コストパフォーマンスに優れたマニアックなレンズを
カテゴリー別に紹介するシリーズ記事。
今回はミラーレス機用のMFレンズ群を4本紹介していこう。
・・とは言え、ミラーレス用の本格的なMFレンズは高価な
製品が多く、コスパの点では評価し難いものが大半である為、
今回紹介する物は、特殊レンズに近いものばかりである。
まずは、最初のシステム、
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カメラは、OLYMPUS E-PL2
レンズは、OLYMPUS BODY CAP LENS BCL-0980 9mm/f8
(新品購入価格 8,000円)
ミラーレス・マニアックス第22回記事で紹介した、
2010年代のμ4/3(マイクロフォーサーズ)専用魚眼レンズ。
本製品はレンズとは言っても、オリンパスではアクセサリー
の一種として捉えている模様である。
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基本的には「ボディキャップ」であり、そこにレンズが
付いている。
シリーズ製品として、広角バージョンのBCL-1580 15mm/f8
(ミラーレス第33回、第36回等で紹介)が存在する。
また、他社での類似商品として、
FUJIFILMからは、Xマウント FILTER LENS XM-FLS 24mm/f8
(ミラーレス第20回、第51回)や
PENTAXからは、Q用 MOUNT SHIELD LENS 11.5mm/f9
(ミラーレス第4回、第14回、第34回)
また、Loreo社からは PC Lens In A Cap 35mm/f11
(ミラーレス第73回)もある。
「ボディキャップにレンズが付いている」というと、
なんとなく銀塩時代の「写ルンです」の話を連想してしまう。
ご存知、大ヒットした”使い捨てカメラ”であるが、この手の
カメラはDPE店で現像時に回収され多くの部品を再利用する為
「使い捨て」というイメージを嫌った富士フィルム等の業界
では「レンズ付きフィルム」という名称を用いたのであった。
そして、その手のカメラのレンズは、プラスチック非球面を
採用し、なかなか良く写ったので、銀塩時代は色々な撮影
状況において重宝した。
(特に便利だったのは、極寒など過酷な撮影環境でも
正常動作し、かつ、仮に壊れてしまっても大きな問題には
ならない事だ)
まあつまり、レンズ付き、というイメージから連想される
ような、オマケ的な低性能なものではなかった訳だ。
で、現代の「レンズ付きボディキャップ」もまた、レンズは
オマケという印象は無い、OLYMPUSの2製品に関して言えば、
いずれもレンズ性能はそこそこ高く、加えてMF用のレバーまで
ついていて厳密にピント合わせを行う事もできる。
特にこの魚眼レンズはユニークな製品コンセプトである。
一般に、魚眼レンズは高価である事が多く、又μ4/3においては、
センサーサイズが小さい為、銀塩(フルサイズ)用魚眼や、
デジタル(APS-C)専用魚眼をアダプターを介して装着しても、
小さいセンサーなので魚眼のデフォルメ効果が減少してしまう。
かと言って、別マウントで魚眼を持っているのに、わざわざ
μ4/3用の純正魚眼レンズを買うのも、ちょっとコスト的に
厳しい。
そんな時に、この魚眼ボディキャップレンズは、リーズナブル
な価格と、そこそこの描写力により、非常に重宝する。
類似のコンセプトの他社魚眼として、PENTAX Qシステム用の
03 Fish Eye(ミラーレス第2回、第10回)が存在するのだが、
そちらは完全な「トイレンズ」であり、描写力という観点で
性能を比較する事はできない。
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本レンズの長所は、上記で述べたような状況、すなわち本格的な
魚眼は高いので、コスパの良い魚眼をμ4/3用に入手したい場合に
役に立つ(と言うより、唯一の選択肢である)という点である。
弱点もまた「魚眼である事」だ。
つまり「魚眼マニア」でも無い限り、一般的な撮影スタイル
の中で、魚眼レンズを必要とする比率はどれくらいあるの
だろうか?という点である。
私の予想では、本レンズのような対角線魚眼レンズの場合、
それはユーザーの撮影の全体量(枚数)の1%以下だ。
円周魚眼ではさらに低く、恐らく0.1%以下であろう。
具体的な数値をあげよう、本ブログでは「マニアの条件」として
持論の「トリプルスリーの法則」を引き合いに出す事がある。
この法則は、
「30台以上の機材(カメラ、レンズ問わず)を保有」
「30年以上前の機材を現用している(所有しているだけではNG)」
「年間3万枚以上の撮影枚数」
の3項目からなるのだが、ここにおいて「年間3万枚」という
ルールに着目してみる。
ある年間3万枚撮影するマニアが居て、その1%というと300枚だ、
しかし、対角線魚眼レンズで年間300枚も撮影するだろうか?
