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【玄人専科】匠の写真用語辞典(16)~ルール・法則編 Part 1

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一般的なカメラユーザー層には普及していない「特殊用語」や
「本ブログ独自の用語や概念」を解説するシリーズ記事。

今回は最後のカテゴリーの「ルール・法則編」のPart1記事とする。
このカテゴリーでは、経験的要素からなる持論としてのルールや
法則について述べるが、ここは誰にでも(どのユーザーにも)
これらが当てはまるとは言い切れず、あくまで独自の考え方で
あるのだが、各ユーザーでこの考え方を任意にアレンジするのは
十分に有りだ、つまり「カメラライフにおいては、何らかの主義や
コンセプトを自身で持つ事が重要である」という視点である。
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<ルール・法則編>Part 1

★1枚3円の法則
 独自概念。

 現代のデジタルカメラは「仕様老朽化」(第8回記事参照)
 により、ずっと使い続ける訳にはいかず、あるタイミングで
 次の機種にリプレイス(買い替え、買い増し)を行わなくては
 ならない。これは購入後の期間(例:5年経ったら買い換える)
 などで判断する手法もあるかとは思うが、本ブログでは明確に
 買い替え時期を意識する手段として「1枚3円の法則」を良く
 掲げている。
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 以下は趣味撮影の範囲での話となるが、この法則は単純に、
「カメラの購入価格を撮影枚数で割り、それが3円に達したら、
 十分に元を取ったと判断し、次のカメラに買い換えて良い」
 という機材購入上での独自ルールだ。
 あるいは正確な用語の意味は異なるが、これを「減価償却」と
 呼ぶ場合もある。

 これは具体的には、
 ・中古3万円で購入のデジカメ→1万枚撮影で償却完了
 ・新品12万円で購入のデジカメ→4万枚撮影で償却完了
 となり、計算自体は簡単だ。

 ただ、これはユーザーの、そのカメラの用途、使用頻度、そして
 中古相場の下落具合など、様々な条件があり、これが容易な場合
 も厳しい場合も出てくる。
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 容易なケースとしては、2010年前後の初期ミラーレス機は
 次々と新製品が出てきて中古相場の下落が速く、高性能機で
 あっても2万円程度の価格で購入でき、7000枚程度の撮影ならば、
 すぐに完了する為、次の機種へのリプレイスは早かった。
(この為、この時期の安価なミラーレス機は「1枚2円の法則」
 とし、ルールを若干厳しくしている)
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 あるいは2010年代前半の高速連写一眼レフは、近年では9万円
 程度の中古相場であり、この場合は3万枚の撮影が必要だ。
 しかし、これらの機種をイベント撮影などで使用すると1日の
 撮影が数千枚に及ぶ事もあり、これらの枚数到達も難しく無い。
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 難しいケースとしては、単写が中心の趣味撮影用途の高級
 フルサイズ一眼レフ等であり、例えば15万円の中古購入であれば
 5万枚の撮影は、単写では容易では無い(何年もかかる)


 また、近年の高付加価値ミラーレス機も、中古12万円とかなると
 4万枚の撮影は容易では無く、さらに厳しい1枚2円の法則では
 6万枚の撮影は到底到達不能だ、仮にずっと使い続けてそれを
 クリアしようとしても、すでに後継機がとんでもない高性能に
 なってきており、買い換えないとストレスが溜まるばかりだ。
(=仕様老朽化寿命、発売後10年迄の法則)

 という事で、この「1枚3円の法則」は、あくまで目安である、
 ただ、なんらかのこうしたルールを持っていないと、高価な
 最新機種を新品で購入した上、次々に新製品に買い換えるなど
 計画性に欠ける購買行動に走ってしまいかねない。

 特に初級層が高級機を欲しがる傾向が強い現代の市場においては
 30万円もする高額カメラを買った初級者が10万枚を撮る事は
 不可能と言えるので、このルールに当てはめてみれば、相当に
 効率の悪い買い物である事は容易に理解できるであろう。

 新製品カメラは魅力的なカタログスペックを並べたてるので
 誘惑の多い製品分野である事は確かだ、そこで自身の購買行動に
 ちゃんとルールを決めておかないと、せっせとカメラ市場に
 大金を貢いでしまっている事にもなってしまう。

