2019年7月28日(日)、滋賀県高島市にて行われた、
正式名「第28回びわ湖高島ペーロン大会」の模様より。
(以下、「高島ペーロン」)
![c0032138_07130995.jpg]()
すでに本ブログでは、お馴染みの大会であろう。
観戦記事の執筆も6年目(6回目)となる。
大会のレギュレーション(ルール)や特徴等は、
追々説明していく事とする。
さて、本大会の前日には台風6号が近畿地方を通過、
この為、前日に予定されていた事前練習会が中止と
なってしまった。
その事が大会本番にどう影響するか? と言えば、
実は、これが大アリなのだ。
ご存知の通り、高島ペーロンは「日本一デンジャラス」
な大会である。
蛇行、スピン、衝突、転覆、沈没、落水・・ 等、
ありとあらゆるアクシデントが日常茶飯事的に発生する
危険な大会であり、そのアクシデント率は、ドラゴン
ボートの場合の約100倍以上! という計算結果だ。
(この計算は、私が6000レース以上を観戦して来た
中での、記憶しているアクシデントの数の比率による)
最大の理由は、操船がとても難しい独自艇である事で
まあ、殆どのチームがフラフラの操船状態でレースを
行っている状態だ。
でもまあ、ビギナーチームならばともかく、百戦錬磨
の強豪ドラゴン専業チームや、毎年参戦している
地元常連のベテランチームも多数居る大会なので、
そういう慣れたチームであれば、多少はアクシデント率は
下がるのだが、とは言え、毎年、専業チームのいずれかで
あっても、何らかのアクシデントを起こしたり、あるいは
他に巻き込まれている状況だ。
![c0032138_07125117.jpg]()
事前練習があればだいぶマシなのだが、今日の大会は
ぶっつけ本番。これだと、いかにベテラン専業チーム
であっても、あるいは地元常連チームであっても、
およそ1年ぶりに漕ぐ、難しい高島ペーロン艇を
上手く操れる保証は無い。
加えて、昨夜の台風の余波なのか?風はさほど無いのに、
今日の琵琶湖は波が高い(巨大湖ゆえの、湖水の”ゆらぎ”
による”うねり”か?)
さあ、どこのチームが、この難しい条件をクリアし、
栄冠に輝くのであろうか? 観戦側としては、非常に
楽しみな状況である。
----
ここで余談だが、冒頭の本大会のポスターの写真は、
私が撮影した昨年の本大会の決勝戦の模様であるが、
このレースでは落水者が出るアクシデントがあり、
その救助の為(注:落水したクルーを放置した場合、
勿論失格となる)予想された順位が大きく変動した
レースだった。
ところが、ポスターの写真を良く見ると、その選手が
落水しかけた、まさにその瞬間が写っているらしい。
(私は気づかなかった)
で、落水した選手の方から、
「このタイミングの写真を、わざわざ選んだの?」
という質問があったのだが・・
「いえいえ、この決勝戦の写真は運営側に数枚送っていて
選んだのは私では無いですよ、気づいていなかったし。
運営側も多分、それには気づいていなかったと思いますよ。
へえ~、これが落ちる瞬間なのか、このコンマ何秒か
前の写真だったら落ちていないし、数秒後の写真では
波間にプカプカと浮いている状態でしたね(笑)」
「浮いている写真は、さすがにポスターには、ならん
だろう(笑)」
・・というやりとりがあった。
ちなみにコンマ何秒か前の写真とは以下である。
![c0032138_07125112.jpg]()
さて、今年の大会の模様の話に進もう。
大会当日は天候は曇り一時晴れ、最高気温は30℃
程度であった。午前中の予選の段階では、曇りで
気温も26~27℃くらいで過ごし易い。
本大会は35℃以上の猛暑日となる事も良くあるので、
この位の気温だと、選手達にとっても、観戦側としても
ずいぶんと楽だ。
おまけに、本会場で晴天の際の観戦撮影で課題となる、
酷い「逆光」条件も、曇り空により若干緩和される。
![c0032138_07132464.jpg]()
まあつまり「絶好のドラゴン(ペーロン)日和」
ではあるのだが、今日はちょっと私の方に問題が・・
それは、本大会の前日の夕方、歯科(口腔外科)で
麻酔施術を受け、3針縫ったばかりなのだ(汗)
口内炎を悪化させた良性ポリープの切除なので、数分間
の、たいした施術ではなかったし、麻酔も数時間で切れた
のだが、それでもまあ「病み上がり」という状況なので、
抗生物質のせいか?なんだか体がだるいし、痛みもあるし、
食事をするのも少々辛い。
大会当日が、もし例年どおりの猛暑日とかだったら、
珍しく観戦撮影を欠勤していたかも知れない状況だった。
まあでも、昨年2018年にも、イベントの前日に虫歯を
抜歯して、今回同様にヘロヘロで撮影していたので、
それと同じかぁ・・ 無理をするべきでは無いのだが、
土曜日に歯科に行くケースが多く、歯科の方では
翌日が日曜なので「患者も休みだ」と思っているから、
麻酔施術などの比較的ハードな治療をやってしまう訳
である。でも、各種イベント等は日曜日に行われる事が
殆どであるから、こういう厳しい状況に至ってしまう。
今度から、歯医者は平日に行く事にしよう・・(笑)
さて、という事で、本大会の撮影では、ターン地点から
ゴール地点まで走ってレースの模様を追っかけながら
撮影する等の無理はやめておこう。
![c0032138_07134110.jpg]()
ちなみに、びわにゃん(琵琶ドラ)の、女子の監督選手
(上写真)(注:監督はアクシデント時の人数安否確認の
為、”陸上待機する”というルールとなっている)は、
今回、スタート地点で撮影したら、走って艇を追い越し、
ターン地点で撮影し、また走って戻って、ゴール地点で
撮影する、というハードな事をやっていたらしい。
「ボートに追いつけるのか?」という話であるが・・
本大会のレギュレーションは、600mのターン戦、
300mで折り返しである。
強豪チームでは平均3分40秒程度でゴールする為、
片道の300mを約110秒で漕ぐ事となる。
人間が走って艇に追いつこうとする場合、上写真のような
砂浜では、少々これは難しい、砂浜には「選手村」もあって、
人も多いからだ。
・・なので、スタートしたら写真を数枚撮って舗装路に
向かって階段をかけあがる、ここまで約25秒。
そこから道路を250m程一気に走る、ここは50秒程度か?
さらに階段を駆け下りて、ターン地点まで約25秒、
これで丁度100秒。おお、10秒だけ余裕がある(笑)
ここでターンの写真を2~3枚撮って、また階段を
駆け上がり・・ と、復路もこの繰り返しだ(汗)
![c0032138_07134107.jpg]()
・・う~ん、絶対に無理という訳では無いが、相当に
しんどいと思われる。
私は、過去、片道だけならば、何度かこれをやった事が
あるが、重たいカメラ機材を2~3台ぶらさげた状態では
速く走れず、ちょっとだけゴールに間に合わない。
ちなみに、「ドラゴンボート」ではもっと高速なので、
走って追いつくのは、まず無理。しかし、びわこ堅田の
「湖族船競争」の専用バスタブ艇ならば低速なので、
なんとか走って追いつき、追い越す事が出来る。
いずれにしても、今日は病み上がりで、そんな元気は
無い、無理はしないでおこう。
![c0032138_07134154.jpg]()
さて、本大会の参戦チーム数は40となっている、
まあ、ほぼ例年どおりか、やや少ない位だ。
4艘建てで、予選→敗者復活→準決勝→決勝の
レースフローである。
予選は10レースあり、予選で1位のチームは自動的に
準決勝に進出できる。
2以下のチームは敗者復活戦を行い、タイム上位の
6チームも準決勝に進出、合計16チームによる準決勝は
4艇x4戦となる。
以降、準決勝1位は自動的に決勝に進出。
だが、決勝レースのみ5艘建てであるので、準決勝
タイム上位の1チームが追加で決勝に進める。
という事なのだが・・ 予選の10レースはいずれも
大波乱。スピンや蛇行で、タイムを大幅に落としたり、
規定で定められる「6分間」でゴールできなく、失格
となるチームが続出している。
![c0032138_07134111.jpg]()
その(アクシデント)チーム数は、なんと18!
つまり、全体の約半数がゴールできないか、または
5分台で、タイムリミットぎりぎりで、かろうじて
戻ってきた、という感じである。
(上写真は、ターン時に砂浜に乗り上げてしまって
レース復帰困難となってしまったチームの様子)
まあ、本大会の独自ペーロン艇の操船が難しい事は、
それはその通りなのだが、毎年出場しているような
ベテランの地元チームが大半であるし、これはいかにも
不思議な状態だ。いったいどうしたのだろう?
少し前述したが、今日は風が殆ど無いのにもかかわらず
波が不規則に発生している、やはり昨日の台風の影響か?
![c0032138_07135207.jpg]()
上写真は、地元の超ベテラン「松陽台 伝説」の予選
での転覆沈没の模様。沈没迄に至ったのは本大会では、
この1件だけであった。
「松陽台(伝説)」は、恐らく本大会皆勤賞であり、
過去優勝入賞回数多数、すなわち、地元の強豪だし、
最もこの会場や大会の事を知り尽くしているチームだ。
なのに何故沈没・・? (しかも単独事故だ)
後で舵手の方(本大会の実行委員長)に話を聞くと・・
舵「ターンでの速度アップの為に、舵を使わずに
パドルだけで曲がろうとしたのですよ。」
(注:4つ上の、ターン中の写真がそれだ)
匠「ふむふむ・・ なかなかの高等戦術ですね!」
舵「そうしたら、ブイに接触したのか? 艇が左右に
揺れましてね。大きく揺れたままでターンを終えた
頃には、もう、だいぶ浸水していた。
そこからターンの立ち上がりで、体勢を立て直す為に
舵を入れたら、何のはずみなのか? いきなり転覆
しましたよ・・・」
匠「ううむ・・ 原因不明ですねえ・・」
不思議な状況だ、やはりこのあたりに複雑な水流か、
波が渦巻いていたのだろうか?? 後で紹介するが、
他にも強豪チームが1つ、準決勝で、この地点でスピン
して、決勝進出を逃す事となる。
大会後、これは「今津(地名)の魔物」と呼ばれる
事となった。
まあでも、さすがの超ベテラン「松陽台 伝説」だ。
この予選のアクシデントを乗り越え、敗者復活から
勝ち上がり、見事、決勝に進出している。
(決勝戦の模様は、次回後編で紹介する)
・・さて、波乱含みの予選であるが、ここからは
昼食を挟みながらの敗者復活戦である。
![c0032138_07135348.jpg]()
敗者復活戦はレースフローの関係で、今年は上位6チーム
が残れる(昨年は、準決勝戦数が少なく、上位2チーム
のみであった)ので、実力のあるチームは確実に準決勝に
進める事であろう。
ここはあまり波乱が無いと見て、私もお弁当を食べながら
