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銀塩一眼レフ・クラッシックス(31)総集編

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所有している銀塩一眼レフカメラを紹介するシリーズ記事。
今回は最終回として、これまで本シリーズで紹介してきた
銀塩一眼レフ(一部は銀塩レンジ機)の計30台を、
項目別のランキング形式で紹介しよう。
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なお、「たかが30台でランキングとは?!」と否定的に思う
上級マニアも居るかも知れないが、私は実際は、もっと
遥かに多数の銀塩機を所有し、実際に使っていた。
だが、それらの大半をデジタル時代に入って「もう使わない」
と言う理由で処分してしまっていたのであって、ここに
残したカメラは全てマニアック度や歴史的価値の高い機体
ばかりだ。つまり、この30台は、各々の時代の一眼レフの
歴史を代表するものばかりであり、かつ、実際に長期に
渡って使って来たものであるから、その長所も短所も良く
わかっている。そして、処分された他の多数のカメラは、
元々ランキングには入って来る筈も無いものだ。

加えて、同一メーカーのカメラばかりという訳でも無い、
と言う点も重要だ。贔屓の同メーカー製機体ばかりでは
どうしても他社機との差異がわからなくなってしまう。
なので、このランキングの精度は高いと言えると思う。
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ランキングを決める項目だが、10項目とする。
以下は本シリーズ第1回記事からのものだが、再掲する。

【基本・付加性能】は、最高シャッター速度、システム拡張
性等の汎用性。そして後の時代のAFカメラでは連写性能や
AF測点数等の性能や機能全般も含まれる。
なお、若干だが、発売時の技術水準を考慮しているので、
後年のカメラの方が常に高得点であるという訳でも無い。

【操作性・操作系】は、ボタン・ダイヤル類の種類や配置や
その操作のしやすさなどの「操作性」を評価するが、後年の
機種ではメニュー操作や必要な設定操作での有機的な連携等、
「操作系」と呼ばれる、UI・UX設計全般の良否を示す。

【ファインダー】は、MF機においては、実用的にピント合わせ
が可能かどうか?そしてファインダーやスクリーンが交換可能
かどうか。また、後年の機種も含め、ファインダー内部での
各種撮影情報の表示機能等を示す。

【感触性能全般】は、巻き上げ感触、シャッター音、
シャッターのレリーズ感、フィルム巻き戻し感触など、
カメラを感覚的に気持ちよく使えるかどうかを示す。
なお、ファインダー性能は、上の項目で別途評価する。

【質感・高級感】は、カメラ全般の作り(外装、接合部)の
仕上げや精密感などを示す。ファインダー等交換部品などでも、
それがぴったりと嵌るか、なども評価対象となる。

【マニアック度】は、一般に注目されているかどうか?という
点が主だが、他機には無い唯一の特殊な構造であったり、
あるいは中古でのレア度も含まれる。

【エンジョイ度】は、そのカメラ独自の特徴的な機能を使って
撮影時にどれだけ楽しめるか?気持ち良く撮影できるか?
という要素を示す。

【購入時コスパ】は説明する必要も無いであろう、ただし時代
や発売後の経過年月によってもカメラの価格は変化するので
私が購入時の状況を考慮している。

【完成度(当時)】当時における仕様や性能的な面のみならず、
耐久性や信頼性という要素も含める。

【歴史的価値】勿論、時代背景を考慮するが、実験的機種で
ある場合もあり、実際に市場に与えたインパクト等も含む。

-----
これらの各項目においては、各5点満点とする。
各々の項目において上位(概ね4.5点以上)の機種を
ランクインさせ、最後に総合評価を行う。

さて、では順次上記項目別に上位機種を書き出してみよう。

----
採点項目1:【基本・付加性能】
★★★★★(評価点5.0)
MINOLTA α-SweetⅡ

★★★★☆(評価点4.5)
PENTAX LX,NIKON FE2,CANON EOS-1HS,NIKON F4,NIKON F5
MINOLTA α-7 

評価点4.5には各社の旗艦級がずらりと並び、誰もが納得が
いく評価だとは思うが、5点満点となった「α-SweetⅡ」
だけが意外かも知れない。
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α-SweetⅡ(本シリーズ第27回記事)は初級機の位置づけ
ながら恐ろしいまでの高性能を詰め込んだ「スーパーサブ機」
(定義は、匠の写真用語辞典第20回記事参照)である。
当時の他社高級機並みの数値スペックである事に加えて、
ボデイ重量は、恐らく銀塩AF一眼レフ最軽量の335gだ。
「軽さは最大の武器」と言うよりも、スペック自体で他機を
上回るのだから、性能面で文句のつけようが無い。

