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【熱い季節2019】日本国際ドラゴンボート選手権大会(後編)

2019年7月14日(日)に、大阪府大阪市の大川にて行われた
ドラゴンボート大会(通称:日本選手権、又は天神大会)の
模様より、後編。
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本記事では「選手権オープンの部」(以下「オープンの部」)
の模様について紹介しよう。

本カテゴリーの最大の注目点であるが、言わずと知れた
「磯風漕友会」(相生出身。以下「磯風」と省略)と、
「bp」(大阪)の一騎打ち(直接対決)である。
(下写真は、昨年2018年の本大会の模様)
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「bp」は「日本一を目指すチーム」として、2012年末に発足、
bpの名称は、発起人の1人である通称「beautyさん」(あだ名)
の仲間(party)である「beauty party」を由来とすると聞く。
(注:小文字で書くのが通例だが、ロゴマーク等の一部では
「BP」と書かれている場合もある。本ブログでは「bp」と記す)
その後2013年のシーズンより、「bp」は、各地域の、およそ、
ありとあらゆるドラゴン系大会に参戦し、そのことごとくで
優勝していて、現在では「日本一優勝回数の多いチーム」
である事は確かなのだが・・

ペーロンの本場「相生」の超強豪「磯風(漕友会)」
(「相生ペーロン競漕」で長年にあたり連覇中)には、
さしもの「bp」も殆ど勝つ事ができない。(公式戦では、
僅かに2回勝った事があるのみだ、しかもその勝利は3年程
前の話だ)

「bp」は「日本一を目指す」チームではあるが、この状況
では「名実ともに日本一」とは言い難い。
なんとしても「磯風」を完膚なきまでに叩き、「我こそは
日本一」と宣言しなければチームとしての目標に至らない・・

ちなみに、両者はいがみあっている訳では無い、純粋な
スポーツの世界での「とても良き、ライバル関係」である。
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「磯風」にしても、本音で言えば「横綱」であり続ける
事は正直しんどいのだろうと思う、いずれは次世代に交代
して行く事はやぶさかでは無いだろうが、ただ単に自身が
墜ちてしまうのでは意味が無い。あくまで「横綱」の名に
恥じない相撲(レース)を取り続け、その上で自身を
実力で上回る若手が出てくるならば、”それはそれで良い”
という事なのであろう。

まあ例えば、相撲の世界の話で言えば、昭和の大横綱
「千代の富士」(国民栄養賞受賞、故人)が1991年に
新鋭力士「貴花田」(後の名横綱「貴乃花」)と対戦して
敗北/引退した、という相撲界きっての名勝負を思い起こす。
自分より強い(強くなる)新鋭が出てこない限りは、
横綱はそう簡単に引退する訳にはいかないのだ。

そして「bp」が、いつまでも「磯風」を倒せないのだと
したら、その期間は「磯風」は、ずっと「横綱」として
君臨しつづけなくてはならない、勝手に自ら衰えて引退
してしまうような事は許されない訳だ。

・・しかし、どちらのチーム事情も、とても「しんどい」と
思う。周囲の期待も、プレッシャーも大きいであろうし
どちらも、そんなに簡単に負ける訳にはいかない状況だ。

現在、様々な事情により「磯風」は、ドラゴン系大会には、
本「日本選手権」にしか参戦していない。
「磯風」と「bp」の一騎打ちが見られるのは、年に一度の
「七夕」、いや「天神決戦」である。
(注:天神祭り=日本三大祭の1つ、大阪天満宮が主体
となり、主に毎年7月24日~25日に実施される。
本大会は「天神祭奉納」の大会となっている)
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さて、「磯風」と「bp」の話ばかりとなっていて恐縮
ではあるが、たとえ他チームの選手や関係者であっても
この2チームの対戦は、本大会での最大関心事項なのだ。
「おい、磯風とbpが当たるぞ!」と聞けば、たとえ予選
の時でさえ、殆どの選手達や関係者等が、その対決を観戦
しようと川べりに集まってくる。
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もう少し深堀してみよう、過去6年間の本大会オープンの部
決勝戦での「磯風 対 bp」の全レース結果タイムを調べて
以下に掲載する。

