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ミラーレス・クラッシックス(12)PANASONIC DMC-GX7

本シリーズは、所有しているミラーレス機の本体の詳細を
世代別に紹介して行く記事だ。

今回はミラーレス第三世代=発展期(注:世代の定義は
第一回記事参照)の PANASONIC LUMIX DMC-GX7(2013年)
について紹介しよう。
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レンズは SIGMA Art 60mm/f2.8DN を使用する。
(ミラーレス・マニアックス第0回、第30回、ハイコスパ
第4回記事参照)

以降、本システムで撮影した写真を交えながら記事を進めるが、
記事後半では、本機の特性に合致した別のレンズを使う。
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本機GX7の出自であるが、まずはPANASONICのGシリーズに
おいては、G,GH,GF,GM,GXという利用目的別のラインナップが
存在するが、その中でもGX型番は少々異端な感じだ。

GXシリーズの歴史を振り返ってみよう。

「DMC-GX1」 2011年
G,GH,GFに続く4つ目のシリーズ製品の初号機、見た目は、
DMC-GF1(2009年、本シリーズ第3回記事)にそっくりだ。

マニア向けの高級小型機であるが、この見た目が災いした。
内部的には、例えばISO感度がGF1の最大3200から、GX1では
12800と大幅に向上している要素もあり、当時のDMC-G3の
エンジンとほぼ同等であるが、EVFを持たず、GF1との差異が
わかりにくい。実際にも用途はかなり限定されてしまうのは、
DMC-GF1の記事でも書いた通りだ。
私は、このGX1には興味を持てなかった。
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「DMC-GX7」 2013年
GX1の次が、いきなり本機GX7である。GX2~6はいったい
何処に行ってしまったのか?と言いたいところであるが、
当時、2013年では既にG6やGF6が存在していた為、型番を
飛ばして調整したのであろう。

もしかするとGX1の際にも、1番と言えば、2000年代末の
古い機種を連想してしまい、販売に悪影響があったのかも
知れない、新機種発売テンポの速いミラーレス機市場で
あれば、そうした僅かなネーミング戦略の差も売り上げに
影響が出るのかも知れない。

しかし、このGX7は革新的な機種だ、その代表的な特徴を
述べると、μ4/3の小型機シリーズで初めてのEVF搭載、
しかも276万ドットと、これは多分、当時最も高精細だ。
そして、PANASONIC初の手ブレ補正内蔵機、さらには、
1/8000秒シャッターと、スペック的には極めて高性能だ。
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ただ、その高性能が必ずしも使い易いかどうかは、撮影の
用途による、その点については、じっくりと後述しよう。

「DMC-GX8」2015年
GX7は、パナで初めての手ブレ補正内蔵機ではあったが、
それまでのパナソニックでは、レンズ側に手ブレ補正機能を
内蔵するスタイルであった(ニコン、キヤノン等の一眼レフが
その方式)

しかし専用の手ブレ補正レンズが必要な為、ユーザーの立場
からすると、高価なそのようなレンズは買い難い、できれば
ボディ内手ブレ補正として、どんなレンズでも手ブレ補正が
効く方がずっとありがたい訳だ。

その方針を無理やり転換しようとした場合、ここでボディ側
にも手ブレ補正が入ると、両者の動作が干渉してややこしい
事になる。GX7では、その問題を解決できていなかった。

GX8では「Dual IS」方式を搭載し、レンズとボディの手ブレ
補正が相乗効果を出せるように改善された。
その他、GX7では上下方向にしかTILTしなかった背面モニター
も自由アングル形式に改善、そして専用露出補正ダイヤル搭載
と、GX7の持つ課題を多数解決して進歩した点が見られる。

「DMC-GX7 MK2」2016年
GX7での問題点であった、手ブレ補正機能の矛盾を解決し、
「Dual IS」方式を搭載、ただし、最高シャッター速度が
1/4000に低下、TILT型EVFの固定化など、スペックダウンした
点も見受けられる。

「DMC-GX7 MK3」2018年
GX7 MK2の小改良版。GX7 Mk2と殆ど仕様的に差異が無く、
(改良をする気が無いように思え)個人的には残念ながら
興味なし。あまり調べてもいないので詳細の言及は避ける。
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さて、という歴史の中、本機GX7(2013年)である。