あらゆるシーンで活躍できる軽快なハンドリング性能は、私が
実際に銀塩AF一眼を出動させた回数の中でも上位となっていた。

「旗艦」として数値スペック的には凄い性能を誇りながらも、
重厚長大すぎて殆ど出動機会が無かったという、まるで
「戦艦大和」的なNIKON F5やCANON EOS-1HSと比べると
大差とも言える大活躍だ。
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まあ、そういう”マニアックな例え話”をするのであれば、
α-SweetⅡは第二次大戦の日本海軍で言えば「駆逐艦 雪風」
に相応するポジションのカメラだと思える。

(雪風:駆逐艦という小型の艦船でありながら16回以上の激戦に
耐え終戦まで唯一生き残った歴戦の軍艦。通称「奇跡の駆逐艦」。
軍港等での停泊時にもエンジンをアイドリング状態のままにし、
いつでも戦闘できるように備えた等、様々な逸話がある。
後年には小説/アニメ「戦闘妖精・雪風」のモチーフとなったり
(=情報収集任務を終えて必ず帰還する「ブーメラン戦隊」)
擬人化戦艦シミュレーションゲームのキャラクターにもなった)

なお、CANON新旧F-1,NIKON F2等の旗艦は次点(評価4点)
である。

----
採点項目2:【操作性・操作系】
★★★★★(評価点5.0)
MINOLTA α-7 

★★★★☆(評価点4.5)
CANON EOS 7

こちらの項目は、やや厳しい評価となって、上位機種は2つのみ
となっている。
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まあ、私はこの「操作系」については、常に厳し目の評価をする
事も理由ではあるのだが、逆説的に言えば、いつの時代においても
カメラの高機能化において「操作系の整備が全く追いついていない」
という点が大きな不満事項なのだ。

銀塩MF一眼レフでは、例えAE化されたと言っても、その時点では
まだ「操作系」の概念は生まれておらず、むしろ不要であったかも
知れない。その時代では、ボタンやダイヤルの位置や廻しやすさ
等の表面的な「操作性」にのみに着目しておけば良かった訳だ。

しかし銀塩AF一眼レフでは、AEやAF全般の機能が複雑にからみ
機能が肥大していき、その時代では、それらを”有機的に連携”
し、かつ写真を撮るという行為の中の様々なシーンにおいて、
”効率的で無駄が無い”という「操作系」の概念が必要になってきた。
が、多くのAF一眼レフでは、設計側がまだそこまでの配慮が
出来ておらず、極めて使い難いカメラが多数存在した。


その中において「MINOLTA α-7」(本シリーズ第29回記事)の
操作系は、完璧とは言えないまでも、特筆すべき優秀な物であり
一度、当該記事を参照してもらえれば分かるが、他機とは一線を
画すハイレベルなもので、銀塩撮影に極めて精通した開発陣か、
あるいは外部スタッフの手による事が推察できる。
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なお、後年のデジタル一眼レフにおいて、α-7の操作系を踏襲
した「KONICA MINOLTA α-7 Digital」(デジタル一眼レフ・
クラッシックス第3回記事)では、銀塩撮影に必要な操作系と、
デジタルに必要な操作系は異なる為、あまり使いやすく無い。

しかし、それでもまだマシな方であり、続く各社のデジタル一眼
レフでは、増えすぎた機能を制御する為の操作系は混迷を極め、
使い難いカメラばかりがズラリと勢ぞろいしてしまっている。
(デジタル一眼レフ・クラッシックスのシリーズ各記事参照)

まあ、デジタル時代の話はさておき、銀塩AF一眼レフにおいては
この「MINOLTA α-7」が最良の操作系を誇る傑作機と言えよう。

ちなみに、第2位の「CANON EOS 7」も悪く無い。
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EOS機は、銀塩・デジタルを通じて性能重視型で、操作系の整備が
遅れている機種が多い中、この機種だけは例外的に優れている。
EOS史上最強の操作系、と言っても過言では無いかも知れない。

