2019年8月25日(日)に、滋賀県大津市サンシャインビーチ
にて行われた、ドラゴンボート系手漕ぎボート大会の、
「第29回びわこペーロン」の模様より、後編。
今回の観戦記事群は、前中後編からなる3回連載であり、
後編の今回は「10人漕ぎ混合」および「20人漕ぎ一般」
の各カテゴリーの模様と結果を順次紹介して行こう。
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まず「混合」とは「男女混合」という意味であり、
漕手(パドラー)の性別の事だ。
例えば他競技でも「ミックス・ダブルス」というカテゴリー
分類があり(卓球、テニス、バドミントン等)、その為、
ドラゴン系競技でも「ミックス」と呼ばれるケースも稀にある。
しかし、ドラゴン系競技の場合は、チーム競技である為、
性別の混在の他、チームメンバーの混在(コラボチーム)
もありうる、ここで両者を同様に「ミックス」と呼んで
しまうと、ややこしい。
なので、カテゴリーのレギュレーションの意味においては
「混合」または「男女混合」(稀に/英語では「MIX」)と
呼び、コラボチームの場合は、MIXを使わず「混成チーム」
または、そのまま「コラボチーム」と呼ぶのが望ましい。
20人漕ぎの場合、混合カテゴリーでの男女比は、
女子8名以上、男子8名以上、とするのが、旧来からの
レギュレーション(ルール)であるが、女子(専門)の
カテゴリーの無い(たとえば)「堺泉北(高石)大会」に
おいては、これを拡大解釈し「女子が8名以上ならば良い」
というルールとしている。この場合、女子ばかりのチーム
でも「男女混合の部」に出場できる事となり、「女子チーム
が(不利な)オープンの部にしか出られない」という、
旧来ルールでの課題を解消する事が出来る訳だ。
(注:選手権クラスの大会では、この特例は認められない
が、その代わり、必ず「女子の部」が存在している)
本大会の場合は、20人漕ぎの男女混合の部は現在無いので
(かつてはあったが、参戦チームが少なく、廃止された)
10人漕ぎの混合の部は、男女各4名以上づつ、というルール
となっている筈だ(注:女子の部がある為、これでも良い)
さて、では「10人漕ぎ混合の部」の過去3年間の模様だが、
2016年は「吹田龍舟倶楽部」が優勝、以下2位が
「すいすい丸トレイン」、3位「うみひ」(海猿火組)
となっていた。
(下写真は「吹田龍舟倶楽部」、本年の大会)
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2017年から、強豪「関西龍舟」が本カテゴリーに参戦
優勝「関西龍舟 白鷹」、2位「関西龍舟 白鹿」の
ワンツーフィニッシュ、3位が「海火とOyageたち」
昨年2018年は、
優勝「関西龍舟 白鹿」、2位「関西龍舟 白鷹」
と、これまたワンツーフィニッシュ。この期間に
「関ドラ」は、堺泉北(高石)大会でも、2年連続で
ワンツーを達成していて、実に2年間で4回のワンツーの
記録は前人未到、まさに「関ドラ黄金期」という感じだ。
なお、3位は「吹田龍舟倶楽部」(2016年に優勝)だ。
今年(2019年)に関しては、10人漕ぎ混合の部への
エントリーは7チームと少ない。
「関ドラ」の強さを見て、このカテゴリーを敬遠する
節もあるのかも知れない。しかし「関ドラ」とて
本大会は「20人漕ぎ混合」の部が無いので、ここに
参戦するしか無い状態だ。
ただまあ、今年は「吹龍」や「ヤバセJ1」(前編記事
で紹介)という強豪チームも参戦しているので、
「関ドラ」のワンツー3連覇を阻止できるかも知れない。
(参考:今年の堺泉北大会での、「関ドラ」のワンツー
3連覇は、「すいすい丸」により止められた)
では、予選の模様は省略し、いきなりだが決勝進出
チーム紹介である、以下、レーン順。
<10人漕ぎ混合の部決勝進出チーム>
1:ヤバセ J1
2:関西龍舟 シンバ
3:吹田龍舟倶楽部
4:豪腕龍(ごうわんドラゴン)
5:関西龍舟 バーバリアンズ
まず、「ヤバセ J1」だが、すでに前編記事で紹介済み。
追加情報は、滋賀県草津市矢橋(やばせ)町の地域にある
「ヤバセ自動車」を出自とするボート(カヌー、ナックル
フォアやエイト)のチームであり、ボート競技では過去、
様々な優勝/入賞実績がある強豪・古豪チームだ。
ただし、ドラゴン競技にはあまり参戦しておらず、恐らく
だが十数年ぶりのドラゴン大会となる。
それと、今回、強豪「うみひ」(旧:海猿火組)は、
地元の静岡で「第1回ドラゴンボートパワーバトル」の
同日の開催と運営の為、欠場となっている。
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「関西龍舟」は、ここのところ「白鹿」「白鷹」という
サブチーム名となっていたが、これは多分、地元兵庫の
日本酒の酒蔵を連想させるネーミングであると思われ、
さらに恐らくだが、このチーム名の場合は両チームの
実力値を平均化させていると思われる。その為、2017年、
2018年のワンツーフィニッシュの際は、年次で順位が
逆転しているし、両チームのタイム差も僅差であった。
対して「シンバ」「バーバリアンズ」だが、こちらは
ディズニーの「ライオンキング」を出展とする名称で
以前からこのネーミングは良く使ってはいるが、
今年は実写版映画が公開された事から、またこれを
復活させたのであろう。ちなみに、このネーミングを
使う際は、「シンバ」は百獣の王であるから、これは
漕げるメンバーを集めた「必勝チーム」であり、
バーバリアンズは「育成チーム」という風に実力別に
分けている状態だと思われる。
(参考:選手権クラス大会における登録区分も、
「シンバ」がA登録(=国際大会代表選考対象)、
「バーバリアンズ」はB登録となっている)
この時、「関西龍舟シンバ」は優勝がマスト(必須)で
「バーバリアンズ」の方は、できるだけ上位に食い込め
れば良し、という感じになっていると思われる。
(過去10年間くらい、ずっと、そんな感じであった)
「吹田龍舟倶楽部」であるが、2016年には優勝して
いるし、なんとか「関ドラ」の牙城を崩して上位には
食い込みたいところだ。
ちなみに「吹龍」だが、昨日(8月24日)に行われた
「ドラゴンキッズ選手権」で、子供達のチームが3位に
初入賞している。今日は機嫌が良い感じであろう。
「豪腕龍」は、長期に活動を続けている本大会の
常連専業チームだ、地元大津市のメンバーが中心だと
思われる。メンバーが集まり難い場合には、他チーム
(例えば、GPOや龍人、師走の会等・・詳しくは不明)
とコラボするケースも見かけている。
確か、入賞経験は昔にあったと思われるのだが、
「今日は久しぶりの表彰台を狙いたい」との事だ。
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決勝戦(300m直線)は、中盤以降、両「関西龍舟」が
リードを広げ、今年もまたワンツーフィニッシュだ。
(上写真)
ただ、今年は実力差をつけていた状態だったと思われ、
2位の「バーバリアンズ」は、3位「吹龍」と僅差であった。
以下、3位までのタイム一覧。
<20人漕ぎ混合の部決勝戦結果>
1位:1分41秒52:関西龍舟 シンバ
2位:1分45秒40:関西龍舟 バーバリアンズ
3位:1分45秒63:吹田龍舟倶楽部
ちなみに、これは昨年(2018年)の本カテゴリーの
結果と全く同じである。
上位チームの固定化は、新規(地元)参戦チーム等に
おいては、望ましくない状況であろう。
やはり中編記事で書いたように、そろそろ本大会の
カテゴリー分けを再編する必要性がありそうだ、
運営側で検討していだくのが良いであろう。
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上写真は、昨年に引き続き3位に入賞した
「吹田龍舟倶楽部」の表彰状と、スポンサー「げんさん」
のマスコット人形である。
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さて、では、ここからは「20人漕ぎ一般の部」の模様を
伝えていこう。
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「20人漕ぎ一般」とは、他大会で言えば「オープンの部」
の事である。参加資格不問、純粋な実力重視の世界であり
競技志向が強く、本大会の花形カテゴリーとなっている。
つまり「20人漕ぎ一般」を制したチームが真のチャンピオン
という価値感で、皆、戦っている。
そして、過去10年間以上も、本カテゴリーでの勝者は常に
「専業チーム」である。
歴史的な2011年「池の里Lakers!」の”涙の初優勝”から
の勝者は、年次順に「琵琶ドラ」「bp」「bp」「池の里」
「池の里」「池の里」「琵琶ドラ」であったと記憶している。
(この期間「池の里」の優勝回数が多い。上写真)
ちなみに「bp」は、あまりこの大会で連覇を続けるのも
地元を荒らしている模様で望ましく無い、と感じたのか、
2015年からは他地区大会に転戦している。
これら優勝チームに続く2位、3位入賞チームだが、
「琵琶湖の三国志」と呼ばれる「小寺製作所」や「龍人」
あるいは毎年参戦では無いが「すいすい丸」(京都)が
居る。
しかし、地元系チームでは、企業系の常連強豪チーム
(「日立建機ティエラ」「東レ・プレシジョン」
「シンコーメタリコン」)が、決勝進出までは行くものの
入賞実績はまだ無い(注:ここ13年間程度の観戦範囲で)
さて、本大会での20人漕ぎ参加チーム数は19だ。
ここもかなり多い状況だが、決勝進出または上位に入賞
できるチームは、「専業チーム」が基本となる事だろう。
すると「池の里」「小寺」「琵琶ドラ」が考えられる。
なお、他の専業チームだが、「龍人」は、本大会では
10人漕ぎに転戦、そして「すいすい丸」は不参加だ。
また、地元企業系強豪「日立建機」が何故か欠場。
すると、決勝枠が2つほど開いてくる。ここに上がって
これるチームは、「東レ・プレシジョン」なのか、
あるいは「シンコーメタリコン」(2チーム)なのか?
はたまた、例年、準決勝進出クラスの実力値を持つ
「(パナソニック)チーム技術本部」(前編記事で紹介)
あたりか? そこが本カテゴリーでの見所になるだろう。
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20人漕ぎの部の予選の模様だが、予選第1組では、
企業系強豪「シンコーメタリコン」(前編記事で紹介、
上写真)のダブルエントリーの2チーム(ホワイトインパクト、
レッドインパクト)が当たる事となった。
なお、この予選では、2位までが準決勝に上がれる。
「シンコーメタリコン」は、今回「ホワイトインパクト」
が主力チームという事だ。このレースでは、ホワイトは
1分31秒と、まずまずのタイム。ちなみに優勝タイムは
1分15秒前後となると予想される(注:風や波の影響が
あるので、決勝戦が行われる状況にならないと、正確な
タイムは予想不能である)
兄弟チームの「レッド」は、隣のレーンの艇と接触事故を
起こしそうになるアクシデントで、タイムロスをした、
こちらは敗者復活戦行きだ。
これらの「シンコーメタリコン」は「OPAL」での練習時
に「池の里」等の直接指導を受けている、その甲斐も
あってか、ここ数年でかなりの成長を見せている次第だ。
予選第2組では、強豪専業チーム「小寺製作所」が、
1位抜けで準決勝進出、タイムは1分21秒。
このあたりが午前中の予選での基準値となるだろう、
つまり「小寺より速いか否か?」という視点となる。
また、2着準決勝進出となった「東レ・プレシジョンB」
も1分28秒と、上記シンコーメタリコン(ホワイト)を
上回り、悪く無い。
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予選第3組、「琵琶湖ドラゴンボートクラブ」が、
1分17秒と、ダントツで1着となり準決勝へ進出決定。
2着であるが、パナソニック軍団の「チーム技術本部
レッドドラゴン」(上写真の手前の艇)が1分41秒で
準決勝へ進む。
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このチームは、準決勝の組み合わせ次第では、決勝に
上がれる可能性もあると見ている。
予選第4組、「池の里Lakers!」が1分18秒で1位抜け。
「琵琶ドラ」よりも1秒遅いが、「池の里」の方が
今日は乗れている(漕げている)ように見える。
まあ、それに決勝戦までは、どちらもまだウォーミング
アップという段階であろう。
2位はパナソニック軍団の「チームエオリアⅠ」
敗者復活戦を経て、いよいよ準決勝、ここからが勝負だ。
まずは決勝に上がれるかどうかで、大きく明暗が分かれる。
準決勝は3レースあり、5艘建てレースでは、2位までは
決勝進出確定、4艘建てレースでは1位のみ決勝進出と
なっているが、ここはちょっとレースフローがおかしい。
本来ならば、各準決勝1位が決勝進出で、各2位以下の
タイム順上位2チームが追加決勝進出とするのが正しいが、
まあ、今回は決定ルールに従うしか無い。
<20人漕ぎの部準決勝第1組>
レーン割りを示す、以下*マークは専業チームだ。
1:パナソニック ちょうた~ず
2:池の里 Lakers! *
3:シンコーメタリコン ホワイトインパクト
4:東レ・プレシジョン B
5:オプテックスグループ いんふられっずA
この組は「池の里」と「シンコーメタリコン」の
師弟チームが1位2位で決勝進出確定となった。
<20人漕ぎの部準決勝第2組>
1:オプテックスグループ いんふられっずB