本機の購入目的であるが、前述のようにPANASONIC機で
初めて搭載された内蔵手ブレ補正機能の利用にある。

特にμ4/3機は望遠に強く、DMC-G6(本シリーズ第10回記事)
では「望遠アダプター母艦」の用途を持たせていたのが、
「これに手ブレ補正が付いたら最強でしょう・・」という
思惑になった訳だ。
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まあ、オリンパスのμ4/3機を買えば良かったのではあるが、
この時点、2013年では、EVF搭載型のオリンパス機は、
OM-D E-M5とOM-D E-M1の2機種しかなく、前者は人気機種で
中古も高価な上、デジタル拡大機能があまり充実していないし、
ピーキング機能も入っていない。
後者は高性能だが、ハイエンド機である故に当時は非常に
高価であった。(注:後年に入手済み、後日紹介予定)

ただし購入の際に注意した点は、内蔵手ブレ補正機と言えども
他社機では自社製レンズでしか、その機能が動作しない場合も
ある、というケースだ。これについては、他社互換性に肝要な
伝統を持つPANASONIC Gシリーズであるから大丈夫だろう
とは思ったが、一応、取扱説明書等でアダプター使用時にも
GX7の内蔵手ブレ補正が効く事を確認した。
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しかしながら、これは大きな勘違いであった、まず最初に
GX7の、この問題点(注意点)をあげておこう。

内蔵手ブレ補正機能は、マウントアダプター使用時、あるいは
電子接点の無いMFレンズ(例:フォクトレンダー・ノクトン等)
を使った際でも動作するが、電源投入時にレンズからの
情報伝達が無いと、手ブレ補正での焦点距離設定メニューが
毎回出でしまう。しかし、これはある程度やむを得ない。
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もしこれを避ける為に、記憶方式にしてしまうと、レンズ
交換をした際に手ブレ補正の焦点距離設定を忘れてしまう
危険性もある。
オリンパス機では記憶方式だが、やっぱり設定を忘れて
しまう事も良くあったのだ。

あまりにうっとうしい場合は、あえて手ブレ補正をOFFに
して使う事もある、実用上では200mmレンズ(400mm相当)
以下ならば手ブレ補正は不要であり、それ以上の焦点距離
になった時のみ、その恩恵を感じる事が出来る訳だ。

GX7では、手ブレ補正機能をOFFにすれば、この焦点距離設定
メニューは出なくなる。

PENTAX Qの場合は手ブレ補正のON/OFFに係わらず、焦点距離
入力メニューが出る、つまりアダプター使用時においては
このメニューを消す事ができないので面倒だが、まあその
代わり、EXIFに設定した焦点距離データが反映されるという、
僅かな長所も存在している。

まあでも、ここまではメニューごときの話なので、大きな
問題点には成り得ない、焦点距離設定メニューは、何かの操作
(シャッター半押しでも)をすれば、すぐに消えるからだ。

問題なのは、
1:焦点距離が不定なオールド光学ズームレンズでは
 内蔵手ブレ補正が使えない。
2:オールド単焦点レンズで、ちゃんと焦点距離を入力しても
 デジタルテレコンやデジタルズームを併用すると手ブレ補正
 が不安定になる。
であった。

1は、まあ、やむを得ない。光学ズームレンズで頻繁に撮影の
焦点距離が変更されたら、いちいち焦点距離設定をメニューの
奥から呼び出していられないし、そもそも今何mmで撮っている
かの正確な焦点距離はわからない。

2であるが、ここはとてもややこしい。
本機を入手後の2015~2016年あたりに書いたレンズ関連記事の
多くでは、2の問題に関して、
「デジタル拡大機能を使ったら、拡大率に応じた焦点距離に
 手動で設定しなおす必要がある」と記載したのだが、
その後、本機GX7の長期間の使用において、上記は誤りである
事が判明した、そこは複雑な背景があるのだが、少しづつ
説明していこう。

