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ハイ・コスパレンズ・マニアックス(24)個性派編

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コストパフォーマンスに優れ、かつマニアックなレンズを
カテゴリー別に紹介するシリーズ記事。
今回第24回目は、「個性派」編とする。

まずは、最初のシステム、
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カメラは、PENTAX Q7(1/1.7型センサー機)
レンズは、PENTAX 07 MOUNT SHIELD LENS 11.5mm/f9
(新品購入価格 4,000円)

ミラーレス・マニアックス第4回,第14回,第34回記事で
紹介の、2013年発売のQマウント専用単焦点標準レンズ。

今回記事は「個性派」というカテゴリーであるが、
そうした中でも本レンズは相当に個性的(ユニーク)である。

まずその重量、これは交換レンズ中、最軽量の8gである。

ちなみに、超軽量レンズをリストアップしてみよう。

8g PENTEX 07(本記事,ミラーレス第4回等)
16g PENTAX 05(ミラーレス第41回,第65回)
21g PENTAX 04(同第31回,第55回)
22g OLYMPUS BCL-1580(同第0回,第33回等)
25g HOLGA LENS HL-PQ(同第68回)
27g HOLGA LENS HL-SN(同第3回,第38回)
29g PENTAX 03(同第2回,第10回)
30g OLYMPUS BCL-0980(同第22回)
30g KENKO PINHOLE 02(同第59回,第66回等)
30g Loreo Lens In A Cap(未所有)
32g FUJIFILM XM-FL(ミラーレス第20回,第51回)
35g Loreo PC Lens In A Cap(同第73回)

これらは、PENTAX Qシステム用の「トイレンズ」か、汎用の
トイレンズ(注:対応マウントによっては、±2g程度異なる
場合がある)又は「ボディキャップ・レンズ」系列である。

なお、LOMO Experimental Lens Kitの3本(ミラーレス第7回,
第15回,第26回等)も軽いが、各々およそ40gある。
それと、GIZMON Utulens/Wtulens(後日紹介予定)も
軽そうに見えるが、両者46gである。

一眼レフ用の一般的な交換レンズでは、恐らくだが以下が
最軽量級であろう。
AFレンズでは、52g PENTAX-DA40mm/f2.8XS(後日紹介予定)
MFレンズでは、55g RICOH XR45mm/f2.8 (現在未所有)

さて、という事で、本レンズ 07 MOUNT SHIELD LENSが
史上最軽量なのであるが、その理由は、Qシステムが小型な
カメラであるという事の他、本レンズは1枚のレンズのみで
構成されている事がある。
c0032138_20003830.jpg
1枚(単玉)レンズというと、当然「収差」が出る。
最もわかりやすい例を挙げると、1枚レンズの「虫眼鏡」
で新聞等の文字を読んでみれば良い。
すると、中央部の文字は普通に読めるが、虫眼鏡の周囲の
文字は流れてしまい、読み難くなる。これがまあ「収差」の
1例であり、つまりレンズの欠点である(実際には数種類の
様々な収差があるが、専門的になるので詳細説明は割愛する。
また、その全ての収差を無くした完璧なレンズを作るのは
非常に困難だと言われている)

本レンズは、その「収差」をレンズの欠点としてではなく
ユニークな特徴として生かした珍しいレンズだ。

描写の特徴は前述の「虫眼鏡」と同様だ、つまり画面の中央
だけクリアに写って、周辺は流れてしまう。

そして、ピント合わせ機構を持たないレンズである為、
中距離での撮影に限定され、近距離や無限遠はピンボケになる、
推奨撮影距離は、およそだが50cm~2m程度、ただし、それは
ノーマルな撮影の場合であり、「輪郭強調系」のエフェクト
(例:ドラマチックアート、ソリッドモノカラー等)
を組み合わせる事で擬似的に被写界深度を深める事ができる。

また、実用上では上記仕様上の距離範囲よりも若干長目を
(例:数m程度)想定して被写体を選んでも良いであろう。
c0032138_20003793.jpg
また、さらには構図上での着目点と、周辺の流し方との関係
(つまり、中央に被写体を置かない構図等)で様々な表現が
生まれる事や、さらにはエフェクトでの周辺ボカしの度合い
(例:トイカメラやシェーディング等のデジタルフィルターを
用いる場合や、あるいはそれらをベースに自作エフェクトを
創ってクイックダイヤルに登録し、それを用いる場合)との
組み合わせで、無限に表現のパターンを増やす事ができる。

