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ハイ・コスパレンズBEST40 (8)20位~17位

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高いコストパフォーマンスと付随する性能を持った優秀な
写真用交換レンズを、コスパ面から評価し、そのBEST40を
ランキング形式で紹介するシリーズ記事。

今回もBEST40にランクインしたレンズを下位から順に紹介
して行こう。(ランキングの決め方は第1回記事を参照)

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第20位
評価得点 3.85 (内、コスパ点 4.0)
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レンズ名:TAMRON SP 70-300mm/f4-5.6 Di USD (A005)
レンズ購入価格:19,000円(中古)
使用カメラ:SONY α77Ⅱ(APS-C機)

レンズマニアックス第6回記事で紹介した、2010年発売の
フルサイズ対応高画質(SP)仕様AF望遠ズームレンズ。
c0032138_07062696.jpg
さて、70-300mm前後というスペックの望遠ズームは
銀塩時代から現代に至るまで非常に種類が多い。
各社はもとより、TAMRONにおいても1990年代~2000年代で
実に5機種もの同様のスペックのレンズが発売されていた。

ところが、これらの70-300mmはTAMRONの物でも、他の
レンズメーカー製でも、カメラメーカー純正の物であっても、

ローコストの「普及版レンズ」である場合が多い。

つまり、銀塩AF時代およびデジタル時代の普及版一眼レフでは
カメラ本体+標準ズーム、又は、本体+「ダブルズームキット」
という販売形式が極めて多く、それ用の望遠ズームという事だ。

そして、キットの価格体系はちょっと不思議だ、
以下は1つの例であるが、あるメーカー製の初級デジタル
一眼レフの2010年代における量販店での価格だ。

カメラ本体=48,000円
標準レンズキット、18-55mmレンズ付き=56,000円
ダブルズームキット 18-55mm.70-300mm付き=66,000円
 
どうだろうか・・?
ビギナーの場合、本体のみで買う事は有り得ない、そもそも
交換レンズを持っていないし、自力で別売レンズを選んで
購入するという事も無いであろう。

標準ズームキットとダブルズームキットの値段差は1万円程度だ。
ビギナーとしては「望遠が欲しい」と言うのは普通のニーズだ。
けど、後でそれを買い足そうとしても、とうてい1万円で買える
とは思えない・・

たったらもう、最初から望遠が入っているキットを買うしか
無いでは無いか・・
つまり、これは最初から「ダブルズームキット」を買わせる為に
考えられた価格ラインナップになっている、と言う事だ。

2000年代初頭までの銀塩AF時代、あるいは2000年代後半の
デジタル時代でも、初級一眼レフ等での「ダブルズームキット」
は存在していたが、カメラメーカーが純正レンズをセット販売
する他、量販店等で、レンズ・サードパーテイー製
(具体的にはSIGMAやTAMRON等)のレンズを見繕って、
量販店オリジナルのセット(ダブルズームキット)を構成する
事も良くあった。
この為に、レンズ・サードパーテイーでは「セット販売専用」
の低価格のレンズを量販店等に供給していた。

それらのセット価格は、前述のメーカー純正キットと同様に、
カメラ本体の価格に大体2万円前後プラスするだけで
2本のレンズ(標準ズーム、望遠ズーム)が付いて来た。
これは1本1万円以下相当だ、このコストでは正直、高品質な
レンズを作るのは難しい事であろう。

前述した1990年代~2000年代のTAMRON製70-300mm
望遠ズームも、そうした用途に使われた事があった、
つまりローコストな普及品であった訳だ。

c0032138_07062693.jpg
ところが2010年代頃から、こうした非純正レンズキットの
販売は影を潜め、殆どがメーカー純正のレンズキットとなった。

しかし、メーカー純正とは言え、全てのレンズが実際にその
メーカーで製造されている保証は無い。
つまりメーカーのブランド名が付いていても、中身はレンズ
メーカーによるOEM製品である可能性もあり得る、と言う事だ。

