コストパフォーマンスに優たレンズをカテゴリー別に紹介
するシリーズ記事の第4回目は、ミラーレス機用のAFレンズ
群を4本紹介していこう。
まず、最初のシステム、
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カメラは、PANASONIC DMC-GX7
レンズは、SIGMA 60mm/f2.8DN Art(以下A60/2.8)
(中古購入価格 14,000円)
ミラーレス・マニアックス第0回、第30回記事で紹介した、
2010年代のAF中望遠レンズ。
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DN型番は、μ4/3用とSONY E(NEX)用の2種類が発売
されていて、ミラーレス機専用だ。
いずれのマウントも光学系は同じと思われ、μ4/3で使う方が
周辺収差のカットの点で若干有利そうであるが、まあ、
Eマウントでもトリンミングして使えば、両者は同等になる。
(注:Eマウントのフルサイズ機ではAPSモードで使用する)
これ以前のSIGMAのDN Artラインのレンズは、
A19/2.8DN(ミラーレス第22回、補足編3)
A30/2.8DN(ミラーレス第10回)
が発売されていて、それらのレンズのスペックは、
SIGMA製高級デジタルコンパクト、DPシリーズの
DP1(メリル以降),DP2の搭載レンズと各々同じであった。
その後、DP3が発売され、その搭載レンズは50mm/f2.8の
準マクロ仕様(最短撮影距離22.6cm、撮影倍率1/3倍)
であったので、当然そのスペックのレンズが単体発売されて
くるものだと思って、待ち構えていた(笑)のだが・・
単体発売されたレンズは、何故か60mm/f2.8と、DP3のレンズ
とは、ちょっと仕様が異なっていた。
その理由は良くわからないのだが、単体の交換レンズで50mm
というのはあまりに普通だ、いわゆる「標準レンズ」という
事になってしまい、それは古今東西、いくらでもあるし、
優秀なレンズも勿論沢山ある、現に、本シリーズ記事でも
初回から3回目迄は焦点距離50mm(前後)のコスパの高い
標準レンズ群をずっと紹介してきた。
実は3回でも書ききれない程標準レンズは奥が深いのだが、
まあ同じ画角ばかりで撮っていても少し飽きてきた感じでも
あった。
まあ、そのようにありふれた標準レンズと同じ土俵で戦っても
意味が無い事であろう。実際の所は良くわからないが、
そんな事情から、あえて50mmの焦点距離のレンズを避けたの
かも知れない。
で、確かに60mmの焦点距離のレンズは、殆ど存在していない、
私が記憶している、あるいは所有している(いた)レンズは、
・NIKON AiAF Micro 60mm/f2.8(ミラーレス第57回、
ちなみに、それ以前の時代にはMFバージョンもあった)
・KONICA HEXANON 60mm/f1.2(レンジファインダー機用の
超大口径レンズ。発売は1950年代と古い)
・TAMRON SP AF60mm/f2.0 Macro (ミラーレス第75回)
・RTS用マクロプラナー60mm/f2.8が2種(現在未所有)
そのあたりの数本しか覚えていない。
まあ、レアな60mmレンズだから、本A60/2.8も印象に残る
レンズとなった、おまけに描写力がとても高く、かつ安価だ。
描写力の高さは、かなりのものである。
感覚的には、価格的に数倍以上の10万円級のレンズにも
匹敵する。
解像感が極めて高く、ボケ質の破綻も出にくく、絞り値による
描写の変動(解像度や収差など)も少ない。
ただし、表現力という点から考えると、特にボケ表現力として
ボケ量があまり取れない事が気になる。
これは最短撮影距離が50cm、開放f値が2.8と、いずれも平凡な
性能である事が要因だ。
ちなみに、標準レンズやマクロレンズと、最短撮影距離での
被写界深度の浅さを計算して比較してみよう。
まずは本レンズ
60mm/f2.8 最短50cmでの被写界深度=11.67mm
ここで被写界深度の数値が小さい方がボケ量を大きくできる。
(注:許容錯乱円は便宜上全て 0.03mmとしている)
次いで、一般的な標準レンズの場合だ、
50mm/f1.8 最短45cmでの被写界深度=8.75mm
50mm/f1.4 最短45cmでの被写界深度=6.31mm
これらの被写界深度は結構深いが、それでも本レンズより浅い。
次いで、焦点距離が同じ60mm等倍マクロレンズの場合
60mm/f2.8 最短22cmでの被写界深度=2.26mm (NIKON製)
60mm/f2.0 最短23cmでの被写界深度=1.77mm (TAMRON製)
これらは、さすがにマクロだけあって、必要に応じて
いくらでも寄れて、いくらでも背景をボケす事が可能だ。
最後に、SIGMA DP3の搭載レンズの場合
50mm/f2.8 最短22.6cmでの被写界深度=3.26mm
やはりDP3のレンズの方が寄れて、被写体への適合範囲が広い。
まあ、最短撮影距離に「べったり張り付いて撮る」というのも
特殊な撮影状況ではあるが、これらの計算例は最も被写界深度
が浅くなるケースを計算したものである。
すなわち、いざとなれば各々のレンズでここまで被写界深度を
浅くできるという意味であり、その状態で大きなボケ量を
得られるのであれば、必要に応じて絞りを適宜絞って使う
事で、被写界深度(ボケ量)のコントロールが自在になる
という意味だ。
(また、撮影距離を離した場合も同様に被写界深度は深く
なるが、全ての計算例は沢山ありすぎて紹介できないので、
あくまで最短での撮影時の差異を見ている)
つまり、被写界深度が浅いレンズの場合、絞り込む方は自由に
出来るのだが、逆にその限界が低いレンズだと、それ以上
ボケ量を増やそうとしても、どうにもならなくなる、という
意味である。
そういう視点においては、やはり本A60/2.8は、もう少し
寄れるか、又は、もう少し開放f値が明るければ、描写表現力
という面での不満は無くなってくるであろう。
まあでも、開放f値も最短撮影距離も、仕様上あまり欲張らない
事で、本レンズの高い描写力を実現しているのであれば、
(注:いずれのスペックを上げても、普通、性能は低下する)
それはそれでしかたが無いのかも知れないが・・
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さて、本レンズの弱点である。
まず上記のように、最短も開放f値も平凡なスペックである事。
それから、本レンズのAFモーター部品は、通電しないと位置が