なお「bp」の派生チーム(bpジュニア等)のタイムは個別
には記載せず、ダブルエントリーの場合は、「bp」軍団の
うちタイム上位の戦績を記載するが・・ 本大会の決勝戦に
限っては、サブチームのタイムが主力チームを上回った事
は無い。(対「磯風」の為、主力を固めているのであろう)

また、タイムは、その年(そのレース)での、レーン
コンデイション等により変化するので、絶対値はあまり
気にする必要が無く、注目すべきはタイム差であろう。

では、以下が、過去6年間の両チームの決勝タイムだ。

2013年
0:53:50 磯風(6連覇)
0:56:15 bp(3位、本大会デビュー年)

2014年
0:52:37 磯風
0:54:12 bp

2015年
0:57:53 磯風
0:58:15 bp

2016年
1:00:96 bp(本大会初優勝)
1:01:87 磯風(公式戦では2度目のbpへの敗北)

2017年
0:51:65 磯風
0:52:50 bp

2018年
1:00:16 磯風
1:00:69 bp

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どうだろうか? 2016年を除いては、「磯風」は
常に「bp」を1秒前後上回るタイムで優勝している。

わずか1秒、されど1秒、ドラゴン艇の1/3~半艇身程、
毎年毎年先行する「磯風」の姿を見続け、「bp」は
「何とかして(磯風を)倒す!」という意識が強く
膨らんでいく事であろう。

なお、毎年の本大会のスナップ写真では「bp」の選手達の
陸上の様子を捉えたものは極めて少ない、何故ならば、
本大会での「bp」は、朝から決勝前まで、ずっと緊張感が
強く漂っていて、そう簡単に近づいて話しかけれる雰囲気
では無いのだ(汗)で、それが毎年の恒例だ・・

そこで、話を聞くとしても「bpマダム」と呼ばれる
選手達の奥様達から情報を得る事も多い、ずっと傍で
ドラゴンを見続けているので「bpマダム」達は情報通だ、
匠「旦那さん達、すごい緊張してませんか?」
マ「そうなんですよ~ また前みたいに、緊張しすぎて
  ミスをしなければ良いのですが・・」
などと、色々と詳しい話が聞けるわけだ(笑)

・・さて、さらに深堀していけば興味がつきないのだが、
本記事の大半を「磯風とbp」の話で費やしてしまうのも
無粋であろう、他のオープンの部参戦チームの状況も
交えて、以下は記事を進めていく。
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上写真は「津奈木(つなぎ)海龍」、本大会(1988年~)
の最初期に2度優勝(1989年、1996年)している
伝説(レジェンド)チームである。勿論、30年以上も
年月が経過しているので、同じメンバーでは無いが、
同チーム内には「親子クルー」というパターンも数組
存在していて、うまくこのチームの伝統を繋いでいる。

代替わりをしてもチームの実力値は高く、近年の
本大会でも準優勝(2013)、スモール選手権での優勝
(2014)を始め、様々な大会で上位入賞の実績を持つ。

しかし、本大会の予選、「津奈木」は振るわない、
どうやら隣のレーンの海外チーム「Philippine Alliance」
と軽い接触を起こした模様だ。「津奈木」の逆隣のレーン
には「bp」が居たので、先行した「bp」艇の引き波の
影響を受けて「逆ハンドル状態」になったのか? と、
帰ってきた「津奈木」のメンバーに聞いてみると、
初代「津奈木」からの選手で、現在は舵手をやっている
ベテラン選手曰く「慣れない(チャンピオン)艇で
足が滑った」とのこと。

匠「あはは・・ じゃあ、しかたが無いですね、敗者復活戦で
  頑張ってください。一度余計に漕ぐ体力はあるでしょう?」

まあ、勿論「津奈木」の実力であれば決勝戦までは上がって
くる、そこは問題無い。けど「津奈木」が「磯風とbpの
優勝争い」に割り込んで来られるかどうかは微妙だ。
というのも、上記舵手の方以外でも、古くからの「津奈木」
のメンバーの方は居る、磯風やbpの予選レースを観戦して
いた彼の話によると。
津「もう、俺たちが戦っていた20年前とは、まったく別物
  の競技のように漕ぎのスタイルが進化している・・」
との感想を述べていた。