そもそも、21世紀の製造業の産業構造では、1つのメーカーが
製品に関連する全ての部品を生産するという訳では無い。
カメラでも、センサーやシャッターを供給する部品メーカーが
ある事は良く知られている。そういう部品はその専門のメーカー
で無いと作れないし、そうした特殊なケースでなかったとしても、
例えば、レンズはレンズを作るのが得意なメーカーにまかせる
(OEM生産)事も十分にありうる。
その方が、お互いにとって効率的な訳だ。

現代の製造の仕組みが、そう(分業制に)なっている事は、
一般ユーザー層はあまり知らない。だから、いまだに
「どのメーカーのレンズの性能(品質)が良いのですか?」
といった初級者からの”無意味な質問”は後を絶たない。

そんなのは、どのメーカーでも一緒だ、下手をすれば殆どが同じ
工場で生産されている。値段に差があるのは1つは開発や製造
に掛った費用の償却と、あるいは「その値段ならば売れる」
という観点から仕様と定価が決められているからで、製品の
品質とか性能の良し悪しと、価格とは直接的には関係が無い。

(そして、もし性能や品質がダメなメーカーがあれば、そこの
商品は売れず、とっくにカメラ事業から撤退している事だろう、
生き残っているメーカーの製品は、どれも高品質であるのだ)

もっと身近な例を挙げよう、例えば大手スーパーマーケットの
PB(プライベート・ブランド)商品を知らない人は皆無であろう。
それらは他と同じ商品でも多少安価な値段で買える。

PB商品を良く見ると、製造者名が書いてあったり、書いていない
場合でも「製造者番号」が書かれていて、それをネットで調べて
みると、その食品等を作っているメーカー名が簡単にわかる。

で、そのメーカーというのは、たいてい、その食品(商品)を
昔から作っていて、とても有名な誰でも知っているメーカーだ。
食品であれば、カレー粉、食パン、ラーメン、惣菜の素、牛乳、
マーガリン・・ どのPB食品(商品)でも、調べてみれば、
ちゃんとした有名メーカー製だ。
中には、コストダウンの関係か?一般的な商品と僅かに仕様を
変えている例もあるが、多くの場合一般の商品と、まるっきり
同一の仕様で販売されている。

つまり中身は全く同じ物なのに、メーカー名がついているか、
無いか(スーパーのPB)であるだけで、2割から4割もの
値段差になる訳だ。

当然、食品(商品)は、それを昔からずっと作っている専門的
メーカーが生産した方が、はるかに効率的だ。
考えてみればわかるだろう、わざわざスーパーマーケットが
全く新しい「ラーメン」等を開発生産する筈が無いではないか。

まあつまり、もう既にメーカーやブランドに拘るという時代では
無いのだ。このあたりは重要な事なので、特に、ビギナー層は
良く認識する必要があると思う。
・・と言うか、もう一般常識であろう、知らないと格好悪い。
いつまでも「XXのメーカー製のレンズは良く写るのぉ」等と
言っていたら、それだけで完璧な「時代遅れ」になってしまう。
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さて、余談ばかりで本SP70-300mmの話がちっとも出て来ない(汗)

前記事と被るので、簡単に説明する。このレンズは、そうした
ローコストの望遠レンズを作るという呪縛から逃れ、TAMRONの
60周年を記念し、贅沢な設計で高品質を目指した望遠ズームだ。

それまでのキット用ローコスト望遠ズームとは全く次元が違う
高性能である。SP仕様の名は伊達ではなく、極めて良く写る。
おまけに中古相場も安価だ、現代であれば2万円以下で購入する
事ができる。
仕様は、超音波モーターおよびマウントによっては手ブレ補正
内蔵であるので、それ以降の時代のレンズと比べても仕様的に
劣る点は何も無い。かなりコスパの良い、優秀なレンズだ。
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弱点だが、大きく重い(765g)事、マクロ機能が付いていない、
AFが精度・速度ともにやや劣る、ズームロック機構が無い、
それと、遠距離被写体(=ズーミングをテレ端とすると)
では若干解像感が落ちる傾向がある。まあ、これ位か・・

