパを評価できる人」と言い換えても良いであろう。
だから、たいした事が無いものを高値で買ってしまう人は
真のマニアとは呼ばない。それは単なる好事家(ものずき)
あるいは「浪費家」であろう。
世間一般では、そうした好事家や浪費家の事を「マニアだ」
と誤解している訳なので、つまらないものを高値で買って
しまうから、その心理を付け狙って、モノを高値で売りたい
人達も、また出てくる訳だ。
![_c0032138_11594741.jpg]()
OM ZUIKO F2級レンズは、たいした事が無いモノでは決して
無いとは思うのだが、それでも不条理な価格帯にまで高価に
なってしまったら、値段に比較したら「しょうもない製品」
となってしまう危険性が高い。
私が良く言うのは、「OM90/2マクロを、10万円とかの
不条理な高値で買う位ならば、現代の高性能中望遠マクロ
を2~3本買っても、お釣りが来るし、そっちの方がずっと
便利で、しかも良く写るよ」という話である。
まあ、本OM35/2も同様だ、高値で買うものでも無いし、
無理をして探すようなレンズでも無い。
----
さて、このあたりで3本目のレンズ紹介に移ろう。
![_c0032138_11595321.jpg]()
レンズは、OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-T 85mm/f2
(中古購入価格 39,000円)(以下、OM85/2)
カメラは、PANASONIC DMC-GX7 (μ4/3機)
これも発売年不明、恐らくは1970年代であろうか。
ミラーレス・マニアックス第35回で紹介のMF中望遠レンズ
である。
OMのF2レンズ群の中で、私が「OM中望遠 F2三兄弟」と
呼んでいるレンズ(OM85/2,OM90/2Macro,OM100/2)
の末弟である。
![_c0032138_11595452.jpg]()
本ブログではおよそ4年ぶりの登場となるが、まあ、あまり
好きなレンズでは無いので、持ち出す機会も少ないのだ。
その理由は想像に難く無いであろう。1990年代末頃に、
およそ4万円という、とんでも無い高額相場で本OM85/2を
買ってしまったからだ(汗)
まあ、高性能なレンズであれば4万円でも決して高くは無い、
しかし、平凡な描写力のレンズであるから、まるっきり
コスパが悪い状態なのだ。
たとえば、本レンズと同等以上の描写力がある、ロシア製
Jupiter-9 (85m/F2)であれば、新品で5000円台で買えた
時代なのだ。(注:現代、Jupiter-9は生産を終了していて、
投機的観点で不条理な迄の高値相場(4万円前後)となって
いる。これではOM85/2と同様に、コスパが最低レベルだ)
でも、当時は、本レンズが欲しかった理由もある、
前回の紹介記事でも書いたので重複するが再度述べておこう。
![_c0032138_11595362.jpg]()
1990年代末、私は、どこかのカメラ雑誌だったか?何かで
「OM一眼レフに、OM35mm/F2.8とOM85mm/F2 の2本
だけを持って旅に出る」といった内容のエッセイ記事を読んで、
本レンズが、とても欲しくなってしまったのだ(汗)
そのシステムにおける、焦点距離や重量感、バランス等の
チョイスが、マニア的視点から見ても「絶妙」であり、
「気ままなブラリ旅」という感覚や状況すらも連想できる。
(ただまあ、描写力についての記載は記事では無かった・・)
関西圏では入手できず、東京に出張があった際に、時間を
とって探し、高田馬場の中古専門店で、なんとか本レンズを
見つける事ができた。
高く入手した事はやむを得ない。前述の「初級マニア心理」と
まったく同様で、「どうしても欲しい、と思って探していて、
苦労してやっと見つかったのだから、何が何でも買うぞ!」
となってしまったのだ。
それから約20年後の現在であれば、私はその状況で本レンズ
を見つけても絶対に買わないであろう。スペックやレンズ構成、
そして開発時期の時代背景などを見れば、これを買わずとも
どんな写りになるのかは、ほぼ間違いなく想像ができる。
そして、代替できる他社中望遠レンズも沢山知っている。
その時代であっても、Jupiter-9か又はNIKON AiAF85/1.8
があれば十分だと思うし、それらは遥かに安価だ。
現代であれば、中一光学Creator 85/2が、新品でおよそ
2万円以下で買えるし、本OM85/2を上回る描写力だ。
又は少し予算を追加すれば2000年代のPENTAX FA77/1.8
や、2010年代のTAMRON SP85/1.8は、両者確実に最高の
性能を誇る、名玉中の名玉であるから、本OM85/2では、
どこをどうやっても勝ち目が無い。
また、「オリンパス党」等で、上記のような他社製品を嫌う
のであれば、2010年代のμ4/3機用の「OLYMPUS M.ZUIKO
DIGITAL ED 75mm/F1.8」が、本OM85/2とは、比べ物に
ならない高描写力を発揮してくれる。
(ED75/1.8は、レンズ・マニアックス第26回記事等参照)
![_c0032138_11595349.jpg]()
まあ、本OM85/2に関しては、現代においての購入は
全く推奨できない。ただし、前述の旅行エッセイ記事で
紹介されたように、とても小型軽量の中望遠レンズである。
その点だけをして、かつ、そのノスタルジックなエッセイ
記事に敬意を表して、なんとか本レンズを、処分せずに
所有しつづけている次第である。
----
では、今回ラストのシステム
![_c0032138_12000471.jpg]()
レンズは、OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO 90mm/f2 AUTO-MACRO
(中古購入価格 50,000円)(以下、OM90/2)
カメラは、OLYMPUS OM-D E-M1(μ4/3機)
本シリーズ第2回記事や、ハイコスパレンズ第18回記事等
でも紹介済みのレンズである、
1980年代後半頃に発売と思われる、1/2倍中望遠マクロ
レンズ。開放F2級マクロは発売当時では極めて珍しく、
恐らくは、本レンズと、OM50/2くらいであろう。
![_c0032138_12000429.jpg]()