ひと休みしよう。(前述のように「病み上がり」だ)
![c0032138_07135358.jpg]()
昼休み、選手達やその家族は、思い思いに湖水浴等をして
過ごす。琵琶湖もこの地点(高島市)まで北上すれば
かなり水が綺麗である。
良い感じのリゾート地という様相であり、まあ地元以外の
選手達等では(私もだが)この会場に「夏休みの小旅行」
のような雰囲気で来場する気分もあるのだ。
ただし、ここ近年の猛暑の理由もあるのか?、琵琶湖では
水難事故が頻発していると聞く。監視員等も居ないので
そのあたりの安全には個々に十分に配慮する必要がある。
![c0032138_07135270.jpg]()
選手達の中で今年の流行(?)は、上写真のSUPである。
SUP(スタンド・アップ・パドルボード)とは、上写真
を見て貰えば、もう説明の必要は無いであろう。
これは競技用では無く、主にレジャー用途のボード
である。のんびりとした水上散歩が楽しいとの事。
都会等でも出来る場所は多いが、もし落水した場合、
水が汚いのは少々辛い。ここ高島市は水が綺麗なので、
ビギナーが落水した場合でも全然問題が無い訳だ。
(注:足につけたケーブルにより、万が一落水したと
しても、ボードが身体から遠く離れず、これをフロート
代わりにする事ができる)
今日は、各チームより、3つのSUPが持ち運ばれてきて
いて、思い思いに水上散歩を楽しんでいた。
見るからに気持ち良さそうだし、さほど高価なアイテム
では無い(4万円前後)なので、来年くらいには、
この大会では大流行して、10くらいの数になるかも
知れない(?)
![c0032138_07140960.jpg]()
敗者復活戦は8レース、ここでもアクシデント率が
高く、11艇、およそ1/3がタイムアウトぎりぎりの
ゴールか、または時間切れで失格となっている。
結局、準決勝に進めたのは以下の16チームだ。
(以下、レース順、レーン順。
「*」マークはドラゴン専業チーム
「△」マークは地元常連強豪チーム)
準決勝第1組
1レーン:今津病院
2レーン:池の里 Lakers! *
3レーン:小寺製作所 *
4レーン:メタルスタイリスト福田 *
準決勝第2組
1レーン:GPO *
2レーン:高島市議会
3レーン:北深会 △
4レーン:中野ガンバルズ △
準決勝第3組
1レーン:美浜町役場ペーロン部
2レーン:VICTORY南浜 △
3レーン:松陽台 守のシルバニアファミリー *
4レーン:龍人 *
準決勝第4組
1レーン:からしれんこん *
2レーン:岸脇パワーズ △
3レーン:松陽台 伝説 (*)
4レーン:びわにゃん *
準決勝の組み合わせは上記の通り。
しかし、これはなかなか厳しい戦いとなった。
各準決勝から決勝戦に進めるのは基本的には1位の
チームだけだが、2位の中で最もタイムの速かった
1チームも決勝に進める。
すると、第1組、第3組、第4組は、それぞれドラゴン
専業チーム(*印)が、2つ以上づつ居る為、どれか
1位となったチームのみが、まず決勝に進める事となる。
まあ、2位以下でも最速の1チームのみ残れるが、
その追加枠は考えない方が良いであろう、何故ならば、
どの組の2番手であっても、1位チームと同等の速さで
あろうからだ・・ 狙って最速追加枠に入れるような
状況では無い、そんな神頼みのような事はせず、つまり、
なんとしても各レースで1位にならない限りは決勝進出が
保証されないのだ。
![c0032138_07140967.jpg]()
さあ、準決勝第1組のレース開始だ。
ここには、ドラゴン専業チームが3組も居る。
内、「池の里Lakers!」と「小寺製作所」は、本大会の
優勝経験チーム、つまり強豪である。
「メタルスタイリスト福田」は、ドラゴン界では珍しい、
「企業の専業チーム」である。
出自は京都・山科なので、本大会では市外チームとなる。
ホーム大会は京都・宇治大会。数年前から企業内で
ドラゴンチームとして承認され、大会によっては
(結構、大きな企業だが)社長さんも応援に来る。
今年は、団旗(上写真)を作ったそうだ。
本大会には今年で3年目の参戦。レースはいつも、やや
スローペースだが、アクシデントに見舞われた事は無く、
そこはさすがに専業チームである。
本大会でも、予選と敗者復活戦は順調であったのだが、
実は舵手を(専業チームの)GPOからベテランクルーを
派遣して貰っている。
よって本準決勝では、第2組に「GPO」が出艇する為、
派遣舵が使えない、さて、上手く進めるか?
「今津病院」だが、予選で専業チームの「びわにゃん」
(注:「琵琶湖ドラゴンボートクラブ」の非公式参戦名)
を破って準決勝に進出している。
だが、「びわにゃん」には意図的のようなスローペース
が見られた為、選手達の間では、「池の里、小寺と
準決勝で当たるのを避けた」という噂が流れていた。
私もそう思った。”試合巧者”としてドラゴン界では
1,2を争う「琵琶ドラ」である、それくらいのレース
戦略は平然と実行してくる筈だ。
私は、昼休みに「びわにゃん」のテントを訪れてみた。
(5つ上の写真)
匠「予選レースですけど、強豪と当たらない為に
意図的にペースを落として2位になりました?」
琵「いや、そんな事は無いですよ。
まあ、本大会は久しぶりだし、昨日も練習できて
いないので、2位に甘んじても、1レースでも余分に
練習したかったのですよ。」
匠「なるほど、その手もありますね、良くわかりました」
やはり、各チーム、前日練習会の中止が、戦略に影響を
及ぼしている模様だ。
さて、その「池の里」vs「小寺」だが、同郷の滋賀県
大津市出身、どちらも10年以上のベテラン強豪。
そして、通称「琵琶湖の三国志」の一角である。
恐らく過去に数十戦、いや、百戦近くは対戦している
事であろう、良いライバルであり、盟友でもあるが、
もうお互いの手の内は知り尽くしている、そして
この状況であれば、なんとしても相手を倒して、
決勝に上がりたい。
・・だが、普通に考えれば、仮に接戦になり、そのまま
もつれるようにゴールすれば、2位でも「最速枠」で
決勝に出れる可能性は高いのだ。結局、普通に漕げば
何も問題は無さそうだ、ここで変なライバル意識が
出なければ良いが・・(昨年の本大会の準決勝でも、
それをやっていて「世紀の大決戦」となったのだが、
決勝戦では、やや燃え尽きた様相になっていた)
で、「池の里」は直線が速く、「小寺」はターンが上手い、
普通に漕げば、とちらも同等のタイムなのだ。
さあ、レースの模様だが。開始早々「メタルスタイリスト
福田」がスピン、自前の舵をいきなり投入したので、
やはりちょっと厳しかったか?
また、「今津病院」もスローペースだ、往路から既に
「池の里」と「小寺」の一騎打ち状態。
そのまま無難にこなせば、両者決勝に進めるとは
思うのだが、「1位にならないといけない」という
意識が強いのだろうか? 両者かなりのハイペースで
ガチンコ勝負モードだ。
でも、案の定、直線の速い「池の里」が中盤まで1艇身
以上のリード、そして、そのままターンに入る。
![c0032138_07140908.jpg]()
「池の里」がいち早くターンインするが、少しオーバラン
気味である。まあ、カー(自動車)レースで言う所の
「アンダーステア」状態であり、速さによる遠心力に
負けて、ラインが奥に膨らんでしまっている状況だ。
だが、「アンダーステア」は、アクセル、つまり漕ぎで
コントロールも可能であるから、ここから少し速度を
緩めて曲がればよい、少しだけタイムロスはするが、
まだ若干リードはある、何も問題無いはずだ・・
![c0032138_07140992.jpg]()
だがここで、遅れてターンに入った「小寺製作所」が
いつものように非常に上手なターンを行う、これで一気に
「池の里」に追いつき、あるいは逆転した感じだ。
なお、「小寺」は、普段は「ピンクのユニフォーム」
がトレードマークなのだが、今年はある事情で、赤色
のユニフォームとしている。(その理由は後編記事で
紹介しよう)
「小寺」のスーパーターンを見た「池の里」は焦った。
後日、「池の里」の選手に聞くと、「ターン出口で
小寺に半艇身はリードされたように見えた」との事だ。
「池の里」は、オーバーランのアンダーステア状態
から強く舵を当てて曲がろうとする、しかし、速度が
出ているので舵の効きは悪い、ターン出口あたりで
速度が落ちた頃、ようやく遅れて舵が効き出す。
で、選手達は「小寺に逆転された」と焦っているから、
舵に無関係で、全力で立ち上がりの漕ぎを開始する。
そこに舵が効き出し、かつ、恐らくだが、この地点は
前述の「今津の魔物」が棲んでいる、水流の不安定な
場所だ。
![c0032138_07141828.jpg]()
「池の里」の艇は、いわゆる「ケツが出る」状態の
「オーバーステア」となり、急激に左向き、つまり
カーブのラインを超えて余分に廻りすぎてしまった。
こうなると、もうコントールできない、速度を緩めて
停止しないかぎり、完全にスピンしてしまう。
「池の里」は、残念ながらこれで終わりだ、ここから
体勢を建て直し、レースに復帰して2位となったとしても、
タイムロスが大きすぎる。これでは、他の準決勝の
強豪チームの速い2位タイムには絶対に及ばない。
本大会優勝2回で、3位以下の戦績がこれまで無いという、
本大会と相性の良い「池の里」だが、過去の大会でも予選等で
アクシデントやミスが無かったわけでは無い、でも予選の
ミスならば敗者復活戦で取り返せるが、準決勝以降は
1発勝負なので些細なミスも許されないのだ・・
「小寺製作所」は、悠々の独走1位で決勝進出。
ラストスパート無し、で体力を温存した模様だが、
それでもタイムは3分36秒と、かなり速い。
今日のレーンコンディションであれば、3分30秒前後が
優勝タイムとなるだろうから、ほぼそれに相当する
好タイムだ。「小寺」に、まだ1段上の「ギヤ」が残って
いるならば、優勝争いの一角に食い込んでくるであろう。
---
次の準決勝第2組は、専業チーム「GPO」は2位に終わり
地元ベテランの「中野ガンバルズ」が、決勝進出。
下位カテゴリーの「フレンドシップの部」があった
4年前ぶりでの決勝進出である。(注:現在では、
本大会は単一カテゴリー制となっているが、そうなった
理由が良く分からない。現代のドラゴン界の風潮では
「実力別カテゴリー制」としつつあるのが世情である
ので、単一カテゴリー化はどうなのだろうか・・?)
-----
・・さて、さらに準決勝戦は続くのだが、長くなって
きたので、本記事はこのあたりまでとし、残りの
レースの模様は、続く後編記事に譲るとしよう。
正式名「第28回びわ湖高島ペーロン大会」の模様より。
(以下、「高島ペーロン」)

