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【玄人専科】匠の写真用語辞典(20)補足編~システム編Part5

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本シリーズでは、写真撮影に係わる用語で、本ブログの範囲
でのみ使われたり、一般的では無い専門用語を解説している。

今回第20回目は、補足編~システム編Part5という事で、
カメラやレンズ関連の用語をとりあげる。
c0032138_19423204.jpg
なお、補足編は基本的に「小ネタ」をメインとするので、
項目(用語)数は多目に、個々の解説は若干少な目とする。

<機器・システム> Part 5

★超大口径レンズ
 やや一般的な独自用語。

 本ブログでは開放F値がF1.0以下のレンズを指して「超大口径」
 と呼ぶ事にする。

 このクラスのカメラ用(一眼レフ、ミラーレス、レンジ機)
 市販レンズは数が少なく、だいたい以下のような感じである。

 <F0.85のレンズ>
 ・HandeVision IBELUX 40mm(ミラーレス機用)

 <F0.95のレンズ>
 ・CANON LENS 50mm (レンジ機CANON 7/s用)
 ・Leica NOCTILUX-M 50mm(レンジ機用)
 ・中一光学(MITAKON) Speedmastar 25mm,35mm,50mm
  (μ4/3機用、APS-C型一眼レフ用)
 ・COSINA Voigtlander NOKTON 10.5mm,17.5mm,25mm,
  42.5mm(μ4/3機用)
 ・SLR Magic 25mm/F0.95 (シネレンズ)
 ・NIKON Z 58mm/F0.95(Zマウント用、開発発表段階)

 <F1.0のレンズ>
 ・CANON EF50mm/F1.0L USM
 ・Leica NOCTILUX 50mm/F1.0

 これは記憶に頼って書いているので、まだ他にもあったかも
 知れないが、他に存在していたとしても、かなりレアだろう。
 そもそも、上記のうちCANON用やLeica用の超大口径レンズは
 オールドで入手困難であったり、非常に高価であったりする。

 まあつまり、現行製品で現実的な価格帯で購入できる物は
 中一光学とフォクトレンダー製しか無いという事だ。
(注:IBELUX40/0.85は流通数が少ないが、あまり高価では
   無かったと思う→未所有)
(下写真は、NOKTON 42.5mmm/F0.95)
c0032138_19423289.jpg
 なお(暗所で使う)監視カメラ用ではF0.85~F0.95という
 スペックの市販レンズが多数存在する。
 
 古くは、1950年代位に海外各社で超大口径レンズが試作され、
 アンジェニュー、シュナイダー、ケルン、デルフトあたりが
 F1.0~F0.7のレンズを開発した模様であるが、あくまで
 試作品的で、一般に販売されたかどうかは良くわからない。
 又、映画撮影用や学術用の特注品では、F0.33~F0.7位の
 レンズがツァイス社により作られた事もある模様だ。

 光学の原理的には、まず、通常のレンズ設計においては
 F0.707 (=1/√2)が、だいたい最大の口径比になる模様だ。
 さらに「非球面アプラナート」等といった特殊設計により、
 限界値としてF0.5までの光学レンズ構成を設計可能と聞く。
(注:設計が出来たとしても実際に作れるかどうかは不明)

 また、光学レンズでは無く、反射鏡を用いた光学系
(マンジャン鏡等)では、F0.6程度のものが作られた事が
 あるそうだが、実質的な明るさはF0.7程度だった模様だ。

 それより明るいレンズは、現代で言う所の「レデューサー」
(補正レンズの入ったマウントアダプターの一種で、焦点距離を
 短くすると同時に開放F値を明るくできる)の光学系原理を応用
 したものであったのかも知れない(??専門的かつ詳細不明)

 超大口径レンズの魅力は、非常に浅い被写界深度で、多大な
 ボケ量を得られる事だ(以下はNOKTON 25mm/F0.95での撮影)
c0032138_19423230.jpg
 ただし、上記の超大口径レンズ群は、CANON EF50mn/F1.0
(と開発中のNIKON Z 58mm/F0.95)を除き、全てMFレンズだ。
 浅い被写界深度とあいまって、ピント合わせは、かなり困難
 であり、あるいは近接した距離の異なる被写体が密集して
 いると、なんだか作画的にも、ごちゃごちゃになる。

