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最強50mmレンズ選手権(5) 予選Eブロック MF50mm/f1.4 Part 2

所有している一眼レフ用の50mm標準レンズを、AF/MF、
開放F値等によるカテゴリー別で予選を行い、最後に決勝で
最強の50mmレンズを決定するというシリーズ記事。


今回は、予選Eブロックとして「MF50mm/f1.4(Part2)」の
該当レンズを6本(+棄権1本)紹介(対戦)する。
紹介レンズ本数がいつもの4本より多いので、今回の記事では、
各レンズの実写掲載は2枚づつとする。

---
まずは今回最初のレンズ。
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レンズ名:CANON FD50mm/f1.4
レンズ購入価格:5,000円相当(中古ボディとセット購入)
使用カメラ:FUJIFILM X-T1 (APS-C機)

ミラーレス・マニアックス第12回記事で紹介の、
1971年発売のMF大口径標準レンズ。
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キヤノンの標準レンズは極めて種類が多いが、本レンズは
CANON (旧)F-1(銀塩一眼レフ・クラッシックス第1回記事)
発売時にキットレンズとして付属されたもので、S.S.C.
という仕様では無い、旧バージョンだ。


S.S.C.とは「スーパー・スペクトラ・コーティング」という
意味で、今となっては詳細は不明だが、多層コーティング
技術の一種であろう。

と言うのも、本レンズの発売年の1971年には、PENTAXより
現代でも名前を引き継ぐ SMC (Super Multi Coated)技術を
搭載したレンズ群が発売され、そのSMCタクマーシリーズは、
描写力、色再現性、逆光耐性などが当時のレンズ性能の水準
からは頭1つ飛びぬけて優れていた為、CANONにおいても、
「PENTAXに追従せよ」といった感じで、自社開発のS.S.C.
技術を搭載したレンズに改良、そのFD50/1.4 S.S.C. を
本レンズの2年後の1973年に発売している。

FD50/1.4 S.S.C.は若干レアなレンズだが、近年、ジャンクを
見つけた事がある。1500円と安価ではあったが、程度があまり
良くなく、本FD50/1.4とコーティング性能が異なるだけだろう
と判断して購入を見送った。

多層(マルチ)コーティング技術は、1970年代後半においては、
当たり前の技術となり、各社も製品名等でそれを誇示する事は
無くなった。後年1979年からは本レンズのシリーズも New FD
タイプとなり、その新型レンズ群にはS.S.C.の表記は無い。
(注:いずれもレンズ構成等の光学系には大きな変更は無い)

このように、カメラやレンズの長い歴史を見れば、ある一瞬
だけ、あるメーカーの技術が優れていたとしても、ほんの数年
で他社はそれに追いついてしまうのだ。もし、いつまでも性能
改善を怠っていたら、そのメーカーの製品の性能は他社より
劣ったままとなってしまい、そのメーカーは市場での競争力を
失ってしまう。下手をすれば悪評がたって、カメラ事業から
撤退せざるを得なくなってしまうだろう。だから各メーカーは
必死で新技術開発を行い性能を改善するし、結果的に長い目で
見れば、メーカー(ブランド)における性能差は無いと言える。
(この話は、記事後半でもう少し補足する)

よく初級者層から聞かれる質問が以下だ、
初「どのメーカーのレンズが良く写るのですか?」
が、こういう質問には答えようが無い訳だ、
どのメーカーのものを買っても基本的には同じようなものだし、
レンズの僅かな性能差よりも、カメラ設定や撮影や画像編集の
スキルに、写真の画質は依存する要素がはるかに大きい。
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さて、余談が長くなった。本題に戻していこう。
FD系マウントレンズは、AF一眼レフ時代(1990年代)や
デジタル一眼レフ時代(2000年代)では、マウントアダプター
互換性が低く、使用するのが困難なレンズではあったが、
ミラーレス時代(2010年代)となって、殆どのミラーレス機
でアダプターを介しての使用が可能となった。
長期間(20年間以上)使用不可だったレンズ群故に、中古市場
での相場はさほど高くは無い、性能的には他社50mm/f1.4
級標準と同等であり、コスパは良いと見なす事ができる。