2:チーム技術本部 レッドドラゴン
3:小寺製作所 *
4:チームエオリアⅠ
5:シンコーメタリコン レッドインパクト
ここはチャンスのある組み合わせだ、専業の「小寺」の
1位抜けは確定的ではあるが、「小寺」に続いて入れば、
どのチームでも決勝進出が出来る。
結果は「シンコーメタリコン」が1分26秒で2位、
3位「チーム技術本部」は1分35秒で、残念ながら
あと1歩およばず、準決勝敗退となった。
<20人漕ぎの部準決勝第3組>
では、「琵琶湖ドラゴンボートクラブ」が余裕の1位抜け。
さて、これで決勝進出チームが決定した。
しかし、このあたりから天候がやや悪化してきた。
琵琶湖には厚く黒々とした雲がかかり、北西の方角では
竜巻のような雲が見える。「これはヤバイか?」と
良く見ると、竜巻では無く、雨が降っている筋が見えて
いる模様だ。
携帯の「雨雲レーダー」では、京都市あたりが黄色から
赤の表示、この地区も雨が降るのは時間の問題か?
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不穏な空気を感じたのか、鳥もまた慌しく飛んでいる、
しかし、逃げている、という訳では無く、風が出てきて
琵琶湖の湖面が波立ち、そこに見え隠れする魚を狙って
いる模様だ。
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大会本部でも状況を察知し(雨雲レーダーも見たのか?)
残りのレースの進行を早める旨の指示と放送が流れる。
上写真は「10人漕ぎ一般」の決勝が終わったところ、
既に真っ暗であり、いつ雨が降ってもおかしく無い。
残りは2レースだ、20人漕ぎ一般決勝は最後のレースと
なっている。
レース後の表彰式を雨中で行う事に備えて、ステージ前
には、急遽テントが設置される。
だが、それでも、雨はなんとか降らずに持ちこたえた。
後日談によると、ここから南西に約2kmしか離れて
いない「池の里地区」(地名:池の里Lakers!の本拠地)
では土砂降りとなっていた模様だ。
なお、7年前に本会場がゲリラ豪雨に見舞われて大会が
途中中止となった際には、逆に2km離れた池の里地区
は晴天で、布団を干していたそうである。
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さて、では決勝戦の組み合わせを以下に示す。
<20人漕ぎの部決勝戦>
レーン割りを示す、*マークは専業チームだ。
1:池の里 Lakers! *
2:シンコーメタリコン ホワイトインパクト
3:琵琶湖ドラゴンボートクラブ *
4:小寺製作所 *
5:シンコーメタリコン レッドインパクト
結局、「龍人(どらんちゅ)」の10人漕ぎ転戦と、
「すいすい丸」欠場の、2つの決勝枠を埋めたのは
「シンコーメタリコン」の兄弟チームとなった。
これはなかなか興味深い状況だ。
予想順位であるが、今日の予選~準決勝を見てきた
範囲においては、上位より「池の里」「琵琶ドラ」
「小寺」「ホワイト」「レッド」の順が妥当な予想だ。
「池の里」は、今日、良く「水に乗れている」し、
それに、本びわこペーロンは、「池の里」の「ホーム
大会」(チームが最も主戦場とする大会)である。
彼らが「ホーム大会」にかける拘りは半端なく、
優勝回数も4回と多いし、2011年の初優勝の際には
涙・涙の状況となり、ドラゴン界での伝説となって
いるのだ。今年もまた当然、この大会にターゲットを
絞って練習を続けている。なんでも「今回勝てなければ
解散するぞ!」といった激も飛ばされていた模様だ。
順位だが、もしかすると「小寺」と「ホワイト」は順位が
逆転して、ホワイトの初入賞の下克上もあるのか?とも
思っていた。その明確な根拠は無いが、雨天を予測して
慌しい状況で進められていた大会の流れにおいて、
女子の部の決勝で「小寺Ladies」が入賞を逃して、
やや意気消沈していた様子が見られた事。
対して「シンコー」軍団は、2チームの決勝進出で
盛り上がっていて、勢いがあるように見えた事だ。
ちなみに「小寺」と「シンコー」のテントは隣同士で
ある、その両者の前を歩いて通ると、なんだか「気」
の様子が異なるのだ。
私は、シンコーのテント前を通り、その「上げ調子」の
雰囲気を感じ取り、そのまま「小寺」のテントに行き、
匠「小寺さん、決勝戦ですけど、気を抜くと、
シンコーさんのホワイトにやられてしまいますよ」
と、チラリと言っておいた。
ただ、私が言ったところで何かが変わるというものでも
無いだろう、最後はやはり選手達でしかドラゴンの歴史は
作れないのだから・・・
さあ、ついに決勝戦がスタートした。
「池の里」と「琵琶ドラ」の僅差の接戦を予想し、
撮影地点はゴール前、250m地点である。
だが、序盤「琵琶ドラ」が驚異的なスタートをして
いっきにリードを広げていく。
いや、「琵琶ドラ」のロケットスタートは、実は若干の
錯覚もあり、好発進を予想していた「池の里」の艇が、
スタートで出遅れていて、相対的に「琵琶ドラ」がガツン
と飛び出したようにも見えたのだ。
![c0032138_18524763.jpg]()
上写真は中盤、およそ150m地点。
写っている艇は、手前から「池の里」「シンコー
(ホワイトインパクト)」「小寺」である。
3レーン「琵琶ドラ」は、既に先行して1艇身のリード、
5レーン「レッドインパクト」は、1艇身の遅れであり、
この状態では、1位と5位は、ほぼ確定的だ。
つまり「琵琶ドラ」の連覇が決定的であり、ここでの
注目点は、既に2位~4位の中間順位争いとなっている。
ちなみに、本大会では、レースの間、実況中継が
会場のPAから流れてはいるのだが、実はその実況は、
TV放送(本大会の模様は9月15日に、びわこ放送より
放映されている)向けの解説である。それは具体的には、
「視聴者向けに、常に接戦であるように実況する」という
意味であり、これであると、実際のレースの模様とは
食い違う場合が大半であるから、会場に居るならば、
必ず目視で、レースの模様は自分自身で解釈しなければ
ならない。
余談だが、報道とは、常に客観的で正しいものを
表す訳では無いのだ。例えば、とある関西圏キーTV局の
朝の情報番組では、プロ野球の結果において、関西圏で
ファン層が多い「阪神タイガース」を、常に、勝って
いるかのように好調なシーンだけを続けて放映する。
だが、実際にはボロ負けしている事もある訳だから、
「しかし、ここから打たれてしまい、結果8対2でした」
のような映像編集の仕方をする訳だ。
まあつまり、視聴者に気を持たせるような方法論なの
だが、一部の視聴者であれば「もっと客観的に解説して
欲しい」とも思う事であろう・・
----
さて、第二集団から、僅かでも抜け出たチームが準優勝と
なるが、まあ、ここからは、出遅れていた「池の里」が、
地力どおりに、ジワリと前にせり出して行く。
![c0032138_18541658.jpg]()
上写真は300m(ゴール)地点。
手前「池の里」はまだ漕いでいるが、奥の「琵琶ドラ」
はゴールインした直後、既に漕ぎをやめ、気の早い
漕手の一部は、歓喜のバドルアップをしている。
ここからの注目は3位争いとなったが、レースのあちら
こちらに、同時に望遠レンズを向ける事は出来ない。
勿論、手持ち撮影ではあるので、物理的にはレンズは
何処へでも向けれるのだが、望遠レンズは視野がとても
狭いので、画角(画面・視野)外で何が起こっているのか
までは良くわからないのだ。
で、ファインダーから目を離し、目視で様子を見ると、
どうやら「小寺」と「ホワイト」が、ほぼ同着であった
模様、ここは肉眼では順位判別不能なので、本部の
正式順位発表を待とう。
「小寺」が勝っていれば順当な・・ というか順当すぎる
結果であり、もし「ホワイト」が勝っていれば、なんと
ここ10数年間の本大会では、「20人漕ぎの部」においては
専業チーム以外での初めての入賞となる。
しばらくして、本部より正式アナウンスがあった。
1着:1分14秒:琵琶湖ドラゴンボートクラブ
![c0032138_18541697.jpg]()
上写真は、結果放送を受け、あらためて勝利を噛み締める
「琵琶ドラ」の模様。これで2連覇であるのだが、注目
すべきは、ここで「琵琶ドラ」は本大会最速タイムを
出している事だ。すなわち、準決勝までは、まだ琵琶ドラ
は「1段上のギア」を隠していた事になる。
やはり、私が「試合巧者」と呼んでいるチームであり、
このあたりのレース戦略・戦術は一級品だ。
2着:1分17秒:池の里Laker!
後日、「スタートの出遅れが全てであった」と「池の里」
より聞いている。その原因まではわからないが、まあ
昔から「池の里」はスタートをあまり得意とはしていない。
それに加えて、ここ数年間のドラゴン界でのトレンド
(流行)であるが、2015~2016年頃から、「bp」を初め
「磯風」等の超強豪チームが「超高レート・スタート」
の戦術を始めている、この流れは超強豪チームから一般
専業チームへも伝播が起こり始めていて、「すいすい丸」
や「守のシルバニアファミリー」等でも「超高レート」の
スタートの練習を始め、それを実践し、各大会で好成績を
おさめている次第だ。
「琵琶ドラ」も同様な手法を導入しつつある段階であり、
「池の里」は、まだそれに対応できていない、という差が
あるのかも知れない。
「池の里地区町内会限定」という特殊なチーム環境において、
2004年の結成から、既に15年間もメンバーチェンジを
行っておらず、全体的な高齢化がどうしても避けられ無い
状況において、今、新たに「超高レート・スタート」を
練習・実践する事は非常に厳しいであろう。そして、それを
する事が必須かどうか?は、私には良くわからない。
「池の里」が15年間の現役で身につけた、様々なレース
ノウハウもある事だろう。具体的には、例えば「1000m
選手権」大会が始まった14年前、1000mのレースを
1本漕ぎきった(若き日の)「池の里」チームは、皆
ヘロヘロに疲労していたのだが、第13回大会となった
2018年、1000mのレースを(年齢を加えてさえも)平然と
漕げるようになった「池の里」は、ついに同大会での
初優勝を遂げている。
まあ、若さにかまけて体力やピッチ数(漕ぎの手数、速さ)
だけで勝てる訳では無い事は、ベテランの「池の里」が
一番よくわかっているのであろう。
さて、「池の里」の話が長くなった、最終順位の続きだ。
3着:1分20秒03:シンコーメタリコン ホワイトインパクト
ここは、
4着:1分20秒30:小寺製作所
とは、コンマ27秒の僅差であった。
また、これで前述のように、専業チーム以外が(近年では)
初入賞となった事となる。
![c0032138_18541644.jpg]()
上写真は、入賞に喜ぶ「シンコーメタリコン ホワイト
インパクト」の鼓手であるが、実はこの方、老舗企業
「シンコーメタリコン」の社長さんである。
![c0032138_18541652.jpg]()
上写真は、優勝した「琵琶ドラ」の表彰式の模様。
まあ、実は「琵琶ドラ」も本大会が「ホーム大会」で
あって、ここでの優勝にこだわっている事は「池の里」
にも負け劣らじ、なのである。
![c0032138_18543096.jpg]()
上写真は、今回初入賞の「シンコーメタリコン
ホワイトインパクト」の、表彰式の模様。
レース前、「2017年に初めて決勝進出できて、ちょっと
舞い上がってしまっていた。だから昨年は決勝に進めな
かったのだろう。他の(専業)チームの実力値を知るに
つれて、そう簡単に勝てる(入賞できる)ものでは無い
事は十分に良くわかった、ここからは地道に練習し、
1歩1歩上を目指していくしか無い」と、シンコーの
幹部の方達は、謙虚かつ冷静な判断をしていたので、
「うんうん」と私も同意しながら聞いていたのだ。
まあ、その2017年、シンコーメタリコンは、社内外
へ向け、ドラゴン大会に参戦している、というPR映像の
製作のため、専門のドローン業者やビデオ撮影業者、
スティル撮影カメラマン等を多数呼び、シンコーだけの
大会の模様を追い続け、そこだけで盛り上がったりの演出
をして、ちょっと周囲からは浮いてしまっていたのだ。
恐らく、先の発言には、その反省もあった模様であった。
で、ドラゴンの世界は、ビギナーチームが偶然で勝てる
訳では無い、専業チームは毎週、あるいは毎日のように
日常的に練習を続け、それ故に、各大会で勝てるだけの
実力値を持つ「専業チーム」となっているのだ。
なので、専業チームに対して、地元ビギナーチームが
負ける確率は100%である。これは私が何千レースも
観戦してきた上での、明らかな事実である。
例外的に、今回のように地元チームが入賞したとしても、
それはシンコーメタリコンが、ちゃんと練習を重ねてきた
という大きな理由がある訳であり、必然とも言えるだろう。
これで、シンコーが他大会にも出場するようになれば、
もう高島市の「守のシルバニアファミリー」のように、
「シンコーメタリコン」も、私は「専業チーム」と分類
すると思う。
さて、これにて本大会は終了だ。
閉会式後は、例年の習慣で、残った参加者が皆、輪を作り、
「琵琶湖周航の歌」を歌う、というイベントがある。
![c0032138_18543032.jpg]()
幸い、ここまで、なんとか雨は降らずに済んだ、でも、依然
空は暗いし、速やかに撤収する事としよう・・
---
さて、本記事はこのあたりまでで。
次回ドラゴン記事に続く。
にて行われた、ドラゴンボート系手漕ぎボート大会の、
「第29回びわこペーロン」の模様より、後編。
今回の観戦記事群は、前中後編からなる3回連載であり、
後編の今回は「10人漕ぎ混合」および「20人漕ぎ一般」
の各カテゴリーの模様と結果を順次紹介して行こう。