 また、絞り開放近くでは、諸収差により描写が甘くなる傾向も
 強く、総合的に使いこなしが極めて難しいレンズ群となる事は
 要注意だ。(=「用途開発」がとても難しい)
c0032138_19423128.jpg
★ジャンクレンズ
 一般用語。

 商品に何らかの瑕疵(キズ、ゴミ、カビ)等があったり、
 故障していたり、付属品が欠品していたり、現在のシステム
 環境では使用が困難であったりと、通常の商品としての価値が
 殆ど無いものを「ジャンク品」と呼ぶ。
c0032138_19424264.jpg
 ジャンクレンズの場合は、カメラ中古店や各種中古店、あるいは
 フリーマーケット等の片隅に置いてあったりする場合があり、
 価格は瑕疵の程度により、概ね300円~3000円程である。

 保証などは勿論無いし、返品も通常は不可だ。
 よって、購入時には、様々な「目利き」(商品の良否を見分ける
 経験や知識。本シリーズ第10回記事)が必要となる為、初級者層
 には、こうした商品の購入は推奨できない。
(が、ジャンクレンズを何十本も買って、「目利き」の経験を
 積む、といった方法論はある。中には「ハズレ」を引く事も
 あるが、それも「勉強」だ。マニア層は皆そうしてきた筈だ)

 なお、ジャンク品は、常に「壊れている」という訳でも無く、
 性能が低かったり、現在の機材環境では使いにくかったり、
 不人気であったりするだけのものが多い。よって、しっかり
「目利き」を行う事は勿論、性能の低い製品を、うまく弱点を
 回避して使いこなすスキルがあれば、これらのジャンク品は
 格安で購入出来る事から、非常にコスパが高い。
(ここも逆に言えば、低性能機材を使いこなそうとする事で、
 スキルアップの為の「教材」として使える、という事になる)
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 まあでも、基本的には「ジャンクレンズは中上級マニア向け」
 という事にしておこう。

★水銀電池互換(代替)
 一般用語。

 1960年代~1970年代のカメラには、露出計が搭載されたが、
 その電源電池に「水銀電池」を用いる事があった。

 ところが水銀電池は環境汚染問題がある為、1990年代には
 製造が中止されてしまう(水銀電池を使用する事は違法では
 無いが、電池使用後は専用の回収BOXを経由して処理する)

 水銀電池の生産終了後に丁度中古カメラブームが起こった為、
 その電源を使用する旧カメラを使うマニア層も非常に増えた。
 が、水銀電池は在庫品を除き入手不能だ、そこで水銀電池の
 代替の手段を色々と模索する事となる。

 まず、水銀電池を使用する代表的なカメラを挙げる。

 H-B型電池:PENTAX SP系
 H-C型(MR44型)電池:OLYMPUS PEN D系
 H-D型(MR-9型)電池:OLYMPUS OM-1系、Rollei 35系
             CANON 旧F-1/改、NIKOMAT FT系

 概ね、水銀電池の型番には、H(水素の意味??)か、
 MR(マーキュリー=水銀の英語)が付く。
 この他の型番もあるかもしれないが、あまり記憶に無い。
 ・・と言うか、マニア層が欲しがる水銀電池使用カメラは、
 だいたい上記の範囲であり、これら以外のマイナー機種は殆ど
 流通も無いので、水銀電池も上記種類を知っていれば十分だ。

 さて、上記は全て「機械式カメラ」であり、電池が無くても
 写真は撮れる。電池ナシでは、ただ露出計が動作しないだけだ。
 そのまま不安な状態で撮るか、または他のカメラの露出計や
 外部単体露出計で露出を測って参照する事となる。、

「勘露出の公式」(本シリーズ第17回記事)を覚えて用いれば
 撮れない事は無いが、あいにくその公式は単に正しい露出値
 を得れるだけで、絞り値やシャッター速度を任意に変更した際
 には通用しない。

 で、不安に思えば水銀電池代替(互換)品を探すのだが・・

 まずH-B型の場合は、PENTAXから安価(数百円)なアダプター
 が発売されていて、これを買って現行の酸化銀電池(SR41)を
 使えば良い。ただしこの安価なアダプターは若干レアであり
 旧製品で現在も継続販売されているかどうかは微妙なところだ。
 他には市販アダプターがあるが、若干高価(3000円弱)だ。