描写力はかなり高目。名マクロレンズと呼んでも過言では
無いが、近接領域での高描写力にとどまらず、中距離撮影
においても、解像感やボケ質があまり低下しないところが
現代マクロレンズとは違う魅力となっている。
まあ、つまり現代マクロでは、近接撮影時においてしか
最高の性能を発揮できない(ただし、その領域においては
本レンズでも全く勝ち目が無いほど、極めて優れている)
それと、MF時代のオールドマクロでは「平面マクロ」と
私が呼んでいるように、平面被写体での撮影に適し、
立体物の撮影には適さない(例:ボケが固い等)場合がある。
だがまあ、後者「平面マクロ」は、逆に、現代マクロでは
得られない特性であるから、近年では結構ハマっている。
本レンズは、TAMRON社の銀塩時代の名マクロレンズで
「ポートレートマクロ」と呼ばれた90mm/F2.5系シリーズ
の特性に近い。まあどちらかと言えば近距離から中距離まで
の万能に近い汎用性を持つ、という感じである。
弱点は購入当時(2000年頃)であっても、不条理と言える
程の高値(50,000円)であり、本レンズがレアものである
から、後年ではさらに時価相場(8万円~10万円以上)
となっている事だ。
![_c0032138_12000558.jpg]()
本OM90/2の私の評価データベースでの得点は、平均4.2点
と、かなり高く、本記事の4本中では最高得点であるし、
このレベルは、所有する数百本のレンズの中でも、およそ
上位の1割に入れる高得点であるのだが・・
まあそれでも、コスパ点は2.5点と標準より低目である。
が、4万円位までの価値はあるので、そこでコスパが3点で
標準という感じであろうか。
値段の問題と、レアである点が最大のネックとなり、
本レンズを推奨する事ができない。下手に褒めてしまうと
さらにまた相場が上がってしまう訳だ。
いやまあ、そこまでは言わないが、実際に玉数(中古流通数)
が非常に少ない状態であれば、値段を決めるのは売る側と
買う側のバランス感覚で決まる、買う側がどうしても欲しい
という事ならば、取引価格は高くなってしまうでは無いか。
だから、本記事、あるいは過去の本OM90/2の記事を読んだ
事で、「どうしても欲しい」という不幸な読者が出ない事を
願う限りである。
勿論、「F2だから小口径版よりも描写力が高い」とは
言い切れないことは、前述の通りである。
ただ、OM90/3.5といった小口径版は、OM ZUIKOの
この焦点距離においては存在しない。
もし、どうしてもこのクラスと同等で類似の仕様の
レンズが欲しければ、代替できるレンズは存在する。
近接撮影であれば、ご存知、誰もが知っている
TAMRON SP90/2.8Macroがある。長年のロングセラー製品
であるので、予算に応じて好きな時代のものを買えば良い。
近接撮影の領域では他に並ぶもの無しの横綱級の名マクロ
であり、マニアでこれを持っていない人は居ない位だ。
中距離撮影も含めて考えるのであれば、
「フォクトレンダー アポランター 90mm/f3.5 SL」
が存在する。ミラーレス・マニアックス名玉編で、
堂々の総合第5位に輝いた、まぎれもない逸品の銘玉だ。
こちらは、2000年代前半の発売開始で、何世代かの機種が
あるが、近年に生産完了になってしまっているので、
そろそろ入手が難しい状態だ。ただ、これだけの名玉であるし
本ブログでは最初期の15年程前からも、何度も紹介している。
もし「欲しいけど手に入らない」などと言ってくる人が居たら
「何故、新品で買える時に買っておかなかったのだ?」と
逆に一喝する事であろう。
「開放F3.5だから、暗くて良く写りそうも無い」とか、
「MFだから上手く撮れそうも無い」などと言っているのでは
完全にビギナー丸出しである、マニアならば、これもまた
TAMRON90マクロ以上に、確実に抑えておかなければならない
レンズである。
「ミラーレス名玉編」記事では、本OM90/2は8位にランクイン
しているのだが、アポランター90/3.5の5位には、残念ながら
かなわないのだ。
![_c0032138_12000463.jpg]()
なお、本記事においては、本OM90/2は、オリンパス製
レンズである事を鑑みて、OM-D E-M1に装着して使っては
いるが、実際に本OM90/2を快適に使おうとすれば、母艦は
PANASONIC DMC-G6がベストである。その理由は沢山あるが
冗長になるので本記事では割愛する、過去記事では、G6を
母艦とするケースもあったと思うので、そちらを参考に
されたし。
総論であるが、OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO F2級レンズ
は、どれもレア品であり、どれも現代の入手では高値相場で
コスパが極めて悪くなる事であろう。
つまり、まったく推奨のできないレンズ群となる。
本シリーズが「特殊レンズ・スーパーマニアックス」で
あるから、なんとか紹介しても良い類のものであって、
他の記事では、あまり紹介も、やり難いレンズばかりだ。
そして、いずれももう、40年も50年も前のオールドレンズ
である。その描写力に期待する要素なんて、現代においては
何も無い。これらのレンズの焦点距離やスペックは、比較的
ポピュラーなものであるから、発売時から数十年を経過した
現代においては、代替できて、しかもこれらよりも、ずっと
良く写る近代レンズは、他にいくらでも存在する訳だ。
これらを所有する目的は、歴史的な価値であったり、
旅のエッセイの話でも書いたように「ノスタルジー」そのもの
であろう、まあ、そういう意味でしか、所有の意義は無いので
無理をして探そうとはしないように、と重ねて述べておく。
----
さて、今回の記事「OLYMPUS OM F2レンズ特集」は、
このあたり迄で、次回記事に続く・・
紹介している。
今回の記事では「OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO F2レンズ」を
4本紹介しよう。ここでF2とは「開放F値が2」という意味だ。
オリンパスは先日、カメラ(映像)事業を分社化する事を
発表したばかりであるが・・・ その話はさておき、
本記事での時代背景は、今から数十年も前の話である。