漕手(パドラー)の性別の事だ。
例えば他競技でも「ミックス・ダブルス」というカテゴリー
分類があり(卓球、テニス、バドミントン等)、その為、
ドラゴン系競技でも「ミックス」と呼ばれるケースも稀にある。
しかし、ドラゴン系競技の場合は、チーム競技である為、
性別の混在の他、チームメンバーの混在(コラボチーム)
もありうる、ここで両者を同様に「ミックス」と呼んで
しまうと、ややこしい。
なので、カテゴリーのレギュレーションの意味においては
「混合」または「男女混合」(稀に/英語では「MIX」)と
呼び、コラボチームの場合は、MIXを使わず「混成チーム」
または、そのまま「コラボチーム」と呼ぶのが望ましい。
20人漕ぎの場合、混合カテゴリーでの男女比は、
女子8名以上、男子8名以上、とするのが、旧来からの
レギュレーション(ルール)であるが、女子(専門)の
カテゴリーの無い(たとえば)「堺泉北(高石)大会」に
おいては、これを拡大解釈し「女子が8名以上ならば良い」
というルールとしている。この場合、女子ばかりのチーム
でも「男女混合の部」に出場できる事となり、「女子チーム
が(不利な)オープンの部にしか出られない」という、
旧来ルールでの課題を解消する事が出来る訳だ。
(注:選手権クラスの大会では、この特例は認められない
が、その代わり、必ず「女子の部」が存在している)
本大会の場合は、20人漕ぎの男女混合の部は現在無いので
(かつてはあったが、参戦チームが少なく、廃止された)
10人漕ぎの混合の部は、男女各4名以上づつ、というルール
となっている筈だ(注:女子の部がある為、これでも良い)
さて、では「10人漕ぎ混合の部」の過去3年間の模様だが、
2016年は「吹田龍舟倶楽部」が優勝、以下2位が
「すいすい丸トレイン」、3位「うみひ」(海猿火組)
となっていた。
(下写真は「吹田龍舟倶楽部」、本年の大会)