 H-C型の場合は、44型番(これはサイズだ)が示すように
 現代でも入手が容易なアルカリLR44や酸化銀SR44型で代替が
 効く(ただし後述の電源電圧の問題がある)
 
 次いでH-D型(MR-9型)は、以下の写真のような代替電池が
 色々と発売されている。
c0032138_19424208.jpg
 ただ、これもやや入手が面倒だ、それに常時在庫があるという
 訳でもなく、まとめて輸入されて、家電量販店等でも一時的に
 販売されていた事もあった。以前では見つけたら買い貯めして
 おいたのだが、その価格は100円~300円程度と安価であった。
 なお、現代ではいちいち探すより通販に頼るのも良いであろう。

 さて、無事代替電池またはアダプターが入手できたとする。
 ここで問題になるのは、水銀電池と代替電池の電圧差だ。

 水銀電池は、だいたい1.3V前後の電圧値だが
 例えばアルカリLR44は1.5V、酸化銀電池SR44は1.55Vと
 若干高い。
 この時、露出計は高い電圧で余分に反応する(大きく振れる)
 この振れの差は、機種毎の電源回路の設計仕様で異なるが、
 一般的に、いつでも差が一定(=オフセット)という訳では無く、
 輝度の値(明るさ、暗さ)に応じて、非直線的に反応する事が、
 私の経験的にわかっている。(例:明るいと余計に振れる、
 又はその逆で、暗いと、より小さくしか振れない)

 だから、ある明るさにおいて、他の露出計と比べて、
「ああ、半段くらい露出オーバーになるな、では撮る時にいつも
 半段調整しよう」という対処法では上手く行かない。

 結局、例えばだが、無茶苦茶明るい場合は1段くらい調整し、
 暗い場合は半段くらいにする、などの「勘」が必要になるのだ。
 なお、上記の機械式カメラはマニュアル露出なので「露出補正」
 という概念は無い。よって、ISO(ASA)感度で補正するか、又は
 露出メーターで差分を意識して、絞り値とシャッター速度で
 調整する。

 また、機体自体の経年劣化で、露出計の動作が怪しかったり、
 高速シャッター速度の精度が出ていないケースも多々ある。

 よって、あまり神経質にならず、必ず(露出許容範囲の広い)
 ネガフィルムを用いて撮り、電圧差による露出差分は、勘で
 適当に半段前後補正すれば、事足りるであろう。

 それでも心配な向きには、専門店から専用の電池アダプター
 が発売されている、これには減圧回路が組み込まれていて、
 現代ボタン電池の1.5Vを、水銀電池相当の1.35Vあたりに
 下げてくれるので、より正確な露出計の動作が期待できる。
(ただし、若干高価=3000円前後だ)

★銀塩機のシャッター速度のチェック
 マニア用語。

 前項でも少し述べたが、古い機械式カメラのシャッターは
 電子制御では無い為、製造精度や経年劣化で、正確な速度で
 動く保証は無い。
 特に高速シャッターが怪しく、1/1000秒や1/2000秒では、
 下手をすると、その7割や半分くらいの速度しか出ていない
 場合も良くある。

 こういう状態であると、シャッターが遅い=露光時間が長い
 という事で露出オーバーとなる。
 ネガフィルムであれば半分のシャッター速度は1段オーバー程度
 なので露出許容範囲(ラティチュード)に収まるが、ポジ
 フィルムでは厳しい。高速シャッターが怪しい機体はネガ専用に
 する事が最も安全な対策であろう。

 では、特に銀塩機の中古購入時に、どのようにシャッター速度
 の低下を見分ける事ができるのだろうか?
 これはちょっと高度ではあるが、以下の方法がある。
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 カメラの裏蓋を開け、レンズを装着せずに明るい所に向ける。
 機械式カメラの場合、又はAE機やAF機でもM露出モードとすると、
 シャッターダイヤルで速度を手動変更できる。
 この状態でシャッター速度を変えながら、1枚づつシャッターを
 切る(当然、巻き上げ動作も必要だ)
 すると、シャッター幕が一瞬だけ明るく見える。

 この明るく見える時間が、設定シャッター速度が速くなるに
 連れて、どんどんと短く見えれば良い。

 1/1000秒や1/2000秒では、勿論ほんの一瞬明るくなるだけだ、
 だが、その一瞬の度合い、というのは経験を積めば人間の眼で
 だいたい正しいか否かは判定ができるようになる。
 それに、不良になっているシャッターは、速度を速めていっても
 順次短くなっていかないと思う、どこかの段階で止まって、
 それ以上速くは見えない無い状態であれば、確実に故障だ。

