毎年恒例、JR京都駅の冬の風物詩、「大階段駆け上がり大会」
だが、今年もまた、知人チームの応援撮影に向かった。
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2019年2月23日(土)、この日の京都の最高気温は12℃位と
平年並み。本大会の一昨年は寒く、雪が降る天候であったが、
この会場は半屋外であるので、低い気温は選手にも観戦者にも
辛い状態である。なお、昨年は最高気温は14℃位と暖かく、
観戦には絶好のコンディションであったが、若干だが選手達
にとっては、気温が高すぎる様相もあったかも知れない。
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さて、本大会のレギュレーションについては、毎年の本大会の
観戦記事での説明と重複するが、今回も簡単に述べておこう。
*JR京都駅新装開業(1997年)から始まったスポーツイベント で、
同駅の171段の大階段を駆け上がるタイムを競う競技である。
*1チームは4人構成、シニア(45最以上)、女子、オープン
(年齢性別無関係)x2名からなり、この順番で個々に走る。
*4チームが同時に出走、順次4名が次々に走り、チーム戦と
しては、メンバー4名の合計タイムで競う。
*80~100チームが参加、20~25レースが行われる。
*シニア、女子、オープン、それぞれのカテゴリー別で上位
タイム者への個人表彰がある。
*チーム戦と個人戦では上位入賞表彰のみならず飛び賞もある。
*チームでの参加は、申し込み抽選制度となっていて、
抽選に外れると参加できないが、実績のある上位チームは
シードとして優先的に参戦できる場合もあると聞く(?)
(注;シードについては詳細不明。上位チームでも、抽選に
漏れた様子も何度か見て来ている)
*5年連続で優勝したチームまたは個人は「殿堂入り」となる。
チームの場合は、翌年以降、同一メンバーでの参加は出来ない。
(注:メンバーとチーム名を変えればチームで参加可能だが、
個人の場合は、どうなるかは良く知らない→前例無し)
*参加チームは条件を満たせば誰でも可。募集については、
TV(KBS京都)でコマーシャルも流れる程、大々的である。
また、大会終了後2~3週間で、KBS京都にて、1時間の
特集番組が放映される。
という感じだ。
きりの良い年(第20回大会等)では、参加チーム枠を拡張する
ケースもあるが、本年は第22回の通常大会であり、若干少な目の
80チームの参戦、計20レースとなっている。
(参加選手計320人。注;何チームか棄権があった模様だ)
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本大会の写真だが、基本的には個人的な応援撮影であるから、
公式カメラマンのように自由に選手達を撮ってWebに掲載する
事は出来ない。あくまで知人の範囲に限るし、本記事においても
掲載写真の選手達からは、全て掲載許可をいただいている。
世間一般では、SNSの普及等で肖像権の扱いが不明慮になって
いる世情があるが、こうした事は世の中の基本的なモラルなので、
そのあたりは一般撮影者においても十分に留意する必要がある。
(勝手に見知らぬ他人をSNSに投稿しない、という意味だ、
対策は簡単で、アップしたい場合は個々に許可をいただけば良い、
アスリート達は、基本、そのあたりには寛容な事が多い筈だ)
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さて、私も観戦3年目となれば、見所もだいぶわかっているし、
知己のチームや選手達も増えて来ている。
今回の私の観戦および撮影の目的(注目点)を挙げておこう。
1)応援チーム1:階段の守り人(昨年総合8位)の今年の順位
2)応援チーム2:のだがわ~ず(昨年総合3位)の今年の順位
3)昨年男子個人成績1位の「上昇気竜」チームのS氏が、
前人未到のタイム20秒を切る事が出来るか?(昨年20秒24)
4)レジェンド女王の「のだがわ~ず」チームのKさんが、
今年は優勝を奪還できるか?(過去2度優勝、昨年3位)
5)新女王、「2019」チーム(昨年は「2018」チーム)の
現役アスリートのWさんがタイムを更新できるか(昨年24秒)
6)強豪チーム達、「ラパンエール」「上昇気竜」「2019」、
「のだがわ~ず」等の優勝争いの行方。
となっている。
なお、昨年注目であった「関西アスリートクラブ」および
所属の美人女子選手Sさん(チーム9位、女子個人4位)は、
残念ながら今年は「抽選に外れた」との事(会場には応援に
来ていらっしゃったが、選手としてでは無いので、撮影は
行っていない)
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撮影機材は、もうだいたいこの会場用に適したシステムが
わかってきていて、具体的には、高速連写機NIKON D500に
TAMRON AF18-270mm/f3.5-5.6(B008)がメイン機材であり、
人物撮影用には、OLYMPUS OM-D E-M5Ⅱに単焦点レンズ
(昨年は45mm/F1.8、今年は30mm/F3.5マクロ)の
組み合わせとなっている。
高倍率(高ズーム比)のTAMRON B008は、描写力はあまり
高くない(コントラストがやや低く、解像感も低い)が、
画角的には約27mm~約400mm相当と、選手達が階段を
駆け上がる際の遠景から、近距離(目前を通過する時点)迄
全般の画角に適する。
会場に来ている他のアマチュア層および記録カメラマンの
機材を見ていると、望遠ズームや標準ズームという機材が
殆どであるが、それらではレースに関して言えば、遠距離
または近距離のいずれかしか(画角的に)撮影が出来ず、
不利な機材であろう。(撮影状況に応じた適正な機材選択が
出来ていない時点で、ビギナー層と見なす事ができる)
また、複数台のカメラの持ち替えは、競技撮影可能時間が
毎レースあたりで最大10秒間程であるので、その間に
カメラを交換して撮影するのは、まず不可能だ(一昨年に
試してみたが、殆ど間に合わなかった・汗)
やはり、この競技を撮るには、高倍率(高ズーム比)の
レンズしか有り得ない。まあ普段は描写力の観点から言って、
このようなズームレンズの使用は個人的には好みでは無いの
だが、こうした記録撮影用途では必須のレンズとなる。
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機材はそれで良いとして、撮影上の注意点はいくつもある。
まず、選手が階段を駆け上がる数秒~十数秒の間に速やかで
スムースなズーミング操作を望遠側から広角側まで行う必要が
あり、これは少々難易度の高い撮影となる。
全力疾走の選手達の速度は極めて速く、初めてこの競技を
見たら、きっと驚くかもしれない。何せ171段の階段を20秒
そこそこ、1秒あたりで8段もの階段を駆け上がっている訳だ。
この速度に間に合うようなズーミング操作は、かなり慌しい。
そして、カメラ側は、高速連写機が必須となるが、近年の
業務用機体でない限りは、撮影シーン全体の10秒間以上の
連写を行う事が出来ない。つまり連続撮影枚数(バースト
枚数)が100枚以上の機体スペックが必須となり、これが
出来る機体は限られている。具体的には一眼レフの範疇では
重厚長大な業務用旗艦機を除いては、NIKON D500(2016)と
CANON EOS 7D MarkⅡ(2014)の2機種しか存在しない。
他の一眼レフは、連写速度が遅いか、または連続撮影枚数
が足りない。また、ミラーレス機では、これらの機種の連写
速度(毎秒10コマ)を超える機種も近年では存在するが、
連続撮影枚数が足りない、AFの速度と精度が不足、あるいは
電子シャッターの利用となり動体被写体が歪んで写る、
といった課題が存在するので、その使用は厳しいであろう。
それと、高速連写機であっても、AE追従が出来る機種は
稀であり、今回使用のNIKON D500でも、それは出来ない。
つまり、この仕様で、明暗差が大きい被写体を追い続けると
(本会場も、半屋外の為、建物の影等で明暗差が大きい)
連写の最初のヒトコマ目で、露出値が固定されてしまい、
たとえAF追従が出来たとしても、選手の撮影位置により、
大きく露出(写真の明るさ)がバラついてしまう。
この対策としては、「間欠連写」が有効である。
最大でも1~2秒、つまり、10枚~20枚の撮影をしたら
シャッター(レリーズ)ボタンから指を離し、再度被写体
を(ファインダー)フレーム中央に捉えなおす、これで
AE(自動露出)を再調整する訳だ。
また、この「間欠連写」は、AFの再調整の意味もある、
いくらAF性能に優れたNIKON D500とは言え、毎秒あたり