---
さて、次のレンズ。
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レンズ名:MINOLTA (New) MD 50mm/f1.4
レンズ購入価格:1,000円(中古)
使用カメラ:SONY α7 (フルサイズ機)

ミラーレス・マニアックス第32回記事で紹介の、
1980年代前半発売のMD系マウント大口径MF標準レンズ。
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一般にNew MDと呼んでいるが、レンズにはNewと書かれて
いない、まあこれは、CANONがFDからNew FDレンズに
リニューアルした際も同様であり、メーカー側としては
MDはMD、FDはFDと言い張る事で、市場での余計な混乱を
避けたいのであろう。
Newとつけて区別をするのは、販売店やユーザー(購入者)、
あるいはマニア層等で新旧を明確に区別する為の要素が大きい。

ちなみに、この時期に発売された銀塩一眼レフMINOLTA
X-700(1981)はロングセラー機で前期型と後期型が存在する。
(銀塩一眼レフ・クラッシックス第10回記事参照)
勿論市場ではNew X-700等と、両者を区別するが、この機体
にもカメラ本体にはNewの文字は書かれてはいない。
ただ、後期型の取扱説明書には「New X-700」とちゃんと
書かれている。もし単体で説明書が流通した際など、前期型と
New型では、わずかに操作子(AEロック)も、その操作方法も
違うので、メーカーでも説明書を明確に区分したのであろう。

レンズのNew MDとMDもレンズの操作方法が若干だが異なる、
具体的には、MDレンズではMINOLTA XD(1977)からの
シャッター優先機能を実現する際、各レンズの最小絞り値に
設定する。よって、最小絞り値を緑色で表記しているのだが
(注:自動化をわかりやすくする、ミノルタの「グリーン・
グリーン・グリーン・システム」の一環だ)
MDレンズでは、これのロック機能が無かった。
(銀塩一眼レフ・クラッシックス第6回記事参照)

しかしNew MDレンズの時代のX-700等に搭載された「MPS」
(ミノルタ・プログラム・システム)ではプログラムAEが
実現した事で、ビギナー層などでも、露出概念を意識せずに
プログラム露出だけで撮影する事も可能となった。
その際、ロックの無いMDレンズでは、絞り環が最小絞り値から
外れてしまうと、プログラムAEが効かなくなる。ビギナー層の
このミスへの安全対策で、New MDレンズでは、最小絞り値の
ロック機構が備わっている。(もしかしたら、この操作性の
差異がある為、New MDレンズの説明書には「New」と書かれて
区分しているかもしれない。これらの説明書はもう手元に
残っていないので、今となっては不明ではあるが・・)

この機構は、後年のNIKON AiAFレンズにおいて、絞り操作を
旧来のように絞り環で行うか、あるいは、NIKON F5のような
ダイヤル操作機で、絞りをダイヤルで操作するか?の選択で
最小絞り値のロック機構が付いた状態と、見かけ上の仕組みは
ほぼ同じなのだが、それぞれのロック機構の目的が全く異なる
事は要注意だ。

なお、これらのロック機構は、あえてロック操作をしなければ
何ら制限が無くそのまま用いる事ができる。
これが本来あるべき「ロック機構の操作性」であろう。

例えば、銀塩NIKON機のF3,F4,F5、あるいは近年のデジタル
一眼NIKON Df、それからミラーレス機のFUJIFILM X-T1等では、
露出補正とかのロック機構が、デフォルトでロック状態に
なっていて、それを一々解除しないと使えない仕様だ。

これが合理的な操作性では無い事は、誰が見ても明らかである。
EOS等では電子的なロック機構でON/OFFをユーザーが選べ、
OLYMPUS OM-D等では機械的にロックのON/OFFを選べる。
が、NIKON機では長らく頑なまでに、この誤まった設計思想を
ユーザーに強要する事を続けていた。残念な話である。
ロック機構は、ユーザーがそれをするかしないか?を、
必ず選択できる仕様になっていなくてはならない、これは、
あまりに当然な結論だ。
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-さて、余談が無くなった。本NMD 50/1.4だが、個人的にあまり
好きではないレンズである。それは、当時の市場のトレンドの
「小型化」への対応で、旧型より性能を落としてしまったから
であり、その設計思想そのもの(改悪する)に賛同できない
からだ。その話は、他の様々な記事でも詳細を書いているので
くどくなる為、今回はもう割愛する。

