本シリーズでは、(やや)特殊な交換レンズをカテゴリー
別に紹介している。
今回は「超望遠ズームレンズ」を4本取りあげる。
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まず最初のシステム、
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レンズは、TAMRON AF200-400mm/f5.6 LD [IF]
(Model 75D)(中古購入価格 26,000円)
カメラは、CANON EOS 7D(APS-C機)
「超望遠ズームレンズ」(以下、超望遠ズーム)の定義で
あるが、本ブログにおいては「望遠端の仕様が400mm以上
のフルサイズ(一眼レフ)対応ズームレンズ」という事に
しておこう。
この条件を満たすレンズは過去を振り返ってもさほど多く無く、
全メーカーを見渡し、派生機種を含めても、20~30機種
程度であろう。
で、上記の条件を少し緩めると、
「APS-C型一眼レフ用の400mm以上の高倍率ズーム」や、
「ミラーレス機(APS-C型以下)の400mm以上のズーム」
も、近年には存在している。(が、種類は少ない)
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さて、超望遠ズームの主な用途としては、
業務用途としては、遠距離スポーツ撮影、遠距離イベント撮影
フィールド自然観察(野生動物等)
趣味用途としては、運動会撮影、野鳥撮影、動物園撮影、
遠距離スポーツ観戦、遠距離イベント、鉄道、航空機、
自然観察、天体撮影の一部、等が有り得ると思う。
超望遠ズームは、基本的に「大きく、重く、高価」という
「三重苦レンズ」な故に、趣味撮影の場合は、よほどの
用途や必要性が無いと買いにくいレンズであろう。
それと、本ブログの全ての記事で紹介の超望遠ズームの
利用法は、100%「手持ち撮影」である。
三脚を使う事は最初から想定外であり、そういう視点で
全ての超望遠ズームを評価している。
よって、望遠端が500mmを越える、又は1.5kgの重量を
越える超望遠ズームは、手持ち撮影が困難な為、過去に
おいて購入していないし、あるいは将来でも恐らく購入は
しない、よって、本ブログ記事にも一切登場する事は無い。
要は「手で持っていられない程の重いレンズは買わない」
という単純なルール(持論)である。
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さて、ここで少し歴史を振り返ってみる。
銀塩MF一眼レフ時代(概ね1970年代前後)、一眼レフでは
「レンズ交換が出来る」という重要な特徴を持つ為、肉眼とは
異なる特性を持った特殊レンズのニーズが少しづつ増えていく。
具体的には、魚眼、超広角、マクロ、超望遠などであるが、
さらに特殊なものとしては、シフト&ティルト、ソフト等も
あった。
超望遠レンズであるが、銀塩MF期においては、300mmの
単焦点望遠が一般的に入手できる最長の焦点距離であって、
これを超える物は、ある事はあったが、生産数が少ないなどで
非常に高価であったし、とても大きく重く、一般的な用途では
購入できるものではなかった。
1980年代前後ともなると、一眼レフも一般層に普及するが、
「望遠が欲しい」というのは、当時も、今も変わらないニーズ
である。
当時から存在していたアタッチメントの「テレコンバーター」を
用いると、簡単に焦点距離を1.4倍~2倍に出来るが、
同時にその分、F値(口径比)も低下してしまい、ただでさえ
暗い望遠レンズが、さらに暗くなったら、当時のフィルム感度
では、手持ち撮影は不可能であり、ハンドリング性能が低下した。
(注:「アタッチメント」とは、「付属品」という意味であり、
レンズに対するアタッチメントは、上記の「テレコン」のように
レンズ後部に装着する事もあれば、レンズ前部に装着する
光学フィルターやフロントコンバーターのような物も存在する。
したがって、一部のWEBにあるように「アタッチメント」という
用語をフィルター径の意味の代用のように用いるのは誤りだ)
超望遠が必須な撮影分野、例えば、野鳥観察、天体観測等では
カメラ用の望遠レンズでは、そもそも、より高倍率が必要な
これらの分野に対応できなかったため、地上用望遠鏡
(フィールドスコープ)や、天体望遠鏡に「アタッチメント」
(付属品)をつけ、そこに直接、銀塩一眼レフ等を装着できる
ようなシステムが普及していく。
写真用レンズとしては、1つはミラーレンズ(反射望遠鏡型、
正確には「レンズ」とは言い難い)が、500mm前後の
焦点距離で色々と発売された。
これらミラー(レンズ)は、小型軽量で超望遠域の画角を
得る事ができ、しかも比較的安価だ。
ただ、ミラー(レンズ)は、暗く、絞り値も固定で、リング状
のボケが出て、画質もガラスレンズに比較して劣るなどの
様々な課題があり、「便利ではあるが実用性は低い」という
認識であった事だろう。
もう1つは、地上用望遠鏡のレンズ構成(2群4枚等、簡単な
構造である)を写真用レンズとして転用した望遠レンズが
カメラ・レンズメーカー以外から、いくつか発売された。
これらは比較的安価ではあったが、単純な構成ゆえに、
焦点距離(500mmくらいの物が主流であった)の長さに
応じて、レンズ鏡筒の長さも相応に長くなり、非常に
長すぎて、ハンドリングに課題のあるものが殆どであった。
(カメラメーカー製としては、ニコン「おもしろレンズ工房」
の、「どどっと400」が、こうした構成だ)
さらには、レンズ・サードパーティ(SIGMA等)からも
400mm級の単焦点望遠が発売されていたケースがあるし
稀にだが、400mmないし500mm級のMFズームも一応
存在していた。(ただし、それなりに高価だった)
で、これらの安価な商品群を選ばない限りは、メーカー純正の
非常に高価な写真用(単焦点)超望遠レンズを選ぶしかなく、
それは簡単には買えない為、「望遠レンズは憧れである」という
風潮が、この頃(1970~1980年代)には、広まっていたと思う。
そして1990年代においては一眼レフはAF化し、同時に主流
の交換レンズも、単焦点からズームレンズへシフトしていく。
単焦点の望遠レンズは画角が固定である為、若干の使い難さ
があったが、超望遠ズームであれば、その問題はクリアできる。
この頃、カメラメーカー純正、またはサードパーティ製の
400mm級超望遠ズームが色々と発売されている。
(80-400mm、100-400mm等)
現代においては、20数年前のこうした初期超望遠ズームは
中古市場で極めて安価(1万円台~3万円台)に取引されている。
これらのオールド超望遠ズームの課題は、手ブレ補正や
超音波モーター等の最新機能は、当然入っていない事だ。
また、収差等が若干残っている場合があり画質(解像感)や
逆光耐性が現代レンズに対して若干見劣りする弱点があるが、
