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銀塩一眼レフ・クラッシックス(1)CANON F-1

さて、新シリーズの開始である。
本シリーズでは、現在所有している銀塩(フィルム)35mm判
一眼レフを世代別に紹介する。
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まず銀塩一眼レフの「世代」の定義を決めよう。

黎明期:1950年代~1960年代前半
 露出計無しの機械式一眼レフの時代

第一世代:1964年~1971年
 露出計を内蔵した時代、PENTAX SP(1964)を開始とする

第二世代:1971年~1984年
 自動露出(AE)の時代、PENTAX ES(1971)を開始とする

第三世代:1985年~1999年
 AF(オートフォーカス)の時代、MINOLTA α-7000(1985)を
 開始とする

第四世代:2000年~2004年
 銀塩末期で、趣味性の強い一眼レフが発売された時代

この世代分類は、本シリーズ記事オリジナルなものであり、
世間一般的にこのように定義されている訳では無い。

これらの世代区分に沿って、順次、銀塩一眼レフを紹介して
いくが、残念ながらデジタル移行期の2000年代に多くの
銀塩一眼レフを譲渡または売却してしまった為、
私が現有している銀塩一眼レフの数は、さほど多くない。

ただし残ったものは歴史的価値が高い、又は個性的なカメラ
ばかりであり、全て現在でも完動している。

シリーズ第1回目記事は、CANON F-1(1971年)を紹介する。
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なお、厳密に言うと本機は後期型のF-1Nであるが、
本記事の時代背景は、初期型発売時の1971年を考慮する。

CANON F-1はMF機械式一眼レフであり、
当時のFDマウント銀塩一眼レフのフラッグシップ機である、
すなわち最高級機であり、発売時定価は10万円であった。
(FD50mm/f1.4レンズ付き)

1971年というと大阪万博の翌年で、アポロ11号が月に降り立った
2年後である、当時の物価は大卒公務員初任給が4万円位、
外食でのラーメンやコーヒーが100円台前半という時代であり
およそ現代の5分の1程度の貨幣価値だ。

つまり、その当時のF-1の10万円は現在での50万円程度に
相当すると思われる。

余談だが、この年1971年、日清食品より「カップヌードル」が
新発売されている。
そのカップヌードルの価格は100円で、現在の価値で言うと
500円程度となり、かなり高価だったとは思うが、それでも
ヒット商品となり、現代まで50年近くも販売が継続されている。

さて、レンズだが、当時F-1とセットで販売された、
CANON FD 50mm/f1.4を装着している。
(ミラーレス・マニアックス第12回記事)

しかしながら今更フィルムを入れて撮るというのもコスト面や
デジタル化等の利便性で現実的では無い。さらに言えば、
銀塩一眼レフでは、レンズ、フィルム、露出の条件が全て同じ
ならば、カメラ本体は何であっても写真の写りは同じなのだ。

そこで、本シリーズ記事では、レンズ実写には「シミュレーター」
として、主に現代(2010年代)のデジタル一眼レフ又はミラーレス
機を用いる事にする。

本レンズで撮影した「雰囲気」を味わう為、シミュレーター機
としてSONY α7(フルサイズ・ミラーレス機)を使ってみよう。
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以下、本シミュレーターで撮影した写真を交えながら記事を
進めるが、他シリーズ同様に、記事の内容と写真の内容は
直接の関係は無い。

また、ここでは当時のフィルム環境も考慮しなければならない。
カラーフィルムは1960年代から発売が開始されたが、1970年頃
では、まだ一般的では無い。
当時のフィルム価格だが、36枚撮りの白黒フィルムが200円前後、
カラーフィルムは1970年代前半で500円程度(現在の価値で
2500円以上)であったと聞く(勿論、これ以外に現像代が加わる)
全体的に高価であるのは確かだが、このCANON F-1の時代では、
若干安価なモノクロ写真がまだ優勢で、カラー写真が一般に
普及したのは1970年代後半からと思われる。

今回のシミュレーション撮影ではモノクロ撮影を基本としよう。
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なお、1970年代の撮影技法も、また現代とは異なっている。
具体的には、フィルム感度とカメラの性能制限が大きい。