嫌いなレンズだからラフに扱ってしまうのか?実は5年程前に
本レンズは、撮影中に何処かにぶつけてしまい、フィルター枠
が少し曲がってしまった(汗)
まあ元々、2010年頃の「大放出時代」に、ジャンク品並みの
1000円と言う激安価格で購入したものだ(注:程度は悪く無い)
惜しいという価格では無い。

しかし、購入価格と製品価値は直接の関係は無い、本レンズの
価値は、個人的には8000円程度だと認識している。

ちなみに、実際の価値よりも購入価格が安価なレンズ等を
「コスパが良い」、と私は定義している。
「価値よりも価格が高価なレンズ等」は私は絶対に購入しない。
(ブランドだけ有名だとか、誰かが良いと言っただけの物とか)

で、アタリ(衝撃による変形)が起こったレンズだが、光学的
には問題無かった模様だ。ぶつけた箇所を無理やり曲げ戻して、
そこに保護フィルターを装着して見た目をわからなくしたが・・
今度は、保護フィルターが簡単には外れなくなった(汗)
F1.4級の大口径レンズで日中に絞りをフルレンジで使用する
為には、ND4~ND8級の減光フィルターの装着が望ましいが、
その付け替えが面倒だ。
あるいは、APS-C機では、保護+NDの二重装着でも問題無いが、
フルサイズ機ではケラれるかもしれない。

本NMD50/1.4のフィルター径はφ49mmと、旧MD50/1.4の
φ55mmから大幅ダウンしている、つまり(入射)瞳径が小さく
なっているのだ。これは小型化には役立っているが、たとえば
口径食が出る可能性も高くなるし、変な厚手のフィルターを
つけるたり二枚重ねにするとケラれる可能性も高い。

なお、50mm/f1.4レンズでの原理上の最小瞳径は、50÷1.4の
計算式で得られ、φ約35mmである(普通、それよりも前玉径は
はるかに大きく、余裕を持たせた設計となる)

まあ、アタリの問題を除いても、色々と訳有りなレンズだ。
あまり指名買いの必要性は無い。どうしてもミノルタ製の
MF標準レンズが欲しい場合は、ROKKOR銘がついている
MCまたは旧MD型をオススメする。
(注:New MD型からは、ROKKOR銘が省略されている)

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さて、3本目のレンズ。
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レンズ名:KONICA HEXANON AR 57mm/f1.4
レンズ購入価格:9,000円(中古)
使用カメラ:PANASONIC DMC-G1 (μ4/3機)

ミラーレス・マニアックス第15回記事で紹介の、
1970年代前後のコニカAR系マウント用大口径MF標準レンズ。
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出自が良くわからないレンズだ、ARマウントのコニカ機は
1960年代から1980年代の長きに渡って販売されていたが、
国内ではあまり人気が無く、むしろ輸出が主流であったのでは
なかろうか?

1990年代の中古カメラブームの際には、既にコニカのMF一眼
は、とっくに生産を辞めていたし、加えて、スペック的魅力が
無かった事で不人気であった。
むしろ人気があったのは、コニカ・レンジファインダー機用の
「元祖ヘキサノン」レンズであり、そちらは高価な相場で取引
されていた。
2000年代のデジタル時代に入ると、フランジバックの短い
ARヘキサノンは、ほぼ全てのデジタル一眼レフで使用不可で、
ますます不人気になっていく。
2010年代、ミラーレス機の普及で、やっとマウントアダプター
を介してARレンズを再度使用できる環境となったが、多くの
マニアは既にARレンズを手放していた。

2010年代にARレンズは、中古店のジャンクコーナー等に
ひっそりと目立たず置かれている様相になり、マニアが手に
取ったとしても「ARかあ・・使えないな」と、さらに売れ残る
状態であっただろう。
まあでも、ARレンズの中には、伝説の「ヘキサノン」を彷彿
させる良い写りを持つものもある。
私のお気に入りは、AR35/2.8等であるが、本AR57/1.4も
さほど悪く無い。