銀塩時代に展開された、一眼レフ(OM)および各種交換レンズ
(ZUIKO)と、アクセサリー群からなるシステムである。
これらの詳細は長くなるので、記事中で順次説明していこう。
(注:レンズ上には「OM-SYSTEM」と、 ハイフン有りで
書かれていて、ハイフン無しの「OM SYSTEM」は誤りだ。
だが、その開発時には、恐らく「SYSTEM」とは綴らず
「OMシステム」というカナ表記が殆どだったと思われる。
本記事/本ブログでは、適宜、両者を混在して用いている。
また、「SYSTEM」は、色々な意味を持つ英単語であるが
本ブログでは、OM-SYSTEMのような固有名の場合を除き、
通常では「カメラ+レンズ」の撮影機材の事を示している)
----
ではまず、最初のOMシステム

(中古購入価格 35,000円)(以下、OM100/2)
カメラは、OLYMPUS OM-D E-M5 MarkⅡ Limited (μ4/3機)
発売年不明、恐らくは1980年代頃と思われる大口径
単焦点MF中望遠レンズ。
ハイコスパレンズ第18回記事等でも紹介済みだ。

オリンパスには、銀塩のPENや、XAシリーズ、OMシリーズ
といった名機を次々に設計した、天才と呼ばれた技術者
米谷(まいたに)美久氏(1933-2009)が居た。
彼が1970年前後に小型の一眼レフを新規に企画・開発を
する際、米谷氏の頭文字を取って、あるいは一眼の1を表す
「MONO」と言う言葉に絡めて、これは「Mシステム」と
呼ばれた。
1972年に、世界最小・最軽量の一眼レフとしてM-1が無事
発売されたのだが、展示発表会?の際にトラブルが起こる。
「ライカM3」などの銀塩レンジファインダー機を販売する
エルンスト・ライツ社(現ライカ)から、「Mはいかん」と
クレームが入ったのだ。
この結果M-1は、初回生産分以降はオリンパスのOをつけて、
1973年頃から「OM-1」と改名される事となった。
この事件はあまりに有名であり、その後の「オリンパス党」の
マニアの中には「ライカは度量が狭い」とか言って、頑なに
アンチライカとなった人も多い。(まあ、私個人もライカは
コスパが悪すぎるとずっと思っていて、その類に近い人種だ。
ライカ(M3等)を好む人達は、その工芸品のような作りこみを
美術的観点から嗜好するケースが多いのだが、私は「カメラは
全て実用品だ」と思っているから、「傷を付けるのが怖いから
外に持ち出したく無い」といった思想には賛同できない)
注意点だが、その後、1990年代の中古カメラブームの際にも
初回生産分のM-1は、ごく少数流通していたが、「珍品」として
極めて高額に取引されていた。しかし、その多くは、後年の
OM-1にM-1のエンブレム(機種名が書いてある部分の部品)
だけを組み合わせた「偽のM-1」だったのだ(!)
それは製造番号やら他の部品の仕様を見れば偽物である事は
わかるのだが、投機層等が高価に売りたいが故での改造で
あったのだろう。
その理由の1つは、M-1/初期OM-1は、1990年代後半では
既に発売から四半世紀が過ぎていて、各種部品の劣化が進んで
いたのだ。特に大きな弱点としては、ファインダーのプリズム
の接着部からカビが繁殖して、とても汚く見えてしまう事だ。
そうやって劣化したM-1では高価に売る事は出来ないので、
ファインダーがマシなOM-1を改造して偽M-1としていた訳だ。
私は、そもそもM-1を高価に買うつもりもなかった、そういう
取引は「真のマニア道」とは無縁の、富裕層のコレクターの
世界の話だからだ(=単に、”珍しい物を集めればマニアだと
認められる”と思ってしまう人達)
1990年代末頃、この状況を知ったオリンパスは、マニア層
向けにOM-1用の新品プリズム部品を1000個だったか1500個
だったか販売する事となった。ただ、これはあっと言う間に
売り切れてしまった。当時私はOM-1(MD)を所有していたが、
これは少しだけOM-1より後年の発売であり、プリズムの