優勝「関西龍舟 白鷹」、2位「関西龍舟 白鹿」の
ワンツーフィニッシュ、3位が「海火とOyageたち」
昨年2018年は、
優勝「関西龍舟 白鹿」、2位「関西龍舟 白鷹」
と、これまたワンツーフィニッシュ。この期間に
「関ドラ」は、堺泉北(高石)大会でも、2年連続で
ワンツーを達成していて、実に2年間で4回のワンツーの
記録は前人未到、まさに「関ドラ黄金期」という感じだ。
なお、3位は「吹田龍舟倶楽部」(2016年に優勝)だ。
今年(2019年)に関しては、10人漕ぎ混合の部への
エントリーは7チームと少ない。
「関ドラ」の強さを見て、このカテゴリーを敬遠する
節もあるのかも知れない。しかし「関ドラ」とて
本大会は「20人漕ぎ混合」の部が無いので、ここに
参戦するしか無い状態だ。
ただまあ、今年は「吹龍」や「ヤバセJ1」(前編記事
で紹介)という強豪チームも参戦しているので、
「関ドラ」のワンツー3連覇を阻止できるかも知れない。
(参考:今年の堺泉北大会での、「関ドラ」のワンツー
3連覇は、「すいすい丸」により止められた)
では、予選の模様は省略し、いきなりだが決勝進出
チーム紹介である、以下、レーン順。
<10人漕ぎ混合の部決勝進出チーム>
1:ヤバセ J1
2:関西龍舟 シンバ
3:吹田龍舟倶楽部
4:豪腕龍(ごうわんドラゴン)
5:関西龍舟 バーバリアンズ
まず、「ヤバセ J1」だが、すでに前編記事で紹介済み。
追加情報は、滋賀県草津市矢橋(やばせ)町の地域にある
「ヤバセ自動車」を出自とするボート(カヌー、ナックル
フォアやエイト)のチームであり、ボート競技では過去、
様々な優勝/入賞実績がある強豪・古豪チームだ。
ただし、ドラゴン競技にはあまり参戦しておらず、恐らく
だが十数年ぶりのドラゴン大会となる。
それと、今回、強豪「うみひ」(旧:海猿火組)は、
地元の静岡で「第1回ドラゴンボートパワーバトル」の
同日の開催と運営の為、欠場となっている。