 高度な経験を必要とする良否判定技能ではあるが、何十台か
 銀塩カメラを見ていれば(持っていれば)わかってくるし、
 あるいはカメラ購入後であっても、このチェックの練習を
 する事はできるであろう。

 今更銀塩機を購入する層は、よほどのマニアだとは思うが、
 ビギナー層での銀塩機見直しの風潮も、ある事はあるので、
 そういう場合のノウハウとして覚えておくと良いだろう。
 まあ、これもまた「目利き」の技能だ。

★レンズ構成文字の意味(H等)
 やや専門的な一般用語。

 銀塩時代の交換レンズには、HやらPGやらと意味不明な
 暗号のような略語が書いてある場合がある。

 これは一般にレンズ構成を表す文字である。メーカー毎で
 異なるが、一般に、アルファベット順、あるいはラテン語を
 ベースとした数字(化学分野でよく使われる。オクタン価等。
 音楽分野でも同様だ。トリオ、カルテット等)である。

 以下、全てを述べていくと冗長なので、簡単に説明するが、
 アルファベット順:E=5枚、F=6枚、G=7枚、H=8枚
 ラテン語系数字:Q(クアトロ)=4枚/4群、P(ペンタ)=5枚/5群
         H(ヘキサ)=6枚/6群、S(セプタ)=7枚/7群

 この時、どちらの系列の数字文字を、どの意味で使っているかは
 メーカー毎にまちまちなのであるが、見かけ上では、
 アルファベットとラテン語の数字は、H以外ではかぶらないので
 そのメーカーの他の製品群や、レンズ仕様を見れば、文字の意味
 のルールは簡単に推察できるであろう。
c0032138_19425383.jpg
 例えばミノルタの銀塩時代のレンズで「PF」とあれば、
 これは5群(P=ペンタ)、6枚(F=6番目のアルファベット)
 構成である。(勿論、「6群5枚」と、逆の構成は有り得ない、
 それではレンズが1枚少なくなってしまう)

 なお、現代のレンズは構成が複雑化していて、十数群十数枚
 という構成もごく普通であり、このような略語は使われない。
 
★焦点移動
 やや専門的な一般用語。

 レンズのピント位置が絞り値により変動してしまう現象。
(注:誤用が多い用語だし、そもそもしっかりとした用語定義
 が無いかも知れない。上は写真分野での一般的な解釈だ)

 これはレンズの設計によるが、開放測光である一眼レフでは、
 開放でピントを合わせ、撮影の直前に絞り込まれる為、
 そこでピント距離がずれてしまう危険性がある。
c0032138_19425386.jpg
 ごく一部のレンズでは、上写真のように焦点移動が出る前提で
 絞りを開けた状態と、絞り込んだ状態で、ピント位置を変える
 べき事を示唆する指標があるが、これは非常に稀なケースだ。

 一般的には、そういう問題点をメーカー側が公表する事は無い。
 これを「重欠点である」ように評価する中級マニアや評論家の
 レポートやレビューも良く見かけるが、私としては焦点移動は
 大きな問題とは捉えていない。その理由は以下の通りだ。

 1)絞り込むと被写界深度が深くなり、焦点移動をある程度は
  カバー可能である。

 2)マウントアダプターを用いた絞り込み(実絞り)測光では、
  原理的に焦点移動は起こらず、何ら問題にならない。

 3)レンズ設計とは、収差等の様々な課題の、どこに主眼を置いて
  補正していくかを考察するものであり、「焦点移動が残った」
  という事は、他の重要な性能(解像力やボケ質等)を優先的
  に設計した結果なのであろう。だから、そうした良い特性が
  あるのだ、という点をむしろ意識するべきで、その長所を
  生かす方法論を考え実践する事が上級ユーザーの本分だ。


 4)焦点移動が出る場合でも、「連写MFブラケット」等の
  高度な技法でそれを回避できる。
 (AFでフルオート等、カメラやレンズの言うがままの状態で
  撮影せず、何か課題があれば、それを回避して使えば良い)