劣化は無かったから、補修部品は購入しなかった。
(購入した人達は、もしかすると、「偽M-1」を作る為の
目的もあるのでは? とも勘ぐってしまっていた)
以降、すぐにデジタル時代となり、私はOM-1を譲渡して
現在では所有していない。歴史的価値からは残しておくべき
機体ではあったが、どうも、それらの経緯(ライカの話や
偽M-1の話)が、あまり気分の良いものではなかったからだ。
ごく近年、知人が、「父親の形見のカメラ」といって、
ピカピカのOM-1を私に見せてくれた。その知人は、
知「私は使わないし、よかったら匠さんに差し上げます」
と言ってくれたのだが、まずは「どれどれ」と拝見する。
「チャラララー」と、TVの鑑定番組のテーマソングが流れて
来そうな雰囲気だが、まあ、白手袋やルーペなどは持って
いない(笑)
実際に見てびっくり、まずは、あまりに程度が良かった事
(つまり、プリズムやシャッターの劣化などは殆ど無い)
で、逆に恐縮してしまい、まるでTVでの鑑定士のように、
以下のように答えた。
匠「1973年製、発売当時で世界最小・最軽量の一眼レフ
であったOLYMPUS OM-1の初期型ですね。
これは、オリンパスにおいて歴史的価値がある名機です。
天才と呼ばれたエンジニアが苦心して作ったカメラですよ。
で、その当時、このカメラを買うのは、その時のお父様の
ご年齢(若い)から想像すると、とても大きな決断での
買い物だったと思いますよ。
ましてや形見でしたら、是非大事に持っておいてください。
ちなみに現在の中古市場では、ここまで程度の良いOM-1は
殆ど現存していません。で、この皮製保管箱はカビが生える
危険性が高いので、防湿庫または防湿ケースに入れ替える
事をおすすめします。あるいは、たまには撮影してあげるのも
こういう機械式カメラの寿命を伸ばすコツです。その際、
露出計電源は、今は販売が禁止されている「水銀電池」です、
このMR-9、かろうじて生きてますが、もう持たないでしょう。
水銀は有害なので、このまま捨てる事ができませんが・・
私は代替電池を持っていますので、このカメラを実際に使う
のであれば、いつでも言ってきてください。」
そのOM-1を私が引き取る事はなかった。上記の発言は本音
ではあるが、裏には、ライカ事件や偽M-1事件の経緯により
あまり好んで所有しておきたいカメラでは無かったからだ。
まあそれは、OM-1自体の責任では無い、むしろOM-1は
正真正銘の名機だ。だが、「ケチがついてしまっている」
という事での、マニア的観点からの反発心だ。
ちなみに、2020年の「オリンパスがカメラ事業から撤退」
というニュース(注:実際には撤退ではなく事業移管)
を最初に聞いたのは、そのOM-1のオーナー氏からだった。
私は「そうそう、例の、お父様のカメラ(OM-1)ですが、
最近、中古相場が高騰していて、美品だと5万円位
もしていますよ・・」
と、ニュース情報のお礼に伝えておいた。
まあ、「亡父の形見なら、簡単には売らないように・・」
という意味を暗に込めている訳だ。

あるが、レンズそのものは、過去記事で何度も紹介している
名レンズである、いまさら、あれこれと長所や短所を述べる
必要も無いであろう。
そして、そういう他に何処にでもありそうな視点の記事よりも、
このブログにしか存在していない「一次情報」を提供する事が
近年の本ブログでの主眼となっている。
それと、長所短所などを書いても意味があまり無い理由の
1つとして、今回本記事で紹介する、OMのF2級レンズは、
現在、まず入手困難(または不可能)とも言える、レアもの
ばかりだからだ。
本記事を読んでレンズが欲しいと思っても、手に入らないのだ。
これを無理して入手しようとしても意味が無い、そのように
現物も見ないで、その真の性能も知らずに、想像だけで
「神格化」してしまうと、また前述の、偽M-1事件の時の
ような”投機的な世界の価値感覚”に入り込んでしまう。