で、それらの弱点の一部を解消する為、今回はSONY α77Ⅱを
使用している。
優秀なEVF内ピーキングとDMF機構により、AFの弱点を解消して
MFで使える事、そして最短撮影距離(1.5m)の不満はα77Ⅱの
デジタル(スマート)テレコンバーターを使えば、見掛け上の
撮影倍率を上げる事が可能だ。
また、解像感が落ちるズームのテレ端を用いず、望遠画角が
足りない場合は、デジタル・テレコン機能でそれを補う。

つまり、レンズの弱点ばかりを気にする必要は全く無い、
要は、使い方の工夫次第であろう。
このレンズは、高コスパでお買い得である事は間違い無い。
望遠ズームを使用する全てのユーザー層にオススメだ。

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第19位
評価得点 3.85 (内、コスパ点 4.0)
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レンズ名:CANON EF50mm/f1.8(Ⅰ)
レンズ購入価格:11,000円(中古)
使用カメラ:CANON EOS 7D MarkⅡ(APS-C機)

ハイコスパ第1回記事で紹介の、1987年~1990年頃に
短期間だけ発売されたCANON EFマウント(EOS)最初期の
AF単焦点小口径標準レンズ。
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最初期のEOSの標準は、本レンズのみで支えられていた。
(EF50/1.4USMは後年の発売。F1.0版は高価すぎた)
当時、FDマウントを切り捨てて強引にEFマウントに転換した
CANONである、その事への旧来のFDユーザー層の不満は大きく、
なんとか新しいEOSを軌道に乗せないとならない。

まあ、当時(1980年代末)はズームレンズが主流になりつつ
あるとは言え、やはり画質的な優位は単焦点にあった。
そして単焦点で必ず最初に購入するのが50mmレンズである。
その重責を担ったのが本レンズだ。

しかし本レンズ(Ⅰ型)は、短期間だけの発売になり、数年で
EF50/1.8Ⅱにリニューアルされた。
その「Ⅱ型」は、外観等をコストダウンした設計だが、光学系は
旧型と同一であり、実質的な「値下げ戦略」であった。

つまり、EOSの普及(市場シェアの拡大)を加速する為だ、
まだこの時代は「エントリーレンズ」という概念は一般的では
無いが、その「Ⅱ型」が、ある意味、その元祖かも知れない。

結果的に「Ⅱ型」はEOSのエントリーユーザー層に人気のレンズ
となり、初級中級層においても”安くて極めて良く写る”と
「神格化」される程になった。

「Ⅱ型」は、その後約25年間の超ロングセラーレンズとなり、
2015年になって、やっと新型のEF50/1.8STMに置き換わった。
(新型に変わった理由の1つに、中国企業「ヨンヌオ」の
問題があったと推察しているが、ちょっとダークな裏事情の
話だ、これは本記事とは無関係なので割愛しよう)

そして、そんな状況だからこそ、私は「Ⅰ型」に拘り、長年
探し続けた。一般的な「Ⅱ型」は、いくらでも中古を見かけるが
マニアックさが皆無だからである。
近年、2010年代になって、ようやく適価の「Ⅰ型」の中古を
見つけ、購入した次第である。
c0032138_07070616.jpg
さて、本レンズの長所は、その描写力の高さではあるが、
初級層から「神格化」された割には、スペシャルな要素は無い。
まあ、普通に良く写る標準レンズであるし、実のところ、
各社の50mm小口径(F1.7~F2級)は、どのレンズも良く写る、
とは、様々な、そのクラスのレンズの紹介記事で何度も何度も
書いて来た通りだ。別に本レンズだけが良く写る小口径標準
レンズという訳では無い。

