新規購入等の理由で、過去の本ブログのレンズ紹介記事では
未紹介のマニアックなレンズを紹介するシリーズ記事。
今回は、ジャンクレンズ編の「その2」とする。
まず最初に、「ジャンクレンズ」とは、故障品、キズ、カビ、
動作不良、付属品欠品等の理由で、商品としての価値が殆ど
無い物で、中古カメラ店やリサイクル店等で、概ね500円~
2000円程度で安価に売られているレンズを指す。
なお、ジャンク品(ジャンクレンズ)は、故障や劣化等で、
使用不可な物ばかりとは限らず、その多くは何ら問題なく
使用できる。ただし実際に使えるかどうかは「目利き」が
必要だし、動作部の動きが重いとか、非常にレアなマウントで
あったりして、使用が困難である場合もあるだろう、つまり
何らかの「訳アリ」「難アリ」の商品だ、という事だ。
それから、保証等はまず無いので、買って帰って使えなかった
としても返品等は不可だ、メーカー修理が効かないような古い
物も多々あり、買うかどうかの判断は、ユーザー側の自己責任に
委ねられる。
まあ、値段が極めて安いが、その安い理由やリスクを、ちゃんと
理解して買う必要があるだろう。勿論ビギナー層向けの買い方
では絶対無いし、恐らくは中上級者であっても困難だ。
こういう買い方は、中古買いを多数経験していて、目利きの
技能を持つマニア層でなくては、まず無理なので念の為。
(なお、一部の上級マニアでは、レンズ自力修理の技能を持つ。
その修理技術の向上や習得の為に、こうしたジャンクレンズを
購入するケースも有り得る。以前、私もそれを目指した事も
あったが、実際にカメラやレンズの修理をするには、あまりに
面倒で時間もかかり、専用工具なども必要なので、挫折・断念
してしまっている・・汗)
では、まずは最初のジャンクレンズ
![c0032138_16135400.jpg]()
レンズは、MINOLTA AF 75-300mm/f4.5-f5.6
(ジャンク購入価格 1,500円)
カメラは、SONY α700 (APS-C機)
さて、今回記事は古いジャンク品の紹介が殆どだ。
レンズの性能を、とやかく言っても始まらないものも多い。
こういう場合、このようなジャンク品の流通や中古相場とか
中古市場等・・ まあ今回の記事では、機材その物の話よりも、
そういった取り巻く状況の話を主に書いていく事にする。
で、本レンズ AF75-300だが、結構まともに写るレンズである。
この時代(1990年代)のミノルタ製AFレンズは、描写力に
優れるものが多く、本レンズも一般的な廉価仕様の望遠ズームで
ありながらも、他社の同等仕様の普及品とは一線を画す描写力だ。
![c0032138_16135443.jpg]()
本レンズはカメラ店ではなく、リサイクル品のチェーン店で
購入したものだ。現代の一部のリサイクル店には、カメラ関連
商品や、ハードウェア(楽器や各種電子機器等)も置いている。
関西圏には、こうしたリサイクル店舗がいくつもあるので、
最近私は、中古カメラ店以外に、そういう店舗や、あるいは
家電量販店の中古製品のコーナー、それから、中古PC店や
古書店等にもカメラやレンズが置いてあるケースも稀にあり、
それらの店も出来るだけ定期的に覗くようにしている。
中古カメラ専門店で機材を買わなくなってきたのは理由がある。
まずは、第一次中古カメラブームの時(1990年代後半~2000年
代初頭)には、あれだけ沢山あった中古カメラ店が、その後の
ブームの沈静化、およびデジタル時代になった為、多くが
廃業または規模縮小してしまった事だ。
まあ銀塩カメラであれば、稀に値上がりする投機的要素も
あったものの、デジタルカメラは年月とともに価値が下がる
一方である。つまり、店側としても在庫の中古デジタルカメラ
は、早く売らないと、売れ残ったらどんどん値段を下げざるを
得なくなる。これは店側としては苦しい販売形態だ。
だから生き残っている中古カメラ店の一部は、もうデジタル機を
一切置かず、ライカ、コンタックス、ニコン等のブランド力を
持つ古い銀塩機材を、高値安定での相場で売買ができる老舗の
専門店か、または、全国チェーンで強力な流通力を持ち、ネット
販売等で素早く取引を完了させてる組織力を持った所ばかりだ。
あるいは、事業規模縮小などで残っている専門店の一部でも、
もう安価な(付加価値の低い)商品は置かないし、買い取っても
くれない、そういうチマチマとした商売をやっていても、経営が
厳しいという判断であるからだろう。
だとすると、安価な商品、たとえばジャンク級の数千円の
レンズとか、1万円未満の安いコンパクトデジタルカメラ等は、
もう中古専門店などで入手するのは難しい状況だ。
置いてある物は比較的新鋭のデジタル一眼レフやミラーレス機
等であり、それらその物も市場縮退と高付加価値化で価格が
吊り上がっているから、数万円(5万円)以上の中古品ばかりだ。
従前のように、2~3万円ほとの現金を持って中古店に行き
「どのカメラにしようかな?」などと、楽しんで選ぶ事は、
もう無理な時代になってきてしまっている。
![c0032138_16135338.jpg]()
さて、中古市場の話はまだまだ続くが、ここで一旦紹介レンズの
話に戻ろう。
本AF75-300/4.5-5.6だが、ミノルタ時代のαマウント用の
AF望遠ズームである。詳細な出自は、もう情報が殆ど残って
おらず不明だ。
一般に「NEW型」と呼ばれる、ピントリングがゴム製のタイプ
なので、1990年頃からの時代のレンズであろう。
この時代以前のαレンズは初期型とかⅠ型、旧型等と呼ばれる
ピントリングが数ミリ(だいたい4mm前後)の狭いものであり、
これは1985年のα-7000の発売(「αショック」と呼ばれる
市場インパクトが大きい出来事)より、「AFが最先端である」
というイメージから、MFをあえて軽視した仕様であった。
すぐに「AFは万能では無い」という事にユーザーもメーカーも
気付き、それ以降、時代が進むに従いMF操作性は向上していく、
NEW型でのピントリングの幅は、それまでの旧型のおよそ倍の
8mm前後となっていて、若干だが操作性は良くなった。
![c0032138_16135389.jpg]()
本レンズを見つけた際、ちょうど本レンズの旧型(Ⅰ型)も
同時に置いてあった、価格はいずれも1500円+税であった。
旧型の同レンズには「マクロモード」がついている。
一瞬、「マクロがあるなら旧型の方が良いか?」とも思った。
(注:旧型のピントリングの操作性は、私はあまり気にしない
沢山のα旧型、NEW型レンズを使っているが、MF時の操作性は、
”どちらも大差無い”という評価なのだ)
だが、良く見ると、旧型もNEW型も、レンズの最短撮影距離は
1.5mと同じだ、つまり旧型ではわざわざマクロモードにしないと
寄れなかったのが、NEW型ではピントリングを廻して、そのまま
マクロ域に入れる、という違いであった。
「ならばNEW型を選ぶべきでしょう」となった。
ちなみに、マクロと言っても、当時の表記では専用のマクロ
レンズほどの撮影倍率は得られない。そのあたりの表記の
厳密性が緩い時代でもあったからだ。
試しに、300mmの焦点距離(注:APS-C機のα700を使用の為、
換算画角は450mm相当)で、最短1.5mで撮るとこんな感じだ。
![c0032138_16135442.jpg]()
あてにならないマクロ性能なので、「α65とかに付けて
行こうか?」と当初は思っていた。2010年代のSONY αフタケタ
機であれば、デジタル・テレコン機能で、さらに1.4倍または
2倍の画角が得られ、それこそマクロレンズ並みか、それ以上の
撮影倍率を簡単に得られるからだ(α700にその機能は無い)
が、機材のローテーションの都合と、カメラ価格が突出する事を
避ける持論(オフサイドの法則)で、α700を持ち出した。
撮っている際には「これだけ大きく写せれば十分」とも
思ったのだが、後で計算してみると、450mm相当の画角での、
1.5m距離での撮影範囲だが、およそ11cmx8cmとなった。
これで35mm判フィルムのサイズ(3.6cmx2.4cm)を割った値が
撮影倍率であるから、この場合、約1/3倍マクロとなる。
まあ、マクロレンズの代用として考えると、やはり、α65や
α77Ⅱを持ち出した方が良かった。それらの機種のデジタル
(スマート)テレコンバーター機能で、約2/3倍マクロとなり、
それならばマクロレンズの代用として十分使えると思う。
ちなみに最短1.5mというのは、被写体に対峙すると、かなり
遠くに感じる。よって、ただ単に「大きく写す」と言うより
望遠マクロ的な用途、すなわち「近寄れない被写体を大きく
写す」に適しているであろう。
レンズ自体の描写力だが、なかなかのものである。
より後年の高性能望遠ズームにも遜色の無い写りで好ましい。
(丁度、1990年代に望遠ズームの描写力は改善されている)
ただ、AFは流石に遅い、これについては、MFやMF置きピン、
DMF(ダイレクトマニュアルフォーカス)、AFロック等の
設定や技法を適宜使い分けてAFの遅さをカバーする必要がある。