なお、次点(評価4点)としては、PENTAX MZ-3,CONTAX N1等
がある。

----
採点項目3:【ファインダー】
★★★★★(評価点5.0)
MINOLTA α-9,PENTAX LX,CANON New F-1

★★★★☆(評価点4.5)
MINOLTA X-700

これはもう”決まり”である、本ブログ初期の十数年前の記事
から現在に至るまで、ファインダーのMF性能においては、全く
この評価点傾向は変わっていない。
ただ、この評価点はMF機でのファインダー内情報表示の良否は
あまり考慮していない、でもMF機ではピント性能が最重要であろう。
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AF機を含む銀塩一眼名ファインダー機は、α-9,LX,New F-1で
間違いなく、AF機を除いてMF一眼のみでのランキングであれば、
X-700が繰り上がって3位だ。

なお、次点(評価4点)としてはNIKON F4,MINOLTA α-7がある。

注意点だが、5点満点の3機種は全てスクリーンをオプションの
ものに換装してある。私の用途としては「大口径レンズによる
精密なピント合わせ」が主眼であり、当該機種では開放F値が
F2より暗いレンズの使用は元より想定していない。

開放F値がF2.8級より暗い小口径レンズ(F2.8級ズームも同様)
を使う際は、より一般的なスクリーンの方が適切な場合も
あると思うが、そんな場合はこれらの機種では無くても大差は
無いであろうから、別のカメラを使う訳だ。
複数のカメラを使用するのであれば、それぞれの最大の性能を
活かせるように使い分けるのが基本である。
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なおLXやNew F-1の発売年は1980年、X-700が1981年発売
である。
この頃にファインダー&スクリーンの技術革新があったと言う
事であろう(例、アキュートマット等)
(注:一部のオプション交換スクリーンは、カメラ発売年より
若干後年に発売されたものもある)

これ以前の時代(1970年代迄)のMF一眼レフ第一~第二世代の
スクリーンはまだ技術的に未発達であり、暗く、ピントの山も
見え難い。
なお、一部のマニア等の間で、第一世代機位の時代の特定機種の
スクリーンが良いという評価も聞くが、それは「その時代の中では」
と言う話に過ぎず、後年の例えばα-9と比べてみれば一目瞭然で
あり、とてもそうした古い物が優秀と言う事は出来ないであろう。

レンズであれば、古くても良く写る物も多いのだが、スクリーン
等の構成部品は、日進月歩の技術革新の世界だ、新しい物は、
その”方向性”さえ間違えなければ確実に良くなって行く。
(注:方向性が食い違った例もある。ミラーレス機EVF用144万
ドット/カラー液晶に対して新型の144万ドット有機ELは、映像が
明るくはなったが、ピントの山が掴み難くなりMF性能を落とした。
後述するがデジタル一眼レフ用電子化スクリーンも同様だ)
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なお、α-9はストロボ内蔵機である、それ以前の時代の旗艦機では
「ストロボを内蔵するとファインダー性能が落ちるから」という
常識(言い訳?)により旗艦機にはストロボを内蔵しなかった。
(注:”用途に応じた外付けフラッシュを使いなさい”という
コンセプト、または付属品販売戦略もあったと思う)

しかし、α-9は、その常識を軽く簡単に覆してくれた機体であり、
設計次第ではストロボを内蔵しなからも史上最強のファインダー
性能を持つ旗艦機が出来るという事を実践してくれた訳だ。

それから、これより後の時代のデジタル一眼レフでは、当初は、
APS-C機等の小型センサー中心で倍率等も低く、銀塩一眼ほどの
MFピント合わせ性能は持たなかったのだが、さらに後年になると
電子化スクリーン(測距点、格子線や各種設定情報のスーパー
インポーズ等)により、さらにMF性能は悪化していく、
結局の所、上記の銀塩一眼レフのファインダー・トップ3を超える
デジタル一眼レフ機は1台も登場していない。


ただまあ、とは言うものの、近年のミラーレス機における
高精細なEVF(概ね236万ドット以上)と、様々なMFアシスト機能
(ピーキング、拡大、2画面、デジタル・スプリットイメージ等)
の搭載機種では、「MF操作を行う」と言う点において銀塩一眼
レフでのMF性能を「実用上」上回る機種群も一部出てきている。

なので「デジタル一眼レフのMF性能が低い」と嘆く必要性も
あまり無く、MFで撮るならばミラーレス機を使えば済む話だ。

----
採点項目4:【感触性能全般】
★★★★★(評価点5.0)
PENTAX LX

★★★★☆(評価点4.5)
NIKON F3/T

ここも順当に「工芸品」と称された「PENTAX LX」がダントツだ。
(本シリーズ第7回記事参照)
この機体を触ってしまうと、その後のどんなデジタル一眼レフの
高級機ですらも玩具のように感じてしまう。
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レンジ機の「ライカM3」を所有していれば、LXと良い勝負に
なったかも知れないが、あいにく所有していないし、正直言えば、
以前も今後も所有する気にはなれない。感触性能がいくら高くても
写真を撮る道具として使い難い部分があったり、おまけに高価で
あれば、趣味性だけのカメラになってしまうからだ。