まあ私もそうは思うが、私はまだ16年しかドラゴンを観戦
していない、でもそこで数千にもおよぶレースを見てきた
経験からすれば、漕ぎの方法論が進化したのは、たかだか
ここ数年の話だ。具体的には「磯風」と「bp」の直接対決
が始まった2013年以降である。ここから両者はお互いに
負けじと切磋琢磨し、試行錯誤の上で、より「速くなる」
漕ぎ方のスタイルを模索し始めているのだ。

そして、現代は情報化社会だ。「磯風」や「bp」のレースの
模様は、ここ数年間は、各チームはビデオカメラやスマホで
動画撮影を必ずしている。その動画を、後日チームメンバー
で分析し、自身のチームがより速くなるように、と参考に
する訳だ。ちなみにこういう風潮が出てきたのも、2010年代
に入ってからであり、2000年代では、選手達の誰もレースの
模様を写真や動画で撮るような事は(殆ど)無かったのだ。
(まあ、当時の撮影機材の性能も低く、動画はブレブレで
見るに耐えれなかった事もあるだろう)
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上写真は「ヤンググリーン」 相生の”ペーロン競漕”での
常連チームであるが、ドラゴン界への参戦は、ここ数年程
であり、確か2015年の本大会がデビュー戦だ。
その年、いきなりの決勝進出となり、注目を浴びた。

その後も本大会では、決勝に進出する年もあったのだが、
残念ながら上位入賞は無い。
彼らがドラゴンで初入賞したのは、昨年2018年のKIX(関空)
大会であり、3位であった。
それ以上の高い戦績、具体的には「優勝」を勝ち取る為に、
現状「ヤンググリーン」は、少しづつドラゴン系大会への
参戦の幅を広げている最中だ。

しかし、ここから先、急に優勝の栄冠を手に出来る事も
難しいであろう。立ちはだかる「bp」という大きな「壁」が
あるからだ。(昨年のKIX3位も、「bp」と「bp next」に
続く戦績であった) だが、ここも1歩1歩進むしか無い、
磯風とbpの頂上決戦を参考にしつつ、他のチーム、たとえば
こちらの「ヤンググリーン」や、「Roa's」「津奈木」等も
切磋琢磨していくしか無い、結果的にそれでドラゴン界
全体がレベルアップするならば、それはそれで良いと思う。
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さて、上写真は「好きやねん大阪」
こちらのチームの方向性は、これまで挙げてきたチーム
とは全くの別物である。そう、こちらの「好きやねん大阪」
は、何と、本大会の全回に出場している。
つまり、1988年から31年目の出場であり、昨年の本大会
では、「30年連続出場」として表彰されているのだ。

まあ、現状では、前述してきたような強豪チーム達に
混じって上位入賞等が出来る状況では無いのではあるが、
「継続」する事の力を感じさせてくれるチームである。
競技性の非常に強い本(日本選手権)大会ではあるが、
「勝敗」とは別の意味で、チームとしての絆であるとか、
続ける事での意義とか、色々な事を考えさせてくれる。
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ここから少し余談、上写真は神戸の女子高による物品販売
ブースであり、本大会の名物だ。
ベテラン専業チーム「パイレーツ」のメンバーが教師を
やっている高校と聞き、まあ「職業訓練(実習)」という
主旨であり、売り上げは災害復興等のチャリティ(寄付)に
廻すと聞く。

これは一般的な商業販売(屋台)とは意味合いが異なるので、
選手達等も、見かけたらチャリティに協力していただけたら
幸いであると思う。
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以下、しばらく会場の雰囲気等の模様や細かい逸話を続ける。

上写真は決勝審判席だ。
最大5名の計測員がそれぞれストップウォッチを手にし
各担当レーンのタイムを計測する。
これ以外にハイスピードカメラ(恐らくだが1秒間に
100コマ程度の撮影が出来、1/100秒単位で、正確に
順位や着順を計測できる)も準備されている。

他にもスタート地点や中間地点でも、審判用のビデオ
カメラが用意されていて、アクシデント発生等における
審議や判定に備えている。

ただし、これらの機材は本部席側の対岸に集中して
いる為、本部席から死角となる選手村側で起きた
アクシデントは、少々わかりにくい。

ちなみに本大会では都合3回の軽い接触事故が起きている。
1度は前述の「津奈木」と「Philippine Alliance」であり、
これは「津奈木」のケアレスミスなので問題は無い。

