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【熱い季節2017】第34回 堅田湖族船競争(後編)

2017年8月6日(日)に、滋賀県大津市、堅田地区の
「神辺なぎさ公園」にて行われた「湖族船競争」の
模様より、後編。

今回後編では、一般の部(注:地元堅田地区の自治会では無い
という意味)のカテゴリーの模様について紹介しよう。
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本大会の見所であるが、1つは「ターン戦」である事だ。

上写真では、本大会の一般の部では1,2を争うターンの名手の
2チームのターンの模様であるが、奥のチーム(小寺製作所)
では、艇の先頭に乗る「監督」が、船の外にまで乗り出して
内側に体重をかけ、ターンを助けようとしている。

これはまるで、バイク(モーターサイクル)のコーナリング
での「リーン・イン」のような状態だ。

バイクのコーナリングは、ハンドルを廻して行うのでは無く
体重移動で曲がる。バイクを傾けた際、その傾きに応じて
体を同様に傾けるのが「リーン・ウィズ」で、これが基本だ。

しかし、より速い速度でコーナーを曲がろうとすると、強い
遠心力が働き、バイクと同じ体の傾きの角度では曲がり難い。
そこで、コーナーの内側に向かって、バイクよりも内側に
体を傾けるライディング・フォームを「リーン・イン」と呼ぶ。

このフォームは多少は曲がりやすくなるが、見通しの効かない
一般公道では若干の危険を伴う。
なお、サーキットでのバイクのレースの場合は、公道よりも
安全で、かつ公道よりもさらに速い速度で曲がらなくては
ならない為、リーン・インよりさらに体をコーナーの内側に
ずらして、バイクにぶら下がる形(ハング・オン、または
ハング・オフと呼ばれる)となる場合もある。

ちなみに上写真で、右側のチーム(松陽台 守(もり)の
シルバニアファミリー)の先頭の女性監督の場合は、バイクで
言う「リーン・ウィズ」と同様の体の傾きでオーソドックスだ。

この艇の場合は、バイクとは違って、勿論、舵で曲がるのだが、
コンマ1秒を争うレースであるから、体重移動で、少しでも
曲がりやすくしようという方法論であろう。
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前置きが長くなったが、本大会について。
会場は、前編で説明したようにJR湖西線の堅田(かたた)駅
から浮御堂(満月寺)を目指して徒歩20分ほどで到着する。

上写真は、会場の「選手村」から見える「浮御堂」であり、
滋賀の名所を示す「近江八景」にも選ばれている。

風光明媚な環境だが、毎年8月の最初の日曜日に行われる
スケジュールなので、天気が良い場合は大変暑いのも
特徴である。

ドラゴンボートやペーロンの大会で、どの大会が一番暑いか?
と言えば、私の印象では概ね8月に滋賀や大阪で行われる
4大会が一番暑く感じる。
具体的には「堅田 湖族船競争」「ドラゴンキッズ」
「びわこペーロン」「KIX(関空)大会」である。

この4つの大会は、暑さに加えて、会場には殆ど木陰等の
日差しを遮る物が無い。私は本大会(湖族船競争)は観戦が
2年目であるが、他の3大会は10年以上の期間、全ての大会を
観戦している、これらの大会では、極めてタフなベテラン・
スタッフですらも暑さでへばってしまったり、熱中症の手前の
状態にまでなってしまう事もある。

実は、選手達はテントや日陰で休む事が出来るので、
スタッフよりは、まだ若干マシなのだ。

大変なのは、ずっと炎天下に居る必要があるスタッフであり、
さらに言えばカメラマンは、もっと大変だ。
これらの各大会に、ふらりと一般アマチュアカメラマンが来て
撮影をする事も良く見かけるが、2時間もたずに撤収してしまう。
暑くてやってられないのだ、まあ正直言えば、熱中症になって
倒れられても大変なので、この時期の大会撮影には一般の方は
来て貰いたくない、よほど慣れていないと危険極まりないのだ。

で、実は、スティル(静止画)カメラマンより、もっと大変な
役目のスタッフが居る、それは「ビデオカメラマン」であり、
例えば「びわこペーロン」ではBBC(琵琶湖放送)の放送用の素材
映像を撮影する為のビデオカメラマンが毎年来るのだが、予選から
決勝まで撮りそびれが許されない。他にも別の撮影チームがあって、
その1つは選手対応で、カメラマンと音声(録音)スタッフと
インタービュースタッフとが、ずっとセットで行動せざるを得ず
個々に休憩すると言う訳にも行かない。まさしく激務であろう。

