
行われた「第14回KIX国際交流ドラゴンボート大会」の模様より。
今回後編では、20人漕ぎ混合の部、20人漕ぎオープンの部の
成績について述べていく事にしよう。

知られる本大会であるが、準決勝から決勝ともなれば、とたんに
競技志向の高い大会に変貌するのも本大会の特徴である。
ただ、今年に関して言えば、若干例年とは傾向が異なっている。
というのも、準決勝に地元ビギナーチームが結構残っているのだ。
具体的にそれを上げると、まず混合の部では、以下の「非専業
チーム」が準決勝に残っている。
・大阪魂 はなてぃ色
・こだま号
・TAKENAKA 竹の子B
・大阪魂 小麦色 チームおりはし
・大阪魂 小麦色 チームアンドリュー
混合の部準決勝進出は15チーム、うち10チームは勿論ドラゴン専業
チームおよび海外チームであるが、5チーム、1/3が非専業という
のは珍しい。
特筆すべきは、大阪市役所の「大阪魂」4チーム中、3チームまでが
準決勝に残っている事だ。
とは言え、「大阪魂」は2015年の本大会から参戦を始めてすでに
3年目であり、かつ本大会以外にも「堺泉北大会」にも参戦している
よって、多い選手では、4~5回の大会参戦経験がある為、やはり
その点で、他のビギナーチームに対して1日の長があるのだろう。
ちなみにオープンの部では、準決勝進出10チーム中、非専業チーム
は、前編で紹介した「KIAS消防チーム」だけであった。
体格が良いのが幸いして、他のビギナーチームより速かったという
事だと思う。
期待された「竹中工務店」は、今年は僅差で予選敗退だ。

順位が変わってくる、具体的には混合の部は各準決勝の1位+
2位の中で速い2チームとなり、よって、3位になった瞬間にNR
(ノーリターン=敗退という意味)となる。
オープンの部の準決勝は2戦なので、各々の1位2位は決勝へ、
3位の中で速い方が決勝進出だ。
レースフローは大会本部前に張り出してはいるが、日本語表記
なので、海外の選手達には、わかりにくいかも知れない(上写真)

さきほどの準決勝では他チームを寄せ付けず、堂々の1位抜け

1)Standard Charted Bank Dragon Team B (香港・シンガポール)
2)Fish Eagel Dragon Boat Team(香港)
3)Cathy Pacific Dragon Boat Team B(香港)
4)あめちゃん(滋賀・愛知)
5)関西龍舟(兵庫)
海外チーム比率が高いが、2つの日本チームも負けていない、
「あめちゃん」は、滋賀の雄「琵琶湖ドラゴンボートクラブ」と
名古屋の名門「東海龍舟」のコラボチームであり、昨年の本大会
では同じチームで優勝しているのだ。
この名前の由来であるが、2012年、「琵琶ドラ」と「東海龍舟」
は、本大会で4位と5位となり、いつかコラボを組んでのリベンジを
誓っていた模様だ。その話が出たのが2013年で、その当時流行って
いたTVドラマ「あまちゃん」にちなんで、コラボチーム名を
「あめちゃん」に決定したとのこと。しかし、2013年と2014年の
本大会は台風で2年連続中止となってしまい、続く2015年はコラボが
編成できず、2016年になって、ようやく4年越しでコラボチームが
実現、そしてその年に見事優勝できたという歴史だ。
「関西龍舟」は、今年、堺泉北大会と、びわこペーロンで、驚異の
年間2大会でのワンツーフィニッシュを成し遂げた他、国内最高峰
の日本選手権大会でも3位となり、現在とても好調だ。
しかし、何故か本KIX大会ではあまり優勝に恵まれていない。
匠「関ドラ(関西龍舟の事)さん、最近、この大会で優勝した
事ってありましたっけ?」
関「優勝は勿論ありますよ~」
匠「え~と・・ 昨年が2位、一昨年が確か3位、その前2年間が
大会が中止、さらにその前、2012年位に勝ってましたっけ?」
関「??ううむ・・ 思い出せないなあ・・」
匠「そうでしょう? だから優勝するしても、5年ぶり以上になる
と思うのですよ、ここは是非頑張って下さいね」
(注:後日調べてみると、2012年に関西龍舟は優勝している)
決勝進出の残る海外3チームに関しては、各々中編で紹介している
ここでは、「キャセイB」の美人漕手だけ写真を掲載しよう。

天候(強風)は回復してレースコンディションに問題は無い、
問題は、私がこの決勝レースの順位がまったく予測できない事だ。
海外チームはそれぞれ強いが、タイムに大差があるわけでは無い。
「あめちゃん」「関ドラ」を含め、団子状態のままゴールする
可能性も高いと思っていた。
撮影ポイントはレース後半地点、ここで先に出ているチームが
優勝する事になるだろう。それにこの地点には中編で紹介した
Standard Charted Bankチームの美人カメラマンSさんが居る(笑)
彼女と一緒にレースの模様を見守っていこう。
レース中盤、予想外の状況となっている。

