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銀塩一眼レフ・クラッシックス(2)NIKON F2(A)

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所有している銀塩一眼レフの名機を紹介するシリーズ記事。
今回は第一世代(露出計内蔵の時代、世代定義は第1回記事参照)の
NIKON F2(1971年)を紹介する。
c0032138_17005014.jpg
装着レンズは、NIKKOR-S Auto 35mm/f2.8
(ミラーレス・マニアックス第23回記事で紹介)
(注:NIKON F2Aに当該レンズは実際には装着不可→後述)

本シリーズでは紹介銀塩機でのフィルム撮影は行わない。
まあ、「今更・・」という感じだからだ。
で、紹介写真には、デジタルカメラの実写シミュレータ機を
使用する。
c0032138_17010155.jpg
今回はフルサイズ・デジタル一眼レフ NIKON Df(2013年)
を使用する。

当時の写真撮影のスタイルやレンズの雰囲気を考証する為に、
前回記事CANON F-1と同様にモノクロ撮影を行う。

それから、絞りを大きく開けて撮影するスタイルは、
1970年代当時のカメラやフィルムの性能においては難しい
(例:日中ではすぐにシャッター速度オーバーとなる等)
よって、シミュレート写真は、絞り値をf8前後として、
中遠距離被写体を撮影するという、当時の、いわゆる
「記念写真撮り」を行う事にするが、そればかりでは撮って
いるのも退屈するので、記事後半からはシミュレーター機を
変更、同時に撮影スタイルも変える。

以降はシミュレーターでの撮影写真と、本機F2の機能紹介
写真を交えて記事を進める
c0032138_17010195.jpg
まず最初に重要な点を伝えておくが、NIKON F2は、システム
カメラであり、ファインダー交換などで様々な使用形態が
得られる。
今回の紹介機種は、正確には「NIKON F2 Photomic A 」
という機種であり、ファインダー仕様により発売年月も
異なっていて、本機フォトミックAは1977年の発売である。
初出から実に6年が過ぎた後であった。

このF2 AタイプはAi対応レンズ専用なので、本来ならば冒頭の
紹介写真のような非Aiレンズとの組み合わせは露出計がまともに
動かなかったり、絞り環が上手く廻らない等、適正では無い。
が、F2発売時の雰囲気を伝えたい為に、不自然な点は無視する。

ちなみに、ファインダーこそ異なれど、F2の本体の方は殆ど
(全く?)変化が無いまま、1980年のF3の発売までニコンの
フラッグシップの座をキープしつづけたロングセラー名機だ。

そして本記事では、便宜上、本紹介機種をNIKON F2と称し、
初出の発売時(1971年)の時代背景を考慮したスタンスで
記事を進めていく事にする。

F2の様々なファインダーの種類については後述しよう。
c0032138_17010126.jpg
さて、F2はニコン2代目のフラッグシップ機である、
初代は言わずと知れたNIKON F(1959年)である。
その「F」の元となったのは、レンジファインダー機の
NIKON Sシリーズであり、シャッターボタンの位置などが
一般的な一眼レフとは異なっていた事や、フィルム交換の際に、
一々底蓋を取り外す必要がある事など、それらの操作性が
気になるカメラであったと思う。

また実用上では、NIKON Fでは露出計を内蔵していなかった。
これは、1959年と言うのは、本シリーズ記事で定義する
「一眼レフ黎明期」であった為、当時の技術環境的にも
やむを得ない。しかしNIKON Fは、おそよ12年間に渡って
ニコンのフラッグシップの座を担っていたカメラであり、
後年は1960年代の第一世代(露出計内蔵の時代)となって
いた為、ファインダーを露出計内蔵のタイプに交換する事で
それを実現する「NIKON Fフォトミック」(1962年)や、
派生型(フォトミックFTn等)が順次いくつか販売された。

まあ確かに、露出計が内蔵されていた方が写真を撮る上では、
圧倒的に便利であるので、実用的には「フォトミック」の
勝利なのだが、NIKON Fのボディ本体には露出計に係わる部品や
電源は何ら内蔵されていない為、フォトミックファインダーは、
露出計と共に電池等も内蔵しなくてはならず、極めて大きな
構造となり、「頭でっかちで格好悪い」デザインにならざるを
得なかった。この為、ニコン党のマニア等では、露出計が無い
不便を我慢しながらも、「三角頭」の、本来のFらしさがある
アイレベルファインダーを愛用したのである。