まず、近年のLUMIX Gシリーズには、優秀なデジタル拡大機能
が存在している。これについてはDMC-G5(本シリーズ第7回)
DMC-G6(同10回)記事でも詳しく述べているが、その操作系に
優れているのは、その2機種のみであり、本機DMC-GX7や
Gシリーズ後継機(G7以降)では、G5/G6ほど快適には使えない。

G5/G6では、前部ファンクションレバーにデジタルズーム機能を
アサインできたが、本機GX7の場合はファンクションレバーが
無く、代わりにロータリーエンコーダー(前ダイヤル)が付いた、
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しかし、これがなんと、絞り値、シャッター速度、露出補正の
いずれかの限られた機能にしかアサイン出来ないのだ。
これでは、アダプター又はMFレンズ使用時に、この前ダイヤル
が何の目的にも使えず、完全に遊んでしまう!

LUMIX G/GXシリーズ初の「無駄なダイヤル」の出現だ(泣)
DMC-G1からの、無駄が無く、MF時に配慮、という優れた伝統と
極めて良く考えられた操作系設計は、いったい何処へ行って
しまったのであろうか?

それとも開発陣が一新されてしまったのであろうか?
あるいは、シリーズ別に開発チームが異なるのであろうか?
(この可能性は高い)

このほんの僅かな仕様ミスにより、これまで愛用していた
PANASONC Gシリーズへの操作系への信頼は瓦解してしまった。
G7以降の機種やGHシリーズでも同様な前部電子ダイヤルであり、
ここの問題が解決しないかぎりは、残念ながら、これ以降の
G/GX/GHシリーズを購入する事は、もう無いであろう。
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まあ、でも、そういう仕様(操作系)になってしまったのは
事実なので、もうどうしようも無い。そうであれば、本機に
おいては、その欠点を回避しながら使うしか無い。

では、本機GX7で(連続可変)デジタルズームを使うには
どうしたら良いか? これはもう、やむなく、貴重な
Fn2かFn3のボタンのいずれかを犠牲にして、それを
デジタルズーム開始のトリガー(動作開始ボタン)とする
しか方法は無い。
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なお、Fnキーはタッチパネル上のソフトFnキーを含めると
9個もあるが、うち5個がソフトキーであり、物理Fnキーは
4個しかない。
タッチパネル上のFnキーはEVF搭載機で、特に望遠系レンズ
等を主体として使おうとする際には、その構えを一々解く為、
全く使い物にならない事は、G5/G6の記事でも散々書いてきた
通りである。
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で、4つの物理Fnキーであるが、そのうち、普通はFn1は、
「Q.MENU」に使われ、さらには、Fn4はEVFと背面モニターの
切り替えに使うのはやむを得ず、Fn2にはデジタルテレコン
機能を割り振るのが便利だから、デジタルズームをアサイン
しようとすると、もうFn3しか残っていない。

その結果、純正等AFレンズ使用時における、絞込みプレビュー
やAFモード選択などの重要な機能を、Fnキーに割り振る事が
出来なくなってしまう。

前述の、前ダイヤルが完全に無駄になる事を避ける為に、
本機GX7を「AF専用機」にしようと考えたのであるが、この
Fnキーの機能不足から、GX7をAF専用機にする事は諦めた。

よって、AFでもMFでも快適に使えない、という、極めて
中途半端な立場のカメラになってしまった訳だ。
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そして、さらに問題点はある、そのデジタル拡大系機能を
Fn2とFn3にアサインしたとしよう。
デジタルズームの倍率はレバーやダイヤルでは変更できない
為、十字キーの上下を用いて倍率を変更するしか無い。

指の動線が飛ぶことはさておき、このデジタルズーム状態
から解除するには、もう1度デジタルズームボタンを押すしか
無い訳だ。これはまあ、他機でも解除しなくてはならない事が
あるのだが、本機は解除するまで十字キー上下の元々の効能、
つまり、ISO変更とドライブモード変更が、この間できなく
なってしまう。そして、十字キーとFnボタンの間を指が
何度も行ったり来たりする為、EVFを覗きながらの手探りでの
操作は厳しく、結局、EVFの構えを解く必要がある。
この操作系はどう見てもNGだ。



