
行われた「第5回スモールドラゴンボート日本選手権大会」
(以下、スモール選手権)の模様より、中編。
今回記事では「選手権 混合の部」および「選手権 女子の部」
の結果について伝えて行く事にしよう。
本大会は、台風22号の接近の中で行われた。
勿論、風雨が強くなれば、その時点で即中止だ。
全国各地(東京から九州まで)や、遠くカナダからのチームも
参戦してくださっている大会なので、なんとか全レース終了まで
天候が持って欲しい・・
まあ実際には無事最後まで大会は実施されたのではあるが、
雨の中、非常に競技志向の強い熱戦が多数繰り広げられたのが
本大会の印象である。
冒頭のチームは、カナダ、ケベック州(Le Quebec. カナダの
最東部の州、公用語はフランス語、ただし英語は通じる)
からエントリーの「HORIZON」(ホリゾン/ホライズン
=水平線という意味)チームである。
「関西龍舟」(兵庫)が、カナダの国際大会に出場した際に
知り合い今回初来日したチームだ。
混合の部、女子の部へのダブルエントリーである。
各カテゴリーでメンバーが被ってはいるが、まあわざわざ
海外から来ていただいている、そのあたりは不問だ。
さて、実力値はいかに・・? 混合の部の予選を見ていこう。

「HORIZON」のタイムは1分2秒、予選3位で、これは敗者復活戦
へ回る事となる。
ふうむ・・ この分だと、ぎりぎり決勝進出か、あるいは
準決勝止まり、という感じかな?
でもまあ、本大会では、最終レースが「国際決勝戦」という
エキシビジョン戦となっていて、そこでは「HORIZON」が
出る事は確定(残りは、混合の部の1,2位、オープンの部の
1,2位のチームだ)しているので、まあ、楽しんでいただける
事であろう。
さて、ここからは、ランダムに「混合の部」の出場チームを
紹介して行こう、上記「HORIZON」を除いて「混合の部」は
全て、お馴染みのドラゴン専業チームばかりである。
全部で19チーム、全てのチームは多すぎて紹介できないが
また他の記事で紹介の機会はあるだろう。

オープンの部にも「東京龍舟ワイルド」が参戦している
ダブルエントリーだ。
昨年は3チームでのトリプルエントリーであったのだが、
今年はそこまででは無く、女子の部の「東京龍舟プラチナ」
(昨年本大会優勝)はエントリーを見送っている。

として「B優勝」しているが、今年は正規の決勝戦に出たい
ところであろう。
タイムだが、予選を1分丁度で1位抜け、調子は悪くなさそうだ、
準決勝以降の戦いに注目して行こう。
なお、「東京龍舟」のオープンチーム(ワイルド)も
調子が良さそうだ、ダブル優勝・入賞を狙って行きたい所。
「東京龍舟」は、台風の中今夜東京に帰る予定だ。
帰路は新幹線(予約済み)とのこと、ただし本大会会場の
最寄駅のJR「大津京」駅を通る湖西線が、台風の為、堅田駅
以北で既に止まってしまっている。まあ大津京→京都間は、
まだ、かろうじて電車が動いているが、もしこれを使えないと、
京都駅までは、かなりの遠回りになってしまう。
ちょっと心配だ。彼らは決勝まで残り、閉会式までは居ると
思うが、列車運行情報には気をつけて知らせる事にしよう。

大ベテランである、私がドラゴンを撮り始めた頃(15年程前)
から、ずっと現役だったので、もうかなりの長い期間やって
いるのであろう。
昨年の本大会では、女子チームを編成し
「Rowing Team 浪わ エンジェルス」として見事準優勝している。
今年は「混合の部」に集中したが、大激戦区のカテゴリーであり
決勝進出はちょっと難しいか・・?
今年6月に大阪・高石市で行われた「堺泉北大会」では、
「Rowing Team 浪わ」は見事決勝進出している。
その際「浪わ」の選手達と話していたのだが・・
浪「我々が、ここ(決勝)に居るのは、どうにも場違いな
感じがして、居心地が悪いです」
匠「何を言っているのですか?チャンスですよ。
ここはなんとしても「関ドラ」に食いついていって、
久しぶりの上位入賞を狙ってください!」
・・というやりとりがあった。その大会での「浪わ」の結果は
4位だったが、まあ健闘したと言えよう。
本大会では、残念ながら戦績は振るわず。それでもB決勝に
進出できたが、3位で賞品は無し(B決勝は1位のみ賞品がある)