つまり「収差」をどのように作画表現に活かすか?という点が
このレンズを使用する上で必要な発想となり、一般的なカメラ
ユーザーの目的である「レンズは、ちゃんと被写体を見たままに
写すものであり、それが理想だ」という忠実性(Hi-Fi)の考え方
とは全く異なる視点で本レンズを捕らえなければならない。
(この概念は、初級中級層では理解できないと思う)

それから、PENTAX Qシステムでは、エフェクト使用時においても
通常の絞りやシャッター速度等の基本的なカメラ設定が有効で
ある、という希少なシステムである為、一般的な撮影技法と
エフェクトを組み合わせる事で、さらに表現にバリエーションが
増す。(下写真ではさらに、特殊な撮影技法(回転撮り)と
組み合わせている)

c0032138_20003786.jpg
ただ、これらの高度な利用法は初級中級層には困難だと思う。
PENTAX Qシステムの最大の特徴は、小型軽量である事でもなく、
望遠母艦にする事でもない。その実態はエフェクトや作画の
自由度が他機に比べて格段に高いカメラである事なのだが、
それは一般的にはあまり知られていない。

何故ならば、PENTAX Qシステムの主要ユーザーの初級中級層は、
これらの事を理解し難いし、またそれを理解できる上級層は、
カメラとしての基本スペックの低いPENTAX Qシステムには
殆ど興味を示さない。仮に購入したとしても、下手をすると
エフェクト等は全て「邪道だ」と見なされてしまう事であろう。

何故上級者がそう思うか?と言えば、彼らは本質的に高い
撮影技能を持っている、それを無効として、ビギナー層と
同列でエフェクト等で遊んでいては、差別化ができないからだ。

つまり、例えば、ピアノを長年練習してきて上手に弾ける人が、
他の人と「弾いた事のないウクレレ」で勝負や共演をする
事は無い。あるいは本格的な陸上アスリートが運動会で
他のオジサン達に混じって「パン喰い競争」に出る筈が無い、
という理屈である。
c0032138_20003754.jpg
たかがトイレンズと言えど、実際のところは非常に奥が深い訳だ、
新品でも4000円のレンズで、これだけ色々と遊べるのであるから、
コスパは、まあ良いと言えよう。

Qシステムのユーザーであれば「怖いもの見たさ」(笑)で
購入してみるのも悪くない。

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さて、次のシステム、
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カメラは、NIKON D300(APS-C機)
レンズは、ニコンおもしろレンズ工房 ぐぐっとマクロ
120mm/f4.5(新品購入価格 7,000円相当)

ミラーレス・マニアックス第13回記事で紹介の、
1990年代のMF中望遠マクロ・トイレンズ。

本レンズは、ニコンとしては唯一のトイレンズ・セットの
「おもしろレンズ工房」の内の1本である。

同セットは、20mm魚眼、本レンズ、400mm望遠の3本組で
発売され、限定生産品だ(1度の再生産がある)
3本セットで2万円程だったと記憶しているので、1本あたり
7000円相当としておこう。

本レンズは、120mm/f4.5の、撮影倍率1/3倍の準マクロの
レンズであるが、絞りは無くF4.5固定である。

c0032138_20010165.jpg
最大の特徴は、本レンズを分解して組み替える事で、
なんと「ソフトレンズ」(90mm/f4.8)に変貌するのだ!

このギミック(仕掛け)は極めてユニークであり、この手の
組み換え仕様を持つレンズは他に存在しないかも知れない。
(注:LENSBABY MUSE等、光学系交換型のレンズは存在する)

その組み換えの模様とソフトレンズとしての描写は、上記
ミラーレス第13回記事に詳しいので今回は割愛し、マクロ
レンズとしての使用に特化しよう。

描写力は、トイレンズとは思えない程、非常に優れていて、
ニコンでは本セットを「ローコストレンズ」と呼んでいた。

ただまあ、絞りが無いので被写界深度の調整が難しい、
ニコンのデジタル一眼で使うよりは、第13回記事で使用した
ようにミラーレス機のNEX-7等を使って、デジタル拡大機能と
組み合わせ、撮影距離の調整で被写界深度を意識しながら
デジタルズームで構図微調整を行うのが良いかも知れない。
(=撮影距離が遠くなれば、被写界深度が深くなる)
c0032138_20010158.jpg
さて、何故こうした商品が出てきたのか?と言えば、
現代における「エントリーレンズ」の商品コンセプトと
同様の背景があると思う。