 しかし、近年はカメラ市場が縮退しており、各カメラメーカーは
 なかなか事業の維持が厳しい状態だ。そういう点では、あまり
 コスパやらにシビアではない初級中級層には、せっせと高価な
 新製品カメラを買ってもらって、市場を潤して貰いたいという
 気持ちもある。さもないと過去いくつもの事例があったように
 どんどんカメラメーカーが減っていって、寂しいばかりか、
 製品を選ぶ為の選択肢も、どんどん狭くなるからだ(売れて、
 かつ儲かるカメラやレンズしかメーカー側が作らなくなる為)
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 まあつまり、この話は、機材購入側(ユーザー)のコンセプト
(考え方、方針)次第だ。
 この「1枚3円の法則」を「守らなくてはならない」という話では
 無いので念のため。
 私も、近年のカメラ価格の高騰を鑑みて、この法則は適宜
 変化させていかなければならないとも思っている。

★トリプルスリーの法則
 独自概念。

 これはマニア向けのルール(持論)である。
 マニアと呼ぶからには、以下の3つの、3の数字絡みの条件を
 最低限満たすべきである、という考え方(定義)だ。
 ・合計30台以上の機材(カメラやレンズ)の保有数
 ・30年以上前の機材(カメラやレンズ)を所有していて
  かつ使っている(又は使った事がある)事
 ・年間3万枚以上の撮影枚数

 この条件を全て満たす事は意外に難しい。コレクター系の
 マニアであれば、台数と古い機材は余裕だろうが、撮影枚数が
 足りなかったりする。また、ガンガン撮影する実践派マニアは
 年間3万枚の撮影は容易だろうが、古い機材を使っていない。
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 うち、「古い機材」という条件は、何故あるのか?と言えば、
 古い機材を使う事で、現代の機材とどこが異なり、どのように
 技術が発展・進化してきたのか?という点に興味を持つように
 なるからである。現代の機材は確かに高機能だが、それらが全て
 本当に自分の撮影目的にとって必要なものかどうかを判断する
 という意味でも、古いシンプルな撮影機材を使って見ることは
 有益である。

 なお、関連して「同一メーカーの製品ばかりを使っている」という
 状況でも、他社に比べて、それがどこが優れていてどこが劣って
 いるかが判断できない。だから上記法則に「3メーカー以上の
 機材を使っている」という条件を加えてみようかとも思ったが
「トリプルスリ-」にならず、語呂が悪いので見送った(笑)

 なお、この法則での「値」をどれくらいに設定するかも
 人それぞれだ、だが、概ね「マニア」と呼ばれる状況では、
 上記の値は全て満たしてもらいたいとも思う。
 私の場合は、上記条件は自身ではとっくにクリアしており、
 より高い条件を目指して、個人目標値を遥かに引き上げている。
(それもまた、何かを追求するという「マニア道」の一環だ)
  
★保護フィルター5%の法則
 独自概念。

 交換レンズを購入する際、多くの場合で「保護フィルター」の
 同時購入も必須であろう。

 まあ、銀塩時代の一部のマニアでは、保護フィルターの使用は
「たった1枚のガラスでも画質に影響が出る」などと言って嫌う
 人も居た。だが、そうであれば高価な、または貴重なレンズを
 非常に丁寧に扱わなければならず、実用目的には適さなくなって
 しまう。三脚を立てて1日に数枚しか撮らない事もあった銀塩時代
 ならばともかく、デジタル時代は1日に様々な場所で計数千枚の撮影
 というケースも良くある、やはり現代では「保護フィルター」の
 常時使用は必須であろう。
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 では所有レンズの本数が増えたら、保護フィルターはどうする
 べきか? 例えば同じフィルター径のレンズであれば、撮影前に
 いちいち付け替えて(使いまわして)使えない事も無い。
 事実、私の場合大口径レンズのNDフィルターはそうしているが、
(注:カメラの最高シャッター速度オーバーを避ける目的だ)
 NDは、その日の天候(被写体の明るさ)に依存するので、減光率
 の異なるもの(ND2~ND8)を色々と準備しておいて、複数を
 使いまわすことは、やむを得ない。
 が、保護フィルターでは、そんな事は面倒でやってられないので、
 通常はレンズ毎にそれぞれ保護フィルターを装着したままだ。
(注:特にF2.8以上の小口径レンズは、そんな感じだ。
 F2以下の大口径レンズでは、保護フィルターは装着せずに、
 使用環境に合わせてNDフィルターを選択するケースが多い)