古いレンズがAFが遅いのは当然だ、だからそこに文句を
言っても始まらない。そしてレンズの欠点を、どうカバーする
かは、使い手側のスキル(技能)に依存するのだ。
AFの問題に限らず、オールドレンズやジャンクレンズ全般に
おいて、レンズ性能の欠点の回避は重要な課題となる。
----
では、次のジャンクレンズ
![c0032138_16141148.jpg]()
レンズは、HOLGA LENS HL-C(BC) 60mm/f8
(アウトレット新品購入価格 約1,000円)
カメラは、CANON EOS 6D (フルサイズ機)
2010年代初頭発売の安価な中国製一眼レフ用トイレンズ。
本シリーズ第7回記事で同型のレンズを紹介している。
ただし、それはフォーサーズ用のレンズであり「現代では
フォーサーズカメラは事実上終焉している事から、安価に
アウトレット品を入手できた」と書いた。
そして、フォーサーズの規格は、イメージサークルが小さい、
当該記事ではフルサイズ機のα7を用いて、どこまでイメージ
サークルを狭めれば良いか?を、α7に備わるAPS-Cモードや
デジタルズーム機能を用いて検証していた。
その検証時には、BC(ブラックコーナー・エフェクト=周辺
光量落ちを得る為のレンズの特殊構造)が、あまり工作精度が
良くなく、周辺光量落ちパターンが汚い事が気になった。
これはイメージサークルの問題ではなく、中国製トイレンズの為
製品固有の問題かも知れない、まあでも、酷い写りである方が
トイレンズの特徴を活かせるので、そこで「不良品だ」と騒ぐ
つもりは無く、むしろ、個性的な変な写りは、トイレンズでは
「当たりレンズ」なのである。
![c0032138_16141186.jpg]()
で「まだ個体差がある製品があるかな?」と、しばらくして
同じアウトレット店を再度訪れてみた、すると在庫の奥の方に、
EOSマウント品がある事を発見、価格はやはり1000円程度だ。
こちらは元々フルサイズ機用だ、こちらで、どの程度の周辺
光量落ちが出るか見たくなって、追加購入する事とした。
これで、このHOLGA LENSの購入は4本目となる、
ただし、全部同じ物では無い、フルサイズ用60mm,4/3用60mm,
ミラーレス用25mm,PENTAX Q用10mmと、全部仕様が異なるのだ。
(注:開放F値は全てF8で同じ、ただしBC機能で光量が減る為、
実効F値は、F10~F12程度に落ちている事であろう)
いずれも新品で1000円~3000円と安価である。
本レンズの話は、また後述する事として、先のジャンク市場の
話の続きをしていこう。
----
ジャンク品、すなわち500円~2000円、高くても3000円
程度までで買えるレンズは、今時は中古カメラ専門店には
殆ど置かれていない。
まあ、中古市場が縮退している現代においては、店舗側でも
シビアな経営をしていかないと厳しい訳だ。
お客さんが、数千円のジャンク品を買って、それで満足して
帰ってしまったら、数万円で売れるだろう高級中古レンズの
販売機会を損失してしまう。
が、最初から安い商品を置いていなければ、数万円のものを
買うか買わないかの二択だ。まあ、お客は「買いに来ている」
訳だから、高いものを売りやすい、という仕組みになる。
で、私の場合、そうした高価な物だけを置く中古専門店には
もう「指名買い」で行くケースだけになってしまった。
各カメラ等の中古相場も、現代では綿密に決まっているので
店舗による大差は無い。もし差異があったら、常に安い店しか
売れない事になる、だから必ず「他店対抗価格」となり、すぐに
各商品の中古相場は必ず同等レベルになって安定するのだ。
したがって、特定の機種(カメラ・レンズ)を、予め調べて
相場がわかっていて、「これ下さい」と「指名買い」するか
または、予約して入れて貰ってある商品を、現場確認して
買う時だけだ。
ちなみに、ほんの10年程前までは常識であった「値切り買い」
の文化は、もはや中古カメラ市場では完全に廃れてしまった。
カメラに限らず、その「値切り」文化が根強い大阪であっても、
もはや中古カメラ市場での値切りの効く店は、もうほとんど
残っていない。値札に書いてある価格で黙って買うしか無いのだ。
こんな状況を「面白く無い」と思うマニアは多い事であろう、
ただ、嘆いていてもしかたが無い、時代や状況が変われば
変わっていくなりに、消費者側も意識を変えていく必要がある。
私の場合、先の「相場安定」という点に注目し、大手中古
チェーン店のネット販売等を熟読し、流通しているほぼ全ての
カメラやレンズの中古相場を暗記する程にまでなっている。
この状態で、中古カメラ専門店以外の、中古や新古を扱う店に
行く。例えば家電量販店、古書店、リサイクル店、アウトレット
店等である。
そこに置かれているカメラやレンズは、シビアな中古カメラ
市場での相場とは連動していない価格が付けられている。
連動していない、という事は、勿論、値段が高い場合もあり、
逆に安い場合もある、という事である。
その際、全ての商品(別に全てで無くても良い、自身が欲しい
機材だけでも良い)の正確な相場がわかっていれば、その場で、
売られている中古機材の値段が高いのか安いのかは判断できる
であろう。
当然、中古専門店の相場より値段が高いものは買わないが、
その逆に、相場より安いものは、絶対と言っていいほど
「買い」な訳だ。
ちなみに、古本等では、この状態(地方店などで相場よりも
安価に古本を買って、大都市圏の専門店などで高く売る)で
利益が出せる場合があるので、それを専門とする「せどり」
という職業が存在している模様だ。実際の古本の「せどり」
の人は私は見た事は無いが、カメラ機材でそれをやっている
人(外国人の知人だ)は実在している。
ただ、古本では価格差が大きく、利益が出るかも知れないが、
カメラ機材では若干安価に買ったくらいでは大きな利益は
まず得られない、だからこれを職業化するのは難しいのだが、
その外国人中古カメラ・ブローカーは常時数百点の買い付けた
中古商品を、ネットオークションや海外販売等で廻していて、
寝る暇も無いほど忙しいらしい。
それと、早く売らないと価値が落ちる見込みのあるものは
買い付けない、中古相場に関しては彼は誰よりも詳しいだろう。
ただ、彼は写真は撮らないそうだ。もし、私のようなマニアが
そういう商売をやろうとしたら、「あ、このレンズは欲しかった
珍しい物なので、売りたくないなあ・・」とかなって、買い付け
ばかりが増えて、ちっとも商売にならない事であろう(笑)
![c0032138_16141147.jpg]()
さて、ここで一旦また紹介レンズの話に戻る。
HOLGA LENS HL-C(BC)であるが、予想通りフルサイズ対応の
イメージサークルは持ち合わせていない。
周辺光量落ち、と言うより、もはや「ケラレ」なので、
APS-C機のEOSに装着した方が適切な感じである。
前述のα7では、連続デジタルズーム機能により、実質的に
イメージサークルに対応してセンサーサイズを狭める効能が
あったのだが、EOS機ではそういうモードが搭載されていない。
(注:これはEOSが一眼レフだから無理、という訳ではなく、
例えばNIKON機であれば、FX→DXや DX→1.3倍モードという
クロップ機能をデジタル一眼レフに搭載している)
カメラ側にクロップやズーム機能が無ければ、周辺光量落ちが
適切となる領域を「トリミング編集」により、得るしか無いで
あろう。
銀塩時代にはトリミング処理は、同じ印刷サイズにする場合に
画質劣化を伴った、まあ、フィルムが小さくなる分を拡大印刷
するから当然だ。
デジタルにおいては「閲覧画素数」をキープできる条件があれば
トリミングでの画質劣化は起こらない。これもシンプルな
原理であるが、デジタル移行期の2000年代前半には、そういう
技術的原理を理解しているカメラマンは、残念ながら皆無で
あった。(よって、デジタルでもトリミングを非常に嫌っていた)
まあ今時であれば中級者以上ならば理解している事ではあるが、
フィルムの常識から逃れられないシニア層やビギナー層には、
この事は依然理解されていないと思う。
もう、そういう人達は放置し、ここでは詳しい説明は行わない、
いくら詳しく説明しても、あるいは説明を工夫しても「理解
できない人は理解できないのだ」と、経験上、そういう結論に
至ったからだ。
![c0032138_16141139.jpg]()
本HOLGA HL-Cであるが、ジャンクでは無くトイレンズだ、
このトイレンズの意味(意義)も、何度も本ブログでは
説明しているので、本記事では割愛する。
トイレンズの存在意義も、わからない人には絶対にわからない、
だから、ここも逆説的に言えば、必要な人だけ買えば良い
レンズになるという事だ。
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では、次のジャンクレンズ
![c0032138_16142289.jpg]()
レンズは、MINOLTA MC W ROKKOR 28mm/f3.5
(ジャンク購入価格 3,000円)
