高いコストパフォーマンスと付随する性能を持った優秀な
レンズを、主にコスパ面からの評価点で順位付けし、その
BEST40をランキング形式で紹介するシリーズ記事。
本記事でも引き続き、BEST40にランクインしたレンズを
下位から順番に紹介して行こう。
(ランキングの決め方は第1回記事を参照)
---
第24位
評価得点 3.75 (内、コスパ点 3.0)
![c0032138_19163424.jpg]()
レンズ名:smc PENTAX-FA 77mm/f.8 Limited
レンズ購入価格:74,000円(新品)
使用カメラ:PENTAX KP(APS-C機)
ハイコスパ第16回記事等で紹介の、2000年発売の
AF単焦点中望遠レンズ。
![c0032138_19163490.jpg]()
ミラーレス・マニアックス名玉編第4回記事においては
延べ320本以上の紹介レンズ群の中から、栄光の第一位を
獲得した超名玉である。
「ナナナナを買わずして、どのレンズを買うのだ?」とは、
本ブログ開設当初のおよそ15年前から何度も書いて来た事だ。
本レンズの弱点は、価格が高い事だけであり、他の評価項目
の全てに秀でていた為、上記の名玉編では総合力で第一位と
なった。
だが、今回のシリーズ記事は「ハイコスパの名玉」である、
価格に弱点があるFA77/1.8では、さしもの高性能であっても
第24位に留まる結果となった。
発売直後に新品購入とは言え、その発売時点(2000年)で、
74,000円はちょっと高価すぎたと思う。
が、それ以前に購入していたFA43/1.9が極めて高性能なレンズ
であった為、本レンズは急いで購入、その勢いでFA31/1.8も
発売直後に新品購入したのだが(注:FA Limiedシリーズは、
その3本のみのラインナップだ)まあ、その3本の中では、
本FA77/1.8がベストのレンズであった。
FA77/1.8は見事にツボにハマって、その後ずっと愛用している。
・・ただまあ、本レンズも、もう発売20年近くにもなる、
2000年代前半の銀塩・デジタル混在期においては本レンズは
圧倒的な実用性能を誇ったものの、2010年代後半ともなれば、
AFの遅さ(超音波モーター無し)や、絶対的な解像力不足が
気になって来ている。
つまり、まだ十分現役で使える性能があるのに、周囲の新製品に
比べて見劣りが出てくる「仕様的老朽化」が起こっている。
そこで本レンズの代替候補として、例えばTAMRON SP85mm/f1.8
(Model F016)(レンズマニアックス第4回)の使用を始めて
いるのであるが、そのレンズもやはり高価である。
SP85/1.8は、本ハイコスパ記事ではBEST40のランキング入りは
出来ずに、本シリーズ第2回記事の「番外編」として、約170位
相当(注:入手不能等で順位対象外としたレンズも全て含んだ
ランキングなので、実質的には、もっとずっと上位である)
という事になってしまっている。(また、ごく最近では中古
相場も下がって来ているので、より順位は高まったであろう)
さて、という状況であり、まだまだ本レンズFA77/1.8は
使い続ける必要があるだろうと思う。
![c0032138_19163430.jpg]()
本レンズの主要用途は、中距離人物撮影である。
以前より、特にライブ撮影に最も多く出動し、次いで冠婚葬祭
に使用していた。
(この上下の写真のみ、母艦はPENTAX K10Dによる撮影)
![c0032138_19163328.jpg]()
人物ポートレートというと、85mm/F1.4の使用がまず思いつくと
思うが、レンズ系マニアックス記事で多数の各社の85/1.4を
紹介した際に毎回のように書く事だが、「85/1.4は、ピントの
歩留まりが悪く、実用性能は意外にも低い」という弱点がある。
でも、世間には「ポートレート=85mm」の常識がある為、
本レンズの77mmという焦点距離は、銀塩時代ならばまだしも、
デジタル時代においては、PENTAXでは最初期のデジタル一眼レフ
*istD(2003年)から、近年のK-1(2016年)が発売される迄の間、
フルサイズ機は1台も無く、全てAPS-C機であった。
その状況でFA77/1.8を使おうとする場合、その換算画角は、
77x1.5で、約115mm相当となってしまう。
「これは人物撮影には長すぎるのじゃないの?」と一般ユーザー
は考えてしまう訳だ。
中途半端な焦点距離と開放F値、高価な価格、そういう一般受け
しないスペックから、本レンズはロングセラーでありながら
一部のマニア以外には全く注目されないレンズであり続けた。
だが、2000年代においても、本レンズの描写力に注目していた
上級マニアは居る事は居た。彼らは、本レンズをフルサイズで
使用する為、EOSのフルサイズデジタル機にマウントアダプター
を介して、本レンズを使ったりもしていた。
まあでも、EOS機は全般的にアダプター使用時のMF性能には
色々と問題を持つので、使い難かったのは確かな模様だが・・
さで、では、本当に「ポートレートは85mmレンズでなくては
ならない」のであろうか?
実はそんな事はまるで無い。
人物撮影では、一応は「パーソナル・スペース」という概念が
あって、これは見知らぬ他人が近寄って来た際に、人間が
本能的に警戒する距離の事である。
まあ、動物で言うところの「縄張り距離」のような物だ。
で、これはおよそ70cm程度と言われていて、85mmレンズでは、
このパーソナルスペースを避けて、1m以上の撮影距離で撮れる
事が利点としてある。特にポートレート撮影は異性を対象と
する場合が多いので、こうした「警戒距離」の概念は重要だ。
また逆に遠距離撮影では、人物と数m以上も離れてしまったら、
コミュニケーション(ポーズ等の指示や、会話、信頼関係等)
が弱くなる、という点から「85mmが適正」と言われていたのだ。
これらはまあ、一理ある事は確かだ。
けど別に、85mmではなくても、例えば家族、友人や恋人など
親密な関係の人物被写体であれば、近接距離で広角系レンズを
使う事も出来るし、ライブや演劇等のステージの人物撮影では、
85mmの撮影距離では遠い場合も極めて良くある。
あるいは、職業的なモデル等では、200mmや300mmレンズでの
遠距離撮影でも、ちゃんと表情やポーズを自力で作りだせる。
(一時期、1990年代頃であったか・・? 85mmレンズばかりの
人物写真が蔓延して差別化ができなくなったファッション業界
では、300mm/F2.8(サンニッパ)を使用したポートレート
撮影が流行した事がある、しかし、それも流行りすぎて、また
差別化ができなくなって沈静化してしまったのだが・・)
![c0032138_19163478.jpg]()
ここでさらに余談だが、銀塩時代、一眼レフがAE搭載等で
簡便になり、世間一般にも普及した1970年代頃の話だ・・
この頃のユーザー層は、一眼レフに50mm標準レンズを1本だけ
セットで購入していた。そして、この点は現代でも変わりないが
多くの一眼レフユーザーは、最初のセット(キット)レンズを
購入後、交換レンズを全く買わないのだ。
交換レンズは、メーカーから見れば利益の取れる商品である
これを買ってくれないと、カメラ事業が成り立たない。
だが、ユーザー層は「交換レンズの値段が高い」という問題の他、
「種類が多すぎて、どのレンズを買ったら良いかわからない」
という課題を抱えていたのだ。
そこで、メーカー、あるいは販売店、メディア(雑誌等)が
考えついたのは、レンズの焦点距離毎に推奨用途(被写体)を
決めてしまう、という事であった。
この結果、
28mm=風景、35mm=スナップ、50mm=汎用、85mm=人物
などの「常識」を作り出し、これをユーザー層に「刷り込む」
事により、交換レンズの販売を促進したのであった。
これは別に悪い事では無い、むしろ「わかりやすい売り方」
としては、褒められる販売手法であろう。
ただ、ちょっと効果が過剰であった。この「常識」は、一種の
「思い込み」となってしまい、その後の時代のユーザー層には
「人物撮影は85mmレンズでなくちゃダメだ」という強迫観念
みたいな感じで広まっていった。これはちょっと問題だ。
で、この状況は現代に至るまであまり変わっていない。
85mm以外の他の焦点距離でも同様な「刷り込み」で、今時に
おいても「スナップ撮影なら35mmだよね」と言うユーザー層も
依然多い。けど、それでは発想が固定されてしまい、写真の
アート/表現としての側面からの観点ではマイナス効果だ。
私としては、APS-C機や4/3機が乱立した2000年代のデジタル
時代で、従来所有していたレンズの画角が変化する事で、
この「常識」は変わっても良い(変わるべきだ)と思って
いたが、それはあまり起こらなかった。
むしろ、それまでの50mmレンズがAPS-C機では、75mm前後
の画角となってしまう事に多くのユーザーは違和感を覚え、
APS-C機で換算50mm程度の「標準画角」となる
35mmレンズが中古市場から一掃されてしまった(注:業者