サブチーム名となっていたが、これは多分、地元兵庫の
日本酒の酒蔵を連想させるネーミングであると思われ、
さらに恐らくだが、このチーム名の場合は両チームの
実力値を平均化させていると思われる。その為、2017年、
2018年のワンツーフィニッシュの際は、年次で順位が
逆転しているし、両チームのタイム差も僅差であった。
対して「シンバ」「バーバリアンズ」だが、こちらは
ディズニーの「ライオンキング」を出展とする名称で
以前からこのネーミングは良く使ってはいるが、
今年は実写版映画が公開された事から、またこれを
復活させたのであろう。ちなみに、このネーミングを
使う際は、「シンバ」は百獣の王であるから、これは
漕げるメンバーを集めた「必勝チーム」であり、
バーバリアンズは「育成チーム」という風に実力別に
分けている状態だと思われる。
(参考:選手権クラス大会における登録区分も、
「シンバ」がA登録(=国際大会代表選考対象)、
「バーバリアンズ」はB登録となっている)
この時、「関西龍舟シンバ」は優勝がマスト(必須)で
「バーバリアンズ」の方は、できるだけ上位に食い込め
れば良し、という感じになっていると思われる。
(過去10年間くらい、ずっと、そんな感じであった)
「吹田龍舟倶楽部」であるが、2016年には優勝して
いるし、なんとか「関ドラ」の牙城を崩して上位には
食い込みたいところだ。
ちなみに「吹龍」だが、昨日(8月24日)に行われた
「ドラゴンキッズ選手権」で、子供達のチームが3位に
初入賞している。今日は機嫌が良い感じであろう。
「豪腕龍」は、長期に活動を続けている本大会の
常連専業チームだ、地元大津市のメンバーが中心だと
思われる。メンバーが集まり難い場合には、他チーム
(例えば、GPOや龍人、師走の会等・・詳しくは不明)
とコラボするケースも見かけている。
確か、入賞経験は昔にあったと思われるのだが、
「今日は久しぶりの表彰台を狙いたい」との事だ。