エントリーレンズとは、安価な交換レンズを発売する事で
初級ユーザーに、一眼レフにおける「レンズを交換して撮る事」
という楽しさや習慣を身に付けてもらい、より本格的で高価な
交換レンズを購入してくれる事へ誘導する目的の商品だ。

このエントリーレンズが期待はずれの性能だと、初級者は
次に交換レンズを買ってくれない、だから、現代のいずれの
エントリーレンズも比較的高性能となっている。

よって現代では、そうしたレンズはニコンのみならず、多くの
カメラメーカーで各々エントリーレンズを発売している。
(注:そのピークはミラーレス機が台頭した2010年前半頃で、
近年は一眼レフ用エントリーレンズの新発売は少ない)

まあ、つまりエントリーレンズでも出さない限りは、一般的な
初級ユーザーの殆ど全てが「交換レンズを購入しない」という
残念な状況なのであろう。

現代のエントリーレンズの殆どは、2010年代になってからの
発売であるが、デジタル一眼レフ・クラッシックスの記事等で
何度も書いた通り、近年ではデジタル一眼の売り上げが減少して
いる。だからこそ、そうしたエントリーレンズで、交換レンズを
購入するユーザー層を増やさないとならないのであろう。

ただ、現代のそうした交換レンズ事情と、1990年代のそれとは
ちょっと様相が異なる。

1990年代は銀塩一眼レフのAF化が進行した時代だ、しかし、
ズームレンズはまだ進化の過程であり、旧来のMF一眼時代と
同様に、単焦点レンズをずらりと揃えてラインナップを組む
ユーザー層も依然多数派であった。

しかし、その単焦点レンズ群の焦点距離は、最小限で言えば、
28mm,50mm,135mmの3本あたりであり、ちょっと凝った中級層
においても、それらに加え24mm,35mm,85mm,200mm,マクロ
あたりの中から、必要に応じて数本を揃える程度であった。

さて、ここで改めて「おもしろレンズ工房」のセットの
内容を見返すと、20mm魚眼風、90mmソフト&120mmマクロ、
400mm超望遠という感じであり、つまり一般的な初級中級層が
「絶対に持っていないレンズ」ばかりであった。

すなわちニコンからしてみれば「標準ズームとか、28mm広角や
135mn望遠とか、そういったポピュラーなレンズばかりではなく、
世の中には、こんなに面白い交換レンズが沢山あるんだよ」
という事をユーザーに伝えたかったのに違いない。

ただ、もしここで完璧な性能の特殊レンズ群を安価に販売して
しまったら、ユーザーはそれで満足して正規の交換レンズを
買ってくれなくなる。なので「おもしろレンズ工房」には
性能(仕様)的な制限が大きくかけられてしまった。

「ぎょぎょっと20」(ミラーレス第18回)は、完全な対角線
魚眼レンズではなく、あくまで魚眼「風」に少しだけ歪む
広角であったし、F8固定と暗く、しかも最短撮影距離が1mと、
およそ広角レンズ的な撮影ができるレンズでは無い。

本レンズ「ぐぐっとマクロ」は、一般的なマクロよりも低い
1/3倍の撮影倍率に制限されている。名前も一般的なニコンの
「マイクロ」ではなく、何故か「マクロ」になっている。
また、組み替えた「ふわっとソフト」では、絞りが無い為
ソフト効果の調整が出来ない。

「どどっと400」(ミラーレス第38回)は、開放F8と軽量
(500g)な点は許せるのだが、全長が30cm近くあり、長すぎて
持ち歩きが困難だ。よって、半分に分解して、入れ子にして
収納可能なのだが、使うたびに組み立てるのは実用的では
無いし、組み立ての際にネジ込みがギイギイとうるさく、廻り
から目だってしまう。おまけに全長が長すぎて、周囲から
「盗撮用機材か?」と不審がられてしまう深刻な問題がある。
さらには最短撮影距離が4.5mと長く、かなり使い難い。

これでは、購入したユーザーも、仕様上の制限が厳しくで
ある意味がっかりしたのではなかろうか・・?

