2018年8月18日(土)に、滋賀県大津市なぎさ公園にて
行われた「第13回びわ湖ドラゴンキッズ選手権大会」
(以下、「キッズ大会」)の模様より。
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早くも今年で13回目となる、全国でも他に類を見ない
小学生選手を対象としたドラゴンボート大会だ。
私は初回大会から全てを観戦している。
過去、1度だけ強風による大会の途中中止があったが、
他の年は全て決行、かつ天候にも恵まれて、雨となった
大会は一度も無かったと記憶している。
初期の頃の本大会は、8月の上旬に行われていて、会場も
「浜大津」寄りの場所であったが、近年では「膳所」(ぜぜ)
寄りのこの会場となり、開催日も8月下旬となった。
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上写真は開会式、選手宣誓の模様。
会場は日差しを遮る場所が無く暑い。数年前の本大会では
気温が38℃にも達し、熟練の運営スタッフ達も暑さでバテて
しまったが、そんな中でも子供達は元気なものであった。
今年2018年は、7月中旬から、ずっと全国的な猛暑が続いて
いた。各地で最高気温の記録を更新したり、熱中症患者も
多数出ている。この直前に連続的に続いた地震、大雨、台風
といった天災の被災地においても、この暑さで色々と大変で
あったと聞く。
この期間に行われたドラゴン大会もずっと暑さが続いていて
7月下旬の兵庫・芦屋大会は、暑さで中止という、初めての
ケースとなった他、8月上旬の滋賀・堅田船競争も、暑さで
中学生の部を中止し、大人のレースも1度漕ぐだけの超短縮
ルールに変更されていた。
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滋賀県では「この時期の子供の屋外での運動を控えるように」
という通達が出ていた模様で、本大会も開催が危ぶまれたが
幸いにして本大会の当日は気温はだいぶ下がり、およそ30℃
位であり、琵琶湖から吹く風も気持ちが良い。
だがまあ「酷暑」では無いものの、依然暑い事は確かなので
選手も保護者も観戦者もスタッフも十分な注意が必要だ。
---
まず最初に、本大会記事での掲載写真での注意点であるが、
大会の記録として写真を撮っているものの、昨今の世情で
ある為、子供達の顔がはっきり写っていて、氏名や住所や
他の個人情報との関連が明白にわかる写真は掲載していない。
まあ、掲載解像度もギリギリの20万画素程度まで落として
いるので、拡大しても小さい文字等は読めないであろう。
で、子供達や親御さん達は、皆、写真は撮られたがっては
いるのだが、世の中全般では、SNSの掲載写真等を悪用して
犯罪を企てる等も多々あって、なんとも世知辛い世情である。
ちなみに同じ琵琶湖の「沖ノ島」は、湖にある唯一の友人島
だが、数年前より、そこにアマチュアカメラマンが良く来て、
許可も取らずに子供達をカシャカシャと写しているようで
これが社会問題となり、沖ノ島に向かう連絡船の中には
「島の子供達を写さないように」という張り紙がある位だ。
まあ、今日の大会に関しては、子供達を勝手に撮っていく
モラルの低いアマチュアカメラマンは来ていなかったが
翌日の「びわこペーロン」では、外部から来ていてチーム
とは無関係と思われるシニアのカメラマンが女子選手等を
カシャカシャ撮っている状況が見られた。あまりに酷いと
注意して回っているのだが、ともかくアマチュア初級層
でのマナーやモラル違反は褒められた状況では無い。
その心理状態だが「人物が撮りたい」けど撮る対象が無く、
有料モデル撮影会等では、お金が必要になるという事だ。
だったら、選手等に声をかけて撮らせて貰えば良いものの、
そういう風に声を掛ける勇気もコミュニケーション能力も
全く持ちあわせて居ない模様なのだ。
また、先の沖ノ島の例では、恐らくは、そういう作品の
前例(=島の子供達、等)があって、単に「自分も真似を
したい」という、新しい発想力がゼロの、超ビギナー的な
行動であろう。
情けない話だが、まあ、そういう状態は外から見ていて
構えとか使っている機材(最新の高価な物を買ったばかり)
を見ていても、だいたいわかるので、熱中症対策も含めて、
できるだけ各大会に来ているアマチュアカメラマン層には
話しかけて色々と指導するようにしている。
本来は、そういうのは私の仕事では無いが、他では判別が
出来ないであろう。世間的には、高そうなカメラを持って
いると専門家だと勘違いしてしまい注意等が出来ないのだ。
だが、私からすれば、こうした酷暑や水気等の過酷な撮影
現場に高価な機材を持ってくるのは、まったくの機材選択
ミスであり、そういう機材を持ってくる時点で、あるいは
熱中症対策など何もしていない状況ならば、なおさら全くの
ビギナー層だと見なしているし、事実、殆どがその通りだ。
---
さて、余談はともかく、本キッズ大会の特徴と見所であるが、
「子供のボート競走」というイメージで参戦や観戦に来ると、
ちょっとそれは違っている。
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本大会常連の「大津スキーズポーツ少年団」(以下大津SS)の
保護者のお父さんが、今回初観戦という事で、レース前での
彼との会話を引用しつつ、本大会の特徴を説明してみよう。
大「わが大津SSチームは、どうなんですか?」
匠「毎年優勝していますよ。カテゴリーが3つあって、
小学生の部では連覇中です。その為、恐らく今年も小学生
の部(白龍丸)のチームには最強のメンバーを集めていて、
親子の部や10人漕ぎの部は、他に強豪チームが居る為に、
とりあえず入賞狙いとなると思います」
大「え? そんな風に、ガチ(真剣勝負)なんですか?」
匠「はい、大津SS、平野スポ少、池の里が3大勢力でして
それぞれの指導をしているのが大人の専門(専業)チーム
なんです。ですから、これは大人同士の戦いでもあって
まあ一種の”代理戦争”ですね」
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大「他に強いところは?」
匠「今年は大阪から大人の強豪チーム(吹田龍舟)が
実子を引き連れて初参戦、まだ低学年みたいですが、
一子相伝のトレーニングをしていたら期待が出来ます。
さらに、滋賀県のレスリングチーム、ボーイズカウト、
京都のガールスカウト、大津市の他地区の少年団の
常連チームあたりが、それに続く感じでしょうか?」
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大「皆、それだけ真剣ならば、滋賀県以外のチームも
沢山参加していてもおかしく無いでしょうね」
匠「良く滋賀県以外からも来ますよ。でも、残念ながら
琵琶湖を擁する滋賀県とは環境や練習の頻度が違いすぎる、
他府県のチームは、なかなか入賞出来ない事が通例です」
大「子供達は何処で練習を?」
匠「雄琴の施設OPALで実際にボートに乗って練習したり、
そこまで行かないまでも、陸上で漕ぎのフォームや
タイミングの練習をしたり・・」
大「なるほど・・ では滋賀県の他のスポーツ少年団とかは?
野球とかサッカーとか、色々あるでしょう?」
匠「そうしたチームも良く参戦していますよ、今日もサッカー
のチームは来ています(=平野スポーツ少年団)
しかし、どうも、足を使う競技よりも、腕を使う競技の
選手の方がボートを漕ぐには有利みたいでして・・
それと小学校の高学年では女子の体格が男子に勝ります。
それで、野球やサッカーは男子の人気競技ですが、
女子に人気のバドミントンやバレーボールが、ボート競技
では優位になっている傾向があります。
今日参戦の男子サッカー部は常連なので、良い所まで行くと
思いますが、野球部はちょっと不利な状況が続いています」
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大「ふうむ、奥が深いのですね」
匠「基本的には大人の”代理戦争”です。ですから、大人の
方がむしろ熱くなる。けど、最近では子供達もこの競技に
慣れてきていて、去年あのチームに負けたからとライバル
視したり、お姉さんが去年優勝したからボクも頑張るとか、
そんな風に子供達も、なかなか真剣になってきています」
大「そうなんですか・・ 子供のボート大会だと思って、
のんびりとしたイメージで来たのですが、大違いですね。
なるほど、これは大変だ、負ける訳にはいかない」
匠「はは・・(汗) その通りですね。
大津SSの白龍丸(小学生の部)は磐石だと思いますが、
他のカテゴリーの赤龍丸、青龍丸、黒龍丸が、どこまで
順位を上げられるかがポイントとなります。
特に10人漕ぎの部は、これまで連覇を続けていた「池の里」