そして、その前レース(予選)でも「池の里Lakers!」と
「Roa's」が接触、こちらは「池の里」の隣のレーンが
「磯風」だった為、”その引き波の影響を受けまい”と、
「池の里」が反対の「Roa's」寄りに進路を取ったところ、
今度は「Roa's」も「池の里」よりも速かった為、そちらの
引き波を受けて「吸い寄せられた」との事だ。
(注:本会場はレーン間の間隔がかなり狭い)

まあ、「Roa's」は千葉の超強豪チームではあるのだが、
その実力値(例:今年の東京大会でbpに1秒差の準優勝)
は、関西のチームには殆ど知られていない為、「池の里」
としても油断があったのかも知れない。
まあでも、たいしたアクシデントでは無いし、本部側の
カメラからは死角であったかも知れない、そしてまだ予選
という事もあって、そのままレースは継続された。
(実は、この事件により「Roa's」が後で有利となる、
その理由は後述しよう)
下写真は「Roa's」のメンバーだ。
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3度目のアクシデントは、オープン準決勝2回戦で
「bp」と「Philippine Alliance」の接触事故。
下写真がそれで、「bp」は途中で漕ぎを停止している。
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こちらについては「Philippine Alliance」チームの
進路妨害という判断で、2秒だか3秒かのペナルティが
ついた。ただ、軽度な接触なので、いずれにしても漕ぎを
再開した「bp」が1位となったし、海外チームは国内決勝
には出られないルールなので、大勢に影響は無い。
(注:このレースで3位となった「TAITAM X DRAGONS」が
もしこの接触を見てスローダウンしていたならば、結果、
決勝に進出できなかったので、不運であったかも知れないが、
そこは正直、詳しい因果関係は良くわからない)

そして、3度のいずれの接触事故も、中央の3レーンが
絡んでいる。本来3レーンは水流が最も安定していて有利だ
と言われていて、決勝戦においては準決勝で最もタイムが
良かったチームが得られる「ポールポジション」なのだが、
これらの実例により、レース内での各チームの順位関係に
よっては3レーンと言えども複雑な水流が起こってしまい
そこで左右に逃げる余地が殆ど無い為、2レーンや4レーン
の艇と接触しやすいのだと思われる。

3レーンを実際に有利に活用したいならば、3レーンを得た
チームは必ず他チームよりも先行しなければならない訳だ。
なお、そういう順位関係では、2レーンや4レーンの艇は
通り過ぎた3レーンの後ろの空間に引き寄せられる為、接触
事故は起こり難いのだろうと思う。それと、半艇身程度の
僅差では引き波は起こらないので、混合の部などの大混戦
では、この条件はまた異なって来る。
つまり、接触事故が起こり易いのは、2レーンや4レーンに
他艇を1艇身以上先行する超強豪が居る場合だと思われ、
そういうケースはオープンの部の予選の場合等に多い。

それと、「Philippine Alliance」は、2度もの接触事故
に巻き込まれ、中には自身のチームの責任とは言い難い
状況もあるので少々不運だ。彼らの様子はどうだろう?
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上写真はその「Philippine Alliance Dragon Boat Team」
である、大勢力で大挙して来日していて、何と本大会の
全5カテゴリー中、混合の部を除く4カテゴリーに
エントリーしている。(恐らくは重複参戦であろう。
本大会では、特定の選手権カテゴリー間でなければ、
国内チームでも選手の重複参加は認めているが、それを
すると、疲労蓄積等で不利なケースも多々ある為、あまり
そうした措置を行うチームは多く無い)

で、重複参加では、後半戦になるほど、連続参戦等で
チームの戦力は低下していく。ただ、彼らとしては、
日本のドラゴン大会初参戦、恐らくは観光やショッピング
等も来日の主たる目的であり、ともかく盛り上がっていて
テンションが凄く高い。

だから、多少の接触事故など、ほとんど気にしておらず、
女子選手の中には、ずっと歌をうたったり(しかも上手い)
して盛り上がっている人も居るし、上写真のチーム旗を
振り回していたり、まあ、楽しんでもらっているようで
良かった。