固定されない模様であり、カメラの電源を入れずに持ち歩くと
レンズがカタカタ言って、気持ち悪い(あるいは格好悪い)
この弱点は、他のDNレンズ、すなわちA19/2.8もA30/2.8も
同様であり、安っぽさ(設計品質水準の甘さ)を感じてしまう。
(近年のSIGMA製一眼用手ブレ補正(OS)内蔵レンズの一部では、
OSをONしたまま電源を切ったりレンズを外すと、同様にカタカタ
鳴る現象が起こるとの事だが、本レンズは手ブレ補正非内蔵だ)
それと、本レンズは、鏡筒(鏡胴)色が、銀と黒との2種類が
あるが、銀色は「水筒」のような外観であまり高級感は無い。
で、いずれにもフードが付属しているものの、どちらの場合
も黒色となっていて、これは銀色のレンズには似合わない。
冒頭の紹介写真を見て貰えればわかるが、本レンズは銀色
であり、フードは付属品の使用をやめて、他社製の色の似た
銀色の物を装着している。余分な出費になったが、ただでさえ、
持ち歩くとカタカタと言う、安っぽくて格好悪いレンズだ、
それに加えて銀と黒フードのアンバランスなデザインとしたら
出来の悪さ満載のシステムとなる、別途フード購入は
やむを得ない。
あと、無限回転式ヘリコイドの仕様も気に入らない。
もっともこの点においては、各社の殆どのミラーレス機用の
AFレンズにおいても、無限回転式だ。
この仕様のレンズは、AFとMFをシームレスに切り替えて使う
用途の場合にはヘリコイド回転角の制限を受けないので良い。
本来ならば、AF時とMF時のヘリコイド回転角の実撮影距離への
反映方法を自動的に切り替える事が望ましいのだが。
(つまり、AF時は狭い回転角で素早く廻り、MF時は広い回転
角で厳密なピント合わせを容易にする)
残念ながら、そのような仕様を持つ「操作系に配慮したレンズ」
は存在していない模様だ。
で、無限回転式を普通に使うと無限遠(∞)や最短撮影距離
において、ヘリコイドが止まる、という訳にはいかないので、
MF時の手癖(というか、身につけた経験的な技能)が
使えないので困ってしまう。
本レンズでボケ量を大きくする撮影がしずらいのは、
この問題もあって、要は、被写体までを最短撮影距離で捉えて
いるかどうかが、わからないのだ。
有限回転式ヘリコイドのレンズをMFで使うならば、あらかじめ
ピントリングが最短で止まるところまで廻しておき、そこから
人間自体が前後してピント位置を探す技法が使える訳だ。
そして、そもそも、鏡筒が水筒風にツルツルなのでMF時の
操作性は極めて悪い。
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ところで、今回使用のカメラLUMIX DMC-GX7には、
AFレンズの場合、MF時に距離エンコーダーからの情報を元に、
EVFまたは背面モニターに、ピント位置を示すバーグラフの
表示が出る。
この機能を使えば、無限回転式ヘリコイドのレンズでも使い
易くできるか? と言えば、そんなに単純なものではなく、
まずバーグラフは距離表示精度が低く使い難い。
おまけにグラフは、EVFでの構図上にスーパーインポーズ
されるので、見た目が邪魔でしかたが無い。
よって、私はこの機能は基本的には使わないようにしている。
ちなみに、AFでピントが合わなかった場合、仮のAF距離は毎回
バラバラであり、近接撮影したくても、ピント距離が10mとかに
なっていてMFでのピント移動量が非常に大きい場合も多々ある。
余談だが、DMC-GX7にはPANA Gシリーズでは初めて内蔵手ブレ
補正を搭載したカメラであるが、デジタルズーム、デジタル
テレコン機能を多用する撮影では、都度手ブレ補正の焦点距離
を変更せざるを得ず、これは実用的では無い操作系だ。
なので、内蔵手ブレ補正の機能はあえてOFFして、使わない
ようにしている次第である。
まあ、厳しく言えば、色々な弱点を持つ本レンズではあるが、
描写力の高さという大きな長所に比べれば、他の弱点は
微々たるものであるとも言える。
ミラーレス機(非フルサイズ)ユーザー必携のレンズであろう。
余談だが、SIGMA DP0の搭載レンズ、14mm/f2.8は、単体発売
される模様がいっこうに無い・・
そして、ミラーレス市場においても、フルサイズEマウントが
人気である近年においては、こうした付加価値の低い(つまり
価格が安価な)シリーズのレンズの製品展開は、もう苦しいの
かも知れない。DNシリーズは、いずれも安価で描写力の高い
コスパに優れるレンズ群であるから、製造中止は惜しい。
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さて、次のシステム
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カメラは、PANASONIC LUMIX DMC-G5
レンズは、OLYMPUS M.Zuiko Digital 45mm/f1.8
(中古購入価格 16,000円)
ミラーレス・マニアックス第58回記事で紹介した、
2010年代のμ4/3専用AFレンズ。(以下MZ45/1.8)
このレンズは焦点距離的には標準レンズであるが、μ4/3機
に装着した際には、90mm相当の中望遠画角となる。
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本レンズの長所としては、高い描写力がある。
解像感、ボケ質ともに問題は無い、逆光耐性も悪くない。
上で紹介したSIGMA A60/2.8と、良い勝負をする感じだ。
弱点は、これはレンズ自体の問題とは言えないが、μ4/3機
では、基本的にプレビュー(=絞込み)操作を行わないと、
被写界深度やボケ質を確認できない事だ。
f1.8は、標準レンズの焦点距離においては大口径レンズとは
言い難いが、それでもミラーレス機用の普通の単焦点レンズは
開放f2.8付近なので、まあ大口径な部類である。
こうしたレンズは当然ボケに配慮した撮影になるのだが、
その際にμ4/3システムは基本が開放測光なので、ボケの調整が
やりにくい。
これだったら、MFレンズの50mm/f1.8をアダプターで装着して
絞込み測光にした方が、遥かにボケのコントロールはしやすい。
それから、コントラストAF方式のμ4/3機では、あまり大口径
のレンズを使うと、AFのピント精度が怪しくなる。
ミラーレスマニアックス記事で、古いLUMIX DMC-GF1に
本レンズを装着した際には、AFの精度の悪さに悩まされた。
今回使用の本機G5は、さほど古いと言えるカメラではないが、