とは言え、まったく使えない、というレベルでは無いと思う。
価格帯から言えば、超望遠を必要とするビギナー層にも
オススメではあるのだが、旧式レンズを使いこなすには、
手ブレ対策や、AFの遅さ、描写力、といった弱点を、撮影技術
でカバーする必要があり、初級層ではそれは困難かも知れない。
さて、超望遠ズームの歴史は、ここで一旦終了し、紹介レンズ
の話に戻ろう。
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TAMRON AF200-400mm/f5.6 LD [IF] (以下「75D」)は、
1994年に発売されたタムロン最初期のAF超望遠ズーム
である。
これ以前のタムロンでは、非常に著名な500mmミラーレンズ
(55B,55BB)があったのと、かなりレアだが200-500/6.9
(06A)が存在したが、これらはMFレンズである。
当時からタムロンでは、高画質仕様のレンズに「SP」という
名称を与えたが、本75DはAF型番であり、SP型番では無い。
私は、本レンズを1990年代の銀塩時代に入手し、SP仕様
にも負けない高画質は大変気に入り、その後、デジタル時代に
入ってもなお使い続けている他、異マウントでの予備レンズも
所有している。また、2000年代では中古が安価(2万円前後で
買えた)事から、知人友人にも数多く薦め、その数およそ
10本、大阪近郊の中古が無くなってしまった事もあった(汗)
私が2000年代から始めたドラゴンボート競技の撮影では、
およそ10年間以上も、この75Dレンズが主力であり、
予備レンズも含め、ボロボロになってしまっている。
手ブレ補正が無いとか、超音波モーターが無いというのは、
まあ、何とでもなるし(たとえば、α一眼レフならば内蔵
手ブレ補正が効くし、ピントはMFでも十分だ)
安価な事から、雨天等の過酷な環境で使用しても問題は無い。
開放F値固定ズームである事はメリットが多く、スーミング
してもシャッター速度が変化せず、動感意図を維持できる。
あるいは、手ブレ限界と被写界深度はズーミングと比例して
変化する為、感覚的にわかりやすい。
ただし、本レンズは開放F5.6では、若干解像感が低まる為、
F7.1~F8程度に、少し絞って使う事が望ましく、その点では
暗いズームレンズと等しい。
また、直進ズームである事もメリットが大きい。
まず、レンズを引き出して使える事から、200mm端から
400mm端へ変化させる操作の速度は、1秒にも満たない。
近年の超望遠ズームは、ほぼ全てが、回転式ズームリングで
ある為、この操作性程のスピード感は得られない。
(注:例外はある、後述)
また、AFの遅い本レンズであるが、ズーミングをしながら
ピントリングを同時に廻せる、という特殊技法が存在し、
(注:これはMF時代には「ワンハンド・ズーム」等と呼ばれて
いて普遍的な機構・技法であったが、AF時代には失われていた)
これを駆使するとMFで極めて速やかにピントを合わせられる。
これも独立回転式ズーム&ピントリングでは不可能な技法だ。
ただし、直進ズームは、レンズの重心位置が変動する為、
重量バランスには常に注意する必要がある。
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なお、言わずもがなだが、本レンズ、あるいは今回紹介の
全ての超望遠ズームの使用環境は、全て「手持ち撮影」である。
いずれも1200g台程度の軽量な超望遠で、重量的な意味から
は三脚は不要だし、三脚を使用したら様々な制限事項が出て
しまう事を嫌う要素もある。
「1日中、野鳥を待つ」等の、のんびりとした趣味撮影や、
業務上では一定の撮影アングルで決められたショットを狙う
スポーツ撮影(野球やカーレース等)や、時間待ちが長い
野生動物の撮影、等の特殊なケースを除き、超望遠ズームは
手持ち撮影が基本だ(その為、あまり望遠域が長すぎて
重量も重くなるタイプは、手持ち用としては使用できない)
ただし、本75Dは、三脚座を外す事ができず、そこは不満だ。
(注:改良機175Dでは三脚座が外せるようだ→そちらは殆ど
流通しておらず、未所有)
それから、直進式ズームの知られざるデメリットだが、
雨天や高湿度環境で用いると、ズーミング操作のたびに
レンズ内部に空気が出入りし、湿気が入り込み、結露等が
発生しやすく、場合により完全に曇って撮影不能となる。
また、この状態はカビの発生のリスクもある。
ここはどうしようもなく、せっかくの過酷な撮影環境用の
レンズであるのに「環境耐性が低い」という矛盾を抱える。
(こういう場合は、1時間とかの間、使用を中断して乾燥を
待たなくてはならない)
現代では、稀に中古を見かけると1万円台前半と安価だ、
(注:これは75Dの相場。後継の175Dは、殆ど見かけない)
まあ、描写力も良好であり、コスパが極めて良いのであるが
本レンズの仕様的な未成熟を克服して使用するには、かなりの
高度な撮影スキルが必要となる。
本75Dレンズを、20年間以上も、トータルでは十数万枚も
撮影しないと、なかなか身につかないノウハウかもしれない。
ちなみに、私の推薦で本レンズを購入した他の初級中級者は
いずれも使いこなせず、死蔵させてしまっている模様だ。
(こういうケースが他にも色々あった為、近年では、利用者
のスキルを超える機材は、もう推奨しない事にしている)
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さて、次のシステム、
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レンズは、TAMRON SP AF200-500mm/f5-6.3 Di LD [IF]
(Model A08) (中古購入価格 49,800円)
カメラは、SONY α77Ⅱ(APS-C機)
2000年代の超望遠ズームであり、デジタル期に突入した
2004年の発売で、Di仕様(デジタル対応の、後玉反射防止
コーティング)となっている。
なお、Di仕様では無い旧モデルの75D等を「デジタル非対応」
と記載する事が、中古流通市場で稀にあるのだが、
実は、そこはあまり気にする必要が無く、普通に使用できる。
ただ、むしろ「デジタル非対応」と書いてくれるのであれば、
ビギナー層等は買い控えをして中古相場がさらに下がるので
そうしたレンズを故障等で買い替えをする際に、私としては
とても助かるので、その点は見逃す事にしよう。
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旧モデルの75D/175Dには無かった「SP」(高画質仕様)が
冠され、望遠端焦点距離は500mmに拡張、重量も旧モデルと
さほど変わらず1200g台と軽量、かつ三脚座が外せる。
手持ち超望遠ズームとしては非常に優れたスペックであるが、
手ブレ補正と超音波モーターは入っていない。それなのに