が、町内会の純血チーム故に、もう子供達が成長して殆ど
残っていない・・ なので、このカテゴリーに他の強豪の
チームが”打倒、池の里”で名乗りを上げてきています。
ここは目が離せない激戦区になりますよ」
大「よ~くわかりました、我々も気合を入れて頑張ります!」
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さて、このお父さんとの会話で、本大会の特徴や見所は
書き尽くしたと思う。
いわゆる「琵琶湖の三国志」と呼ばれている大人のドラゴン
専業の3チーム、すなわち
「龍人」(どらんちゅ)、「小寺製作所」、「池の里Lakers!」
は、ここ7~8年の間、良きライバル関係として、各地の大会で
激戦を繰り広げていた。
本ブログでのドラゴン系の前々記事の「高島ペーロン」でも、
例年はもとより、今年の大会でも準決勝から決勝へかけての
三国志の激戦は、記憶に残る歴史的なレースとなっていた。
その熱戦も覚めやらぬ本大会だ、おまけに、これはこの大会の
翌日に行われる「びわこペーロン」の前哨戦にもなっている。
すなわち「びわこペーロン」でも、「三国志」の決勝進出と
大激戦が毎年の恒例行事になっている訳だ。
本キッズ大会では、過去数年間の優勝チームは、カテゴリー
毎に判で押したように決まっている。すなわち、
・小学生の部=大津SS(「龍人」が指導)
・親子の部=平野スポ少(「小寺製作所」が指導)
・10人漕ぎの部=池の里(「池の里」の実子)
である、これら「三国志」が、ずっと優勝を分け合って
いたが、今年は三国志の一角が崩れる可能性がある。
それは「池の里」が、もう実子が殆ど成長してしまって
残っていないのだ。「池の里」も、もう結成15年を迎え、
その間、ほとんどメンバーチェンジも無い、これは、ご存知
「池の里」は町内会純血チームが故にだ。
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15年も経てば当然メンバーは高齢化してくる。ただ、今の所
まだ池の里のメンバーは現役続行できるスキルと経験値を
持っているので、そこはまだ暫くの期間は心配は要らない。
しかし、子供達の成長は早い、本大会は13年目なのだが、
初期の頃には、池の里の子供達は人数も多く、20人漕ぎの
部でも十分に出場し優勝出来たのだが、その当時の小学校
高学年生は、今や大学生とか社会人の年齢となっている。
「池の里」としては、時の流れは対処のしようが無い、
毎年「今年でキッズの参戦は最後になるかも」と言いつつ
今年も、なんとか子供達を集めて(なだめて?)参戦して
いるが、そろそろ限界に近い状態だ。
池の里の出場する10人漕ぎの部は、そんな池の里の状況を
知ってか知らずしてか、他の三国志チーム(大津SS、平野スポ少)
のみならず、昨年同カテゴリーで4位の「滋賀レイクスターズ
レスリングクラブ」や、今年大阪から初参戦の「吹田龍舟倶楽部」
が実子を引き連れてダブルエントリー、さらには本大会に
複数年参加のベテランのボーイスカウト、ガールスカウトまで
参戦していて、実力伯仲、予想のつかない大激戦区となった。
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さて、ここからは、各カテゴリーの様子を紹介しよう。
<小学生の部>
このカテゴリーのレギュレーション(ルール)であるが、
20人漕ぎで、内、16名が小学生(高学年)である。
200m直線、2回漕いで合計タイムで競う、2回戦制である。
(レース長、2回戦制、は他カテゴリーも同様)
派遣舵制度が主流ではあるが、殆どが専業チーム直属で
あるから、自前の舵手を用意する事も勿論可能だ。
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旧ペーロン艇(650kg程度ある)なので、重たいが安定感は
抜群である、この艇は過去十数年間のおよそ1000を越える
レース中、強風による浸水沈没が2度(20人艇、10人艇各1回)
あっただけで、安全性は非常に高い(私が実際に観戦した
範囲ではアクシデント率0.2%以下。全大会では、およそ
倍のレース数と思われ、0.1%以下のアクシデント率だ)
勿論、クルー達は全員ライフジャケット着用である。
重たい艇であるが、小学生チームのタイムは素晴らしい。
ベストタイムは1分台の前半(1分04秒あたり)であるが、
これは大人のチームにもひけを取らないタイムである。
まあでも、当日のコンデイションにもよるであろう。
上記タイムは、若干のフォロー(追い風)があったと思う。
本日に関しては、大津SS白龍丸により、1分10秒を切る
タイムが1度出ているが、他チームはそこまでに及ばない。
大津SSですら、例年よりは数秒程度遅いが、まあ今日の
コンディションは微風で潮流も少なく、あまり問題では
無いものの、もしかすると水深の浅さが影響しているの
かも知れない。
琵琶湖では、7月上旬の西日本豪雨で水位が上がりすぎた
為に、しばらく全開で下流の水門やダムの放流を続けたが、
それ以降、殆ど雨が降らず、琵琶湖の水位は、この8月下旬
では、むしろ基準値よりも20cmも下がっている状況だ。
「水深が浅い=ボートの速度の低下」の公式は、まだ立証が
出来ていない。今の所、私の経験上「そういう雰囲気が感じ
られる」という程度である。それに各会場のレーン毎の
水深を都度測る等はできないので、確かめようも無い訳だ。
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さて、それでもまあ予想通り「大津SS白龍丸」が他を
抑えて優勝だ。もう何連覇か数え切れないが、殆ど全て
の本大会で、小学生の部は「大津SS」が制している。
「小学生の部」3位迄の結果は以下の通り
1位:大津SS 白龍丸 (ベストタイム1分09秒)
2位:平野スポ少 サッカー部A
3位:平野スポ少 バドミントン部W
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<親子の部>
このカテゴリーは、20人漕ぎで小学生が10人である。
すなわち、大人の漕力の影響が強いカテゴリーだ。
こちらは、ずっと「平野スポ少 バドミントン部」が
連覇を続けている、つまり「小寺製作所」の指導および
実際の漕力によるものだ。
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親子の部の例年のタイムだが、ベストタイムは何と57秒!
まあ、これは「追い風参考」という感じであるが、
それ以外にも、1分を切って59秒という年もあったし、
例年でも、1分02秒前後の好タイムを出してくる。
今年の「平野スポ少 バドミントン部」は4つのチームが
参戦している。小学生の部に「バドミントン部 W」
(3位入賞)、親子の部が「バドミントン部 Z」
そして10人漕ぎに、同X、同Vである。
匠「何故、A,B,C・・というチーム名にしなかったのか?」
と聞くと、ここも前述のような世知辛い世情があるみたいで、
平野「Aチームと言うと、そのチームの方が偉い、強いという
印象を持たせてしまうので、そういう命名を避けた」
との事である。
まあ、平野スポ少における、その配慮は良いとは思うのだが、
もし、そういう事に文句をつけてくる父兄が居るとすれば、
ちょっとそれは違うのではあるまいか?「Aチームが優れた
上位だ」というのは、あくまで、そういう事を言う人の、
狭い範囲の知識や感覚による思い込みに過ぎない。
例えば、ピアノやギターの楽譜は、Aが最も難易度が低く、
以降アルファベット順とともに難易度が上がり、ピアノ譜では、
F難度あたりまでがある(注:楽譜メーカー毎による)
それらの楽器を、ちょっとかじったくらいでは、CやD難度の
曲は、なかなか弾く事が出来ず、とりあえずA難度からの
練習だ。そして、いつまでのA難度の曲ばかり弾いていても、
周囲に対しても自分に対しても示しがつかない(汗)
(私も、それらの楽器を弾くが、C難度の曲でつまずいて、
「あ~あ、今日はもうB難度の練習までにしておこう」と
思う事も良くあった)
また、体操競技でも、Aから順番に難度が上がり、現在は
男子ではH難度まである。
1964年の東京オリンピックで「ウルトラC」という
言葉が出来て流行ったのは、当時の体操競技は、A,B,Cの
3つしか難度が無く、Cを越える難しい技を「ウルトラC」と
称した事がきっかけで、以降、様々な市場分野で使われて
いる、これは「凄い技」を表す言葉だ。
が、現在の体操競技では、F難度やG難度の技も普通な為に、
「ウルトラC」では、もはや何の意味だかわからないが、
まあそういう分野も色々ある為、「Aが常に優れている」等は、
狭い範囲(分野)の知識による完全な思い込みである。