カメラは、SONY α7 (フルサイズ機)
ミラーレス・マニアックス第71回記事で紹介の、
1970年前後のMF広角レンズ。
新旧あって、本レンズは旧型で最短撮影距離が60cmと異様に
長いという欠点を持つ。
![c0032138_16142252.jpg]()
現代の撮影技法においては、広角レンズは寄れないと
お話にもならず、28mmレンズであれば最短28cmが必須だ、
中には、NIKON Ai28/2.8とかSIGMA AF28/1.8では
20cmか、それ以下の最短撮影距離を持つ優秀なものもある中で、
60cmの最短は、まさしく不満の塊だ。
ただ、本レンズの最短性能を知らずに買った訳ではなく、
そこには2つの理由があった。
1つは、広角レンズを絞って中遠距離被写体を撮るという、
1950年代後半~1970年代の銀塩一眼レフやレンジ機での
撮影技法専用のレンズにするという考え方だ。
この技法は古い時代のものだが、絞ってMTFを向上させる意味と
ピント合わせを簡略化するという長所もある。
もう1つは、この時代か少し前のニコンの28mmレンズで
同様に最短が60cmと長かった方が、改善した30cm版新型より
描写力(解像力)が高かったという前例を覚えていたのだ。
ミノルタでも、その設計思想と同じ(つまりレンズ構成等も
各社、殆ど同じという時代でもあった)であれば、最短の長い
旧型の方が描写力が高いかも知れない訳だ。
まあでも、いずれの思惑も、結局どうでも良い話であった。
実際に本MC28/3.5を使ってみると、最短の長い広角レンズは、
テクニカル的にも表現力的にも、全く面白く無い。
![c0032138_16142208.jpg]()
結局、殆ど使っていないで死蔵する状態であった。
せめてハイコスパレンズとしてシリーズ記事等で紹介できれば、
試写を沢山行うのだが、本レンズは逆光耐性等も含め基本性能が
とても低く、コスパが良いとは言えないレンズだ。
だが、これではさすがに勿体無いので、本記事ジャンク編で
再度取り上げてみる事とした。
しかし、描写力や最短性能で、不満の塊のようなレンズである、
こういうのは本当に「安かろう、悪かろう」の典型であるが、
それでも、欠点を責めるのは筋違いだとも思う。レンズの欠点が
理解できるのであれば、それを回避したり、逆に長所にして
しまうのが、高度なレンズ使いこなしの技能であり、それが
マニアや上級者に求められる条件でもある。
![c0032138_16142240.jpg]()
今回はできるだけ、そういう点を回避しながら使ってみた、
一般的な撮影技法では殆ど面白味が無いので、エフェクトの
使用を中心としている。
しかし、基本性能が低いと、ストレスが募るばかりだ、
やはり、寄れない広角は買うに値しないレンズであろう。
ちなみに、同様の理由で、レンジ機用の広角レンズは現在殆ど
所有していない。機体の構造上、一眼レフ用広角よりも高画質が
得られる可能性があるレンジ機用広角だが、システムの制約で
最短が70~90cmと、本レンズよりさらに寄れないレンジ機用の
広角は、ストレスが溜まって爆発してしまうからだ・・・
----
さて、今回ラストのジャンクレンズ
![c0032138_16143475.jpg]()
レンズは、RMC TOKINA 80-200mm/f4
(ジャンク購入価格 1,000円)
カメラは、PANASONIC LUMIX DMC-G6 (μ4/3機)
出自の良くわからないMFレンズだ、今となっては殆ど情報も
残っておらず、発売年代や発売時価格等も不明である。
(恐らくは1980年前後の製品)
また、TOKINAのこのクラスは類似仕様のレンズが多く、
開放F値、最短撮影距離仕様などが微妙に異なる。
![c0032138_16143494.jpg]()
ジャンクであってもMF望遠ズームレンズは、まあ使える。
その際に、より効果的な仕様または利用法は以下の通りだ。
1)直進式ズームである事
(ズーミングとピント合わせが同時に行えるワンハンドズーム。
現代ズームのような独立回転式だと、この技法は使えない)
2)できれば開放F値固定ズームである事
(注:F4あたりまでが普通だ、MFズームでF2.8通しは極めて
珍しい。ただ、開放F値変動型であっても、他の特徴が
あれば好ましい、例:近接性能が優れている等)
3)APS-C機やμ4/3機で使う事
(望遠の特徴がより強調され、被写体への対応幅が広がる。
加えてオールドレンズに良くある周辺画質低下を消せる)
4)最短撮影距離が長すぎない事
(注:その仕様はワイド端なのかテレ端なのかに注意)
5)デジタル拡大機能の操作系の優れたカメラと組み合わせる
事が、画角、構図、被写界深度の関連の自由度が上がる。
(今回使用のDMC-G6は理想的なMF望遠ズーム母艦である)
6)中古相場が安価である事
(この時代のMF望遠ズームは、機種毎に性能のばらつきが
多く、何本か買って実写してみないと良い物は選べない、
幸い、現代ではこのクラスのMF望遠ズームは安価であり、
1000~4000円程度で購入可能であろう)
本レンズRMC TOKINA 80-200mm/f4は、上記の要件の
殆ど全てを満たす理想的な状況だ。
後は描写力が優れていれば、それで全く不満は無いし、
仮に描写力に何か問題があったとしても、そこでの弱点を
逆用して、写真として、何らかの「個性」に変える事が
出来るならば、それでもOKだ。
![c0032138_16143432.jpg]()
本レンズの弱点だが、かなりフレアっぽく、コントラストが
低い描写となる事だ。
ただしそれは、逆光条件の場合であり、順光、あるいは軽い
暗所等でのフラット光の条件ではあまり問題は無い。
解像力も全般に低めであるが、焦点距離設定と撮影距離に
依存する場合もある。これについては対策として、様々な
撮影条件(距離、画角、絞り値)で撮ってみるのが良いで
あろう。なお、この撮影技法は「ボケ質破綻回避」と殆ど
同じであるから、こうしたオールドレンズ使用の場合は、
日常的に行う事であり、「面倒だ」という印象はあまり無い。
本レンズは、一種の「レアもの」ではあるとは思うが、
中古市場で一概に「レア」と言っても、その製品自体に
魅力や価値が無いと意味が無い。単に珍しいだけであって
相場が高く、それで性能が低くて実用に値しないのであれば、
それは「コスパが悪い」という重欠点に繋がる。
「コスパ」は常に最優先で考えるべき項目だ。
そういう視点からすると、本レンズRMC TOKINA 80-200mm/f4
のコスパは良い、なにせ購入価格1000円だ、この価格で
あれば、何かしらの問題点があっても許せる。
![c0032138_16143416.jpg]()
なお、描写力の弱点を回避するには、上記のように、撮影
条件を変えながらの高度な技法が必要となる、レンズの
性能を引き出せるか否かは、利用者のスキルにも依存する
訳であり、結果、それがコスパにも繋がるのであれば、
よりスキルを高め、レンズの性能を引き出す努力が必要
になるであろう。レンズを買ったは良いが、使いこなせない
(または、買った事で満足してしまって、使わない)のでは
極めて勿体無い。
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さて、今回のジャンクレンズ編(Ⅱ)はこのあたり迄と
する、次回記事は、また未紹介レンズを中心とする予定。
未紹介のマニアックなレンズを紹介するシリーズ記事。
今回は、ジャンクレンズ編の「その2」とする。
まず最初に、「ジャンクレンズ」とは、故障品、キズ、カビ、
動作不良、付属品欠品等の理由で、商品としての価値が殆ど
無い物で、中古カメラ店やリサイクル店等で、概ね500円~
2000円程度で安価に売られているレンズを指す。
なお、ジャンク品(ジャンクレンズ)は、故障や劣化等で、
使用不可な物ばかりとは限らず、その多くは何ら問題なく
使用できる。ただし実際に使えるかどうかは「目利き」が
必要だし、動作部の動きが重いとか、非常にレアなマウントで
あったりして、使用が困難である場合もあるだろう、つまり
何らかの「訳アリ」「難アリ」の商品だ、という事だ。
それから、保証等はまず無いので、買って帰って使えなかった
としても返品等は不可だ、メーカー修理が効かないような古い
物も多々あり、買うかどうかの判断は、ユーザー側の自己責任に
委ねられる。
まあ、値段が極めて安いが、その安い理由やリスクを、ちゃんと
理解して買う必要があるだろう。勿論ビギナー層向けの買い方
では絶対無いし、恐らくは中上級者であっても困難だ。
こういう買い方は、中古買いを多数経験していて、目利きの
技能を持つマニア層でなくては、まず無理なので念の為。
(なお、一部の上級マニアでは、レンズ自力修理の技能を持つ。
その修理技術の向上や習得の為に、こうしたジャンクレンズを
購入するケースも有り得る。以前、私もそれを目指した事も
あったが、実際にカメラやレンズの修理をするには、あまりに
面倒で時間もかかり、専用工具なども必要なので、挫折・断念
してしまっている・・汗)
では、まずは最初のジャンクレンズ