発売時価格は旧モデルの6万円台から、13万円台と、およそ
2倍の価格アップとなってしまった。(注:価格を上げる
理由として「SP」を冠したのであれば、本末転倒であろう。
だが、近年の高級レンズは皆そういう売り方なので、高画質の
称号を冠した製品は、コスパが悪く、嫌いになってしまった)
2000年代の超望遠ズームの市場であるが、各カメラメーカーは
純正の400mm級等ズームを発売していたが、非常に高価である。
よって、レンズサードパーティ(タムロン、シグマ、トキナー)の
400mm又は500mm級超望遠ズームが、コスパが良く感じるのと、
重量もこれらのサードパーティ製レンズの方が軽量だ。
よって、もう、この時代ではメーカー純正を買う事は実用上
では有りえず、サードパーティ製から選ぶしか無い。
で、トキナーの80-400mmズームも所有しているが、これは
やや古い仕様で性能的な課題が目立ち、後継機種も出なかった
為、ここも無視するしか無かった。
結局、タムロンとシグマからの選択になる。
さて、本レンズA08だが、発売当初は、この旧モデルから
2倍に値上げした価格帯を見て、好感を持てず、ずっと購入を
保留していた。しかし2010年代に入り、中古相場が下落、
4万円台の中古をまず購入、さらに後年には3万円台前半の
相場となった為、予備レンズとして「ナンピン買い」(株取引
で相場が下がった株を買い増し、平均購入単価を下げる事)
を行った。
まあ、「75Dの後継機として適正である」という判断となる。
で、まず、手ブレ補正無しの弱点だが、SONY機で使用すれば
本体内蔵手ブレ補正を使用できる。
(注:本レンズは、PENTAX版は発売されていない)
たいていは、これだけで対応できるが、曇天や雨天などの
暗い環境では、SONY機にはAUTO ISO時の低速限界設定が無い
ので、手動ISOとし、適宜1/500秒前後のシャッター速度が
得られるように設定する。(注:ここは初級中級層には
理解困難だろう、ある程度は後述するが、詳細は割愛する)
それから、内蔵手ブレ補正の無いNIKON機またはCANON機で
使用する場合は、これらのメーカーの高級機にはAUTO ISO
の低速限界設定があるので、これを適宜、1/500秒前後に
設定しておけば大丈夫だ。(後述の利用者のスキルによる)
ちなみに、開放F値変動ズームであるので、ズーミングで
シャッター速度が変わる。それを嫌う場合には、望遠端の
開放F値6.3以上に設定すれば、シャッター速度変動は無い。
なお、超望遠ズームは、フルサイズ機ではなくAPS-C機で
使うのが大原則である。まあ、高画素機でトリミングして
使える可能性もあるが、編集コスト(手間)が増えてしまう
為、実用/業務用途では、それはやってられない。
また、周辺収差を低減させる意味でも、超望遠画角を得る
為にも、高速連写機能が充実している状況も、いずれに
おいても、フルサイズ機で超望遠レンズを使う意味が無い。
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で、APS-C機での本A08の画角は、300-750mm相当である。
初級層の場合、手ブレを起こさないシャッター速度は、
「焦点距離分の1秒、以上が必要」というセオリーがある。
ここで望遠端に着目すると、初級層では1/750秒以上の
シャッター速度(1/1000秒で良いだろう)をキープすれば
手ブレ補正機能がなくても、手ブレは起こり難い。
中上級層で、手ブレを起こさないノウハウを色々持っていれば
シャッター速度は1/500秒か、頑張れば1/250秒程度でも
ブレずに撮影できるだろう(注:あまり遅くなると、
動体撮影の場合、被写体ブレも発生する)
よって、中上級者では、AUTO ISOの低速限界を、例えば
1/500秒という風にカメラ側で設定しておけば良い。
本レンズはズームリングとピントリングが独立回転式で
ある為、MF操作には全く向かない。超音波モーターも無い為
AF性能が弱点となりうるが、ここは超遠距離被写体の場合は
技法的な「置きピン」または「AFロック」で対応する。
(注:屋外撮影では被写体位置に応じて大きな露出差が
発生するケースが多い為、AFロック使用時でもAEロックは
掛けてはならない→そういうカメラ設定にしておく。
ただし、連写時では、最初の1枚でAFやAEが固定されて
しまうカメラもまだ多く、それら全般の原理は十分に理解と
対策の留意が必須だ。→これらは難解なので上級者向け)
他の弱点としては、大柄でハンドリング性能が悪い事だ。
具体的には、まず、本レンズは他の400mm級超望遠のように
ショルダー型の大型カメラバッグには収納できず、専用または
汎用の超望遠用ケースを用いて別途持ち運びする必要がある。
フィルター径はφ86mmもあり、これは一般的な保護フィルター
の量産品はφ82mm迄なので、入手は面倒かつ高価である。
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総括だが、本レンズは描写性能がとても良く、旧モデル75Dと
比較して1日の長がある。
75Dにあった開放近く、または超望遠域での解像感の若干の
低下は無く、ズーム全域で画質的な不満は無い。
さらには最短撮影距離も2.5mと短い事も長所である。
2010年代前半に生産中止となっていて、中古相場はどんどんと
下がってきている。現在では価格もこなれ、あまり高価では
無いので買い易く、コスパが良い。
ただし、本レンズも、そのままビギナー層が使うには、様々な
スキル(技能)が必要になるだろうから、あまり推奨は出来ない。
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では、次のシステム、
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レンズは、SIGMA 100-400mm/f5-6.3 DG OS HSM |
Contemporary(以下、C100-400)
(新古品購入価格 68,000円)
カメラは、CANON EOS 7D MarkⅡ(APS-C機)
さて、2010年代の超望遠ズームの市場であるが、あいからわず
メーカー純正超望遠は高価すぎる為、購入検討の対象外だ。
シグマだが、2000年代の旧モデルの135-400mmと150-500mm
を製造中止とし、150-600mmの仕様の製品の2モデル
(ContemporaryとSports)が2014~2015年に発売されている。
これは、軽量なContemporaryで約2kg、重量級のSportでは
3kg近くにもなり、まず重量面で手持ち撮影が不可能だ。
なので、これらも購入の対象外とした。
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この頃の市場では、こうした戦略が必須だったのであろうか?