私の評価も高い(総合得点5点満点中3.9点) まあでも、
100mm/F2レンズとしてみれば別にOLYMPUS製でなくても、
後年に同様のスペックのレンズはいくらでもある。
例えば2016年のLAOWA105/2は本OM100/2と同等の
評価点(総合3.9点と同じ。描写力も両者同点の4.5点)
であるし・・ 滅多に見つからず、あってもプレミアム価格
となるだろう本OM100/2に対し、LAOWA105/2は同等か
それ以下の価格で新品購入できる。
おまけになんと「アポダイゼーション」仕様である。
(本シリーズ第0回「アポダイゼーション」編記事参照)
これはどうみても、LAOWA105/2に分がある事だろう。
私が本OM100/2を所有し続け、しかも高く評価しているのは
2000年頃に35,000円という比較的適性な価格で買えたからだ。
しかし、コスパ評価は2.5点と、これでも標準以下でしかない、
つまり、もっと安価であってしかるべきという事を意味する。
(25,000円~30,000円が性能からして妥当な相場だ)
もし本レンズを10万円とかのプレミアム相場で購入していたら、
コスパが悪すぎて、「ふざけるな!」と、早々に手放していた
事であろう。
----
さて、話が際限なく長くなりそうなので、このあたりで
紹介レンズを変えよう。
では、次のシステム

(中古購入価格 19,000円)(以下、OM35/2)
カメラは、SONY α7 (フルサイズ機)
ミラーレス・マニアックス第73回記事で紹介の
これも発売年不明(恐らくは1970年代)の単焦点MF準広角
レンズ。

と後悔しているレンズだ。まあ、中古カメラブームの際の
準レアものであるが故の、強気の高値相場であった事だろう。
正直言えば、小口径版のOM35/2.8(ミラーレス第48回)
の方が写りが良く、かつ安価でコスパが良いし、他の
同等のスペックのMFレンズであっても、ロシア(ウクライナ)
製のMIR-24(35mm/F2 ミラーレス名玉編第1回、総合17位)
の方が優れる部分が多い。
また現代機で使うならば、類似スペックである、TAMRON
SP35mm/F1.8(F012型。本シリーズ第8回記事)の方が、
現代レンズ(2015年発売)であるが故に、銀塩MF時代とは
ケタ違いの高性能だ。
新製品は確かに価格は高いが本OM35/2の約2万円に対して、
F012は中古で約4万円(注:現在はもっと安価)と、
まあ、不条理な迄の価格差とは言えないと思う。
さて、OM-SYSTEMの話がまだまだ途中であった。
OM-SYSTEM用のレンズ名はZUIKO(ズイコー)である。
これは、「瑞光」(めでたい兆しの光)という言葉や、
「瑞穂光学研究所」で開発された事を由来としている。
このレンズ名(ブランド名)は、OLYMPUSにおいて、
OMシステム以前から銀塩時代全般を通じて続き、その後の
2000年代のデジタル(4/3:フォーサーズ)時代では、
「ZUIKO DIGITAL」銘となり、さらに2010年代からの
μ4/3時代では「M.ZUIKO DIGITAL」銘となって、現代に
至っている。
なお、OMの「ZUIKO」および「ZUIKO DIGITAL」では、
レンズにそのように記載されていて、かつ全て大文字で
記載されている(よって、WEB上で良くある「Zuiko」等
の記載は誤りだ。恐らく現物を見た事が無いのであろう)
また、μ4/3用「M.ZUIKO DIGITAL」では、レンズ上には
「OLYMPUS DIGITAL」としか書かれていない場合もある。
OMシステムの時代のZUIKOレンズ群は、小型軽量のOMシリーズ
カメラに合わせて、小型軽量の(開放F値の暗い)レンズが
主流であったが、それでは他社システムに対して商売的に弱い。
つまり、当時の(現代でもそうだが)初級中級ユーザー層
においては、「開放F値の明るいレンズの方が、高性能で
高描写力で、だから高価なのだ」という、極めて大きな誤解が
存在しているからだ。
必ずしもそうで無い事は上級者層や上級マニア層においては
常識であり、言うまでも無い事だが、それは実際に自分で
多数のレンズを買って写して確かめないかぎりは、その誤解は
なかなか解けない事であろう。
ちなみに周囲の人達に聞いても無意味だ。高価なレンズを
購入した事への意義、あるいは言い訳を保持する為には、
「この大口径レンズは良く写るのだ」としか言わないからだ。
また、職業評論家などのレビュー記事等を見ても無意味だ。
メーカーにとって大口径レンズは利益の得られる高付加価値型
商品であるから、それを否定してしまったら、商売の邪魔を
する事になるので、そうした評価は、やってはならない訳だ。
自分で多数の大口径レンズと小口径レンズを同時に買って、
それぞれ詳細がわかるまで長期間徹底的に使い込んで、
そうすることでやっとわかる。すなわち、「下手をすれば
小口径版の方が良く写るでは無いか」という恐ろしい事実だ。
何故恐ろしいか?これは自分が気がついただけならば良いが
世の中のカメラユーザー全てが、真実を知ってしまったら、
「高い物は常に良いものだ」という世の中の、基本的な
経済原理が崩れてしまう。これは太陽が西から昇るような
もので、あってはならない事であろう。
安い方が良いモノであれば、誰も高いレンズなど買わない
ではないか・・ まあ、そういう事になってしまう訳だ。