まあ、このあたりの極端な仕様の制限は、技術的あるいは
コスト的理由ではなく、なんらかの外圧があったのかも知れない。

つまり、あまりに安価で出来の良いレンズを販売してしまうと
「正規のレンズが売れなくなるじゃあないか!」、あるいは
「ニコンの高級なブランドイメージを壊す気か?」等という
反対意見が、当時の社内外には当然あったと推察される。

だから「限定生産品」となったのだろうし、加えて、流通も
一般的なニコンレンズとは異なり、何か別の特殊な流通経路で
販売されていて、入手がやや難しかったと記憶している。

また、当然、ニコンのレンズのカタログには載っていない、
おまけに、極め付きは、本レンズセットにはニコンのロゴが
入っておらず、代わりに「NIKON」と印刷されたシールが付属
していて、ユーザーがそれを自分で貼って使うのだ!

これはまさしく「絶対に正規の商品とは認めないぞ!」という
圧力に他ならないと思う。

まあ時代が時代だ、バブル期においては、モノの付加価値とは、
「定価マイナス原価の差額=儲け」という20世紀工業製品的な
認識しか世の中には無かった事であろう。

バブル崩壊後、例えばPCの世界では「フリーソフトを配って
正規のソフトを買ってもらう」とか「ソフトウェア・シンセを
PCにプリインストールし、鍵盤シンセに興味を持ってもらう」
とか、それとちょっと違う世界では「携帯電話をタダで配って
通話料で稼ぐ」とか、「セキセイインコと飼育セットを
安価な980円で売って、後はエサ代で稼ぐ」とか、写真市場でも
「0円プリントを効率的に行い、多数の現像代で稼ぐ」といった、
そうした「損して得取れ」的な発想が、1990年代後半ごろから、
やっと世の中に芽生えてきたのであった。

だから、それ以前の時代では、そうした回収型のビジネスモデル
など、誰も想像もできなかったのに違いない。

反対意見があって自由に製品が作れなかったのもやむを得ない。
というか、本レンズは、よく販売までこぎつけたものだ、と
むしろ逆に感心してしまう。

なお、現代2010年代では、全く様相が異なる、
例えば、SONYのエントリーレンズ DT35mm/f1.8(ミラーレス
第60回,名玉編第2回)等は相当に優秀なレンズであり、
それよりヒトケタも高価なAF35mm/f1.4(ミノルタ→SONY)
(ミラーレス第60回)よりも性能が良い要素が多々ある。

これはまあ、たとえばエントリーレンズを買ったユーザーが
もしがっかりしたら、それこそ二度と交換レンズを買って
くれない、だから過剰なまでの性能を持たせて、
「単焦点の交換レンズって、キットズームに比べてこんなに
凄いのか!」と、ビギナーに、それなりに驚いてもらわない限り、
ユーザーは交換レンズ購入にハマってくれないではないか・・
要は「損して得取れ」の発想である、現代ではこれが常識だ。

まあでも、本レンズ「ぐぐっとマクロ」は、そうした様々な
外圧や仕様制限の状況が想像される中、写りに関しては、
一切の妥協を許していないように見える。

それは、もしかすると「エンジニアの意地」だったのかも
知れない。そう、「偉い人には、それがわからんのです!」
という、あのガンダムの名セリフを彷彿させるではないか・・

技術者は常に「良いものを作りたい」と考えている、それを
邪魔するのは、技術的な未成熟等ではなく、たいていが、
技術とはまったく別の政治的・環境的な要因なのだ・・
c0032138_20010182.jpg
現在「おもしろレンズ工房」は、中古市場ではセミレア品と
なっている。場合によりプレミアム相場となっている事も
あるかも知れないが、2017年頃に大阪の中古店で元箱つき
3本セットが9800円で売られているのを見かけた事がある。

必携のレンズセットという訳では無いが、もし見かけたら、
この記事で書いたような事を想像しながら、使ってみるのも
面白いかも知れない。

----
さて、次のシステム、
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カメラは、SONY α700(APS-C機)
レンズは、Jupiter-9 85mm/f2
(新品購入価格 5,000円)

ミラーレス・マニアックス第26回記事で紹介の、
1970~1990年代頃のロシア製MF中望遠レンズ。

本レンズの出自に関しては、当該記事に詳しいので、今回は
そのあたりは、ばっさりと割愛する。
本レンズは、M42マウント仕様であるが、別途いくつかの
マウント版の同レンズが存在する(ミラーレス第29回記事)
c0032138_20014346.jpg
ロシアンレンズの代名詞とも言えるレンズであり、
ツァイス・ゾナーのデッドコピー品としても著名であった。
(注:厳密に言えば、ゾナーとは僅かにレンズ構成が異なる)
1990年代の第一次中古カメラブームの際は、中上級マニアで
このレンズを所有していない人の方が珍しかったであろう。