リードを広げ、今年もまたワンツーフィニッシュだ。
(上写真)
ただ、今年は実力差をつけていた状態だったと思われ、
2位の「バーバリアンズ」は、3位「吹龍」と僅差であった。
以下、3位までのタイム一覧。
<20人漕ぎ混合の部決勝戦結果>
1位:1分41秒52:関西龍舟 シンバ
2位:1分45秒40:関西龍舟 バーバリアンズ
3位:1分45秒63:吹田龍舟倶楽部
ちなみに、これは昨年(2018年)の本カテゴリーの
結果と全く同じである。
上位チームの固定化は、新規(地元)参戦チーム等に
おいては、望ましくない状況であろう。
やはり中編記事で書いたように、そろそろ本大会の
カテゴリー分けを再編する必要性がありそうだ、
運営側で検討していだくのが良いであろう。

「吹田龍舟倶楽部」の表彰状と、スポンサー「げんさん」
のマスコット人形である。
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さて、では、ここからは「20人漕ぎ一般の部」の模様を
伝えていこう。

の事である。参加資格不問、純粋な実力重視の世界であり
競技志向が強く、本大会の花形カテゴリーとなっている。
つまり「20人漕ぎ一般」を制したチームが真のチャンピオン
という価値感で、皆、戦っている。
そして、過去10年間以上も、本カテゴリーでの勝者は常に
「専業チーム」である。
歴史的な2011年「池の里Lakers!」の”涙の初優勝”から
の勝者は、年次順に「琵琶ドラ」「bp」「bp」「池の里」
「池の里」「池の里」「琵琶ドラ」であったと記憶している。
(この期間「池の里」の優勝回数が多い。上写真)
ちなみに「bp」は、あまりこの大会で連覇を続けるのも
地元を荒らしている模様で望ましく無い、と感じたのか、
2015年からは他地区大会に転戦している。
これら優勝チームに続く2位、3位入賞チームだが、
「琵琶湖の三国志」と呼ばれる「小寺製作所」や「龍人」
あるいは毎年参戦では無いが「すいすい丸」(京都)が
居る。
しかし、地元系チームでは、企業系の常連強豪チーム
(「日立建機ティエラ」「東レ・プレシジョン」
「シンコーメタリコン」)が、決勝進出までは行くものの
入賞実績はまだ無い(注:ここ13年間程度の観戦範囲で)
さて、本大会での20人漕ぎ参加チーム数は19だ。
ここもかなり多い状況だが、決勝進出または上位に入賞
できるチームは、「専業チーム」が基本となる事だろう。
すると「池の里」「小寺」「琵琶ドラ」が考えられる。
なお、他の専業チームだが、「龍人」は、本大会では
10人漕ぎに転戦、そして「すいすい丸」は不参加だ。
また、地元企業系強豪「日立建機」が何故か欠場。
すると、決勝枠が2つほど開いてくる。ここに上がって
これるチームは、「東レ・プレシジョン」なのか、
あるいは「シンコーメタリコン」(2チーム)なのか?
はたまた、例年、準決勝進出クラスの実力値を持つ
「(パナソニック)チーム技術本部」(前編記事で紹介)
あたりか? そこが本カテゴリーでの見所になるだろう。

企業系強豪「シンコーメタリコン」(前編記事で紹介、
上写真)のダブルエントリーの2チーム(ホワイトインパクト、
レッドインパクト)が当たる事となった。
なお、この予選では、2位までが準決勝に上がれる。
「シンコーメタリコン」は、今回「ホワイトインパクト」
が主力チームという事だ。このレースでは、ホワイトは
1分31秒と、まずまずのタイム。ちなみに優勝タイムは
1分15秒前後となると予想される(注:風や波の影響が
あるので、決勝戦が行われる状況にならないと、正確な
タイムは予想不能である)
兄弟チームの「レッド」は、隣のレーンの艇と接触事故を
起こしそうになるアクシデントで、タイムロスをした、
こちらは敗者復活戦行きだ。
これらの「シンコーメタリコン」は「OPAL」での練習時
に「池の里」等の直接指導を受けている、その甲斐も
あってか、ここ数年でかなりの成長を見せている次第だ。
予選第2組では、強豪専業チーム「小寺製作所」が、
1位抜けで準決勝進出、タイムは1分21秒。
このあたりが午前中の予選での基準値となるだろう、
つまり「小寺より速いか否か?」という視点となる。
また、2着準決勝進出となった「東レ・プレシジョンB」
も1分28秒と、上記シンコーメタリコン(ホワイト)を
上回り、悪く無い。

1分17秒と、ダントツで1着となり準決勝へ進出決定。
2着であるが、パナソニック軍団の「チーム技術本部
レッドドラゴン」(上写真の手前の艇)が1分41秒で
準決勝へ進む。