(ジャンク購入価格 1,500円)
カメラは、SONY α700 (APS-C機)
さて、今回記事は古いジャンク品の紹介が殆どだ。
レンズの性能を、とやかく言っても始まらないものも多い。
こういう場合、このようなジャンク品の流通や中古相場とか
中古市場等・・ まあ今回の記事では、機材その物の話よりも、
そういった取り巻く状況の話を主に書いていく事にする。
で、本レンズ AF75-300だが、結構まともに写るレンズである。
この時代(1990年代)のミノルタ製AFレンズは、描写力に
優れるものが多く、本レンズも一般的な廉価仕様の望遠ズームで
ありながらも、他社の同等仕様の普及品とは一線を画す描写力だ。

購入したものだ。現代の一部のリサイクル店には、カメラ関連
商品や、ハードウェア(楽器や各種電子機器等)も置いている。
関西圏には、こうしたリサイクル店舗がいくつもあるので、
最近私は、中古カメラ店以外に、そういう店舗や、あるいは
家電量販店の中古製品のコーナー、それから、中古PC店や
古書店等にもカメラやレンズが置いてあるケースも稀にあり、
それらの店も出来るだけ定期的に覗くようにしている。
中古カメラ専門店で機材を買わなくなってきたのは理由がある。
まずは、第一次中古カメラブームの時(1990年代後半~2000年
代初頭)には、あれだけ沢山あった中古カメラ店が、その後の
ブームの沈静化、およびデジタル時代になった為、多くが
廃業または規模縮小してしまった事だ。
まあ銀塩カメラであれば、稀に値上がりする投機的要素も
あったものの、デジタルカメラは年月とともに価値が下がる
一方である。つまり、店側としても在庫の中古デジタルカメラ
は、早く売らないと、売れ残ったらどんどん値段を下げざるを
得なくなる。これは店側としては苦しい販売形態だ。
だから生き残っている中古カメラ店の一部は、もうデジタル機を
一切置かず、ライカ、コンタックス、ニコン等のブランド力を
持つ古い銀塩機材を、高値安定での相場で売買ができる老舗の
専門店か、または、全国チェーンで強力な流通力を持ち、ネット
販売等で素早く取引を完了させてる組織力を持った所ばかりだ。
あるいは、事業規模縮小などで残っている専門店の一部でも、
もう安価な(付加価値の低い)商品は置かないし、買い取っても
くれない、そういうチマチマとした商売をやっていても、経営が
厳しいという判断であるからだろう。
だとすると、安価な商品、たとえばジャンク級の数千円の
レンズとか、1万円未満の安いコンパクトデジタルカメラ等は、
もう中古専門店などで入手するのは難しい状況だ。
置いてある物は比較的新鋭のデジタル一眼レフやミラーレス機
等であり、それらその物も市場縮退と高付加価値化で価格が
吊り上がっているから、数万円(5万円)以上の中古品ばかりだ。
従前のように、2~3万円ほとの現金を持って中古店に行き
「どのカメラにしようかな?」などと、楽しんで選ぶ事は、
もう無理な時代になってきてしまっている。