こちらも各大会でお馴染みのチーム、今回は混合の部に
「Team BANANA 紅葉」「Team BANANA 淡海」のダブルエントリー、
「BANANA」が10人漕ぎ大会にダブルエントリーする事は非常に
多い、そして、その際につけるサブチーム名は、いつもかなり
工夫されていて、ネーミングセンスがとても良いと思う。
3~4年前頃、なかなか好調な時期があったのだが、近年は
チーム再編期にあたっているのか?あまり戦績が残せてない、
本大会では両チームとも残念ながら予選落ち。
でもまあ「BANANA」は、いつも、とても楽しそうに
ドラゴンの大会に出ている。皆で楽しく漕ぐ事が主体で
あまり戦績などは意識していないのかも知れないが・・

私が「名古屋の名門」と呼んでいる強豪チーム、
結成10年ちょっとだと思うが、その間、非常に多数のドラゴン
大会に積極的に参戦し、優勝・入賞は多数。
特に私が評価するのは、決勝進出率が異様に高い事だ、
およそ殆どの大会(選手権クラスの大会ですら)、いつも
決勝に居る。
「琵琶ドラ」(琵琶湖ドラゴンボートクラブ)や、
「Rスポーツマンクラブ」等と並んで、レースの戦略が
非常に上手いチームだ。つまり、メンバー構成とか、そのレース
での組み合わせ等、様々な情報を元に、勝ち上がる為の
最適の戦略を組んでくる、その結果として各レースでの勝率が
高く、最終的に決勝進出率も高くなるのだと思われる。
本大会は予選で(奥に見えるピンクの)「小寺製作所」に
破れて2位、敗者復活戦に回る事となった。
「東海龍舟」の実力であれば、準決勝進出は確実と思われたが
何と、そのレースで「東海龍舟」はスピン!
これは珍しい事、・・と言うか、かつて彼らがそういうミスを
したのを1度も見た事が無い。
雨が強い時間帯だったので、舵かパドルが滑る等の操船ミス
だったかも知れない、まあ単なるアクシデントとは思うが、
その不運で、今回は敗者復活戦で無念の敗退だ。
だがまあ、名門「東海龍舟」だ、また来年のシーズンでは
各大会で存分に暴れまわっていただきたい。
なお、「東海龍舟」は台風が近づく直前の昼頃に会場を
撤収して行った。これはある意味ラッキーだったかも知れず
もう少し後の時間帯では、台風と競争しながら車で名古屋に
帰らざるを得ず、ちょっと辛いタイミングであっただろう。
(他に東海地区から参戦の「海猿火組」「FULL AHEAD」
「中電龍舟」「闘龍者」は、いずれも帰るのが大変そうで
あった。ちなみに東京組は夜の新幹線、九州組は1泊して
帰るとの事で、いずれも問題無しであろう)

選手達は、皆それぞれウインドブレーカー等の防寒着を
着こんでいる、カラフルに見えて写真的には良いのだが、
遠目では、どのチームだか見分けがつかない。
チームによっては、レース中、艇に乗る際に全員ユニフォーム
としている所もあるが、多くは防寒着を着たままだ。
そして、ユニフォームのチームには、さらなる試練が・・

未「ともかく寒いです~」
と皆、ガタガタに震えていた。
予選で濡れたユニフォームを着替える暇もなく、加えて
風が出てきている、体感温度は相当に低いであろう。
まあそもそも10月末だ、そろそろボート競技には限界の
季節である。