観戦記事の執筆も6年目(6回目)となる。
大会のレギュレーション(ルール)や特徴等は、
追々説明していく事とする。
さて、本大会の前日には台風6号が近畿地方を通過、
この為、前日に予定されていた事前練習会が中止と
なってしまった。
その事が大会本番にどう影響するか? と言えば、
実は、これが大アリなのだ。
ご存知の通り、高島ペーロンは「日本一デンジャラス」
な大会である。
蛇行、スピン、衝突、転覆、沈没、落水・・ 等、
ありとあらゆるアクシデントが日常茶飯事的に発生する
危険な大会であり、そのアクシデント率は、ドラゴン
ボートの場合の約100倍以上! という計算結果だ。
(この計算は、私が6000レース以上を観戦して来た
中での、記憶しているアクシデントの数の比率による)
最大の理由は、操船がとても難しい独自艇である事で
まあ、殆どのチームがフラフラの操船状態でレースを
行っている状態だ。
でもまあ、ビギナーチームならばともかく、百戦錬磨
の強豪ドラゴン専業チームや、毎年参戦している
地元常連のベテランチームも多数居る大会なので、
そういう慣れたチームであれば、多少はアクシデント率は
下がるのだが、とは言え、毎年、専業チームのいずれかで
あっても、何らかのアクシデントを起こしたり、あるいは
他に巻き込まれている状況だ。