本機NIKON F2では、NIKON Fのいくつかのそうした弱点を
改善している。例えば、シャッターボタンの位置は、後年の
一眼レフと同等のカメラ前部に近い場所に移され、フィルム
交換も通常の裏蓋を開ける方式となった。
c0032138_17005087.jpg
だが、問題の露出計であるが、ここはシステム的に大きな
改善は見られず、露出計内蔵型は、やはり別途フォトミック
タイプとしてファインダーが大きくなってしまっていた。
まあでも、NIKON F フォトミック系のように、電池などを
内蔵させる必要はなく(電池は、F2では本体の中に入れれる
ようになった)若干はサイズダウンしている。

ここで前述の、F2のファインダーの種類による仕様の差を
記載しておこう。

1971年 F2 (DE-1アイレベルファインダー)
露出計無し
1971年 F2 フォトミック(DP-1ファインダー)
    追針式露出計内蔵
1973年 F2 フォトミック S(DP-2ファインダー)
    LED式露出計内蔵(CdS測光素子)
1976年 F2 フォトミック SB(DP-3ファインダー)
    LED式露出計内蔵、DP-2から測光素子を改良している
1977年 F2 フォトミック A(DP-11ファインダー)
    Ai爪対応、追針式露出計内蔵
1977年 F2 フォトミック AS (DP-12ファインダー)
    Ai爪対応、LED式露出計内蔵(DP-3と同じSPD素子)

なお、ファインダー単体のオプション部品としては、
ハイアイポイントタイプのDA-1アクション・ファインダーや、
DW-1/DW-2ウエストレベル・ファインダーが存在している。

これらは確かに、同じF2でも、ずいぶんと雰囲気が異なる。
勿論中古市場等では、フォトミックSとかフォトミックA等
の差異を明確にして区別はされているが、よほどのマニアで
無い限り、これらの仕様上の差異を正確に把握している人は
少ないであろう。
c0032138_17005004.jpg
まあ、最も注意する点は、Aタイプ以降のAi爪(内爪)対応か
否か?であるが、まずAi対応型のニコンレンズを使用する際は、
その多くに、カニ爪(外爪)は残っているだろうから、
Aタイプ以前のフォトミック系F2でも何ら問題ない。

それから、マニアであればF2しか所有していないという状況は
まず有りえず、例えばF3等も同時に所有しているのであれば、
カニ爪の無いAi対応レンズを使う際には、F3等の新しい
カメラに装着して撮れば良いだけの話だ。

で、F2のAタイプ以降であれば、外爪を装着する操作が不要だ。

旧来、この操作は、通称「ガチャガチャ」と言われていて、
レンズ側のf5.6の位置にある外爪とボディの指標を合わせ、
レンズを左向きに外爪がボディ側連動レバーに嵌るまで廻す、
さらにレンズを右いっぱいまで廻すとレンズ開放f値が
ボディ側に伝達される。

これは面倒な操作であるが、「これをやらないと気分が出ない」
という、一種の儀式的な要素もあり、個人の好き嫌いがあった。
なおAタイプ以前でのカニ爪連動はコイン等を用いて解除可能で
カニ爪の無いレンズも使用可だが、絞り込み測光となる。

そして、非Aiのカニ爪のみのレンズを使う場合、F2のAタイプ
以降には装着できない。いや、出来る事はできるが、露出計が
連動しなくなるので、撮影の利便性は無くなってしまうし、
絞り環が動かなくなる場合もあるので要注意だ。
(今回の冒頭写真で紹介しているシステムのケース)

露出表示が追針式かLED式かは好みが分かれるところであり
「LEDは壊れたら終わりだから頑丈な追針式が良い」と言う
マニアも居たし、「追針式は暗いところで見え難いから
LEDが良い」というユーザーも居た。

これについては、ファインダー照明を行う別売部品も存在して
はいたが、まあ、あまり重要では無い。そして壊れるとかも
さほど気にしなくても良い、銀塩時代には各ファインダー単体
でも中古市場に良く流通していたので、壊れたらそれを買って
しまっても良かったし、あるいは壊れたとしてもNIKON F2は
機械式カメラなので撮影には何ら影響が無く写真が撮れる。