ちなみにG5/G6では、前部ファンクションレバーを常時
デジタルズーム機能にアサイン可能であり、開始トリガーを
発する必要も無いし、当然、解除の必要も無い。
勿論、EVFを覗きながら、かつ(望遠レンズ等で)カメラの
グリップ・ホールディングを持ち直す必要もなく、この前部
レバーはG5/G6では快適に操作可能だ。

すなわち、この時点で、GX7の手ブレ補正機能を用いて望遠
アダプター母艦にしよう、という目論見は完全に瓦解して
しまった。この操作系仕様では、その目的に対しては、
使いようが無いのだ。
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さて、これらの劣悪な操作系は多少我慢したとしよう、
でもここで、次なる大問題が襲ってくる。

デジタル拡大機能(デジタルズーム、デジタルテレコン)を
かけた時、内蔵手ブレ補正が正しく動作しない、という問題だ。

前述のように「正しく動作しない」は、誤りであったのだが、
不安定である事は確かだ、ここにはいくつかの複雑な理由がある、
それを説明すると長くなるが、まず3つのケースに分類してみよう。
A:電子接点の無い(オールド)光学ズームレンズ
B:電子接点の無い(オールド・非μ4/3純正)単焦点レンズ
C:電子接点の有る、μ4/3純正単焦点またはズームレンズ

このうちAのオールドズームは、内蔵手ブレ補正とは原理的に
マッチしない。デジタル拡大機能を使わなくても、焦点距離が
随時変更されては上手くいかないので、これはもうやむを得ない。

そしてCの純正レンズの場合は、上手く動作する。
今回の記事で、SIGMA A60/2.8DNを使っているのが、
このレンズはPANASONIC製では無いが、μ4/3規格対応品だ。
手ブレ補正機能をONにした場合、その焦点距離設定は
自動的に60mmに設定されている。
さらにデジタル拡大を、2倍や4倍程度かけても、通常は何も
問題は無いが、それを超える拡大率とすると、手ブレ補正の
動作が怪しくなってしまう場合もある。

では、Bはどうか? MF単焦点でデジタルテレコンで2倍や4倍に
拡大した場合、私は従来ならば、変化した見掛けの画角に応じて、
手ブレ補正の焦点距離を変更して本機GX7を使っていたのだが・・

で、後年に入手したOLYMPUS OM-D E-M5 MarkⅡの場合、
こうしたBのケースで焦点距離再設定を省略して2倍テレコンを
使ってもピタリとブレは止まる。
E-M5Ⅱでは、それ以上の拡大は出来ないので4倍とかの検証は
出来ないが、GX7との差は何であろうか?E-M5Ⅱの手ブレ補正が
新型で高性能だからであろうか・・?

結局、Bのケースを掘り下げて色々実験してみると「デジタル
拡大機能を使っても、変化した見掛けの焦点距離に応じて
焦点距離設定を変更しなくても良い」という事がわかった。
すなわち、レンズ焦点距離とセンサーシフト型の手ブレ補正
との間の角度補正の関係性は完全に「閉じて」いて矛盾は無く、
デジタル拡大は、その後の画像処理で行われる為、その時点で
焦点距離は無関係であった訳だ。
過去のミラーレス・マニアックス記事等での、その点での
「要焦点距離変更」の記述は誤りなので、ここで訂正しておく。
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だが、では実際に手ブレ補正が不安定になるのは何故か?
結局ここには、2つの原因がある事が近年判明した。
1)内蔵手ブレ補正機能の性能(精度)的限界
2)AUTO-ISO時の感度切り替えシャッター速度

1)に関しては、本機GX7は、パナソニックで初めて内蔵
手ブレ補正を搭載した機種であり、従来パナソニックのμ4/3
システムは、レンズ内手ブレ補正内蔵(O.I.S)であったのだ。
そして、純正望遠系ズーム等では、たいていレンズ側に
手ブレ補正が入っている、そして、その場合は本機DMC-GX7では、
内蔵手ブレ補正は無効になり、レンズ側の手ブレ補正機構が
採用される。