や投機層による「買占め」もある)事もあった位だ。
さらに、例えばμ4/3機用レンズでは、42.5mmという中途半端
な焦点距離のレンズも発売されている。これはμ4/3センサーで
2倍すれば、ちょうど85mmmレンズに相当する、という意味だ。
結局、昔から、なにも変わっていない残念な状況なのだが、まあ
「あまり焦点距離と撮影用途の関係を意識しすぎる必要は無い」
というのが、この話の結論だ。
![c0032138_19163426.jpg]()
さて、余談がすっかり長くなって、本FA77/1.8の話がちっとも
出て来ないのだが、実のところ、過去、多数の記事で説明済み
のレンズであり、もうあまり新規に書く内容が無い(汗)
ロングセラーレンズで、そろそろもう「クラッシック」の
分類に入ってしまうかも知れないが、まだまだ他レンズへの
アドバンテージもあり、当面現役で十分に使える事であろう。
価格がやや高いので、初級者等の誰にでも薦める事の出来る
レンズは無いが、マニア向け又は上級者向けとしては
イチオシであろう、名玉編第1位の性能は伊達(だて)では無い。
「レンズ界のレジェンド」とも言える名玉である。
---
第23位
評価得点 3.75 (内、コスパ点 4.0)
![c0032138_19164846.jpg]()
レンズ名:KENKO PINHOLE 02
レンズ購入価格:3,000円(新品)
使用カメラ:PENTAX K-01(APS-C機)
ハイコスパ第7回記事、およびミラーレス・マニアックス等の
多数の記事で紹介の2000年代の市販ピンホール(現行製品)
![c0032138_19164896.jpg]()
これはレンズではなく「ピンホール」だ、すなわち「針穴写真」
であり、カメラの原理的な原点とも言える「Camera Obscura」
(カメラ・オブスク(キュ)ラ、暗い部屋という意味のラテン語)
の原理や歴史を学ぶ際の教材として使われる他、ピンホールの
独特のノスタルジックな描写で、銀塩時代からファン層は多い。
ピンホールは非常に暗いF値(F180~F250程度)である為、
銀塩時代の一眼レフでの使用は困難であった。すなわち
1)暗すぎて、光学ファインダーでは何も被写体が見えない。
2)暗すぎて、露出(露光)時間が、1~16秒程度にもおよび
手持ち撮影が不可能な他、そもそも露出決定が行い難く、
AE(自動露出)も、まず効かず。加えて露光中の光線状態の
変化にも追従しずらかった。
3)市販品が殆ど発売されておらず、自作するしか無かった。
その際、針穴(ピンホール)の工作精度が不足し、写りが
適正で無い場合が良くあった。
・・等と数々の問題があった為、ピンホール写真が撮りたい、
という場合でも、結構敷居が高かったように思う。
私の場合は、銀塩時代は自作ピンホールに、高性能一眼レフの
「PENTAX LX」(最長125秒という超絶的AE性能を持つ)を使って、
おまけに自前の露出計算式(外部露出計をF5.6やF8にセットして、
得られたシャッター速度の分母で1000を割った答えが概算露光
時間だ。この計算式の証明は冗長なので省略する)を編み出して、
ピンホール撮影を楽しんでいたのだが・・
「手持ち撮影不可である事」「自作なので精度が悪い事」は
免れなかった。
![c0032138_19164842.jpg]()
現代のデジタル時代、カメラのISO感度が向上し、高ISO設定を
使えば、露光時間を短くする事が出来るようになった。
今回使用のPENTAX K-01は、最高感度ISO25600であるが、
AUTO ISOでもその感度に到達するし、おまけにピンホールでも
内蔵手ブレ補正が効く。この機体であれば、日中、明るい所では
ピンホールの手持ち撮影が難なく可能だ。
勿論、これ以降の新しい機種(例:PENTAX KPではISO80万だ)
を使えば(ライブビューモードで)さらに手持ち撮影は容易だ。
そして、KENKOから、本ピンホールが市販されている。
これは針穴の工作精度が高く、描写力に優れる。
ちなみに、開放F値はカメラへの装着方法(マウント距離)に
よって若干変化するが、今回使用のケースでは約F225となる。
マウントだが、本ピンホールは、M42マウントとほぼ等価の
規格(Pマウント)である為、多くのミラーレス機でM42用
マウントアダプター等で使用が容易だ。
なお、カメラには内蔵手ブレ補正が入っていた方が望ましい事と、
依然、一眼レフでは光学ファインダーが暗くなり使用困難、かつ
一眼レフのライブビューでは、機種によってはゲイン(増幅度)
が不足して画面が暗くなってしまう場合もある。
やはりミラーレス機、しかも手ブレ補正内蔵で、かつ手ブレ補正
焦点距離の手動入力ができる機種が望ましいであろう。
そうなると、PANASONIC(近年の機種)やOLYMPUSのμ4/3機が
候補だが、画角が狭く(およそ90mm相当)なる。
(注:特殊なアダプターを自作するか、μ4/3専用自作ピンホール
では、フランジバックの短さとあいまって、むしろ広角となる)
SONY α7系のⅡ型機以降であれば、手ブレ補正の焦点距離入力も
出来、およそ45mmの標準画角となるが、やはり若干高価な機体
ばかりなので、カメラの価格が突出する「オフサイド」ルールに
抵触する(高性能なカメラに安い低性能なレンズをつけたら
システムの総合パフォーマンスのバランスが悪いと言う意味だ)
こうした理由から、私の場合は、PENTAX K-01(APS-C機)が
ピンホール母艦として最適とし、ずっとこれを利用している。
![c0032138_19164737.jpg]()
まあピンホールの基本情報はこれくらいである、他の記事でも
何度も紹介したので、これ以上の詳細は割愛しよう。
新品でも3,000円程度と安価なレンズ(ピンホール)である、
M42アダプターを持っていれば、ミラーレス機等ですぐ使える。
初級者層においては、ちょっと原理理解が苦しいかも知れないが、
それ以外の、どのユーザー層にも薦められるレンズだ。
---
第22位
評価得点 3.80 (内、コスパ点 3.5)
![c0032138_19165810.jpg]()
レンズ名: Carl Zeiss Touit 32mm/f1.8
レンズ購入価格:54,000円(中古)
使用カメラ:FUJIFILM X-T1(APS-C機)
ミラーレス・マニアックス第74回記事、名玉編第2回(12位相当)
で紹介した、2010年代のAF準広角(標準画角)単焦点レンズ。
製品名の「Touit」は「ツイート」と読む、英語の「tweet」
(=小鳥のさえずり。転じて音響用スピーカーでの高音域を
再生するものが、Tweeter(ツイーター)と呼ばれる)とは
スペルが異なるが、同義であろう。
![c0032138_19165845.jpg]()
本レンズは、ハイコスパレンズの記事では登場していない、
35mm前後のAPS-C機用準広角としては高価すぎたからである。
例えば、SONY DT35/1.8であれば、本レンズの5分の1の、
およそ1万円の中古相場で購入できるし、DT35/1.8の最短
撮影距離は、23cmと驚異的な高性能だ。
それに比べると、本レンズはだいぶ見劣りする。最短は30cm
と一般的性能だし、描写力がスペシャルという訳でも無い。
また、逆光耐性に劣り、フードの装着は必須であり、かつ
そうしてもフレアやゴースト等の発生を回避しずらい。
ただ、Zeiss(ツァイス)としては珍しいAFレンズであるし、
大柄なレンズが多いツァイスの中では小型軽量だ。
(注:現代のZeissのカメラ用レンズは、すべて日本製と
思われるが、製造メーカー名は多くが非公開となっている。
日本製だとわかったら、一般層に対してはブランドイメージ
が低下するからであろう・・ 勿論、マニア層では、そうは
思わないのだが)
本レンズは、FUJIFILM XとSONY E(NEXのAPS-C)マウントで
のみの発売と、ちょっと変わっている。
私がFUJI X用を選んだのは2つの理由からだ。
1)FUJI X用には、レンズ側に絞り環(1/3段ステップ)が
付いていて、アナログライクな操作性が実現できる。
2)私が当初使用していたFUJI X-E1は、AF/MF性能に致命的
とも言える弱点を持ち、そのままでは利用頻度が下がり、
減価償却が出来なくなる恐れがあった為、汎用性の高い
標準画角で、かつ高価なツァイスレンズを導入する事で、
X-E1の使用を促進し、減価償却後にAF性能等に優れた
Xマウントの後継機にリプレイス(置き換え)する。
この理由の2番は、ちょっと個人的すぎる理由ではあるが、
まあ、こうした状況であれば必然的という内容でもある。
結果的に、本レンズの導入から、X-E1の使用頻度は増え、
無事に減価償却(ミラーレス機では1枚2円の法則)は終了。
その後、像面位相差AF搭載で高性能化した、FUJI X-T1への
置き換えが完了した訳だ。なお、X-E1は処分せず、同機の
AF/MF性能や操作系の弱点を緩和できる「トイレンズ系の