このCANONの50mm小口径標準シリーズの弱点はあまり無いが、
あえて言えば、「Ⅰ型」については、マニアックだが、やや
レア品で中古相場も高い。それから、MFの操作性はⅡ型より
Ⅰ型は多少マシではあるが、それでも狭いピントリングにより、
若干のやりにくさを感じる。そしてUSM仕様では無いので、
シームレスなAF/MF切り替えは出来ない。ただし、あえてMFで
撮るべきケースは無いであろう、AFで気軽に撮れば済む話だ。

AFの精度や速度等の弱点はもう言ってもしかたが無い、なにせ
本レンズはCANONが最初にAF機EOSを出した頃(1987年)の、
まさしくその時代のレンズなのだ。
(銀塩一眼レフ・クラッシックス第14回EOS-1HSの記事で
その頃の時代背景を紹介している)
まあ、気になる点は、それ位か?いずれも重欠点では無い。
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で、Ⅱ型以降は未所有なので、詳細の言及は避ける事にするが、
少しだけ・・Ⅱ型は安価でコスパが良いがマニアックさが無い。
(なお、Ⅱ型のフルコピー(同一)製品である、中国製
YONGNUO (ヨンヌオ)YN 50mm/f1.8の紹介は別記事で行う)
STM型も安価で高性能(最短撮影距離の短縮等)であるが、
EOS機以外では使用する事が出来ない模様で、互換性が悪い。

・・という感じであろうか。まあ、STM型は、汎用的で無い
という点が私の機材ポリシーに反するので、いまのところ購入は
していないが、安価なので、いずれ気が向けば購入するかも
知れない・・

Ⅰ型、Ⅱ型、STM型のどれが良いかは個人の好みではあるが
これらのいずれかは、EOS機ユーザーであれば必携だ。
「値段」や「コスパ」について考えさせられる
(つまり、価格が高いものだけが良いレンズとは限らない)
事を実感させられる安価で高性能なレンズ群である。

---
第18位
評価得点 3.90 (内、コスパ点 4.0)
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レンズ名:SIGMA (AF) 105mm/f2.8 EX DG Macro
レンズ購入価格:5,000円(中古、ジャンク品)
使用カメラ:CANON EOS 6D(フルサイズ機)

ハイコスパ第14回記事等で紹介の、2000年代のフルサイズ
対応AF単焦点中望遠(等倍)マクロレンズ。

ただし、その記事では別途同じ製品のニコンマウント版
(中古購入価格25,000円)を紹介している。
本レンズの入手価格が極めて安価なのは、「AF故障品」を
購入したからだ、だから、このレンズではMFで撮るしか無い。

あえて故障品を購入したのは、それまでニコンマウント版を
使っていて、極めて高性能なマクロである事がわかって来て
2本目を異マウントで購入する事で、一種の「ナンピン買い」
を実現した訳だ。両レンズでの合計取得価格は30,000円と
なって、平均取得価格は1本あたり15,000円と、極めて
リーズナブルな超ハイコスパレンズとなった。

が、この一種の「トリック」を利用してコスパ評価点を上げた
と言う訳では無い、どちらのレンズも一般的な価格で買った
事と想定して、コスパ点は4点と、それ相応に評価している。
c0032138_07072274.jpg
AFの故障については、マクロレンズの場合には、その大半が
MF撮影になるので、大きな問題にはならない。
ただ、むしろカメラ側の問題があって、近年のデジタルEOS機
のファインダー・スクリーンにおいては、透過型であったり
各種情報(AF測距離点等)のスーパーインポーズ等を理由と
して、MF性能が銀塩MF時代のキヤノン機より大幅に悪化して
いる点である。