----
さて、一般の部の予選の模様だ、

予選第1レースは、手前からレーン順で「わくわく郵便局チーム」
「堅田スポ少野球部」「湖族太鼓」「スターバックス」だ。

「スポ少野球部」と「スターバックス」は、昨年決勝進出し
熾烈な3位争い(注:3位までは賞金が出る)を繰り広げ、
僅差で「スポ少野球部」が3位となった。
しかし「スターバックス」は、一昨年2015年の大会(未観戦)
では、3位となったそうなので、ここも実力派チームだ。

なお、今回の「スポ少野球部」は、昨年とは微妙にメンバーが
異なる模様であり、「昨年は私は漕いでませんでした」と言う
メンバーも何人か居る、実力値はちょっと不明な感じだ。

「湖族太鼓」は本大会の常連であるが、過去に決勝進出は無い。
また、太鼓系のチームとしては、他にも「湖鼓RO(こころ)」
があるので、ちょっとしたライバル関係かな?

「わくわく郵便局」は、1つの郵便局ではなく、大津市の
多くの郵便局からの選抜チームであるという事だ。

郵便局のチームと言うと、大阪の堺泉北(高石)大会では、
毎年5つ以上の郵便局(JP)チームが出場していて大勢力だ。
ただ、滋賀の郵便局チームのメンバーとは被ってはいない模様。

さて、レースの模様。
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おっと・・昨年3位の「スポ少野球部」(左)と、
「わくわく郵便局」(右)が、ターン地点で接触。

普通、ターンの方向はポールに対して「反時計回り」と
決められていて、隣のレーンの艇と干渉する事は無い。
しかし「スポ少野球部」はターンのコース取りに失敗し
修正している所で「郵便局」と接触になったのだ。

が、衝突とかの大事故ではなく、転覆等には至らず。
帰路では「スポ少野球部」はミスを取り返そうと全力の漕ぎで
2位まで上がったのだが、審判部の判定は残念ながら「進路妨害」
となって失格となってしまった。
この結果、この予選レースの1位は「湖族太鼓」となった。

「自治会の部」と同様に「一般の部」も、準決勝戦が無い
レースフローで、3つの予選の各1位のチームと、および
全体のタイム上位の1チームだけが加わった計4チームで
決勝戦が争われる。

強豪「スターバックス」は残念ながら今年は予選敗退だ。

----
さて、次いで予選第2レース。
ここは、手前レーンから、昨年優勝の「小寺製作所」
「松陽台 伝説(レジェンド)」、「チームぴっくあっぷ」
「堅田高校サッカー部」となっている。

注目は「小寺製作所」と「松陽台 伝説」の専業チーム争いだ。

「小寺」は直線の速さに加え、ターン戦に滅法強い。
琵琶湖でのターン戦は「高島ペーロン」「東近江(能登川)」
そして本大会の3つがあるが
小寺の戦績は、高島優勝(2014年)東近江3連覇(2015~2017)
本大会優勝(2016)と全てのターン戦を制覇している。

対する「松陽台 伝説」も高島ペーロンをホーム大会とする
地元強豪(ベテラン)だ。同大会での優勝多数、近年では、
2013年の優勝があるが、それ以降は高島市外の専業チームに
毎年優勝をさらわれている、その頃から各地のドラゴン、ペーロン
大会にも参戦するようになったが、まだ高島以外での優勝は無い。

なお「松陽台」には若手チーム「守のシルバニアファミリー」も
あって、本大会にダブルエントリーしている。

それと「チームぴっくあっぷ」は「大津市ふれあい雪まつり」
のイベントの関係者だと思うが、「いろいろな地域の集まりです」
との事で詳細は不明だ。
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予選第2レースで先頭を走る「小寺製作所」、直線も速くターンも
良い、独走で磐石の走り。

