
2015年8月30日、大阪府泉佐野市・関西空港にて行われた
第12回KIX国際交流ドラゴンボート大会の模様より、前編。
「国際交流」というサブタイトルが今年からついた本大会であるが、
まあ、関西空港(関空)で行われている大会であるから、以前から
本大会には航空会社関連の多くの海外チームがエントリーしていた。

本大会が始まったのは、11年前の2004年、以降、私は全ての
本大会を観戦している。
かつて、比較的天候に恵まれる確率が高かった本大会ではあるが、
数年前より、雲行きが怪しくなってきた。
発端は、2009年の本大会、この大会は強風と、それによる高波で
決勝戦で複数の艇が沈没するという非常に稀なケースとなった。
また、2013年の本大会は、ゲリラ豪雨で、大会は序盤で中止となった。
(ちなみに、中止になったので、どんなチームが来ていたのか
あまり意識していなかったが、今、記事写真を見返してみると、
先日のATC大会のチャレンジの部の優勝の「ドリーマーズ」
が来ていましたねえ・・)
で、昨年2014年の大会は、大型台風の接近により、大会前日に
早くも中止が決定されてしまったのだった・・
この他にも、よく雨が降る大会として、旧「びわこスプリント」、
(現:スモール選手権)および旧「天神大会」(現:日本選手権)
があるのだが、私は、これらの全ての大会に国内最強チームの
「磯風漕友会」が良く参戦していたことから、「磯影=雨男説」を
唱えてしまっていたが、私がそう言ったのを気にしてか(?汗)
「磯風」は、本年は本大会に不参加。
だが、2年連続中止となって、3年ぶりの開催となる本年2015年の
第12回大会、天候はあいにくの雨
匠「あ~、もしかして雨男は磯風さんじゃあないかもね(?)」
で、実は、朝方、あまりの豪雨で、家を出られず、大会開始から、
1時間ほど遅刻になってしまった(汗)まあ、会場に着くころには
雨も小降りになってきたし、大会は少し遅れてスタートした模様。
だが、なんとか全レースをこなすために(注:3年連続中止とも
なったら、お話にならない・・)急ピッチで、レースを進行させて
いるところであった。

国際交流大会と銘打っているだけあり、香港キャセィパシフイック
チームや、オランダのKLMチームなど、海外航空会社のチームが
多数エントリーしている模様だ。
加えて、ANAなど国内航空会社チーム、それから、関空の工事を
担当する、竹中工務店店や熊谷組など工事関連チームの参戦も、
例年おなじみだ。ちなみに、竹中は例年「新人研修」の一環として
本大会にエントリーするため、メンバーは毎年変わる。
また同時に成績も例年浮き沈みが激しい。
竹中は、今年は、FKE22というチーム名でオリジナルTシャツ
まで作っての参戦、しかも、予選タイムは1分11秒
(注:250m、かつ、コース条件はかなり悪い)
と、なかなかの好タイムであり、本年の新人はなかなか強そうだ。
(結果、オープンの部で決勝進出し、4位という好成績であった)
他、「阪南市役所」が「大阪魂XXX」という名前のチームを
多数参戦、地元の大会を盛り上げようとして下さっている。
実は昨年の大会の組み合わせ表を見ていたら「大阪魂・・」という
チームが多数あったので「どこのチームだろう?」と疑問に
思っていたのだが、昨年の大会は台風で中止になってしまった、
なので、「大阪魂」は今年初参戦という事になるのだが、まあ、
疑問が解けた感じである。
それから、勿論、本家「新関西空港株式会社」も、ドラゴン専業の
「関空飛龍」はもとより、関西空港チームをいくつか参戦している。