大口径のレンズは商売的観点から言っても必要だ。
だがまあ、他社同様の、ありきたりな50mm/F1.4や
55mm/F1.2等を出しても、あまりインパクトは無い。
なので、当時のOM ZUIKOのラインナップの特徴は
「21mmから250mmまで開放F2で揃えられる」事である。
これは、結構な「売り文句」となっていて、後年の中古
カメラブームの際も「オリンパス党」の人達の間において、
その事を繰り返し何度も聞いた事がある。
(参考:OM-SYSTEM F2級レンズはマクロを含み11本が
存在する。他に、医療用特殊マクロ20mm/F2があった。
その20mm/F2は、2017年に中国の中一光学から復刻版の
FREEWALKER 20mm/F2 SUPER MACROとして発売されている。
→本シリーズ第2回「OLYMPUS新旧マクロ編」記事参照)
でも、実際に、相当の「オリンパス党」であっても、
では、21mmから250mmまでの全てのF2級レンズを所有できた
のか? と言えば、それはまず不可能であった事であろう。
まず、それらはどれも高価であった。1990年代であれば
かろうじて現行商品として新品購入は可能であったが、
生憎、オリンパスは1980年代後半にOMシステム一眼レフ
のAF化に事実上失敗し、1990年代を通じて、MFのままの
OMシステムの販売を継続していた。が、1970年代当時の
ままの定価では、物価水準などが大きく異なっていた為
バブル崩壊後のこの時期にも係わらず、何度もOMシステムの
カメラやレンズの値上げを行ってしまっていたのだ。
例えば、1990年代後半当時、OM-4Tiが定価18万円、
OM-3Tiが定価20万円であった。これは他社AF高級機や
旗艦機と同等か、それ以上の高値であり、OM一眼レフは
完全な「趣味の世界の贅沢品」となっていたのだ。
OM用ZUIKO交換レンズも同様な値上げで、非常に高価であり
ましてや、そのF2級大口径版は、いくらオリンパス党の
マニアであるといっても、数本を買うのがせいいっぱいで
あり、21mmから250mmまで全て揃える事など、経済的に
誰も出来る筈も無かったのだ。
では中古はどうか? という点だが、どの時代をとっても
ZUIKO F2級レンズは高価だ。より安価で小型軽量な小口径版
が売っているのに、わざわざF2級を買うのは、よほど裕福な
人達だけであったので、販売数は極めて少なく、したがって
中古市場にも、殆ど流通していなかった。
私がやっと購入できたF2級レンズは、本記事で紹介の
4本のみである。さらに後年、デジタル時代になっても、
これらF2級レンズは希少価値から、中古相場は高値、又は
もう「時価」であり、たまに出ても、とんでも無く不条理な
プレミアム(高)価格となってしまう事が大半であった。
まあ、そうした希少なレンズを保有している人達は、
「このレンズは凄いんだぜ、幻のレンズだ!」と周囲に
自慢するのは間違いが無い事なので、ますます「欲しい人は
多いけど、モノが無い」という事から、値段が吊り上る。
そうして、モノの値段が不当な迄に吊りあがってしまうのは、
1つは、そのように「何が何でも欲しいんだ!」と思って
しまう消費者層が居る事が、まず大きな問題点だ。
本当に、それが欲しいという理由が妥当か否か?そこを
良く良く考える必要があるだろう。
もう1つの問題点は、そうやって「レアな(珍しい)物を
高値で入手する事がマニアなのだ」という世間一般での
大誤解がある事だ。
他には「オリンパス党であるから、何がなんでも入手
しなくちゃ」という心理は、まだちょっとはマシで理解も
出来るが、上記の間違ったマニア感覚と大同小異だ。
ちなみに、私が定義するマニアは、最も簡単に言うならば
「モノの真の価値がわかる人」である。
「コスパを評価できる人」と言い換えても良いであろう。
だから、たいした事が無いものを高値で買ってしまう人は
真のマニアとは呼ばない。それは単なる好事家(ものずき)
あるいは「浪費家」であろう。
世間一般では、そうした好事家や浪費家の事を「マニアだ」
と誤解している訳なので、つまらないものを高値で買って
しまうから、その心理を付け狙って、モノを高値で売りたい
人達も、また出てくる訳だ。