 よって「焦点移動」に目くじらを立てる必要性があまりない。

★シャッター音
 一般用語。

 主に一眼レフにおいて、シャッターを切る(レリーズ)際の
 音量および音質である。勿論静粛であって、品位のある音質
 である事が望ましい。さも無いと、シャッター音が悪目立ち
 してしまい、イベントや冠婚葬祭、音楽会、舞台、儀式、
 発表や会見などの邪魔になるからだ。

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 銀塩一眼レフ(ワインダーやモードラ機)ではシャッター機構
 自体の音量・音質のみならず、フィルムを給送するモーター音 
 も問題となり、1990年頃のAF時代から、一部のメーカーでは
 静音化が(AF)一眼レフ設計上のテーマとなっていた。

 だが、そういうメーカーや機体は一部であり、銀塩AF時代から
 デジタル時代にかけ、依然シャッター音が大きい、音質が悪い
 など、うるさい一眼レフもまだまだ多い。

 静音モードを搭載している事で、ユーザーからのクレームを
 避ける傾向もあるのだが、そのモードにした場合は、
 1)連写速度などの性能低下
 2)シャッターを切る機械音そのものはあまり低減されない
 3)音量は下がっても音質が悪い(品が無く、耳障り)
 4)電子シャッターになる場合は、被写体状況に制限が出る

 ・・といった課題が多く残り、あまり好ましく無い。

 各メーカーは、根本的にシャッター音を改善してもらいたいと
 思う。結婚式や、クラッシックのライブ、演劇、トークショー、
 プレゼン、スポーツ撮影、記者会見等で、音の大きなカメラは
 顰蹙ものなのだ。

★ミラーアップ
 一般用語およびマニア用語。

 一般的には一眼レフカメラで、ユーザーが意図的にミラーを
 上げる動作を行う事。これは、特殊なレンズを使う場合や、
 センサーのクリーニング等のメンテナンス時、あるいは高速
 連写性能を得る為、など、その機能の利用目的は複数ある。
c0032138_19425396.jpg
 この場合の「ミラーアップ」は何ら問題が無いのだが・・
 銀塩機では、稀に、意図しないでミラーが上がったままに
 なる事もある。
 これはつまり故障であり、マニアの間では、この故障は致命的
 な物として「ミラーアップしたよ、もうこのカメラは修理に
 出すか、廃棄処分だな」という風に解釈される事が普通だ。

 しかし、ごく稀に、銀塩一眼レフにおいて、カメラを落とす、
 ぶつける等の衝撃が加わった事で、一時的にミラーアップして
 しまう場合がある。これは機械部分の完全な故障ではなく、
 一時的な事もある。

 だから、逆に軽い衝撃を与える事で無事直る場合もある。
 実際に数回、そういうケースで「叩いて直す」という荒技が
 成功した事もある。ただし相当にリスキーな手法であり、
 銀塩カメラのメカがどういう状態になっているかを推察できない
 あるいは、カメラのどの部分にどういう角度で、どれくらいの
 力を加えれば良いかが類推できない、という初級中級層または
 メカに詳しくない人には絶対におすすめできない処置である。
 下手をすれば、その応急措置が裏目になって、完全にカメラを
 壊してしまうかも知れない訳だ。

 また、デジタル機等では、ミラー動作は電子的に制御されて
 いる事が殆どであり、これは叩いて直るようなものでは無い。
(むしろ電源やバッテリーを入れなおす方が応急処置として適正)

 銀塩機を使っていて、出先などで、ミラーアップのままでは
 撮影を継続できず困ってしまい、応急措置が上手く行かない
 場合には修理に出すという覚悟を持って行う等、上級者または
 上級マニアでメカに詳しい人のみが許される対策であろう。

★スーパーサブ機
 やや独自用語。

 元々はスポーツ競技等で、「強力な控え選手」の事を指す
 言葉が「スーパーサブ」である。

 カメラの世界では、主力機に対してそれを補佐する役目の
 カメラを「サブ機」と呼ぶ場合がある。一般的に主力機は
 各社のハイエンド機級一眼レフであり、サブ機は、それと
 操作系等を揃えた上級機である事が普通だ。

 銀塩時代の例を挙げれば、NIKON F5とNIKON F100の関係、
 デジタルで言えば、CANON EOS-1D系とEOS 5D系(または
 EOS 6D/7D系)の関係などがある。