恐らく、そこには満たないと思う、だからまあ、1%以下という
使用頻度が計算上出てくるわけだ。
そして、それくらいしか使う機会が無いだろう魚眼レンズが、
本当に必要なのか否か?という点が、魚眼レンズを購入する
上での判断のポイントになり、もし、実際にそれ位の頻度しか
なければ、レンズを購入した予算が、ほとんど無駄になって
しまう。
「コスパ」とか言う以前に、使わなければ元が取れない訳だ。
今のところレンズの減価償却ルールは、本ブログでは特に
設けてはいないが、無視しても良いものでも無い。
ちなみに、デジタル一眼レフとデジタル・コンパクト機に
関しては「1枚3円の法則」を適用し、購入価格を撮影枚数で
割って、それが3円以下となったら「減価償却完了」と
みなしている。
ミラーレス機は中古が安価なので、このルールは若干厳しく
なり「1枚2円の法則」となっている。
これは機材のコスパを考える上で重要な概念であるし、
加えて衝動的に様々な機材を購入してしまうマニア的な行動
(一般的には「沼」と呼ばれる事もある、つまり”ずるずると
引きずりこまれる”という状況だ)への歯止めの意味合いも
あるルールだ。
なお、この概念は、あくまでアマチュアレベルにおいての
話であり、ビジネス的、すなわち職業レベルにおいては、
機材コストについては別の考え方が適用される。
具体的には、収支の決算が赤字にならない事が重要となり、
簡単に言えば、基本的にはその機材を購入した金額以上の
儲け(収入や利益)が無いと、やっていけない訳だ。
まあ、商売でやる以上は、誰も赤字になるのは望まない。
もっとも、撮影行為自体で収益を上げずとも、他に収入を
得る手段は色々とあると思うので、トータルで黒字になれば
良い、とも言えるが・・
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Clik here to view.![c0032138_20084521.jpg]()
ちなみに減価償却ルールにおいては、デジタル機での撮影
枚数は連番モードに設定した画像ファイル名の、その番号を
見れば容易にわかる。
その数値は1万枚で0001にリセットされる場合が殆どだが、
そのカメラが何万枚台で撮っているかは、所有者であれば、
わかるであろう。
加えて、カメラの中古購入時は、使い始める前にファイル
番号をリセットしておくのが良い。
(自分自身が何枚撮ったのか?が、ポイントになるからだ)
だが、レンズに関しては、個別に撮影枚数がわかりにくい
点があり、仮に減価償却ルールを作ったとしても計算が困難
であり、加えて、例えば、銀塩時代からの30年以上も前の
レンズであっても、現在のデジタル機でアダプター等で
利用することができるので、
すなわち「レンズは長期間ずっと使える」という観点があり、
なんとも減価償却の概念が掴み難い。
まあでも、仮にカメラ本体と同様に1枚3円の法則を適用する
として、8000円のレンズでは、約2700枚を撮影する必要がある。
で「魚眼でそんなに撮るか・・?」というのが疑問点で
ある訳だ。
ということで、本BCL-0980は、コスパが良いレンズではあるが、
本当に必要かどうか?は、自身の撮影スタイルや興味の方向性
をよく吟味して購入する必要があるだろう。
勿論、他の魚眼レンズ、あるいは特殊レンズ(ソフトやら
シフトやら)についても同様であると思う。
----
さて、次のシステム、
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Clik here to view.![c0032138_20084412.jpg]()
カメラは、PANASONIC LUMIX DMC-GX7
レンズは、TOKINA Reflex 300mm/f6.3 MF MACRO
(中古購入価格 18,000円)
ミラーレス・マニアックス第59回、名玉編第2回記事で紹介した、
2010年代のμ4/3専用MF超望遠ミラーレンズ。
本シリーズでは「ミラーレス名玉編」にランクインされた
レンズは出来るだけ重複紹介しない、というコンセプトでは
あるが、本レンズのような他に類を見ないレンズの場合は、
その事もまあやむを得ない。
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Clik here to view.![c0032138_20084468.jpg]()
これは、レンズと言うよりは「ミラー」である、鏡筒前部の
ガラス面は保護の為にあるもので、そこに光学的な意味は無い。
つまりガラスレンズは使われておらず、反射鏡の組み合わせで
光学系は構成されている。
ただこれは決して新しい技術という訳ではなく、例えば
天体観測用の「反射望遠鏡」の原理は、重力の法則で有名な
アイザック・ニュートンにより、今からおよそ350年も前の
1668年(江戸時代初期)に実用化されているのだ。
そして、写真用(一眼レフ用)のミラー(レンズ)もまた、
銀塩時代の昔からあり、例えば1980年代のTAMRON 500mm/f8
(アダプトール2対応、ミラーレス第31回記事)
などが、著名かつ人気であった。
他社でもいくつかの一眼用ミラーがあったが、殆どがMFであり、
また、あえて弱点を挙げれば、画質的にはガラスレンズよりも
落ちる事が一般的であった。
ただし画質の点においては、ミラー(レンズ)はガラスレンズ
より常に性能的に劣るか?と言えばそうではなく、仕様や
用途、そして設計や製造の精度にもよりけりだ。
そもそも、ニュートンが反射望遠鏡を製作したのも、それまで
一般に使われていた「屈折式望遠鏡」(ガラスレンズ式の
望遠鏡)では「色収差」の低減が困難(不可能)であると
判断して、反射望遠鏡に傾倒したのだと聞く。
現代においても天体観測用の巨大光学式望遠用は製造面
(コストや精度)や設置面(総重量や制御)の問題点からも
ガラスレンズ式ではなく、ほぼ全てが反射式となっている。
まあつまり、描写性能はミラーの作り方によりけり、という
状況なのだろうと思われう。
写真用目的においてミラーよりもガラスレンズの方が画質が
良いのは、レンズの方が需要が多く、性能の改良が続けられて
きたからであろう。
また、改良という点のみならず、ガラスレンズでは、高コストの
製品すらも市場では成り立つことができる(高くても売れる)
だからまあ、ミラーの方が安価である、とも言えるわけであり、
けど、ミラーもちゃんと作れば、高描写力を得る事は出来る
わけだ。
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Clik here to view.![c0032138_20085681.jpg]()