タイムだが驚異の3分48秒だ、昨年の「小寺」の優勝タイムが
4分07秒だったので、およそ20秒も短縮している。

コースのコンディションが良かったとは言え、これはなかなか
凄い好タイムだ、恐らくはコースレコードであろう。
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「松陽台 伝説」も善戦したが4分16秒で2位だった。
2位でも全体の最速タイムであれば決勝に進出できるので、
今の所、このタイムが暫定候補だ。

ちなみに「松陽台 伝説」「松陽台 守のシルバニアファミりー」
の見分け方だが、ユニフォームが違う。
「伝説」の方は、黒のユニフォームで「松陽台」とのみ書かれて
いる。
「シルバニア」の方は、濃紺のユニフォームで後ろには
「守のシルバニアファミりー」とのみ書かれている。

いずれにも同じボートを漕ぐイラストが描かれている。
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さて、続く予選第3レースだが、3艘建てである。

手前からレーン順に、まずは「水統(すいとう」、正確な出自は
良くわからないが、岐阜や奈良、兵庫等、各地からメンバーが
集まってきているチームだ。
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手前左から3人目の女子選手は、ドラゴンボート専業チームの
「チーム浪わ(なにわ」」で漕いだり、相生ペーロン専業の
「陸(くが)ペーロン」で漕いだりもしている、ドラゴン経験者
である。

本大会には何度か出場していて、まったくのビギナーチーム
という訳では無いが、まだ決勝進出経験は無い模様だ、今回は
頑張っていただきたい。
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上写真は予選レースに向かう
「松陽台 守のシルバニアファミりー」(手前の艇)である。

この名前は、実況解説泣かせであり、
実「長すぎて覚えられません(汗)今度から8文字以内で
  お願いします。どこかの国の名前ですかねえ・・?」

との事だが、私は出自を知っている。

「シルバニアファミリー」とは、玩具(ドールハウス)の名前で、
小さな家の中に、沢山の精巧な家具等があり、そこにウサギや
リス、ネコ等の小さい人形が付いていて、それで「おままごと」を
する物である。

森の雰囲気を出したメルヘンなイメージのデザイン、そして
なかなかの精密感と、豊富なオプション部品で、私ですらも
「おお、これ凄いな~、ちょっと欲しいかも」とデパートの
玩具売り場で見とれてしまっていたのだ。

おままごとをしないまでも、ドールハウスとしての観賞用にも
極めて完成度が高い。(セットの価格は2500円~5000円程度で
色々な種類がある。ただしオプションが欲しくなる事であろう。
また大都市圏にはシルバニアファミリーだけを扱う専門店もある)

余談だが、女優兼フィギュアスケーターの「本田望結」さんは
「中学生になってもおままごとをやっている」と、お母さんから
小言を言われている、とTVで話していたのを見たのだが、
彼女がやっている「おままごと」がこの「シルバニアファミリー」
であった。
そうであれば納得だ、これは「おままごと」のレベルでは無く
大人でもハマってしまいかねない。

「松陽台」には、3つ上の写真のように選手の小さいお子さんが
沢山居る模様だ、女の子達が「シルバニアファミリー」に夢中に
なっていても全く不思議では無いし、場合により、お母さん達も
ハマっているのかも知れない。

チーム名を決めるには、皆で何度も会議をしたと聞いているが、
なかなか面白い視点だ。
なお「森の・・」ではなくて「守(もり)の」と、もじったのは
守さん、という選手がリーダーだからだそうだ。

ちなみに同チームの女子選手によると、
シ「かわいらしい名前で、実は強い(速い)というのが
  格好良いと思います!」
とのことだ。

今回は上位入賞が期待できる、是非頑張っていただきたい。
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次いで「和太鼓集団 湖鼓Ro(こころ)」である。
昨年は準優勝、そのタイムは4分22秒だ。

出自は「スモール(ドラゴン)選手権」で勇壮な和太鼓の
パフォーマンスを務める「湖鼓Ro」を、ボート大会出場用に
「GPO」等の専業チームの選手を加えた編成だ。

演奏は抜群に上手い、昨年の大会では太鼓手(写真左)の
彼女が驚異の「16ビート打ち」(テンポ約240/分)を魅せ、
面白かったのだが、頭のビートで1/4のレート=60を聞いて
いても、あまりに正確なテンポであり。実際の漕手はそんなに
一定のリズムで漕ぐ事はできない(=レース展開に応じて、
緩急をつけなくてはならない)ので、超絶パフォーマンスも
レースには効果が無かった。