話に戻ろう。
本AF75-300/4.5-5.6だが、ミノルタ時代のαマウント用の
AF望遠ズームである。詳細な出自は、もう情報が殆ど残って
おらず不明だ。
一般に「NEW型」と呼ばれる、ピントリングがゴム製のタイプ
なので、1990年頃からの時代のレンズであろう。
この時代以前のαレンズは初期型とかⅠ型、旧型等と呼ばれる
ピントリングが数ミリ(だいたい4mm前後)の狭いものであり、
これは1985年のα-7000の発売(「αショック」と呼ばれる
市場インパクトが大きい出来事)より、「AFが最先端である」
というイメージから、MFをあえて軽視した仕様であった。
すぐに「AFは万能では無い」という事にユーザーもメーカーも
気付き、それ以降、時代が進むに従いMF操作性は向上していく、
NEW型でのピントリングの幅は、それまでの旧型のおよそ倍の
8mm前後となっていて、若干だが操作性は良くなった。

同時に置いてあった、価格はいずれも1500円+税であった。
旧型の同レンズには「マクロモード」がついている。
一瞬、「マクロがあるなら旧型の方が良いか?」とも思った。
(注:旧型のピントリングの操作性は、私はあまり気にしない
沢山のα旧型、NEW型レンズを使っているが、MF時の操作性は、
”どちらも大差無い”という評価なのだ)
だが、良く見ると、旧型もNEW型も、レンズの最短撮影距離は
1.5mと同じだ、つまり旧型ではわざわざマクロモードにしないと
寄れなかったのが、NEW型ではピントリングを廻して、そのまま
マクロ域に入れる、という違いであった。
「ならばNEW型を選ぶべきでしょう」となった。
ちなみに、マクロと言っても、当時の表記では専用のマクロ
レンズほどの撮影倍率は得られない。そのあたりの表記の
厳密性が緩い時代でもあったからだ。
試しに、300mmの焦点距離(注:APS-C機のα700を使用の為、
換算画角は450mm相当)で、最短1.5mで撮るとこんな感じだ。