露出計を使わないならば、いっそ先端が尖ったアイレベル
DE-1を装着するのが「不恰好なフォトミックよりも、遥かに
格好良い」と言う中上級マニアも極めて多く、その為か、
アイレベルDE-1ファインダー単体の中古品は、1990年代末の
第一次中古カメラブームの際には、なんと10万円を越えるという
超高価な相場で取引される事もあった。これは勿論NIKON F2本体
よりも高いし、NIKON F3やF4ですらも丸々1台買えてしまう
高額相場であった。

そうまでしても、格好良いDE-1をマニア達はこぞって欲しがり、
それを装着したF2を「これぞニコンF2の真の姿」と自慢する
のであるが、露出計の無いカメラで、はたして彼らは、本当に
写真を撮っていたのかどうかは、かなり疑問である・・
(そして本体内の電池や電源機構が無駄になる、技術屋的には、
こうした合理的で無い使用法は好みでは無い)
c0032138_17010072.jpg
交換ファインダーで注意する点だが、後年の時代においては
F2の専用交換スクリーンの入手が難しかった点だ。
何故スクリーン交換する必要があったか?と言えば、F2の
標準スクリーンのマット部は、暗く、ピントの山が見え難くい
からであり、これは時代が古いのでやむを得ない。
(注:「この時代のニコンのマット面は見やすい」という
説もあるが、あくまで同時代での相対的なもので、後年の
機種と比べると、勿論だが絶対性能が低い)

この為、上級マニア等では小さいカメラ店などで在庫されて
いた売れ残りの新古品を狙ったりしていたが、それすらも数が
あまり無かったし、F2用のスクリーンは交換しても、あまり
改善する事も無い。そうした中で一部の上級マニアにおいて、
NIKON F3用の交換スクリーンをF2に無理やり装着できる事が
わかり、それがマニア間で流行した。

F3のスクリーンをF2で使うには、そのままではスクリーン枠
に突起部がぶつかって無理だ、そこで、スクリーン枠を
入れ替えるのが王道であり、この方法ではF4のスクリーン
すらも装着可能だ、との事だが、他の方法としては、
F3のスクリーン枠を前後逆に装着する事でも、突起部が干渉
しないようにする裏ワザもあった模様だし、あるいは突起部を
加工して削ってしまう手段もあった。

なお、F2のスクリーン交換は、着脱式ファインダーの為、
他機に比べて容易な方なので、F2ユーザーは色々試したがる
だろうが、様々なリスクが伴うので、上級マニア以外には決して
お勧めできない。

そもそもスクリーン交換を行ってしまうと、その光線透過率に
露出計が依存するF2では、正しい露出値を示さなくなる。
露出補正程度で済めば良いが、前回記事CANON F-1で水銀電池
を他種の電池で代替した際に電池電圧の差で露出計の動作が
不安定となったのと同様に、そう単純な話でも無さそうだ。
例えば、スクリーンが構図上の全面に対して純正品と同様に光を
透過するか?(=測光特性)等も変化してしまうかも知れない。

なお、ネガフィルムを使用時においては、微妙な露出差は
あまり意識する必要は無い。またその際、F2はマニュアル
露出機であるから、露出補正という操作(概念)は無い。

こうした場合、ASA感度ダイヤルを変更して露出補正と同等の
効果を得る事ができる。例えば、スクリーンの透過率が異なり、
仮に露出補正をマイナス1段かける必要があるのであれば、
ASA(ISO)感度を1段上げて設定しておけば良い、具体的には
ISO100のフィルム使用時はISO200へ設定する等である。

で、どのスクリーンをF2に装着するかで、こうした露出補正量も
変化する。なお、F2専用スクリーンの中にも、この補正操作が
必要なものもある(その為、F2のASA感度ダイヤルには補正用の
専用指標がある)

色々と面倒だし、F3のスクリーンでも劇的に改善される事は
無いので(もう少し後の時代び物ならば、明るくはなった)
スクリーン交換は、やらないで、ピントの見えは我慢する、
という選択肢もあるだろう。
ちなみに私は1度交換して、露出値変更が面倒だった事と
どうも露出値がリニアに変化しない様子が見れたので、
結局純正品のスクリーンに戻して使う事とした。