階段を8段も駆け上がる高速被写体にAFは追従しにくい。
これはレンズ性能にも依存し、TAMRON B008は、「PZD」
(ピエゾ・ドライブ)という特殊モーターを内蔵しているが
小型でそこそこ高速ではあるものの、当代最強という訳では
無いので、あまりレンズ側、あるいはカメラ側のAF性能に
頼りすぎるのは禁物だ。
初級中級層では、「AF性能が高いカメラとレンズを使えば
このような難しい動体被写体でも撮れる」と大誤解をしている
が、実際には、たとえ最新鋭のシステムでも限界は存在する。
その限界を超えて撮るには撮影者側のスキル(技能)が必要だ。
![c0032138_16345432.jpg]()
それから、今回の撮影での最大の課題と言えば、強豪チーム
が、何故か全て第4レーンに集中してしまった事である。
撮影可能なエリアは大階段に向かって左側のみであり、
これは、第4レーンに最も近いエリアである。
手すりには多数の観客が身を乗り出すようにして観戦して
いる為、第4レーンは殆どが死角となる。また観客の中には
マナーの悪い人も極めて多く、スマホやビデオカメラを持って
コース内に乗り出すようにして撮影しているケースが大半であり、
それらを避けて、できるだけ長時間のレースの模様を撮るのは
至難の業だ。結局、事後編集で、写り込んだ観客を消す為の
「トリミング」処理は必須となる。
高速連写した大量の写真に一々トリミング編集をかけるのは
とても時間がかかる手間な作業であるが、まあ、やむを得ない。
誰でも「にわかカメラマン」の現代の世情において、一般層に
撮影マナー等を教えるのは不可能に近い。とんでも無く酷い
世情ではあるが、残念ながら、ここは、どうしようも無い。
まあともかく、全般的にかなり難易度が高い撮影である、
ビギナー層では、お手上げであろうが、逆に言えば、この
難しい撮影に挑戦する事も、スキルアップの為には良い練習
となるだろう。ただし、肖像権の問題もあるし、撮影マナー
についても守ってもらわなければならない、業務または依頼
といった要素が無くて、単なる個人の趣味で撮っているならば、
基本的にその撮影行為には優先権は無い。
ここがアマチュア層が最も陥り易い大きな課題であり、
いつの時代でも「写真を撮る事が大義名分」であるという
大誤解を持ってしまっている。だから自分が撮影する時に
他人等が居ると「そこをどけ」と言ったり、他人を押しのけて
撮影をしたり、周囲の人達が「写真を撮っているから」と気を
使ってよけている事等にも、何も気づいていない。
これはマナーやモラル不足の他、「周囲がまったく見えていない」
という初級中級層の「経験不足」も、大きな原因となっている。
つまり写真をちゃんと撮るスキルを持っていないから、
撮影にばかり夢中になって、周囲を見る余裕が全く無い訳だ。
これは初級中級層にかぎらず、上級層や一部の職業写真家層
にまである問題点であり、周囲が全く見えていない状況だ。
原因は100%自分自身にあり、撮影スキルや経験が足りないから
そうした余裕が持てない訳だ。撮影行為自体に余裕があれば、
おのずと周囲の様子は見えるようになってくる。
![c0032138_16345399.jpg]()
余談が長くなった、さて、競技の模様だが・・
まずは、本大会最年長、「階段の守り人」チームのIさんだ。
ドラゴンボートチームの選手でもあり、本大会の紹介者
でもある。60歳代と高齢ながら、本大会への常連参加者であり、
シニアの部(45歳以上)でも、チームとしても、好順位が
期待される。
![c0032138_16350615.jpg]()
ただ、シニアカテゴリーは、45歳以上であれば、年齢無関係の
ルールであり、45歳ぎりぎりの選手では20秒台前半、さらに
ツワモノでは、21秒台という驚愕のタイムを叩き出す選手も
居て、さすがのレジェンドのIさんでも、そこまでのタイムは
無理である。
![c0032138_16350604.jpg]()
結局、Iさんのタイムは、26秒84、これはシニアカテゴリー
において8位の好成績である。60歳代以上であれば1位で
あろうが、まあ、これからも長く本競技を続けていただき
いずれ仮に「スーパーシニア」等のカテゴリーが新設された
際には、そこで優勝していただこう。
それと、Iさんの昨年タイムは、27秒90であったので、
今回は昨年タイムを1秒以上も短縮している。60歳代にして、
この努力はたいしたものだ。なんでも日ごろから様々な
スポーツで体を鍛えているそうで、ドラゴンボートも、
その一環であろうし、また、今回の大会出場の為にも、
京都市伏見区にある明治天皇伏見桃山陵の230段階段で、
何度も事前練習を繰り返したそうである。
なお、その伏見の230段階段は、今回出場の強豪チーム
達の練習場所にもなっている模様であるが、本会場の
大階段とは、階段のピッチ(幅、高さ)が異なるので、
完璧な練習場所とは言い難い要素もある。
ただ、だからといって、本会場は、JR京都駅構内の
公共の場所であるから、普段、観光客や利用客で混雑する
本会場を練習場所とする事は出来ない、そんな中で上まで
「駆け上がって」いたら、「変な人が居る」と通報されて
しまう事であろう(汗)
---
さて、チーム戦は4人の選手の合計タイムによる戦いだ。
毎年の説明になるが、オープンの部の若手選手達の上位タイム
は20秒台前半で頭打ちなので、結局、シニアと女子の選手達が
どれだけタイムを稼ぐかで、チーム戦の勝敗が決まってくる。
つまりシニアと女子が速いチームは、上位入賞の可能性が高い。
さて、次走、「階段の守り人」チームの今年の女子選手は、
「今年は陸上選手を投入した」とのことで期待が持てる。
![c0032138_16350686.jpg]()
「階段の守り人」女子選手Mさんは、29秒台、これは
女子総合6位のタイムである。シニアと女子の活躍により、
「階段の守り人」チームは今年は好順位が予想される。
次いで、「階段の守り人」3走のM氏
![c0032138_16350650.jpg]()
M氏は20秒台の好タイムだ、オープンの部全体の中でも
かなりの好順位であろう。(結果、個人3位)
![c0032138_16351845.jpg]()
「階段の守り人」アンカー選手も、22秒台と好タイム。
ただ、こちらの選手、昨年は、驚異の20秒台をマークして
全体の2位という成績だったので、今回はちょっとしたミスが
あったのかも知れない。
結果的に「階段の守り人」は4人とも好タイムであった。
恐らく現時点ではトップに近いと思うが、このレーズは第16
レースであり、この後、第17~第20レースには強豪チーム
が目白押しだ。「階段の守り人」が、どこまで暫定上位を
キープしつづける事が出来るか? それは、この後に出場
するチームの様相による訳で、今後のレースからも、目を
離す事は出来ない。
残りのレース数が少ないので、撮影場所をキープして
居座る事とした、少々寒いし、休憩もしたいのだが、もう
しかたがない、この後の注目レースを見逃す訳にはいかない
であろう・・
さて、次の注目は「2019」チーム(昨年は「2018」チーム)
の美人女性選手Wさんである。
![c0032138_16351883.jpg]()
陸上選手の元日本代表の方であり、本物のアスリートだ。
昨年、本競技に初参加、いきなり驚異の24秒台(女子の大会
レコード)を叩き出して優勝、周囲の度肝を抜いた。
昨年は、まだ面識があまり無かったので、写真の掲載は
後姿に留めておいたのだが、今年は話をする事が出来て、
掲載許可もいただいている。
さて、今年の彼女のタイムだが、なんと23秒74である!
勿論、これは女子ではダントツの優勝タイムである。
このタイムだと、男子オープンの部であっても上位であり、
事実、全体総合では、320人中、第19位となっているのだ!
![c0032138_16351892.jpg]()
彼女の所属する「2019」チームは、今年は優勝(昨年4位)
となった。(上写真は、賞品の「マグロ丸々1匹」!)
まあ、アスリートの人脈により、強力な選手を揃えたと
思われるのだが、それでも通常の陸上競技と階段競技とは
使う筋肉も、走り方も異なるであろう。
階段駆け上がりの専業の選手達は「カケアガリスト」と
呼ばれていて、この競技に特化した練習を積んで来ている。
きっと「2019」は、昨年4位の不本意な成績を鑑みて
階段でのトレーニングを積んで来たに違い無い、そうなると
元々陸上競技の専門家ばかりである、競技に慣れるのも
速いという事か・・
でも、そうなると「カケアガリスト」達も、このプロチーム
とも呼べる専門家集団を、いかにして崩すか?、そこが
頭が痛いところであろう・・ でもまあ、他の強豪チームの
中でも、実は、近年は陸上アスリート達の参戦が増えて来て
いる状況だ。これはまあ、アマチュア層での「お祭り的」な