ところに、2レーンの「Fish Eagle」が猛烈な追い上げを見せて
いるのだ、加速の速さから考えると、恐らく「関西龍舟」を
捉えるのは確実、良くて僅差、あるいは「Fish Eagle」の逆転だ。
すると注目は3位争いだな。

faster, may be they will be passed!」
(スタンダードチームが現在リード中ですが、日本の(あめちゃん)
が速いです、このままだと日本チームが追い越すでしょう)
望遠を構えてレースを追いながら、レースの状況を、外国人
美人カメラマンSさんに英語で伝えるが、彼女からの返事は無い
目前の1レーン、自チーム「Standard Charted Bank」の撮影に
必死で聞こえていないのか、あるいは聞こえてはいるが、
「スタンダードが負ける」という私の予想に納得が行かない(汗)
といった状況であろう。
全チームがゴールした後、ようやく彼女からの英語の返事が
S「(Standardは)何位でしたかね?」
匠「わからない・・ 3位に入っているかどうか?」
S「Prize(入賞)は?」
匠「5位までなので、何位であっても貰えます」
中編でも書いたが、彼女は勝敗に拘っているのではなく、
表彰があるかどうかが気になるのだ、チームが表彰されるならば
彼女の立場として、それをちゃんと撮影しなければならない、
見たところ、カメラに熟練している感じでは無いので、撮りそびれ
は、なんとしても避けたいところだろう。
このあたりで、私は撮影地点を放棄する。ウィニングランが
あると思うので、ゴール地点より先の本部の前の方に移動する
必要があるのだ。

まだウィニングラン用のチャンピオンフラッグ(1位~3位)は
与えられていない、それは警戒艇に搭載してはあるが、大会本部
からの正式連絡待ちという感じであろう。
奥に見えるのは「あめちゃん」チーム、僅差なので現状では
順位が不明だ、望遠でズーミングすると、ちょっとがっかりした
表情が見てとれる、順位はともかく、連覇が無くなったのは
確定的だからだ。
しばらくして本部から正式順位が発表された、以下、順位と
タイムを書き出しておこう。
20人漕ぎ混合の部の順位とタイム
1位:48秒29:Fish Eagel Dragon Boat Team
2位:49秒42:関西龍舟
3位:51秒50:あめちゃん
4位:52秒19:Standard Charted Bank Dragon Team B
5位:52秒63:Cathy Pacific Dragon Boat Team B
1位と2位、そして3~5位が大接戦であった。

いるが、最後まで出自が不明のチームであった(汗)
10万円分の関空食事券や副賞をもらって満足気な様子。
2位の「関西龍舟」は、5年ぶりの優勝を逃し、ちょっと残念で
あったが、まあ彼らは今年は既に何度も勝っている。
今回は「遠方からの賓客に勝ちを譲った」と思うくらいが良いかも
知れない。

拾ったという感じであろうか、まあでも、海外強豪チームに
混じっての3位入賞は、なかなか立派な戦績だ。
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さて、混合の部の決勝は、なかなか興味深いものがあったが
次いではオープンの部だ。
こちらもまず、決勝での出走チームをレーン順であげておく。
1)Standard Charted Bank Dragon Team A (香港・シンガポール)
2)NIHON GENMA Hong Kong(香港)
3)Cathy Pacific Dragon Boat Team A(香港)
4)ヤンググリーン(兵庫:相生)
5)bp(兵庫・大阪)
近くを通りがかった協会スタッフから話しかけられる、
ス「このオープンは、4対1で海外勢優勢?」
匠「いえ、ヤンググリーンさんは相生ですよ」
ス「そうだった。すると3対2の戦いか、混合と同じだな」
匠「今年の海外勢はなかなか強いですね」