 さてここで、保護フィルターの価格は、どう考えれば良いの
 であろうか? 高性能な仕様(薄枠、高透過率、コーティング、
 撥水機能など)の場合は、非常に高価(1万円前後)のものも
 多々存在する。確かに高性能なものは欲しいのではあるが、
 レンズの価値(価格)にもよりけりであろう、例えば中古で
 1万円で購入した安価なレンズに1万円の高級保護フィルターを
 使っていたら、何をやっているのかわからなくなる。

 そこで今回の法則だが「保護フィルター5%の法則」である。
 これは「レンズの購入価格(新品、中古)の5%の金額までを
 保護フィルターに使ってよい」というルール(持論)だ。

 2万円のレンズであれば、1000円のフィルター、これは新品では
 買え無いので中古買いとなるだろう(中古であれば径によっては
 1000円程度までで十分買える)
 10万円のレンズでは5000円が保護フィルター代の目安だ、
 これはフィルター径があまり大きくなければ、新品でも買える
 値段帯だ。

 別に、この5%の法則に拘らなくても、ユーザーが好きに比率
 又は上限金額を決めておけば良い、そこは人それぞれだ。
 ただ「ルールを決めておく事も大事である」という意味だ。
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 なお、超望遠ズームや大口径望遠レンズ等では、フィルター径が
 非常に大きくφ82mm~φ95mmにも及ぶ事がある、このクラスの
 大径保護フィルターは流通量が少なく、中古は稀で、新品は
 高価な取り寄せ品となる場合もある(1万円以上するものもざらだ)
 この場合のみ、5%ルールを保つ事が困難になる事もあるが、
 まあケースバイケースで適宜柔軟に対応していけばよい。

★カメラとレンズ、1対4の法則
 独自概念。

 現代のデジタルカメラと交換レンズにおいて、どちらが価値が
 高いのか?と言えば、当然交換レンズ側だ。
 デジタルカメラは「仕様老朽化」により、時間と共に、どんどんと
 製品価値が低下していく、例えば10数年も前のカメラであれば、
 どんな高級機でも、発売時の1/5~1/10の中古相場まで落ち込む。
 実際の使用上での価値感覚も、だいたい中古相場に連動して来る
 雰囲気であり、「仕様老朽化」により、古いデジタル機は気分的
 にも使用したくなくなってくる。
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 ところが、レンズはあまり価値が落ちない。「オールドレンズ」
 と言うと、レア(希少)で高価なものを思い浮かべる人が多いと
 思うが、それは「投機的」な意味での価値であり、ここで言う
 価値は、あくまで「実用価値」だ。その点においては、例えば
 30年前程度の普通のMF/AFレンズでも、実用上では十分に良く写り
 何ら不満は無いものもいくつもある、つまり良いレンズであれば
 少なくとも20年や30年は継続して使える訳だ。
(注:ちゃんと適切に保管して、経年劣化させない事が重要だ。
 また、描写力は、組み合わせるカメラのセンサー仕様や設定にも
 依存するが、この原理は高度であり、ここでの説明は割愛する)

 AF/デジタル時代になって、各メーカーのマウント仕様の変化等で
 使い難いレンズも出ては来たが、幸いミラーレス時代になって
 どんなマウントのレンズも、ほぼ利用が自由になった。
 そういう意味では、ますますカメラよりレンズの価値が大きい。

 で、この事実に基づき、初級者などがカメラを新調する際には
「カメラよりもレンズの予算を重視するように」と常々伝えては
 いる、だが残念ながら多くのビギナー層は、これが理解できない。
 カメラ本体ばかりに目がいき、レンズの事はちっとも考えない。
(まあ、交換レンズに関する知識が皆無である事も原因だ)
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 なので、例えば10万円の予算で、カメラ本体が8万円相当
 ダブルズームキットが計2万円相当、等という買い方が普通と
 なってしまう、だが、これだとその付属レンズの価値は
 初級層が想像する以上に低く、高性能交換レンズを買った際
 などは、もうキットズームは完全に用途を無くしてしまう。
(つまり、無駄な買い物であったと言える)