TAMRONも旧モデルの200-500mm(上記A08)を生産中止とし、
150-600mm(A011)をSIGMAに先駆け、2013年に発売している。
こちらの重量も約2kgと重い。
TAMRONではさらに、SIGMAのSPORTSタイプに対抗する
150-600mm G2型(重量約2kg)を2016年に発売した。
だが、これら600mm級超望遠は、いかんせん重すぎる為、
業務用途でかつ三脚使用という限られた撮影ジャンルにしか
使用できない。(その用途の為か、ズームリングが簡単に
動かないように、と非常に重いように感じる、ただし個体差が
あるかも知れず、未所有につき、なんとも言えない)
また、価格も高価であり、SIGMAのSPORTS型は25万円越え、
TAMRONのG2も16万円だ。
それでも、超望遠レンズに憧れる初級中級層では、他には
超望遠ズームの選択肢が1つも無い為(注:旧機種の中古
を買い、そしてそれを使いこなすのは、初級層には無理だ)
まあ、これらのレンズ(低価格版)は良く売れていたと
思われる。
が、2010年代後半には、これらの600mm級ズームの中古が
市場に溢れかえった。すなわち、初級層が買ってみた物の、
重すぎてハンドリングが悪く、全く使う状況が無かったか
又は、全く使いこなせない(そもそも、趣味撮影でこの
レンズで何を撮るのか?)状況であったのだろう。
中古相場もどんどん下がってきて、買えない価格帯では
無くなったのだが、どうみても「手持ち撮影」は不可能である。
よって、これらの600mm級ズームを購入する事は諦めた。
しかし、この時点で、手持ち撮影可能、かつコスパに優れた
超望遠ズームは、市場から1機種も無くなってしまった(汗)
その頃(2016年頃)の本ブログでは、「小型軽量の400mm級
ズームの新発売を熱望している」と、良く書いたのだが、
やっと2017年春になって、SIGMAから本C100-400が発売
された。
現代的なスペック、すなわち内蔵手ブレ補正と超音波モーター
を持ち、重量は1100g台と軽量、フィルター径もφ67mmと
小型である。
定価は約10万円と高価だが、実売価格は600mm級ズームの
中古と同等レベルであろう、であれば「多少高くでも買いか」
という判断となった、
2017年初夏に最初に出てきた新古品を購入し、動物園等
でのテスト撮影後、早速ドラゴンボートの大会に持ち出した。
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結果はなかなか良好、描写力は現代的で何も不満は無い。
手ブレ補正も、そこそこ良く効いている。超音波モーターは
超高速とは言い難いが、まあ及第点である。
最大の長所は、回転式ズームリングでありながらも、
「レンズ先端部を持って引き出す」という直進ズーム的な
使用法に対応(メーカー推奨)している事だ。
この為、TAMRONの旧型75Dと同様、1秒以内の速やかな
ズーミング操作が可能であり、必要な撮影シーンが様々に
変化するスポーツ競技撮影に最適である。
意外な事に、本レンズはビギナー層にも評判が良く、色々な
ところで話題となっていた、と聞く。まあそれはつまり、
これまでの600mm級ズームでは、ハンドリングが悪くて
使えるシーンが少なかったのが、本レンズであれば、趣味撮影
の範囲でも、運動会、動物園、野鳥、航空機、鉄道、などの
様々な撮影ジャンルに対応できるからであろう。
手持ち撮影も十分に可能な小型軽量+手ブレ補正であり、
まさしく初級中級層向け超望遠ズームである。
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課題はコスパのみだ、私の場合は、新古品をすぐに買って
しまったので若干高すぎたが、現在の中古相場は5万円台と
まあ、高価すぎるという事は無い。
しかし冷静に考えると、1990年代~2000年代の旧型の中古
超望遠ズームは、1万円台から高くても3万円台で買える為、
それらに比べると2~3倍も高価である事は確かである。
ビギナー層であれば、最新の本C100-400を買うのが望ましい
が、中上級層であれば、旧型レンズでも弱点をカバーしながら
使う事は可能であろう。
まあ、すなわち、初級層は本レンズを買えば、それで済む。
中上級層は、それぞれの用途に応じて、異なる超望遠ズーム
を複数所有して、使い分ければ良い、という事になると思う。
それらを中古で3~4本も購入したところで、カメラメーカー
純正の超望遠ズームを1本買うよりも安価なのだ。
特に超望遠ズームは屋外の過酷な環境で使われるケースが
多いと思う、あまりに高価すぎるレンズの場合は、
その価格自体がネックとなってしまい、使い勝手が悪化する
ケースも多々ある事は良く理解しておく必要があるだろう。
(安全な環境で、甘やかして使うしか出来ない、という事だ)
まあ、高額機材を会社等から貸与してもらえる職業写真家層で
あれば、あまりそのあたりは気にする必要は無いのかも
知れないが、世の中の大多数は、そんな恵まれた環境では無く
機材等は、全て自腹で買わなければならない訳だ。
価格の問題は非常に大きなポイントとなる。
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さて、ラストのシステム、
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レンズは、TAMRON 100-400mm/f4.5-6.3 Di VC USD
(Model A035) (新古品購入価格 62,000円)
カメラは、NIKON D500(APS-C機)
前述のSIGMA C100-400の完全な対抗馬として、2017年末に
発売されたレンズ。両者のスペックは、ほぼ同等であり
描写力を含めて、殆ど同じ性能だと思えば良いし、見た目や
サイズ感もそっくりである。
定価はこちらのTAMRON版がやや安価で、9万円だ。
本レンズも、これまで新型の400mmズームが、なかなか出て
来なかった2010年代の市場状況においては貴重なレンズで
ある故に、発売後に最初に出てきた新古品を2018年初頭に
購入。野鳥等でのテスト撮影後に、ドラゴンボート競技の
主力レンズとしてSIGMA C100-400とともに使用している。
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SIGMA版との差異であるが、性能や描写力は全くといって
良い程同等である。以下は、ほんの僅かな相違点であるが
TAMRON版のA035の方が、若干手ブレ補正が良く効くようにも
感じる。(シャッター半押しで手ブレ補正が有効になるので
その差異が感覚的にはっきりわかりやすい、という要素もある)
ただ、これは僅かな差異だし、別に必須の性能でもなく、
ニコン機で使うならば、AUTO ISOの低速限界速度を変更して
おけば、手ブレ補正の性能とは無関係に使用できる。
また、本A035は簡易防滴構造となっている。
逆に弱点だが、SIGMA版では、レンズ先端を引き出して
ズーミングするという荒技が許されているが、TAMRON版では、
その用法は非推奨となっている。
しかし、実用上では、回転式ズームを指でチマチマと廻して
いたら、スポーツ競技の撮影には間に合わない為、自己責任で、
本レンズも同様にレンズ先端を引き出して使う訳だ。
その際、やはり非推奨である、その動作が、かなり重い。
あまり無理すると壊れそうなので、酷使はやめておこう。
それから、A035は、ニコン用でも電磁絞り採用だ。
連写時の露出安定性が高まるメリットがあるが、逆に
ニコン機以外のマウントで使用するのは不可能に近い。
あと、手ブレ補正は良く効くと書いたが、シャッターを
切る直前に補正の微調整が行われ、わずかに構図がズレる