「ヤンググリーン」(上写真)である。
ドラゴンの大会への参戦では、日本選手権での2年連続
(2015~2016)決勝進出があるが、正規の決勝進出は2015年
のみであり、2016年の決勝進出は、正規の国内決勝に出たのは
「うみひ」(海猿火組)であった、ところが「国際決勝」を
続けて実施の際、「うみひ」は遠方へ帰宅するメンバーが居た為
そのレースをキャンセルし「ヤンググリーン」が繰り上げ進出と
なったという次第だ。
それから今日のレースだが、予選の際に「ピッチで漕げ」などと
余計なアドバイスをしたかも知れない(汗)
彼らもストローク漕ぎは不利と見て、ピッチを試した模様だったが
レートが上がりすぎて、パドリングがバラけてしまったのだ。
その結果、予選は4位という不満足な結果に。
敗者復活では、無理な高速レートはやめて、レートを少し落とした
模様だ、その結果、むしろ速度はあがり、2位抜け。
準決勝も2位抜けで、見事決勝進出の切符を手に入れたのだ。
私は、この決勝は、「ヤンググリーン」の応援メンバー達と
一緒に観戦する事とした、その際に上記の話を彼らとしていたのだ。
匠「日本選手権は、いずれも5位でしたね」
ヤ「はい、よくご存知で・・(汗)」
匠「今回は、どこまでいけますかね?」
ヤ「予選タイムを見ていると、3位くらいまでに入れるかも
知れません」
(注:それは「ヤンググリーン」のドラゴン大会での過去最高位だ)
匠「海外チームの実力値は最後まで不明です、なにせメンバーの
交替も良くあります、この大会では、海外チームは遠征の
お客さんなので、それは黙認みたいです。
ただ、全ての海外チームは、両カテゴリーの決勝にフル出場
ですので、もうメンバー交代の余裕は無いでしょう。
まあしかし、ますます不明です、混戦になるでしょう。」
ヤ「さあ、レースが始まります」
5レーン「bp」が飛び出す、他チームとは大差がつきそうだ、
優勝は決定だな、多分これで3連覇になると思う。

「bp」は一昨年の暮れから昨年春にかけて、スタートレート=
120という過酷な猛特訓をしたそうだ、それは1秒回に2回も漕ぐ、
という意味である、勿論そのレートで最後まで持つ筈は無く、
巡航レートは、速ければ90~100程度であろう。
しかも今日の「bp」のメンバーは若手が中心だ。
あまり見かけない顔も多い、恐らくは、日本選手権で「bp next」
として出場したメンバーが主体であろう。
そう、ご存知のように日本選手権の準決勝でミスをして隣の艇に
衝突し転覆してしまったメンバーだ、そのレースは無念の失格。
勿論、このままでは終われない、若手新メンバーの自信を
取り戻す為にも、この大会で優勝するしか無いのだ。
私は、bpの速さを確認したく、本レースは一眼レフの連写速度を
最高にセットした。1秒間に10枚モード、これで彼らの漕ぎが
1秒間に1.5回程度パドリングのサイクルが廻るのを、ほとんど
10分割くらいで細かく捉える事が出来るであろう。
しかし、タタタタタ・・と高速連写した写真をあとで見返すと
全ての写真で大きな水しぶきがあがっていて、腕の動きが良く
見えない、これはほとんどボツ写真だ(汗)
それにそもそも、ずっと水しぶきが上がりっぱなしの漕ぎって
本当に効率的なのだろうか? まあ海外超強豪チーム
(例えば2015年日本選手権のフィリピンアーミーなど)では
概ねそんな感じのピッチ漕法だが、腕力が桁外れのチームであれば
多少の効率のロスよりも、手数を優先で良いのかも知れない、
しかし「bp」ではどうなんだろう?
パドリングの1サイクルの中で、ある瞬間は綺麗に水しぶきが
止まっているタイミングがある方が効率的なのではなかろうか?
・・が、そのあたりは、私もまだ良くわからない。
しばらく各大会で高速連写を試してみて、その写真を見て
分析してみよう、ちなみに、もう1台高速連写機を購入しており、
そちらは1秒間で12枚撮影できる。勿論動画の方がコマ数は速いが
一眼レフの高速連写は、すべて高解像度の写真で残せるので、
1枚1枚を見る事が容易なのだ。
さて余談が長くなった、オープンの部の決勝の途中だ。

2位争いに着目していこう。
手前2レーンから、3チームは、「NIHON GENMA」「キャセイA」
「ヤンググリーン」である、ヤンググリーンがリードしている
印象だが、これは「角度がついた撮影」であり、奥のレーンが
リードしている錯覚となる。
この後、ドラゴン艇が目の前を通過するに従い、手前のレーン
ほど加速しているように見えるのだ。
よって、正しい順位と位置関係はは自分の目の前を直角に(直線で)
横切る瞬間にしわからない。
さあ、目の前を4艇が横切る。

の順位である。
私は、そっと「ヤンググリーン」の応援選手達の近くを離れる。
この状況では「ヤンググリーン」の下位は、ほぼ確定的だ。
せっかく応援選手達は「3位に入れるかも」と期待していたのに、
その夢はかなわないだろう・・
レース後に、あまり近くに居ると、かける言葉も無い(汗)
20人漕ぎオープンの部の最終順位とタイムは以下の通り。
1位:46秒69:bp
2位:49秒38:NIHON GENMA Hong Kong
3位:51秒12:Standard Charted Bank Dragon Team A
4位:51秒19:Cathy Pacific Dragon Boat Team A
5位:51秒68:ヤンググリーン
「bp」の独走以外はわりと接戦、特に3~5位は非常に僅差だ。
最後に若干順位が入れ替わって、「スタンダード」が3位となった。
「ヤンググリーン」も、もう1漕ぎ2漕ぎ速ければ、3位に入れて
いたかもいれない、本当に惜しいところであった。
それと、混合の部とほとんどタイム差が無い事もちょっと不思議だ。

やはり水しぶきが凄い、まあこれはデモンストレーションだとは
思うが、しかし、本当に効率的な漕ぎなのかなあ・・?