銀塩EOSは、まあともかくとして、例えばCANON銀塩MFの
FDマウントの名機 CANON (New)F-1 (1981年)
(銀塩一眼レフ・クラッシックス第9回記事等で紹介)の
超絶的な高性能スクリーンによるMF性能(ピント合わせ)の
容易さと比較したら、現代のEOS機は、お話にもならないのだ。

ちなみにCANON (New)F-1のファインダーMF性能は
古今東西の全一眼レフ(MF,AF,デジタル)中、トップ3に
確実にランクインする。
(銀塩一眼レフ・クラッシックス第31回記事総集編・予定)

さて、という状況で、近年のデジタルEOS機でのMFは基本的
にはNGなのだが、MFを中心とした趣味撮影向けにEOS 6Dを
使っていて、この用途から同機のスクリーンを、MF用の
「スーパープレシジョンマットEg-S」に換装済みだ。

ただ、スーパープレシジョンマットは、スクリーンが暗く、
基本的にはF2.8未満の大口径レンズ専用だ。
私は勿論、普段はF1.2~F2級のレンズ限定で使うのだが、
本レンズ(F2.8)は「小口径」であるので、ぎりぎりの条件だ
(なお、今回は”限界性能テスト”の意味もある。
つまり、悪条件でシステム(カメラとレンズ)を使った場合に、
どこまでならば実用範囲なのか?という実験だ。これを様々な
条件で何度も繰り返す事で、そのシステムの限界が把握できる)

さて、世間では、F2.8通しのズームを「大口径ズーム」と呼ぶ
事が多い模様だが、私に言わせるとF2.8は「小口径」の部類だ
その事は、こうしたスーパープレシジョンマットのような
MF用スクリーンを使う際にも、その使用条件として実感できる
事であろう。

F2.8が「大口径ズーム」であるのは、かつてはズームレンズの
中ではF2.8が最も明るいレンズであったからに過ぎない。
なお、現代ではF2通しやF1.8通しのズームも発売されている他、
コンパクト機では開放F値がF1.4のズームレンズさえもある。
F2.8ズームは、もはや「大口径」でも何でも無い。

そういう理由から、本ブログではF2.8ズームを大口径と称した
事は一度もなく、加えて、その仕様のズームは、私の機材使用
ポリシーから好みではなく、現在は1本も所有していない。
まあ、所有していないので、それについての評価(良し悪し)
を書く事もしない。(それもまたポリシーだ、自分が持っても
(買っても)いないレンズの評価をする事は、どんな場合に
おいても、あってはならない事だと思っている)
c0032138_07072246.jpg
さて、また余談が長くなってきたが、本レンズSIGMA
105/2.8 Macroの話に戻る。

まず、描写力は文句のつけようが無い、
他に著名なマクロレンズとして、TAMRON SP90mm/f2.8が
存在するが、それと肩を並べる性能だ(注、そのレンズは
本ランキングの、もう少しだけ上位で出てくる予定)

弱点だが、これも特には見当たらない。
本レンズには後継機があって、それには超音波モーターや
手ブレ補正機能が内蔵されているので、一見してその方が
高性能ではあるのだが、そもそもマクロ撮影ではMFが中心に
なるので、それらの仕様的な付加価値は、実用的には全く
関係無いと判断している。(個人的には数十本のマクロ
レンズを所有しているが、手ブレ補正や超音波モーターの
入ったものは1本も購入していない、無駄な機能だからだ)

まあ、旧型のレンズを安い中古相場で買った方が、当然ながら
コスパが圧倒的に良くなる。ましてや「AF故障品」などでは、
どうせAFは使わないのであるから、まさに「得たりやおう」
(=「そら来たぞ」と対応や応戦をする、という意味)である。

で、全般的な話であるが、マクロレンズはどれも描写力が
高い、これは一般レンズの設計では遠距離(無限遠)で
最高の性能が出るように設計されているのが、マクロでは
それとは逆に、近接撮影で最高の性能になるような設計だ。