行こうか?」と当初は思っていた。2010年代のSONY αフタケタ
機であれば、デジタル・テレコン機能で、さらに1.4倍または
2倍の画角が得られ、それこそマクロレンズ並みか、それ以上の
撮影倍率を簡単に得られるからだ(α700にその機能は無い)
が、機材のローテーションの都合と、カメラ価格が突出する事を
避ける持論(オフサイドの法則)で、α700を持ち出した。
撮っている際には「これだけ大きく写せれば十分」とも
思ったのだが、後で計算してみると、450mm相当の画角での、
1.5m距離での撮影範囲だが、およそ11cmx8cmとなった。
これで35mm判フィルムのサイズ(3.6cmx2.4cm)を割った値が
撮影倍率であるから、この場合、約1/3倍マクロとなる。
まあ、マクロレンズの代用として考えると、やはり、α65や
α77Ⅱを持ち出した方が良かった。それらの機種のデジタル
(スマート)テレコンバーター機能で、約2/3倍マクロとなり、
それならばマクロレンズの代用として十分使えると思う。
ちなみに最短1.5mというのは、被写体に対峙すると、かなり
遠くに感じる。よって、ただ単に「大きく写す」と言うより
望遠マクロ的な用途、すなわち「近寄れない被写体を大きく
写す」に適しているであろう。
レンズ自体の描写力だが、なかなかのものである。
より後年の高性能望遠ズームにも遜色の無い写りで好ましい。
(丁度、1990年代に望遠ズームの描写力は改善されている)
ただ、AFは流石に遅い、これについては、MFやMF置きピン、
DMF(ダイレクトマニュアルフォーカス)、AFロック等の
設定や技法を適宜使い分けてAFの遅さをカバーする必要がある。
古いレンズがAFが遅いのは当然だ、だからそこに文句を
言っても始まらない。そしてレンズの欠点を、どうカバーする
かは、使い手側のスキル(技能)に依存するのだ。
AFの問題に限らず、オールドレンズやジャンクレンズ全般に
おいて、レンズ性能の欠点の回避は重要な課題となる。
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では、次のジャンクレンズ

(アウトレット新品購入価格 約1,000円)
カメラは、CANON EOS 6D (フルサイズ機)
2010年代初頭発売の安価な中国製一眼レフ用トイレンズ。
本シリーズ第7回記事で同型のレンズを紹介している。
ただし、それはフォーサーズ用のレンズであり「現代では
フォーサーズカメラは事実上終焉している事から、安価に
アウトレット品を入手できた」と書いた。
そして、フォーサーズの規格は、イメージサークルが小さい、
当該記事ではフルサイズ機のα7を用いて、どこまでイメージ
サークルを狭めれば良いか?を、α7に備わるAPS-Cモードや
デジタルズーム機能を用いて検証していた。
その検証時には、BC(ブラックコーナー・エフェクト=周辺
光量落ちを得る為のレンズの特殊構造)が、あまり工作精度が
良くなく、周辺光量落ちパターンが汚い事が気になった。
これはイメージサークルの問題ではなく、中国製トイレンズの為
製品固有の問題かも知れない、まあでも、酷い写りである方が
トイレンズの特徴を活かせるので、そこで「不良品だ」と騒ぐ
つもりは無く、むしろ、個性的な変な写りは、トイレンズでは
「当たりレンズ」なのである。