 上記のケースでは、予算配分的にカメラ本体が4、レンズが1の
 比率だ、しかし、この持論では、その予算配分は、そっくり反対
 であり、カメラ本体が1に対し、レンズ側4が理想的である。

 例えば同じ10万円の機材購入予算があったとする、これが一眼
 レフでもミラーレスでも良いが、本体は2万円までだ。初級層で
 あれば高性能機でも機能を使いこなせない。少し古い世代の中古
 カメラであれば、この価格でも十分買えるし、上達して物足りなく
 なれば、適宜、高価な機種に買い換えたり買い増しすれば良い。

 残った8万円の予算で、4万円クラスの高性能中古レンズを2本
 買っても良いし、8万円の超高性能中古レンズでも良いし、
 中古2万~2万5000円の中級レンズを3~4本買っても良い訳だ。
 その初級者は、まだ何をどう撮りたいかの、ニーズも持っていない
 からレンズを選ぶのは難しいだろうが、そこは周囲のベテラン層が
 初級者のニーズを聞き出し、または予想して、それらに合致した
 レンズを選んであげれば良いと思う。

 この「カメラ1対レンズ4の法則」は、初級層だけに当てはまる
 ルールでは無く、中上級層でも同様だ。
 例えば、カメラ本体に10万円をつぎ込んだのであれば、
 それに見合う交換レンズ群の総予算は、概ね40万円だ。
 10万円の高性能レンズを4本買うか、20万円の超高価格レンズを
 2本買うか、はたまた安いレンズを沢山買うかは、そのユーザー
 の目的や機材購入コンセプト次第であるが、ともかく予算配分は
 それくらいにする事が適正であると思われる。
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 なお、現代ではマウントアダプター等を使う事も出来、
 この法則の摘要は同一マウントシステムだけの範囲では留まらない
 場合もある(例:SIGMA製高性能レンズをEOS機とSONY FE機で
 兼用している中上級ユーザーも居る。あるいはα7系カメラ
 で多数のオールドレンズを使いまわすマニアも多い等)
 そんな場合では、複数のカメラの購入予算と、複数のレンズの
 購入予算のトータルでの比率が1対4になれば良いであろう。

 例えば、少し贅沢な話だが、ボーナス等が出た上級マニアの
 機材購入予算が100万円あったとしよう、この金額をどう使うか
 というのは、カメラ本体で20万円、レンズで80万円が適正だ、
(勿論ここは複数台の合計金額であっても良い)

 あるいは、自身が今まで購入したきた機材の個々の金額を
 メモしておくなども有効な手法だ。たいてい、カメラ本体側で
 使ってきた予算比率が大きずぎるのが良く分かると思う。
 特に新機種などの購入を何度か続けていると、それだけで
 軽く50万円やそこらの予算が費やされている事に気付くと思う、 
 前述したように、それらは時間の経過とともに実用価値が激減
 して、どうみてもアンバランスな結果になってしまうのだ。
 もし、そうであれば、しばらくはレンズ側の充実へ機材購入の
 視点をシフトするべきだと思う。

 ちなみに、カメラ本体は、使わなければ売却や譲渡もやむを
 得ないと思うが、レンズを処分するのは好ましく無い。これは
 レンズの価値が高い事が理由だが、十年以上もマニアを続けて
 いれば、特にその事は様々に強く実感してくる事であろう。

★オフサイドの法則
 独自概念。

 上記「1対4の法則」に関連して、撮影に使用するシステムに
 おいて、カメラ本体の価格が、使用するレンズの価格よりも
 あまり上回る事は好ましく無い、という法則である。