それでもちょっとAF精度は厳しい面がある。像面位相差AF等の
新技術を搭載した機体で無いと苦しいという事であろう。
そして、MFに切り替えて使おうにも、こうした近年の
ミラーレス機用レンズの無限回転式ヘリコイドは前記のように
使い勝手が悪いという問題点が出てくる。
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このあたりは非常に勿体無い話である。
つまり、本MZ45/1.8は平均点以上の優れた描写表現力を持つ
レンズであるのに、μ4/3というシステムの上では、このレンズ
の特性が十分に生かせない訳だ。
特性を生かすというのは、勿論、被写界深度を浅くしてボケ
表現を重視した撮影技法だ、その際の本レンズのピント面の
シャープさは捨てがたいものがある。
AFが効かない(精度が悪い)、MFが使えない(操作性が悪い)
ボケの確認ができない(操作系が悪い)、と言うのは
いずれも、システム側の問題なわけだ。
まあでも、カメラは、いずれもっと進化していく。
事実、近年のパナソニックのμ4/3機においては、
AFをある一定方向に駆動していき、その際、4K動画エンジンを
用いて何枚かの画像を高速で連続取得し、各々の画像のピントの
合致度(コントラスト検出または高速フーリエ変換か?)を
計測することで、今駆動しているAFの方向が正しいか逆か?が
わかり、加えてピント合致度の変化の差分を検出していく事で、
AFの駆動量を推測し、従来よりも高速にピントを合わせる
技術が搭載されている。
これを、パナソニックでは「空間認識AF」と呼んでいる模様だ。
ただ、ピント合致度の検出で適切なところでAF駆動を停止した
として、確かにAF合致速度は高速化できるとは思うが、
その際のピントの精度が高いかどうかは不明だ。
どうも原理的(技術的)には、精度の面は怪しいところがある。
つまり、ピンポイントでAFを合わせたい画面上の特定の位置に
ちゃんとピントが合うかどうかは、この技術では難しい所が
ある、というのが私の解釈だ。
それから、この新技術には「フォーカスセレクト」という
機能も副産物的に得られるとの事だ。
つまり上記のAFの高速駆動中に4Kエンジンで、30fpsまたは
60fpsで連続画像取得ができるのであれば、それらの連続画像
をスタック(積層)しておき、撮影後に任意のピント位置の
ショットを選ぶことができる。
例えば具体的には、手前の人物にピントが合っているものと、
奥の人物に合焦しているものを選択可能だという事だ。
だが、この新技術もどうだろうか? AF駆動の高速化を狙う
のであれば、1コマあたりのAF駆動距離は大きくなくては
ならない。
レンズの被写界深度が極めて浅い場合、例えば、本記事の
前半で記述したような、被写界深度数mmという、大口径や
マクロでの近接撮影においては、AFの駆動距離のステップ数が
それを上回る事は確実であろう。
もし逆にそんなに細かく動いていたら、今度は時間がかかって、
せっかくのAF高速駆動のメリットと相反してしまうからだ。
つまり、ビギナー向けのキットズームなど、被写界深度に
配慮する必要の無いレンズでは上手くいっても、
本レンズや、これ以上の大口径レンズでは、ちゃんと動作する
保証が原理的には得られ難いと思う。
まあ、私は「空間認識AF」を搭載しているボディを現在では
所有していないので、将来、それらのいずれかを購入して、
そのAF精度を試してみるとしよう。
しかし基本的には、デジタル一眼レフでも、ミラーレス機でも、
大口径のレンズが、ぴたりとピントを合わせられるとは、私は
思っていないので、あまりカメラのAF技術の進化には期待して
いない。
それよりも、MF操作をアシストする様々な技術が発展した方が
よほど嬉しいのであるが・・
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余談が長くなったが、本レンズは、μ4/3システムにおいて
ピント精度が怪しいという問題点を除けば、十分にコスパが
良いレンズであると言える。
まあ趣味の撮影とかで、100枚撮って数枚ちゃんと撮れていれば
十分、という程度の歩留まりの悪さを覚悟して使うのであれば、
きっと役に立つレンズになる事であろう。
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さて、次のシステム
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カメラは、RICHO GXR
ユニットは、S10 24-72mm/f2.5-4.4 VC
(セットでの中古購入価格 21,000円)
ミラーレスマニアックス記事では複数回登場している
お馴染みのシステム(ユニット)である。
GXRシステムでの焦点距離表記は、最初からフルサイズ換算と
なっていて、本ユニットのレンズの実焦点距離は、
5.1~15.3mmである。
(注:S型のセンサーサイズは、1/1.7型となっている)
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汎用性の高いユニットであり、GXRを持ち出す場合は、
基本的には本ユニットが1本あれば、だいたい事足りる。
GXRシステムの長所短所は、ミラーレスマニアックス記事で
散々書いてきたので、ばっさり割愛しよう。
(必要ならば第1回,第19回,第43回記事等を参照)
まあ、GXRの最大の問題は「技術的に古い」という事である。
それ故に、ピントはコントラストAFのみで、全くと言っていい
ほど合わず、ピーキング機能もほとんど効かない。
つまりピント合わせが致命的な弱点となっている。
だが、2009年にGXRシステムが発売された時には、そこそこの
インパクトがあった、この頃は、まだ市場にはミラーレス機も
殆ど出ていなかった時代なのだ、小型機で大型のセンサーを
搭載した様々なユニットを交換できる、というコンセプトは
非常に優れていた。
しかしGXRにとって不運だったのは、この後からミラーレス機
が爆発的に普及した事だ、他社のレンズが殆ど装着できない
(注:後年 A12マウントが発売されたが)上に、ユニットも
専用となるGXRは、ユニバーサル(汎用的)なシステムでは
なかった訳だ。
私はGXRが生産終了になり、中古相場が十分に安くなってから
S10やA12系のユニットを3本合わせて購入した。
2017年現在ではさらに中古相場は下落して、1万円台前半で
本システム(S10 KIT)を入手可能である。