問題は上記のように「レア品」である事だ、もはや本レンズを
中古市場で探す事は難しい。
本レンズには、上位バージョンのAR57mm/f1.2が存在する
模様だが、さらにレアであり、一度も見た事が無い。

なお「F1.2だから、F1.4版より、さらに良く写るのか?」と
言えば、全くそんな事は無い。その話は本記事では割愛するが
近々、本シリーズでMF50mm/f1.2級の予選リーグを行うので
その際に説明する事としよう。
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HEXANONはもとより、HEXANON ARも上級マニア向けのレンズだ、
実際の描写力よりも、どちらかと言えば「マニアック度」に
価値観の主眼が移るレンズであり、一般ユーザー層が無理をして
探して入手するものでは無いと思う。

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さて、次のレンズ。
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レンズ名:TOPCOR 58mm/f1.4(限定復刻版)
レンズ購入価格:43,000円(新品)
使用カメラ:SONY α65(APS-C機)

ミラーレス・マニアックス第20回記事、および名玉編第1回
(第20位)記事で紹介の、2000年代のMF大口径標準レンズ。
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1960年代頃の東京光学(トプコン)の名レンズ「トプコール」
58mm/f1.4を、コシナ社が限定復刻生産したものである。
(M42とニコンFのマウントで各々限定800本の販売数)

本レンズには、ちょっとした裏話があって、両マウントの
限定品を所有している。その話は過去記事で再三書いたので
今回は割愛する。

描写特性に、ややクセのあるレンズであり、ビギナー層での
使用は推奨できず、あくまで上級マニア向けだ。

なお、限定版は現在入手不能なほどレア品となっている。
どうしてもこのレンズが欲しい場合だが、TOPCOR銘に拘らない
ならば、現代でも、コシナ社からフォクトレンダー銘で
NOKTON 58mm/f1.4SL(シリーズ)というレンズが
ニコンFマウント(CPU対応)で発売されている。
中身のレンズ構成は、限定復刻TOPCORと全く同じなので、
そちらを買えば、実用上での目的は達成できる。
(長期間発売されているレンズで、後継版になるに従い、
若干だが値上げ傾向。2016年からのバージョンでは、
65,000円の定価と、やや高目のレンズだ)


なお、現行版NOKTON58/1.4 SL ⅡSは、往年の
ニッコールレンズを彷彿させる秀逸なデザインに加えて、
ブラックリムとシルバーリムが選べる超マニアックな仕様
となっているので、TOPCOR版を所有している私ですら、
そちらの現行品も欲しい位だ。


レンズの性格(描写傾向)については、従前の記事と被る
ので割愛する。ただ、本レンズ(および現行NOKTON)は
メーカー側のキャッチコピーでは、「開放で柔らかな描写、
絞るとシャープな結像」と、マニアックな撮影技法を推奨
する節もあるのだが・・

その後、ミラーレス・マニアックスや本「最強50mm選手権」
のシリーズ記事で色々と50mm/f1.4級レンズの検証を続けて
いくと、6群7枚の変形ダブルガウス構成の50mm/f1.4級の
オールドレンズは、どれをとっても、ほぼ同じ描写特性を
持ち、復刻TOPCORだけの特徴では無い事も判明してきている。
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まあそれでも本レンズを推すのは「マニアック度」の評価が
極めて高いところだ、これはマニアであれば見逃せない。
コシナ社は、1990年代迄は技術力に優れたOEMメーカーで
一般には殆どブランド名が知られる事は無かったが、
フォクトレンダーのブランド商標を取得した1999年から、
2000年代以降、マニア向けの製品企画を中心として、力を
つけてきている。それは単にレンズ製品の性能(描写力)を
高める技術力のみならず、「マニア心理」を良く理解した
製品企画にも、だいぶ助けられている事であろう。

特に、近年の各社の「高付加価値戦略」(カメラやレンズの
市場が縮退しているので、魅力的なスペックで値上げを図る)
がフォクトレンダーでも顕著に出ていて、リニューアルの
度に価格が上昇している。しかも、同じマニアック戦略は
長期間は通用しない、マニア購買層の数は有限だからだ、
また、発売期間も長くはなく、コシナ社ではまず再生産を
しないので、ある期間のバージョン(例、現行のニッコールに
似せたバージョン)が欲しければ、それの発売期間に買うしか
無いのだ。これは難しい判断ではあるが、あくまでコスパの
概念を最優先にして、購入するかどうかを考える必要がある。