ちなみに、彼らの戦績であるが、オープンの部では
エキシビジョンの国際決勝で5位(最下位)
シニアの部4位(最下位)、女子の部は2位
スモールの部では優勝、という感じである。
あまり「超強豪」と言う戦績では無かったが、それでも
初の日本のドラゴン大会への参戦は十分に楽しめたのでは
なかっただろうか・・
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閑話休題、このあたりでオープンの部のB決勝の
模様を紹介する(上写真)

B優勝は上写真での「IHI 瑞龍丸」、ご存知のベテラン
チームであり、本記事「前編」でも紹介している。

近年においては「ツナカップ」大会で連覇した事もあるので、
決して弱小チームでは無い。しかし、そうした地方大会優勝
クラスの強豪チームであっても、本大会では、都合11位
相当と、非常に大会全体のレベルが高い状態だ。
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以下、B決勝の順位は、2位「好きねん大阪」(前述)
3位「近畿車輛電龍」(前編記事で紹介)
4位「関空飛龍」(大阪)、5位「team いっとこ」(大阪)
となっている。

上写真は「関空飛龍」、その名の通り「関西空港」(KIX)
関連の職員を中心としたチーム、結成は恐らく関空大会
が始まった年であろうから、15年前くらいだ。
メンバーは適宜変わってきている、上写真を見るかぎり
女子が多いが、混合の部に出れる男女比率では無いので
オープンの部への参戦なのか? この場合オープンの部
での若干の不利は否めない。
で、メンバーが潤沢に用意できる、お膝元の「関空大会」
(今年は9月1日実施予定)では、かつて何度も入賞等の
好成績をあげているので、そちらの大会で、また活躍して
いただきたいと思う。
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B優勝の「IHI」つながりで、上写真は「IHI相生」チーム
である、100年以上もの長い伝統を持つ「相生ペーロン競漕」
の設立や発展・継続に最も貢献している企業チームであり、
相生の「ペーロン漕ぎ」の伝統的なスタイルを最も色濃く
引き継ぐチームでもある。

「ペーロン漕ぎ」とは、パドルを殆ど垂直に入水させ
そこから強くストロークして推進力を得る、しかしこの
漕ぎ方だとピッチ(手数)が稼げない為、パドルの出水
から次の準備動作までの復帰動作が恐ろしく速い。
横から見ていると、そのパドルの動きが「直角三角形」に
見えるのが特徴だ。そしてこの漕法は、長距離戦に特に
向いているように思える、疲労が蓄積にしくいのであろう。
ドラゴン界最長の「1000m選手権」大会では「IHI相生」は
近年に3連覇した事もあるくらいである。
ただ、逆に言えば、ドラゴンのスプリント(短距離)戦
には若干向かないとも思え、近年の本日本選手権大会で
「IHI相生」の入賞は無い。そして、本大会においても
残念ながら準決勝で敗退となってしまっている。

なお、他の相生系チームでは「陸(くが)ペーロン」
や「相生市役所」等も、殆どこの漕法であるのだが・・
(注:いずれも本大会には不参加である)
前述の「ヤンググリーン」や「磯風漕友会」は、さほど
相生漕法は用いず、ドラゴンの短距離に向いた前傾ピッチ
漕法となっている。(もっとも、磯風の場合は、そういう
漕ぎ方のスタイルとかを超越した物凄い漕ぎだが・・・)

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さて、いよいよ注目の、そして緊張の「オープンの部」
国内(選手権)決勝戦が近づいてきた。レーン割を述べよう。

第33レース、オープンの部選手権決勝
1レーン:坊勢酔龍会(兵庫)
2レーン:bp(大阪)
3レーン:磯風漕友会(兵庫・相生)
4レーン:Roa's (千葉)
5レーン:津奈木海龍(熊本)

「坊勢酔龍会」も本大会初期からの常連チームであり、
1993年、1994年に優勝している「レジェンド」(古豪)
チームだ。
昨年では「銀龍賞」だったか? 連続20年だか25年だか
の参加により表彰されている。
近年では、優勝こそ無いが、それでも、たいてい決勝
進出となっていて、磯風とbpの熾烈な優勝争いの影で、
だいたい3位を取っている、目立たないが強いチームだ。