当時のフィルム感度は、概ねASA(ISO)100が基本であろう、
であれば、天候による絞り値やシャッター速度の設定は
以下の通りだ。

快晴時=1/125秒、絞りf16
晴天時=1/125秒、絞りf11
曇天時=1/125秒、絞りf5.6~f8

これは露出計非内蔵コンパクト機等での露出設定技法だが、
CANON F-1は一眼レフで、最高1/2000秒シャッターが使える。

ただし最速の1/2000秒は精度が出ている保証が無いのと、
撮影時には余裕を持たせる為、概ね1/500秒~1/1000秒を
上限とするのが基本であろう、例えば1/500秒を基準とした
場合、露出は以下のようになる。

快晴時=1/500秒、絞りf8
晴天時=1/500秒、絞りf5.6
曇天時=1/500秒、絞りf2.8~f4

「被写界深度がずいぶん変化する」等の野暮な事は言うまい、
1970年代の撮影技法では被写界深度に配慮できる撮影者は、
ごくごく一部であり、まずは露出を合わせる事が最優先であり、
加えてピントだ。
つまり「ちゃんと写真として写る」ことを優先した時代だ。
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勿論、フィルムなので撮影後に現像するまで、どう写っている
かはわからない。だからボケ量、ボケ質がどうのこうの、など
という高度な話は一般ユーザーには無縁だ。

おまけに上の露出値を見てもらえばわかるように、基本的に
日中晴天時等では、レンズの絞りを開ける事はできない。
例えば快晴時のケースでASA(ISO)100フィルムであれば、
CANON F-1の1/2000秒の最高シャッター速度を使ったとしても、
絞りをf4までしか開く事ができず、それ以上(小さい絞り値)は
シャッター速度が足りず、露出オーバーとなってしまい、
被写界深度が浅い写真を撮りたくても撮れない状況なのだ。

まあ、NDフィルター+低感度フィルムで、f1.4開放までも
晴天時で使えるが、そういう手法は当時は一般的では無いで
あろう。

今回のシミュレーション撮影では、α7は低感度ISO50が使え、
シャッター速度は最高1/8000秒、おまけにND4フィルターまで
装着しているので、自由に絞り値を決める事ができるのだが、
この当時の撮影技法を鑑みて、あえてf5.6~f11の範囲にのみ
絞り値を限定した撮り方を行っている。
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しかしながらf8前後での撮影は中遠距離の被写体をごく普通に
撮る事がメインとなる、しかも当時のフィルムや現像のコスト
高を考えると、そう安易に様々な被写体で沢山シャッターを
切る事はできない。

当時、写真を1枚写すという事は、決意を持って行う作業だ。
いわゆるハレの日(記念日、冠婚葬祭、イベント等)での
人物記念写真か、あるいは旅行での風景写真のようになって
しまうのは、当時の状況ではやむを得ないであろう。

まあ、今回もそういう視点で、あえて「修学旅行的」な
撮影技法を用いている、つまり京都や奈良に出かけて、
名所や寺社などを普通に撮るという感じだ。

きっと1970年代の旅行であれば、数日間でフィルム1本程度
撮れば良い方であろうと思う。

これが1970年代の写真撮影の世界であろう、F-1は高価なカメラ
だとは言っても、カメラの力で優れた写真が撮れる訳でも無い、
あくまで撮る側のスキルの問題であろうし、職業写真家でも
無い限り、当時の一般ユーザーの写真撮影に対する技能や
感覚は、まだまだ未成熟な時代だったと思われる。

さて、前置きが長くなったが、CANON F-1の基本性能である。
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まず、最高級機である所以だが、
当時の殆どの一眼レフは、最高シャッター速度が速くても
1/1000秒止まりである、1/2000秒を実現していた機種は
一般的には本機F-1と、及び同年の1971年に発売された、
NIKON F2(フォトミック)位だったのではなかろうか?
しかし、いずれも高価なカメラだ、世間一般的にはPENTAX SP
あたりの1/1000秒機しか普及していなかったと思う。

また、本機F-1はファインダー交換が出来る構造になっている。
この仕様もまた、当時の最高級機(旗艦)の条件であろう。
露出計を本体内に内蔵している為、EE(露出)表示が可能な
ファインダーを用いれば、○印のついた棒(針)が合致する
「追針式」スタイルで露出値を確認する事ができる。
(注:露出計表示の無い交換ファインダーもあった)