で、本ミラーの長所だが、まず軽量コンパクトな点がある、
μ4/3機専用なので、600mm/f6.3相当となる超望遠画角を容易に
持ち運べる携行性がメリットだ。一般的なガラスレンズでは、
300mm級はそこそこの大きさと重さになってしまう。
本ミラーならではの最大の特徴は、従来のミラーより遥かに
短い最短撮影距離で、何と80cmである。
この性能は、もはや「マクロミラー」であるとも言える。
そして画質もそこそこ良い、ここは加工精度に拘った良い
ミラーを採用しているからだと聞く。
他の長所では、MF仕様とは言え、電子接点があり、ボディ側の
距離表示機能に連動するし、手ブレ補正やピーキングや拡大
機能の使用も自在だ。
ちなみに手ブレ補正は、その機能が内蔵されているμ4/3機
でないと当然無理である。
今回使用のGX7はPANASONICでは初めて手ブレ補正を内蔵した
機体である。まあ、600mmもの画角となれば内蔵手ブレ補正
機能があった方が安心であろう(なお、デジタルテレコン
機能を使用する際は手動で手ブレ補正の焦点距離設定を変更
しなくてはならない、尤も、テレコンx4倍で2400mm相当
もの画角となったら、いくら手ブレ補正機能があっても、
手持ちではほぼ撮影不能になるが・・)
また、ミラーながら、鏡筒径が小さい為、各種フィルターの
装着も出来るようになっている(他のミラーでは、後部挿入式
のフィルターの場合も良くある)
ただ、f6.3と暗いレンズである為、ND(減光)フィルターの
必要性は、特殊なスローシャッター撮影以外のケースでは
不要であろう。
弱点だが、逆光性能に劣る事、それとミラー全体で言える事
だが絞りの制御が無く、よって被写界深度の調整やボケ質破綻
(やや出る)の回避が出来ない事がある。
また、撮影者の好み、あるいは作画上の問題だが、ミラー特有
の「リングボケ」が発生する。
それと、些細な欠点だが、付属フードの脱着は、ピントリング
を最大に廻しきった状態でしか出来ず、やや使い勝手が悪い。
しかし、トータルで考えれば、弱点よりもメリットの方が
遥かに大きい。
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用途としては、動物園、野鳥や野生動物、昆虫などフィールド
(屋外)全般等での撮影で特に便利に使えると思う。
なお、運動会やスポーツ系撮影では、画角や絞りの変更が
できない事や、MFを苦手とする撮影者が多いかも知れない
ので、ちょっと厳しいと思われる。
ちなみに「ミラーレス名玉編」においては、「エンジョイ度」
の項目が満点の5点と高く評価されたレンズ(ミラー)である。
使いこなしの楽しさにおいては、なかなか他に類を見ない逸品だ。
現状、中古市場には玉数が少ない状態であるが、定価が安価
であり、新品価格(実売2万円台後半)と中古価格の大きな
差も無いので、どうしても欲しい場合は、新品購入も十分に
ありだと思う。
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さて、次のシステム、
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Clik here to view.![c0032138_20085653.jpg]()
カメラは、PANASONIC LUMIX DMC-GF1
レンズは、安原製作所 MOMO100 28mm/f6.4 Soft
(新品購入価格 21,800円)
ミラーレス・マニアックス補足編第7回記事で紹介した、
2016年発売のソフト(軟焦点)レンズである。
購入価格が2万円オーバーと若干高目であり、「ハイコスパ」の
カテゴリーとして入れるかどうかは微妙であるが、発売直後の
新品購入で中古も出回っていない状況であったので、価格に
ついては目をつぶろう。
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Clik here to view.![c0032138_20085565.jpg]()
・・と言うのも、本レンズは非常に貴重な「広角ソフトレンズ」
であるからだ、私の記憶している限りでは、他のソフトレンズ
は、ほとんどが中望遠(70~135mm程度)の焦点距離であり、
かつ、これらは基本的に中古でしか入手できない。
そして、ごくまれに標準の(45~50mm程度)のソフトが存在
したが、これも現在の中古市場では極端なレア品となっている。
広角ソフトは、これまで他には存在しなかったと思うが、
近年LENSBABYから、その効果を含むTRIO28が発売された、
両者のみが現在入手可能なものであろう。
という事から、価格的な意味合いは殆どなく、広角ソフトが
欲しければ、殆ど、本レンズかLENSBABYを買うしか無い訳だ。
まあ、本記事においては、ボディキャップ魚眼も小型ミラーも
いずれも唯一のものであり、コストはあまり関係が無い、
それに、私が欲しいと思う機材も、たいていが「唯一もの、
他に代替するものが無いもの」である事が殆どだ。
本レンズは「ベス単フード外し」の復刻を設計コンセプトとした
ソフトレンズであり、その「ベス単フード外し」については、
過去のミラーレス・マニアックスのソフトレンズ関連記事、
(第5回、第19回、第38回、補足編1)でも何度か述べて
いるので今回は割愛しよう。
本レンズの長所は、その貴重なスペックである事は間違いが
無い。また、一般的にソフトレンズの短所としてはピント
合わせが非常に困難、というか「ほとんど不可能」という
レベルであるのだが、本レンズは広角のソフトレンズで
あるので、元々被写界深度が深く、MFや目測で、かろうじて
ピント合わせが可能な事である。
こうした特性の為、カメラ側は、大げさば高級機は使う必要が
なく、μ4/3のトイレンズ母艦の1つであるDMC-GF1を使用
している。
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Clik here to view.![c0032138_20085620.jpg]()
ソフト効果はあまり大きくは無い、絞りがついていて、これを
絞ると球面収差が減ってソフト効果を減らす事ができる。
もっとも、これは本レンズだけの特徴ではなく、ほぼ全ての
ソフトレンズにおいて原理的に絞り機構はソフト量の調整を
兼ねている。
また、本レンズの場合は、絞り値により「焦点移動」が発生
すると設計者の安原氏は語っている。
焦点移動とは、絞り値によりピント位置がずれてしまう現象
であり、開放測光のレンズではまれに問題となる場合もある、