アダプター母艦」として現役で使用を継続している。
![c0032138_19165906.jpg]()
さて、本Touit32mm/f1.8であるが、個人的には、本記事冒頭の
FA77mm/f1.8 Limitedよりも順位が上という事がちょっと納得
出来ない。本レンズはツァイスという高級ブランドのレンズで
ありながらも決して高性能という訳ではなく、前述したような
様々な細かい欠点が目立つレンズであるからだ。
ただ、これらは重欠点では無い、総合的にはそこそこ良く写る
レンズであり「描写表現力」の得点はそう悪く無い。
その他の「マニアック度」「エンジョイ度」「必要度」という
評価項目も悪く無かった。問題は「コスパ」評価なのだが、
前述のFA77/1.8が、新品で高価に入手した為、コスパ点が3点
であったのが、本レンズは中古でコスパが3.5点であった。
本シリーズ記事のランキングの順位決定計算では、コスパの
点数が影響する度合いが強い、そういう理由で本Touit32/1.8が、
超名玉のFA77/1.8を上回る順位となったのだ。
![c0032138_19165876.jpg]()
本レンズは、個人的には「性能に比べて値段が高すぎる」
(つまり不当なブランド付加価値がついている)と思っていて、
こういうタイプは、あまり好きなレンズでは無い。
だから「ハイコスパ」のシリーズ記事では紹介を見送っていた
のだが、本シリーズ記事では得点の計算結果でランキング順位が
決まってしまう。気になるコスパ点も、個人的な好き嫌いを
入れずに公平かつ客観的に評価すれば、やはり3.5点位は妥当な
ところであろう。
よって、やむなく(汗)22位相当として紹介した次第である。
---
第21位
評価得点 3.85 (内、コスパ点 4.0)
![c0032138_19171584.jpg]()
レンズ名:SONY DT30mm/f2.8 Macro SAM(SAL30M28)
レンズ購入価格:10,000円(中古)
使用カメラ:SONY α65(APS-C機)
ハイコスパ第14回記事で紹介の、2009年発売のAPS-C機専用
AF単焦点準広角(標準画角)マクロレンズ。
![c0032138_19171558.jpg]()
さて、安価なレンズである、購入価格1万円は購入時点での
相場であるが、現代であれば、さらに、もう少し安価で、
軽く1万円以下になっている事であろう。
これは勿論「エントリーレンズ」だ。上のFA77/1.8の所でも
前述したが、ビギナーの一眼レフ/ミラーレス機ユーザーは
交換レンズを全く買わない。
そこで、そうしたユーザー層に向け、安価な交換レンズを
「お試し版」として買って貰う事で、レンズ交換の楽しさを
実感してもらい、その後の各種交換レンズの販売促進に繋げる
というビジネスモデル(売り方)である。
で、「エントリーレンズ」の性能が悪ければ、新規ユーザー層は
「何だ、こんなものか」と言って、二度と交換レンズを買っては
くれなくなる。だから、この手のレンズには、その価格からは
過剰とも言える程の高性能を与えるケースが多い。
これは、極めてコスパの良いレンズとなる事は確定的だ、
が、上級層や上級マニアにおいては「少しでも高性能を得たい」
というニーズもある為、こうしたエントリーレンズを無視して、
より高価な高性能レンズで「完璧」を求めるのかも知れないが、
まあでも、一度こういうレンズを使ってみれば、「なかなか、
捨てたものでは無い」と言う事も実感できるであろう。
![c0032138_19171572.jpg]()
本レンズは最短撮影距離約13cmの「等倍マクロ」である、
APS-C機専用であるが、幸いにしてSONY αフタケタ機には
デジタル(スマート)テレコンバーターも内蔵されている為
さらに見かけ上の撮影倍率を最大2倍まで高める事も出来る。
超音波モーターでは無いがSAM(スムースAFモーター)仕様だ。
α77Ⅱ等にあるDMF(ダイレクトマニュアルフォーカス)機能も
ちゃんと動作するので、近接撮影で重要になるAF/MFの切り替え
も容易だ。(注:今回使用のα65はDMF機能無し)
手ブレ補正内蔵では無いが、勿論全てのα(A)マウント機には
ボデイ内手ブレ補正機構が搭載されている。
小型軽量で、重要は150gしか無い。
さて、いったいこれ以上、どんな性能を求めるのであろうか?
これで十分では無いか・・ 価格が安価なので、当然コスパも
極めて高い。というか、普通に評価したらランキングの上位が
こうしたエントリーレンズばかりになってしまう恐れもあった
為に、本レンズには若干だが厳し目の評価をしている節もある。
![c0032138_19171548.jpg]()
さて、弱点であるが、まずMF操作性だ。
狭く、回転角も小さく、回転感触も極めて悪いピントリング・・
これはまあ「作りの悪さ」という事とイコールである。
でも、この製品の「お試し版」としての目的上、コストダウンを
推し進めなければならない。高いお試し版、など有り得ないのだ。
まあ、やむを得ないと言えるであろう。
ただ、50mmのエントリーレンズとかであれば、この仕様でも
ぎりぎり我慢できるのであるが、マクロレンズである場合は
近接撮影では、その殆どがMF操作を要求される。
その際に、このMF操作性の悪さは、ちょっと問題だ。
で、本レンズは、この「操作性の悪いマクロ」と言う商品の
コンセプト上の矛盾点で「エンジョイ度」を厳しく(低めに)
評価しているのだ。
「エンジョイ度」の低評価は、机上の話(点数をつける為
だけの話)のみならず、これが低いと現実世界での当該機材
で写真を撮る上での楽しさが減ってしまい、出動機会が
どんどんと少なくなってしまう。
事実、本レンズを使用したマクロ撮影の頻度は、購入当初
より、だんだんと減ってきて、MINOLTA AF50mm/f2.8とか、
TAMRON SP60mm/f2等の、エンジョイ度の高いマクロを使う
ようになって行く。
ちあみに「それらのレンズは画角が違うじゃあないか」という
疑問点があるかも知れないが、実のところ、マクロ撮影での
レンズの焦点距離の差は、マクロ以外の一般レンズでの場合
よりも重要な要素では無い。すなわちマクロ撮影での画角とは
「構図内に背景を取り込む範囲の差」が主であるからだ。
(他にも勿論、ワーキング・ディスタンスの差異がある)
それをわかっていて、かつちゃんと意識すれば、極論を言えば
「マクロレンズの焦点距離なんて何でも良い」と言う事になる。
まあ、勿論、明確な撮影目的や環境や意図がある場合、例えば、
超広角マクロとか望遠マクロとかでは、そういう機材の
使用が必須となる、でも、一般的なフィルード(屋外)での
マクロ撮影では、そういう意図が明確化されるケースは稀だ。
・・さて、ここまでの話は、本レンズDT30/2.8Macroを単品で
評価した場合での話である。
しかし、近年、本レンズには別の特殊用途を与えられる事が
判明した、それは「ZENJIX soratama 72」(宙玉レンズ)を
装着する際に最適のパフォーマンスを発揮できる事である。
![c0032138_19171570.jpg]()
その詳細は、ハイコスパ第21回記事で詳しく紹介している
ので重複する為に割愛するが・・
まあすなわち、「宙玉レンズ」は、最短撮影距離ではなく
「ワーキング・ディスタンス」(=WD、レンズ前から被写体
までの最短距離)が、できるだけ短いレンズをマスター(主)
レンズとして使う事が要求されるシステムだ。
私が所有している300本以上のレンズ群から、このWDが短い
という点を考察して調べた結果、本DT30/2.8Macroが、
実用的なフィルター(アタッチメント)径(φ49mm)という
条件において、「最もWDが短いレンズ」という事がわかった。
(注:近年においては、新製品のLAOWA15mm/F4の方が
WDが短いので、そのレンズをマスターとする場合もある)
これで、「宙玉」システムを構築する際に、従来色々と試した
際のいずれよりも、圧倒的にコンパクトで簡便な状態で
「宙玉」を使用できるようになった訳だ。
この功績は大きい、「宙玉」システムで使う事のみならず、
「WDが短い事が要求される撮影」というのも(注:すぐには
思いつかないのだが、例えば撮影可能空間が極めて狭い等)
いずれ出て来るかも知れない。
そうした際に、本DT30/2.8Macroが、その目的には最適の
レンズになりうる可能性があるからだ。
本DT30mm/f2.8の総論だが、圧倒的なコスパの良さを誇る
マクロレンズである。
----
今回はこのあたりまでで、次回記事では、引き続き
ランキングレンズを順次紹介していこう。
レンズを、主にコスパ面からの評価点で順位付けし、その
BEST40をランキング形式で紹介するシリーズ記事。
本記事でも引き続き、BEST40にランクインしたレンズを
下位から順番に紹介して行こう。
(ランキングの決め方は第1回記事を参照)
---
第24位
評価得点 3.75 (内、コスパ点 3.0)