ぶっつけ本番。これだと、いかにベテラン専業チーム
であっても、あるいは地元常連チームであっても、
およそ1年ぶりに漕ぐ、難しい高島ペーロン艇を
上手く操れる保証は無い。
加えて、昨夜の台風の余波なのか?風はさほど無いのに、
今日の琵琶湖は波が高い(巨大湖ゆえの、湖水の”ゆらぎ”
による”うねり”か?)
さあ、どこのチームが、この難しい条件をクリアし、
栄冠に輝くのであろうか? 観戦側としては、非常に
楽しみな状況である。
----
ここで余談だが、冒頭の本大会のポスターの写真は、
私が撮影した昨年の本大会の決勝戦の模様であるが、
このレースでは落水者が出るアクシデントがあり、
その救助の為(注:落水したクルーを放置した場合、
勿論失格となる)予想された順位が大きく変動した
レースだった。
ところが、ポスターの写真を良く見ると、その選手が
落水しかけた、まさにその瞬間が写っているらしい。
(私は気づかなかった)
で、落水した選手の方から、
「このタイミングの写真を、わざわざ選んだの?」
という質問があったのだが・・
「いえいえ、この決勝戦の写真は運営側に数枚送っていて
選んだのは私では無いですよ、気づいていなかったし。
運営側も多分、それには気づいていなかったと思いますよ。
へえ~、これが落ちる瞬間なのか、このコンマ何秒か
前の写真だったら落ちていないし、数秒後の写真では
波間にプカプカと浮いている状態でしたね(笑)」
「浮いている写真は、さすがにポスターには、ならん
だろう(笑)」
・・というやりとりがあった。
ちなみにコンマ何秒か前の写真とは以下である。