大会ではなく「本格的な競技」として、専門家層にも注目
されて来ている状態だ、とも言えるであろう。
もし、今後、あまりに一般チームとの実力差が大きい状態
になれば(参考:ドラゴンボートでも、すでにその様相が
あり、「専業チーム」と呼ばれる日常的にドラゴンの練習を
繰り返すチームは、一般チームに対する勝率は100%である)
・・そうなれば、「チャンピオン・カテゴリー」を新設し
例えば、参加80チームを、一般68チームと、専門12チーム
等に分割し、それぞれの中でレースを行えば良いと思う。
上位の専門カテゴリーは参加料を増やし、その分、賞品を
豪華にすれば良い訳である、まあそのあたりは、どうとでも
運営のやりかたはあるだろう。
ただ、運営側が、チームの内情に詳しくならない限り、
そういうカテゴリー分けの決断は出来ない。他の競技でも
まあそうだが、「強いチームが出てきたなあ・・」等と、
のんびりと構えていると、実はそれらの内情は、殆ど
「専門家集団」になってしまっている訳だ。そうなると
一般チームでは、100%勝ち目が無くなる為、大会への
参加意欲を失ってしまう。だから、適切なルール変更は、
大会の状況を見ながら必須の措置となる。それを行うか
否かは、あくまで運営側の判断となるので、運営側が
参加チームの内情を知る事は、とても重要な事なのだ。
ドラゴンボートやペーロンの競技でもそうだが、大会の
記録カメラマンは(適正に仕事をするならば)参加チーム
の内情等には、とても詳しくなる筈だ、それは最も選手達に
近い立場で常に接しているからだ。
まあ、スポーツ競技全般において、選手達と何も話しをせず、
ただ写真を撮っているだけでは、カメラマンとしてはNGだ。、
それでは、その競技の中にある人間模様(人間ドラマ)が
全く理解できず、写真にそれを収める事が出来なくなる。
だから、ボート競技等でも、報道系等のカメラマンが来る
際には、私もチームや選手達を色々と紹介して廻っている
次第であり、そこで人間模様等を理解していただき、
それを記事写真や記事本文の内容に、少しでも込めて貰いたい
と常々思っている訳だ。
まあ、今時であるから、昔のように「カメラマンはただ
記録として写真を撮っていれば良い」といった職人気質は
もう通用しない世の中である、という事にもなると思う。
----
さて、また余談が長くなった(汗)レースの様子に戻ろう。
前述の女子トップの23秒という記録を見て、俄然闘志が
沸いてきたのは、「のだがわ~ず」の女子選手Kさんだ。
![c0032138_16351874.jpg]()
過去優勝2回、女子のレジェントである。
長年この競技に参加を続けており、年齢とともに少しづつ
衰える体力を、経験と技術でいかにカバーするかが課題だ。
ただ、個人的には、最も頑張ってもらいたい選手でもある。
それは、最初にこの競技を観戦した際に見た彼女の走りが
「感動的」と言えるものであったからだ。
だが、私は、この3年間、彼女が優勝した状況を見ていない、
若い新鋭選手も増えてきているし、彼女が優勝した頃の
女子ベストタイムは、現在では、3~4秒も短縮されて
しまっている、だから今年も優勝は厳しい状態なのは良く
わかってはいるが、それでも何とか勝って欲しいと願うのは
まあ、一種の「ファン心理」であろう。
![c0032138_16353024.jpg]()
「さあ、行け! 女王の意地を見せてやるのだ!」
一般的なスポーツ競技の公式カメラマンであれば、贔屓の
選手やチームを持っている事は、あまり好ましい状況とは
言えない。何故ならばスポーツは「競技」である以上、必ず
勝ち負けは出てくる、そこで前述のように、チームや選手の
内情を知っている状態においては、各チームや選手には、
それぞれ勝ちたい、または勝たなくてはならない事情がある。
だから、観戦撮影をする上で、どっちのチーム(選手)にも
勝ってもらいたい状態となり、これは心理的には強い葛藤だ。
したがって、そうした心理状態を避ける為には、
「チームや選手の内情は知っておく必要があるが、それを
観戦撮影には持ち込まない。あくまで客観的にレースや
試合を観戦し、その上で撮影しなければならない」
という大原則がある。
・・ただまあ、それは業務撮影の場合だけだ。
まあ今回は依頼はあったとは言え、個人的な趣味の撮影の
範疇ではある、であれば、まあ個人的な心情において、
贔屓のチームや選手が居ても、何もまずい点は無い。
「さあ、カメラが壊れるまで連写しまくるぞ~(笑)」
![c0032138_16353005.jpg]()
後日、出来上がった写真を選手達に配ると、
選「のだがわ~ずのKさんのカットが多いなあ・・」
という感想となった(汗) 「まあ、もっとオレ達も撮って
くれよ」というアピールなのだろうが、けど各自最低4枚
づつくらいは渡しているので、それで良いではないか(笑)
Kさんのカットが多いのは、最も勝ってもらいたかった
選手であったからだ、決して「彼女が美人だから」という
理由では無い(まあ、それもあるが・・ 笑)
Kさんの個人成績は、女子の部第4位、昨年の3位よりも
また順位を1つ落としてしまったが、良く頑張ったと思う。
お疲れ様でした、また来年に向けてトレーニングを積んで
下さいな・・
![c0032138_16353081.jpg]()
ただまあ、他のメンバーの活躍(本記事の上の方で、適宜
写真を混ぜている)もあって、「のだがわ~ず」は、今年も
チーム順位4位の好成績であった、しかし、ここでもまた
「のだがわ~ず」は、昨年3位であったので、1つ順位を
落とした事にはなる。あまり「4位おめでとう」とは言えない
状況でもある。まあ、こういう事もあるから、過去の大会の
順位成績は、必ず頭に入れて(記憶して)、スポーツ大会の
観戦に臨まなければならない事は必須である。
本大会でもそうだが、ドラゴンやペーロン大会の観戦撮影
においては、過去5年間程度の各チームの成績、決勝順位と
そのタイム、また、特徴的なレースの模様などは、全て
暗記してから大会の観戦撮影に向かう、さもないと、
チームや選手達と話が出来ないからだ。
仮に、昨年優勝したチームに向かって、「今年は3位入賞
おめでとう!」などと声をかけたら、袋叩きだ(汗)
ただ、こういう事を実践しているカメラマンは非常に少ない、
たとえ職業写真家層であっても、そのあたりは失礼ながら
いい加減であり、事前の予習をして来ない人が殆どなので
残念であると同時に、「何も知らずに、どうやって写真を
撮ると言うのであろうか?」という疑問すら沸いて来る。
いずれにしても、アマチュア層から職業写真家層に至るまで、
スポーツ競技の観戦撮影において、過去の記録の多くを
把握しておく事は、非常に重要である。そこはもう間違いの
無い事であり、これは「鉄則」である。
![c0032138_16353013.jpg]()
「階段の守り人」チームは、総合5位の好成績となった。
昨年の8位から、さらに順位を上げてきている。
この順位であれば、素直に「おめでとうございます」と
言っても大丈夫だ、良く頑張ったといえる。
ただまあ、これより上の順位となるのは、とても難しい。
「階段の守り人」を含め、上位のだいたい8チーム位は、
入賞常連の強豪チームなのだ、そして、このあたりは、
もう実力伯仲であり、群雄割拠という状態でもあって、
常勝軍団は、もうなかなか出にくい状況でもある。
ほんの少しのミスが順位を下げ、ほんの少しの頑張りが、
順位を1つ、2つ上げる事にも繋がっていく。
ただし、選手達はとても大変なのは、良く理解できるが、
観戦側からすると、とても興味深い状況にはなっている。
来年の大会もまた、きっと熱戦が繰り広げられる事であろう。
1年に1度だけの大会では勿体無いような気もしてきた。
これくらいの観戦の面白さがあれば、数百円程度の入場料を
取っても良いかも知れない、まあつまり「プロスポーツ化
できる可能性がある」という事だ。
運営側には、そうした様々な可能性を模索していただきたい
とも思う・・
最後に、今年のチーム順位とそのタイム(上位5チーム)
を掲載しておく。(注;タイムは4選手の合計だ)
1位:1分31秒:2019
2位:1分34秒:上昇気竜
3位:1分35秒:ラパンエール
4位:1分37秒:のだがわ~ず
5位:1分39秒:階段の守り人
なお、前人未到の19秒台を目指した、上昇気竜のS氏で
あるが、最終レースで、ラパンエールのS氏と大接戦
となり、20秒02と20秒06の死闘を繰り広げたが、
(下写真、左:ラパンエール、右:上昇気竜)
2人共、惜しくも19秒台には届かず・・
![c0032138_16353877.jpg]()
さて、今回の観戦記事はこのあたりまでで・・
機会があれば、また来年の大会も観戦に向かうとしよう。
だが、今年もまた、知人チームの応援撮影に向かった。