 また、サブ機を同一マウントの一眼レフとはせず、例えば銀塩
 時代で言えば、旗艦機+高級コンパクト、という組み合わせも
 十分に有り得た(例:CANON EOS-1NとRICOH GR1等)
 この例では、広角レンズは一眼レフ用の物に対してコンパクト
 機でも遜色の無い写りをするので、機材の総重量を減らす等の
 意味でも合理的な選択だ。

 さて、サブ機はできるだけ高性能なものが望ましいのは勿論だ、
 そもそも複数のカメラを持ち出しているという状況は、業務撮影
 や、あるいは趣味撮影でも特に重要な撮影の場合であろうから、
「保険」の意味においてもサブ機が必要な訳だ。

 さて、そういう観点でサブ機となりうる、高性能かつ軽量な
 中高級機(主に一眼レフ)を探すのだが・・
 時代がうまく合うと、稀にハイエンド機に遜色の無い高性能の
 中高級機がメーカーのラインナップに存在している場合がある。
 これを「スーパーサブ機」と一部のマニア層等では呼ぶ場合が
 ある、本ブログでもそれに準ずる事とする。

 具体例を挙げれば 銀塩時代では
 NIKON F3に対するNIKON FE2
 NIKON F4に対するNIKON F-801
 MINOLTA α-9に対するMINOLTA α-SweetⅡ(or α-7)
 CANON EOS-1Vに対するCANON EOS 7(or EOS-3)
 などのケースがあった。
c0032138_19430586.jpg
 まあ、すでに20年から30年以上も前の話であり、これらの
 機体の事はピンと来ないかもしれないが、上記にあげたような
 銀塩「スーパーサブ機」は確かに凄く、ハイエンド機が性能的に
 負けてしまう「下克上」も良くあったし、実際に大きく重い
 旗艦機級よりも、はるかにハンドリング性能が優れていて
 実用的には非常に重宝していた状況であった。
(勿論、スーパーサブ機だけを複数持っていく事も十分ありだ)

 デジタル時代においては、あまりこうした例は見られず
 ハイエンド機に対する中高級機の組み合わせを挙げても、
 あまりスーパーサブ機とも言い難い場合も多く、(ここには
「仕様的差別化」もある)無理やりの定義にしかならないだろう。
 それに例えばフルサイズ機とAPS-C機という差も有り得るので、
 この関係をサブ機とはなかなか言い難い。

 さらには、ハイエンド機も中高級機も高価すぎる状況もあって
 両者を同時に保有する等は、アマチュア層では殆ど有りえない
 話に現代ではなっている

 まあでも、1つだけスーパーサブ機の例をあげておけば
 PENTAX K-1系に対するPENTAX KPとかがそれであろうか。
c0032138_19430598.jpg
 で、ハイエンド機はいつの時代においても高価である。
 それでも銀塩時代であれば、いくら高価なハイエンド機でも
 だいたい当時の貨幣価値で30万円程までであったのだが、
 デジタル時代、特に近年においては、「高付加価値化戦略」に
 より(貨幣価値の変化を加味したとしても)銀塩時代よりも、
 さらに高額となっている。

 結局、デジタル時代では、ハイエンド機がなかなか手が出し
 難い価格帯である為、中上級層においては(スーパー)サブ機
 を主力機とする選択肢は十分にありだろう。
 いや、むしろハイエンド機を1台新品購入する予算で、
 高性能な中高級機を(中古で)3~4台そろえた方が、ずっと
 コスパや実用性は良くなるのかも知れない(私はそうしてる)


 デジタル機はどうせ消耗品だ、いくら性能が良い機体でも
 いずれ「仕様老朽化寿命」(本シリーズ第8回記事)が来る。
 そういう意味でも、その時代のコスパの良い中高級機を
 主力機としつづける事も十分に有り得る訳だ。

★デジタルカメラ10年間寿命説
 独自概念。

 本シリーズ第8回記事の「仕様老朽化寿命」の説明では、
 主に(進化のペースが速かった)ミラーレス機において
「後継機に対して、どれだけ見劣りせずに長く使う事が
 出来るか?」という要素があり、ミラーレス機の性能評価
 でも、その項目を独自に判定している事について解説した。