無いとは思うのだが、それでも不条理な価格帯にまで高価に
なってしまったら、値段に比較したら「しょうもない製品」
となってしまう危険性が高い。
私が良く言うのは、「OM90/2マクロを、10万円とかの
不条理な高値で買う位ならば、現代の高性能中望遠マクロ
を2~3本買っても、お釣りが来るし、そっちの方がずっと
便利で、しかも良く写るよ」という話である。
まあ、本OM35/2も同様だ、高値で買うものでも無いし、
無理をして探すようなレンズでも無い。
----
さて、このあたりで3本目のレンズ紹介に移ろう。

(中古購入価格 39,000円)(以下、OM85/2)
カメラは、PANASONIC DMC-GX7 (μ4/3機)
これも発売年不明、恐らくは1970年代であろうか。
ミラーレス・マニアックス第35回で紹介のMF中望遠レンズ
である。
OMのF2レンズ群の中で、私が「OM中望遠 F2三兄弟」と
呼んでいるレンズ(OM85/2,OM90/2Macro,OM100/2)
の末弟である。

好きなレンズでは無いので、持ち出す機会も少ないのだ。
その理由は想像に難く無いであろう。1990年代末頃に、
およそ4万円という、とんでも無い高額相場で本OM85/2を
買ってしまったからだ(汗)
まあ、高性能なレンズであれば4万円でも決して高くは無い、
しかし、平凡な描写力のレンズであるから、まるっきり
コスパが悪い状態なのだ。
たとえば、本レンズと同等以上の描写力がある、ロシア製
Jupiter-9 (85m/F2)であれば、新品で5000円台で買えた
時代なのだ。(注:現代、Jupiter-9は生産を終了していて、
投機的観点で不条理な迄の高値相場(4万円前後)となって
いる。これではOM85/2と同様に、コスパが最低レベルだ)
でも、当時は、本レンズが欲しかった理由もある、
前回の紹介記事でも書いたので重複するが再度述べておこう。

「OM一眼レフに、OM35mm/F2.8とOM85mm/F2 の2本
だけを持って旅に出る」といった内容のエッセイ記事を読んで、
本レンズが、とても欲しくなってしまったのだ(汗)
そのシステムにおける、焦点距離や重量感、バランス等の
チョイスが、マニア的視点から見ても「絶妙」であり、
「気ままなブラリ旅」という感覚や状況すらも連想できる。
(ただまあ、描写力についての記載は記事では無かった・・)
関西圏では入手できず、東京に出張があった際に、時間を
とって探し、高田馬場の中古専門店で、なんとか本レンズを
見つける事ができた。
高く入手した事はやむを得ない。前述の「初級マニア心理」と
まったく同様で、「どうしても欲しい、と思って探していて、
苦労してやっと見つかったのだから、何が何でも買うぞ!」
となってしまったのだ。
それから約20年後の現在であれば、私はその状況で本レンズ
を見つけても絶対に買わないであろう。スペックやレンズ構成、
そして開発時期の時代背景などを見れば、これを買わずとも
どんな写りになるのかは、ほぼ間違いなく想像ができる。
そして、代替できる他社中望遠レンズも沢山知っている。
その時代であっても、Jupiter-9か又はNIKON AiAF85/1.8
があれば十分だと思うし、それらは遥かに安価だ。
現代であれば、中一光学Creator 85/2が、新品でおよそ
2万円以下で買えるし、本OM85/2を上回る描写力だ。
又は少し予算を追加すれば2000年代のPENTAX FA77/1.8
や、2010年代のTAMRON SP85/1.8は、両者確実に最高の
性能を誇る、名玉中の名玉であるから、本OM85/2では、
どこをどうやっても勝ち目が無い。
また、「オリンパス党」等で、上記のような他社製品を嫌う
のであれば、2010年代のμ4/3機用の「OLYMPUS M.ZUIKO
DIGITAL ED 75mm/F1.8」が、本OM85/2とは、比べ物に
ならない高描写力を発揮してくれる。
(ED75/1.8は、レンズ・マニアックス第26回記事等参照)

全く推奨できない。ただし、前述の旅行エッセイ記事で
紹介されたように、とても小型軽量の中望遠レンズである。
その点だけをして、かつ、そのノスタルジックなエッセイ
記事に敬意を表して、なんとか本レンズを、処分せずに
所有しつづけている次第である。
----
では、今回ラストのシステム

(中古購入価格 50,000円)(以下、OM90/2)
カメラは、OLYMPUS OM-D E-M1(μ4/3機)
本シリーズ第2回記事や、ハイコスパレンズ第18回記事等
でも紹介済みのレンズである、
1980年代後半頃に発売と思われる、1/2倍中望遠マクロ
レンズ。開放F2級マクロは発売当時では極めて珍しく、
恐らくは、本レンズと、OM50/2くらいであろう。