なお、所有していないカメラの評価をする事は、本ブログの主旨に
まったくそぐわないので、このあたりで留めておく。
必ず「自分でお金を出して買ったカメラ」かつ「実際に使っている
カメラ」しか、正当に評価出来ない事は言うまでもなく当然の事だ。
この基本原則が守られていないレビュー等が世の中には余りに多い。
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それから、2位の「NIKON F3/T」も感触性能は悪く無い。
特に巻き上げ系の感触については、PENTAX LXをも軽く上回り、
銀塩MF一眼レフ中最強である。
ただ、NIKON F3に関して言えば、本シリーズ第8回記事で色々と
述べたように、その他の項目の評価が伸びず、平均的な評価点に
しかなっていない、旗艦機ではあるが名機とは呼びにくいのだ。

----
採点項目5:【質感・高級感】
★★★★★(評価点5.0)
なし
★★★★☆(評価点4.5)
KONICA AUTOREFLEX T3,NIKON F3/T,CANON New F-1,
CANON EOS-1HS,MINOLTA X-1

1位が空位で、2位に多数の機種が並ぶ結果となった。
2位の機種の中で注目すべきは「KONICA AUTOREFLEX T3」
であろう。
本シリーズ第3回記事で紹介したカメラだが、およそ、マニア層ですら
あまり良く知らないだろうし、注目もされていないだろう機体だ。
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だが、まるで銀塩一眼の手本のような優美なデザインが秀逸であり、
金属質のボディは高級感が抜群だ。その点については、同率2位の
チタン外装の「NIKON F3/T」に勝るとも劣らない。
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それと「CANON EOS-1HS」も意外なランクインだ。
旗艦機とは言え、後年のEOSのイメージでは「プラスチッキーな
量産品」という感じであるが、旗艦機級は例外であり、よく見ると
かなりの質感や高級感、すなわち「存在感」がそこにある。
(存在感という点では、同率の「MINOLTA X-1」も極めて強い)

余談だが、EOS機の銀塩・デジタル一眼レフの中級機以下では、
この評価をすると恐らくボロボロになるだろうが、唯一の例外が
あり、それはキヤノンのデジタル一眼レフの実用機としては初の
EOS D30(2000年、デジタル一眼レフ・クラッシックス第23回
補足編記事で紹介)がある。
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EOS D30は定価35万8000円もした「黎明期」のデジタル一眼レフ
だが、その値段で安っぽい作りであったら購入者が怒ってしまう、
小型機ながら、かなりの高級感があり、EOS機の中では例外的だ。
(なお、現在でも所有していて、一応完動するが、実用性能が
殆ど無い為、長期間の休眠状態になっている・・汗)

それから、未所有だが銀塩EOSの最終機「EOS 7s」(2004年)も
そこそこ高級感があったように記憶している。ちょっと欲しいな
とは思ったのだが、前機種EOS 7を所有していたし、既に世の中は
デジタル機が全盛であった為、見送った。

なお、次点(評価4点)としてはNIKON F2,MINOLTA α-9等がある。

----
採点項目6:【マニアック度】
★★★★★(評価点5.0)
MINOLTA X-1,CONTAX 159MM,CANON EOS RT,
CONTAX AX,CONTAX N1,Voigtlander BESSA-T,
Voigtlander BESSA-R2C,Voigtlander Bessaflex TM

★★★★☆(評価点4.5)
CONTAX RTS,PENTAX LX,CANON EOS-1HS,
YASHICA FX-3 Super2000,OLYMPUS OM2000


実にマニアックな機体がゾロゾロと上位にランクイン。
まあそれもそのはず、私が欲しいと思う、そして、今なお手元に
残して所有している機体は、殆どがマニアックなカメラばかりだ。
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この為、本シリーズ登場の銀塩機30機種の「平均マニアック度」
の評価は4.0点にも達し、評価項目中、最も平均点が高い。

同率1位にはフォクトレンダーの3機種が入ったが、まあこれは
元々マニアック度全開のカメラ故に、当然の結果であろう。
(一眼レフの記事の中にレンジ機を例外的に混ぜているのも
このマニアックさが所以である)