精密なピント合わせが必要であれば、例えばNIKON F4等の
スクリーンの方が断然、ピント合わせが楽で正確だし、
そういう他の機種を持ち出せば良いだけの話だ。
F2では、ピント合わせに神経を使う必要が無い、広角レンズ
による「絞り込みパンフォーカス」等の撮影を行えば良い。

このあたりの考え方は、機器の弱点を相殺するシステム構成、
という事で、過去記事「ミラーレス・マニアックス」等で
さんさん述べてきた基本概念である。
万能カメラなんて存在しないのだから、複数のカメラを目的に
応じて使い分ける事は、マニアや上級者の常識だ。

色々とファインダーの話が長くなったが、まあ実のところ
F2はFの改良機と言いながらも、旧機種NIKON Fの重大な弱点は、
まだ他に、目に見えないところにも存在していた。
c0032138_17010024.jpg
私が思うNIKON Fの最大の弱点は、その後の時代の他社機と
比較して、レンズ装着方向、絞り環の回転方向等、多くが
逆向きになっている事である。

他の記事でも良く書いたが、これには大きな理由があって、
戦前のドイツにおける「ライカ」と「コンタックス」の
開発競争において、コンタックスはライカが提唱したカメラの
仕様の全てに反発し、レンズの絞りやピントの回転方向やら、
極め付きは、レンズ仕様の表記(コンタックスでは、
絞り値/焦点距離の順で書く)まで、全てライカと逆にしていた。

そうして出来たコンタックスのレンジファインダー機の
CONTAX Ⅱa型やⅢa型を、大いに参考に(コピー)して
NIKON Sシリーズが生まれた。

で、NIKON Fの開発時にNIKON Sをベースとしてしまった為、
「80年も前のライカとコンタックスの意地の張り合い」が
そのままニコン一眼レフに残ってしまい、これらを他社一眼レフ
と併用した際の使い難さとして、現代にまで継続されている。

もし、これを変更する機会があったとしたら、ベース機が無い
本機NIKON F2の開発時、このタイミングでしか無かっただろう。

しかし、NIKON F2ではNIKON Fの仕様を踏襲してしまった為、
全ての操作が逆方向、という点が改善されなかった。

F2以降、カメラのファインダー内に横軸の露出インジケータが
搭載される事が普通となった。
この際、ニコンレンズでの絞り環の回転方向が、左に廻すと
絞りが開く(すなわち明るくなる)為、露出インジケーター
(露出メーター)も、それに合わせて、左側に行くとプラスに
なる、という仕様にせざるを得なくなった、
そうしないと、絞り環の動く方向と露出メーターの動く方向が
逆になって気持ち悪いからである。

だが、中学校の1年生くらいで習う「数直線」は、全て、
右がプラスになるようになっている。
これは数学の世界を見渡しても左をプラスにする数直線は
ありえない、仮にそういう風に、毎回数値の方向が違うと、
混乱して、学問として成立しなくなってしまうからだ。

これは数直線に限らず、グラフでも歴史年表でも、通常は
右をプラス、あるいは右を新しくする事が標準的な方式だ。
まあ、デファクト(事実上の標準)であるとも言えるが、
教育分野では、ちゃんとそのようにするよう指導されていると
思う。(注:稀に展示資料等で逆向きの歴史年表を見かけるが、
レイアウト上の都合もあるだろう、あるいは無頓着なのか・・)

ニコンだけ逆という事は、例えば、陸上競技でトラックを
廻る方向を全て左回りに統一したにもかかわらず、一人だけ
右回りに廻っているような状態だ。
この例が適切で無いと言うのであれば、例えばオートバイの
シフト(ギヤチェンジ)レバーは全て左足で操作するように
統一されているのに、カワサキのW1(S)だけは、右シフトと
なっている状態だ。

この例については、バイクの旧車、特に外国車においては
左シフトと右シフトがまちまちであったのが、それでは
バイクを乗り換えると、かなり運転しにくくなるので、
国産車は左シフト方式にだんだん統一されていったのだ。