まあしかし、本レンズの場合はミラーレス機でも一眼レフ
でも絞込み測光となり、焦点移動の問題は殆ど表面化しない。
なお、ソフトレンズの描写であるが、PC等による画像編集で
ソフト効果を追加する場合、またミラーレス機等のエフェクト
機能でソフト効果を追加した時、そして、ソフトフィルターを
レンズ前面に装着する場合、のいずれともソフトレンズの
描写は微妙に異なる。
よって、純粋な(本来の)ソフト効果が得たい場合は、
上記のようなレタッチ(編集)、エフェクト(効果)、
アタッチメント(付属品)の、いずれでも代替できず、
実際のソフトレンズを購入するしか無い訳だ。
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Clik here to view.![c0032138_20085683.jpg]()
現代において、ソフトレンズの中古は、たまに市場に出ては
くるがプレミアム相場となってしまっているケースもある。
玉数が少ないのでやむを得ないが、それにしても高価だ。
私が所有しているソフトレンズ群では、20年程前に1万円前後
の価格で買ったものも数本ある。
実用面での使用頻度も少ないと思うので、現実的なコスパ的
な妥協点はそのあたりまでであろう。
まあすなわち、現代においては実用的に購入できるソフト
レンズは、本レンズのみという事になる。
このあたりは、さすが銀塩時代末期に「安原一式」で一世を
風靡し、その後、レンズメーカーとして再出発をした
「安原製作所」だ、その辺の市場の状況は、十分すぎるほど
理解していて、そういう状況だからこそ、本レンズを
「ニッチ」なターゲット市場にピンポイントで、ぶつけて
来たのに違いない。
つまり、ソフトレンズが欲しければ、コスパを考えると実の所
本レンズを購入するしか、ほぼ選択肢が無いという訳だ・・
----
さて、次は今回ラストのシステム、
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Clik here to view.![c0032138_20090217.jpg]()
カメラは、FUJIFILM X-E1
レンズは、FUJIFILM FILTER LENS XM-FL(S) 24mm/f8
(中古購入価格 5,000円)
ミラーレスマニアックス第20回、第51回記事で紹介した
2010年代のXマウント専用アクセサリーレンズである。
本レンズは、MFレンズとは呼びにくい。
というのもヘリコイド(ピントリング)を持たない固定焦点
(パンフォーカス)レンズであり、MF操作ができないからだ。
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特徴としては、まず本記事冒頭のOLYMPUSのボディキャップ
レンズと同等のコンセプトの、アクセサリー型のレンズ
である事だ。
この類のレンズは超軽量であり、持ち運びの負担も無いため
ボディキャップ代わりに使えるという事である。
このようなアクセサリー型レンズの多くには、シールド
(遮光)のポジションが付いている、すなわち、レンズに
蓋をする事ができる機能がついていて、保管時や移動時は
蓋を閉めておき、使用時には蓋を開けるわけだ。
そして、本レンズならではの特徴として、遮光位置、
通常レンズ位置に加えて、ソフト効果、クロス効果の2つの
特殊効果位置があり、レンズ周辺のリングを回転させる
だけで、そうした効果を切り替えて使用できる。
ソフトやクロスは、実フィルター(注:編集やエフェクト
ではなく、現実のガラスフィルター)を装着する事が
銀塩時代から一般的であるが、それらのフィルターを
付け替えたりする事は面倒だ。
面倒が故に、つけっぱなしで撮ってしまうと、今度は後で、
その効果をかけない方が良かったと思っても、PC等での画像
編集でソフトやクロス効果を取り除くのは、ほぼ不可能だ。
その際、本レンズのように実フィルターの効果が簡単に切り替え
れるのであれば、撮影時に、フィルター効果有り、無しの両方
を選択して撮影する事も可能であり、まあ合理的である訳だ。
ただしまあ、このたりの効果はPC等による編集での後付けも
現代では容易なので、実フィルターに頼るケースは少なく
なってはいると思う。
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Clik here to view.![c0032138_20090125.jpg]()
本レンズの弱点であるが、ピント固定のレンズではあるのだが、
実際には完全なパンフォーカスレンズとはなっておらず、
近距離から∞(無限遠)まで被写界深度が到達していない、
という点だこれは実際の撮影でも、計算上でも、やはり被写界
深度が足りない、つまり中距離以外の被写体では描写(ピント)
が甘く感じてしまう。
なので、ソフト効果をほぼ常時併用するとか、あるいは、
これはもう「トイレンズの一種」と割り切って、描写の甘さは
気にしないようにするのも対策かも知れない。
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Clik here to view.![c0032138_20090132.jpg]()
ただまあ、カメラボディのX-E1は、その操作系に致命的に
近い弱点を持つものの、FUJIのデジタルカメラ伝統の
「絵作りの良さ」があり、おまけにローパスレス仕様だ、
描写力に優れたレンズを使って初めてX(マウント)システム
の長所が出てくるのであって、トイレンズは、正直Xシステム
的には似合わない(適正な組み合わせでは無い)
加えてX-E1には、パノラマ等の他には画質そのものを加工
処理するエフェクト機能は全く搭載されていないので、
それをかけて誤魔化す、という非常手段も使えない。
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Clik here to view.![c0032138_20090290.jpg]()
ちなみに、純正トイレンズを多数ラインナップしている
PENTAX Qシステムにおいては、その優れたエフェクト仕様と
操作系により、エフェクト母艦として使用する事も多く、
その際に、トイレンズの描写の甘さは気にならず、むしろ
個性的な表現力の高さが、Qシステムの多大なメリットと
なっている訳だ。
まあでも、価格が安価で、フィルター効果で楽しめる、
という点においては、本レンズの存在意義は、とりあえずは
ある、そして、その際のコスパの良さはやっぱり捨てがたい
と思う。
Xシステムで本格的なレンズ群を使用している際、たまに