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さて、5本目のレンズ。
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レンズ名:PENTAX Super Takumar 50mm/f1.4
レンズ購入価格:1,000円(中古)
使用カメラ:SONY NEX-7 (APS-C機)

レンズマニアックス第13回記事で紹介した
1960年代頃のMF単焦点大口径標準レンズ。
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もはや50年以上も前のオールドレンズだ。
「放射能レンズ(アトムレンズ)」として有名(悪名?)な
レンズだが、そうなっている理由や、そして、あまり気に
しないでも良い事は、当該紹介記事で書いたので割愛しよう。

まだ大口径標準レンズの完成度が低い時代の物ではあるが
本レンズは比較的描写力(解像力、ボケ質)には優れる。
弱点はコントラストの低さと逆光耐性の低さであるが、
まあこれは、この時代、まだコーティング技術が発達して
いなかった為、やむを得ないと思う。
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なお、上記の描写力の高さは「この時代のレンズにしては」
という但し書きを付ける必要があるかも知れない、
MF大口径標準レンズ全般としては、完成度が高まるのは
1970年代後半~AF時代直前の1980年代前半くらいであり、
それ以前の時代のものは、色々と欠点は目につくかも知れない。

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では、今回ラストのレンズ。
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レンズ名:YASHICA ML 50mm/f1.4
レンズ購入価格:8,000円(中古)
使用カメラ:CANON EOS 6D(フルサイズ機)

ミラーレス・マニアックス第25回記事、ハイコスパ第2回
記事等で紹介の、1970年代後半の京セラ・コンタックス
RTS系マウントのMF大口径標準レンズ。
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過去の紹介記事では、同マウント(ヤシカ・コンタックス)
で同スペックの CONTAX Planar T* 50mm/f1.4
(本シリーズ第1回記事)との比較が気になるのでは?
という話を良く書いた。まあ、だけど、その差異は基本的には
大きなものでは無いし、どのような被写体をどのように撮るか
と言う、ケースバイケースでも変わってくる。

それに、本シリーズでは、本記事の段階でも、すでに
20本以上の50mm標準レンズを紹介している(まだまだ続く)
のだが、正直言えば、記事を書いている自分でも、いいかげん
嫌になってくるくらい、各社の標準レンズの性能上の差異は
殆ど無い。つまり、どのメーカーのどれを買っても問題無く、
極端に言えば、どれも写りは一緒であり、どれも良く写る。

まあ、それもそのはず、ブランドでの性能差の話しは、少し
前述したが、もう少し詳しく書けば・・


銀塩MF一眼レフ時代は、ユーザーが一眼レフを買う際に
付属してくる(キット)レンズは50mm標準レンズであった。


もし他社よりも極端に性能の低いレンズが付属していたら、
事の本質がわからない初級ユーザー層等から、
「XX社のカメラは写りが悪い」という悪評が立って、
そのメーカーのカメラが売れなくなってしまう。
だから、どのメーカーにおいても、他社と同等以上の高性能と
高品質を目指して設計製造を行うのだ。


仮に、あるメーカーがある時点では、優れていたとしても、
他社は、その優れたレンズを買って来て、バラバラに分解し
細かく分析して、それより高性能のレンズの設計を行う。
だから、数年で皆、各社のレンズ性能は同等になる。

これは昔でもそうだし、現代でもそうだ、だから結局どの
メーカーのレンズを買っても、性能に大きな差異は無い、
差があるとすれば、その「他社が先行した、ある一定期間」
だけでの優位だけであり、もし、それがどうしても気になる
ならば、買い換えても、買い増しをしても済む話だ。

まあ、各社の標準レンズが、どれも似たよう性能である
という点は、上記のような状況を考えてみれば、容易に
わかりそうなものであったのだが、私自身も、銀塩時代に
何十本も標準レンズを買い揃える迄、そこに気付かなかった。
だから、「こちらのメーカーの標準レンズは、どんな写りなの
だろうか?」と、期待しながら購入を続けていたのだ(汗)
でも、結局どれも同じである事に、やっと気付いた訳だ。
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で、YASHICA ML50/1.4と、CONTAX Planar 50/1.4も
極論すれば似たようなものだ、どっちを買っても問題無い。
どうしても微細な差が気になるならば、両方買ってしまっても
良いではないか? それで自身の眼力を鍛えて、両者の差異を
綿密に分析したら、良い勉強(研究)にもなる。