これは、遊んでいるのではなく、ふざけているのでもなく、
喧嘩を売って挑発しているのでも無い。
お互いの健闘を讃え合っているのだ。
日本のチーム同士では、最近はとんと見なくなったが、それでも
10年ほど前は、国内チームでもたまにやっていた。
海外チームは比較的普通に、よくこれをやっている。

これで3連覇となる。
「bp」にとって優勝はもう当たり前かも知れないが、
本大会は、「bp」がいずれ戦わなければならない「世界」への
前哨戦となっている点は重要だ。
海外のチームとの対戦に慣れる、海外チームの様々な情報を得て、
対策をたてる、海外チームとのコミュニケーショ能力を高める、
海外選手達との人脈を作る・・
それこそ「bp」の将来(next)ではなかろうか。

とって、本大会はペーロンの世界から、ドラゴンボートの世界に
踏み出す為の、重要な足がかりになった事であろう。
「相生ペーロン競漕」から、ドラゴンの世界に踏み込むチーム
としては、「ヤンググリーン」の他では、「磯風漕友会」
「南風(なんぷう)」「IHI相生」「陸(くが)ペーロン」
「相生市役所」「奴RUN会」そして女子では「Super Dolphin」が
あるが、現在のドラゴン界で「日本選手権」を除いた他の大会で
活躍しているチームは「IHI相生」と「相生市役所」しか無かった。
(注:「南風」も過去数回地方ドラゴン大会に出場している)
さらにここに「ヤンググリーン」が加わってもらって、ペーロンと
ドラゴンの架け橋になってもらいたいと希望する。
また、可能であれば、「ヤンググリーン」と同じ出自の女子強豪
チームである「キュリアス魚橋」も、是非ドラゴンの大会に
参戦していただきたいと思っている。
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今回の大会では、入賞および飛び賞が多数出ている。
具体的には、1位から5位までの入賞と、飛び賞については
8月に行われたので8位
27日なので、2+7=9位
第14回大会なので、14位も飛び賞だ。

振舞われ、乾杯の発声の後は「ノーサイド」だ。
ただ、やはりちょっと国内チームと海外チームの交流は少ない、
英語の壁があるのだろう・・

Standard Charted Bank Dragon Team
引き続きの本大会への参加を期待したいところだ。
(美人カメラマンも居るし・・笑)
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最後に、本大会のカテゴリー分けであるが、スモールの部の
新設は大変良い事だと思うので、もう1工夫するとさらに
良くなると思われる。
具体的には、以下のような感じではどうだろうか?
1)20人漕ぎ、国際チャンピオン・オープンの部
海外チーム、ドラゴン(ペーロン)専業チーム
2)20人漕ぎ、国際チャンピオン・MIX(混合)の部
海外チーム、ドラゴン(ペーロン)専業チーム
この2カテゴリーは競技志向の強いカテゴリーとする、
入賞は3位または5位までで良いが、飛び賞は不要であろう。
3)20人漕ぎ、KIXの部
KIX関連チーム、エアライン、ゼネコン、自治体、官公庁、
一般企業、一般クラブチーム、ドラゴン準専業チーム。
概ね本大会でのタイムが1分~1分30秒程度のビギナーチーム。
勝敗よりもドラゴン競技を楽しむ事を主体としたカテゴリー
入賞は3位まで、飛び賞あり。
4)10人漕ぎ、KIXスモールの部
KIX関連チーム、エアライン、ゼネコン、自治体、官公庁、
一般企業、一般クラブチーム。
気軽に参加する事を可能としたカテゴリー、初心者歓迎。
ドラゴン経験者の参加は不可とする。
入賞は3位まで、飛び賞あり。

無事終了。
ここのところの連続のドラゴン&ペーロン大会観戦で、日焼けが
なかなか収まらないが、次の大会観戦は、9月17日となるだろう。
(注;その大会は台風で中止となってしまった)
もうそのころには連続の「猛暑日」も収まっていると思う。
今年の「熱い季節」も、もう後半戦だ。
次回ドラゴンボート関連記事(ツナカップ)に続く。