感覚がある。これは厳密な構図で撮影をしようとする際
(例:ギリギリで被写体を入れる等)少々気持ち悪い。
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まあ、これらは弱点だとは言えないが実用上では大きな差異だ。
今回、SIGMA版とTAMRON版の400mm級ズームを、連続して
購入したのは、今後の主力望遠ズームをどちらにするかを
決める意味もあった。現状では、どちらも使用1~2年なので
まだ十分な使用年数経験とは言えないが、まあそれでも各々
数万枚以上づつは撮影しているので、だいたいの様子はわかる。
その評価結果は以下となった。
晴天時の使用=SIGMA 100-400
雨天時の使用=TAMRON 100-400
やはり直進ズーム風に使えるSIGMA版が、スポーツ競技全般での
使用メリットが大きい、ここは小さな差だが実用上では大差だ。
ただ、雨天の場合は天候耐性に優れるTAMRON版が安全であろう
旧来、75D等は雨天での使用では結露の問題が最大のネックで
あったが、本A035は大丈夫だ。
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でも結局、いずれのレンズもマウント違いの予備機が必要になる
状況だと思われる。その際、問題になるのは、どちらのメーカー
も、この2010年代後半においては、ニコン用とキヤノン用しか
発売されていない状態だ(注:SIGMA版はSIGMA機用がある)
例えば、SONY用/PENTAX用があれば、レンズ側の手ブレ補正は
不要であるし、SONY機では、有益なデジタルテレコンが効く。
また、PENTAX機は中級機でも防滴構造の物が多く、天候耐性が
高いのだ。これらはそれなりに意味やメリットがあるのだが、
カメラ市場の縮退により、レンズ販売マウントが制限されて
しまう事は残念な状況である。
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さて、今回の記事「超望遠ズームレンズ」は、このあたり迄で、
次回記事に続く・・
別に紹介している。
今回は「超望遠ズームレンズ」を4本取りあげる。
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まず最初のシステム、
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(Model 75D)(中古購入価格 26,000円)
カメラは、CANON EOS 7D(APS-C機)
「超望遠ズームレンズ」(以下、超望遠ズーム)の定義で
あるが、本ブログにおいては「望遠端の仕様が400mm以上
のフルサイズ(一眼レフ)対応ズームレンズ」という事に
しておこう。
この条件を満たすレンズは過去を振り返ってもさほど多く無く、
全メーカーを見渡し、派生機種を含めても、20~30機種
程度であろう。
で、上記の条件を少し緩めると、
「APS-C型一眼レフ用の400mm以上の高倍率ズーム」や、
「ミラーレス機(APS-C型以下)の400mm以上のズーム」
も、近年には存在している。(が、種類は少ない)
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業務用途としては、遠距離スポーツ撮影、遠距離イベント撮影
フィールド自然観察(野生動物等)
趣味用途としては、運動会撮影、野鳥撮影、動物園撮影、
遠距離スポーツ観戦、遠距離イベント、鉄道、航空機、
自然観察、天体撮影の一部、等が有り得ると思う。
超望遠ズームは、基本的に「大きく、重く、高価」という
「三重苦レンズ」な故に、趣味撮影の場合は、よほどの
用途や必要性が無いと買いにくいレンズであろう。
それと、本ブログの全ての記事で紹介の超望遠ズームの
利用法は、100%「手持ち撮影」である。
三脚を使う事は最初から想定外であり、そういう視点で
全ての超望遠ズームを評価している。
よって、望遠端が500mmを越える、又は1.5kgの重量を
越える超望遠ズームは、手持ち撮影が困難な為、過去に
おいて購入していないし、あるいは将来でも恐らく購入は
しない、よって、本ブログ記事にも一切登場する事は無い。
要は「手で持っていられない程の重いレンズは買わない」
という単純なルール(持論)である。
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銀塩MF一眼レフ時代(概ね1970年代前後)、一眼レフでは
「レンズ交換が出来る」という重要な特徴を持つ為、肉眼とは
異なる特性を持った特殊レンズのニーズが少しづつ増えていく。
具体的には、魚眼、超広角、マクロ、超望遠などであるが、
さらに特殊なものとしては、シフト&ティルト、ソフト等も
あった。
超望遠レンズであるが、銀塩MF期においては、300mmの
単焦点望遠が一般的に入手できる最長の焦点距離であって、
これを超える物は、ある事はあったが、生産数が少ないなどで
非常に高価であったし、とても大きく重く、一般的な用途では
購入できるものではなかった。
1980年代前後ともなると、一眼レフも一般層に普及するが、
「望遠が欲しい」というのは、当時も、今も変わらないニーズ
である。
当時から存在していたアタッチメントの「テレコンバーター」を
用いると、簡単に焦点距離を1.4倍~2倍に出来るが、
同時にその分、F値(口径比)も低下してしまい、ただでさえ
暗い望遠レンズが、さらに暗くなったら、当時のフィルム感度
では、手持ち撮影は不可能であり、ハンドリング性能が低下した。
(注:「アタッチメント」とは、「付属品」という意味であり、
レンズに対するアタッチメントは、上記の「テレコン」のように
レンズ後部に装着する事もあれば、レンズ前部に装着する
光学フィルターやフロントコンバーターのような物も存在する。
したがって、一部のWEBにあるように「アタッチメント」という
用語をフィルター径の意味の代用のように用いるのは誤りだ)
超望遠が必須な撮影分野、例えば、野鳥観察、天体観測等では
カメラ用の望遠レンズでは、そもそも、より高倍率が必要な
これらの分野に対応できなかったため、地上用望遠鏡
(フィールドスコープ)や、天体望遠鏡に「アタッチメント」
(付属品)をつけ、そこに直接、銀塩一眼レフ等を装着できる
ようなシステムが普及していく。
写真用レンズとしては、1つはミラーレンズ(反射望遠鏡型、
正確には「レンズ」とは言い難い)が、500mm前後の
焦点距離で色々と発売された。
これらミラー(レンズ)は、小型軽量で超望遠域の画角を
得る事ができ、しかも比較的安価だ。
ただ、ミラー(レンズ)は、暗く、絞り値も固定で、リング状
のボケが出て、画質もガラスレンズに比較して劣るなどの
様々な課題があり、「便利ではあるが実用性は低い」という
認識であった事だろう。
もう1つは、地上用望遠鏡のレンズ構成(2群4枚等、簡単な
構造である)を写真用レンズとして転用した望遠レンズが
カメラ・レンズメーカー以外から、いくつか発売された。
これらは比較的安価ではあったが、単純な構成ゆえに、
焦点距離(500mmくらいの物が主流であった)の長さに
応じて、レンズ鏡筒の長さも相応に長くなり、非常に
長すぎて、ハンドリングに課題のあるものが殆どであった。
(カメラメーカー製としては、ニコン「おもしろレンズ工房」
の、「どどっと400」が、こうした構成だ)
さらには、レンズ・サードパーティ(SIGMA等)からも
400mm級の単焦点望遠が発売されていたケースがあるし
稀にだが、400mmないし500mm級のMFズームも一応
存在していた。(ただし、それなりに高価だった)
で、これらの安価な商品群を選ばない限りは、メーカー純正の
非常に高価な写真用(単焦点)超望遠レンズを選ぶしかなく、