さて、関空大会の特徴だが、これらの、本大会特有の地元チーム
の参戦により、非常に華やかな大会であるということだ、
選手に「美女」が多いのも特徴だ。
・・と、ここまで書いてきて、先日の「びわこペーロン」の記事
で書いていた事を思い出した。
私の、近年のドラゴンボート観戦記事では、記録性・ドラマ性の
両者を重要視して、できるだけ詳細に大会の環境や特徴、結果、
出来事等を記事に書いているのだが、自分で書いていて感じるのは、
”遊び心”が無くなってきてしまっているという点だ。
詳細さでは、他のドラゴン関連記事の追従を許さない・・と
思いつつ記事を書いていたのが、そもそも、ドラゴンに関する
メディアなんて、他に何も存在していない・・(汗)
「月間ドラゴンマガジン」や、「メンズドラゴン」(笑)などが
発刊されているのであれば、当ブログは独自の視点で好きなように
書けば良いのだろうが、残念ながらドラゴンボートの専門誌は
世の中には無い。そして、新聞記事なども、紙面の枠の都合で、
たとえ記者さんが沢山文章を書きたくても、それは困難なのだ。
まあ、それが現実であり、当ブログは、他に代替メディアが
存在しないから、どんどん大会の内容を詳細に書かなくてはならなく
なり、唯一のドラゴンメディアとしての重責がのしかかってくる。
結局、自分が好きなようには書けなくなる、という矛盾があるのだ。
・・で、今回は、少し、好きなように書いてるとするか。
毎回毎回、真面目に記事なんて書いてられるか~!(笑)

そして、雨天であるし、まともに写真を撮るのも難しい。
岸からの距離も非常に遠い本大会であるから、雨天の遠距離
写真は、どんな方法でも、ちゃんと撮れるはずもないのだ。
世の中の写真愛好家の恐らく99%は、酷い雨降りの中で、
機材が濡れるのもかまわずに写真を撮ることは無い。
だから、雨が降ったときに、撮影条件がどれだけ悪くなるか、
特に、遠距離撮影で、空気中の雨粒により、コントラストや
解像度が低下して、がっかりするような酷い写真になるか、
など、皆、恐らくは知らないのだ。
この条件では「撮ってられるかよ~」というのが本音のところ。
けど、出来上がりの画質はともかく、ドラゴン大会であれば、
そうした悪条件の中で撮ることは年に何度もある。
最近は「雨用機材」として、もういつ壊れても良いような古い
カメラを持ち出す事が多いのだが、今日は、朝から大雨で、かつ、
一日中やみそうも無いので、もう、レースは撮る気が失せている。

雨降りなので、撮影機材を持ってくる段階で、普段の撮影機材とは
まったく違うものに変えて持ってきている。
まず、ロングズーム機(高倍率・高機能コンパクト)の、
FUJI S200EXR (約30~430mm相当)が今日のメインカメラ。
私は、昔から「雨天専用機」として、こうしたロングズーム機
を良く使う、以前は、Dimage A2 という機種だったが、これは
10年以上も前の2004年(これは本KIX大会が始まった年)の
ものであり、現在では博物館行きのカメラだ(まあ、今でも
十分使えるので、たまに雨の日に持ち出すが)

そこで、数年前に、ほぼ同じ目的で使用可能な FUJI S200EXRを
後継機とした次第。これは特に、中古で11000円台、と、値付けを
間違ったのではなかろうかと思われるほど安価で、かつ430mm
望遠が使えるので、雨天撮影、しかもドラゴン可として購入した。
(現在、S200EXRは中古では入手困難だが、類似の仕様では、FUJI
HS30EXR(望遠720mm相当)が中古13000円ほどで入手可能)
他のカメラも安価なものばかりで、今日は3台のカメラとレンズ
で合計価格4万円くらいと、まるでジャンク屋さんの相場だ。

KIX大会は今年12回目だが、ある意味まだまだ歴史の若い
大会の部類だ、国内のドラゴンボート大会の走りと言える
天神大会(現:日本選手権)は、1988年からのスタートなので、
30年近くの歴史を持つ。
滋賀県の「びわこペーロン」と「びわこ高島ペーロン」も、
それぞれ25回前後とのことで、もう四半世紀も続いている。
「ペーロン」は、旧来より各地で行われていたということで、
例えば「相生ペーロン」は、大正時代から100年近く続いている、
「長崎ペーロン」にいたっては、江戸時代からということで、
非常に長い歴史を持つ、というより、もう、伝統文化であろう。
KIXの第一回大会では、私は撮影にまだフィルムを使っていた、
ここで思うのだが、デジカメの進歩って、世の中の流れよりも
早すぎるように思うし、さらにポイントをあげるならば、
別に10年以上前のデジカメだって、今でも十分使えるのだ。
それはまあ、細かい仕様上の不満はあるが、最新のカメラで
ないと撮れない被写体なんて、まず無い。まあ、あえて言えば、
超高感度とか、4K連写という機能は、今まで撮れなかった
ものが撮れる可能性があるが、そうした最新機能は、長所ばかり
というものでは無いし、まあ、昼間という条件では新しいカメラで
なくても何も問題ないのだ。
で、今日、中古で6000円くらいという格安のミラーレス
LUMIX GF1 には、SIGMA の最新レンズ A60mm/f2.8 を
つけてきている、レースの撮影には使いづらいが、美女が多い
本大会だから、人物用撮影にという事で持ってきているのだ。