匠「もし今度、”Aはダメだ”等と言ってきたならば、
江戸時代の町火消しみたいに「い組」「め組」とか
名前をつけたらどうでしょうか?」
・・と、皮肉めいた意見を言っておいた(笑)
それに、もし実際にAチームに優れた選手を集めていたと
しても、スポーツの世界であれば、それは当たり前の話だ、
別に子供だからと言って、公平性を維持する必要は無い。
例えば、20年位前に、運動会の徒競走で順位をつけない
ような風潮があったが、もう現在では、それは廃れている。
スポーツの世界では、そういう措置が「公平」である訳でも
無いからであり、まあ当たり前の話であろう。
すなわち順位をつけない「競技」など、有り得ない話だし、
つけないならば、もはや競技でも何でも無い、それでは
単なる「お遊戯」になってしまう。
ましてや本キッズ大会は「選手権」である、これは
優秀な小学生選手達が集まる「チャンピオンシップ」だ。
将来、琵琶湖から世界に羽ばたく優秀なボート選手達を
育てる目的もある、これを「お遊戯」にしたら、全くの
的外れであろう。
他の記事でも色々書くが、その分野に係わる知識も経験も
持っていない人による「的外れ」「見当ハズレ」の意見は
全くもって困ったものである。
![c0032138_19555692.jpg]()
さて、余談が長くなったが、「親子の部」の3位迄の
結果は以下の通りである。
1位:平野スポ少 バドミントン部Z(ベストタイム1分05秒)
2位:大津SS 赤龍丸
3位:大津SS 青龍丸
こちらも、例年のタイムより数秒程度悪化している。
漕いでいる様子は、例年通り子供達もちゃんとパドルが
揃っていて見事なものであり、これでは大人の中堅ドラゴン
チームも負けてしまうかも知れない(汗)
まあ、タイム低下は、やはりコースコンディションの影響が
原因であろう。
それから、大津SSが、このカテゴリーで2位3位に入って
いるのも注目だ。特に「青龍丸」は、小学校低学年が中心で
今回は入賞の見込みが少なかった状況なので、大健闘だ。
![c0032138_19561554.jpg]()
<10人漕ぎの部>
このカテゴリーは、20人艇を使用した10人漕ぎであり、
小学生が6人である。低学年でも漕手として参戦可能だ。
![c0032138_19561503.jpg]()
このカテゴリーは参戦チーム数が14と多い。
優勝候補は例年であれば「池の里Junior Lakers!」だが、
前述の通り、池の里では小学生選手の不足に悩まされていて
大人4人の漕力でなんとか引っ張るしかない状態だ(下写真)
(注:艇の漕手配置において最も重さがかかる位置(≒重心)
に、漕力の高い選手(例:大人)を置くのが合理的だ)
![c0032138_19561452.jpg]()
そうなると、他の有力チームとしては、前述の、大阪の
強豪専業チーム「吹田龍舟倶楽部」の2チームがあるが、
様子を見ている感じでは、まだ低学年でボートに慣れない
子供ばかりであり、初参戦としてはなかなか健闘したものの
両チームの順位は、4位、7位と、僅かに入賞には届かず。
まあでも、低学年であれば、あと何年かは連続して参戦が
可能だろうから、来年あたりは上位候補になってくるだろう。
今年の期待は「滋賀レイクスターズ レスリング部」だ。
![c0032138_19561451.jpg]()
昨年の記事でも紹介したが、「滋賀レイクスターズ」とは
滋賀県唯一(注:今では他もある)のプロスポーツチーム
であり、バスケットボールが本業ではあるが、派生して
様々なスポーツ振興活動を行っていて(レイクス・スポーツ
ファンド等)その一環としてのレスリング部である。
昨年初参戦で戦績は4位と、あと一歩であったが、今年は
ついに3位入賞となった。
![c0032138_19561537.jpg]()
「10人漕ぎの部」の3位迄の結果は以下の通り。
1位:大津SS 黒龍丸 (ベストタイム1分12秒)
2位:池の里Junior Lakaers! (ベストタイム1分15秒)
3位:滋賀レイクスターズ レスリング部
これで、何と大津SSは参戦した4チームが全て入賞している。
このカテゴリーは、旧来「池の里」優位であったので、
大津SSとしても、あまり重視していなかったカテゴリーで
あった事だろうが、「池の里」の連覇が続かないと見た、
強気のメンバー割りの戦術だったのだろうか?
「黒龍丸」が第一レースで出した1分12秒(20人艇を使った
タイムとしては、かなり立派な成績だ)が、モロに効いた
形となり、池の里は善戦するもトータルのタイムで1秒及ばず。
それから、前述のように「レスリング部」の入賞も光る。
さて、今回のキッズ大会は、このような結果となった。
ここ数年間ずっと続いていた「三国志」による「予定調和」
とも言えるパワーバランスは、ついに崩れた事となる。
本戦以降だが、「体験乗船会」として2レースが行われた、
漕ぎ足りない子供が再度漕いだり、保護者の方も乗ったりと、
計5艇、大人を含め最大100人が楽しめる。毎年行われていて、
無料なので、体験乗船を目的に来場するのも有りだろう。
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最後に、本大会の来年の予想であるが、
小学生の部=大津SS、親子の部=平野スポ少
の図式は来年も磐石であろう。
しかし10人漕ぎの部は、もう群雄割拠の「戦国時代」である。
「池の里」の子供達が成長して巻き返しを図る可能性もあるし、
その点では「吹田龍舟」も同様だ。いずれも専業チームの
実子なので一子相伝の「特訓」を積んでくるかも知れない。
あるいは、「レスリング部」がさらに順位を上げるか?
また「ボーイスカウト」や「ガールスカウト」もダークホース
である。
ボーイスカウトは初期の本大会では(勿論メンバーは異なるが)
3位入賞の実績もあったのだ。
ガールスカウトは「八坂神社ガールスカウト」が正式名で
隣接する京都府からの参戦だ、こちらも気合が入っているのは
間違い無いし、女子小学生は体力もある。後は「指導だけ」の
状況であろう。
それから、「吹田龍舟に続け」とばかり、他の専業チームの
参戦もそろそ始まりそうな気配だ。
また、数年前は「メタルスタイリスト福田」(京都府:準専業)
も本大会に参戦していたのだが、大会がこの時期(8月下旬)に
変わったら、京都地区では盛んな「地蔵盆」(地域の子供の祭り)
に被ってしまっていて来れないらしい。地蔵盆にかぶらなければ、
彼らの参戦も可能であろう。
そんな感じで、また、専業チームの父兄による「代理戦争」が
激化しそうな予感もするが、それはそれで面白いと思う。
10人漕ぎでも、大人の4名の選手としての漕力だけで勝敗が
決まる筈もなく、あくまで主役は小学生の子供達なのだ。
群雄割拠の大激戦区、観戦側からすれば大歓迎である。
![c0032138_19561524.jpg]()
そしてこの大会は、結果的に、次世代の優秀なドラゴン選手を
育てる事にもなる。滋賀から、いや、滋賀県以外においても、
「世界に通じるドラゴンチーム」を輩出する上でも、本大会は
とても重要であろう。
本大会は「選手権大会」と称している。
初期の頃は、子供達のドラゴンのスキルもイマイチであり、
このネーミングには、かなり違和感があったが、現在では
全くその様相は無い。これはまさしく「選手権大会」であり、
小学生における「チャンピオンシップ」として、子供達の
高いスキルは賞賛するべきものであるし、また、ドラゴン
選手や愛好家においても、一見の価値のある大会である。
それから、いつも書いている事だが、ドラゴンボートという
競技は「世界」がとっても近い。
既に非常に多くのドラゴンの選手達が世界大会へ参戦の経験を
持っているし、チームとしてもある程度頑張れば世界へ行ける
のだ。勿論、他のスポーツで、こんなに世界が近い競技は無い。
だが、世界に行っても、残念ながら現在の国内チームの実力値
では世界には全く通用しない。そこをなんとかしてくれるのは、
もしかしたら、このキッズ大会で育ったドラゴンの英才教育を
受けた「スーパーキッズ達」であるかも知れない訳だ。
その効果は、じわじわと確実に現れてきているように感じる、
それは、私が、ずっと本大会を13年間観戦し続けてきた事に
よる体験的な感覚でもある。
もう10年か15年もすれば、「キッズ選手の実子」も本大会に
参戦が始まるかも知れない、そうなってくれば、本大会は、
「インキュベーター」(=子供を育てる為の保育器の意味、
転じて、ベンチャー企業等をサポートする仕組みの事)
としての役割を十分に果たしている事になるだろう。
---
さて今回の記事はこのあたりまでで、
次回ドラゴン関連記事は「びわこペーロン大会」になる予定だ。
行われた「第13回びわ湖ドラゴンキッズ選手権大会」
(以下、「キッズ大会」)の模様より。