また交換ファインダー以外に、モータードライブや外付け
フラッシュ等、都合100種類以上にもおよぶアクセサリーによる
システム拡張性も、本機が業務用の最高機種である理由だ。

内蔵露出計を利用する際には、ASA(ISO)感度を設定する必要が
あるが、シャッターダイヤル部にその機能がある。
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これは、シャッターダイヤルを持ち上げて変更するが
やや煩雑な操作性だ、なお、1970年代のフィルムは多くが
ASA100だったと思うが、後年、私が本機を用いていた1990年代
にはISOは100以外にも200や400も一般的であった為、
フィルム交換時のASAの設定忘れ(撮影の露出が変わってしまう)
には、十分に注意しなければならなかった。

特に、日中ISO100のフィルムを使用していて、夕方になってから、
フィルム交換をしてISO400に変更する場合等は要注意だ。
感度の変更を忘れてASA100の設定のままで撮ると2段も露出
オーバーとなる(現代のデジカメで+2の露出補正を行っている
状態と同じ)
ただ、ネガフィルムのラティチュード(露出差の許容範囲)は
かなり広く、+1段程度であれば何ら問題は無かったので、
感度間違いでもフィルム全滅という事態にはならない。

なお、当時のフィルム感度は、ASA(アメリカ規格)表記で
あったが、1980年代にISO(国際規格)に改められた。
しかし、ASAとISOの感度表記は両者同じ数値なので、大きな
混乱は無かったと思われる。
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CANON F-1のその他の特徴であるが、
まず、ファインダーの見えはなかなか良い、
スクリーンは色々と交換可能であるが、標準的なタイプでは
中央部は、円形のマイクロプリズム、その外側が円形の
マット面、さらに外が、やや暗い長方形のマット面で、
この長方形部分が測光範囲となる。この測光部の光を
露出計(CdSセル)で利用する為、若干暗くなる訳だ。
標準タイプのスクリーンにおいては、スプリット・イメージは
搭載されていない。

スプリット・イメージは、この時代の一眼レフでは良く採用
されていたが、横位置、縦位置と、カメラの構えを変えると
被写体によっては、ズレが見え難い(ピントが合わせ難い)
まあ、この時代の殆どのユーザーは、カメラを横位置でしか
構えられなかったので、水平スプリットが一般的だったと思う。

横位置でしか撮れない理由は2つあり、1つは三脚を使う事が
必須であったからだ。これは初級中級者では露出の原理や
手ブレ限界がわかっておらず、高価なフィルムを、手ブレで
無駄にしてしまう事への対抗措置であろう。
加えて、カメラを縦位置で構える事は、技量が必要なので
当時のビギナー層では無理であったと思われる。
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関連した余談だがMINOLTA SR-T101(1966)では、世界初の
分割測光を、上下に並べた2つのCdSセル(受光素子)により
実現したが、あくまでこれも横位置でカメラを構えた際にのみ
有効な機能であった。

つまり例えば、屋外で背景が明るい青空が上部にあって
下部に人間が居るなどの被写体状況を想定し、上下の受光素子
の露出差を考慮して露出値を決定する仕組みだ。
まあ、縦位置でカメラを構える技法は、この時点(時代)では、
あまり考慮されていなかったと言える。

私は、後継機SR-T Super(1973) は所有していた、これも、
同様の2分割のCLC測光タイプであり、これの露出値は良く合った
のが印象的だ。そして、この露出計構造が分かっていたので、
縦位置では、あえて、あまり撮らなかった。

それからAF初期のカメラでは多点測距機能を搭載した機種でも、
横一列に3点あるいは5点のAF測距点があるだけで、これらも
縦位置撮影を、あまり考慮していなかった。

なお、後年のMF一眼レフでは、縦位置でも横位置でも有効な
ように「斜スプリットイメージ」を採用した機種もあったし、
後年のAF一眼レフでの多点測距は、横一列という状態では
なくなり、十字等に測距点が配置されている。
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余談が長くなった。CANON F-1のファインダーの話に戻ろう。
スクリーンの構成上、そして受光素子の配置構造上、
マイクロプリズム配置等がごちゃごちゃしている印象があるが、
MFでピントを合わせる上では過不足は無く、まあまあ優秀だ。