「じゃあ、いったいGX7の手ブレ補正は、いつ使えるのだ?」

これについては、結局、手ブレ補正機構の無い純正AFレンズ
の場合か、または、アダプター使用時にはMF単焦点レンズで
しか無い、前者は今回使用のSIGMA A60/2.8のようなレンズで、
後者はつまり、前述のBにおいて動作が不安定になるケースだ。

で、Bのケースは、本機の内蔵手ブレ補正を活用する為に、
200mmや300mm級という、MF望遠レンズを使う場合が多かった。
まずμ4/3なので、これは400~600mm相当の画角だ。

これにデジタル拡大を2倍で使うと800~1200mm相当。
さらにそれ以上とすると、手持ち限界を超える1500mm超えと
なり、このあたりから上の焦点距離では、もうどんな優秀な
手ブレ補正でも対処不能だ。

で、私が感じていた動作が不安定なのは、この600~1000mm
前後の超々望遠域での換算焦点距離の場合であった。
ここはもう単純に、そこまでの精密な手ブレ補正には、
本機GX7では精度が足りていない。という事なのだろう。
(まあ、手ブレ補正に頼りすぎていた、という反省点だ)
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次に、2)のAUTO-ISOの問題がある。

本機GX7では、AUTO-ISOで使用時にシャッター速度低速限界の
切り替わり設定機能が無い、よってここはカメラまかせになる。
電子接点のあるμ4/3レンズでは、通常は1/125秒程度、そして
300mm級(換算600mm)の純正望遠レンズでは、1/500秒程度と、
焦点距離に応じてISO切り替わりシャッター速度が変化するので
ここは好ましい。

だが、B)のアダプター使用時、焦点距離をいくつに設定しても
これは1/125秒に固定されてしまう模様だ。
つまり、MF400mm望遠レンズでも、1/125秒となってしまう。
これは「手ブレ限界速度」(焦点距離分の1秒)を下回っている。

実際にデジタル拡大機能を色々と使っていて、換算焦点距離が
1000mm程度になっている状態でも、1/125秒のシャッター速度に
なっている事が多々ある、という事だ。
これだと必要シャッター速度の3段落ちだ、内蔵手ブレ補正が
あっても完全にカバーできる保証も無く、気を抜いた構えだと
容易にブレてしまう。

結局、この1)および2)の問題が「デジタル拡大機能使用時に
手ブレ補正が不安定になる」と私が感じた原因であった訳だ。

よって、1000mm近辺の超々望遠域の撮影では手ブレ補正機能に
頼らず、手動ISO設定で、ちゃんと適切なシャッター速度を
維持したり、しっかりとしたカメラの構えをしない限り、
ラフな手抜き撮影など、やりようが無かった訳だ(反省!)

これはもう100%、使う側の私の問題になるだろう、過去記事での
「GX7でデジタル拡大機能を使うと、手ブレ補正の焦点距離設定
を換算画角に応じて変更する必要がある」というのは誤記でした、
失礼いたしました。

さて、で、AUTO-ISOの件だが、この自動シャッター速度変更
機能が有効であろうμ4/3用望遠レンズをあげておけば
TOKINA Reflex 300mm/f6.3 MF MACROがある、
(ミラーレス・マニアックス第59回、名玉編第2回、
ハイコスパ第5回記事参照)
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これは、300mm単焦点のμ4/3専用MFレンズであり、
換算焦点距離は600mmとなる。
以降、レンズをこれに交換して、実写を行う。
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さすがに、換算600mmクラスともなると、内蔵手ブレ補正が
あった方が勿論ありがたい。

しかも本レンズは、MFミラー(反射式)レンズながら
電子接点を持つ為、うっとうしい焦点距離設定メニューは出ない。

そして、このレンズを使用時には、AUTO-ISO切り替わり速度が
自動的に1/500秒となり、内蔵手ブレ補正とあいまって、
手ブレの危険性はかなり減少する。

ただし、開放F値もF6.3と暗いレンズであり、明所で無いと
1/500秒を維持するISO感度は得られない(本機GX7のAUTO-ISO
最高追従感度はISO25600である。これは手動でも同じ)