飲食を提供する店舗もあるのだが、今日は寒いから、
選手達は皆、暖かい食べ物を求め、朝から晩までいつでも
長蛇の列の状態であった。
私も普段の本大会では、おなかがすくと、この売店で良く
買い食いをするのだが、今日は気温が低く、あまり食欲も無い、
それにこの混雑だ、珍しく「間食は無し」であった。
今日の気温だが、最高気温が17℃位、ただし雨風があるので
体感的には、もっとずっと低いであろう。
2週間前の静岡の「ツナカップ大会」では、28℃位の「夏日」
であったので、ツナカップに出場した選手達は
選「わずか2週間で、ずいぶん寒くなりましたねえ」
と言っていた。

「関西龍舟」は、今回もダブルエントリー。
今年はダブルエントリーでの1、2フィニッシュが
何と2度もある(堺泉北、びわこペーロン)
今回もまたワンツーが実現すれば、それこそ前人未到だ。
今のところ調子が良い。「シンバ」「バーバリアンズ」ともに
決勝まではいけるであろう。
なお、旧来「関西龍舟」は、本大会と同一日開催の多い
九州の「根占(ねじめ)大会」に参戦する事が多く、
本大会ではあまり多くの優勝実績は無いが、それでも
昨年は「シンバ」で優勝している。
今年も、最初から本大会に参戦する事にはなっていた模様だが、
「根占大会」は、今日は台風襲来で残念ながら中止になって
しまっていた様子である。

物騒な名前だが、美人選手を多く含む混成チームだ。
昨年の本大会で初結成、その際は「関西龍舟シンバ」に
次いで混合の部で見事準優勝だ。
パンフレットのチーム紹介欄には「初心者チームです」
と書いてあったが、それはフェイクだ(!)
・・私は知っている、彼ら彼女らは、東京地区を中心とした
現在はあまり活動していない、いくつかの超強豪チームの
メンバーであった。おそらく、ほぼ全員が日本選手権クラスの
メジャー大会で決勝進出して入賞あるいは優勝したチームの
漕手としての輝かしい経験を持っているエリートパドラーだ。
今回も勿論、最大のダークホースだ、「あまり聞かない」と
気を抜いていると、強豪チームですらもやられてしまう。
事実、昨年は「海猿火組」「すいすい丸」「琵琶ドラ」と
いった強豪チームを破っているのだ。

1レーンの「東京龍舟」が速い。
3レーンの「琵琶湖ドラゴンボートクラブ」(滋賀)も先行し、
「東ドラ」と同じ位だ。
(注:「琵琶ドラ」はダブルエントリー、結果、こちらの
チームが決勝進出となっている)
2レーンは「すいすい丸 トレイン」(京都)だが、
やや出遅れてしまっている、決勝進出は微妙なところだ。
「すいすい丸」と言えば、彼らが京都宇治川に係留して
いる所有艇は大丈夫だったのだろうか?宇治川も台風で
「天ヶ瀬ダム」が全開放流、増水して危険水量となっていたのだ。
が、その件は、ちょっと聞きそびれてしまった・・
「すいすい丸」の近年のライバルの「吹田龍舟倶楽部」(大阪)
は4レーン、こちらもちょっと決勝進出には届かないか・・
この混合準決勝のあたり(午後2時前後)では、台風による
風が止んで無風状態だ。
これ以前の午前中では、北風(レースに対して追い風)、
これ以降の時間帯では、南風(向かい風)となっていた。
なお、このような台風による風の変化を屋外で体験したのは
初めてだった。
なかなか参考になる。今回は結局、比較的安全な状況では
あったのだが、もしもっと近距離で台風に遭遇した際など
風向・風速の動きを見て、避難行動を考える事が出来るかも
知れないという事だ。
----
さて、準決勝も終わり、決勝進出チームが出揃った。
決勝のレーン順に紹介しよう。
1:東京龍舟
2:関西龍舟シンバ
3:琵琶湖ドラゴンボートクラブ
4:暴漕連合
5:関西龍舟バーバリアンズ
注目点は色々あるが、決勝の模様は後述する。
ここからは、「選手権 女子の部」の紹介をして行こう。