それは簡単には買えない為、「望遠レンズは憧れである」という
風潮が、この頃(1970~1980年代)には、広まっていたと思う。
そして1990年代においては一眼レフはAF化し、同時に主流
の交換レンズも、単焦点からズームレンズへシフトしていく。
単焦点の望遠レンズは画角が固定である為、若干の使い難さ
があったが、超望遠ズームであれば、その問題はクリアできる。
この頃、カメラメーカー純正、またはサードパーティ製の
400mm級超望遠ズームが色々と発売されている。
(80-400mm、100-400mm等)
現代においては、20数年前のこうした初期超望遠ズームは
中古市場で極めて安価(1万円台~3万円台)に取引されている。
これらのオールド超望遠ズームの課題は、手ブレ補正や
超音波モーター等の最新機能は、当然入っていない事だ。
また、収差等が若干残っている場合があり画質(解像感)や
逆光耐性が現代レンズに対して若干見劣りする弱点があるが、
とは言え、まったく使えない、というレベルでは無いと思う。
価格帯から言えば、超望遠を必要とするビギナー層にも
オススメではあるのだが、旧式レンズを使いこなすには、
手ブレ対策や、AFの遅さ、描写力、といった弱点を、撮影技術
でカバーする必要があり、初級層ではそれは困難かも知れない。
さて、超望遠ズームの歴史は、ここで一旦終了し、紹介レンズ
の話に戻ろう。
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1994年に発売されたタムロン最初期のAF超望遠ズーム
である。
これ以前のタムロンでは、非常に著名な500mmミラーレンズ
(55B,55BB)があったのと、かなりレアだが200-500/6.9
(06A)が存在したが、これらはMFレンズである。
当時からタムロンでは、高画質仕様のレンズに「SP」という
名称を与えたが、本75DはAF型番であり、SP型番では無い。
私は、本レンズを1990年代の銀塩時代に入手し、SP仕様
にも負けない高画質は大変気に入り、その後、デジタル時代に
入ってもなお使い続けている他、異マウントでの予備レンズも
所有している。また、2000年代では中古が安価(2万円前後で
買えた)事から、知人友人にも数多く薦め、その数およそ
10本、大阪近郊の中古が無くなってしまった事もあった(汗)
私が2000年代から始めたドラゴンボート競技の撮影では、
およそ10年間以上も、この75Dレンズが主力であり、
予備レンズも含め、ボロボロになってしまっている。
手ブレ補正が無いとか、超音波モーターが無いというのは、
まあ、何とでもなるし(たとえば、α一眼レフならば内蔵
手ブレ補正が効くし、ピントはMFでも十分だ)
安価な事から、雨天等の過酷な環境で使用しても問題は無い。
開放F値固定ズームである事はメリットが多く、スーミング
してもシャッター速度が変化せず、動感意図を維持できる。
あるいは、手ブレ限界と被写界深度はズーミングと比例して
変化する為、感覚的にわかりやすい。
ただし、本レンズは開放F5.6では、若干解像感が低まる為、
F7.1~F8程度に、少し絞って使う事が望ましく、その点では
暗いズームレンズと等しい。
また、直進ズームである事もメリットが大きい。
まず、レンズを引き出して使える事から、200mm端から
400mm端へ変化させる操作の速度は、1秒にも満たない。
近年の超望遠ズームは、ほぼ全てが、回転式ズームリングで
ある為、この操作性程のスピード感は得られない。
(注:例外はある、後述)
また、AFの遅い本レンズであるが、ズーミングをしながら
ピントリングを同時に廻せる、という特殊技法が存在し、
(注:これはMF時代には「ワンハンド・ズーム」等と呼ばれて
いて普遍的な機構・技法であったが、AF時代には失われていた)
これを駆使するとMFで極めて速やかにピントを合わせられる。
これも独立回転式ズーム&ピントリングでは不可能な技法だ。
ただし、直進ズームは、レンズの重心位置が変動する為、
重量バランスには常に注意する必要がある。
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全ての超望遠ズームの使用環境は、全て「手持ち撮影」である。
いずれも1200g台程度の軽量な超望遠で、重量的な意味から
は三脚は不要だし、三脚を使用したら様々な制限事項が出て
しまう事を嫌う要素もある。
「1日中、野鳥を待つ」等の、のんびりとした趣味撮影や、
業務上では一定の撮影アングルで決められたショットを狙う
スポーツ撮影(野球やカーレース等)や、時間待ちが長い
野生動物の撮影、等の特殊なケースを除き、超望遠ズームは
手持ち撮影が基本だ(その為、あまり望遠域が長すぎて
重量も重くなるタイプは、手持ち用としては使用できない)
ただし、本75Dは、三脚座を外す事ができず、そこは不満だ。
(注:改良機175Dでは三脚座が外せるようだ→そちらは殆ど
流通しておらず、未所有)
それから、直進式ズームの知られざるデメリットだが、
雨天や高湿度環境で用いると、ズーミング操作のたびに
レンズ内部に空気が出入りし、湿気が入り込み、結露等が
発生しやすく、場合により完全に曇って撮影不能となる。
また、この状態はカビの発生のリスクもある。
ここはどうしようもなく、せっかくの過酷な撮影環境用の
レンズであるのに「環境耐性が低い」という矛盾を抱える。
(こういう場合は、1時間とかの間、使用を中断して乾燥を
待たなくてはならない)
現代では、稀に中古を見かけると1万円台前半と安価だ、
(注:これは75Dの相場。後継の175Dは、殆ど見かけない)
まあ、描写力も良好であり、コスパが極めて良いのであるが
本レンズの仕様的な未成熟を克服して使用するには、かなりの
高度な撮影スキルが必要となる。
本75Dレンズを、20年間以上も、トータルでは十数万枚も
撮影しないと、なかなか身につかないノウハウかもしれない。
ちなみに、私の推薦で本レンズを購入した他の初級中級者は
いずれも使いこなせず、死蔵させてしまっている模様だ。
(こういうケースが他にも色々あった為、近年では、利用者
のスキルを超える機材は、もう推奨しない事にしている)
----
さて、次のシステム、
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(Model A08) (中古購入価格 49,800円)
カメラは、SONY α77Ⅱ(APS-C機)
2000年代の超望遠ズームであり、デジタル期に突入した
2004年の発売で、Di仕様(デジタル対応の、後玉反射防止
コーティング)となっている。
なお、Di仕様では無い旧モデルの75D等を「デジタル非対応」
と記載する事が、中古流通市場で稀にあるのだが、
実は、そこはあまり気にする必要が無く、普通に使用できる。
ただ、むしろ「デジタル非対応」と書いてくれるのであれば、
ビギナー層等は買い控えをして中古相場がさらに下がるので
そうしたレンズを故障等で買い替えをする際に、私としては
とても助かるので、その点は見逃す事にしよう。
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冠され、望遠端焦点距離は500mmに拡張、重量も旧モデルと
さほど変わらず1200g台と軽量、かつ三脚座が外せる。
手持ち超望遠ズームとしては非常に優れたスペックであるが、
手ブレ補正と超音波モーターは入っていない。それなのに
発売時価格は旧モデルの6万円台から、13万円台と、およそ
2倍の価格アップとなってしまった。(注:価格を上げる
理由として「SP」を冠したのであれば、本末転倒であろう。
だが、近年の高級レンズは皆そういう売り方なので、高画質の
称号を冠した製品は、コスパが悪く、嫌いになってしまった)