同じアウトレット店を再度訪れてみた、すると在庫の奥の方に、
EOSマウント品がある事を発見、価格はやはり1000円程度だ。
こちらは元々フルサイズ機用だ、こちらで、どの程度の周辺
光量落ちが出るか見たくなって、追加購入する事とした。
これで、このHOLGA LENSの購入は4本目となる、
ただし、全部同じ物では無い、フルサイズ用60mm,4/3用60mm,
ミラーレス用25mm,PENTAX Q用10mmと、全部仕様が異なるのだ。
(注:開放F値は全てF8で同じ、ただしBC機能で光量が減る為、
実効F値は、F10~F12程度に落ちている事であろう)
いずれも新品で1000円~3000円と安価である。
本レンズの話は、また後述する事として、先のジャンク市場の
話の続きをしていこう。
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ジャンク品、すなわち500円~2000円、高くても3000円
程度までで買えるレンズは、今時は中古カメラ専門店には
殆ど置かれていない。
まあ、中古市場が縮退している現代においては、店舗側でも
シビアな経営をしていかないと厳しい訳だ。
お客さんが、数千円のジャンク品を買って、それで満足して
帰ってしまったら、数万円で売れるだろう高級中古レンズの
販売機会を損失してしまう。
が、最初から安い商品を置いていなければ、数万円のものを
買うか買わないかの二択だ。まあ、お客は「買いに来ている」
訳だから、高いものを売りやすい、という仕組みになる。
で、私の場合、そうした高価な物だけを置く中古専門店には
もう「指名買い」で行くケースだけになってしまった。
各カメラ等の中古相場も、現代では綿密に決まっているので
店舗による大差は無い。もし差異があったら、常に安い店しか
売れない事になる、だから必ず「他店対抗価格」となり、すぐに
各商品の中古相場は必ず同等レベルになって安定するのだ。
したがって、特定の機種(カメラ・レンズ)を、予め調べて
相場がわかっていて、「これ下さい」と「指名買い」するか
または、予約して入れて貰ってある商品を、現場確認して
買う時だけだ。
ちなみに、ほんの10年程前までは常識であった「値切り買い」
の文化は、もはや中古カメラ市場では完全に廃れてしまった。
カメラに限らず、その「値切り」文化が根強い大阪であっても、
もはや中古カメラ市場での値切りの効く店は、もうほとんど
残っていない。値札に書いてある価格で黙って買うしか無いのだ。
こんな状況を「面白く無い」と思うマニアは多い事であろう、
ただ、嘆いていてもしかたが無い、時代や状況が変われば
変わっていくなりに、消費者側も意識を変えていく必要がある。
私の場合、先の「相場安定」という点に注目し、大手中古
チェーン店のネット販売等を熟読し、流通しているほぼ全ての
カメラやレンズの中古相場を暗記する程にまでなっている。
この状態で、中古カメラ専門店以外の、中古や新古を扱う店に
行く。例えば家電量販店、古書店、リサイクル店、アウトレット
店等である。
そこに置かれているカメラやレンズは、シビアな中古カメラ
市場での相場とは連動していない価格が付けられている。
連動していない、という事は、勿論、値段が高い場合もあり、
逆に安い場合もある、という事である。
その際、全ての商品(別に全てで無くても良い、自身が欲しい
機材だけでも良い)の正確な相場がわかっていれば、その場で、
売られている中古機材の値段が高いのか安いのかは判断できる
であろう。
当然、中古専門店の相場より値段が高いものは買わないが、
その逆に、相場より安いものは、絶対と言っていいほど
「買い」な訳だ。
ちなみに、古本等では、この状態(地方店などで相場よりも
安価に古本を買って、大都市圏の専門店などで高く売る)で
利益が出せる場合があるので、それを専門とする「せどり」
という職業が存在している模様だ。実際の古本の「せどり」
の人は私は見た事は無いが、カメラ機材でそれをやっている
人(外国人の知人だ)は実在している。
ただ、古本では価格差が大きく、利益が出るかも知れないが、
カメラ機材では若干安価に買ったくらいでは大きな利益は
まず得られない、だからこれを職業化するのは難しいのだが、
その外国人中古カメラ・ブローカーは常時数百点の買い付けた
中古商品を、ネットオークションや海外販売等で廻していて、
寝る暇も無いほど忙しいらしい。
それと、早く売らないと価値が落ちる見込みのあるものは
買い付けない、中古相場に関しては彼は誰よりも詳しいだろう。
ただ、彼は写真は撮らないそうだ。もし、私のようなマニアが
そういう商売をやろうとしたら、「あ、このレンズは欲しかった
珍しい物なので、売りたくないなあ・・」とかなって、買い付け
ばかりが増えて、ちっとも商売にならない事であろう(笑)

HOLGA LENS HL-C(BC)であるが、予想通りフルサイズ対応の
イメージサークルは持ち合わせていない。
周辺光量落ち、と言うより、もはや「ケラレ」なので、
APS-C機のEOSに装着した方が適切な感じである。
前述のα7では、連続デジタルズーム機能により、実質的に
イメージサークルに対応してセンサーサイズを狭める効能が
あったのだが、EOS機ではそういうモードが搭載されていない。
(注:これはEOSが一眼レフだから無理、という訳ではなく、
例えばNIKON機であれば、FX→DXや DX→1.3倍モードという
クロップ機能をデジタル一眼レフに搭載している)
カメラ側にクロップやズーム機能が無ければ、周辺光量落ちが
適切となる領域を「トリミング編集」により、得るしか無いで
あろう。
銀塩時代にはトリミング処理は、同じ印刷サイズにする場合に
画質劣化を伴った、まあ、フィルムが小さくなる分を拡大印刷
するから当然だ。
デジタルにおいては「閲覧画素数」をキープできる条件があれば
トリミングでの画質劣化は起こらない。これもシンプルな
原理であるが、デジタル移行期の2000年代前半には、そういう
技術的原理を理解しているカメラマンは、残念ながら皆無で
あった。(よって、デジタルでもトリミングを非常に嫌っていた)
まあ今時であれば中級者以上ならば理解している事ではあるが、
フィルムの常識から逃れられないシニア層やビギナー層には、
この事は依然理解されていないと思う。
もう、そういう人達は放置し、ここでは詳しい説明は行わない、
いくら詳しく説明しても、あるいは説明を工夫しても「理解
できない人は理解できないのだ」と、経験上、そういう結論に
至ったからだ。

このトイレンズの意味(意義)も、何度も本ブログでは
説明しているので、本記事では割愛する。
トイレンズの存在意義も、わからない人には絶対にわからない、
だから、ここも逆説的に言えば、必要な人だけ買えば良い
レンズになるという事だ。
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では、次のジャンクレンズ

(ジャンク購入価格 3,000円)
カメラは、SONY α7 (フルサイズ機)
ミラーレス・マニアックス第71回記事で紹介の、
1970年前後のMF広角レンズ。
新旧あって、本レンズは旧型で最短撮影距離が60cmと異様に
長いという欠点を持つ。