だが、今年に関しては、新鋭「Roa's」と、もう1つの
レジェンドの「津奈木」が居る、これは面白い状況だ。

なお、少し前述した「Roa's 有利説」の詳細であるが、
まず「Roa's」は、昨年2018年のスモール選手権で
関西の大会に初参戦、そこでは準決勝戦で”これでもか”
という数の超強豪チーム達に阻まれて敗退、だから関西の
チームには「Roa's」の印象は、ほとんど残っていない。

本大会予選、前述の「池の里」との軽い接触事故で
「Roa's」はタイムを落とし、57秒台。これとて悪い
タイムでは無いが、追い潮で好タイムが出易い予選では
あまり目立たないタイムだ。

敗者復活、水流も悪くなり「Roa's」のタイムは59秒
で1位抜け、ただしここは”調整”の要素もあったかも
知れず、他チームと1秒差くらいだったので、ここも
また目立たず。(もし、目立たないように手を抜いた
のであれば、物凄い戦略家のチームであろう)

続く準決勝、ここまで目立たずに上がってきた
「Roa's」であり、しかも対戦相手は、東京地区での
「Roa's」の活躍を知らない関西圏以西のチーム
ばかりである。
完全なるダークホース状態だ、ここで初めて「Roa's」
は東京大会でbpに1秒差準優勝の実力を完全開放!

磯風に半艇身差まで詰め寄る2位で、堂々の決勝進出だ。
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ゴール直後の奥のレーンで「やった~!」と歓声を
挙げる「Roa's」、手前超強豪の「津奈木」も、
「いったい何が起こったのだ?」と不審な表情だ。

そう、「津奈木」や「ヤンググリーン」からして見れば、
いきなり「磯風」「bp」クラスの超強豪チームが、
突如として準決勝で現れた訳である。油断とかそういう
次元では無く、ただただ驚きであっただろう。

だが「Roa's」の優位点は、この準決勝のただ1レースに
集約されている。ここからの決勝では、他チームも、
もう警戒対象として「Roa's」を捉えるだろうからだ。
決勝でどこまで順位を上げれるかは「Roa's」次第だ、
だが私は、「悪く無い(恐らく3位)」と踏んでいた。

---
さて、いよいよ決勝戦であるが、実はもうこの前の時間帯
準決勝あたりから雨が降り続いていて、写真がまともに
撮れる環境では無くなっている。雨は事前に予想できた
ので、使用カメラは、簡易防水仕様のものを使っていて
機材故障等の心配は無いが、レンズへの水滴の付着、結露の
発生に加えて、望遠撮影では、途中の雨粒により、大幅に
写真のコントラストや解像感が低下、画質的に見るに耐えない
が、これはもうやむを得ない。
雨中撮影では、どんな技法を駆使したとして、ごく近距離で
撮影しない限りは低画質化の回避の方法は無いのだ。

もう撮影は無理だ、と開き直って、会場の2階ベランダから
遠距離観戦をする事とした。ここは写真撮影には向かないが、
レースの始まりから終わりまで、全様を目視で観戦できる。

肝心の「磯風」対「bp」であるが、予選等の模様を見て
いて気づいた事が色々とある。

まず、「bp」は数年前から練習を進めていた「スタートピッチ
=120以上」の超高レート・スタートダッシュをさらに磨き
上げている、これはつまり”1秒間に2回以上も漕いでいる”、
という超絶技であり、他の中堅チームと並んで漕ぐと、およそ
2倍も近くも速いスピードで手が廻っているようにも見え、
まるで「機械仕掛け人形」のような印象だ。

しかも、そのスタートレートをいかに維持して距離を伸ばすか?
という部分に注力して練習を続けてきた模様であり・・・
(注:「bp」は、この「秘密練習」の為か?、2019年6月の
高石大会を欠場している。2013年以来、どの大会でも全て
「皆勤賞」であった「bp」のこの措置は極めて異例であり
私は「よほどの秘密練習か? 今年こそ磯風を倒すと、
相当に気合が入っているに違い無い」と思っていた)