今回は予選前に、なんだか笛等を持ち出して、合わせる練習を
している。

匠「なんだ?レースの練習ではなくて、演奏の練習?!」
と思ったのだが、まあ、元々彼女達は音楽アーテイストだ。

どこか盛り上がったタイミングで、演奏を披露してくれるに
違い無い、それはそれで楽しみだ、頑張って決勝に残って貰いたい。

---
結局、予選第3レースは、順当に「シルバニア」が1位抜け、
タイムは3分57秒と「小寺」に続き4分を切ってきた。

この分だと、決勝は「小寺」と「シルバニア」の一騎打ちか?

しかし「湖鼓Ro」もなかなかの善戦、4分08秒と昨年のタイム
を14秒も短縮した。このタイムは本日の予選の2位の中で
最速で、ベテラン強豪「松陽台 伝説」をも破って決勝進出と
なった。

----
さて、一般の部の決勝戦の出場チームはレーン順で以下の通り。

白レーン:予選4分08秒:和太鼓集団 湖鼓Ro(こころ)
青レーン:予選4分40秒:湖族太鼓
黄レーン:予選3分57秒:松陽台 守のシルバニアファミリー
赤レーン:予選3分48秒:小寺製作所(昨年優勝)

予選から連続して決勝戦に進むのでなく、前編で紹介した
中学生の部の決勝戦を挟む。

中学生の部は1レースの決勝のみなので、長時間の観戦は
暑く、ちょっと可哀想な気もしたが、子供なので、そのあたりは
大丈夫であろう。

まあ、観戦が暑いのはやむを得ない。
撮影については、このあたりの時間(12時頃)から、だんだん
逆光が弱まってきて少しづつ撮り易くなる。

2週間前の「高島ペーロン」大会では強風と一時的な夕立に
見舞われたが、そういう荒天の方がむしろ撮影には困る。

ただ、暑さでも問題が出る場合があって、今日はSONY α65
というデジタル一眼レフをメインで使っていたのだが、
酷暑(36℃位)の中で、高速連写を繰り返していると、
カメラ本体が物凄く熱を持ち、ついに「カメラエラー」が
表示されて電源が入らなくなった。
「これは熱暴走だな」と思ったので、電池を抜いて数分間
カメラを冷やすと無事復活、その後は問題なく撮影が出来た。

まあ熱の他にも、雨や海水などの水分、そして潮風や砂埃等、
人間に加えて撮影機材(カメラやレンズ)にも過酷な環境な
事はいくらでもある、これは相当な経験とメカに対する知識が
必要なので、それこそ、高価な新製品カメラを持って来ていて、
過酷な撮影環境にも慣れない初級中級カメラマンには、絶対に
この時期のドラゴン等の大会撮影は推奨できない。

さて、暑さで、おなかもすいてきた、朝のうちにコンビニで
買いこんでいた、おにぎりを頬張るが、暑さで「焚きたてご飯」
のようになっていた(汗)

勿論水分はずっと補給しつづけていたが、これが最後のペット
ボトルだ、そろそろ時間的に限界か? というか撮影時間に
応じてのペースもある、今日は半日(4時間)パターンを意識
しているが、1日(8時間)の場合は、もっと頻繁に休憩を挟んで
いかないと、とても最後まで持たない。

---
さあ、午後一番からは、一般の部の決勝戦のスタートだ、
撮影ポジションはスタートから約200m地点のターン前。

勿論、前編で説明したように、この撮影位置からは、ターン
直後にゴール前地点まで早足で戻らなくてはならない
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写真はターンの数十m前の地点、3つのチームが接戦に見えるが、
撮影の角度がついているので、実際には奥のチームほど速い。

つまり「小寺」「シルバニア」「湖鼓Ro」の順だが、
「湖鼓Ro」は強豪2チームに対して、かなり善戦していると
言えるだろう。恐らく3位は確定的だ。

すると、予想通り「小寺」「シルバニア」の一騎打ちだな。
問題はターン勝負。

両者のターンの実力は、ほぼ互角だ。
「小寺」は、ここ4年程は滋賀の各地のターン戦大会に
積極的に参戦し、その全てで優勝経験がある。

「シルバニア」は「松陽台」時代より高島ペーロン大会で
非常に多くのターン戦経験を持ち、過去同大会で優勝多数、
しかし、2013年の優勝を最後に、その後は高島でもずっと
「小寺」に負けている。このあたりで盛り返しておきたい所だ。