2000年代の超望遠ズームの市場であるが、各カメラメーカーは
純正の400mm級等ズームを発売していたが、非常に高価である。
よって、レンズサードパーティ(タムロン、シグマ、トキナー)の
400mm又は500mm級超望遠ズームが、コスパが良く感じるのと、
重量もこれらのサードパーティ製レンズの方が軽量だ。
よって、もう、この時代ではメーカー純正を買う事は実用上
では有りえず、サードパーティ製から選ぶしか無い。
で、トキナーの80-400mmズームも所有しているが、これは
やや古い仕様で性能的な課題が目立ち、後継機種も出なかった
為、ここも無視するしか無かった。
結局、タムロンとシグマからの選択になる。
さて、本レンズA08だが、発売当初は、この旧モデルから
2倍に値上げした価格帯を見て、好感を持てず、ずっと購入を
保留していた。しかし2010年代に入り、中古相場が下落、
4万円台の中古をまず購入、さらに後年には3万円台前半の
相場となった為、予備レンズとして「ナンピン買い」(株取引
で相場が下がった株を買い増し、平均購入単価を下げる事)
を行った。
まあ、「75Dの後継機として適正である」という判断となる。
で、まず、手ブレ補正無しの弱点だが、SONY機で使用すれば
本体内蔵手ブレ補正を使用できる。
(注:本レンズは、PENTAX版は発売されていない)
たいていは、これだけで対応できるが、曇天や雨天などの
暗い環境では、SONY機にはAUTO ISO時の低速限界設定が無い
ので、手動ISOとし、適宜1/500秒前後のシャッター速度が
得られるように設定する。(注:ここは初級中級層には
理解困難だろう、ある程度は後述するが、詳細は割愛する)
それから、内蔵手ブレ補正の無いNIKON機またはCANON機で
使用する場合は、これらのメーカーの高級機にはAUTO ISO
の低速限界設定があるので、これを適宜、1/500秒前後に
設定しておけば大丈夫だ。(後述の利用者のスキルによる)
ちなみに、開放F値変動ズームであるので、ズーミングで
シャッター速度が変わる。それを嫌う場合には、望遠端の
開放F値6.3以上に設定すれば、シャッター速度変動は無い。
なお、超望遠ズームは、フルサイズ機ではなくAPS-C機で
使うのが大原則である。まあ、高画素機でトリミングして
使える可能性もあるが、編集コスト(手間)が増えてしまう
為、実用/業務用途では、それはやってられない。
また、周辺収差を低減させる意味でも、超望遠画角を得る
為にも、高速連写機能が充実している状況も、いずれに
おいても、フルサイズ機で超望遠レンズを使う意味が無い。
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初級層の場合、手ブレを起こさないシャッター速度は、
「焦点距離分の1秒、以上が必要」というセオリーがある。
ここで望遠端に着目すると、初級層では1/750秒以上の
シャッター速度(1/1000秒で良いだろう)をキープすれば
手ブレ補正機能がなくても、手ブレは起こり難い。
中上級層で、手ブレを起こさないノウハウを色々持っていれば
シャッター速度は1/500秒か、頑張れば1/250秒程度でも
ブレずに撮影できるだろう(注:あまり遅くなると、
動体撮影の場合、被写体ブレも発生する)
よって、中上級者では、AUTO ISOの低速限界を、例えば
1/500秒という風にカメラ側で設定しておけば良い。
本レンズはズームリングとピントリングが独立回転式で
ある為、MF操作には全く向かない。超音波モーターも無い為
AF性能が弱点となりうるが、ここは超遠距離被写体の場合は
技法的な「置きピン」または「AFロック」で対応する。
(注:屋外撮影では被写体位置に応じて大きな露出差が
発生するケースが多い為、AFロック使用時でもAEロックは
掛けてはならない→そういうカメラ設定にしておく。
ただし、連写時では、最初の1枚でAFやAEが固定されて
しまうカメラもまだ多く、それら全般の原理は十分に理解と
対策の留意が必須だ。→これらは難解なので上級者向け)
他の弱点としては、大柄でハンドリング性能が悪い事だ。
具体的には、まず、本レンズは他の400mm級超望遠のように
ショルダー型の大型カメラバッグには収納できず、専用または
汎用の超望遠用ケースを用いて別途持ち運びする必要がある。
フィルター径はφ86mmもあり、これは一般的な保護フィルター
の量産品はφ82mm迄なので、入手は面倒かつ高価である。
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比較して1日の長がある。
75Dにあった開放近く、または超望遠域での解像感の若干の
低下は無く、ズーム全域で画質的な不満は無い。
さらには最短撮影距離も2.5mと短い事も長所である。
2010年代前半に生産中止となっていて、中古相場はどんどんと
下がってきている。現在では価格もこなれ、あまり高価では
無いので買い易く、コスパが良い。
ただし、本レンズも、そのままビギナー層が使うには、様々な
スキル(技能)が必要になるだろうから、あまり推奨は出来ない。
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では、次のシステム、
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Contemporary(以下、C100-400)
(新古品購入価格 68,000円)
カメラは、CANON EOS 7D MarkⅡ(APS-C機)
さて、2010年代の超望遠ズームの市場であるが、あいからわず
メーカー純正超望遠は高価すぎる為、購入検討の対象外だ。
シグマだが、2000年代の旧モデルの135-400mmと150-500mm
を製造中止とし、150-600mmの仕様の製品の2モデル
(ContemporaryとSports)が2014~2015年に発売されている。
これは、軽量なContemporaryで約2kg、重量級のSportでは
3kg近くにもなり、まず重量面で手持ち撮影が不可能だ。
なので、これらも購入の対象外とした。
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TAMRONも旧モデルの200-500mm(上記A08)を生産中止とし、
150-600mm(A011)をSIGMAに先駆け、2013年に発売している。
こちらの重量も約2kgと重い。
TAMRONではさらに、SIGMAのSPORTSタイプに対抗する
150-600mm G2型(重量約2kg)を2016年に発売した。
だが、これら600mm級超望遠は、いかんせん重すぎる為、
業務用途でかつ三脚使用という限られた撮影ジャンルにしか
使用できない。(その用途の為か、ズームリングが簡単に
動かないように、と非常に重いように感じる、ただし個体差が
あるかも知れず、未所有につき、なんとも言えない)
また、価格も高価であり、SIGMAのSPORTS型は25万円越え、
TAMRONのG2も16万円だ。
それでも、超望遠レンズに憧れる初級中級層では、他には
超望遠ズームの選択肢が1つも無い為(注:旧機種の中古
を買い、そしてそれを使いこなすのは、初級層には無理だ)
まあ、これらのレンズ(低価格版)は良く売れていたと
思われる。
が、2010年代後半には、これらの600mm級ズームの中古が
市場に溢れかえった。すなわち、初級層が買ってみた物の、
重すぎてハンドリングが悪く、全く使う状況が無かったか
又は、全く使いこなせない(そもそも、趣味撮影でこの
レンズで何を撮るのか?)状況であったのだろう。
中古相場もどんどん下がってきて、買えない価格帯では
無くなったのだが、どうみても「手持ち撮影」は不可能である。
よって、これらの600mm級ズームを購入する事は諦めた。