大会当日は天候は曇り一時晴れ、最高気温は30℃
程度であった。午前中の予選の段階では、曇りで
気温も26~27℃くらいで過ごし易い。
本大会は35℃以上の猛暑日となる事も良くあるので、
この位の気温だと、選手達にとっても、観戦側としても
ずいぶんと楽だ。
おまけに、本会場で晴天の際の観戦撮影で課題となる、
酷い「逆光」条件も、曇り空により若干緩和される。

ではあるのだが、今日はちょっと私の方に問題が・・
それは、本大会の前日の夕方、歯科(口腔外科)で
麻酔施術を受け、3針縫ったばかりなのだ(汗)
口内炎を悪化させた良性ポリープの切除なので、数分間
の、たいした施術ではなかったし、麻酔も数時間で切れた
のだが、それでもまあ「病み上がり」という状況なので、
抗生物質のせいか?なんだか体がだるいし、痛みもあるし、
食事をするのも少々辛い。
大会当日が、もし例年どおりの猛暑日とかだったら、
珍しく観戦撮影を欠勤していたかも知れない状況だった。
まあでも、昨年2018年にも、イベントの前日に虫歯を
抜歯して、今回同様にヘロヘロで撮影していたので、
それと同じかぁ・・ 無理をするべきでは無いのだが、
土曜日に歯科に行くケースが多く、歯科の方では
翌日が日曜なので「患者も休みだ」と思っているから、
麻酔施術などの比較的ハードな治療をやってしまう訳
である。でも、各種イベント等は日曜日に行われる事が
殆どであるから、こういう厳しい状況に至ってしまう。
今度から、歯医者は平日に行く事にしよう・・(笑)
さて、という事で、本大会の撮影では、ターン地点から
ゴール地点まで走ってレースの模様を追っかけながら
撮影する等の無理はやめておこう。