小学生選手を対象としたドラゴンボート大会だ。
私は初回大会から全てを観戦している。
過去、1度だけ強風による大会の途中中止があったが、
他の年は全て決行、かつ天候にも恵まれて、雨となった
大会は一度も無かったと記憶している。
初期の頃の本大会は、8月の上旬に行われていて、会場も
「浜大津」寄りの場所であったが、近年では「膳所」(ぜぜ)
寄りのこの会場となり、開催日も8月下旬となった。

会場は日差しを遮る場所が無く暑い。数年前の本大会では
気温が38℃にも達し、熟練の運営スタッフ達も暑さでバテて
しまったが、そんな中でも子供達は元気なものであった。
今年2018年は、7月中旬から、ずっと全国的な猛暑が続いて
いた。各地で最高気温の記録を更新したり、熱中症患者も
多数出ている。この直前に連続的に続いた地震、大雨、台風
といった天災の被災地においても、この暑さで色々と大変で
あったと聞く。
この期間に行われたドラゴン大会もずっと暑さが続いていて
7月下旬の兵庫・芦屋大会は、暑さで中止という、初めての
ケースとなった他、8月上旬の滋賀・堅田船競争も、暑さで
中学生の部を中止し、大人のレースも1度漕ぐだけの超短縮
ルールに変更されていた。