暗所で使用し、AUTO-ISOが1/500秒をキープできない場合は
勿論シャッター速度は当然それ以下になる、例えば急激に
1/60秒とかに落ち込み、手ブレ必至となる為、やはり本レンズ
でも、手ブレ補正機能に頼らず、ちゃんとシャッター速度や
カメラの構えに注意しないとならない。
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本レンズでデジタルテレコン使用の場合は、2倍程度であれば
原理上では内蔵手ブレ補正の焦点距離を変更せずとも追従するが
そろそろ精度が怪しくなる。これの原因の詳細を突き止めて
いなかった数年前では、この場合、手動焦点距離を600mmに
設定したら、比較的良く追従したので、そうしていたのだが・・

結局その操作はする必要は無く、どうやら結局のところ換算
1200mm相当の超々望遠画角では、もう殆ど何をやっても
手ブレ補正は不安定になる、という事であったのだろう。

おまけに、1200mmともなると被写体を極端に選び、実用性は
殆ど無くなってくる。

望遠画角の実用限界は、私の経験上では、手持ち撮影に
おいては1500mm相当までだ。これ以上では手ブレ補正が
あろうがなかろうが、そもそも、被写体をファインダーに
捉える事自体が困難になる。

以前、400mmレンズをμ4/3機に装着し、さらにデジタル拡大
機能を8倍で使い、都合6400mm相当の画角まで試してみたが
手持ちで写真が取れるような状況で無かった事は言うまでも
無く、そこから、だんだん焦点距離を落として実験を繰り返し
たところ、だいたい「手持ち実用限界は1500mm迄」という
結論が得られた訳だ。

だから、本レンズTOKINA 300mmを4倍デジタルテレコンで
使う事は既にありえない、その状態では、換算画角が
2400mm相当になり、実用手持ち限界をはるかに超えている。
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さて、ここまで長々と本機DMC-GX7の内蔵手ブレ補正の
問題点や注意点について述べてきたが、ここはどうしても
外せないところだ、ここをちゃんと理解していないと、
せっかくの内蔵手ブレ補正機能が、まったく有効活用できない。

で、操作系の問題はさておき、正しく使うのであれば、
内蔵手ブレ補正は有効なケースもある。しかし、あくまで
「ケースバイケース」であって、面倒さが先に立つのであれば
もう手ブレ補正はOFFにして使うのも、対策の1つだ。
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本機GX7については、ここまで述べて来た内容の他に、
大きな弱点は無い。

電子系やそれに係わる数値仕様は、同時代のDMC-G6と
ほぼ同等か、むしろ優秀であり、不満も無い。

DMC-G6よりも優れている点として、シャッター速度は、
1/8000であり、かつ最低ISO感度が、G6のISO160から、
本機GX7ではISO125まで落ちているので、大口径レンズを
使った場合、G6より1段半ほど、シャッター速度オーバーが
起こり難い長所を持つ。

EVFは276万ドットと、G6のほぼ2倍の解像度であり、
G6のEVFでのピントの山が見えくい点も改善されている、
背面モニターも104万ドットと当時最高クラスの解像度だ。
ピーキングもG6譲りの高性能であり、ここも不満は無い。

ただまあ、圧倒的か?と言われると、そうでもなく、
これ以前の、SONY NEX-7やFUJI X-E1に採用されている
236万ドットEVFと大差無いようにも思える。
(そもそも276万ドットと言うのが、ちょっと中途半端な
解像度であり、どういう計算なのか良くわからない、
μ4/3機におけるデフォルトの 縦横比4:3ではなく、
ワイドアスペクト、という感じであろうか?)

解像度は良いのだが、EVFも背面モニターも上下にしか
可動せず、LUMIX Gシリーズのように自由な角度に可変
できる訳ではない、ここは大きく不満な点だ。
(注:後継機GX8では自在アングル方式に改良された)

それから、バッテリーはDMC-G5/G6では共通であったが
本機GX7は異なり、充電器も異なる為、同時期の機種で
ありながら、使いまわしが効かない。

小型軽量(本体360g)な点は良いが、実は、この重量は、
より大柄な一眼タイプのDMC-G6の340gより僅かに重い。

また、小型なので、重量級レンズを装着した場合の
バランスが悪く、本機の特徴である手ブレ補正が本当に
必要な300mm級以上の超望遠レンズと組み合わせる事が
困難である。