(注:世間ではこれを「(近接)設計基準」と言う場合が
あるが、「設計基準」では、あまりに曖昧で広すぎる。
製品を設計する為の基準ならば、優に数百項目はあるだろう、
何も「最高性能が得られる撮影距離の事」だけでは無い。
まあ、設計の業務分野に造詣が深くない第三者が言い出した
言葉という事だろうから、本ブログでは非推奨である)

で、この特徴を風景撮影とかに使うのでは全く意味が無いが
本来の用途である近接撮影では、どのマクロでも描写力に
不満を感じる事は少ない事であろう。
一般レンズでは近接性能は悪化する場合が多いので、
ますますマクロレンズの高描写力が際立って来る。

だから「どのマクロが良いのですか?」という質問も
無意味だ。基本的には、ごく変わった設計思想で作られた
マクロレンズ(いくつかある)を除き、どのマクロを買った
としても、購入者が描写力に不満を感じる事は無いであろう。
だから、自身の予算に応じて、あるいは中古であれば、その
遭遇機会に応じて、どのマクロを買っても問題無いのだ。
c0032138_07072160.jpg
それでも、あれこれ悩んでいるビギナー層に対しては、私は
「悩むのならば、中古で見かけたものは全部買ってしまえ」
と極端なアドバイスをする事もある。実際に何本か買って
みれば、どれを買っても一緒(全て問題無し)という事に
初級者自身でも気がつく事であろうし、細かい仕様や設計
思想上の差異を判断できるスキルも段々身について行く。

注意点としては「銀塩MF時代のマクロレンズはたいした
事が無い」という点だ、購入対象は1990年代以降のAFマクロ
に限られる。恐らくこの時代、マクロレンズの設計において、
何らかの技術革新があったと思われる、という事だ。

なお、これからの上位のランキングには、AFマクロレンズが
多数含まれる事は確定している。
本質的には、上位のレンズは「マクロ」と「エントリーレンズ」
ばかりになってしまうかも知れない(汗)、
結局、ハイコスパという観点からは、それらに勝るレンズは
他には有り得ないという感じだ。

---
第17位
評価得点 3.95 (内、コスパ点 4.5)
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レンズ名:PENTAX SMC TAKUMAR 55mm/f1.8
レンズ購入価格:3,000円(中古)
使用カメラ:SONY α7(フルサイズ機)

ハイコスパ第20回記事で紹介した、1970年代頃の
PENTAX M42マウント一眼レフ用のMF小口径標準レンズ。
(注:この時代の「SMC」銘は大文字表記、かつ、
レンズ名の冒頭にも付かない。以降ではsmc PENTAX-)
c0032138_07073570.jpg
本レンズはおよそ50年も前の「オールドレンズ」である。
しかし、累計生産台数が数百万台(350万台?)とも言われて
いるロングセラー大ヒット「PENTAX SPシリーズ」の事実上
の標準(キットという意味)レンズであった為、生産本数も

流通本数も極めて多い。

現代に至る迄、本レンズの入手はさほど難しくなく、
およそ、どの中古カメラ店に行っても見かける事が出来るし、
中古相場も程度により1,000~5,000円と安価だ。
中上級マニアで本レンズを持っていない人は稀な位でもある。

まあ、ロングセラーレンズなので、レンズの外観仕様等は
時代により若干異なる。けど、細かい差異に拘らなければ、
どの時代(バージョン)のM42版TAKUMAR 55m/f1.8を
購入しても中身や描写は同じようなものだ。

過去、私は、このレンズの紹介(使用)では、FUJIFILMの
Xシリーズのミラーレス機を使う事が多かった。
当該Xシリーズは発色の傾向に優れ、オールドである本レンズとの
組み合わせにおいて良好な相性を見せてくれるからである。
c0032138_07080115.jpg
今回は限界性能テストとして、SONYフルサイズミラーレス機の
α7を使用してみる。「何が限界性能か?」と言えば、α7は
世間で言われていたような、高性能なオールドレンズ母艦と
言う訳では無く、多くのオールドレンズ(特に大口径の
準広角や標準レンズ)において、逆光時にゴーストが頻発する
「問題児カメラ」であるからだ。