息抜きとして描写力をあまり気にしないで使うのが良い
レンズかも知れない。
---
今回の記事では、MFのミラーレス用レンズ群を紹介したが、
やや特殊な、というか「トイレンズ」に近いものばかりの
紹介となってしまった。
これはコストの安いものを選んでいるのでやむを得ない。
そして、その結果、今回紹介のレンズ群は、描写力(性能)が
最良では無い、というセレクトになってしまっているのも、
まあ、やむを得ない。
これらの特殊レンズ群の他にも、ミラーレス用の「普通の
MFレンズ」は勿論存在する。例えばフォクトレンダーの
ノクトンf0.95シリーズや、SAMYANGやLAOWA、中一光学等の
海外製高性能MF単焦点、あるいは国産ではKOWAの高性能
広角レンズ群等だ。
ただし、それらはいずれも、かなり高価(5~10数万円)
であり、かつ殆ど中古が出回っておらず、結果的にコスパが
良いとは決して言えないレンズ群となってしまう。
本シリーズ記事はコスパの良いレンズを紹介するのが
コンセプトである、たとえば銀塩用の昔からのレンズで
あれば、中古価格も十分すぎるほどこなれていて、
とてつもなく安価で、そこそこ高性能な、コスパが極めて
良いレンズ群を入手あるいは紹介が可能なわけだ。
しかし、ミラーレス専用レンズは、ここ数年での新しい時期
の発売だ。一般的な高性能なレンズは、中古も殆ど無く、
どうしても高価になってしまう。
いずれ、番外編としてそれらの新鋭高性能MFレンズ群を
紹介する可能性もあるが、ノクトン等に関しては、本流の
「ミラーレス・マニアックス」記事で何度か掲載している
ので、興味があれば、そちらを参照していただきたい。
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さて、今回の記事は、このあたりまでとする。
次回は、MF望遠レンズを紹介していく事にする。
カテゴリー別に紹介するシリーズ記事。
今回はミラーレス機用のMFレンズ群を4本紹介していこう。
・・とは言え、ミラーレス用の本格的なMFレンズは高価な
製品が多く、コスパの点では評価し難いものが大半である為、
今回紹介する物は、特殊レンズに近いものばかりである。
まずは、最初のシステム、
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レンズは、OLYMPUS BODY CAP LENS BCL-0980 9mm/f8
(新品購入価格 8,000円)
ミラーレス・マニアックス第22回記事で紹介した、
2010年代のμ4/3(マイクロフォーサーズ)専用魚眼レンズ。
本製品はレンズとは言っても、オリンパスではアクセサリー
の一種として捉えている模様である。
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付いている。
シリーズ製品として、広角バージョンのBCL-1580 15mm/f8
(ミラーレス第33回、第36回等で紹介)が存在する。
また、他社での類似商品として、
FUJIFILMからは、Xマウント FILTER LENS XM-FLS 24mm/f8
(ミラーレス第20回、第51回)や
PENTAXからは、Q用 MOUNT SHIELD LENS 11.5mm/f9
(ミラーレス第4回、第14回、第34回)
また、Loreo社からは PC Lens In A Cap 35mm/f11
(ミラーレス第73回)もある。
「ボディキャップにレンズが付いている」というと、
なんとなく銀塩時代の「写ルンです」の話を連想してしまう。
ご存知、大ヒットした”使い捨てカメラ”であるが、この手の
カメラはDPE店で現像時に回収され多くの部品を再利用する為
「使い捨て」というイメージを嫌った富士フィルム等の業界
では「レンズ付きフィルム」という名称を用いたのであった。
そして、その手のカメラのレンズは、プラスチック非球面を
採用し、なかなか良く写ったので、銀塩時代は色々な撮影
状況において重宝した。
(特に便利だったのは、極寒など過酷な撮影環境でも
正常動作し、かつ、仮に壊れてしまっても大きな問題には
ならない事だ)
まあつまり、レンズ付き、というイメージから連想される
ような、オマケ的な低性能なものではなかった訳だ。
で、現代の「レンズ付きボディキャップ」もまた、レンズは
オマケという印象は無い、OLYMPUSの2製品に関して言えば、
いずれもレンズ性能はそこそこ高く、加えてMF用のレバーまで
ついていて厳密にピント合わせを行う事もできる。
特にこの魚眼レンズはユニークな製品コンセプトである。
一般に、魚眼レンズは高価である事が多く、又μ4/3においては、
センサーサイズが小さい為、銀塩(フルサイズ)用魚眼や、
デジタル(APS-C)専用魚眼をアダプターを介して装着しても、
小さいセンサーなので魚眼のデフォルメ効果が減少してしまう。
かと言って、別マウントで魚眼を持っているのに、わざわざ
μ4/3用の純正魚眼レンズを買うのも、ちょっとコスト的に
厳しい。
そんな時に、この魚眼ボディキャップレンズは、リーズナブル
な価格と、そこそこの描写力により、非常に重宝する。
類似のコンセプトの他社魚眼として、PENTAX Qシステム用の
03 Fish Eye(ミラーレス第2回、第10回)が存在するのだが、
そちらは完全な「トイレンズ」であり、描写力という観点で
性能を比較する事はできない。
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魚眼は高いので、コスパの良い魚眼をμ4/3用に入手したい場合に
役に立つ(と言うより、唯一の選択肢である)という点である。
弱点もまた「魚眼である事」だ。
つまり「魚眼マニア」でも無い限り、一般的な撮影スタイル
の中で、魚眼レンズを必要とする比率はどれくらいあるの
だろうか?という点である。
私の予想では、本レンズのような対角線魚眼レンズの場合、
それはユーザーの撮影の全体量(枚数)の1%以下だ。
円周魚眼ではさらに低く、恐らく0.1%以下であろう。
具体的な数値をあげよう、本ブログでは「マニアの条件」として
持論の「トリプルスリーの法則」を引き合いに出す事がある。
この法則は、
「30台以上の機材(カメラ、レンズ問わず)を保有」
「30年以上前の機材を現用している(所有しているだけではNG)」
「年間3万枚以上の撮影枚数」
の3項目からなるのだが、ここにおいて「年間3万枚」という
ルールに着目してみる。
ある年間3万枚撮影するマニアが居て、その1%というと300枚だ、
しかし、対角線魚眼レンズで年間300枚も撮影するだろうか?