今年で結成23年目となる、大ベテラン女子チーム。
ホーム大会は「びわこペーロン」であり、これは「Spirits Club」
の出来た年より僅かに早く始まっている大会だが、「女子の部」
が出来てから参戦を始めたという事で、すなわち「皆勤賞」だ。
この為、昨年だったか、本大会の最中に、その件で表彰された
事がある。
匠「なんで本大会で”びわペー”の表彰がされたのですか?」
S「さあ・・(?) でもまあ、皆勤賞なのです」
匠「そうみたいですね・・ で、いつも同じ会場の場所に
テントを張ってますね、そこに行けば「Spirits」さんが居る」
S「あはは、そうです、毎年同じ場所です」
匠「今日は1つ上の順位を狙っていきましょうね」
S「そうですね、なんとか”びわにゃん”さんについていって
準優勝したいです」
その「びわにゃん」だが、地元強豪「琵琶ドラ」の女子チームだ、
各大会で優勝経験が多数の女子強豪チームだ。
昨年本大会は「びわにゃん」は女子の部には不参加であったが、
「東京龍舟プラチナ」が優勝、「Spirits Club」は3位だった。
今年2017年の「びわこペーロン」では、女子の部で「びわにゃん」
が優勝、2位が「SCB」(吹田龍舟 Cool Beauty)そして
3位が「Spirits Club」であった。
「Spirits Club」としては3位続きだ、やはり準優勝を狙いたい
ところであろう。

滋賀の強豪「小寺製作所」は、女子チームを編成するのが
念願であった。8人漕ぎまでであればなんとか編成可能で、
「東近江ドラゴンカヌー大会」では、女子の部で3連覇している。
が、10人漕ぎだと、ちょっとメンバーが足りない。
そこで、今年はドラゴン等の女子の部に出場の際は、
コラボチームとする事にしている模様だ、「びわこペーロン」
では新鋭チーム「からしれんこん」とのコラボ。
そして本大会では「GPO」とのコラボ編成チームだ。
「小寺製作所」は、今回3チームをエントリーの最大勢力だ。
混合の部は準決勝まで進んだところで、なんと決勝進出の
チームが出揃う「事実上の決勝戦」に当たってしまい、
やむなくそこで敗退だ。
ここは残った女子チームが頑張らなくてはならない。
ライバルは「びわにゃん」ではあるが、そこに勝つのは
やや難しそうだ、すると、直接対決の相手は「Spirits Club」
と言う事になるのであろうか?
なお、女子のレースは、2回戦合計タイム(ポイント)制で
ある。このレースフローは順位をひっくり返すのもまた難しく
だいたい1回戦と2回戦では同じ結果となる。
さて、女子の部の2回戦だ。

こちらがリードだが、ただし「選手権の部」では、海外チームの
順位はカウントしない決まりだ。
結果、2回戦合計ポイントは以下の順位となった
番外:HORIZON CANADA(実質優勝)
1位:びわにゃん
2位:小寺製作所GP
3位:Spirits Club
なお、番外の「HORIZON」には、特別表彰が準備されている。