「オフサイド」とは、サッカーやラグビー等で、プレーしては
 ならない範囲(概ね守備側を超えて突出する)で攻撃するのを
 戒めるルールだ。もしこれを許すと、競技自体がつまらなく
 なったり、フェアでは無い、等の問題が発生するからなのだが、
 これを転じて、カメラ本体の価格が、本来はレンズよりも低い
 価値であるにも係わらずに突出してしまう事を、本ブログでは
「オフサイド」と呼び、これを禁止する持論となっている。
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 その目安は、できればカメラの中古価格(年月とともに落ちる)
 を装着レンズ価格が下回らないようにするのが妥当ではあるが、
 極端に価格の安価なレンズ(例:ハイコスパのシリーズ記事で
 紹介のレンズ群)では、これを守る事が困難な場合もあり、
 あるいは近年の新鋭カメラは、どれも高価になりすぎていて、
 より高価なレンズだけを装着する事が困難な事もある。

 よって、このルールは適宜緩和したりするケースも多いのだが、
 それでも基本は、「カメラをあまり高くしすぎない」であり、
 原則的には、このルールを良く意識すると良い。

 これを意識していないと、そもそも格好悪い。というのも、
 高価な最新鋭カメラのピカピカの新品に、安価なレンズを
 つけて撮影している初級層があまりに多いのだ、これでは
「レンズの価値がわかっていない」、「カメラ本体に予算を
 つぎこみ、良いレンズを買う余裕が無かった」などの印象を
 周囲に与えてしまう訳だ。
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 そうならない為にも、カメラ本体に対する装着レンズの価格は
 少なとも本体価格の1/2以上とするべきであろう。20万円の
 カメラであれば、10万円以上のレンズは使うべきと言い換える
 事もできる。そう考えていくと、あまりに高価過ぎるカメラは
 自身の所有レンズの価値からもアンバランスに感じるように
 なっていく。そうなってくれば、前項で説明した「1対4の法則」
 に、おのずと近くなっていき、理想的なカメラとレンズの予算
 配分が実現していく訳だ。

 なお、この「オフサイド状態」は、より厳密に言えば、価格
 の比率のみならず、性能の比率も要素としてある。
 具体例を挙げれば、AF性能がとても優れた機体に、トイレンズ
 などのAF性能が全く関係無いMFレンズを装着したり、同様に
 AF性能および高速連写性能の優れた機体で動画を撮影する
 なども類似であり、これらも広義の「オフサイド状態」である。
 つまり、カメラとレンズのパフォーマンス(性能)や、用法が、
 どうにもアンバランスな状況を指す用語である。


★焦点距離系列論
 独自概念。

 交換レンズを複数所有(または持ち出す)する際に(注:ここでは
 単焦点レンズでの話で、かつフルサイズ換算での話を主体にする。
 また、単一のカメラでレンズ交換をする他、複数のカメラを同時に
 持ち出すケースも含まれる)
 いったい何mmと何mmのレンズを持っていくべきか?
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 例えば、20mm広角と200mm望遠では焦点距離が離れすぎて
 いて、なかなか被写体探しの統一感が得られない事であろう。
 かと言って、50mm標準と35mm準広角の2本では、焦点距離が
 近すぎて、レンズ交換をしたり、2台のカメラを持ち替えて撮る
 必然性があまり無い。

 このような場合に、レンズを交換する目安となる、焦点距離の
 差異を考えたルールが、この「焦点距離系列論」である。

 まず最初に2つの基本概念(持論)を述べておく。
 1)焦点距離系列は、画角(≒焦点距離)が概ね2倍となる
  比率的な差異を目安とする。
 2)焦点距離系列は2系統ある。
 となっている。

 まず1)から説明しよう。 
 50mmレンズから望遠側に交換する場合、その目安は、100mm、
 200mm、400mmとなる。ここでは、だいたい焦点距離も画角も
 2倍づつ変化する。

 逆に50mmレンズを広角側に交換する場合、28mm,20mmとなる。
 ただし、ここはちょっと焦点距離も画角も2倍とはならないが、
 広角の場合は、人間の感覚的な広さの変化もあってやっかいだ。
 なので、あえてこう定義しているのが1つ、もう1つの理由は、
 単焦点レンズの焦点距離のラインナップ(販売の系列)が、
 こういう感じで普及しているからである。