恐らく、そこには満たないと思う、だからまあ、1%以下という
使用頻度が計算上出てくるわけだ。
そして、それくらいしか使う機会が無いだろう魚眼レンズが、
本当に必要なのか否か?という点が、魚眼レンズを購入する
上での判断のポイントになり、もし、実際にそれ位の頻度しか
なければ、レンズを購入した予算が、ほとんど無駄になって
しまう。
「コスパ」とか言う以前に、使わなければ元が取れない訳だ。
今のところレンズの減価償却ルールは、本ブログでは特に
設けてはいないが、無視しても良いものでも無い。
ちなみに、デジタル一眼レフとデジタル・コンパクト機に
関しては「1枚3円の法則」を適用し、購入価格を撮影枚数で
割って、それが3円以下となったら「減価償却完了」と
みなしている。
ミラーレス機は中古が安価なので、このルールは若干厳しく
なり「1枚2円の法則」となっている。
これは機材のコスパを考える上で重要な概念であるし、
加えて衝動的に様々な機材を購入してしまうマニア的な行動
(一般的には「沼」と呼ばれる事もある、つまり”ずるずると
引きずりこまれる”という状況だ)への歯止めの意味合いも
あるルールだ。
なお、この概念は、あくまでアマチュアレベルにおいての
話であり、ビジネス的、すなわち職業レベルにおいては、
機材コストについては別の考え方が適用される。
具体的には、収支の決算が赤字にならない事が重要となり、
簡単に言えば、基本的にはその機材を購入した金額以上の
儲け(収入や利益)が無いと、やっていけない訳だ。
まあ、商売でやる以上は、誰も赤字になるのは望まない。
もっとも、撮影行為自体で収益を上げずとも、他に収入を
得る手段は色々とあると思うので、トータルで黒字になれば
良い、とも言えるが・・
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枚数は連番モードに設定した画像ファイル名の、その番号を
見れば容易にわかる。
その数値は1万枚で0001にリセットされる場合が殆どだが、
そのカメラが何万枚台で撮っているかは、所有者であれば、
わかるであろう。
加えて、カメラの中古購入時は、使い始める前にファイル
番号をリセットしておくのが良い。
(自分自身が何枚撮ったのか?が、ポイントになるからだ)
だが、レンズに関しては、個別に撮影枚数がわかりにくい
点があり、仮に減価償却ルールを作ったとしても計算が困難
であり、加えて、例えば、銀塩時代からの30年以上も前の
レンズであっても、現在のデジタル機でアダプター等で
利用することができるので、
すなわち「レンズは長期間ずっと使える」という観点があり、
なんとも減価償却の概念が掴み難い。
まあでも、仮にカメラ本体と同様に1枚3円の法則を適用する
として、8000円のレンズでは、約2700枚を撮影する必要がある。
で「魚眼でそんなに撮るか・・?」というのが疑問点で
ある訳だ。
ということで、本BCL-0980は、コスパが良いレンズではあるが、
本当に必要かどうか?は、自身の撮影スタイルや興味の方向性
をよく吟味して購入する必要があるだろう。
勿論、他の魚眼レンズ、あるいは特殊レンズ(ソフトやら
シフトやら)についても同様であると思う。
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さて、次のシステム、
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レンズは、TOKINA Reflex 300mm/f6.3 MF MACRO
(中古購入価格 18,000円)
ミラーレス・マニアックス第59回、名玉編第2回記事で紹介した、
2010年代のμ4/3専用MF超望遠ミラーレンズ。
本シリーズでは「ミラーレス名玉編」にランクインされた
レンズは出来るだけ重複紹介しない、というコンセプトでは
あるが、本レンズのような他に類を見ないレンズの場合は、
その事もまあやむを得ない。
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ガラス面は保護の為にあるもので、そこに光学的な意味は無い。
つまりガラスレンズは使われておらず、反射鏡の組み合わせで
光学系は構成されている。
ただこれは決して新しい技術という訳ではなく、例えば
天体観測用の「反射望遠鏡」の原理は、重力の法則で有名な
アイザック・ニュートンにより、今からおよそ350年も前の
1668年(江戸時代初期)に実用化されているのだ。
そして、写真用(一眼レフ用)のミラー(レンズ)もまた、
銀塩時代の昔からあり、例えば1980年代のTAMRON 500mm/f8
(アダプトール2対応、ミラーレス第31回記事)
などが、著名かつ人気であった。
他社でもいくつかの一眼用ミラーがあったが、殆どがMFであり、
また、あえて弱点を挙げれば、画質的にはガラスレンズよりも
落ちる事が一般的であった。
ただし画質の点においては、ミラー(レンズ)はガラスレンズ
より常に性能的に劣るか?と言えばそうではなく、仕様や
用途、そして設計や製造の精度にもよりけりだ。
そもそも、ニュートンが反射望遠鏡を製作したのも、それまで
一般に使われていた「屈折式望遠鏡」(ガラスレンズ式の
望遠鏡)では「色収差」の低減が困難(不可能)であると
判断して、反射望遠鏡に傾倒したのだと聞く。
現代においても天体観測用の巨大光学式望遠用は製造面
(コストや精度)や設置面(総重量や制御)の問題点からも
ガラスレンズ式ではなく、ほぼ全てが反射式となっている。
まあつまり、描写性能はミラーの作り方によりけり、という
状況なのだろうと思われう。
写真用目的においてミラーよりもガラスレンズの方が画質が
良いのは、レンズの方が需要が多く、性能の改良が続けられて
きたからであろう。
また、改良という点のみならず、ガラスレンズでは、高コストの
製品すらも市場では成り立つことができる(高くても売れる)
だからまあ、ミラーの方が安価である、とも言えるわけであり、
けど、ミラーもちゃんと作れば、高描写力を得る事は出来る
わけだ。
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μ4/3機専用なので、600mm/f6.3相当となる超望遠画角を容易に
持ち運べる携行性がメリットだ。一般的なガラスレンズでは、
300mm級はそこそこの大きさと重さになってしまう。
本ミラーならではの最大の特徴は、従来のミラーより遥かに
短い最短撮影距離で、何と80cmである。
この性能は、もはや「マクロミラー」であるとも言える。
そして画質もそこそこ良い、ここは加工精度に拘った良い
ミラーを採用しているからだと聞く。