という通達が出ていた模様で、本大会も開催が危ぶまれたが
幸いにして本大会の当日は気温はだいぶ下がり、およそ30℃
位であり、琵琶湖から吹く風も気持ちが良い。
だがまあ「酷暑」では無いものの、依然暑い事は確かなので
選手も保護者も観戦者もスタッフも十分な注意が必要だ。
---
まず最初に、本大会記事での掲載写真での注意点であるが、
大会の記録として写真を撮っているものの、昨今の世情で
ある為、子供達の顔がはっきり写っていて、氏名や住所や
他の個人情報との関連が明白にわかる写真は掲載していない。
まあ、掲載解像度もギリギリの20万画素程度まで落として
いるので、拡大しても小さい文字等は読めないであろう。
で、子供達や親御さん達は、皆、写真は撮られたがっては
いるのだが、世の中全般では、SNSの掲載写真等を悪用して
犯罪を企てる等も多々あって、なんとも世知辛い世情である。
ちなみに同じ琵琶湖の「沖ノ島」は、湖にある唯一の友人島
だが、数年前より、そこにアマチュアカメラマンが良く来て、
許可も取らずに子供達をカシャカシャと写しているようで
これが社会問題となり、沖ノ島に向かう連絡船の中には
「島の子供達を写さないように」という張り紙がある位だ。
まあ、今日の大会に関しては、子供達を勝手に撮っていく
モラルの低いアマチュアカメラマンは来ていなかったが
翌日の「びわこペーロン」では、外部から来ていてチーム
とは無関係と思われるシニアのカメラマンが女子選手等を
カシャカシャ撮っている状況が見られた。あまりに酷いと
注意して回っているのだが、ともかくアマチュア初級層
でのマナーやモラル違反は褒められた状況では無い。
その心理状態だが「人物が撮りたい」けど撮る対象が無く、
有料モデル撮影会等では、お金が必要になるという事だ。
だったら、選手等に声をかけて撮らせて貰えば良いものの、
そういう風に声を掛ける勇気もコミュニケーション能力も
全く持ちあわせて居ない模様なのだ。
また、先の沖ノ島の例では、恐らくは、そういう作品の
前例(=島の子供達、等)があって、単に「自分も真似を
したい」という、新しい発想力がゼロの、超ビギナー的な
行動であろう。
情けない話だが、まあ、そういう状態は外から見ていて
構えとか使っている機材(最新の高価な物を買ったばかり)
を見ていても、だいたいわかるので、熱中症対策も含めて、
できるだけ各大会に来ているアマチュアカメラマン層には
話しかけて色々と指導するようにしている。
本来は、そういうのは私の仕事では無いが、他では判別が
出来ないであろう。世間的には、高そうなカメラを持って
いると専門家だと勘違いしてしまい注意等が出来ないのだ。
だが、私からすれば、こうした酷暑や水気等の過酷な撮影
現場に高価な機材を持ってくるのは、まったくの機材選択
ミスであり、そういう機材を持ってくる時点で、あるいは
熱中症対策など何もしていない状況ならば、なおさら全くの
ビギナー層だと見なしているし、事実、殆どがその通りだ。
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さて、余談はともかく、本キッズ大会の特徴と見所であるが、
「子供のボート競走」というイメージで参戦や観戦に来ると、
ちょっとそれは違っている。