で、そのスタートレートのまま、120m地点くらいまでは
伸ばしてきている。勿論そこからは巡航レートにダウンして
しまうのだが、すでにコース長250mの、半分程度までは
来ている訳であり、勢いのついている巡航区間で少しの時間
だけ手を休ませた後は、残りの50m程度でラストスパートだ。

これはなかなか合理的なやり方だ、ただし、水流が追い潮と
なっていた予選の間では十分に通用するメソッドであるが
大阪湾の満潮で、水流がアゲインスト気味の決勝戦では、
巡航時に至るまでにスタートで稼いだ慣性の効果があまり
得られず、巡航速度が維持できない可能性もある。

対する「磯風」であるが、スタート時の超絶レートは「bp」と
ほぼ同等か、むしろそれ以上。こちらも120回/分以上は
確実に出ている。この漕法は、かつての「磯風」では
見られず、数年前迄は、ひたすら水しぶきをあげる「パワー
スタート」であったのだが、これは「bp」の新漕法を見て
自らもそれを取り入れたのであろう。
お互い、切磋琢磨しながら高度なスキルを身につける、まあ
これは良い傾向だと思う。

ただ、「磯風」の場合は、100m前後までしかそのレート
は続かず、そこからはガクンと落ちた巡航レートとなる。
しかし、序盤で無理をしていないので、体力は温存できて
いるであろう、ラストスパートには十分の余力がある。

観戦場所には、各チームの選手とか、相生の半田院長
(元:ハンダーズ監督、現:JDBA役員)も来ていたので
レースの展開の予想話に盛り上がっていた。

私の事前予想は以下の通りだ。
「序盤のスタートダッシュは「磯風」も「bp」も同等、
そのまま100m地点まで併走、しかし「bp」の方が
巡航レートに移るタイミングが遅く、ここで一時的に
「bp」リード。そこから200mまで併走するが、序盤で
体力を温存している「磯風」の方がラストスパートが有利。
よって、予想順位は「磯風」「bp」「Roa's」「津奈木」
「坊勢」であり、3レーンを頂点にほぼ三角形(戦国時代の
陣形で言えば「鋒矢の陣」)のようにゴールするだろう」

そうした話を周囲の選手や半田先生と話して盛り上がって
いたのだが、さあ、いよいよ運命の決勝戦のスタートだ。

序盤、100mまでは全く予想通り、「磯風」も「bp」も
速いスタートレートだ。そこから磯風が巡航レートへ移行、
次いでbpも巡航レートに。で、予想ではここで「bp」が
少し先行しているはずだが、意外に差が無い。「bp」の
120回ピッチは、もしかすると磯風に僅かに負けているのか?

150m地点、ここから「磯風」が、じわりじわりと前へ出る、
ここも予想外の展開だ、私の目視分析では「磯風」の
巡航レートは「bp」よりも遅いと思っていたので、
ここで「磯風」が前に出れる理由が良く分からない。

後で「bp」の幹部選手に話を聞くと「巡航レートが
遅かった」と言っていた、見た目では十分に廻っていたが
これでも遅いのか? いや、もしかすると、水流が色々と
悪影響を及ぼし、「bp」の巡航時のストローク効率が
悪かったのかも知れない。

ちなみに「磯風」は、10年程前に「風や潮流などの
レーンのコンディションに合わせて、微妙にパドル入水角
等を変化させて調整している」と私に語った事があった。
もうしそうした高度な「超絶技巧」の練習を今もやり続けて
いるのだとしたら、彼らのストロークの効率は、相当に
洗練されているのであろう。

200m地点、ここから「磯風」はラストスパート、すぐさま
「bp」も追従するが、中盤につけられた半艇身差を挽回
するのは困難だ、もうこの時点で勝敗は決定している。
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c0032138_11474288.jpg
上写真は、「磯風」のゴールの瞬間。
「bp」は半艇身差の2着、4レーン「Roa's」は健闘だ。

最終着順とタイムは以下の通り。

1位(0:59:85)磯風漕友会(3連覇、11度目の優勝)
2位(1:00:60)bp
3位(1:01:16)Roa's(本大会初入賞)
4位(1:02:41)津奈木海龍
5位(1:05:75)坊勢酔龍会