他の長所では、MF仕様とは言え、電子接点があり、ボディ側の
距離表示機能に連動するし、手ブレ補正やピーキングや拡大
機能の使用も自在だ。
ちなみに手ブレ補正は、その機能が内蔵されているμ4/3機
でないと当然無理である。
今回使用のGX7はPANASONICでは初めて手ブレ補正を内蔵した
機体である。まあ、600mmもの画角となれば内蔵手ブレ補正
機能があった方が安心であろう(なお、デジタルテレコン
機能を使用する際は手動で手ブレ補正の焦点距離設定を変更
しなくてはならない、尤も、テレコンx4倍で2400mm相当
もの画角となったら、いくら手ブレ補正機能があっても、
手持ちではほぼ撮影不能になるが・・)
また、ミラーながら、鏡筒径が小さい為、各種フィルターの
装着も出来るようになっている(他のミラーでは、後部挿入式
のフィルターの場合も良くある)
ただ、f6.3と暗いレンズである為、ND(減光)フィルターの
必要性は、特殊なスローシャッター撮影以外のケースでは
不要であろう。
弱点だが、逆光性能に劣る事、それとミラー全体で言える事
だが絞りの制御が無く、よって被写界深度の調整やボケ質破綻
(やや出る)の回避が出来ない事がある。
また、撮影者の好み、あるいは作画上の問題だが、ミラー特有
の「リングボケ」が発生する。
それと、些細な欠点だが、付属フードの脱着は、ピントリング
を最大に廻しきった状態でしか出来ず、やや使い勝手が悪い。
しかし、トータルで考えれば、弱点よりもメリットの方が
遥かに大きい。
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(屋外)全般等での撮影で特に便利に使えると思う。
なお、運動会やスポーツ系撮影では、画角や絞りの変更が
できない事や、MFを苦手とする撮影者が多いかも知れない
ので、ちょっと厳しいと思われる。
ちなみに「ミラーレス名玉編」においては、「エンジョイ度」
の項目が満点の5点と高く評価されたレンズ(ミラー)である。
使いこなしの楽しさにおいては、なかなか他に類を見ない逸品だ。
現状、中古市場には玉数が少ない状態であるが、定価が安価
であり、新品価格(実売2万円台後半)と中古価格の大きな
差も無いので、どうしても欲しい場合は、新品購入も十分に
ありだと思う。
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さて、次のシステム、
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レンズは、安原製作所 MOMO100 28mm/f6.4 Soft
(新品購入価格 21,800円)
ミラーレス・マニアックス補足編第7回記事で紹介した、
2016年発売のソフト(軟焦点)レンズである。
購入価格が2万円オーバーと若干高目であり、「ハイコスパ」の
カテゴリーとして入れるかどうかは微妙であるが、発売直後の
新品購入で中古も出回っていない状況であったので、価格に
ついては目をつぶろう。
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であるからだ、私の記憶している限りでは、他のソフトレンズ
は、ほとんどが中望遠(70~135mm程度)の焦点距離であり、
かつ、これらは基本的に中古でしか入手できない。
そして、ごくまれに標準の(45~50mm程度)のソフトが存在
したが、これも現在の中古市場では極端なレア品となっている。
広角ソフトは、これまで他には存在しなかったと思うが、
近年LENSBABYから、その効果を含むTRIO28が発売された、
両者のみが現在入手可能なものであろう。
という事から、価格的な意味合いは殆どなく、広角ソフトが
欲しければ、殆ど、本レンズかLENSBABYを買うしか無い訳だ。
まあ、本記事においては、ボディキャップ魚眼も小型ミラーも
いずれも唯一のものであり、コストはあまり関係が無い、
それに、私が欲しいと思う機材も、たいていが「唯一もの、
他に代替するものが無いもの」である事が殆どだ。
本レンズは「ベス単フード外し」の復刻を設計コンセプトとした
ソフトレンズであり、その「ベス単フード外し」については、
過去のミラーレス・マニアックスのソフトレンズ関連記事、
(第5回、第19回、第38回、補足編1)でも何度か述べて
いるので今回は割愛しよう。
本レンズの長所は、その貴重なスペックである事は間違いが
無い。また、一般的にソフトレンズの短所としてはピント
合わせが非常に困難、というか「ほとんど不可能」という
レベルであるのだが、本レンズは広角のソフトレンズで
あるので、元々被写界深度が深く、MFや目測で、かろうじて
ピント合わせが可能な事である。
こうした特性の為、カメラ側は、大げさば高級機は使う必要が
なく、μ4/3のトイレンズ母艦の1つであるDMC-GF1を使用
している。
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絞ると球面収差が減ってソフト効果を減らす事ができる。
もっとも、これは本レンズだけの特徴ではなく、ほぼ全ての
ソフトレンズにおいて原理的に絞り機構はソフト量の調整を
兼ねている。
また、本レンズの場合は、絞り値により「焦点移動」が発生
すると設計者の安原氏は語っている。
焦点移動とは、絞り値によりピント位置がずれてしまう現象
であり、開放測光のレンズではまれに問題となる場合もある、
まあしかし、本レンズの場合はミラーレス機でも一眼レフ
でも絞込み測光となり、焦点移動の問題は殆ど表面化しない。
なお、ソフトレンズの描写であるが、PC等による画像編集で
ソフト効果を追加する場合、またミラーレス機等のエフェクト
機能でソフト効果を追加した時、そして、ソフトフィルターを
レンズ前面に装着する場合、のいずれともソフトレンズの
描写は微妙に異なる。
よって、純粋な(本来の)ソフト効果が得たい場合は、
上記のようなレタッチ(編集)、エフェクト(効果)、
アタッチメント(付属品)の、いずれでも代替できず、
実際のソフトレンズを購入するしか無い訳だ。
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くるがプレミアム相場となってしまっているケースもある。
玉数が少ないのでやむを得ないが、それにしても高価だ。
私が所有しているソフトレンズ群では、20年程前に1万円前後
の価格で買ったものも数本ある。
実用面での使用頻度も少ないと思うので、現実的なコスパ的
な妥協点はそのあたりまでであろう。
まあすなわち、現代においては実用的に購入できるソフト