保護者のお父さんが、今回初観戦という事で、レース前での
彼との会話を引用しつつ、本大会の特徴を説明してみよう。
大「わが大津SSチームは、どうなんですか?」
匠「毎年優勝していますよ。カテゴリーが3つあって、
小学生の部では連覇中です。その為、恐らく今年も小学生
の部(白龍丸)のチームには最強のメンバーを集めていて、
親子の部や10人漕ぎの部は、他に強豪チームが居る為に、
とりあえず入賞狙いとなると思います」
大「え? そんな風に、ガチ(真剣勝負)なんですか?」
匠「はい、大津SS、平野スポ少、池の里が3大勢力でして
それぞれの指導をしているのが大人の専門(専業)チーム
なんです。ですから、これは大人同士の戦いでもあって
まあ一種の”代理戦争”ですね」

匠「今年は大阪から大人の強豪チーム(吹田龍舟)が
実子を引き連れて初参戦、まだ低学年みたいですが、
一子相伝のトレーニングをしていたら期待が出来ます。
さらに、滋賀県のレスリングチーム、ボーイズカウト、
京都のガールスカウト、大津市の他地区の少年団の
常連チームあたりが、それに続く感じでしょうか?」

沢山参加していてもおかしく無いでしょうね」
匠「良く滋賀県以外からも来ますよ。でも、残念ながら
琵琶湖を擁する滋賀県とは環境や練習の頻度が違いすぎる、
他府県のチームは、なかなか入賞出来ない事が通例です」
大「子供達は何処で練習を?」
匠「雄琴の施設OPALで実際にボートに乗って練習したり、
そこまで行かないまでも、陸上で漕ぎのフォームや
タイミングの練習をしたり・・」
大「なるほど・・ では滋賀県の他のスポーツ少年団とかは?
野球とかサッカーとか、色々あるでしょう?」
匠「そうしたチームも良く参戦していますよ、今日もサッカー
のチームは来ています(=平野スポーツ少年団)
しかし、どうも、足を使う競技よりも、腕を使う競技の
選手の方がボートを漕ぐには有利みたいでして・・
それと小学校の高学年では女子の体格が男子に勝ります。
それで、野球やサッカーは男子の人気競技ですが、
女子に人気のバドミントンやバレーボールが、ボート競技
では優位になっている傾向があります。
今日参戦の男子サッカー部は常連なので、良い所まで行くと
思いますが、野球部はちょっと不利な状況が続いています」

匠「基本的には大人の”代理戦争”です。ですから、大人の
方がむしろ熱くなる。けど、最近では子供達もこの競技に
慣れてきていて、去年あのチームに負けたからとライバル
視したり、お姉さんが去年優勝したからボクも頑張るとか、
そんな風に子供達も、なかなか真剣になってきています」
大「そうなんですか・・ 子供のボート大会だと思って、
のんびりとしたイメージで来たのですが、大違いですね。
なるほど、これは大変だ、負ける訳にはいかない」
匠「はは・・(汗) その通りですね。
大津SSの白龍丸(小学生の部)は磐石だと思いますが、
他のカテゴリーの赤龍丸、青龍丸、黒龍丸が、どこまで
順位を上げられるかがポイントとなります。
特に10人漕ぎの部は、これまで連覇を続けていた「池の里」
が、町内会の純血チーム故に、もう子供達が成長して殆ど
残っていない・・ なので、このカテゴリーに他の強豪の
チームが”打倒、池の里”で名乗りを上げてきています。
ここは目が離せない激戦区になりますよ」
大「よ~くわかりました、我々も気合を入れて頑張ります!」

書き尽くしたと思う。
いわゆる「琵琶湖の三国志」と呼ばれている大人のドラゴン
専業の3チーム、すなわち
「龍人」(どらんちゅ)、「小寺製作所」、「池の里Lakers!」
は、ここ7~8年の間、良きライバル関係として、各地の大会で
激戦を繰り広げていた。
本ブログでのドラゴン系の前々記事の「高島ペーロン」でも、
例年はもとより、今年の大会でも準決勝から決勝へかけての
三国志の激戦は、記憶に残る歴史的なレースとなっていた。
その熱戦も覚めやらぬ本大会だ、おまけに、これはこの大会の
翌日に行われる「びわこペーロン」の前哨戦にもなっている。
すなわち「びわこペーロン」でも、「三国志」の決勝進出と
大激戦が毎年の恒例行事になっている訳だ。
本キッズ大会では、過去数年間の優勝チームは、カテゴリー
毎に判で押したように決まっている。すなわち、
・小学生の部=大津SS(「龍人」が指導)
・親子の部=平野スポ少(「小寺製作所」が指導)
・10人漕ぎの部=池の里(「池の里」の実子)
である、これら「三国志」が、ずっと優勝を分け合って
いたが、今年は三国志の一角が崩れる可能性がある。
それは「池の里」が、もう実子が殆ど成長してしまって
残っていないのだ。「池の里」も、もう結成15年を迎え、
その間、ほとんどメンバーチェンジも無い、これは、ご存知
「池の里」は町内会純血チームが故にだ。

まだ池の里のメンバーは現役続行できるスキルと経験値を
持っているので、そこはまだ暫くの期間は心配は要らない。
しかし、子供達の成長は早い、本大会は13年目なのだが、
初期の頃には、池の里の子供達は人数も多く、20人漕ぎの
部でも十分に出場し優勝出来たのだが、その当時の小学校
高学年生は、今や大学生とか社会人の年齢となっている。
「池の里」としては、時の流れは対処のしようが無い、
毎年「今年でキッズの参戦は最後になるかも」と言いつつ
今年も、なんとか子供達を集めて(なだめて?)参戦して
いるが、そろそろ限界に近い状態だ。
池の里の出場する10人漕ぎの部は、そんな池の里の状況を
知ってか知らずしてか、他の三国志チーム(大津SS、平野スポ少)
のみならず、昨年同カテゴリーで4位の「滋賀レイクスターズ
レスリングクラブ」や、今年大阪から初参戦の「吹田龍舟倶楽部」
が実子を引き連れてダブルエントリー、さらには本大会に
複数年参加のベテランのボーイスカウト、ガールスカウトまで
参戦していて、実力伯仲、予想のつかない大激戦区となった。

<小学生の部>
このカテゴリーのレギュレーション(ルール)であるが、
20人漕ぎで、内、16名が小学生(高学年)である。
200m直線、2回漕いで合計タイムで競う、2回戦制である。
(レース長、2回戦制、は他カテゴリーも同様)
派遣舵制度が主流ではあるが、殆どが専業チーム直属で
あるから、自前の舵手を用意する事も勿論可能だ。