 その記事では、デジタル一眼レフでは、進化のピークが
 実用的性能に、もう達している為、「仕様老朽化寿命」を
 あまり意識する必要は無い、とも書いた。

 すなわち現代の高性能デジタル一眼レフは「超絶性能」
(本シリーズ第1回記事)を与えられ、実用的には不要なまでの
 性能となっているからだ。
 だから、あまり仕様(性能)がすぐ古くなる、という心配は
 少ないのだが、それでも限界というものがある。

 私はデジタル一眼レフの初期のものから、およそ20年間程度 
 の各社の各時代のものを20台以上所有して使ってきているが、
 それらを使っている経験則からすれば、デジタル一眼レフの
 寿命は、およそ発売後10年である。
 
 勿論、壊れて使えなくなる、という意味では無い。
 発売後10年を超える機種は、最新の機種に比べて性能や仕様が
 大きく見劣りして、使いたく無くなって来てしまうのだ。
 これもまさしく「仕様老朽化寿命」と言えるだろう。
c0032138_19430454.jpg
 と言う事で、私の場合は、発売後10年を経過したデジタル
 一眼レフは、いくらちゃんと動作していたとしても、
 できるだけ新機種にリプレイスしている。

 リプレイス(置き換え)と言っても、実質的には「買い増し」
 である。何故ならば、発売後10年程の機種は発売時の定価の
 およそ1/5から1/10にまで中古相場が下がってしまう、
 仮に下取りに出したとしても、本当に二束三文だ。

 であれば、古い機種は処分せず、雨天などの厳しい環境でも
 気兼ねなく使える「消耗機」にしてしまい、壊れるまで
 使い続けるのが賢明な訳だ。(注:当然、メーカー修理対応
 期間も終了している事であろう、「使い潰す」という事だ)
 また、同時代のレンズを装着しないと正しく動作しない場合
 もあって、その意味でも古い機種は簡単には手放させない。
 
 さて、でもこの「10年間寿命説」は、概ね2000年代~
 2010年代の話である。2010年代後半あたりからの機種は
 デジタル一眼レフとしての進化もピークに達し、加えて
「超絶性能」も与えられていて、結果的に高価である。
(注:高価な値付けにする為に、付加価値を高めているから
 そうなる、そしてその「超絶性能」も実用範囲外だ)

 なのでまあ、もしかすろと、近年のデジタル一眼レフで
 あれば、「10年間寿命説」も、もうすこし伸びるのでは
 なかろうか?とも予想している。

 ただ、この予想には1つ重要なファクター(要素)がある、
 それは、本シリーズ第19回での「カメラ形態20年寿命説」
 であり、つまり、そろそろデジタル一眼レフも、何らかの
 大きな変革があって、次の時代のカメラ形態に変貌して
 しまうのではなかろうか? という危惧がある。
(現に、フルサイズ・ミラーレス機が台頭してきている)

 別に進化は良い事なので否定しようも無いのだが、過去の
 カメラの歴史を振り返ると、この「形態の変革」が起こると
 旧型式のカメラは急速に時代遅れとなってしまうし、
 実質的に使用不能になってしまう場合すらある。

 具体例は、1990年代末に大ブームともなり、あれだけ人気の
 あった銀塩中古カメラは、2000年代にデジタル時代になった
 直後に、どんな高級機でも、およそ二束三文の相場となった。
「もう今更誰もフィルムで写真を撮らんよ」という状態だったのだ。
 あるいは、その時代の銀塩APS(IX240)機も同様、これは急速に
 廃れ、2000年代末にはフィルムの入手も現像も不能となる。
c0032138_19430526.jpg
 将来、デジタル機に変わるカメラがどんな物かは、今の段階
 ではわからない。
 フルサイズ・ミラーレス機の可能性は高いが、それはあまり
 今までのカメラの概念と大きく変わるものでもない。
 例えば、ほぼ無限に動画を撮りつづけて、静止画はその中
 から好きなコマを選ぶとか。あるいはネットで繋がれた
 世界中の様々なカメラを、自在に遠隔操作で撮るとか・・

 だが、もしそういう大変革が起こったら、もう馬鹿馬鹿しくて
 現代の高性能デジタル一眼レフですら、使いたくなくなって
 しまう事であろう。

 そういう時代が来て欲しく無い気もするし、いや、やはり
 カメラの進歩はユーザーにとって歓迎するべきものだから、
 早くそうなって欲しい気もするし・・なんとも複雑な心境だ。

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さて、今回の記事はこのあたりまでで、次回もまた「補足編」
となるが、内容は未定とする。


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