なおF-1の後継機New F-1ではスクリーン交換で測光パターンが
変わるものの、マット配置と測光部との直接的な関係が無く、
私は見やすい全面マットのスクリーンに交換していた。

ファインダー内には前述の追針式露出計の他、シャッター速度が
機械的に表示される。
シャッター速度表示は通常緑色だが、1/60秒のみ橙色の文字
となる、これはシンクロ速度(フラッシュ同調速度)である。
加えて、1/8秒以下のシャッター速度になると露出計の
背景が白から赤色に変わる、これは手ブレ警告と思われるが、
これらは全て機械式の表示であり、電気的な機構では無い。

なお、これらの表示は、ファインダーを斜めから覗くと
見えにくくなるのがちょっとした弱点だ。
同様に、アイポイントも長く無いため、ファインダーに
べったりと張り付いて視野を見る必要があり(私は眼鏡を
使用していないが)眼鏡使用ユーザーではファインダー全体を
見渡す事が若干苦しいかも知れない。

また、視度補正機能等は、この当時の一眼レフなので当然搭載
されておらず、ファインダーアイピース部に円形の視度補正
レンズ(別売)をねじ込む必要がある。

それと、露出計表示は電池(MR9/HD型)を必要とするが、
MRの型番通り、これは水銀電池だ(MはマーキュリーのM)
水銀電池は危険性がある為、1980~1990年代に禁止
(製造中止)されてしまったので、現在では入手不能だ。

これについては、専用のMR9アダプターを使用するか、
または形状互換性のあるアルカリ電池を用いる。

なお、水銀電池の1.55vとは異なる電圧(例、1.35v)でも
本機F-1の露出計は動作するが、露出値が僅かに異なってしまう。
しかも、リニア(直線的)に常に露出値が一定値だけ低いとか
であれば対応は容易だが、そう単純な話では無くズレが生じる。
まあでも、ネガフィルムであれば、これくらい(±1段程度)
の露出誤差は許容範囲であろう。

なお、F-1は電池を入れずとも露出計以外は全て動作する為、
(すなわち、シャッターを切れるし、フィルムも送れるし、
写真が普通に撮れる、という意味)
マニアであれば、外部露出計を使ったり、当時の写真撮影の
雰囲気を味わう為に、カン(経験)による露出値を採用して
露出計なしで撮るのも楽しいかも知れない。
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シャッターフィールは高速で、悪くない。
以降の時代のAF一眼レフでは半押し動作等でシャッターの
レリーズがもたつく感覚があるが、この当時の機械(メカ)式
シャッターならではの、ダイレクトに切れる感触だ。
レリーズ・タイムラグの時間は非公開であるが、かなり速いと
思われ、全一眼レフ中トップクラスであろう。

で、私の場合、メカシャッター機ではソフトシャッターレリーズ
の補助部品をシャッターボタンにねじ込んで使う事が多い。
これは、あまりにシャッターの「直結感」が強いと、むしろ
撮影時に誤ってシャッターを切ってしまわないか等の心理的な
不安要素があるので、それを防ぐ為の措置だ。
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シャッター構造はチタン合金製の薄幕フォーカルプレーンで
当時としては贅沢な作りであったと思われる。
ただし、この時代のメカ式シャッターでは、高速時には
精度が出ていない可能性も高い(遅くなる)し、経年劣化も
あるだろうから過剰な信頼は禁物だ。

巻き上げだが、ちょっと変遷がある。
F-1には、前期型と後期型があり、概ね後期型は、F-1の
5年後の1976年からの発売だ(本機は後期型である)

後期型でも公式な型番はF-1と変わらず、マニアや中古市場では
個体識別の為、F-1N、F-1改、F-1後期等と呼ばれている。

前期型では、巻き上げレバーは180度廻さなくてはならず
これは角度が大きすぎて、ちょっと面倒であった。
後期型では、これが139度と小さくなって廻しやすい。
(なお、巻き上げ予備角も変更されている)