レンズ購入価格:74,000円(新品)
使用カメラ:PENTAX KP(APS-C機)
ハイコスパ第16回記事等で紹介の、2000年発売の
AF単焦点中望遠レンズ。

延べ320本以上の紹介レンズ群の中から、栄光の第一位を
獲得した超名玉である。
「ナナナナを買わずして、どのレンズを買うのだ?」とは、
本ブログ開設当初のおよそ15年前から何度も書いて来た事だ。
本レンズの弱点は、価格が高い事だけであり、他の評価項目
の全てに秀でていた為、上記の名玉編では総合力で第一位と
なった。
だが、今回のシリーズ記事は「ハイコスパの名玉」である、
価格に弱点があるFA77/1.8では、さしもの高性能であっても
第24位に留まる結果となった。
発売直後に新品購入とは言え、その発売時点(2000年)で、
74,000円はちょっと高価すぎたと思う。
が、それ以前に購入していたFA43/1.9が極めて高性能なレンズ
であった為、本レンズは急いで購入、その勢いでFA31/1.8も
発売直後に新品購入したのだが(注:FA Limiedシリーズは、
その3本のみのラインナップだ)まあ、その3本の中では、
本FA77/1.8がベストのレンズであった。
FA77/1.8は見事にツボにハマって、その後ずっと愛用している。
・・ただまあ、本レンズも、もう発売20年近くにもなる、
2000年代前半の銀塩・デジタル混在期においては本レンズは
圧倒的な実用性能を誇ったものの、2010年代後半ともなれば、
AFの遅さ(超音波モーター無し)や、絶対的な解像力不足が
気になって来ている。
つまり、まだ十分現役で使える性能があるのに、周囲の新製品に
比べて見劣りが出てくる「仕様的老朽化」が起こっている。
そこで本レンズの代替候補として、例えばTAMRON SP85mm/f1.8
(Model F016)(レンズマニアックス第4回)の使用を始めて
いるのであるが、そのレンズもやはり高価である。
SP85/1.8は、本ハイコスパ記事ではBEST40のランキング入りは
出来ずに、本シリーズ第2回記事の「番外編」として、約170位
相当(注:入手不能等で順位対象外としたレンズも全て含んだ
ランキングなので、実質的には、もっとずっと上位である)
という事になってしまっている。(また、ごく最近では中古
相場も下がって来ているので、より順位は高まったであろう)
さて、という状況であり、まだまだ本レンズFA77/1.8は
使い続ける必要があるだろうと思う。