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色々弱点のあるカメラだが、長所も色々とある、
具体的な長所としては、操作系に優れる事や、当時としては
先進的な機能が沢山入っていた事である。(例:手ブレ補正、
ピーキング、連続デジタルズーム等)
1万円台で、この歴史的なカメラ(注:歴史的な名機とは
ちょっと言い難いが・・)を入手できるのであれば、これは
もう十分にコスパは良いと見なすべきであろう。
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現在では魅力的な製品が無くなってしまった、デジタル
コンパクト機(注:コンパクト・デジタル・クラッシックス
記事参照)の代用として使うのも良いかも知れない。
ただし、ピント精度はむしろ現代のコンパクト機の方が高い
ので、その点については注意(覚悟)する必要はあるだろう。
そして、いざとなれば高描写力のA12シリーズの28mmや50mm
マクロを、安価になった相場で購入し、楽しむ事もできる。
まあ、これらA12もピントが全く合わないのだが、万が一(笑)
合った際の描写力は、只者ではなく、こんな小型機で
一眼レフ級か、それ以上の画(え)が撮れてしまうのは、
ある意味痛快だ。
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さて、今回ラストのシステム
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カメラは、PANASONIC LUMIX DMC-G1
レンズは、PANASONIC G25mm/f1.7 (H-H025M)
(新古購入価格 14,000円)
ミラーレス・マニアックス補足編第3回記事で紹介した、
2010年代のμ4/3専用AFレンズ。
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本レンズは不人気であったのか?2016年に新品在庫が大量に
中古市場に流出した。
で、その際の価格は少しバラツキがあったのだが、いったい、
いくらだったら売れるのか?が、中古市場でも不明であったの
であろう、相場は変動し、私は、恐らく最安値のレベルお
14000円で新品購入できたので、十分に安価だったと言える。
あるいは後述するが、2017年に本レンズがGF9のキットレンズ
(銀色有り)となったので、旧来の外装品を在庫処分したの
かも知れない。
実際のところは良くわからないが、不人気だったと仮定すると
そもそもPANASONICのミラーレス機の購入者層はビギナー層が
大半である、また、マニアはGHシリーズやGXシリーズの高級機
に目が行くだろうし、こうしたエントリーレンズ(注:安価な
価格で高性能、すなわちお試し版レンズ)には興味が無いので
あろう。
また、ビギナー層は、銀塩一眼時代の昔から、一眼を買った
時に最初から付いていたレンズ(=キットレンズ)以外は、
まず購入しないというのは定説だ。
ましてや今のミラーレス時代、もはやビギナー層は「カメラ
(写真)をステップアップしながら楽しむ」という発想すら
全く無く、単なる消耗家電製品の一種、としかカメラを
捉えておらず、ますます交換レンズなどは買わない。
PANAの単焦点レンズでは、過去4種類がキットレンズと
なっていた、GF1とのキットでG20mm/f1.7(初期型)、
GF2ではG14mm/f2.5、GX7ではG20mm/f1.7Ⅱ、そして
GX8ではG15mm/f1.7である。
これらのレンズは比較的定評がある、何故ならば、そうした
ミラーレス機のユーザー層は単焦点レンズを別途購入しない、
という状況においては、それらのレンズは唯一ユーザー層が
身近に触れられる単焦点レンズだからだ、中には目の効く
ユーザーも居て、キットズームに比べて描写表現力が高い
事は、わかったのであろう。
で、じゃあ、評判の高いG20mm/f1.7と本レンズG25mm/f1.7に
どれだけ描写表現力の差があるか?といえば、実際のところ
差異は殆ど無い。まあ、あえて言えば、G25mm/f1.7の方が
慣れ親しんだ50mmの標準画角になる事、被写界深度が僅かに
浅くできるので、ボケ表現力の自由度が若干上がる事、
そして、本レンズの方が従来では、誰も注目しておらず
マニアック度が高かった事、等がメリットとして上げられる。
また、コスト面においても、G20mm/f1.7(Ⅱ)の中古相場は
2万円台半ばであり、それから、オリンパスの類似レンズ
M.Zuiko 25mm/f1.8も同様の2万円台半ばの中古相場だ。
それらと比較すると、本レンズの新古品14000円は、圧倒的に
安価だ。
なお、2017年、初級者向け新製品DMC-GF9のダブルレンズ
キットに、本レンズG25/1.7が採用されたので、今後また
世間の評価が変わったり、中古市場での流通は多くなって
くるかも知れない。
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さて、本システムの弱点だが、例のμ4/3システムによる
AF精度と開放測光(ボケ確認困難)は、他のケースと同様だ。
レンズ自体の課題としては、フード装着時に、リングを一旦
取り外す必要があって面倒な事、それと、感動的、と呼べる
ような描写力は持たず、平凡な性能である事だ。
作りも安っぽく、あくまでエントリーレンズのレベルだ。
(注:GF9キット版では改良されたかも知れない)
それから、25mmの焦点距離がμ4/3で50mm相当の画角に
なる事は前記で長所としたが、逆に、平凡な画角である
という弱点にも繋がるかも知れない。
ただ、これらは長所にはなりえないが、短所という訳でもなく、
普通に良く写るレンズである事も確かだ。
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全体的に特徴が無く、持っていても持っていなくても良い
レンズであるとも言えるが、まあコスパの良さや、軽量で
軽快に使え、おまけに(例えば過酷な撮影環境で使って)
壊れても惜しくない等、使い勝手の上でのメリットがある。
ちなみに、25mmという焦点距離のレンズはμ4/3においては、
標準画角となる事から、パナソニックでも高品位版のレンズが
あるし、他社からも多数の個性的なレンズが発売されている
(例:フォクトレンダー ノクトン 25mm/f0.95が代表的)
しかし、「同じ焦点距離のレンズがあるから、他はいらない」