平年並み。本大会の一昨年は寒く、雪が降る天候であったが、
この会場は半屋外であるので、低い気温は選手にも観戦者にも
辛い状態である。なお、昨年は最高気温は14℃位と暖かく、
観戦には絶好のコンディションであったが、若干だが選手達
にとっては、気温が高すぎる様相もあったかも知れない。

観戦記事での説明と重複するが、今回も簡単に述べておこう。
*JR京都駅新装開業(1997年)から始まったスポーツイベント で、
同駅の171段の大階段を駆け上がるタイムを競う競技である。
*1チームは4人構成、シニア(45最以上)、女子、オープン
(年齢性別無関係)x2名からなり、この順番で個々に走る。
*4チームが同時に出走、順次4名が次々に走り、チーム戦と
しては、メンバー4名の合計タイムで競う。
*80~100チームが参加、20~25レースが行われる。
*シニア、女子、オープン、それぞれのカテゴリー別で上位
タイム者への個人表彰がある。
*チーム戦と個人戦では上位入賞表彰のみならず飛び賞もある。
*チームでの参加は、申し込み抽選制度となっていて、
抽選に外れると参加できないが、実績のある上位チームは
シードとして優先的に参戦できる場合もあると聞く(?)
(注;シードについては詳細不明。上位チームでも、抽選に
漏れた様子も何度か見て来ている)
*5年連続で優勝したチームまたは個人は「殿堂入り」となる。
チームの場合は、翌年以降、同一メンバーでの参加は出来ない。
(注:メンバーとチーム名を変えればチームで参加可能だが、
個人の場合は、どうなるかは良く知らない→前例無し)
*参加チームは条件を満たせば誰でも可。募集については、
TV(KBS京都)でコマーシャルも流れる程、大々的である。
また、大会終了後2~3週間で、KBS京都にて、1時間の
特集番組が放映される。
という感じだ。
きりの良い年(第20回大会等)では、参加チーム枠を拡張する
ケースもあるが、本年は第22回の通常大会であり、若干少な目の
80チームの参戦、計20レースとなっている。
(参加選手計320人。注;何チームか棄権があった模様だ)