事前の順位予想はぴったり的中、だが、レース展開は
私の予想外な要素が多々含まれていた。

もし今日が好天であって、もっとレースの撮影に集中
しなければならないのであれば、このレースは私は
恐らく200m地点での撮影を選択していたであろう、
そこまで両者が、ほぼ同等の併走から、ラストスパートへ
移行する駆け引きを見たかったからだ。

だが、もし今日200m地点で撮影していたら、そこでは
すでに磯風がだいぶ先行していた。つまり「磯風」と
「bp」の横並びで、磯風のドラマーが、bpの様子を
チラリとうかがうような写真(以下のような写真、
こちらは昨年大会の模様)
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c0032138_11474633.jpg
・・(といった写真)は、撮りたくても空振りをして
しまっただろう状況であった。まあ、雨天で精密撮影を
狙うのを諦めていた事は結果オーライだが、複雑な心境だ。

結局、目的とする写真を精密に撮るには、誰よりも詳しく
レースの展開を予測しなければならない。
ただ単に最終順位を予想するのみならず、100m地点や
200m地点で、各チームがどんな順位関係になっているか?
そこまで考えないと、撮影ポジションは決定しずらい訳だ。

・・さて「bp」は、せっかく万全を期してレースに臨んだ
のに悔しい状況であろう、ただ、勿論、この敗因を
これから徹底的に分析し、来年の本大会に向け、さらなる
猛練習を積んでくるに違い無い。「磯風」も横綱引退などは、
まだまだ先の話だ、来年もまた挑戦してくる「bp」に備え
さらに精進し、前人未到の超絶的レベルに到達しなくては
ならない。両者しんどいだろうが、まあ面白くて楽しい
世界でもあろう、そうでなければ続ける事など出来ない。
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c0032138_11475283.jpg
上写真は、表彰式後での「磯風」の若手メンバー。

ちなみに「磯風」も「bp」も、表彰式には幹部メンバー
は出てこず、こうした若手メンバーで占められている。
まあ、お互い、激戦の後では、なかなか気まずい雰囲気も
あるかも知れない訳だ。でも、勿論前述のように、両者は
敵対していがみあっている訳では無いので、そのあたりの
心配は無用だ。

ちなみに、あまりドラゴン系の大会には出場しない方針の
「磯風」ではあるが、「今年のスモール選手権には出たい」
とチラリと言っていた。その場合は恐らく「磯風」の
名前は使わないと思う・・ しかし、「GSD(グランド・
スウェル・ドラゴン)」とか「(キング)ポセイドン」
とか、「磯風」には、秘密の(笑)サブチーム名が色々
とあるし、他地区チームとのコラボで「漕友人」という
名称も使った事もある、これらのチーム名を各大会で
見かけたら、磯風であるので他チームは要注意(笑)だ。

以降、決勝の激闘で燃え尽きたのか? エキシビジョンの
国際決勝は、各チームとも若手を乗せた「練習試合」の
ような様相となった、ここの順位はあまり意味が無いが、
一応「磯風漕友会」が、国際決勝も制している。
(ちなみに、磯風の若手は、なかなか速かった。
この分だと、あと数年間は安泰という様相もある)
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c0032138_11475664.jpg
さて、大会のラストは大阪天満宮の宮司さんを中心に
恒例の「大阪締め」である、雨は引き続き降り続けて
いて、時刻はすでに午後7時前で、陽も落ちて暗い。

丸一日、好レースを堪能できたのではあるが、正直
言えば「真剣度」が高いので、見ている方も必要以上に
疲れてしまう。各チームの内情や心情がわかっていれば
なおさらであり、ハラハラしながらの観戦であった。
相当に疲れた、そろそろ帰途につこう・・・

(とは言え、帰宅後も休む訳にはいかない。雨天なので
少なかったとは言え、何千枚も撮った写真の選別や編集が
あるからだ、各大会の後の数日間は、深夜までその作業が
続くし、編集終了後も、本ブログでの観戦記事の執筆が
控えている。もし大会後1週間以上とか時間が空いて
しまうと、レースの細かい展開や選手達との会話の内容も
忘れてしまうので、速やかに記事を書き上げなければ
ならない訳だ・・・)

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さて、本記事はこのあたりまでで、
次回ドラゴン・ペーロン系記事に続く。


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