レンズは、本レンズのみという事になる。
このあたりは、さすが銀塩時代末期に「安原一式」で一世を
風靡し、その後、レンズメーカーとして再出発をした
「安原製作所」だ、その辺の市場の状況は、十分すぎるほど
理解していて、そういう状況だからこそ、本レンズを
「ニッチ」なターゲット市場にピンポイントで、ぶつけて
来たのに違いない。
つまり、ソフトレンズが欲しければ、コスパを考えると実の所
本レンズを購入するしか、ほぼ選択肢が無いという訳だ・・
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さて、次は今回ラストのシステム、
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レンズは、FUJIFILM FILTER LENS XM-FL(S) 24mm/f8
(中古購入価格 5,000円)
ミラーレスマニアックス第20回、第51回記事で紹介した
2010年代のXマウント専用アクセサリーレンズである。
本レンズは、MFレンズとは呼びにくい。
というのもヘリコイド(ピントリング)を持たない固定焦点
(パンフォーカス)レンズであり、MF操作ができないからだ。
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レンズと同等のコンセプトの、アクセサリー型のレンズ
である事だ。
この類のレンズは超軽量であり、持ち運びの負担も無いため
ボディキャップ代わりに使えるという事である。
このようなアクセサリー型レンズの多くには、シールド
(遮光)のポジションが付いている、すなわち、レンズに
蓋をする事ができる機能がついていて、保管時や移動時は
蓋を閉めておき、使用時には蓋を開けるわけだ。
そして、本レンズならではの特徴として、遮光位置、
通常レンズ位置に加えて、ソフト効果、クロス効果の2つの
特殊効果位置があり、レンズ周辺のリングを回転させる
だけで、そうした効果を切り替えて使用できる。
ソフトやクロスは、実フィルター(注:編集やエフェクト
ではなく、現実のガラスフィルター)を装着する事が
銀塩時代から一般的であるが、それらのフィルターを
付け替えたりする事は面倒だ。
面倒が故に、つけっぱなしで撮ってしまうと、今度は後で、
その効果をかけない方が良かったと思っても、PC等での画像
編集でソフトやクロス効果を取り除くのは、ほぼ不可能だ。
その際、本レンズのように実フィルターの効果が簡単に切り替え
れるのであれば、撮影時に、フィルター効果有り、無しの両方
を選択して撮影する事も可能であり、まあ合理的である訳だ。
ただしまあ、このたりの効果はPC等による編集での後付けも
現代では容易なので、実フィルターに頼るケースは少なく
なってはいると思う。
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実際には完全なパンフォーカスレンズとはなっておらず、
近距離から∞(無限遠)まで被写界深度が到達していない、
という点だこれは実際の撮影でも、計算上でも、やはり被写界
深度が足りない、つまり中距離以外の被写体では描写(ピント)
が甘く感じてしまう。
なので、ソフト効果をほぼ常時併用するとか、あるいは、
これはもう「トイレンズの一種」と割り切って、描写の甘さは
気にしないようにするのも対策かも知れない。
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近い弱点を持つものの、FUJIのデジタルカメラ伝統の
「絵作りの良さ」があり、おまけにローパスレス仕様だ、
描写力に優れたレンズを使って初めてX(マウント)システム
の長所が出てくるのであって、トイレンズは、正直Xシステム
的には似合わない(適正な組み合わせでは無い)
加えてX-E1には、パノラマ等の他には画質そのものを加工
処理するエフェクト機能は全く搭載されていないので、
それをかけて誤魔化す、という非常手段も使えない。
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PENTAX Qシステムにおいては、その優れたエフェクト仕様と
操作系により、エフェクト母艦として使用する事も多く、
その際に、トイレンズの描写の甘さは気にならず、むしろ
個性的な表現力の高さが、Qシステムの多大なメリットと
なっている訳だ。
まあでも、価格が安価で、フィルター効果で楽しめる、
という点においては、本レンズの存在意義は、とりあえずは
ある、そして、その際のコスパの良さはやっぱり捨てがたい
と思う。
Xシステムで本格的なレンズ群を使用している際、たまに
息抜きとして描写力をあまり気にしないで使うのが良い
レンズかも知れない。
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今回の記事では、MFのミラーレス用レンズ群を紹介したが、
やや特殊な、というか「トイレンズ」に近いものばかりの
紹介となってしまった。
これはコストの安いものを選んでいるのでやむを得ない。
そして、その結果、今回紹介のレンズ群は、描写力(性能)が
最良では無い、というセレクトになってしまっているのも、
まあ、やむを得ない。
これらの特殊レンズ群の他にも、ミラーレス用の「普通の
MFレンズ」は勿論存在する。例えばフォクトレンダーの
ノクトンf0.95シリーズや、SAMYANGやLAOWA、中一光学等の
海外製高性能MF単焦点、あるいは国産ではKOWAの高性能
広角レンズ群等だ。
ただし、それらはいずれも、かなり高価(5~10数万円)
であり、かつ殆ど中古が出回っておらず、結果的にコスパが
良いとは決して言えないレンズ群となってしまう。
本シリーズ記事はコスパの良いレンズを紹介するのが
コンセプトである、たとえば銀塩用の昔からのレンズで
あれば、中古価格も十分すぎるほどこなれていて、
とてつもなく安価で、そこそこ高性能な、コスパが極めて
良いレンズ群を入手あるいは紹介が可能なわけだ。
しかし、ミラーレス専用レンズは、ここ数年での新しい時期
の発売だ。一般的な高性能なレンズは、中古も殆ど無く、
どうしても高価になってしまう。
いずれ、番外編としてそれらの新鋭高性能MFレンズ群を
紹介する可能性もあるが、ノクトン等に関しては、本流の
「ミラーレス・マニアックス」記事で何度か掲載している
ので、興味があれば、そちらを参照していただきたい。
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さて、今回の記事は、このあたりまでとする。
次回は、MF望遠レンズを紹介していく事にする。