DMC-GX7の全体のデザインは良く、金属部品の採用も多く、
安っぽいG5やG6に比べて遥かに高級感があり、マニアックだ。
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総合的な弱点としては、AFレンズでもMFレンズでも使い難さが
残る中途半端な操作系設計が第一の課題であろう。
次いで、内蔵手ブレ補正使用時の注意点が大きく、AUTO-ISO
の状況や装着レンズの種類を含め、良く理解して使う必要がある。
また、背面モニターが自在アングル方式で無いのが3つ目の問題。

まあでも、それらを除いては、おおむね良好なカメラだ、

手振れ補正や操作系上の矛盾を起こし難い、小型のμ4/3
純正(AF/MF)レンズを使って、マニアックかつ、お洒落に
楽しむのが良いカメラだと思う。

まあだから、今回の記事では、それに相当するレンズとして
SIGMA A60/2.8と、TOKINA 300/6.3を使用した訳だ。
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これらのレンズを使った際でも、操作系上の課題は依然残り、
快適とは言いがたいが、まあ、まだマシな方であろう。

「マニア向け」と言いつつも、多少、数値スペックを
「盛って」あるだけであり、マニア視点からは、様々な
細かい弱点が目立つカメラである。それらを回避しながら
使うのは、上級クラスのマニアで無いと苦しいであろう。

ある意味、使い手を限定するカメラであるが、実際の所は
誰でも、もっと使い易いカメラを希望するのに違い無い。

厳しい評価であるが、同時代のDMC-G6より改悪の要素が
多いのであれば、そういう話になっても仕方が無い。
まあ、ギリギリ許せる範囲ではあるが、これ以上酷くなると
もう後継機への期待も失ってしまいかねない。
(事実、GX/G/GHの後継機は、現状購入していない)
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最後にDMC-GX7の総合評価を行ってみよう。、
評価項目は10項目である(第一回記事参照)

【基本・付加性能】★★★☆
【描写力・表現力】★★★
【操作性・操作系】★★
【アダプター適性】★★☆
【マニアック度 】★★★☆
【エンジョイ度 】★★★
【購入時コスパ 】★★☆ (中古購入価格:29,000円)
【完成度(当時)】★★☆
【仕様老朽化寿命】★★★
【歴史的価値  】★★
★は1点、☆は0.5点 5点満点
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【総合点(平均)】2.7点

総合評価点は、平均点よりやや低め。
本シリーズ第10回記事のDMC-G6と、内容的にはあまり差が
無いカメラなのではあるが、実使用上での差異が大きく、
評価点の傾向や点数そのものも、少し差が出てしまった。

すなわち、細かい仕様の点で詰めが甘く、操作系や完成度は
若干低く評価せざるを得ない。

どんなオールドレンズでも手ブレ補正が効くのは、その機能
を必要とするユーザー層においては、魅力的かも知れないが、
手ブレ補正の使用上の注意事項は多く、高度な利用法が要求
される。

本機はマニア向けだからか、中古相場が若干高目であるので
その点も減点対象だ。なお、後継機DMC-GX8は、本機の弱点を
いくつか改善してはいるが、中古相場は、さらに高価だ。

本機自身にもDMC-GX7 MK2/MK3という後継機があるが、
手ブレ補正システムでの矛盾点は若干解決しているものの、
それは純正AFレンズの場合での話なので、大差はなく、
シャッター速度が1/4000秒に留まる等スペックダウンもあり、
中古相場も高価なので、今において選択するならば、むしろ
初期型の本機の方が良いであろう。
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そして、本機は使いこなしには多少のクセがあるカメラだ、
パナソニックのレンズだけでシステムを組むユーザーには
本機でも良いかも知れないが、そういうユーザー層ばかり
という訳でも無いであろう。

初級マニアや中級者向けには、いっそ、手ブレ補正機能を
すっぱり諦めてDMC-G6を購入した方が、そちらの方が安価だし、
使いこなしも、だいぶ楽かも知れない。

次回記事は、引き続き第三世代のミラーレス機を紹介する。




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