公式カメラマンのように自由に選手達を撮ってWebに掲載する
事は出来ない。あくまで知人の範囲に限るし、本記事においても
掲載写真の選手達からは、全て掲載許可をいただいている。
世間一般では、SNSの普及等で肖像権の扱いが不明慮になって
いる世情があるが、こうした事は世の中の基本的なモラルなので、
そのあたりは一般撮影者においても十分に留意する必要がある。
(勝手に見知らぬ他人をSNSに投稿しない、という意味だ、
対策は簡単で、アップしたい場合は個々に許可をいただけば良い、
アスリート達は、基本、そのあたりには寛容な事が多い筈だ)

知己のチームや選手達も増えて来ている。
今回の私の観戦および撮影の目的(注目点)を挙げておこう。
1)応援チーム1:階段の守り人(昨年総合8位)の今年の順位
2)応援チーム2:のだがわ~ず(昨年総合3位)の今年の順位
3)昨年男子個人成績1位の「上昇気竜」チームのS氏が、
前人未到のタイム20秒を切る事が出来るか?(昨年20秒24)
4)レジェンド女王の「のだがわ~ず」チームのKさんが、
今年は優勝を奪還できるか?(過去2度優勝、昨年3位)
5)新女王、「2019」チーム(昨年は「2018」チーム)の
現役アスリートのWさんがタイムを更新できるか(昨年24秒)
6)強豪チーム達、「ラパンエール」「上昇気竜」「2019」、
「のだがわ~ず」等の優勝争いの行方。
となっている。
なお、昨年注目であった「関西アスリートクラブ」および
所属の美人女子選手Sさん(チーム9位、女子個人4位)は、
残念ながら今年は「抽選に外れた」との事(会場には応援に
来ていらっしゃったが、選手としてでは無いので、撮影は
行っていない)

わかってきていて、具体的には、高速連写機NIKON D500に
TAMRON AF18-270mm/f3.5-5.6(B008)がメイン機材であり、
人物撮影用には、OLYMPUS OM-D E-M5Ⅱに単焦点レンズ
(昨年は45mm/F1.8、今年は30mm/F3.5マクロ)の
組み合わせとなっている。
高倍率(高ズーム比)のTAMRON B008は、描写力はあまり
高くない(コントラストがやや低く、解像感も低い)が、
画角的には約27mm~約400mm相当と、選手達が階段を
駆け上がる際の遠景から、近距離(目前を通過する時点)迄
全般の画角に適する。
会場に来ている他のアマチュア層および記録カメラマンの
機材を見ていると、望遠ズームや標準ズームという機材が
殆どであるが、それらではレースに関して言えば、遠距離
または近距離のいずれかしか(画角的に)撮影が出来ず、
不利な機材であろう。(撮影状況に応じた適正な機材選択が
出来ていない時点で、ビギナー層と見なす事ができる)
また、複数台のカメラの持ち替えは、競技撮影可能時間が
毎レースあたりで最大10秒間程であるので、その間に
カメラを交換して撮影するのは、まず不可能だ(一昨年に
試してみたが、殆ど間に合わなかった・汗)
やはり、この競技を撮るには、高倍率(高ズーム比)の
レンズしか有り得ない。まあ普段は描写力の観点から言って、
このようなズームレンズの使用は個人的には好みでは無いの
だが、こうした記録撮影用途では必須のレンズとなる。