これは、α7がEマウントのフルサイズ機である故に、だと思う、
ゴーストの問題が起こった同じレンズを、様々なAPS-C機
(ミラーレス、一眼レフ)に装着しても、あるいはフルサイズ
一眼レフに装着しても、何の問題も起こらない。
あるいはα7に、Eマウント用の純正レンズや、比較的新しい
設計のレンズ、望遠レンズ等を装着した際でも、ゴーストは
発生しない。

Eマウントのフルサイズ機での何らかの理由(例えば、マウント
径ぎりぎりまで撮像素子が詰まっていて、レンズ側における
テレセントリック特性(=レンズ後玉からの光束のセンサー
への入射角の直進性)の影響が強い、あるいは撮像素子の
ローパス加工と後玉間の内面反射に問題がある等)が原因だと
思われる。

ともかく、α7は全てのオールドレンズを快適に使用できる
母艦では決して無い。何故このような、試してみれば誰にでも
簡単にすぐわかるような事が、一般的には問題となって
いなかったのだろうか?それがむしろ疑問だ。

初級マニア等がオールドレンズを装着して格好良い、と言って
いるだけで。写真なんぞ、あまり撮らないのであろうか?
あるいは、ゴーストが出るのは古いレンズだから、だと思って
いるのだろうか?そうであれば、オールドレンズの実際の
高性能を全く知らないという事になる。

まあα7の弱点は良い、状況がわかっているのであれば、それを
回避して使うだけだ。中級者以上のユーザー層で、機材の弱点に
気がつく眼力があるならば、それを回避するスキルもある事だろう。
c0032138_07073511.jpg
さて、本レンズSMCT55/1.8であるが、50年も前の時代の
レンズでありながら弱点は殆ど無い。
ホケ質破綻が出る場合があるが、絞り値の再設定等の簡易な
手法で回避は可能だ。全般的な描写力も高い。

当時の最新技術「SMCコーティング」による逆光耐性や
コントラストの向上の効果も極めて高い、当時の他社製品の
品質から見れば、頭ひとつ飛び抜けている状況だ。

事実、この時代以降、PENTAXの各種標準(50mm)レンズは
他社の新規レンズ開発等における「リファレンス」(他社製品
等を参考・基準とし、自社のレンズの性能評価を相対的に行う)
として使われていたと聞く。
簡単に言えば「PENTAXに追いつけ、追い越せ」という状況だ。

まあでも、現代の感覚では、これは50年前の古いレンズだ。
MFである事はさておき、解像感等に不満を感じるかも知れない。
けど、それもまた用途(被写体の選択、撮り方の方法)次第
であろう、本レンズの特性がわかっていれば、それに適した
使い方もわかってくる事であろう。
(なお、やはりα7で使うよりは、FUJI X機の方が良かった・汗)

あるいは、僅か数千円で購入できる、現代での「リファレンス」
レンズとして、この何十倍も高価な現代の最新鋭高性能標準
(50mm前後)と、ユーザー側で比較してみるのも楽しい。
本レンズも意外に、そこそこ・・「まあ捨てたものでは無い」
という事に気がつけば、ますます「コスパとは何か?」と言う
点への考察や理解が深まってくるかも知れない。

既に初級マニア層等にも「銀のタクマー」として著名な
名レンズではあるが、”本レンズを知らない”という状況は
マニアとしては有り得ない。マニア必携のレンズであるのは
勿論、マニア以外の一般初級中級層等にも一度使って貰いたい
歴史的な名レンズである。

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今回はこのあたりまでで、次回記事でも、引き続き
ランキングレンズを順次紹介していこう。


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