 で、これをまとめた「焦点距離系列(その1)」は以下となる。
 14mm,20mm,28mm,50mm,100mm,200mm,400mm・・

 別の言い方をすれば、これより細かい焦点距離の刻み幅で
 単焦点交換レンズを持ち出しても レンズ交換の必然性が
 あまり無いという事だ(例:85mmと100mmと135mmレンズを
 同時に持ち出す必要性は殆ど無い、100mmが1本あれば画角的な
 意味からは十分だ)
 あるいは2本を選ぶ際、これらの中からチョイスする。
 例として28mmと50mmを持ち出すという事だが、仮に隣接する
 数字の2本でなくても、28mmと100mmという同系列に乗って
 いれば、あまり違和感が無くレンズ交換が可能なように思える。


 なお、勿論これは画角的な意味の差だけの話であり、レンズ毎の
 開放F値の差による被写界深度の差やら、最短撮影距離の差による
 用途の違い、撮影技法の違い、等はこの持論には含まれない。

 またこれは単焦点レンズでの話であり、ズームには摘要されない
 のではあるが、それでも例えば、50-100mmのズーム等は、
 あまり画角的な用途は多くは無く、75mmや85mmのレンズを1本
 持っていれば、たいてい対応が可能だ、という話にも繋がる。
 そして現代のデジタル機の写真ではトリミングも容易である為、
 ますます画角的な意味での汎用性は銀塩時代よりも高い。

 さて、「焦点距離系列」の2)の話で「2つある」というのは、
 上記の焦点距離(画角)が2倍変化する系列を、個々に√2倍
 前後変えた系列があるという事だ。
 これについては、ここも概ねの焦点距離での話なのだが、
 12mm.17mm,24mm,35mm,85mm,135mm,300mm,
 600mm・・ という 「焦点距離系列」(その2)が有りうる。

 
 これもまた、レンズ交換の目安として有益であり、例えば
 旅行や気軽な散歩撮影等で被写体が特定していない場合等は、
「35mmと85mmの2本を持っていく」などの目安となる。
c0032138_17315322.jpg
 さて、この2種類の系列には。実はユーザー毎の好みが
 銀塩時代には存在していた模様だ。
「オレは広角は28mm派」という人は、24mmや35mmは苦手に
 感じてしまう事があった、けどそれは1つは28mmの画角感覚が
 身についているから、そこと少し違う画角は違和感を感じる
 という要素がある。しかし、それ以上に「系列の好み」が
 存在していた模様であり、28mm派は、50mmも100mmも
 何となく使いこなせるが、28mm派は、85mmや135mmは
 違和感がある模様だ。
c0032138_17315270.jpg
 で、デジタル時代に入って、当初APS-C機が主体で普及した為、
 上記の2つの「好みの系列」が、そっくり入れ替わってしまった。
 50mm派は、APS-C機では75~80mmの画角となり、とても違和感
 を感じる、同様に旧来の35mm派は、およそ50mmの標準画角が
 どうにも撮り難かった模様だ。
 これは画角が変わったからよりも「好みの系列」が変わって
 しまった理由もあったのだろう、と推察している。
 
 デジタル初期には、この問題への対策の為、中級マニア層を中心に
 APS-C機で標準画角となる「35mmレンズ」の需要が急増した、
 中古市場からは35mm近辺のレンズが一掃され、ほとんど入手不可能
 になってしまったのだ。数年でその傾向は沈静化したのは、1つは
 新しい「焦点距離系列」にユーザー側が慣れたこと、もう1つは
 APS-C機専用30mm/F1.4標準など、従来の系列と反転した単焦点や
 新規の系列に対応したズームレンズも普及してきたからであろう。
 
 ただ、そう考えると、やはりこの「焦点距離系列」は単なる
 利用者の好みや慣れに依存していたのだろうと思われる。
 要は、どんな焦点距離であっても、あるいは、それがフルサイズ、
 APS-C、μ4/3などで画角が変わっても、すぐに画角感覚を
 アジャストできるようになれば良い、と言う話だと思う。

 沢山の焦点距離の単焦点レンズで、個々に沢山の写真を撮れば
 その画角感覚は養われていく、それがまたズームを使った際での
 スキルアップにも繋がると思う、実際には「焦点距離系列論」
 よりも、その点(画角感覚の習得)が遥かに重要だ。

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さて、今回の記事は、このあたりまでで、
次回は、「ルール・法則編 Part2」の用語解説を行う。


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