(上写真)(注:監督はアクシデント時の人数安否確認の
為、”陸上待機する”というルールとなっている)は、
今回、スタート地点で撮影したら、走って艇を追い越し、
ターン地点で撮影し、また走って戻って、ゴール地点で
撮影する、というハードな事をやっていたらしい。
「ボートに追いつけるのか?」という話であるが・・
本大会のレギュレーションは、600mのターン戦、
300mで折り返しである。
強豪チームでは平均3分40秒程度でゴールする為、
片道の300mを約110秒で漕ぐ事となる。
人間が走って艇に追いつこうとする場合、上写真のような
砂浜では、少々これは難しい、砂浜には「選手村」もあって、
人も多いからだ。
・・なので、スタートしたら写真を数枚撮って舗装路に
向かって階段をかけあがる、ここまで約25秒。
そこから道路を250m程一気に走る、ここは50秒程度か?
さらに階段を駆け下りて、ターン地点まで約25秒、
これで丁度100秒。おお、10秒だけ余裕がある(笑)
ここでターンの写真を2~3枚撮って、また階段を
駆け上がり・・ と、復路もこの繰り返しだ(汗)

しんどいと思われる。
私は、過去、片道だけならば、何度かこれをやった事が
あるが、重たいカメラ機材を2~3台ぶらさげた状態では
速く走れず、ちょっとだけゴールに間に合わない。
ちなみに、「ドラゴンボート」ではもっと高速なので、
走って追いつくのは、まず無理。しかし、びわこ堅田の
「湖族船競争」の専用バスタブ艇ならば低速なので、
なんとか走って追いつき、追い越す事が出来る。
いずれにしても、今日は病み上がりで、そんな元気は
無い、無理はしないでおこう。

まあ、ほぼ例年どおりか、やや少ない位だ。
4艘建てで、予選→敗者復活→準決勝→決勝の
レースフローである。
予選は10レースあり、予選で1位のチームは自動的に
準決勝に進出できる。
2以下のチームは敗者復活戦を行い、タイム上位の
6チームも準決勝に進出、合計16チームによる準決勝は
4艇x4戦となる。
以降、準決勝1位は自動的に決勝に進出。
だが、決勝レースのみ5艘建てであるので、準決勝
タイム上位の1チームが追加で決勝に進める。
という事なのだが・・ 予選の10レースはいずれも
大波乱。スピンや蛇行で、タイムを大幅に落としたり、
規定で定められる「6分間」でゴールできなく、失格
となるチームが続出している。

つまり、全体の約半数がゴールできないか、または
5分台で、タイムリミットぎりぎりで、かろうじて
戻ってきた、という感じである。
(上写真は、ターン時に砂浜に乗り上げてしまって
レース復帰困難となってしまったチームの様子)
まあ、本大会の独自ペーロン艇の操船が難しい事は、
それはその通りなのだが、毎年出場しているような
ベテランの地元チームが大半であるし、これはいかにも
不思議な状態だ。いったいどうしたのだろう?
少し前述したが、今日は風が殆ど無いのにもかかわらず
波が不規則に発生している、やはり昨日の台風の影響か?

での転覆沈没の模様。沈没迄に至ったのは本大会では、
この1件だけであった。
「松陽台(伝説)」は、恐らく本大会皆勤賞であり、
過去優勝入賞回数多数、すなわち、地元の強豪だし、
最もこの会場や大会の事を知り尽くしているチームだ。
なのに何故沈没・・? (しかも単独事故だ)
後で舵手の方(本大会の実行委員長)に話を聞くと・・
舵「ターンでの速度アップの為に、舵を使わずに
パドルだけで曲がろうとしたのですよ。」
(注:4つ上の、ターン中の写真がそれだ)
匠「ふむふむ・・ なかなかの高等戦術ですね!」
舵「そうしたら、ブイに接触したのか? 艇が左右に
揺れましてね。大きく揺れたままでターンを終えた
頃には、もう、だいぶ浸水していた。
そこからターンの立ち上がりで、体勢を立て直す為に
舵を入れたら、何のはずみなのか? いきなり転覆
しましたよ・・・」
匠「ううむ・・ 原因不明ですねえ・・」
不思議な状況だ、やはりこのあたりに複雑な水流か、
波が渦巻いていたのだろうか?? 後で紹介するが、
他にも強豪チームが1つ、準決勝で、この地点でスピン
して、決勝進出を逃す事となる。
大会後、これは「今津(地名)の魔物」と呼ばれる
事となった。
まあでも、さすがの超ベテラン「松陽台 伝説」だ。
この予選のアクシデントを乗り越え、敗者復活から
勝ち上がり、見事、決勝に進出している。
(決勝戦の模様は、次回後編で紹介する)
・・さて、波乱含みの予選であるが、ここからは
昼食を挟みながらの敗者復活戦である。