抜群である、この艇は過去十数年間のおよそ1000を越える
レース中、強風による浸水沈没が2度(20人艇、10人艇各1回)
あっただけで、安全性は非常に高い(私が実際に観戦した
範囲ではアクシデント率0.2%以下。全大会では、およそ
倍のレース数と思われ、0.1%以下のアクシデント率だ)
勿論、クルー達は全員ライフジャケット着用である。
重たい艇であるが、小学生チームのタイムは素晴らしい。
ベストタイムは1分台の前半(1分04秒あたり)であるが、
これは大人のチームにもひけを取らないタイムである。
まあでも、当日のコンデイションにもよるであろう。
上記タイムは、若干のフォロー(追い風)があったと思う。
本日に関しては、大津SS白龍丸により、1分10秒を切る
タイムが1度出ているが、他チームはそこまでに及ばない。
大津SSですら、例年よりは数秒程度遅いが、まあ今日の
コンディションは微風で潮流も少なく、あまり問題では
無いものの、もしかすると水深の浅さが影響しているの
かも知れない。
琵琶湖では、7月上旬の西日本豪雨で水位が上がりすぎた
為に、しばらく全開で下流の水門やダムの放流を続けたが、
それ以降、殆ど雨が降らず、琵琶湖の水位は、この8月下旬
では、むしろ基準値よりも20cmも下がっている状況だ。
「水深が浅い=ボートの速度の低下」の公式は、まだ立証が
出来ていない。今の所、私の経験上「そういう雰囲気が感じ
られる」という程度である。それに各会場のレーン毎の
水深を都度測る等はできないので、確かめようも無い訳だ。

抑えて優勝だ。もう何連覇か数え切れないが、殆ど全て
の本大会で、小学生の部は「大津SS」が制している。
「小学生の部」3位迄の結果は以下の通り
1位:大津SS 白龍丸 (ベストタイム1分09秒)
2位:平野スポ少 サッカー部A
3位:平野スポ少 バドミントン部W

このカテゴリーは、20人漕ぎで小学生が10人である。
すなわち、大人の漕力の影響が強いカテゴリーだ。
こちらは、ずっと「平野スポ少 バドミントン部」が
連覇を続けている、つまり「小寺製作所」の指導および
実際の漕力によるものだ。

まあ、これは「追い風参考」という感じであるが、
それ以外にも、1分を切って59秒という年もあったし、
例年でも、1分02秒前後の好タイムを出してくる。
今年の「平野スポ少 バドミントン部」は4つのチームが
参戦している。小学生の部に「バドミントン部 W」
(3位入賞)、親子の部が「バドミントン部 Z」
そして10人漕ぎに、同X、同Vである。
匠「何故、A,B,C・・というチーム名にしなかったのか?」
と聞くと、ここも前述のような世知辛い世情があるみたいで、
平野「Aチームと言うと、そのチームの方が偉い、強いという
印象を持たせてしまうので、そういう命名を避けた」
との事である。
まあ、平野スポ少における、その配慮は良いとは思うのだが、
もし、そういう事に文句をつけてくる父兄が居るとすれば、
ちょっとそれは違うのではあるまいか?「Aチームが優れた
上位だ」というのは、あくまで、そういう事を言う人の、
狭い範囲の知識や感覚による思い込みに過ぎない。
例えば、ピアノやギターの楽譜は、Aが最も難易度が低く、
以降アルファベット順とともに難易度が上がり、ピアノ譜では、
F難度あたりまでがある(注:楽譜メーカー毎による)
それらの楽器を、ちょっとかじったくらいでは、CやD難度の
曲は、なかなか弾く事が出来ず、とりあえずA難度からの
練習だ。そして、いつまでのA難度の曲ばかり弾いていても、
周囲に対しても自分に対しても示しがつかない(汗)
(私も、それらの楽器を弾くが、C難度の曲でつまずいて、
「あ~あ、今日はもうB難度の練習までにしておこう」と
思う事も良くあった)
また、体操競技でも、Aから順番に難度が上がり、現在は
男子ではH難度まである。
1964年の東京オリンピックで「ウルトラC」という
言葉が出来て流行ったのは、当時の体操競技は、A,B,Cの
3つしか難度が無く、Cを越える難しい技を「ウルトラC」と
称した事がきっかけで、以降、様々な市場分野で使われて
いる、これは「凄い技」を表す言葉だ。
が、現在の体操競技では、F難度やG難度の技も普通な為に、
「ウルトラC」では、もはや何の意味だかわからないが、
まあそういう分野も色々ある為、「Aが常に優れている」等は、
狭い範囲(分野)の知識による完全な思い込みである。
匠「もし今度、”Aはダメだ”等と言ってきたならば、
江戸時代の町火消しみたいに「い組」「め組」とか
名前をつけたらどうでしょうか?」
・・と、皮肉めいた意見を言っておいた(笑)
それに、もし実際にAチームに優れた選手を集めていたと
しても、スポーツの世界であれば、それは当たり前の話だ、
別に子供だからと言って、公平性を維持する必要は無い。
例えば、20年位前に、運動会の徒競走で順位をつけない
ような風潮があったが、もう現在では、それは廃れている。
スポーツの世界では、そういう措置が「公平」である訳でも
無いからであり、まあ当たり前の話であろう。
すなわち順位をつけない「競技」など、有り得ない話だし、
つけないならば、もはや競技でも何でも無い、それでは
単なる「お遊戯」になってしまう。
ましてや本キッズ大会は「選手権」である、これは
優秀な小学生選手達が集まる「チャンピオンシップ」だ。
将来、琵琶湖から世界に羽ばたく優秀なボート選手達を
育てる目的もある、これを「お遊戯」にしたら、全くの
的外れであろう。
他の記事でも色々書くが、その分野に係わる知識も経験も
持っていない人による「的外れ」「見当ハズレ」の意見は
全くもって困ったものである。

結果は以下の通りである。
1位:平野スポ少 バドミントン部Z(ベストタイム1分05秒)
2位:大津SS 赤龍丸
3位:大津SS 青龍丸
こちらも、例年のタイムより数秒程度悪化している。
漕いでいる様子は、例年通り子供達もちゃんとパドルが
揃っていて見事なものであり、これでは大人の中堅ドラゴン
チームも負けてしまうかも知れない(汗)
まあ、タイム低下は、やはりコースコンディションの影響が
原因であろう。
それから、大津SSが、このカテゴリーで2位3位に入って
いるのも注目だ。特に「青龍丸」は、小学校低学年が中心で
今回は入賞の見込みが少なかった状況なので、大健闘だ。