しかし、前期型でも「分割巻上げ」が可能であるので、
実用上での重欠点という程では無いであろう。

その他、後期型では小改良点が色々あるのだが、前期型は
私は所有していない為、細かい比較をするのが困難であるので、
これ以上の説明や検証は省略する。

F-1の弱点だが、まず重さである。
本体のみで820g、標準レンズFD50/1.4を装着した際の重量は、
1.2kgオーバーともなる。

実使用上では、かなり重たく感じる他、大型のレンズ(望遠や
大口径など)を装着する気には、あまりなれない。

もっとも、この重量は近年のCANON EOS 7D(2009年、
デジタル一眼レフ・クラッシックス第10回記事)と同じである、
その機種も私は重く感じるので、個人的な感覚では700g台
あたりに一眼レフの重さの判断基準があるのかも知れない・・
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その他の弱点だが、外付けのフラッシュを使用する際は、
専用のアダプター(カプラー)をフィルム巻き戻しクランクの
所に装着する。すなわちペンタプリズム上にアクセサリー
シューが存在していないのだ。
これでは中央から光が当たらない他、フィルム交換のたびに
いったんフラッシュ(アダプター)を外さなくてはならない。
まあ、アダプターは一応別途入手したのだが、面倒なので
本機F-1で外付けフラッシュを使う事はまず無かった。

なお、現代で本機を入手したとしても、アクセサリー類の
入手は極めて困難であろう、あったとしてもマニア向けで
高価となったりするので(例:交換スクリーンが1~2万円!等)
それらの使用は最初から諦めておいた方が良いと思う。

さて、シミュレーターα7によるモノクロ撮影だが、そろそろ
「修学旅行撮り」にも飽きてきた。

加えて、α7の問題だが、 FD50mm/f1.4レンズを使うと、
大きな「ゴースト」が発生する。
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(上写真が、上部にゴーストが発生した例)

α7は、他のレンズを使用時にもゴーストが頻発して鬱陶しいので、
ここでシミュレーターとしているカメラを変更しよう。
といっても、FDマウントのレンズは、ミラーレス機でないと
使用できない(一眼レフでは、フランジバックが合わない)し、
フルサイズミラーレス機は、α7(α9)シリーズの他は無いので
APS-Cミラーレス機であるFUJIFILM X-T1(2014年)を使用しよう。
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APS-C機なのでFD50mm/f1.4レンズを装着時の銀塩換算画角は
75mm相当となるが、「50mmの画角でなくてはならない」理由も
特に無いので以下はこのシステムで撮ろう。

同時に、退屈な「修学旅行撮り」は止めるが、モノクロでは
引き続き撮影する。なお、FUJIFILMのミラーレス機には、
多彩で優秀なフィルムシミュレーションモードが存在する、
そこで今回はモノクロ(ネオパンSS相当か?)に、Ye(黄色)
フィルターを装着したモ-ドでシミュレーションを行う。
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なお、現物のYeフィルターを装着して撮るのもマニアックで
楽しいが、カラー写真を簡単には撮れなくなるので、今回は
それは行っていない。

なお、X-T1で撮影するとFD50mm/f1.4レンズにおける
ゴーストは殆ど目立たず、結局、現代のフルサイズ機α7に
無理にオールドレンズを装着した為の問題なのだろう。
(テレセントリックな光学特性では無い、など)

余談だが、今回のシリーズ記事では1971年製の本機F-1
から始まっているが、本来であれば、これ以前の時代の
一眼レフから時代を追って説明していけば、より一眼レフの
進歩が明確化された事であろう。私もこれ以前の「黎明期」
の一眼レフは何台か所有していたのであるが、前述のように
デジタル移行期の2000年代で全て処分してしまっていた。

さすがに、これ以前の時代のカメラはデジタル時代においては
実用的価値はゼロであり、「歴史の証人」として飾っておく
くらいしか用途が無い。まあ、今から思い返せば、そうしても
良かったのかも知れないが、あまりに多数のカメラを置く
(保管する)場所が無いという現実的な問題もあるのだ。

まあ、そこらへんに放り出しておけば場所はなんとかなるかも
知れないが、一応いつでも使えるようにする為、防湿庫または
防湿財を入れた保管ケースなどで安全に管理する必要がある。