さて、KIX、すなわち関西空港の環境も、この10年以上の
間にずいぶんと変化した。
ちなみに、関空の「KIX]という3文字の省略記号(コード)は
国際空港に付けられる国際的な略称である。日本ではKIXの他
HND(羽田)、NRT(成田)、NGO(中部)等がある。
アイドルグループのAKBとか、NMB、HKTなども、これと
同じような省略方法の略語だが、勿論、空港の略称が本家だ。
ちなみに国際空港コードで、SPNというと、これはスペイン
のように一瞬思うが、実は「サイパン」
スペインの空港は、マドリッドがMAD,バルセロナがBCN等
都市別のコード名になっている。
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さて、関空の環境が変化したという話だが、具体例を・・
本大会において、選手が乗艇場から帰ってくる・・

従来、この大会では、展望デッキに選手村のテントがあった、
しかし、今年は、当該地区は工事中で、選手村は別の場所に
行かなくてはならない。
大会会場から、階段を上がり、真新しく整備された道路へ。

で、さらにその道路を歩く・・

しばらく歩き、横断歩道を渡ると、やっと選手村を設置した
芝生広場に着く。

この広場もかなり広く、自分たちのチームのテントには
なかなかたどり着けない。
芝生広場は、本来ならば、散策に都合が良さそうだが、
まだ遊歩道が整備されておらず、かつ、今日は雨降りで
足場がかなり悪い。

やっとテントに到着だ。
まあ、ここで言いたいのは「選手村が遠い」という文句ではない、
それは、工事中・整備中ならばしかたない。
関空は、今から約20年前の1994年に開港した、当初、周囲の
期待が大きすぎたのか、業績が振るわないという話を良く聞いた
のだが、2000年代の初めあたりから、将来を見据えた二期島の
工事が始まった。その後、関空の業績は回復し、2012年になって
二期島に第2ターミナルが完成、LCC(低価格路線)の
ターミナルとして、現在は非常に賑わいを見せている。
本KIX大会が始まった2004年ごろは、二期島の土台が出来た
あたりだった、二期島のアピールも兼ねて、このドラゴンボート
大会や、あるいは、「KIXサマーフェスタ」(夏祭り)も
当時は二期島で開催され、屋台などが出ていたりした。
(現在は、サマーフェスタは空港駅の周辺で行われている)
当時の二期島への観客誘致は順調で、二期島見学ツアーが行われ、
お祭りには、子供達の来場も多く、ドラゴンボート大会でも、
2006年には、前日祭として体験乗船会を行うほどであった。
ちなみに、当時の写真が残っている。

これは第2回大会、10年前の2005年の写真だ。
当時の二期島には、まさに何もなく、大きな工事車両が沢山
来ている状態であった、何もない部分をわざわざ写真に撮る
筈もなく、背景としてたまたま写っているものを探すしかない。
第1回大会では、フィルム撮影なので、ネガが見つけにくいのだが
フィルムでは撮影枚数は少ないので、ますます、何もない二期島
の写真は見つからないであろう。覚えているのは、第1回大会は
もっと工事の最中、という段階で、ホコリっぽく、汗と埃で、
選手もスタッフもドロドロになった事を記憶している。

こちらが同年の、「楽打艇」(らくだ)チーム、
そう、現在の「打艇龍舟倶楽部」の前身だ。
(写真の女性はどなたか、皆さん良くご存知であろう・・)