以前より、特にライブ撮影に最も多く出動し、次いで冠婚葬祭
に使用していた。
(この上下の写真のみ、母艦はPENTAX K10Dによる撮影)

思うが、レンズ系マニアックス記事で多数の各社の85/1.4を
紹介した際に毎回のように書く事だが、「85/1.4は、ピントの
歩留まりが悪く、実用性能は意外にも低い」という弱点がある。
でも、世間には「ポートレート=85mm」の常識がある為、
本レンズの77mmという焦点距離は、銀塩時代ならばまだしも、
デジタル時代においては、PENTAXでは最初期のデジタル一眼レフ
*istD(2003年)から、近年のK-1(2016年)が発売される迄の間、
フルサイズ機は1台も無く、全てAPS-C機であった。
その状況でFA77/1.8を使おうとする場合、その換算画角は、
77x1.5で、約115mm相当となってしまう。
「これは人物撮影には長すぎるのじゃないの?」と一般ユーザー
は考えてしまう訳だ。
中途半端な焦点距離と開放F値、高価な価格、そういう一般受け
しないスペックから、本レンズはロングセラーでありながら
一部のマニア以外には全く注目されないレンズであり続けた。
だが、2000年代においても、本レンズの描写力に注目していた
上級マニアは居る事は居た。彼らは、本レンズをフルサイズで
使用する為、EOSのフルサイズデジタル機にマウントアダプター
を介して、本レンズを使ったりもしていた。
まあでも、EOS機は全般的にアダプター使用時のMF性能には
色々と問題を持つので、使い難かったのは確かな模様だが・・
さで、では、本当に「ポートレートは85mmレンズでなくては
ならない」のであろうか?
実はそんな事はまるで無い。
人物撮影では、一応は「パーソナル・スペース」という概念が
あって、これは見知らぬ他人が近寄って来た際に、人間が
本能的に警戒する距離の事である。
まあ、動物で言うところの「縄張り距離」のような物だ。
で、これはおよそ70cm程度と言われていて、85mmレンズでは、
このパーソナルスペースを避けて、1m以上の撮影距離で撮れる
事が利点としてある。特にポートレート撮影は異性を対象と
する場合が多いので、こうした「警戒距離」の概念は重要だ。
また逆に遠距離撮影では、人物と数m以上も離れてしまったら、
コミュニケーション(ポーズ等の指示や、会話、信頼関係等)
が弱くなる、という点から「85mmが適正」と言われていたのだ。
これらはまあ、一理ある事は確かだ。
けど別に、85mmではなくても、例えば家族、友人や恋人など
親密な関係の人物被写体であれば、近接距離で広角系レンズを
使う事も出来るし、ライブや演劇等のステージの人物撮影では、
85mmの撮影距離では遠い場合も極めて良くある。
あるいは、職業的なモデル等では、200mmや300mmレンズでの
遠距離撮影でも、ちゃんと表情やポーズを自力で作りだせる。
(一時期、1990年代頃であったか・・? 85mmレンズばかりの
人物写真が蔓延して差別化ができなくなったファッション業界
では、300mm/F2.8(サンニッパ)を使用したポートレート
撮影が流行した事がある、しかし、それも流行りすぎて、また
差別化ができなくなって沈静化してしまったのだが・・)