が残れる(昨年は、準決勝戦数が少なく、上位2チーム
のみであった)ので、実力のあるチームは確実に準決勝に
進める事であろう。
ここはあまり波乱が無いと見て、私もお弁当を食べながら
ひと休みしよう。(前述のように「病み上がり」だ)

過ごす。琵琶湖もこの地点(高島市)まで北上すれば
かなり水が綺麗である。
良い感じのリゾート地という様相であり、まあ地元以外の
選手達等では(私もだが)この会場に「夏休みの小旅行」
のような雰囲気で来場する気分もあるのだ。
ただし、ここ近年の猛暑の理由もあるのか?、琵琶湖では
水難事故が頻発していると聞く。監視員等も居ないので
そのあたりの安全には個々に十分に配慮する必要がある。

SUP(スタンド・アップ・パドルボード)とは、上写真
を見て貰えば、もう説明の必要は無いであろう。
これは競技用では無く、主にレジャー用途のボード
である。のんびりとした水上散歩が楽しいとの事。
都会等でも出来る場所は多いが、もし落水した場合、
水が汚いのは少々辛い。ここ高島市は水が綺麗なので、
ビギナーが落水した場合でも全然問題が無い訳だ。
(注:足につけたケーブルにより、万が一落水したと
しても、ボードが身体から遠く離れず、これをフロート
代わりにする事ができる)
今日は、各チームより、3つのSUPが持ち運ばれてきて
いて、思い思いに水上散歩を楽しんでいた。
見るからに気持ち良さそうだし、さほど高価なアイテム
では無い(4万円前後)なので、来年くらいには、
この大会では大流行して、10くらいの数になるかも
知れない(?)

高く、11艇、およそ1/3がタイムアウトぎりぎりの
ゴールか、または時間切れで失格となっている。
結局、準決勝に進めたのは以下の16チームだ。
(以下、レース順、レーン順。
「*」マークはドラゴン専業チーム
「△」マークは地元常連強豪チーム)
準決勝第1組
1レーン:今津病院
2レーン:池の里 Lakers! *
3レーン:小寺製作所 *
4レーン:メタルスタイリスト福田 *
準決勝第2組
1レーン:GPO *
2レーン:高島市議会
3レーン:北深会 △
4レーン:中野ガンバルズ △
準決勝第3組
1レーン:美浜町役場ペーロン部
2レーン:VICTORY南浜 △
3レーン:松陽台 守のシルバニアファミリー *
4レーン:龍人 *
準決勝第4組
1レーン:からしれんこん *
2レーン:岸脇パワーズ △
3レーン:松陽台 伝説 (*)
4レーン:びわにゃん *
準決勝の組み合わせは上記の通り。
しかし、これはなかなか厳しい戦いとなった。
各準決勝から決勝戦に進めるのは基本的には1位の
チームだけだが、2位の中で最もタイムの速かった
1チームも決勝に進める。
すると、第1組、第3組、第4組は、それぞれドラゴン
専業チーム(*印)が、2つ以上づつ居る為、どれか
1位となったチームのみが、まず決勝に進める事となる。
まあ、2位以下でも最速の1チームのみ残れるが、
その追加枠は考えない方が良いであろう、何故ならば、
どの組の2番手であっても、1位チームと同等の速さで
あろうからだ・・ 狙って最速追加枠に入れるような
状況では無い、そんな神頼みのような事はせず、つまり、
なんとしても各レースで1位にならない限りは決勝進出が
保証されないのだ。