上記の国産としては非常に珍しい右シフト車のW1/W1S(およそ
1960年代)ですら、後期のW1SA(奇しくもNIKON F2と同じ
1971年の発売)からは標準的な左シフトに変更されている。

まあ、このニコンの逆向き問題については、他社機と併用する
際に極めて使い難い。で、ベテラン層の中には「ニコン機しか
使わないから問題ない」と言う人達も結構居たのであるが、
個人で複数のカメラを所有する事も珍しくない現代においては
このように1社だけ独自の仕様となっている事は、好ましく無い
状態である。

カワサキW1SAのように、NIKON F2の時点で他社の多数派と
同じように統一してくれていたならば、後年このような
問題で悩む必要は無かったのに、残念な話である。
c0032138_17005163.jpg
なお、現代のデジタル時代においては、マウントアダプター
の使用により、ニコンFマウントレンズは他社機で使い易い
状況であるが、その逆にニコン製ボディには他社レンズを
殆ど装着する事が出来ない。この為、私は近年ニコン製
カメラを買い控えていたのだったが、所有している最新の
機種でも10年前のD300(2007年)という状況では、さすがに
古く、やむなく旧レンズの使用互換性が最も高いデジタル
一眼レフのNIKON Dfを買い足した次第だ。
c0032138_17010769.jpg
さて、ここでシミュレーター機のDfを止めて、今度は
APS-Cミラーレス機、FUJIFILM X-T1(2014年)に変更しよう。
c0032138_17010738.jpg
装着レンズはここまでと同じNIKKOR S Auto 35mm/f2.8
そして、モノクロフィルムモードで撮る事も同様であるが、
退屈な「記念写真撮り」(修学旅行撮り)はやめて、
もう少し被写体の自由度を増やす事としよう。

それと、レンズには、物理フィルターのYA3型(オレンジ色)
を装着する、このフィルターはモノクロ(白黒)フィルム
専用で、コントラストを強調する効果がある。

シミュレーターのFUJI X-T1には、モノクロモードでの
フィルムシミュレーションに、黄色、赤、緑のフィルター
効果がプリセットされているが、オレンジ色フィルターの
モードが無いので、本物のフィルターを使ってみる事とした。
なお、フィルター効果の2重掛けを防ぐ為、X-T1側のモードは、
ノーマルな「モノクロ」を選んでいる。
c0032138_17010756.jpg
さて、ここで本機F2の基本性能について述べておく、

マニュアルフォーカス、35mm判フィルム使用カメラ
最高シャッター速度:1/2000秒(機械式)
          チタン製フォーカルプレーン
シャッターダイヤル:倍数系列1段刻み、X,B位置あり
          T(タイム)露出あり
フラッシュ:非内蔵、シンクロ速度1/80秒 X接点
アクセサリーュー:巻き上げ部に「ガンカプラー」取り付け可
ファインダー、スクリーン:交換式
       倍率0.8倍 視野率100%(DP-1)
使用可能レンズ:ニコンFマウント カニ爪またはAi式
絞り込みプビュー:あり
ミラーアップ:可
多重露出:可
露出制御:マニュアル
測光方式:TTL
露出インジケーター:追針式またはLED方式
露出メーター電源:SR44 2個使用 (LR44使用可)
電池チェック:ファインダー側にあり
フィルム感度調整:ASA6~8400(1/3段ステップ)
フィルム巻き上げレバー角:120度(分割巻上げ可)
セルフタイマー:有り(機械式)、このレバーを利用した
        スローシャッターモード有り(2~10秒)
本体重量:840g(DP-1装着時)
発売時定価:82,000円(ボディのみ)
c0032138_17005028.jpg
本機F2の長所だが、
まず、高いシステム性、堅牢性、高性能等フラッグシップ機
としての要件を備えたロングセラー名機である事だ。
c0032138_17010717.jpg
隠れた長所としては、レリーズタイムラグの速さがある、
公称値というものは無いのだが、一説には、28mS程度と
言われていて、ニコン機の中では最速、あるいは銀塩と
デジタルの一眼レフ全体を見渡しても最速かも知れない。

これはシャッターの構造が特殊で、幕速が従来機よりも
かなり向上している事が理由だと言われているが、それ以外に
AEやAFの予備動作(処理)が不要なマニュアル露出機械式
シャッター機である事も大きな要因であろう。