こちらが、第3回、2006年の写真、あいかわらず二期島には
何も無いが、背景に観光バスがひっきりなしに走っているのは、
第1ターミナルから、ここまで、「KIXサマーフェスタ」の来場者を
運ぶ為のものであった。
ちなみに、選手達は当時の「磯風漕友会」だ。
10年の間に、チームも選手も環境もだいぶ様変わりしている、
まあ、そのあたり細かく書いていると長くなるのだが、
今回の大会と比較すると、今回はドラゴン専業チームの数が
少なく、地元や関空関係者チームの比率がとても高いという事だ。
当時の大会では、現在も活躍する「専業チーム」も多いが、
今はあまりアクティブに活動していないチームの姿も見られる。
まあ、チームや選手達も、時間の経過とともに、ライフスタイルが
少しづつ、結果的に、大きく変化しているということなのであろう。
実は、今の二期島の写真もあまり撮っていない。ドラゴンの大会
とは、ほとんど関係が無いからだ。だが、こうして昔の大会の
写真を掘り出してみたりすると、記録として残しておくのも
重要だなあ、と思ってしまう。
カメラの進歩が(ユーザーが必要としている以上に)早過ぎる
と先に書いたのだが、世の中の変化も、実際のところ、ちょっと
昔を振り返ってみれば、驚くべき変化を遂げているのであろう、
しかし、それが、進歩か否かという話はまた別問題だ。
思えば、二期島まで行くにしても、昔は歩いた事もあるのだが、
今は、ドラゴン大会専用シャトルバスで移動だ、二期島のLCCの
シャトルバスとは区別して運行されるため、15分ほど待つことも
ある、だったらもう歩いた方が早かったようにも思うが、
便利なものがあることを知っていれば、なかなか、不便な状況には
戻れなくなってしまう。
その昔、ドラゴン観戦には最適な、展望デッキも何も整備されておらず、
砂利だけが敷いてあった会場で、汗と埃まみれになって、フィルム
カメラで大会を撮影をしていたた頃の方が、なんだか写真にも
大会の熱気が込められていたような気もする。今は、世の中的には、
あまりに、何もかも、便利で安直になってしまったのかもしれない。

二期島が整備されたことで、KIXラゴンボート大会も当初の
目的のままという訳にはいかないであろう。その1つの対応が
今回のサブタイトル「国際交流」であると思う。
ちょうど、関西は、空前のインバウンド(海外から日本に来る)
観光客のブームという流れがある、まあ、円相場の変化などで、
多少の増減はあるだろうが、大阪市観光局の担当課長さんの
話を引用すれば「この流れは2020年くらいまでは続くであろう、
関西各所でのインバウンド観光客の受け入れ体制が後手後手に
なっているので早急な対策が必要だ」とのことである。
私も、今回、関西空港駅を久しぶりに訪れてみると、以前とは
比べ物にならないくらい、外国人観光客が増えていた事に驚いた。
まあ、けど、それら観光客が、ドラゴン大会の観客になってくれる事は
極めて少ない、ましてや雨天の中、わざわざ大きなスーツケースを
持ったまま観にくる人は居ないであろう。
けど、これは先日のATC大会のケースと同じだ、ATC大会では
猛暑の為、多数の来場客は、館内から、外のドラゴン大会を
観戦しに移動する動きをしずらかった。しかし、いずれのケース
でも、何らかの適切な対応をすれば、見込み観客数は非常に
大きいと思われる。
幸いにして、関空大会もATC大会も、大会会場環境などの点で、
参加する選手達の満足度は高い大会だ、であれば、これらに、
より多くの観客をつける為の方策が必要であろう、観客が増える
事で、ドラゴン振興の為の、様々な相乗効果が生まれてくると
思われるのだから。
特に「国際交流」は、関空も南港ATCも、いずれも海外との
玄関口になっている点から、大会運営上の、重要なサブテーマ
だと思う、ただし、これはドラゴン界だけではとどまらず、
大阪市などの行政や、大企業の支援が絶対に必要になる事だ。
そのためにも、観客を増やすことは必須だ、そのイベントが
魅力的であればあるほど、それらの支援が受けやすくなる。
時代は変わってきている、世の中も変わってきている、
その中で、ドラゴン大会がどう変化していくべきかを考える事は
非常に重要なテーマだと思う。
(以下、後編に続く)