上がれる可能性もあると見ている。
予選第4組、「池の里Lakers!」が1分18秒で1位抜け。
「琵琶ドラ」よりも1秒遅いが、「池の里」の方が
今日は乗れている(漕げている)ように見える。
まあ、それに決勝戦までは、どちらもまだウォーミング
アップという段階であろう。
2位はパナソニック軍団の「チームエオリアⅠ」
敗者復活戦を経て、いよいよ準決勝、ここからが勝負だ。
まずは決勝に上がれるかどうかで、大きく明暗が分かれる。
準決勝は3レースあり、5艘建てレースでは、2位までは
決勝進出確定、4艘建てレースでは1位のみ決勝進出と
なっているが、ここはちょっとレースフローがおかしい。
本来ならば、各準決勝1位が決勝進出で、各2位以下の
タイム順上位2チームが追加決勝進出とするのが正しいが、
まあ、今回は決定ルールに従うしか無い。
<20人漕ぎの部準決勝第1組>
レーン割りを示す、以下*マークは専業チームだ。
1:パナソニック ちょうた~ず
2:池の里 Lakers! *
3:シンコーメタリコン ホワイトインパクト
4:東レ・プレシジョン B
5:オプテックスグループ いんふられっずA
この組は「池の里」と「シンコーメタリコン」の
師弟チームが1位2位で決勝進出確定となった。
<20人漕ぎの部準決勝第2組>
1:オプテックスグループ いんふられっずB
2:チーム技術本部 レッドドラゴン
3:小寺製作所 *
4:チームエオリアⅠ
5:シンコーメタリコン レッドインパクト
ここはチャンスのある組み合わせだ、専業の「小寺」の
1位抜けは確定的ではあるが、「小寺」に続いて入れば、
どのチームでも決勝進出が出来る。
結果は「シンコーメタリコン」が1分26秒で2位、
3位「チーム技術本部」は1分35秒で、残念ながら
あと1歩およばず、準決勝敗退となった。
<20人漕ぎの部準決勝第3組>
では、「琵琶湖ドラゴンボートクラブ」が余裕の1位抜け。
さて、これで決勝進出チームが決定した。
しかし、このあたりから天候がやや悪化してきた。
琵琶湖には厚く黒々とした雲がかかり、北西の方角では
竜巻のような雲が見える。「これはヤバイか?」と
良く見ると、竜巻では無く、雨が降っている筋が見えて
いる模様だ。
携帯の「雨雲レーダー」では、京都市あたりが黄色から
赤の表示、この地区も雨が降るのは時間の問題か?

しかし、逃げている、という訳では無く、風が出てきて
琵琶湖の湖面が波立ち、そこに見え隠れする魚を狙って
いる模様だ。

残りのレースの進行を早める旨の指示と放送が流れる。
上写真は「10人漕ぎ一般」の決勝が終わったところ、
既に真っ暗であり、いつ雨が降ってもおかしく無い。
残りは2レースだ、20人漕ぎ一般決勝は最後のレースと
なっている。
レース後の表彰式を雨中で行う事に備えて、ステージ前
には、急遽テントが設置される。
だが、それでも、雨はなんとか降らずに持ちこたえた。
後日談によると、ここから南西に約2kmしか離れて
いない「池の里地区」(地名:池の里Lakers!の本拠地)
では土砂降りとなっていた模様だ。
なお、7年前に本会場がゲリラ豪雨に見舞われて大会が
途中中止となった際には、逆に2km離れた池の里地区
は晴天で、布団を干していたそうである。
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さて、では決勝戦の組み合わせを以下に示す。
<20人漕ぎの部決勝戦>
レーン割りを示す、*マークは専業チームだ。
1:池の里 Lakers! *
2:シンコーメタリコン ホワイトインパクト
3:琵琶湖ドラゴンボートクラブ *
4:小寺製作所 *
5:シンコーメタリコン レッドインパクト
結局、「龍人(どらんちゅ)」の10人漕ぎ転戦と、
「すいすい丸」欠場の、2つの決勝枠を埋めたのは
「シンコーメタリコン」の兄弟チームとなった。
これはなかなか興味深い状況だ。
予想順位であるが、今日の予選~準決勝を見てきた
範囲においては、上位より「池の里」「琵琶ドラ」
「小寺」「ホワイト」「レッド」の順が妥当な予想だ。
「池の里」は、今日、良く「水に乗れている」し、
それに、本びわこペーロンは、「池の里」の「ホーム
大会」(チームが最も主戦場とする大会)である。
彼らが「ホーム大会」にかける拘りは半端なく、
優勝回数も4回と多いし、2011年の初優勝の際には
涙・涙の状況となり、ドラゴン界での伝説となって
いるのだ。今年もまた当然、この大会にターゲットを
絞って練習を続けている。なんでも「今回勝てなければ
解散するぞ!」といった激も飛ばされていた模様だ。
順位だが、もしかすると「小寺」と「ホワイト」は順位が
逆転して、ホワイトの初入賞の下克上もあるのか?とも
思っていた。その明確な根拠は無いが、雨天を予測して
慌しい状況で進められていた大会の流れにおいて、
女子の部の決勝で「小寺Ladies」が入賞を逃して、
やや意気消沈していた様子が見られた事。
対して「シンコー」軍団は、2チームの決勝進出で
盛り上がっていて、勢いがあるように見えた事だ。
ちなみに「小寺」と「シンコー」のテントは隣同士で
ある、その両者の前を歩いて通ると、なんだか「気」
の様子が異なるのだ。
私は、シンコーのテント前を通り、その「上げ調子」の
雰囲気を感じ取り、そのまま「小寺」のテントに行き、
匠「小寺さん、決勝戦ですけど、気を抜くと、
シンコーさんのホワイトにやられてしまいますよ」
と、チラリと言っておいた。
ただ、私が言ったところで何かが変わるというものでも
無いだろう、最後はやはり選手達でしかドラゴンの歴史は
作れないのだから・・・
さあ、ついに決勝戦がスタートした。
「池の里」と「琵琶ドラ」の僅差の接戦を予想し、
撮影地点はゴール前、250m地点である。
だが、序盤「琵琶ドラ」が驚異的なスタートをして
いっきにリードを広げていく。
いや、「琵琶ドラ」のロケットスタートは、実は若干の
錯覚もあり、好発進を予想していた「池の里」の艇が、
スタートで出遅れていて、相対的に「琵琶ドラ」がガツン
と飛び出したようにも見えたのだ。

写っている艇は、手前から「池の里」「シンコー
(ホワイトインパクト)」「小寺」である。
3レーン「琵琶ドラ」は、既に先行して1艇身のリード、
5レーン「レッドインパクト」は、1艇身の遅れであり、
この状態では、1位と5位は、ほぼ確定的だ。
つまり「琵琶ドラ」の連覇が決定的であり、ここでの
注目点は、既に2位~4位の中間順位争いとなっている。
ちなみに、本大会では、レースの間、実況中継が
会場のPAから流れてはいるのだが、実はその実況は、
TV放送(本大会の模様は9月15日に、びわこ放送より
放映されている)向けの解説である。それは具体的には、
「視聴者向けに、常に接戦であるように実況する」という
意味であり、これであると、実際のレースの模様とは
食い違う場合が大半であるから、会場に居るならば、
必ず目視で、レースの模様は自分自身で解釈しなければ
ならない。
余談だが、報道とは、常に客観的で正しいものを
表す訳では無いのだ。例えば、とある関西圏キーTV局の
朝の情報番組では、プロ野球の結果において、関西圏で
ファン層が多い「阪神タイガース」を、常に、勝って
いるかのように好調なシーンだけを続けて放映する。
だが、実際にはボロ負けしている事もある訳だから、
「しかし、ここから打たれてしまい、結果8対2でした」
のような映像編集の仕方をする訳だ。
まあつまり、視聴者に気を持たせるような方法論なの
だが、一部の視聴者であれば「もっと客観的に解説して
欲しい」とも思う事であろう・・
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さて、第二集団から、僅かでも抜け出たチームが準優勝と
なるが、まあ、ここからは、出遅れていた「池の里」が、
地力どおりに、ジワリと前にせり出して行く。