このカテゴリーは、20人艇を使用した10人漕ぎであり、
小学生が6人である。低学年でも漕手として参戦可能だ。

優勝候補は例年であれば「池の里Junior Lakers!」だが、
前述の通り、池の里では小学生選手の不足に悩まされていて
大人4人の漕力でなんとか引っ張るしかない状態だ(下写真)
(注:艇の漕手配置において最も重さがかかる位置(≒重心)
に、漕力の高い選手(例:大人)を置くのが合理的だ)

強豪専業チーム「吹田龍舟倶楽部」の2チームがあるが、
様子を見ている感じでは、まだ低学年でボートに慣れない
子供ばかりであり、初参戦としてはなかなか健闘したものの
両チームの順位は、4位、7位と、僅かに入賞には届かず。
まあでも、低学年であれば、あと何年かは連続して参戦が
可能だろうから、来年あたりは上位候補になってくるだろう。
今年の期待は「滋賀レイクスターズ レスリング部」だ。

滋賀県唯一(注:今では他もある)のプロスポーツチーム
であり、バスケットボールが本業ではあるが、派生して
様々なスポーツ振興活動を行っていて(レイクス・スポーツ
ファンド等)その一環としてのレスリング部である。
昨年初参戦で戦績は4位と、あと一歩であったが、今年は
ついに3位入賞となった。

1位:大津SS 黒龍丸 (ベストタイム1分12秒)
2位:池の里Junior Lakaers! (ベストタイム1分15秒)
3位:滋賀レイクスターズ レスリング部
これで、何と大津SSは参戦した4チームが全て入賞している。
このカテゴリーは、旧来「池の里」優位であったので、
大津SSとしても、あまり重視していなかったカテゴリーで
あった事だろうが、「池の里」の連覇が続かないと見た、
強気のメンバー割りの戦術だったのだろうか?
「黒龍丸」が第一レースで出した1分12秒(20人艇を使った
タイムとしては、かなり立派な成績だ)が、モロに効いた
形となり、池の里は善戦するもトータルのタイムで1秒及ばず。
それから、前述のように「レスリング部」の入賞も光る。
さて、今回のキッズ大会は、このような結果となった。
ここ数年間ずっと続いていた「三国志」による「予定調和」
とも言えるパワーバランスは、ついに崩れた事となる。
本戦以降だが、「体験乗船会」として2レースが行われた、
漕ぎ足りない子供が再度漕いだり、保護者の方も乗ったりと、
計5艇、大人を含め最大100人が楽しめる。毎年行われていて、
無料なので、体験乗船を目的に来場するのも有りだろう。
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最後に、本大会の来年の予想であるが、
小学生の部=大津SS、親子の部=平野スポ少
の図式は来年も磐石であろう。
しかし10人漕ぎの部は、もう群雄割拠の「戦国時代」である。
「池の里」の子供達が成長して巻き返しを図る可能性もあるし、
その点では「吹田龍舟」も同様だ。いずれも専業チームの
実子なので一子相伝の「特訓」を積んでくるかも知れない。
あるいは、「レスリング部」がさらに順位を上げるか?
また「ボーイスカウト」や「ガールスカウト」もダークホース
である。
ボーイスカウトは初期の本大会では(勿論メンバーは異なるが)
3位入賞の実績もあったのだ。
ガールスカウトは「八坂神社ガールスカウト」が正式名で
隣接する京都府からの参戦だ、こちらも気合が入っているのは
間違い無いし、女子小学生は体力もある。後は「指導だけ」の
状況であろう。
それから、「吹田龍舟に続け」とばかり、他の専業チームの
参戦もそろそ始まりそうな気配だ。
また、数年前は「メタルスタイリスト福田」(京都府:準専業)
も本大会に参戦していたのだが、大会がこの時期(8月下旬)に
変わったら、京都地区では盛んな「地蔵盆」(地域の子供の祭り)
に被ってしまっていて来れないらしい。地蔵盆にかぶらなければ、
彼らの参戦も可能であろう。
そんな感じで、また、専業チームの父兄による「代理戦争」が
激化しそうな予感もするが、それはそれで面白いと思う。
10人漕ぎでも、大人の4名の選手としての漕力だけで勝敗が
決まる筈もなく、あくまで主役は小学生の子供達なのだ。
群雄割拠の大激戦区、観戦側からすれば大歓迎である。

育てる事にもなる。滋賀から、いや、滋賀県以外においても、
「世界に通じるドラゴンチーム」を輩出する上でも、本大会は
とても重要であろう。
本大会は「選手権大会」と称している。
初期の頃は、子供達のドラゴンのスキルもイマイチであり、
このネーミングには、かなり違和感があったが、現在では
全くその様相は無い。これはまさしく「選手権大会」であり、
小学生における「チャンピオンシップ」として、子供達の
高いスキルは賞賛するべきものであるし、また、ドラゴン
選手や愛好家においても、一見の価値のある大会である。
それから、いつも書いている事だが、ドラゴンボートという
競技は「世界」がとっても近い。
既に非常に多くのドラゴンの選手達が世界大会へ参戦の経験を
持っているし、チームとしてもある程度頑張れば世界へ行ける
のだ。勿論、他のスポーツで、こんなに世界が近い競技は無い。
だが、世界に行っても、残念ながら現在の国内チームの実力値
では世界には全く通用しない。そこをなんとかしてくれるのは、
もしかしたら、このキッズ大会で育ったドラゴンの英才教育を
受けた「スーパーキッズ達」であるかも知れない訳だ。
その効果は、じわじわと確実に現れてきているように感じる、
それは、私が、ずっと本大会を13年間観戦し続けてきた事に
よる体験的な感覚でもある。
もう10年か15年もすれば、「キッズ選手の実子」も本大会に
参戦が始まるかも知れない、そうなってくれば、本大会は、
「インキュベーター」(=子供を育てる為の保育器の意味、
転じて、ベンチャー企業等をサポートする仕組みの事)
としての役割を十分に果たしている事になるだろう。
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さて今回の記事はこのあたりまでで、
次回ドラゴン関連記事は「びわこペーロン大会」になる予定だ。