そして、もともとこれらは、40年以上も前のレンズだ、
今更、逆光耐性がどうのこうの、ボケ質がどうのこうの、
などと言っても始まらない。そういうのは撮影技法で回避して
使えば良い程度の欠点であり、あるいは逆に欠点を強調した
撮影技法を行って、いわゆる「オールドレンズらしさ」を
出せば良いのではなかろうか?

銀塩時代は、撮ったその場では写真がわからない為、撮影条件
の再現が困難であった。例えば、ボケ質が悪かったとしても、
開放測光の光学ファインダーでは、それが確認できない。
だから、撮影後に現像された写真の、ごくごく一部を見て、
このレンズはボケ質が良いとか悪いとかの評価を、マニアや
一般ユーザーや評論家の誰もが行っていたのだ。
これでは残念ながら、レンズの性能の本質はわからない。

デジタルでは撮影コストを気にする必要がなく、例えば絞り値を
変えて何枚でも撮影できるし、高精細EVF機であれば、撮る前
にも、ある程度の範囲でボケ質の確認もできる。
だから、撮影条件の再現が比較的容易であり、言葉を変えれば、
レンズの欠点も、それらのデータの蓄積から、回避技法の考察が
可能だ。つまりデジタルではレンズの欠点は、ほとんど出さない
ようにも撮影が出来てしまうのだ。

で、完璧な標準レンズなんてありえない。ごく近年の新製品で
最新の設計技術を使い、殆どの収差等の欠点を解消した凄い
標準レンズが出ていたとしても、それは、必ず「大きく、重く、
高価」という「三悪(三重苦)」の弱点が存在する事であろう。
「レンズマニアックス」記事では、そうした最新鋭の標準レンズも
何本か紹介している(本シリーズ記事でも、今後登場予定)
が、それらは、やはり「三悪」が障害となっている事は確かだ。
(だから、ハイコスパ名玉編にノミネートされなかった)

ましてや、オールドレンズで、ブランドの付加価値だけで
不当なプレミアム相場がついているものなど、余計に有り得ない。
古いレンズは、必ず、なにかしらの欠点を持つのだ。
だから、どうしてもヤシカML50/1.4とCONTAX Planar 50/1.4
を比べたいのであれば、もういっそ、価格も含めたコスパの
観点で比較を行うべきであろう。

この点では、YASHICA ML50/1.4は、セミレア品であるが、
見つかれば1万円以下で買える相場だ。P50/1.4はとても
その値段では買えない、場合により3万円以上してしまうだろう。
よって、コスパ面を考えれば、ML50/1.4に、はるかに分がある
事は述べておく。

ちなみに、過去シリーズ記事「ハイコスパ名玉編」では
どちらのレンズもランキング圏外だ、まあ、それくらいの
位置づけのレンズであるので、両者の細かい差異など、
ある意味、どうでも良い事だろう。

それから、ここまで色々とMF標準レンズを紹介してきたが、
F1.4級の大口径版であっても、どれも中古購入価格は、概ね
1万円前後までである。このクラスのレンズの性能からくる
価値も、だいたいそのあたりの価格が妥当な範囲であり、
中古で3万円以上も出して買うべき物では無い事は述べておく。

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他にも「MINOLTA AUTO ROKKOR-PF 58mm/f1.4」を
紹介しようと思ったが、絞り粘り(故障)の為、「棄権欠場」
とする。(下写真)

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このレンズは、レンズ・マニアックス第8回記事で紹介
しているので、興味があれば参照されたし。
なお、上手く使うと「虹のようなゴースト」を出す事が
出来るという、面白い(エンジョイ度が高い)レンズだ。
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さて、ここまでで「最強50mmレンズ選手権」における
予選Eブロック「MF50mm/f1.4 Part2」の記事は終了だ。

次回の本シリーズ記事は、
予選Fブロック「AF50mm/f1.4 Part2」となる予定。


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