実際に本機のシャッターを切ると、まるでシャッター幕と
直結しているかのように、瞬時にシャッターが切れて爽快だ。

私は、この手のレリーズが鋭敏なカメラには、ソフト・
シャッターレリーズ等の付属品を装着する事も多いが、
本機はむしろ、この「直結感」をダイレクトに味わうために、
ソフトでは無いシャッター補助部品を装着している。

なお、デジタル一眼レフでの最速はNIKON D2H(2003年)の
37mS(ニコン公称値)が、その当時では最速であった。
(デジタル一眼レフ・クラッシックス第1回記事参照)

恐らくこれは限界値に近く、その後のデジタル一眼レフでは、
AEやAFの複雑化で、このD2Hを上回る機種は発売されていない
可能性が高い。その後デジタル一眼レリーズタイムラグは公表
される事が無くなってしまったが、もしD2Hを上回る機種が
出来ていたならば、それを堂々とカタログ等に書くだろうが、
そういうのを見た事が無い。

まあ、F2やD2Hは高級機であるので、一般ユーザー層では、
なかなか、そのレリーズの速さを体感しにくいかも知れない。
なので、あまりレリーズタイムラグについては気にしていない
かも知れないが、例えば、レンズ付きフィルムの「写ルンです」
は、その「直結感」が強いカメラである。
まあ、実際にシャッターがボタンと直結しているからだが、
その「すぐ写せる感覚」のメリットを体感するには、わかり
やすいカメラだと思う。
c0032138_17010689.jpg
逆に、本機F2の弱点であるが、
前述の操作性の逆方向である事やファインダースクリーンの
見えがあまり良く無い事、ファインダーが大きく格好悪い事、
それから、重量が重く、あまり外に持ち出したいという
気にはなれない事もあげられる。

それ以外に大きな弱点は無く、概ね良く出来たカメラである。
ただし、大きな特徴も無く、NIKON Fを小改良しただけの
優等生的なカメラのようにも感じてしまう。
c0032138_17010659.jpg
さて、最後に本機NIKON F2の総合評価をしてみよう。
評価項目は10項目だ(項目の意味は本シリーズ第1回記事参照)

-----
NIKON F2 (1971年)  

【基本・付加性能】★★★★
【操作性・操作系】★★★☆
【ファインダー 】★★
【感触性能全般 】★★★☆
【質感・高級感 】★★★★
【マニアック度 】★★
【エンジョイ度 】★★★☆
【購入時コスパ 】★★☆ (中古購入価格:52,000円)
【完成度(当時)】★★★★☆
【歴史的価値  】★★★☆
★は1点、☆は0.5点 5点満点
【総合点(平均)】3.3点

思ったよりも評価点は高くなかった。

まあ、本機を単独で見れば名機なのだろうとは思うが
他機(特にフラッグシップ機同士)と比較した際においては
特筆するべきポイントは特に見当たらないし、そういう状況
において、弱点としてのファインダー、マニアック度、コスパ
あたりが、評価点をじわじわと下げている。

また、ニコンのフラッグシップも2代目となれば、歴史的価値
も、あまり高く評価する事はできない。

ただし実用的には、フィルムを入れさえすれば現代においても、
まだ問題なく現役で使える「最古の一眼レフ」ではなかろうか?
c0032138_17005020.jpg
高い堅牢性のあるカメラであり、ファイダーの電子部品以外は、
およそ壊れるという危険性を想像する事ができない。
50年近くも前の家電製品では、今なお動いているような物は
他には無いだろうから、本機の耐久性は、ある意味驚異的だ。

さて、本記事で、第一世代(露出計内蔵の時代)のカメラ紹介は
終わりだ。たった2機種しか紹介しなかった世代ではあったが、
CANON F-1とNIKON F2という、この時代(1970年前後)を
代表する2機種があれば十分であろう。

まあ、それ故、所有していたカメラの内、この時代以前の
機種の殆どを、デジタル時代になって「古すぎて実用的価値も
歴史的価値も無い」と判断し、この2機種だけを後年に残す事
にした訳だ。

次回記事では、第二世代(AEの時代)の銀塩一眼レフを紹介する。


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