まず、選手が階段を駆け上がる数秒~十数秒の間に速やかで
スムースなズーミング操作を望遠側から広角側まで行う必要が
あり、これは少々難易度の高い撮影となる。
全力疾走の選手達の速度は極めて速く、初めてこの競技を
見たら、きっと驚くかもしれない。何せ171段の階段を20秒
そこそこ、1秒あたりで8段もの階段を駆け上がっている訳だ。
この速度に間に合うようなズーミング操作は、かなり慌しい。
そして、カメラ側は、高速連写機が必須となるが、近年の
業務用機体でない限りは、撮影シーン全体の10秒間以上の
連写を行う事が出来ない。つまり連続撮影枚数(バースト
枚数)が100枚以上の機体スペックが必須となり、これが
出来る機体は限られている。具体的には一眼レフの範疇では
重厚長大な業務用旗艦機を除いては、NIKON D500(2016)と
CANON EOS 7D MarkⅡ(2014)の2機種しか存在しない。
他の一眼レフは、連写速度が遅いか、または連続撮影枚数
が足りない。また、ミラーレス機では、これらの機種の連写
速度(毎秒10コマ)を超える機種も近年では存在するが、
連続撮影枚数が足りない、AFの速度と精度が不足、あるいは
電子シャッターの利用となり動体被写体が歪んで写る、
といった課題が存在するので、その使用は厳しいであろう。
それと、高速連写機であっても、AE追従が出来る機種は
稀であり、今回使用のNIKON D500でも、それは出来ない。
つまり、この仕様で、明暗差が大きい被写体を追い続けると
(本会場も、半屋外の為、建物の影等で明暗差が大きい)
連写の最初のヒトコマ目で、露出値が固定されてしまい、
たとえAF追従が出来たとしても、選手の撮影位置により、
大きく露出(写真の明るさ)がバラついてしまう。
この対策としては、「間欠連写」が有効である。
最大でも1~2秒、つまり、10枚~20枚の撮影をしたら
シャッター(レリーズ)ボタンから指を離し、再度被写体
を(ファインダー)フレーム中央に捉えなおす、これで
AE(自動露出)を再調整する訳だ。
また、この「間欠連写」は、AFの再調整の意味もある、
いくらAF性能に優れたNIKON D500とは言え、毎秒あたり
階段を8段も駆け上がる高速被写体にAFは追従しにくい。
これはレンズ性能にも依存し、TAMRON B008は、「PZD」
(ピエゾ・ドライブ)という特殊モーターを内蔵しているが
小型でそこそこ高速ではあるものの、当代最強という訳では
無いので、あまりレンズ側、あるいはカメラ側のAF性能に
頼りすぎるのは禁物だ。
初級中級層では、「AF性能が高いカメラとレンズを使えば
このような難しい動体被写体でも撮れる」と大誤解をしている
が、実際には、たとえ最新鋭のシステムでも限界は存在する。
その限界を超えて撮るには撮影者側のスキル(技能)が必要だ。

が、何故か全て第4レーンに集中してしまった事である。
撮影可能なエリアは大階段に向かって左側のみであり、
これは、第4レーンに最も近いエリアである。
手すりには多数の観客が身を乗り出すようにして観戦して
いる為、第4レーンは殆どが死角となる。また観客の中には
マナーの悪い人も極めて多く、スマホやビデオカメラを持って
コース内に乗り出すようにして撮影しているケースが大半であり、
それらを避けて、できるだけ長時間のレースの模様を撮るのは
至難の業だ。結局、事後編集で、写り込んだ観客を消す為の
「トリミング」処理は必須となる。
高速連写した大量の写真に一々トリミング編集をかけるのは
とても時間がかかる手間な作業であるが、まあ、やむを得ない。
誰でも「にわかカメラマン」の現代の世情において、一般層に
撮影マナー等を教えるのは不可能に近い。とんでも無く酷い
世情ではあるが、残念ながら、ここは、どうしようも無い。
まあともかく、全般的にかなり難易度が高い撮影である、
ビギナー層では、お手上げであろうが、逆に言えば、この
難しい撮影に挑戦する事も、スキルアップの為には良い練習
となるだろう。ただし、肖像権の問題もあるし、撮影マナー
についても守ってもらわなければならない、業務または依頼
といった要素が無くて、単なる個人の趣味で撮っているならば、
基本的にその撮影行為には優先権は無い。
ここがアマチュア層が最も陥り易い大きな課題であり、
いつの時代でも「写真を撮る事が大義名分」であるという
大誤解を持ってしまっている。だから自分が撮影する時に
他人等が居ると「そこをどけ」と言ったり、他人を押しのけて
撮影をしたり、周囲の人達が「写真を撮っているから」と気を
使ってよけている事等にも、何も気づいていない。
これはマナーやモラル不足の他、「周囲がまったく見えていない」
という初級中級層の「経験不足」も、大きな原因となっている。
つまり写真をちゃんと撮るスキルを持っていないから、
撮影にばかり夢中になって、周囲を見る余裕が全く無い訳だ。
これは初級中級層にかぎらず、上級層や一部の職業写真家層
にまである問題点であり、周囲が全く見えていない状況だ。
原因は100%自分自身にあり、撮影スキルや経験が足りないから
そうした余裕が持てない訳だ。撮影行為自体に余裕があれば、
おのずと周囲の様子は見えるようになってくる。

まずは、本大会最年長、「階段の守り人」チームのIさんだ。
ドラゴンボートチームの選手でもあり、本大会の紹介者
でもある。60歳代と高齢ながら、本大会への常連参加者であり、
シニアの部(45歳以上)でも、チームとしても、好順位が
期待される。

ルールであり、45歳ぎりぎりの選手では20秒台前半、さらに
ツワモノでは、21秒台という驚愕のタイムを叩き出す選手も
居て、さすがのレジェンドのIさんでも、そこまでのタイムは
無理である。