まあ、その時代であれば、新品定価5,000円と極めて安価
(注:後年には数倍にまで値上げされてしまった)であったし、
条件がハマれば、そこそこ優れた写りをしてくれるので、
「ロシアンレンズ、あなどりがたし」という好印象があったの
かも知れないが・・
現代において本レンズを使うと、逆光耐性の低さに加え、
ボケ質破綻が頻繁に発生し、回避困難である為、なかなか
使い難い要素もある。

すなわち、第一次ブームの時のように「神格化」する程優れた
レンズでは無いし、まあ、それがロシアンレンズの本質だ。

特に、銀塩では写りをコントローラブルにする事はできないので
(ボケ質破綻回避不可とか、撮った後現像するまで、どのように
写っているかわからない等の本質的問題点が銀塩カメラにはある)
たまに良い写りをしたのかも知れないが、その裏には、膨大な
酷い写りのボツ写真が隠れていた事であろう。
(そういう写真はマニアや評論家は公表しないのは当然だ)

現代において無理して本レンズを探して購入しようとしても、
中古相場が18000円程度まで上がってしまっているかも知れない、
だとすると、たとえば同スペックでは、2014年発売の中国製の
中一光学Creator 85mm/f2(ミラーレス第62回記事、補足編
第1回記事)の方が高性能かつ定価も新品で2万円強と安価だ。

あるいは、どうせ2万円も出すならば、類似のスペックの
マクロのTAMRON SP AF60mm/f2や同SP AF90mm/f2.8(旧型)
の中古の方が、あらゆる面で高性能である。
c0032138_20011527.jpg
本レンズに拘るのは、マニアックである事と、使いこなしの
面白さを味わうような部分しか無いと思う。

なお、マニアックという点では、今回本レンズを装着している
SONY α700だが、ボデイ内手ブレ補正機能があるものの、
純正レンズ以外、アダプター使用時等には、焦点距離手動設定
の機能が無い為、事実上内蔵手ブレ補正を使用できない。

ただ、マニアの間で定説があり「α-7 DigitalやSONY初期の
αは、焦点距離情報が無い場合デフォルトで85mmに設定される」
という情報がある為、それを今回確かめてみようと思った訳だ。

しかし、光学ファインダーにおいて、センサーシフト方式の
手ブレ補正は(センサーが動いているだけなので)ファインダー
でその効果は全くわからない。低速シャッターで手ブレ限界
テストを行おうにも、ある程度ブレない構えをして撮る限りは、
良くわからない。

結局、内蔵手ブレ補正がJupiter-9において効いているのか
いないのか?は、よくわからない結果になってしまった(汗)
c0032138_20011625.jpg
本レンズは、ロシアンとしては「定番」だが、あまり高価に
買ってしまうとNGだ、もし1万円程度までで購入できるので
あればコスパ的にも損は無いレンズだと思う。

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次は今回ラストのシステム、
c0032138_20015425.jpg
カメラは、SONY NEX-3(APS-C機)
レンズは、HOLGA LENS HL(W)-SN-WE 25mm/f8
(新品購入価格 3,000円)

ミラーレス・マニアックス第3回,第38回記事で紹介の、
2010年代の中国製MF単焦点トイレンズ。

本レンズはミラーレス(NEX)用であり、焦点距離は25mmだ。
他に一眼レフ用(60mm、後日紹介)や、PENTAX Q用
(10mm、ミラーレス第68回)等多数のマウント版がある。

いずれのマウント版も開放F8固定であり、絞りは無い。

また、ピントリングはどれも一応ついているのだが、
レンズの解像度が低く、ピントが合っているかどうかは、
ピーキング機能に頼るしか無い。
一応ピントリングには、4つの距離マークがあり、人や
山の絵が描いてあるので、だいたい目測でそれらに合わせて
使うか、又は、山と多人数の中間距離(10m位?)で固定して
おいて、中遠距離のパンフォーカスとして使う。
c0032138_20015480.jpg
なお、ミラーレス・マニアックスの当該記事で詳細を記載
している為に、本記事では簡単に述べるが、これらのHOLGA
LENSには、レンコン状に穴の開いた特殊フィルターが内蔵
されていて、これにより周辺光量落ち=ヴィネッティング
(注:”トンネル効果”は非推奨。それは電子物理学用語だ)
効果を発生させる事が可能である。