ここには、ドラゴン専業チームが3組も居る。
内、「池の里Lakers!」と「小寺製作所」は、本大会の
優勝経験チーム、つまり強豪である。
「メタルスタイリスト福田」は、ドラゴン界では珍しい、
「企業の専業チーム」である。
出自は京都・山科なので、本大会では市外チームとなる。
ホーム大会は京都・宇治大会。数年前から企業内で
ドラゴンチームとして承認され、大会によっては
(結構、大きな企業だが)社長さんも応援に来る。
今年は、団旗(上写真)を作ったそうだ。
本大会には今年で3年目の参戦。レースはいつも、やや
スローペースだが、アクシデントに見舞われた事は無く、
そこはさすがに専業チームである。
本大会でも、予選と敗者復活戦は順調であったのだが、
実は舵手を(専業チームの)GPOからベテランクルーを
派遣して貰っている。
よって本準決勝では、第2組に「GPO」が出艇する為、
派遣舵が使えない、さて、上手く進めるか?
「今津病院」だが、予選で専業チームの「びわにゃん」
(注:「琵琶湖ドラゴンボートクラブ」の非公式参戦名)
を破って準決勝に進出している。
だが、「びわにゃん」には意図的のようなスローペース
が見られた為、選手達の間では、「池の里、小寺と
準決勝で当たるのを避けた」という噂が流れていた。
私もそう思った。”試合巧者”としてドラゴン界では
1,2を争う「琵琶ドラ」である、それくらいのレース
戦略は平然と実行してくる筈だ。
私は、昼休みに「びわにゃん」のテントを訪れてみた。
(5つ上の写真)
匠「予選レースですけど、強豪と当たらない為に
意図的にペースを落として2位になりました?」
琵「いや、そんな事は無いですよ。
まあ、本大会は久しぶりだし、昨日も練習できて
いないので、2位に甘んじても、1レースでも余分に
練習したかったのですよ。」
匠「なるほど、その手もありますね、良くわかりました」
やはり、各チーム、前日練習会の中止が、戦略に影響を
及ぼしている模様だ。
さて、その「池の里」vs「小寺」だが、同郷の滋賀県
大津市出身、どちらも10年以上のベテラン強豪。
そして、通称「琵琶湖の三国志」の一角である。
恐らく過去に数十戦、いや、百戦近くは対戦している
事であろう、良いライバルであり、盟友でもあるが、
もうお互いの手の内は知り尽くしている、そして
この状況であれば、なんとしても相手を倒して、
決勝に上がりたい。
・・だが、普通に考えれば、仮に接戦になり、そのまま
もつれるようにゴールすれば、2位でも「最速枠」で
決勝に出れる可能性は高いのだ。結局、普通に漕げば
何も問題は無さそうだ、ここで変なライバル意識が
出なければ良いが・・(昨年の本大会の準決勝でも、
それをやっていて「世紀の大決戦」となったのだが、
決勝戦では、やや燃え尽きた様相になっていた)
で、「池の里」は直線が速く、「小寺」はターンが上手い、
普通に漕げば、とちらも同等のタイムなのだ。
さあ、レースの模様だが。開始早々「メタルスタイリスト
福田」がスピン、自前の舵をいきなり投入したので、
やはりちょっと厳しかったか?
また、「今津病院」もスローペースだ、往路から既に
「池の里」と「小寺」の一騎打ち状態。
そのまま無難にこなせば、両者決勝に進めるとは
思うのだが、「1位にならないといけない」という
意識が強いのだろうか? 両者かなりのハイペースで
ガチンコ勝負モードだ。
でも、案の定、直線の速い「池の里」が中盤まで1艇身
以上のリード、そして、そのままターンに入る。

気味である。まあ、カー(自動車)レースで言う所の
「アンダーステア」状態であり、速さによる遠心力に
負けて、ラインが奥に膨らんでしまっている状況だ。
だが、「アンダーステア」は、アクセル、つまり漕ぎで
コントロールも可能であるから、ここから少し速度を
緩めて曲がればよい、少しだけタイムロスはするが、
まだ若干リードはある、何も問題無いはずだ・・

いつものように非常に上手なターンを行う、これで一気に
「池の里」に追いつき、あるいは逆転した感じだ。
なお、「小寺」は、普段は「ピンクのユニフォーム」
がトレードマークなのだが、今年はある事情で、赤色
のユニフォームとしている。(その理由は後編記事で
紹介しよう)
「小寺」のスーパーターンを見た「池の里」は焦った。
後日、「池の里」の選手に聞くと、「ターン出口で
小寺に半艇身はリードされたように見えた」との事だ。
「池の里」は、オーバーランのアンダーステア状態
から強く舵を当てて曲がろうとする、しかし、速度が
出ているので舵の効きは悪い、ターン出口あたりで
速度が落ちた頃、ようやく遅れて舵が効き出す。
で、選手達は「小寺に逆転された」と焦っているから、
舵に無関係で、全力で立ち上がりの漕ぎを開始する。
そこに舵が効き出し、かつ、恐らくだが、この地点は
前述の「今津の魔物」が棲んでいる、水流の不安定な
場所だ。

「オーバーステア」となり、急激に左向き、つまり
カーブのラインを超えて余分に廻りすぎてしまった。
こうなると、もうコントールできない、速度を緩めて
停止しないかぎり、完全にスピンしてしまう。
「池の里」は、残念ながらこれで終わりだ、ここから
体勢を建て直し、レースに復帰して2位となったとしても、
タイムロスが大きすぎる。これでは、他の準決勝の
強豪チームの速い2位タイムには絶対に及ばない。
本大会優勝2回で、3位以下の戦績がこれまで無いという、
本大会と相性の良い「池の里」だが、過去の大会でも予選等で
アクシデントやミスが無かったわけでは無い、でも予選の
ミスならば敗者復活戦で取り返せるが、準決勝以降は
1発勝負なので些細なミスも許されないのだ・・
「小寺製作所」は、悠々の独走1位で決勝進出。
ラストスパート無し、で体力を温存した模様だが、
それでもタイムは3分36秒と、かなり速い。
今日のレーンコンディションであれば、3分30秒前後が
優勝タイムとなるだろうから、ほぼそれに相当する
好タイムだ。「小寺」に、まだ1段上の「ギヤ」が残って
いるならば、優勝争いの一角に食い込んでくるであろう。
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次の準決勝第2組は、専業チーム「GPO」は2位に終わり
地元ベテランの「中野ガンバルズ」が、決勝進出。
下位カテゴリーの「フレンドシップの部」があった
4年前ぶりでの決勝進出である。(注:現在では、
本大会は単一カテゴリー制となっているが、そうなった
理由が良く分からない。現代のドラゴン界の風潮では
「実力別カテゴリー制」としつつあるのが世情である
ので、単一カテゴリー化はどうなのだろうか・・?)
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・・さて、さらに準決勝戦は続くのだが、長くなって
きたので、本記事はこのあたりまでとし、残りの
レースの模様は、続く後編記事に譲るとしよう。