ちなみに、この青い旗はケベック州の「州旗」である。
カナダの国旗(The Maple Leaf Flag=赤白赤の配色に、
真ん中に赤のメイプル(かえで)のデザイン)とは異なる。
ケベック州は、フランス語が公用語であったり、カナダ全体
とはちょっと独立した意識が強いのかも知れない。
---
さて、以下は、お待ちかねの「選手権 混合の部」の
決勝戦の模様だ。決勝進出チームをレーン順に再掲する。
1:東京龍舟
2:関西龍舟シンバ
3:琵琶湖ドラゴンボートクラブ
4:暴漕連合
5:関西龍舟バーバリアンズ
1レーン「東京龍舟」であるが、今回は2チームにエントリー
を絞った(昨年は3チーム)効果なのか、いずれのチームも
好調である、次回記事で紹介するが、オープンの部の
「東京龍舟ワイルド」も決勝進出しており、あわよくば
両カテゴリーでのダブル優勝を狙っていきたいところだ。
2,5レーンの「関西龍舟シンバ」「関西龍舟バーバリアンズ」
は両チームとも無事決勝進出、準決勝第2組で、両チームが
当たった時は潰し合いになるかと心配したが、タイム順で
なんとか決勝進出だ。
7年前、2010年の「日本選手権」での両チームの、ワンツー
フィニッシュは見事なものであったが、それからしばらく
「関西龍舟」は、メンバーの改編期を向かえ、優勝は毎年
継続していたものの、2チームともに活躍するケースは
あまり見かけなかった。だが、今年、ついに両チームは
同等の実力値を見せるまでに成長し、6月の堺泉北、
8月のびわこペーロンで、見事に年間2回のワンツーを
実現している。このまま前人未到の年3回のワンツーが
炸裂するか? それとも他チームがそれを阻止するか、
そのあたりが見所である。
3レーン「琵琶ドラ」は、ダブルエントリ-であったが
兄弟チーム「琵琶ドラ プレミアム」の方は、
事実上の決勝戦と思われた準決勝第2レースで破れて
しまっている。
しかし、「琵琶ドラ」が生き残っている。
少し前述したが「琵琶ドラ」のこうしたレース戦略は見事だ。
これはまるで戦国時代の「真田家」が、「関が原」の戦いで
東軍西軍に別れ、東西どちらが勝っても「真田家」は残せる、
という戦略のようだ。
準決勝で負けた「琵琶ドラ プレミアム」の為にも、そして
地元滋賀で唯一混合決勝に残れたチームであるという意味では
地元の最後の砦だ、どうしてもここで入賞を果たしておきたい。
5レーン「暴漕連合」は、前述のように「エリート選手」の
コラボ編成チームだ、ここの実力値はあなどれない、
昨年準優勝、今年も文字通り「台風の目」となるのか?
最後まで目が話せない「選手権 混合の部」決勝戦となる。
「Are You Ready Attention」 「パン」
午後から、火薬ピストルを使った合図に変わっている、
珍しい措置であるが、「Go」の号令が、聞き取り難いという
話であった。
原因は恐らく2つあり、1つは台風の強風で音が伝わり難い事、
2つ目は、号令を伝えるPA(音響システム)のパワードミキサー
(アンプ内蔵型音響ミキサー)の、TRIM(入力ゲイン)の
ツマミが上がりすぎていて、「GO!」の声を強く発声した際に、
入力のオーバーロード(過負荷)でリミッター(制限機構)が
働いてしまっている等の状況であろう。
後者はツマミを調整すれば直るかも知れないが、ミキサーの
仕様によりけりで面倒臭い。
まあ、火薬ピストルの方が確実に音が伝わるだろうから、
それで問題無いであろう。
それから、厳密に言えば、スタート号令のスピーカーから、
一番遠い5レーンまでは約80mある、これは、音が伝わるのに
4分の1秒程かかる距離だ、つまり、5レーンは、ほんの
わずかに遅れてスタートの号令が聞こえる。ドラゴン艇の
最高速度は秒速約4m(200m÷50秒)であるから、1/4秒の
遅れは、1mの距離をドラゴンが進む差に相当するのだ。
しかし、これは号令地点から距離の話であり、
1レーンから5レーンまでの距離差は、これほどまでに大きくは
無い、もしそれが30m程度であれば、音の伝わる差は約1/10秒、
これだと艇の航行に影響する距離差は40cm程度だ。
だから順位戦への影響は少なく、あるとしたら「タイム」
であるが、これは音の伝播差よりも、レースコンディションの
差の方がはるかに影響が大きい。
それから、スタートの合図は音だけで判断されるわけではなく、
フラッグ(旗)の動きを見てダッシュする事も普通だ。
(注:本大会では旗は位置的には見えない)
余談が長くなった・・
さあ、艇が来た