簡便になり、世間一般にも普及した1970年代頃の話だ・・
この頃のユーザー層は、一眼レフに50mm標準レンズを1本だけ
セットで購入していた。そして、この点は現代でも変わりないが
多くの一眼レフユーザーは、最初のセット(キット)レンズを
購入後、交換レンズを全く買わないのだ。
交換レンズは、メーカーから見れば利益の取れる商品である
これを買ってくれないと、カメラ事業が成り立たない。
だが、ユーザー層は「交換レンズの値段が高い」という問題の他、
「種類が多すぎて、どのレンズを買ったら良いかわからない」
という課題を抱えていたのだ。
そこで、メーカー、あるいは販売店、メディア(雑誌等)が
考えついたのは、レンズの焦点距離毎に推奨用途(被写体)を
決めてしまう、という事であった。
この結果、
28mm=風景、35mm=スナップ、50mm=汎用、85mm=人物
などの「常識」を作り出し、これをユーザー層に「刷り込む」
事により、交換レンズの販売を促進したのであった。
これは別に悪い事では無い、むしろ「わかりやすい売り方」
としては、褒められる販売手法であろう。
ただ、ちょっと効果が過剰であった。この「常識」は、一種の
「思い込み」となってしまい、その後の時代のユーザー層には
「人物撮影は85mmレンズでなくちゃダメだ」という強迫観念
みたいな感じで広まっていった。これはちょっと問題だ。
で、この状況は現代に至るまであまり変わっていない。
85mm以外の他の焦点距離でも同様な「刷り込み」で、今時に
おいても「スナップ撮影なら35mmだよね」と言うユーザー層も
依然多い。けど、それでは発想が固定されてしまい、写真の
アート/表現としての側面からの観点ではマイナス効果だ。
私としては、APS-C機や4/3機が乱立した2000年代のデジタル
時代で、従来所有していたレンズの画角が変化する事で、
この「常識」は変わっても良い(変わるべきだ)と思って
いたが、それはあまり起こらなかった。
むしろ、それまでの50mmレンズがAPS-C機では、75mm前後
の画角となってしまう事に多くのユーザーは違和感を覚え、
APS-C機で換算50mm程度の「標準画角」となる
35mmレンズが中古市場から一掃されてしまった(注:業者
や投機層による「買占め」もある)事もあった位だ。
さらに、例えばμ4/3機用レンズでは、42.5mmという中途半端
な焦点距離のレンズも発売されている。これはμ4/3センサーで
2倍すれば、ちょうど85mmmレンズに相当する、という意味だ。
結局、昔から、なにも変わっていない残念な状況なのだが、まあ
「あまり焦点距離と撮影用途の関係を意識しすぎる必要は無い」
というのが、この話の結論だ。

出て来ないのだが、実のところ、過去、多数の記事で説明済み
のレンズであり、もうあまり新規に書く内容が無い(汗)
ロングセラーレンズで、そろそろもう「クラッシック」の
分類に入ってしまうかも知れないが、まだまだ他レンズへの
アドバンテージもあり、当面現役で十分に使える事であろう。
価格がやや高いので、初級者等の誰にでも薦める事の出来る
レンズは無いが、マニア向け又は上級者向けとしては
イチオシであろう、名玉編第1位の性能は伊達(だて)では無い。
「レンズ界のレジェンド」とも言える名玉である。
---
第23位
評価得点 3.75 (内、コスパ点 4.0)

レンズ購入価格:3,000円(新品)
使用カメラ:PENTAX K-01(APS-C機)
ハイコスパ第7回記事、およびミラーレス・マニアックス等の
多数の記事で紹介の2000年代の市販ピンホール(現行製品)

であり、カメラの原理的な原点とも言える「Camera Obscura」
(カメラ・オブスク(キュ)ラ、暗い部屋という意味のラテン語)
の原理や歴史を学ぶ際の教材として使われる他、ピンホールの
独特のノスタルジックな描写で、銀塩時代からファン層は多い。
ピンホールは非常に暗いF値(F180~F250程度)である為、
銀塩時代の一眼レフでの使用は困難であった。すなわち
1)暗すぎて、光学ファインダーでは何も被写体が見えない。
2)暗すぎて、露出(露光)時間が、1~16秒程度にもおよび
手持ち撮影が不可能な他、そもそも露出決定が行い難く、
AE(自動露出)も、まず効かず。加えて露光中の光線状態の
変化にも追従しずらかった。
3)市販品が殆ど発売されておらず、自作するしか無かった。
その際、針穴(ピンホール)の工作精度が不足し、写りが
適正で無い場合が良くあった。
・・等と数々の問題があった為、ピンホール写真が撮りたい、
という場合でも、結構敷居が高かったように思う。
私の場合は、銀塩時代は自作ピンホールに、高性能一眼レフの
「PENTAX LX」(最長125秒という超絶的AE性能を持つ)を使って、
おまけに自前の露出計算式(外部露出計をF5.6やF8にセットして、
得られたシャッター速度の分母で1000を割った答えが概算露光
時間だ。この計算式の証明は冗長なので省略する)を編み出して、
ピンホール撮影を楽しんでいたのだが・・
「手持ち撮影不可である事」「自作なので精度が悪い事」は
免れなかった。