お話にもならず、28mmレンズであれば最短28cmが必須だ、
中には、NIKON Ai28/2.8とかSIGMA AF28/1.8では
20cmか、それ以下の最短撮影距離を持つ優秀なものもある中で、
60cmの最短は、まさしく不満の塊だ。
ただ、本レンズの最短性能を知らずに買った訳ではなく、
そこには2つの理由があった。
1つは、広角レンズを絞って中遠距離被写体を撮るという、
1950年代後半~1970年代の銀塩一眼レフやレンジ機での
撮影技法専用のレンズにするという考え方だ。
この技法は古い時代のものだが、絞ってMTFを向上させる意味と
ピント合わせを簡略化するという長所もある。
もう1つは、この時代か少し前のニコンの28mmレンズで
同様に最短が60cmと長かった方が、改善した30cm版新型より
描写力(解像力)が高かったという前例を覚えていたのだ。
ミノルタでも、その設計思想と同じ(つまりレンズ構成等も
各社、殆ど同じという時代でもあった)であれば、最短の長い
旧型の方が描写力が高いかも知れない訳だ。
まあでも、いずれの思惑も、結局どうでも良い話であった。
実際に本MC28/3.5を使ってみると、最短の長い広角レンズは、
テクニカル的にも表現力的にも、全く面白く無い。

せめてハイコスパレンズとしてシリーズ記事等で紹介できれば、
試写を沢山行うのだが、本レンズは逆光耐性等も含め基本性能が
とても低く、コスパが良いとは言えないレンズだ。
だが、これではさすがに勿体無いので、本記事ジャンク編で
再度取り上げてみる事とした。
しかし、描写力や最短性能で、不満の塊のようなレンズである、
こういうのは本当に「安かろう、悪かろう」の典型であるが、
それでも、欠点を責めるのは筋違いだとも思う。レンズの欠点が
理解できるのであれば、それを回避したり、逆に長所にして
しまうのが、高度なレンズ使いこなしの技能であり、それが
マニアや上級者に求められる条件でもある。

一般的な撮影技法では殆ど面白味が無いので、エフェクトの
使用を中心としている。
しかし、基本性能が低いと、ストレスが募るばかりだ、
やはり、寄れない広角は買うに値しないレンズであろう。
ちなみに、同様の理由で、レンジ機用の広角レンズは現在殆ど
所有していない。機体の構造上、一眼レフ用広角よりも高画質が
得られる可能性があるレンジ機用広角だが、システムの制約で
最短が70~90cmと、本レンズよりさらに寄れないレンジ機用の
広角は、ストレスが溜まって爆発してしまうからだ・・・
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さて、今回ラストのジャンクレンズ

(ジャンク購入価格 1,000円)
カメラは、PANASONIC LUMIX DMC-G6 (μ4/3機)
出自の良くわからないMFレンズだ、今となっては殆ど情報も
残っておらず、発売年代や発売時価格等も不明である。
(恐らくは1980年前後の製品)
また、TOKINAのこのクラスは類似仕様のレンズが多く、
開放F値、最短撮影距離仕様などが微妙に異なる。

その際に、より効果的な仕様または利用法は以下の通りだ。
1)直進式ズームである事
(ズーミングとピント合わせが同時に行えるワンハンドズーム。
現代ズームのような独立回転式だと、この技法は使えない)
2)できれば開放F値固定ズームである事
(注:F4あたりまでが普通だ、MFズームでF2.8通しは極めて
珍しい。ただ、開放F値変動型であっても、他の特徴が
あれば好ましい、例:近接性能が優れている等)
3)APS-C機やμ4/3機で使う事
(望遠の特徴がより強調され、被写体への対応幅が広がる。
加えてオールドレンズに良くある周辺画質低下を消せる)
4)最短撮影距離が長すぎない事
(注:その仕様はワイド端なのかテレ端なのかに注意)
5)デジタル拡大機能の操作系の優れたカメラと組み合わせる
事が、画角、構図、被写界深度の関連の自由度が上がる。
(今回使用のDMC-G6は理想的なMF望遠ズーム母艦である)
6)中古相場が安価である事
(この時代のMF望遠ズームは、機種毎に性能のばらつきが
多く、何本か買って実写してみないと良い物は選べない、
幸い、現代ではこのクラスのMF望遠ズームは安価であり、
1000~4000円程度で購入可能であろう)
本レンズRMC TOKINA 80-200mm/f4は、上記の要件の
殆ど全てを満たす理想的な状況だ。
後は描写力が優れていれば、それで全く不満は無いし、
仮に描写力に何か問題があったとしても、そこでの弱点を
逆用して、写真として、何らかの「個性」に変える事が
出来るならば、それでもOKだ。

低い描写となる事だ。
ただしそれは、逆光条件の場合であり、順光、あるいは軽い
暗所等でのフラット光の条件ではあまり問題は無い。
解像力も全般に低めであるが、焦点距離設定と撮影距離に
依存する場合もある。これについては対策として、様々な
撮影条件(距離、画角、絞り値)で撮ってみるのが良いで
あろう。なお、この撮影技法は「ボケ質破綻回避」と殆ど
同じであるから、こうしたオールドレンズ使用の場合は、
日常的に行う事であり、「面倒だ」という印象はあまり無い。
本レンズは、一種の「レアもの」ではあるとは思うが、
中古市場で一概に「レア」と言っても、その製品自体に
魅力や価値が無いと意味が無い。単に珍しいだけであって
相場が高く、それで性能が低くて実用に値しないのであれば、
それは「コスパが悪い」という重欠点に繋がる。
「コスパ」は常に最優先で考えるべき項目だ。
そういう視点からすると、本レンズRMC TOKINA 80-200mm/f4
のコスパは良い、なにせ購入価格1000円だ、この価格で
あれば、何かしらの問題点があっても許せる。

条件を変えながらの高度な技法が必要となる、レンズの
性能を引き出せるか否かは、利用者のスキルにも依存する
訳であり、結果、それがコスパにも繋がるのであれば、
よりスキルを高め、レンズの性能を引き出す努力が必要
になるであろう。レンズを買ったは良いが、使いこなせない
(または、買った事で満足してしまって、使わない)のでは
極めて勿体無い。
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さて、今回のジャンクレンズ編(Ⅱ)はこのあたり迄と
する、次回記事は、また未紹介レンズを中心とする予定。