・・という訳で、いきなりF-1からのシリーズ記事スタートと
なったのだが、まあ、最も古い銀塩一眼レフの旗艦として、
価値がある機体であると思う。
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さて、そういう事で、最後にF-1の総合評価を行ってみる。

評価項目は10項目、過去シリーズでの「デジタル一眼レフ
クラッシックス」と類似の項目だが、銀塩カメラ用に若干
評価項目を変えている。

【基本・付加性能】は、最高シャッター速度、システム拡張
性等の汎用性。そして後の時代のAFカメラでは連写性能や
AF測点数等の性能も含まれる。
なお、若干だが、発売時の技術水準を考慮しているので、
後年のカメラの方が常に高得点であるという訳でも無い。

【操作性・操作系】は、ボタン・ダイヤル類の種類や配置や
その操作のしやすさなどの「操作性」を評価するが、後年の
機種ではメニュー操作や必要な設定操作での有機的な連携等、
「操作系」と呼ばれる、UI設計全般の良否を示す。

【ファインダー】は、MF機においては、実用的にピント合わせ
が可能かどうか?そしてファインダーやスクリーンが交換可能
かどうか。また、後年の機種も含め、ファインダー内部での
各種撮影情報の表示機能等を示す。

【感触性能全般】は、巻き上げ感触、シャッター音、
シャッターのレリーズ感、フィルム巻き戻し感触など、
カメラを感覚的に気持ちよく使えるかどうかを示す。
なお、ファインダー性能は、上の項目で別途評価する。

【質感・高級感】は、カメラ全般の作り(外装、接合部)の
仕上げや精密感などを示す。ファインダー等交換部品などでも、
それがぴったりと嵌るか、なども評価対象となる。

【マニアック度】は、一般に注目されているかどうか?という
点が主だが、唯一の特殊な構造であったり、中古でのレア度も
含まれる。

【エンジョイ度】は、そのカメラ独自の特徴的な機能を使って
撮影時にどれだけ楽しめるか?気持ち良く撮影できるか?
という要素を示す。

【購入時コスパ】は説明する必要も無いであろう、ただし時代
や発売後の経過年月によってもカメラの価格は変化するので
私が購入時の状況を考慮している。

【完成度(当時)】当時における仕様や性能的な面のみならず、
耐久性や信頼性という要素も含める。

【歴史的価値】勿論、時代背景を考慮するが、実験的機種で
ある場合もあり、実際に市場に与えたインパクト等も含む。
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CANON F-1 (1971年)

【基本・付加性能】★★★★
【操作性・操作系】★★★
【ファインダー 】★★★☆
【感触性能全般 】★★★
【質感・高級感 】★★★★
【マニアック度 】★★★★
【エンジョイ度 】★★☆
【購入時コスパ 】★★☆ (中古購入価格:60,000円)
【完成度(当時)】★★★★
【歴史的価値  】★★★★☆
★は1点、☆は0.5点 5点満点
----
【総合点(平均)】3.5点

全体に良い評価点となった。

キヤノン初の業務用最高機種であり、気合の入った設計だ。
当時の一眼としては最高性能に近く、また全体の完成度も高い、
加えて、実用的な意味でも、歴史的価値が極めて高い。

キヤノン自身も発売時に「10年間はモデルチェンジしない」
と、その完成度の高さを自負する要素もあり、事実、1981年の
後継機New F-1の発売まで、その公約は守られた。

弱点は、重さなど色々あるが、まあ、許容範囲だと思われる。

購入価格が若干高かったのであるが、これは1990年代に
購入したのでやむを得ない。当時は「第一次中古カメラブーム」
の時代なので、F-1は発売後四半世紀を越えてなお現役で使える
フラッグシップとして依然人気であったのだ。コスパの減点は
最小限としておこう。
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歴史的な名機であり、マニア必携のカメラではあるが、
入手するならば、若干完成度の高い後期型が良いであろう。

なお、現代での中古相場は、概ね2~4万円(程度によりけり)と
思われる。他の銀塩一眼普及機よりヒトケタ(10倍以上)高い
相場なので、あまり「遊び」感覚では買えない値段だ。

次回記事では、引き続き第一世代の銀塩一眼レフを紹介する。


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