手前「池の里」はまだ漕いでいるが、奥の「琵琶ドラ」
はゴールインした直後、既に漕ぎをやめ、気の早い
漕手の一部は、歓喜のバドルアップをしている。
ここからの注目は3位争いとなったが、レースのあちら
こちらに、同時に望遠レンズを向ける事は出来ない。
勿論、手持ち撮影ではあるので、物理的にはレンズは
何処へでも向けれるのだが、望遠レンズは視野がとても
狭いので、画角(画面・視野)外で何が起こっているのか
までは良くわからないのだ。
で、ファインダーから目を離し、目視で様子を見ると、
どうやら「小寺」と「ホワイト」が、ほぼ同着であった
模様、ここは肉眼では順位判別不能なので、本部の
正式順位発表を待とう。
「小寺」が勝っていれば順当な・・ というか順当すぎる
結果であり、もし「ホワイト」が勝っていれば、なんと
ここ10数年間の本大会では、「20人漕ぎの部」においては
専業チーム以外での初めての入賞となる。
しばらくして、本部より正式アナウンスがあった。
1着:1分14秒:琵琶湖ドラゴンボートクラブ

「琵琶ドラ」の模様。これで2連覇であるのだが、注目
すべきは、ここで「琵琶ドラ」は本大会最速タイムを
出している事だ。すなわち、準決勝までは、まだ琵琶ドラ
は「1段上のギア」を隠していた事になる。
やはり、私が「試合巧者」と呼んでいるチームであり、
このあたりのレース戦略・戦術は一級品だ。
2着:1分17秒:池の里Laker!
後日、「スタートの出遅れが全てであった」と「池の里」
より聞いている。その原因まではわからないが、まあ
昔から「池の里」はスタートをあまり得意とはしていない。
それに加えて、ここ数年間のドラゴン界でのトレンド
(流行)であるが、2015~2016年頃から、「bp」を初め
「磯風」等の超強豪チームが「超高レート・スタート」
の戦術を始めている、この流れは超強豪チームから一般
専業チームへも伝播が起こり始めていて、「すいすい丸」
や「守のシルバニアファミリー」等でも「超高レート」の
スタートの練習を始め、それを実践し、各大会で好成績を
おさめている次第だ。
「琵琶ドラ」も同様な手法を導入しつつある段階であり、
「池の里」は、まだそれに対応できていない、という差が
あるのかも知れない。
「池の里地区町内会限定」という特殊なチーム環境において、
2004年の結成から、既に15年間もメンバーチェンジを
行っておらず、全体的な高齢化がどうしても避けられ無い
状況において、今、新たに「超高レート・スタート」を
練習・実践する事は非常に厳しいであろう。そして、それを
する事が必須かどうか?は、私には良くわからない。
「池の里」が15年間の現役で身につけた、様々なレース
ノウハウもある事だろう。具体的には、例えば「1000m
選手権」大会が始まった14年前、1000mのレースを
1本漕ぎきった(若き日の)「池の里」チームは、皆
ヘロヘロに疲労していたのだが、第13回大会となった
2018年、1000mのレースを(年齢を加えてさえも)平然と
漕げるようになった「池の里」は、ついに同大会での
初優勝を遂げている。
まあ、若さにかまけて体力やピッチ数(漕ぎの手数、速さ)
だけで勝てる訳では無い事は、ベテランの「池の里」が
一番よくわかっているのであろう。
さて、「池の里」の話が長くなった、最終順位の続きだ。
3着:1分20秒03:シンコーメタリコン ホワイトインパクト
ここは、
4着:1分20秒30:小寺製作所
とは、コンマ27秒の僅差であった。
また、これで前述のように、専業チーム以外が(近年では)
初入賞となった事となる。

インパクト」の鼓手であるが、実はこの方、老舗企業
「シンコーメタリコン」の社長さんである。

まあ、実は「琵琶ドラ」も本大会が「ホーム大会」で
あって、ここでの優勝にこだわっている事は「池の里」
にも負け劣らじ、なのである。

ホワイトインパクト」の、表彰式の模様。
レース前、「2017年に初めて決勝進出できて、ちょっと
舞い上がってしまっていた。だから昨年は決勝に進めな
かったのだろう。他の(専業)チームの実力値を知るに
つれて、そう簡単に勝てる(入賞できる)ものでは無い
事は十分に良くわかった、ここからは地道に練習し、
1歩1歩上を目指していくしか無い」と、シンコーの
幹部の方達は、謙虚かつ冷静な判断をしていたので、
「うんうん」と私も同意しながら聞いていたのだ。
まあ、その2017年、シンコーメタリコンは、社内外
へ向け、ドラゴン大会に参戦している、というPR映像の
製作のため、専門のドローン業者やビデオ撮影業者、
スティル撮影カメラマン等を多数呼び、シンコーだけの
大会の模様を追い続け、そこだけで盛り上がったりの演出
をして、ちょっと周囲からは浮いてしまっていたのだ。
恐らく、先の発言には、その反省もあった模様であった。
で、ドラゴンの世界は、ビギナーチームが偶然で勝てる
訳では無い、専業チームは毎週、あるいは毎日のように
日常的に練習を続け、それ故に、各大会で勝てるだけの
実力値を持つ「専業チーム」となっているのだ。
なので、専業チームに対して、地元ビギナーチームが
負ける確率は100%である。これは私が何千レースも
観戦してきた上での、明らかな事実である。
例外的に、今回のように地元チームが入賞したとしても、
それはシンコーメタリコンが、ちゃんと練習を重ねてきた
という大きな理由がある訳であり、必然とも言えるだろう。
これで、シンコーが他大会にも出場するようになれば、
もう高島市の「守のシルバニアファミリー」のように、
「シンコーメタリコン」も、私は「専業チーム」と分類
すると思う。
さて、これにて本大会は終了だ。
閉会式後は、例年の習慣で、残った参加者が皆、輪を作り、
「琵琶湖周航の歌」を歌う、というイベントがある。

空は暗いし、速やかに撤収する事としよう・・
---
さて、本記事はこのあたりまでで。
次回ドラゴン記事に続く。