注目すべきは「CONTAX 159MM」(本シリーズ第13回記事)だが、
この機種は本来はあまり目立たないカメラだ、しかし当該カメラは
「159MM CONTAX 10周年記念モデル」という、ちょっとレアな
仕様な為、マニアック度を若干加点した結果だ。

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その他、マニアック度の説明は書き出すときりがない、
詳細は各々の記事を参照して頂く事にする。

----
採点項目7:【エンジョイ度】
★★★★★(評価点5.0)
MINOLTA α-7
★★★★☆(評価点4.5)
NIKON FE2,NIKON F4,PENTAX MZ-3,MINOLTA α-SweetⅡ

「エンジョイ度」とは、本来ならば「気持ち良く撮影できるか?」
という要素の指標なのだが、これの評価の上位に入った機種を
良く良く見れば、私が銀塩時代に「最も良く使った」カメラの
順位と、ほとんど同じとなっている。(これは驚きだった)

なお、次点(評価4点)としてはPENTAX LX,MINOLTA X-700等
がある。これらも確かに、良く使ったカメラであった。

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すなわち「趣味撮影」においては「使っていて楽しいカメラ」で
ないと、屋外に持ち出して撮ろうという気にはなれない、という
事実が歴然とわかる評価結果となった訳だ。

まあつまり、いくら性能が凄かろうが、見た目が格好よかろうか
購入価格が高い高級品であろうが、マニアックな機体であろうが、
写真を撮るという行為の上では、何れも殆ど意味が無いという
事であって、結局、撮影していて”楽しい”と思えない限りは、
「そのカメラは使わなくなる」と言う状況に確実に陥ってしまう。

ちなみに、この結果が非常に興味深かったので、所有している
デジタル一眼レフとミラーレス機でも同様な評価を行ってみたの
だが、やっぱり「ドンピシャ」の結果であり、エンジョイ度が
高く評価されたカメラの上位が、最も使用頻度が高かった!

なお、デジタル機では総撮影枚数が分かるので、それが多い
機種がイコール「使用頻度が高いカメラ」であるか?と言えば、
そういう話でも無い。
例えば、依頼撮影・業務撮影などで、大量の写真を撮れば
そのカメラの撮影枚数は増える、けど、それは「楽しい撮影である」
とは言い切れないかも知れない。
まあ、趣味的な撮影であるから楽しいのであって、そういう場合
では、撮影枚数が増える事とはイコールでは無い。
例えば毎日のように持ち出すお気に入りのカメラがあったとして、
それは1日あたり、ほんの数枚しか撮らないかも知れない。
そんな場合は総撮影枚数が多く無くても使用頻度が高いと言える。

結局のところ「本当に楽しめるカメラ」が、最も優れたカメラ
なのだろうと思う。その選択基準は、人によりけりなのかも
知れないが、そういうカメラに巡り会えるか否か?あるいは
その「本質」が見抜ける眼力があるかどうか? そのあたりが
「カメラライフ」においては特に重要なポイントだと思う。

高価なカメラや、有名なブランドであるから、良いカメラだ、と
勘違いしているビギナー層には、是非知っておいて貰いたい事だ。

----
採点項目8:【購入時コスパ】
★★★★★(評価点5.0)
なし
★★★★☆(評価点4.5)
YASHICA FX-3 Super2000

この項目は、個々のカメラの評価をする上では重要であるが、
点数の高い順に並べ替える事は、あまり意味が無かった。

例えば、デジタル時代の今になって、二束三文となった銀塩機の
名機を購入すれば、コスパはとんでも無い高得点となって
しまう・・
まあ、この項目に関しては、ノーコメントという事にしておこう。
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採点項目9:【完成度(当時)】
★★★★★(評価点5.0)
NIKON F3,MINOLTA X-700,MINOLTA α-7

★★★★☆(評価点4.5)
NIKON F2,PENTAX LX,CANON New F-1,
NIKON FE2,NIKON F4,CANON EOS-1HS,
MINOLTA α-9,CANON EOS 7,MINOLTA α-SweetⅡ

多くの機種が同率で上位となったが、結果的にズラリと名機が
並ぶ状態になった。
ただ、1位の機種のうち、NIKON F3とMINOLTA X-700に関しては、
どちらかと言えば「ロングセラー機」である(故に完成度も高い)
という印象に基づいているような評価傾向だ。
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で、良く良く結果を見れば、完成度が高いという事はイコール
名機であるとは言い難い模様だ。
まあ、上位にあがったカメラは、いわゆる「良いカメラ」である
とは言えると思う。
しかしながら、私の個人的な「好き嫌い」の主観とは一致しない
結果になっている事も、参考までに述べておこう・・