という訳でもなく、それぞれ特徴も用途も異なるから、別に
μ4/3用25mmを何本も所有していても不自然では無い。
総括だが、μ4/3マウントにおいて、コスパを重視する、という
発想でのみ本レンズ G25/1.7の存在意義があると思う。
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さて、今回の記事は、このあたりまでとする。
次回もまたミラーレス機用のレンズを紹介していく事にする。
するシリーズ記事の第4回目は、ミラーレス機用のAFレンズ
群を4本紹介していこう。
まず、最初のシステム、
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レンズは、SIGMA 60mm/f2.8DN Art(以下A60/2.8)
(中古購入価格 14,000円)
ミラーレス・マニアックス第0回、第30回記事で紹介した、
2010年代のAF中望遠レンズ。
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されていて、ミラーレス機専用だ。
いずれのマウントも光学系は同じと思われ、μ4/3で使う方が
周辺収差のカットの点で若干有利そうであるが、まあ、
Eマウントでもトリンミングして使えば、両者は同等になる。
(注:Eマウントのフルサイズ機ではAPSモードで使用する)
これ以前のSIGMAのDN Artラインのレンズは、
A19/2.8DN(ミラーレス第22回、補足編3)
A30/2.8DN(ミラーレス第10回)
が発売されていて、それらのレンズのスペックは、
SIGMA製高級デジタルコンパクト、DPシリーズの
DP1(メリル以降),DP2の搭載レンズと各々同じであった。
その後、DP3が発売され、その搭載レンズは50mm/f2.8の
準マクロ仕様(最短撮影距離22.6cm、撮影倍率1/3倍)
であったので、当然そのスペックのレンズが単体発売されて
くるものだと思って、待ち構えていた(笑)のだが・・
単体発売されたレンズは、何故か60mm/f2.8と、DP3のレンズ
とは、ちょっと仕様が異なっていた。
その理由は良くわからないのだが、単体の交換レンズで50mm
というのはあまりに普通だ、いわゆる「標準レンズ」という
事になってしまい、それは古今東西、いくらでもあるし、
優秀なレンズも勿論沢山ある、現に、本シリーズ記事でも
初回から3回目迄は焦点距離50mm(前後)のコスパの高い
標準レンズ群をずっと紹介してきた。
実は3回でも書ききれない程標準レンズは奥が深いのだが、
まあ同じ画角ばかりで撮っていても少し飽きてきた感じでも
あった。
まあ、そのようにありふれた標準レンズと同じ土俵で戦っても
意味が無い事であろう。実際の所は良くわからないが、
そんな事情から、あえて50mmの焦点距離のレンズを避けたの
かも知れない。
で、確かに60mmの焦点距離のレンズは、殆ど存在していない、
私が記憶している、あるいは所有している(いた)レンズは、
・NIKON AiAF Micro 60mm/f2.8(ミラーレス第57回、
ちなみに、それ以前の時代にはMFバージョンもあった)
・KONICA HEXANON 60mm/f1.2(レンジファインダー機用の
超大口径レンズ。発売は1950年代と古い)
・TAMRON SP AF60mm/f2.0 Macro (ミラーレス第75回)
・RTS用マクロプラナー60mm/f2.8が2種(現在未所有)
そのあたりの数本しか覚えていない。
まあ、レアな60mmレンズだから、本A60/2.8も印象に残る
レンズとなった、おまけに描写力がとても高く、かつ安価だ。
描写力の高さは、かなりのものである。
感覚的には、価格的に数倍以上の10万円級のレンズにも
匹敵する。
解像感が極めて高く、ボケ質の破綻も出にくく、絞り値による
描写の変動(解像度や収差など)も少ない。
ただし、表現力という点から考えると、特にボケ表現力として
ボケ量があまり取れない事が気になる。
これは最短撮影距離が50cm、開放f値が2.8と、いずれも平凡な
性能である事が要因だ。
ちなみに、標準レンズやマクロレンズと、最短撮影距離での
被写界深度の浅さを計算して比較してみよう。
まずは本レンズ
60mm/f2.8 最短50cmでの被写界深度=11.67mm
ここで被写界深度の数値が小さい方がボケ量を大きくできる。
(注:許容錯乱円は便宜上全て 0.03mmとしている)
次いで、一般的な標準レンズの場合だ、
50mm/f1.8 最短45cmでの被写界深度=8.75mm
50mm/f1.4 最短45cmでの被写界深度=6.31mm
これらの被写界深度は結構深いが、それでも本レンズより浅い。
次いで、焦点距離が同じ60mm等倍マクロレンズの場合
60mm/f2.8 最短22cmでの被写界深度=2.26mm (NIKON製)
60mm/f2.0 最短23cmでの被写界深度=1.77mm (TAMRON製)
これらは、さすがにマクロだけあって、必要に応じて
いくらでも寄れて、いくらでも背景をボケす事が可能だ。
最後に、SIGMA DP3の搭載レンズの場合
50mm/f2.8 最短22.6cmでの被写界深度=3.26mm
やはりDP3のレンズの方が寄れて、被写体への適合範囲が広い。
まあ、最短撮影距離に「べったり張り付いて撮る」というのも
特殊な撮影状況ではあるが、これらの計算例は最も被写界深度
が浅くなるケースを計算したものである。
すなわち、いざとなれば各々のレンズでここまで被写界深度を
浅くできるという意味であり、その状態で大きなボケ量を
得られるのであれば、必要に応じて絞りを適宜絞って使う
事で、被写界深度(ボケ量)のコントロールが自在になる
という意味だ。
(また、撮影距離を離した場合も同様に被写界深度は深く
なるが、全ての計算例は沢山ありすぎて紹介できないので、
あくまで最短での撮影時の差異を見ている)
つまり、被写界深度が浅いレンズの場合、絞り込む方は自由に
出来るのだが、逆にその限界が低いレンズだと、それ以上
ボケ量を増やそうとしても、どうにもならなくなる、という
意味である。
そういう視点においては、やはり本A60/2.8は、もう少し
寄れるか、又は、もう少し開放f値が明るければ、描写表現力
という面での不満は無くなってくるであろう。
まあでも、開放f値も最短撮影距離も、仕様上あまり欲張らない
事で、本レンズの高い描写力を実現しているのであれば、
(注:いずれのスペックを上げても、普通、性能は低下する)