無いが、近接領域での高描写力にとどまらず、中距離撮影
においても、解像感やボケ質があまり低下しないところが
現代マクロレンズとは違う魅力となっている。
まあ、つまり現代マクロでは、近接撮影時においてしか
最高の性能を発揮できない(ただし、その領域においては
本レンズでも全く勝ち目が無いほど、極めて優れている)
それと、MF時代のオールドマクロでは「平面マクロ」と
私が呼んでいるように、平面被写体での撮影に適し、
立体物の撮影には適さない(例:ボケが固い等)場合がある。
だがまあ、後者「平面マクロ」は、逆に、現代マクロでは
得られない特性であるから、近年では結構ハマっている。
本レンズは、TAMRON社の銀塩時代の名マクロレンズで
「ポートレートマクロ」と呼ばれた90mm/F2.5系シリーズ
の特性に近い。まあどちらかと言えば近距離から中距離まで
の万能に近い汎用性を持つ、という感じである。
弱点は購入当時(2000年頃)であっても、不条理と言える
程の高値(50,000円)であり、本レンズがレアものである
から、後年ではさらに時価相場(8万円~10万円以上)
となっている事だ。

と、かなり高く、本記事の4本中では最高得点であるし、
このレベルは、所有する数百本のレンズの中でも、およそ
上位の1割に入れる高得点であるのだが・・
まあそれでも、コスパ点は2.5点と標準より低目である。
が、4万円位までの価値はあるので、そこでコスパが3点で
標準という感じであろうか。
値段の問題と、レアである点が最大のネックとなり、
本レンズを推奨する事ができない。下手に褒めてしまうと
さらにまた相場が上がってしまう訳だ。
いやまあ、そこまでは言わないが、実際に玉数(中古流通数)
が非常に少ない状態であれば、値段を決めるのは売る側と
買う側のバランス感覚で決まる、買う側がどうしても欲しい
という事ならば、取引価格は高くなってしまうでは無いか。
だから、本記事、あるいは過去の本OM90/2の記事を読んだ
事で、「どうしても欲しい」という不幸な読者が出ない事を
願う限りである。
勿論、「F2だから小口径版よりも描写力が高い」とは
言い切れないことは、前述の通りである。
ただ、OM90/3.5といった小口径版は、OM ZUIKOの
この焦点距離においては存在しない。
もし、どうしてもこのクラスと同等で類似の仕様の
レンズが欲しければ、代替できるレンズは存在する。
近接撮影であれば、ご存知、誰もが知っている
TAMRON SP90/2.8Macroがある。長年のロングセラー製品
であるので、予算に応じて好きな時代のものを買えば良い。
近接撮影の領域では他に並ぶもの無しの横綱級の名マクロ
であり、マニアでこれを持っていない人は居ない位だ。
中距離撮影も含めて考えるのであれば、
「フォクトレンダー アポランター 90mm/f3.5 SL」
が存在する。ミラーレス・マニアックス名玉編で、
堂々の総合第5位に輝いた、まぎれもない逸品の銘玉だ。
こちらは、2000年代前半の発売開始で、何世代かの機種が
あるが、近年に生産完了になってしまっているので、
そろそろ入手が難しい状態だ。ただ、これだけの名玉であるし
本ブログでは最初期の15年程前からも、何度も紹介している。
もし「欲しいけど手に入らない」などと言ってくる人が居たら
「何故、新品で買える時に買っておかなかったのだ?」と
逆に一喝する事であろう。
「開放F3.5だから、暗くて良く写りそうも無い」とか、
「MFだから上手く撮れそうも無い」などと言っているのでは
完全にビギナー丸出しである、マニアならば、これもまた
TAMRON90マクロ以上に、確実に抑えておかなければならない
レンズである。
「ミラーレス名玉編」記事では、本OM90/2は8位にランクイン
しているのだが、アポランター90/3.5の5位には、残念ながら
かなわないのだ。

レンズである事を鑑みて、OM-D E-M1に装着して使っては
いるが、実際に本OM90/2を快適に使おうとすれば、母艦は
PANASONIC DMC-G6がベストである。その理由は沢山あるが
冗長になるので本記事では割愛する、過去記事では、G6を
母艦とするケースもあったと思うので、そちらを参考に
されたし。
総論であるが、OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO F2級レンズ
は、どれもレア品であり、どれも現代の入手では高値相場で
コスパが極めて悪くなる事であろう。
つまり、まったく推奨のできないレンズ群となる。
本シリーズが「特殊レンズ・スーパーマニアックス」で
あるから、なんとか紹介しても良い類のものであって、
他の記事では、あまり紹介も、やり難いレンズばかりだ。
そして、いずれももう、40年も50年も前のオールドレンズ
である。その描写力に期待する要素なんて、現代においては
何も無い。これらのレンズの焦点距離やスペックは、比較的
ポピュラーなものであるから、発売時から数十年を経過した
現代においては、代替できて、しかもこれらよりも、ずっと
良く写る近代レンズは、他にいくらでも存在する訳だ。
これらを所有する目的は、歴史的な価値であったり、
旅のエッセイの話でも書いたように「ノスタルジー」そのもの
であろう、まあ、そういう意味でしか、所有の意義は無いので
無理をして探そうとはしないように、と重ねて述べておく。
----
さて、今回の記事「OLYMPUS OM F2レンズ特集」は、
このあたり迄で、次回記事に続く・・