しかし、この時点で、手持ち撮影可能、かつコスパに優れた
超望遠ズームは、市場から1機種も無くなってしまった(汗)
その頃(2016年頃)の本ブログでは、「小型軽量の400mm級
ズームの新発売を熱望している」と、良く書いたのだが、
やっと2017年春になって、SIGMAから本C100-400が発売
された。
現代的なスペック、すなわち内蔵手ブレ補正と超音波モーター
を持ち、重量は1100g台と軽量、フィルター径もφ67mmと
小型である。
定価は約10万円と高価だが、実売価格は600mm級ズームの
中古と同等レベルであろう、であれば「多少高くでも買いか」
という判断となった、
2017年初夏に最初に出てきた新古品を購入し、動物園等
でのテスト撮影後、早速ドラゴンボートの大会に持ち出した。
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手ブレ補正も、そこそこ良く効いている。超音波モーターは
超高速とは言い難いが、まあ及第点である。
最大の長所は、回転式ズームリングでありながらも、
「レンズ先端部を持って引き出す」という直進ズーム的な
使用法に対応(メーカー推奨)している事だ。
この為、TAMRONの旧型75Dと同様、1秒以内の速やかな
ズーミング操作が可能であり、必要な撮影シーンが様々に
変化するスポーツ競技撮影に最適である。
意外な事に、本レンズはビギナー層にも評判が良く、色々な
ところで話題となっていた、と聞く。まあそれはつまり、
これまでの600mm級ズームでは、ハンドリングが悪くて
使えるシーンが少なかったのが、本レンズであれば、趣味撮影
の範囲でも、運動会、動物園、野鳥、航空機、鉄道、などの
様々な撮影ジャンルに対応できるからであろう。
手持ち撮影も十分に可能な小型軽量+手ブレ補正であり、
まさしく初級中級層向け超望遠ズームである。
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しまったので若干高すぎたが、現在の中古相場は5万円台と
まあ、高価すぎるという事は無い。
しかし冷静に考えると、1990年代~2000年代の旧型の中古
超望遠ズームは、1万円台から高くても3万円台で買える為、
それらに比べると2~3倍も高価である事は確かである。
ビギナー層であれば、最新の本C100-400を買うのが望ましい
が、中上級層であれば、旧型レンズでも弱点をカバーしながら
使う事は可能であろう。
まあ、すなわち、初級層は本レンズを買えば、それで済む。
中上級層は、それぞれの用途に応じて、異なる超望遠ズーム
を複数所有して、使い分ければ良い、という事になると思う。
それらを中古で3~4本も購入したところで、カメラメーカー
純正の超望遠ズームを1本買うよりも安価なのだ。
特に超望遠ズームは屋外の過酷な環境で使われるケースが
多いと思う、あまりに高価すぎるレンズの場合は、
その価格自体がネックとなってしまい、使い勝手が悪化する
ケースも多々ある事は良く理解しておく必要があるだろう。
(安全な環境で、甘やかして使うしか出来ない、という事だ)
まあ、高額機材を会社等から貸与してもらえる職業写真家層で
あれば、あまりそのあたりは気にする必要は無いのかも
知れないが、世の中の大多数は、そんな恵まれた環境では無く
機材等は、全て自腹で買わなければならない訳だ。
価格の問題は非常に大きなポイントとなる。
----
さて、ラストのシステム、
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(Model A035) (新古品購入価格 62,000円)
カメラは、NIKON D500(APS-C機)
前述のSIGMA C100-400の完全な対抗馬として、2017年末に
発売されたレンズ。両者のスペックは、ほぼ同等であり
描写力を含めて、殆ど同じ性能だと思えば良いし、見た目や
サイズ感もそっくりである。
定価はこちらのTAMRON版がやや安価で、9万円だ。
本レンズも、これまで新型の400mmズームが、なかなか出て
来なかった2010年代の市場状況においては貴重なレンズで
ある故に、発売後に最初に出てきた新古品を2018年初頭に
購入。野鳥等でのテスト撮影後に、ドラゴンボート競技の
主力レンズとしてSIGMA C100-400とともに使用している。
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良い程同等である。以下は、ほんの僅かな相違点であるが
TAMRON版のA035の方が、若干手ブレ補正が良く効くようにも
感じる。(シャッター半押しで手ブレ補正が有効になるので
その差異が感覚的にはっきりわかりやすい、という要素もある)
ただ、これは僅かな差異だし、別に必須の性能でもなく、
ニコン機で使うならば、AUTO ISOの低速限界速度を変更して
おけば、手ブレ補正の性能とは無関係に使用できる。
また、本A035は簡易防滴構造となっている。
逆に弱点だが、SIGMA版では、レンズ先端を引き出して
ズーミングするという荒技が許されているが、TAMRON版では、
その用法は非推奨となっている。
しかし、実用上では、回転式ズームを指でチマチマと廻して
いたら、スポーツ競技の撮影には間に合わない為、自己責任で、
本レンズも同様にレンズ先端を引き出して使う訳だ。
その際、やはり非推奨である、その動作が、かなり重い。
あまり無理すると壊れそうなので、酷使はやめておこう。
それから、A035は、ニコン用でも電磁絞り採用だ。
連写時の露出安定性が高まるメリットがあるが、逆に
ニコン機以外のマウントで使用するのは不可能に近い。
あと、手ブレ補正は良く効くと書いたが、シャッターを
切る直前に補正の微調整が行われ、わずかに構図がズレる
感覚がある。これは厳密な構図で撮影をしようとする際
(例:ギリギリで被写体を入れる等)少々気持ち悪い。
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今回、SIGMA版とTAMRON版の400mm級ズームを、連続して
購入したのは、今後の主力望遠ズームをどちらにするかを
決める意味もあった。現状では、どちらも使用1~2年なので
まだ十分な使用年数経験とは言えないが、まあそれでも各々
数万枚以上づつは撮影しているので、だいたいの様子はわかる。
その評価結果は以下となった。
晴天時の使用=SIGMA 100-400
雨天時の使用=TAMRON 100-400
やはり直進ズーム風に使えるSIGMA版が、スポーツ競技全般での
使用メリットが大きい、ここは小さな差だが実用上では大差だ。
ただ、雨天の場合は天候耐性に優れるTAMRON版が安全であろう
旧来、75D等は雨天での使用では結露の問題が最大のネックで
あったが、本A035は大丈夫だ。
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状況だと思われる。その際、問題になるのは、どちらのメーカー
も、この2010年代後半においては、ニコン用とキヤノン用しか
発売されていない状態だ(注:SIGMA版はSIGMA機用がある)
例えば、SONY用/PENTAX用があれば、レンズ側の手ブレ補正は
不要であるし、SONY機では、有益なデジタルテレコンが効く。
また、PENTAX機は中級機でも防滴構造の物が多く、天候耐性が
高いのだ。これらはそれなりに意味やメリットがあるのだが、
カメラ市場の縮退により、レンズ販売マウントが制限されて
しまう事は残念な状況である。
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さて、今回の記事「超望遠ズームレンズ」は、このあたり迄で、
次回記事に続く・・