それはそれでしかたが無いのかも知れないが・・
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まず上記のように、最短も開放f値も平凡なスペックである事。
それから、本レンズのAFモーター部品は、通電しないと位置が
固定されない模様であり、カメラの電源を入れずに持ち歩くと
レンズがカタカタ言って、気持ち悪い(あるいは格好悪い)
この弱点は、他のDNレンズ、すなわちA19/2.8もA30/2.8も
同様であり、安っぽさ(設計品質水準の甘さ)を感じてしまう。
(近年のSIGMA製一眼用手ブレ補正(OS)内蔵レンズの一部では、
OSをONしたまま電源を切ったりレンズを外すと、同様にカタカタ
鳴る現象が起こるとの事だが、本レンズは手ブレ補正非内蔵だ)
それと、本レンズは、鏡筒(鏡胴)色が、銀と黒との2種類が
あるが、銀色は「水筒」のような外観であまり高級感は無い。
で、いずれにもフードが付属しているものの、どちらの場合
も黒色となっていて、これは銀色のレンズには似合わない。
冒頭の紹介写真を見て貰えればわかるが、本レンズは銀色
であり、フードは付属品の使用をやめて、他社製の色の似た
銀色の物を装着している。余分な出費になったが、ただでさえ、
持ち歩くとカタカタと言う、安っぽくて格好悪いレンズだ、
それに加えて銀と黒フードのアンバランスなデザインとしたら
出来の悪さ満載のシステムとなる、別途フード購入は
やむを得ない。
あと、無限回転式ヘリコイドの仕様も気に入らない。
もっともこの点においては、各社の殆どのミラーレス機用の
AFレンズにおいても、無限回転式だ。
この仕様のレンズは、AFとMFをシームレスに切り替えて使う
用途の場合にはヘリコイド回転角の制限を受けないので良い。
本来ならば、AF時とMF時のヘリコイド回転角の実撮影距離への
反映方法を自動的に切り替える事が望ましいのだが。
(つまり、AF時は狭い回転角で素早く廻り、MF時は広い回転
角で厳密なピント合わせを容易にする)
残念ながら、そのような仕様を持つ「操作系に配慮したレンズ」
は存在していない模様だ。
で、無限回転式を普通に使うと無限遠(∞)や最短撮影距離
において、ヘリコイドが止まる、という訳にはいかないので、
MF時の手癖(というか、身につけた経験的な技能)が
使えないので困ってしまう。
本レンズでボケ量を大きくする撮影がしずらいのは、
この問題もあって、要は、被写体までを最短撮影距離で捉えて
いるかどうかが、わからないのだ。
有限回転式ヘリコイドのレンズをMFで使うならば、あらかじめ
ピントリングが最短で止まるところまで廻しておき、そこから
人間自体が前後してピント位置を探す技法が使える訳だ。
そして、そもそも、鏡筒が水筒風にツルツルなのでMF時の
操作性は極めて悪い。
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AFレンズの場合、MF時に距離エンコーダーからの情報を元に、
EVFまたは背面モニターに、ピント位置を示すバーグラフの
表示が出る。
この機能を使えば、無限回転式ヘリコイドのレンズでも使い
易くできるか? と言えば、そんなに単純なものではなく、
まずバーグラフは距離表示精度が低く使い難い。
おまけにグラフは、EVFでの構図上にスーパーインポーズ
されるので、見た目が邪魔でしかたが無い。
よって、私はこの機能は基本的には使わないようにしている。
ちなみに、AFでピントが合わなかった場合、仮のAF距離は毎回
バラバラであり、近接撮影したくても、ピント距離が10mとかに
なっていてMFでのピント移動量が非常に大きい場合も多々ある。
余談だが、DMC-GX7にはPANA Gシリーズでは初めて内蔵手ブレ
補正を搭載したカメラであるが、デジタルズーム、デジタル
テレコン機能を多用する撮影では、都度手ブレ補正の焦点距離
を変更せざるを得ず、これは実用的では無い操作系だ。
なので、内蔵手ブレ補正の機能はあえてOFFして、使わない
ようにしている次第である。
まあ、厳しく言えば、色々な弱点を持つ本レンズではあるが、
描写力の高さという大きな長所に比べれば、他の弱点は
微々たるものであるとも言える。
ミラーレス機(非フルサイズ)ユーザー必携のレンズであろう。
余談だが、SIGMA DP0の搭載レンズ、14mm/f2.8は、単体発売
される模様がいっこうに無い・・
そして、ミラーレス市場においても、フルサイズEマウントが
人気である近年においては、こうした付加価値の低い(つまり
価格が安価な)シリーズのレンズの製品展開は、もう苦しいの
かも知れない。DNシリーズは、いずれも安価で描写力の高い
コスパに優れるレンズ群であるから、製造中止は惜しい。
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さて、次のシステム
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レンズは、OLYMPUS M.Zuiko Digital 45mm/f1.8
(中古購入価格 16,000円)
ミラーレス・マニアックス第58回記事で紹介した、
2010年代のμ4/3専用AFレンズ。(以下MZ45/1.8)
このレンズは焦点距離的には標準レンズであるが、μ4/3機
に装着した際には、90mm相当の中望遠画角となる。
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解像感、ボケ質ともに問題は無い、逆光耐性も悪くない。
上で紹介したSIGMA A60/2.8と、良い勝負をする感じだ。
弱点は、これはレンズ自体の問題とは言えないが、μ4/3機
では、基本的にプレビュー(=絞込み)操作を行わないと、
被写界深度やボケ質を確認できない事だ。
f1.8は、標準レンズの焦点距離においては大口径レンズとは
言い難いが、それでもミラーレス機用の普通の単焦点レンズは
開放f2.8付近なので、まあ大口径な部類である。
こうしたレンズは当然ボケに配慮した撮影になるのだが、
その際にμ4/3システムは基本が開放測光なので、ボケの調整が
やりにくい。
これだったら、MFレンズの50mm/f1.8をアダプターで装着して
絞込み測光にした方が、遥かにボケのコントロールはしやすい。
それから、コントラストAF方式のμ4/3機では、あまり大口径
のレンズを使うと、AFのピント精度が怪しくなる。
ミラーレスマニアックス記事で、古いLUMIX DMC-GF1に