そうなると「名機とは何か?」と言う定義の話になってくると
思うのだが、それについては明確な回答を用意してある。

すなわち、本記事での、範囲が広くて厳しい10項目の評価を
全て高得点で切り抜け、結果的に総合評価が高かったカメラが、
イコール「名機」であると思う。

----
採点項目10:【歴史的価値】
★★★★★(評価点5.0)
CONTAX RTS,CANON EOS RT,CONTAX AX,
Voigtlander BESSA-R2C,Voigtlander Bessaflex TM

★★★★☆(評価点4.5)
CANON F-1(旧),MINOLTA X-1,MINOLTA XD,
CONTAX N1,MINOLTA α-7

こちらの項目は、比較的”客観的”な評価結果となった。
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ただし、一部の重要な機種が、残念ながら抜けている。

具体的には、
*一眼レフ黎明期のロングセラー名機 ASAHI PENTAX SP
*一眼レフの販売台数記録を樹立した RICOH XR500
*宮崎美子さんのCMで大ヒットした MINOLTA X-7
*「αショック」の社会現象となった MINOLTA α-7000
が、歴史的価値が高く、

次点としてNIKOMAT FTn,PENTAX ES,OLYMPUS OM-1,
CANON A-1,PENTAX MX・・等があげられると思う。

だが実は、これらも「α-7000」以外は所有していた事があり、
α-7000に関しても、同年発売で、より高性能な「α-9000」を
長年愛用していた。(故障廃棄)

それらの機種を全て処分したのは、基本性能が低く(古く)、
実用価値が殆ど無かった為であり、仮に、それらの機種を残して
「歴史的評価=満点」をゲットしたとしても、他の項目の
評価点が低ければ、総合上位に入るようなカメラには決して
成り得ない訳だ。

まあ、それほどまでに「総合評価」で上位に入るのは難しい
という事である・・
_c0032138_09412872.jpg
では、という事で、いよいよ以下が総合評価のランキング
上位のカメラだ。

【総合評価】(全10項目の評価平均点)
1位 4.10点 PENTAX LX 
2位 4.00点 MINOLTA α-7
3位 3.80点 NIKON FE2
4位 3.75点 CANON New F-1
5位 3.70点 MINOLTA α-9
次点 NIKON F4,CANON F-1(旧),MINOLTA α-SweetⅡ

まあ、極めて順当な評価となった、
ここに上げた機種が「名機」であると言っても過言では無い。
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「他のニコン旗艦機はどうした?」「OMはどうした?」とか
「CONTAXやライカが何故入っていない?」などと、それぞれ
自分の好みで、好き勝手な意見が聞こえてきそうだが、
それらの機種は何か問題があったから上位には入らなかったのだ。
(というか、所有すらしていない機体もある、つまり「購入には
値しない」と思っているから、最初から買っていないのだ。
自分で買わなければ評価できないのは当然であるが、それでも
これだけ沢山のカメラを使っていれば、カメラを買う前に、
仕様や性能から、ある程度その機体の必要性は予見できる訳だ)

また、「交換レンズの性能を考えるべきだ」という意見は確かに
あるだろう、だが、実際の所、レンズ毎に個々に性能差はあった
としても、全体的視点からはメーカ毎のレンズ性能の差は無い。
もし、それ(メーカーによりレンズの性能が低い)があれば、
そのメーカーの製品は全く売れなくなる。

そしてレンズの感覚評価は、ユーザーの「思い込み」の要素が
極めて大きく、ユーザー側の撮影スキルにも大きく依存する。
少なくとも何百本ものレンズを長期に渡り実際に使わない限りは、
レンズの性能差など、なかなかわかりようも無い。
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で、評価項目が広範囲になればなるほど、仮に、ある1つの
側面で好評価が得られたとしても、別の弱点があれば総合点は
必ず落ちてしまう。

弱点とは性能的な面のみならず、価格(コスパ)とか操作系とか
エンジョイ度とか、様々な全ての評価項目に係わってくる。
すなわち今回総合上位にランクインした機種は、広範囲の視点に
おいても、それらの弱点も総合的に少なかったカメラなのだ。

全ての点で完璧なカメラは存在しない。もしそれがあれば、その
1台だけを保有していれば、他機は持つ必要は無いではないか。
これは純然たる事実であり、個人の好みの話とは次元が異なる。

---
さて、これにて「銀塩一眼レフ・クラッシックス」のシリーズは
全て終了する。


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