使えば、露光時間を短くする事が出来るようになった。
今回使用のPENTAX K-01は、最高感度ISO25600であるが、
AUTO ISOでもその感度に到達するし、おまけにピンホールでも
内蔵手ブレ補正が効く。この機体であれば、日中、明るい所では
ピンホールの手持ち撮影が難なく可能だ。
勿論、これ以降の新しい機種(例:PENTAX KPではISO80万だ)
を使えば(ライブビューモードで)さらに手持ち撮影は容易だ。
そして、KENKOから、本ピンホールが市販されている。
これは針穴の工作精度が高く、描写力に優れる。
ちなみに、開放F値はカメラへの装着方法(マウント距離)に
よって若干変化するが、今回使用のケースでは約F225となる。
マウントだが、本ピンホールは、M42マウントとほぼ等価の
規格(Pマウント)である為、多くのミラーレス機でM42用
マウントアダプター等で使用が容易だ。
なお、カメラには内蔵手ブレ補正が入っていた方が望ましい事と、
依然、一眼レフでは光学ファインダーが暗くなり使用困難、かつ
一眼レフのライブビューでは、機種によってはゲイン(増幅度)
が不足して画面が暗くなってしまう場合もある。
やはりミラーレス機、しかも手ブレ補正内蔵で、かつ手ブレ補正
焦点距離の手動入力ができる機種が望ましいであろう。
そうなると、PANASONIC(近年の機種)やOLYMPUSのμ4/3機が
候補だが、画角が狭く(およそ90mm相当)なる。
(注:特殊なアダプターを自作するか、μ4/3専用自作ピンホール
では、フランジバックの短さとあいまって、むしろ広角となる)
SONY α7系のⅡ型機以降であれば、手ブレ補正の焦点距離入力も
出来、およそ45mmの標準画角となるが、やはり若干高価な機体
ばかりなので、カメラの価格が突出する「オフサイド」ルールに
抵触する(高性能なカメラに安い低性能なレンズをつけたら
システムの総合パフォーマンスのバランスが悪いと言う意味だ)
こうした理由から、私の場合は、PENTAX K-01(APS-C機)が
ピンホール母艦として最適とし、ずっとこれを利用している。

何度も紹介したので、これ以上の詳細は割愛しよう。
新品でも3,000円程度と安価なレンズ(ピンホール)である、
M42アダプターを持っていれば、ミラーレス機等ですぐ使える。
初級者層においては、ちょっと原理理解が苦しいかも知れないが、
それ以外の、どのユーザー層にも薦められるレンズだ。
---
第22位
評価得点 3.80 (内、コスパ点 3.5)

レンズ購入価格:54,000円(中古)
使用カメラ:FUJIFILM X-T1(APS-C機)
ミラーレス・マニアックス第74回記事、名玉編第2回(12位相当)
で紹介した、2010年代のAF準広角(標準画角)単焦点レンズ。
製品名の「Touit」は「ツイート」と読む、英語の「tweet」
(=小鳥のさえずり。転じて音響用スピーカーでの高音域を
再生するものが、Tweeter(ツイーター)と呼ばれる)とは
スペルが異なるが、同義であろう。

35mm前後のAPS-C機用準広角としては高価すぎたからである。
例えば、SONY DT35/1.8であれば、本レンズの5分の1の、
およそ1万円の中古相場で購入できるし、DT35/1.8の最短
撮影距離は、23cmと驚異的な高性能だ。
それに比べると、本レンズはだいぶ見劣りする。最短は30cm
と一般的性能だし、描写力がスペシャルという訳でも無い。
また、逆光耐性に劣り、フードの装着は必須であり、かつ
そうしてもフレアやゴースト等の発生を回避しずらい。
ただ、Zeiss(ツァイス)としては珍しいAFレンズであるし、
大柄なレンズが多いツァイスの中では小型軽量だ。
(注:現代のZeissのカメラ用レンズは、すべて日本製と
思われるが、製造メーカー名は多くが非公開となっている。
日本製だとわかったら、一般層に対してはブランドイメージ
が低下するからであろう・・ 勿論、マニア層では、そうは
思わないのだが)
本レンズは、FUJIFILM XとSONY E(NEXのAPS-C)マウントで
のみの発売と、ちょっと変わっている。
私がFUJI X用を選んだのは2つの理由からだ。
1)FUJI X用には、レンズ側に絞り環(1/3段ステップ)が
付いていて、アナログライクな操作性が実現できる。
2)私が当初使用していたFUJI X-E1は、AF/MF性能に致命的
とも言える弱点を持ち、そのままでは利用頻度が下がり、
減価償却が出来なくなる恐れがあった為、汎用性の高い
標準画角で、かつ高価なツァイスレンズを導入する事で、
X-E1の使用を促進し、減価償却後にAF性能等に優れた
Xマウントの後継機にリプレイス(置き換え)する。
この理由の2番は、ちょっと個人的すぎる理由ではあるが、
まあ、こうした状況であれば必然的という内容でもある。
結果的に、本レンズの導入から、X-E1の使用頻度は増え、
無事に減価償却(ミラーレス機では1枚2円の法則)は終了。
その後、像面位相差AF搭載で高性能化した、FUJI X-T1への
置き換えが完了した訳だ。なお、X-E1は処分せず、同機の
AF/MF性能や操作系の弱点を緩和できる「トイレンズ系の
アダプター母艦」として現役で使用を継続している。

FA77mm/f1.8 Limitedよりも順位が上という事がちょっと納得
出来ない。本レンズはツァイスという高級ブランドのレンズで
ありながらも決して高性能という訳ではなく、前述したような
様々な細かい欠点が目立つレンズであるからだ。
ただ、これらは重欠点では無い、総合的にはそこそこ良く写る
レンズであり「描写表現力」の得点はそう悪く無い。
その他の「マニアック度」「エンジョイ度」「必要度」という
評価項目も悪く無かった。問題は「コスパ」評価なのだが、
前述のFA77/1.8が、新品で高価に入手した為、コスパ点が3点
であったのが、本レンズは中古でコスパが3.5点であった。
本シリーズ記事のランキングの順位決定計算では、コスパの
点数が影響する度合いが強い、そういう理由で本Touit32/1.8が、
超名玉のFA77/1.8を上回る順位となったのだ。

(つまり不当なブランド付加価値がついている)と思っていて、
こういうタイプは、あまり好きなレンズでは無い。
だから「ハイコスパ」のシリーズ記事では紹介を見送っていた
のだが、本シリーズ記事では得点の計算結果でランキング順位が
決まってしまう。気になるコスパ点も、個人的な好き嫌いを
入れずに公平かつ客観的に評価すれば、やはり3.5点位は妥当な
ところであろう。
よって、やむなく(汗)22位相当として紹介した次第である。
---
第21位
評価得点 3.85 (内、コスパ点 4.0)