これをHOLGAでは「ブラック・コーナー・エフェクト」と呼び、
初期型の同レンズでは、これが搭載されていなかった為、
後期型に「BC」という型番をつけて区別していた。

ただ、このフィルターは透過光量が減って、F11強程度に
開放F値が暗くなるので、一眼レフで使うよりも、EVFや
モニターが暗くならないミラーレス機で使うのが基本だ。

それと、ピント距離の設定によっては、周辺光量落ちが綺麗に
円形にならずに乱れてしまう場合もあるので、その点も要注意だ。

ピントリングは恐ろしく重く、プラスチック製でヘナヘナの鏡筒
は、廻す力で壊れてしまいそうだが、まあ、これは個体差かも
知れない、なにせ「品質管理」という言葉からは縁遠そうな
レンズ製品である。

描写の解像感は無いに等しく、究極の「ユルい」描写だ。
ただ、この手の描写は、エフェクトと組み合わせる事で
楽しさが増すかも知れない(前述のPENTAX Q7+07の例)

ただ、初期NEX-3には、ほとんどエフェクトが内蔵されていない、
そろそろ「トイレンズ母艦」であるNEX-3も、リプレイスする
必要があるかも知れない。
まあでも、PENTAX Q用の本レンズ(HL-PQ 10mm/f8)も
所有しているので、Q7でそれを使えば良いのだが・・

ちなみに、Q用のHOLGA LENSは、さらにピントが合っているか
どうかが判断できない良くわからないレンズであるが、まあ
トイレンズであるから、そのあたりは不問にするのが良いだろう。

トイレンズの代表格と言えば、「HOLGA」と「LOMO」である、
いずれも現在ではミラーレス機用などで数種類のレンズあるいは
セットが販売されている、そのいずれかは、マニアであれば必携
であろう。
c0032138_20015439.jpg
なお、銀塩時代の「トイレンズ」の楽しみ方と言えば、その
「アンコントローラブル」な点であった。つまり、どのように
写っているのかわからない、という事であり、まあ銀塩なので
さらにそれは助長される。「現像が上がってからのお楽しみ」
という感じであろう。そして、特に正攻法の写真に行き詰った
アート系初級中級者層が「突然変異的」に偶然変わった写真を
撮れる事での「秘密兵器」としての役割を期待したケースも
多々あった。

だが現代における「トイレンズ」の役割はちょっと違う、
たとえば、現代のレンズは、どれも非常に良く写ってしまう。
なので、ある意味その事は、「面白くない」「普通すぎる」
「他人との差別化ができない」などの不満点も出てくるであろう。

そういう場合に「ハイファイ」(Hi-Fi=高忠実度、高再現性)
に対する「ローファイ」(Lo-Fi)としての役割をトイレンズに
求めるのが、現代での1つの主要な方向性だ。

この事(ローファイ化現象)は、カメラの世界よりもおよそ
15年も早くデジタル化された「電子楽器」の世界でも起こった。

つまり、多くの電子楽器の音がデジタル化により綺麗な音質に
なりすぎた為、やはりそこでも「面白くない」というユーザー層
が出てきたのだ。そして、あえて悪い音質を用いる「ローファイ」
の音楽が流行したのが1990年代後半頃からであり、それは、
楽器のデジタル化が始まってから10~15年というタイミングで
あった。
デジタルカメラ(一眼)の普及が2000年代前半からと見れば、
2010年代前半が約10年後である、で、この頃にオールドレンズ
ブームが起こり、ローファイの意識も広まって来たのであろう。
(注:アダプター利用が容易なミラーレス機の普及もある)

なおローファイの概念は初級者には理解されずらく、初級層は
音楽ならば良い音質、写真ならば綺麗な映像、を常に求めて
しまう、という傾向が強い。

さて、そうした「ローファイ感覚」もあって、トイレンズが
欲しいと思った際の相場だが、まあ1本あたり3000円程度
という所だ、それより高価なものはコスパが悪いと見なせる。
c0032138_20015426.jpg
で、ミラーレス機ユーザーであれば、トイカメラ本体を買って
しまうよりも単体トイレンズを使う方がはるかに簡便であろう。
特に、エフェクト併用の自由度の高いミラーレス機が有利だ。
(注:エフェクトが効く”トイデジ”も一部には存在する)

---
さて、今回の記事は、このあたりまでとする。
次回は「1万円クラス」編の記事とする。


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