ああ・・ しかし申し訳ない、カメラ(レンズ)がアウトだ、
雨による曇り(結露)が発生していて、殆どまるで見えない。
この写真は、編集(レタッチ)で補正しているので、なんとか
見れるが、実際に撮っている際には、暗く、コントラストが
異様に低く、くすんで見え、雨粒の影響でオートフォーカスも
合わないし精度も怪しい、マニュアルフォーカスで撮ろうにも
スクリーンも同様に曇って見えない。
残念ながら、これでは撮影はお手上げだ。
今日の大会では、雨の中の1日の撮影で、3台のカメラは
全て、びしょ濡れになっている。
選手達の多くは
選「匠さん、そのカメラ大丈夫ですか? ずぶ濡れですよ」
と、心配してくださるのだが、その都度
匠「壊れても良い古いカメラなんですよ」
と答えていた、確かに、それはその通りなのだが、かろうじて
ちゃんと動いてはいても、写真が撮れるかどうかは別問題だ。
中には、ちょっと写真に詳しい選手達も居て、カメラ自身の
心配よりも、
選「今日の天候では、写真を撮れる方が奇跡的ですね、
これはもう、無理でしょう・・」
と、言ってくださる方も居る。
まあ実際、その通りだ、今日は撮れる方がミラクルだ。
幸いにして、この天候ではアマチュアカメラマンの観客は誰も
居ない。
もし仮に居たら「外では撮らずに、室内から撮るように」と
アドバイスするつもりだったのだが、台風の中、ドラゴン見物に
来るような、そういう酔狂な人は、さすがに居なかった。
さて、決勝戦の模様だが、撮影はあきらめ、肉眼で見ていく
事にする。
「東京龍舟」がリードに見えた序盤戦だが、中盤から
大混戦となった。全レーンの艇が、ほぼ横一線、これでは
何処が勝つか全くわからない。
全艇が目前を通る瞬間、および、会場に備え付けの
「オーロラビジョン」(大型テレビ)の様子を見る限り、
先頭集団が「東ドラ」「シンバ」であり、わずかに遅れた
第二集団が「琵琶ドラ」「暴漕」「バーバリアンズ」だ。
優勝争いは微妙だ、「東ドラ」「シンバ」はそのまま
もつれるようにゴールイン、順位は不明、写真(ビデオ)判定
になるであろう。
3位争いだが、ここも不明、残りの3チームが団子状態のまま
ゴールインだが、1位2位からも僅かに遅れた程度であり、
全体が非常に僅差だ、おそらくトップからラストまで2秒も
無い事であろう、ほんの数mだけの差だ。
この時点でわかっている事は「関ドラ」の、年間3度目の
ワンツーフィニッシュは消えた、という事だけだ。
前人未到の大記録を期待したが、ちょっとさすがに厳しい。
・・しばらくして、やっと本部から正式記録のアナウンスが
あった。
決勝の最終順位をここに記載しよう、
1位:0分59秒15 東京龍舟
2位:0分59秒36 関西龍舟シンバ
3位:1分00秒86 琵琶湖ドラゴンボートクラブ
4位:1分01秒35 暴漕連合
5位:1分01秒90 関西龍舟バーバリアンズ
ここも奇しくも(普及の部)と全く同じく「レーン順」が
まさしく順位に等しくなった。
まさか、前述の「スタートの号令音が聞こえる距離差」が
影響しているとは思えないが(汗)ちょっと気にはなる。
まあでも、大接戦であり、観戦側としても十分にこの決勝戦
を堪能できた。
実際、ほんのちょっとしたタイム差であるから、どこが
勝ってもおかしく無いレースであったのだ。
さすが「日本選手権」だ、ここまでの白熱した決勝戦いは
他の大会では、あまりお目にかかる事は無い。
僅差で負けたチームは相当に悔しいかも知れないが、その事を
是非また来年のシーズンへ繋げていっていただきたいと思う。
観客を魅了する非常に良いレースが出来た事は、誇らしい事だ。
もし将来、ドラゴンボートがプロ化される時が来ても
こういうレースであれば、十分に観客からお金を取れると思う、
それだけ凄いレースであった訳だ。
さて、堪能したところで、本記事はこのあたりまでで、
次回後編は「選手権 オープンの部」の模様を伝えて
行くことにしよう。