本レンズを装着した際には、AFの精度の悪さに悩まされた。
今回使用の本機G5は、さほど古いと言えるカメラではないが、
それでもちょっとAF精度は厳しい面がある。像面位相差AF等の
新技術を搭載した機体で無いと苦しいという事であろう。
そして、MFに切り替えて使おうにも、こうした近年の
ミラーレス機用レンズの無限回転式ヘリコイドは前記のように
使い勝手が悪いという問題点が出てくる。
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つまり、本MZ45/1.8は平均点以上の優れた描写表現力を持つ
レンズであるのに、μ4/3というシステムの上では、このレンズ
の特性が十分に生かせない訳だ。
特性を生かすというのは、勿論、被写界深度を浅くしてボケ
表現を重視した撮影技法だ、その際の本レンズのピント面の
シャープさは捨てがたいものがある。
AFが効かない(精度が悪い)、MFが使えない(操作性が悪い)
ボケの確認ができない(操作系が悪い)、と言うのは
いずれも、システム側の問題なわけだ。
まあでも、カメラは、いずれもっと進化していく。
事実、近年のパナソニックのμ4/3機においては、
AFをある一定方向に駆動していき、その際、4K動画エンジンを
用いて何枚かの画像を高速で連続取得し、各々の画像のピントの
合致度(コントラスト検出または高速フーリエ変換か?)を
計測することで、今駆動しているAFの方向が正しいか逆か?が
わかり、加えてピント合致度の変化の差分を検出していく事で、
AFの駆動量を推測し、従来よりも高速にピントを合わせる
技術が搭載されている。
これを、パナソニックでは「空間認識AF」と呼んでいる模様だ。
ただ、ピント合致度の検出で適切なところでAF駆動を停止した
として、確かにAF合致速度は高速化できるとは思うが、
その際のピントの精度が高いかどうかは不明だ。
どうも原理的(技術的)には、精度の面は怪しいところがある。
つまり、ピンポイントでAFを合わせたい画面上の特定の位置に
ちゃんとピントが合うかどうかは、この技術では難しい所が
ある、というのが私の解釈だ。
それから、この新技術には「フォーカスセレクト」という
機能も副産物的に得られるとの事だ。
つまり上記のAFの高速駆動中に4Kエンジンで、30fpsまたは
60fpsで連続画像取得ができるのであれば、それらの連続画像
をスタック(積層)しておき、撮影後に任意のピント位置の
ショットを選ぶことができる。
例えば具体的には、手前の人物にピントが合っているものと、
奥の人物に合焦しているものを選択可能だという事だ。
だが、この新技術もどうだろうか? AF駆動の高速化を狙う
のであれば、1コマあたりのAF駆動距離は大きくなくては
ならない。
レンズの被写界深度が極めて浅い場合、例えば、本記事の
前半で記述したような、被写界深度数mmという、大口径や
マクロでの近接撮影においては、AFの駆動距離のステップ数が
それを上回る事は確実であろう。
もし逆にそんなに細かく動いていたら、今度は時間がかかって、
せっかくのAF高速駆動のメリットと相反してしまうからだ。
つまり、ビギナー向けのキットズームなど、被写界深度に
配慮する必要の無いレンズでは上手くいっても、
本レンズや、これ以上の大口径レンズでは、ちゃんと動作する
保証が原理的には得られ難いと思う。
まあ、私は「空間認識AF」を搭載しているボディを現在では
所有していないので、将来、それらのいずれかを購入して、
そのAF精度を試してみるとしよう。
しかし基本的には、デジタル一眼レフでも、ミラーレス機でも、
大口径のレンズが、ぴたりとピントを合わせられるとは、私は
思っていないので、あまりカメラのAF技術の進化には期待して
いない。
それよりも、MF操作をアシストする様々な技術が発展した方が
よほど嬉しいのであるが・・
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ピント精度が怪しいという問題点を除けば、十分にコスパが
良いレンズであると言える。
まあ趣味の撮影とかで、100枚撮って数枚ちゃんと撮れていれば
十分、という程度の歩留まりの悪さを覚悟して使うのであれば、
きっと役に立つレンズになる事であろう。
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さて、次のシステム
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ユニットは、S10 24-72mm/f2.5-4.4 VC
(セットでの中古購入価格 21,000円)
ミラーレスマニアックス記事では複数回登場している
お馴染みのシステム(ユニット)である。
GXRシステムでの焦点距離表記は、最初からフルサイズ換算と
なっていて、本ユニットのレンズの実焦点距離は、
5.1~15.3mmである。
(注:S型のセンサーサイズは、1/1.7型となっている)
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基本的には本ユニットが1本あれば、だいたい事足りる。
GXRシステムの長所短所は、ミラーレスマニアックス記事で
散々書いてきたので、ばっさり割愛しよう。
(必要ならば第1回,第19回,第43回記事等を参照)
まあ、GXRの最大の問題は「技術的に古い」という事である。
それ故に、ピントはコントラストAFのみで、全くと言っていい
ほど合わず、ピーキング機能もほとんど効かない。
つまりピント合わせが致命的な弱点となっている。
だが、2009年にGXRシステムが発売された時には、そこそこの
インパクトがあった、この頃は、まだ市場にはミラーレス機も
殆ど出ていなかった時代なのだ、小型機で大型のセンサーを
搭載した様々なユニットを交換できる、というコンセプトは
非常に優れていた。
しかしGXRにとって不運だったのは、この後からミラーレス機
が爆発的に普及した事だ、他社のレンズが殆ど装着できない
(注:後年 A12マウントが発売されたが)上に、ユニットも
専用となるGXRは、ユニバーサル(汎用的)なシステムでは
なかった訳だ。
私はGXRが生産終了になり、中古相場が十分に安くなってから
S10やA12系のユニットを3本合わせて購入した。
2017年現在ではさらに中古相場は下落して、1万円台前半で
本システム(S10 KIT)を入手可能である。
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具体的な長所としては、操作系に優れる事や、当時としては