レンズ購入価格:10,000円(中古)
使用カメラ:SONY α65(APS-C機)
ハイコスパ第14回記事で紹介の、2009年発売のAPS-C機専用
AF単焦点準広角(標準画角)マクロレンズ。

相場であるが、現代であれば、さらに、もう少し安価で、
軽く1万円以下になっている事であろう。
これは勿論「エントリーレンズ」だ。上のFA77/1.8の所でも
前述したが、ビギナーの一眼レフ/ミラーレス機ユーザーは
交換レンズを全く買わない。
そこで、そうしたユーザー層に向け、安価な交換レンズを
「お試し版」として買って貰う事で、レンズ交換の楽しさを
実感してもらい、その後の各種交換レンズの販売促進に繋げる
というビジネスモデル(売り方)である。
で、「エントリーレンズ」の性能が悪ければ、新規ユーザー層は
「何だ、こんなものか」と言って、二度と交換レンズを買っては
くれなくなる。だから、この手のレンズには、その価格からは
過剰とも言える程の高性能を与えるケースが多い。
これは、極めてコスパの良いレンズとなる事は確定的だ、
が、上級層や上級マニアにおいては「少しでも高性能を得たい」
というニーズもある為、こうしたエントリーレンズを無視して、
より高価な高性能レンズで「完璧」を求めるのかも知れないが、
まあでも、一度こういうレンズを使ってみれば、「なかなか、
捨てたものでは無い」と言う事も実感できるであろう。

APS-C機専用であるが、幸いにしてSONY αフタケタ機には
デジタル(スマート)テレコンバーターも内蔵されている為
さらに見かけ上の撮影倍率を最大2倍まで高める事も出来る。
超音波モーターでは無いがSAM(スムースAFモーター)仕様だ。
α77Ⅱ等にあるDMF(ダイレクトマニュアルフォーカス)機能も
ちゃんと動作するので、近接撮影で重要になるAF/MFの切り替え
も容易だ。(注:今回使用のα65はDMF機能無し)
手ブレ補正内蔵では無いが、勿論全てのα(A)マウント機には
ボデイ内手ブレ補正機構が搭載されている。
小型軽量で、重要は150gしか無い。
さて、いったいこれ以上、どんな性能を求めるのであろうか?
これで十分では無いか・・ 価格が安価なので、当然コスパも
極めて高い。というか、普通に評価したらランキングの上位が
こうしたエントリーレンズばかりになってしまう恐れもあった
為に、本レンズには若干だが厳し目の評価をしている節もある。

狭く、回転角も小さく、回転感触も極めて悪いピントリング・・
これはまあ「作りの悪さ」という事とイコールである。
でも、この製品の「お試し版」としての目的上、コストダウンを
推し進めなければならない。高いお試し版、など有り得ないのだ。
まあ、やむを得ないと言えるであろう。
ただ、50mmのエントリーレンズとかであれば、この仕様でも
ぎりぎり我慢できるのであるが、マクロレンズである場合は
近接撮影では、その殆どがMF操作を要求される。
その際に、このMF操作性の悪さは、ちょっと問題だ。
で、本レンズは、この「操作性の悪いマクロ」と言う商品の
コンセプト上の矛盾点で「エンジョイ度」を厳しく(低めに)
評価しているのだ。
「エンジョイ度」の低評価は、机上の話(点数をつける為
だけの話)のみならず、これが低いと現実世界での当該機材
で写真を撮る上での楽しさが減ってしまい、出動機会が
どんどんと少なくなってしまう。
事実、本レンズを使用したマクロ撮影の頻度は、購入当初
より、だんだんと減ってきて、MINOLTA AF50mm/f2.8とか、
TAMRON SP60mm/f2等の、エンジョイ度の高いマクロを使う
ようになって行く。
ちあみに「それらのレンズは画角が違うじゃあないか」という
疑問点があるかも知れないが、実のところ、マクロ撮影での
レンズの焦点距離の差は、マクロ以外の一般レンズでの場合
よりも重要な要素では無い。すなわちマクロ撮影での画角とは
「構図内に背景を取り込む範囲の差」が主であるからだ。
(他にも勿論、ワーキング・ディスタンスの差異がある)
それをわかっていて、かつちゃんと意識すれば、極論を言えば
「マクロレンズの焦点距離なんて何でも良い」と言う事になる。
まあ、勿論、明確な撮影目的や環境や意図がある場合、例えば、
超広角マクロとか望遠マクロとかでは、そういう機材の
使用が必須となる、でも、一般的なフィルード(屋外)での
マクロ撮影では、そういう意図が明確化されるケースは稀だ。
・・さて、ここまでの話は、本レンズDT30/2.8Macroを単品で
評価した場合での話である。
しかし、近年、本レンズには別の特殊用途を与えられる事が
判明した、それは「ZENJIX soratama 72」(宙玉レンズ)を
装着する際に最適のパフォーマンスを発揮できる事である。

ので重複する為に割愛するが・・
まあすなわち、「宙玉レンズ」は、最短撮影距離ではなく
「ワーキング・ディスタンス」(=WD、レンズ前から被写体
までの最短距離)が、できるだけ短いレンズをマスター(主)
レンズとして使う事が要求されるシステムだ。
私が所有している300本以上のレンズ群から、このWDが短い
という点を考察して調べた結果、本DT30/2.8Macroが、
実用的なフィルター(アタッチメント)径(φ49mm)という
条件において、「最もWDが短いレンズ」という事がわかった。
(注:近年においては、新製品のLAOWA15mm/F4の方が
WDが短いので、そのレンズをマスターとする場合もある)
これで、「宙玉」システムを構築する際に、従来色々と試した
際のいずれよりも、圧倒的にコンパクトで簡便な状態で
「宙玉」を使用できるようになった訳だ。
この功績は大きい、「宙玉」システムで使う事のみならず、
「WDが短い事が要求される撮影」というのも(注:すぐには
思いつかないのだが、例えば撮影可能空間が極めて狭い等)
いずれ出て来るかも知れない。
そうした際に、本DT30/2.8Macroが、その目的には最適の
レンズになりうる可能性があるからだ。
本DT30mm/f2.8の総論だが、圧倒的なコスパの良さを誇る
マクロレンズである。
----
今回はこのあたりまでで、次回記事では、引き続き
ランキングレンズを順次紹介していこう。