において8位の好成績である。60歳代以上であれば1位で
あろうが、まあ、これからも長く本競技を続けていただき
いずれ仮に「スーパーシニア」等のカテゴリーが新設された
際には、そこで優勝していただこう。
それと、Iさんの昨年タイムは、27秒90であったので、
今回は昨年タイムを1秒以上も短縮している。60歳代にして、
この努力はたいしたものだ。なんでも日ごろから様々な
スポーツで体を鍛えているそうで、ドラゴンボートも、
その一環であろうし、また、今回の大会出場の為にも、
京都市伏見区にある明治天皇伏見桃山陵の230段階段で、
何度も事前練習を繰り返したそうである。
なお、その伏見の230段階段は、今回出場の強豪チーム
達の練習場所にもなっている模様であるが、本会場の
大階段とは、階段のピッチ(幅、高さ)が異なるので、
完璧な練習場所とは言い難い要素もある。
ただ、だからといって、本会場は、JR京都駅構内の
公共の場所であるから、普段、観光客や利用客で混雑する
本会場を練習場所とする事は出来ない、そんな中で上まで
「駆け上がって」いたら、「変な人が居る」と通報されて
しまう事であろう(汗)
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さて、チーム戦は4人の選手の合計タイムによる戦いだ。
毎年の説明になるが、オープンの部の若手選手達の上位タイム
は20秒台前半で頭打ちなので、結局、シニアと女子の選手達が
どれだけタイムを稼ぐかで、チーム戦の勝敗が決まってくる。
つまりシニアと女子が速いチームは、上位入賞の可能性が高い。
さて、次走、「階段の守り人」チームの今年の女子選手は、
「今年は陸上選手を投入した」とのことで期待が持てる。

女子総合6位のタイムである。シニアと女子の活躍により、
「階段の守り人」チームは今年は好順位が予想される。
次いで、「階段の守り人」3走のM氏

かなりの好順位であろう。(結果、個人3位)

ただ、こちらの選手、昨年は、驚異の20秒台をマークして
全体の2位という成績だったので、今回はちょっとしたミスが
あったのかも知れない。
結果的に「階段の守り人」は4人とも好タイムであった。
恐らく現時点ではトップに近いと思うが、このレーズは第16
レースであり、この後、第17~第20レースには強豪チーム
が目白押しだ。「階段の守り人」が、どこまで暫定上位を
キープしつづける事が出来るか? それは、この後に出場
するチームの様相による訳で、今後のレースからも、目を
離す事は出来ない。
残りのレース数が少ないので、撮影場所をキープして
居座る事とした、少々寒いし、休憩もしたいのだが、もう
しかたがない、この後の注目レースを見逃す訳にはいかない
であろう・・
さて、次の注目は「2019」チーム(昨年は「2018」チーム)
の美人女性選手Wさんである。

昨年、本競技に初参加、いきなり驚異の24秒台(女子の大会
レコード)を叩き出して優勝、周囲の度肝を抜いた。
昨年は、まだ面識があまり無かったので、写真の掲載は
後姿に留めておいたのだが、今年は話をする事が出来て、
掲載許可もいただいている。
さて、今年の彼女のタイムだが、なんと23秒74である!
勿論、これは女子ではダントツの優勝タイムである。
このタイムだと、男子オープンの部であっても上位であり、
事実、全体総合では、320人中、第19位となっているのだ!

となった。(上写真は、賞品の「マグロ丸々1匹」!)
まあ、アスリートの人脈により、強力な選手を揃えたと
思われるのだが、それでも通常の陸上競技と階段競技とは
使う筋肉も、走り方も異なるであろう。
階段駆け上がりの専業の選手達は「カケアガリスト」と
呼ばれていて、この競技に特化した練習を積んで来ている。
きっと「2019」は、昨年4位の不本意な成績を鑑みて
階段でのトレーニングを積んで来たに違い無い、そうなると
元々陸上競技の専門家ばかりである、競技に慣れるのも
速いという事か・・
でも、そうなると「カケアガリスト」達も、このプロチーム
とも呼べる専門家集団を、いかにして崩すか?、そこが
頭が痛いところであろう・・ でもまあ、他の強豪チームの
中でも、実は、近年は陸上アスリート達の参戦が増えて来て
いる状況だ。これはまあ、アマチュア層での「お祭り的」な
大会ではなく「本格的な競技」として、専門家層にも注目
されて来ている状態だ、とも言えるであろう。
もし、今後、あまりに一般チームとの実力差が大きい状態
になれば(参考:ドラゴンボートでも、すでにその様相が
あり、「専業チーム」と呼ばれる日常的にドラゴンの練習を
繰り返すチームは、一般チームに対する勝率は100%である)
・・そうなれば、「チャンピオン・カテゴリー」を新設し
例えば、参加80チームを、一般68チームと、専門12チーム
等に分割し、それぞれの中でレースを行えば良いと思う。
上位の専門カテゴリーは参加料を増やし、その分、賞品を
豪華にすれば良い訳である、まあそのあたりは、どうとでも
運営のやりかたはあるだろう。
ただ、運営側が、チームの内情に詳しくならない限り、
そういうカテゴリー分けの決断は出来ない。他の競技でも
まあそうだが、「強いチームが出てきたなあ・・」等と、
のんびりと構えていると、実はそれらの内情は、殆ど
「専門家集団」になってしまっている訳だ。そうなると
一般チームでは、100%勝ち目が無くなる為、大会への
参加意欲を失ってしまう。だから、適切なルール変更は、
大会の状況を見ながら必須の措置となる。それを行うか
否かは、あくまで運営側の判断となるので、運営側が
参加チームの内情を知る事は、とても重要な事なのだ。
ドラゴンボートやペーロンの競技でもそうだが、大会の
記録カメラマンは(適正に仕事をするならば)参加チーム
の内情等には、とても詳しくなる筈だ、それは最も選手達に
近い立場で常に接しているからだ。
まあ、スポーツ競技全般において、選手達と何も話しをせず、
ただ写真を撮っているだけでは、カメラマンとしてはNGだ。、
それでは、その競技の中にある人間模様(人間ドラマ)が
全く理解できず、写真にそれを収める事が出来なくなる。
だから、ボート競技等でも、報道系等のカメラマンが来る
際には、私もチームや選手達を色々と紹介して廻っている
次第であり、そこで人間模様等を理解していただき、
それを記事写真や記事本文の内容に、少しでも込めて貰いたい
と常々思っている訳だ。
まあ、今時であるから、昔のように「カメラマンはただ
記録として写真を撮っていれば良い」といった職人気質は
もう通用しない世の中である、という事にもなると思う。
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さて、また余談が長くなった(汗)レースの様子に戻ろう。
前述の女子トップの23秒という記録を見て、俄然闘志が
沸いてきたのは、「のだがわ~ず」の女子選手Kさんだ。