先進的な機能が沢山入っていた事である。(例:手ブレ補正、
ピーキング、連続デジタルズーム等)
1万円台で、この歴史的なカメラ(注:歴史的な名機とは
ちょっと言い難いが・・)を入手できるのであれば、これは
もう十分にコスパは良いと見なすべきであろう。
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コンパクト機(注:コンパクト・デジタル・クラッシックス
記事参照)の代用として使うのも良いかも知れない。
ただし、ピント精度はむしろ現代のコンパクト機の方が高い
ので、その点については注意(覚悟)する必要はあるだろう。
そして、いざとなれば高描写力のA12シリーズの28mmや50mm
マクロを、安価になった相場で購入し、楽しむ事もできる。
まあ、これらA12もピントが全く合わないのだが、万が一(笑)
合った際の描写力は、只者ではなく、こんな小型機で
一眼レフ級か、それ以上の画(え)が撮れてしまうのは、
ある意味痛快だ。
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さて、今回ラストのシステム
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レンズは、PANASONIC G25mm/f1.7 (H-H025M)
(新古購入価格 14,000円)
ミラーレス・マニアックス補足編第3回記事で紹介した、
2010年代のμ4/3専用AFレンズ。
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中古市場に流出した。
で、その際の価格は少しバラツキがあったのだが、いったい、
いくらだったら売れるのか?が、中古市場でも不明であったの
であろう、相場は変動し、私は、恐らく最安値のレベルお
14000円で新品購入できたので、十分に安価だったと言える。
あるいは後述するが、2017年に本レンズがGF9のキットレンズ
(銀色有り)となったので、旧来の外装品を在庫処分したの
かも知れない。
実際のところは良くわからないが、不人気だったと仮定すると
そもそもPANASONICのミラーレス機の購入者層はビギナー層が
大半である、また、マニアはGHシリーズやGXシリーズの高級機
に目が行くだろうし、こうしたエントリーレンズ(注:安価な
価格で高性能、すなわちお試し版レンズ)には興味が無いので
あろう。
また、ビギナー層は、銀塩一眼時代の昔から、一眼を買った
時に最初から付いていたレンズ(=キットレンズ)以外は、
まず購入しないというのは定説だ。
ましてや今のミラーレス時代、もはやビギナー層は「カメラ
(写真)をステップアップしながら楽しむ」という発想すら
全く無く、単なる消耗家電製品の一種、としかカメラを
捉えておらず、ますます交換レンズなどは買わない。
PANAの単焦点レンズでは、過去4種類がキットレンズと
なっていた、GF1とのキットでG20mm/f1.7(初期型)、
GF2ではG14mm/f2.5、GX7ではG20mm/f1.7Ⅱ、そして
GX8ではG15mm/f1.7である。
これらのレンズは比較的定評がある、何故ならば、そうした
ミラーレス機のユーザー層は単焦点レンズを別途購入しない、
という状況においては、それらのレンズは唯一ユーザー層が
身近に触れられる単焦点レンズだからだ、中には目の効く
ユーザーも居て、キットズームに比べて描写表現力が高い
事は、わかったのであろう。
で、じゃあ、評判の高いG20mm/f1.7と本レンズG25mm/f1.7に
どれだけ描写表現力の差があるか?といえば、実際のところ
差異は殆ど無い。まあ、あえて言えば、G25mm/f1.7の方が
慣れ親しんだ50mmの標準画角になる事、被写界深度が僅かに
浅くできるので、ボケ表現力の自由度が若干上がる事、
そして、本レンズの方が従来では、誰も注目しておらず
マニアック度が高かった事、等がメリットとして上げられる。
また、コスト面においても、G20mm/f1.7(Ⅱ)の中古相場は
2万円台半ばであり、それから、オリンパスの類似レンズ
M.Zuiko 25mm/f1.8も同様の2万円台半ばの中古相場だ。
それらと比較すると、本レンズの新古品14000円は、圧倒的に
安価だ。
なお、2017年、初級者向け新製品DMC-GF9のダブルレンズ
キットに、本レンズG25/1.7が採用されたので、今後また
世間の評価が変わったり、中古市場での流通は多くなって
くるかも知れない。
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AF精度と開放測光(ボケ確認困難)は、他のケースと同様だ。
レンズ自体の課題としては、フード装着時に、リングを一旦
取り外す必要があって面倒な事、それと、感動的、と呼べる
ような描写力は持たず、平凡な性能である事だ。
作りも安っぽく、あくまでエントリーレンズのレベルだ。
(注:GF9キット版では改良されたかも知れない)
それから、25mmの焦点距離がμ4/3で50mm相当の画角に
なる事は前記で長所としたが、逆に、平凡な画角である
という弱点にも繋がるかも知れない。
ただ、これらは長所にはなりえないが、短所という訳でもなく、
普通に良く写るレンズである事も確かだ。
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レンズであるとも言えるが、まあコスパの良さや、軽量で
軽快に使え、おまけに(例えば過酷な撮影環境で使って)
壊れても惜しくない等、使い勝手の上でのメリットがある。
ちなみに、25mmという焦点距離のレンズはμ4/3においては、
標準画角となる事から、パナソニックでも高品位版のレンズが
あるし、他社からも多数の個性的なレンズが発売されている
(例:フォクトレンダー ノクトン 25mm/f0.95が代表的)
しかし、「同じ焦点距離のレンズがあるから、他はいらない」
という訳でもなく、それぞれ特徴も用途も異なるから、別に
μ4/3用25mmを何本も所有していても不自然では無い。
総括だが、μ4/3マウントにおいて、コスパを重視する、という
発想でのみ本レンズ G25/1.7の存在意義があると思う。
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さて、今回の記事は、このあたりまでとする。
次回もまたミラーレス機用のレンズを紹介していく事にする。