長年この競技に参加を続けており、年齢とともに少しづつ
衰える体力を、経験と技術でいかにカバーするかが課題だ。
ただ、個人的には、最も頑張ってもらいたい選手でもある。
それは、最初にこの競技を観戦した際に見た彼女の走りが
「感動的」と言えるものであったからだ。
だが、私は、この3年間、彼女が優勝した状況を見ていない、
若い新鋭選手も増えてきているし、彼女が優勝した頃の
女子ベストタイムは、現在では、3~4秒も短縮されて
しまっている、だから今年も優勝は厳しい状態なのは良く
わかってはいるが、それでも何とか勝って欲しいと願うのは
まあ、一種の「ファン心理」であろう。

一般的なスポーツ競技の公式カメラマンであれば、贔屓の
選手やチームを持っている事は、あまり好ましい状況とは
言えない。何故ならばスポーツは「競技」である以上、必ず
勝ち負けは出てくる、そこで前述のように、チームや選手の
内情を知っている状態においては、各チームや選手には、
それぞれ勝ちたい、または勝たなくてはならない事情がある。
だから、観戦撮影をする上で、どっちのチーム(選手)にも
勝ってもらいたい状態となり、これは心理的には強い葛藤だ。
したがって、そうした心理状態を避ける為には、
「チームや選手の内情は知っておく必要があるが、それを
観戦撮影には持ち込まない。あくまで客観的にレースや
試合を観戦し、その上で撮影しなければならない」
という大原則がある。
・・ただまあ、それは業務撮影の場合だけだ。
まあ今回は依頼はあったとは言え、個人的な趣味の撮影の
範疇ではある、であれば、まあ個人的な心情において、
贔屓のチームや選手が居ても、何もまずい点は無い。
「さあ、カメラが壊れるまで連写しまくるぞ~(笑)」

選「のだがわ~ずのKさんのカットが多いなあ・・」
という感想となった(汗) 「まあ、もっとオレ達も撮って
くれよ」というアピールなのだろうが、けど各自最低4枚
づつくらいは渡しているので、それで良いではないか(笑)
Kさんのカットが多いのは、最も勝ってもらいたかった
選手であったからだ、決して「彼女が美人だから」という
理由では無い(まあ、それもあるが・・ 笑)
Kさんの個人成績は、女子の部第4位、昨年の3位よりも
また順位を1つ落としてしまったが、良く頑張ったと思う。
お疲れ様でした、また来年に向けてトレーニングを積んで
下さいな・・

写真を混ぜている)もあって、「のだがわ~ず」は、今年も
チーム順位4位の好成績であった、しかし、ここでもまた
「のだがわ~ず」は、昨年3位であったので、1つ順位を
落とした事にはなる。あまり「4位おめでとう」とは言えない
状況でもある。まあ、こういう事もあるから、過去の大会の
順位成績は、必ず頭に入れて(記憶して)、スポーツ大会の
観戦に臨まなければならない事は必須である。
本大会でもそうだが、ドラゴンやペーロン大会の観戦撮影
においては、過去5年間程度の各チームの成績、決勝順位と
そのタイム、また、特徴的なレースの模様などは、全て
暗記してから大会の観戦撮影に向かう、さもないと、
チームや選手達と話が出来ないからだ。
仮に、昨年優勝したチームに向かって、「今年は3位入賞
おめでとう!」などと声をかけたら、袋叩きだ(汗)
ただ、こういう事を実践しているカメラマンは非常に少ない、
たとえ職業写真家層であっても、そのあたりは失礼ながら
いい加減であり、事前の予習をして来ない人が殆どなので
残念であると同時に、「何も知らずに、どうやって写真を
撮ると言うのであろうか?」という疑問すら沸いて来る。
いずれにしても、アマチュア層から職業写真家層に至るまで、
スポーツ競技の観戦撮影において、過去の記録の多くを
把握しておく事は、非常に重要である。そこはもう間違いの
無い事であり、これは「鉄則」である。

昨年の8位から、さらに順位を上げてきている。
この順位であれば、素直に「おめでとうございます」と
言っても大丈夫だ、良く頑張ったといえる。
ただまあ、これより上の順位となるのは、とても難しい。
「階段の守り人」を含め、上位のだいたい8チーム位は、
入賞常連の強豪チームなのだ、そして、このあたりは、
もう実力伯仲であり、群雄割拠という状態でもあって、
常勝軍団は、もうなかなか出にくい状況でもある。
ほんの少しのミスが順位を下げ、ほんの少しの頑張りが、
順位を1つ、2つ上げる事にも繋がっていく。
ただし、選手達はとても大変なのは、良く理解できるが、
観戦側からすると、とても興味深い状況にはなっている。
来年の大会もまた、きっと熱戦が繰り広げられる事であろう。
1年に1度だけの大会では勿体無いような気もしてきた。
これくらいの観戦の面白さがあれば、数百円程度の入場料を
取っても良いかも知れない、まあつまり「プロスポーツ化
できる可能性がある」という事だ。
運営側には、そうした様々な可能性を模索していただきたい
とも思う・・
最後に、今年のチーム順位とそのタイム(上位5チーム)
を掲載しておく。(注;タイムは4選手の合計だ)
1位:1分31秒:2019
2位:1分34秒:上昇気竜
3位:1分35秒:ラパンエール
4位:1分37秒:のだがわ~ず
5位:1分39秒:階段の守り人
なお、前人未到の19秒台を目指した、上昇気竜のS氏で
あるが、最終レースで、ラパンエールのS氏と大接戦
となり、20秒02と20秒06の死闘を繰り広げたが、
(下写真、左:ラパンエール、右:上昇気竜)
2人共、惜しくも19秒台には届かず・・

機会があれば、また来年の大会も観戦に向かうとしよう。