さあターンイン、「小寺」が早かったか?
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写真では両者同等のタイミングだが、手前の「シルバニア」
の方がライン取りが良い、つまり速く回れるであろう。
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ターン終了時点で、直線に入る一歩手前、
ここでも両者同等に見えるが、手前の「シルバニア」は、もう
ターンから脱出しているのに対し、奥の「小寺」は、まだ赤の
フラッグを廻りきれていない。

「シルバニア」が半艇身ほどリードか・・
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ターン後の直線に入った状態。

接戦に見えるが、これもアングルの関係で、手前の「シルバニア」
が約半艇身(2秒)のリードだ。

結局、ターンで「シルバニア」が小寺との差を2秒以上縮めて
逆転した事になる。「小寺」とてターンの名手であり、ミスターン
と言う訳では決して無いのだが、今回は「シルバニア」が
上回ったという事だ。

さて、この時点で撮影地点を放棄、スタート前まで戻ろう。

早足で歩きながら帰路の様子を見る。
残り約200m、今日のペースならば1分30秒強程の時間だ。

この間、「小寺」の直線速度が「シルバニア」を上回れば、
まだ逆転のチャンスはある。強豪ドラゴン専業チームの
「小寺」であれば、その可能性はある。

だが、「シルバニア」との差は全く縮まらない。

思えば「小寺」は長距離が苦手なチームだ、元々は「ロケット
スタート」と呼ばれていて、短距離戦を得意としていたのだ。
そしてこの暑さ、向かい風、さらには漕ぎ時間が3分を超えると、
「小寺」のカラータイマーが点滅を始める・・

さらに細かい話を言えば、決勝戦前、「小寺」が珍しく
集合地点に集まって来ない、どうしたのか?と思って、私が
呼びに行こうかと思ったのだが、大会本部よりのアナウンスで
慌てて集まって来たのだ。
本来ならば、ちゃんと時間前に準備運動などを済ませて
気持ち的にも余裕を持って集合しているはずだ。「小寺」と
しては珍しく暑さで気合が抜けていたのであろうか・・?

こういったチームの心理的な状況も見逃せ無いポイントだ、
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優勝は「松陽台 守のシルバニアファミリー」

タイムは3分52秒であった、2位は小寺の3分54秒、
つまり、ターン後の帰路は、全く差が変化しないままの
状況であった。

「シルバニア」は、本大会初参加にして初優勝。

そして「高島ペーロン」の最後の「松陽台」の優勝の2013年
から実に4年。
「高島ペーロン」では、2013年こそ「小寺」を2位に抑えて
の優勝であったが、2014年に「小寺」が優勝してから、
今年2017年まで「松陽台」はずっと「小寺」には勝てなかった
のだ。
「松陽台」は、2014年以降、他にも「びわこペーロン」や
「スモール選手権」に出場の幅を広げ、「専業チーム」の
仲間入りを果たしたのだが、どの大会でも、ずっと「小寺」
には負け続けていた。
今回の4年ぶりの優勝は、とても嬉しいに違い無い。
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写真手前は3位に入った「和太鼓集団 湖鼓Ro(こころ)」
奥が4位「湖族太鼓」の、太鼓チーム対決であった。

と、ここで、「湖鼓Ro」が笛や太鼓による演奏を披露、
クルー達の掛け声と見事に合った演奏で、観客達を楽しませて
くれた。
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手前の艇は嬉しそうな「シルバニア」

呆然とした表情の、奥の「小寺」と対照的だが、まあ
気持ちはわかる。

ちなみに、「小寺」に限らず、強豪チームの場合の表彰式は、
優勝した場合は、主力選手達が出てくるが、惜しい(悔しい)
2位になった場合、表彰式には若手の新人選手が出てくる場合が
非常に多い。

・・まあ、気持ちは良くわかるが、負けた時ほどチームは
成長するのだ、負けた悔しさを受け止める為にも、ちゃんと
主力メンバーが表彰に出るのが良いと思う。

例えば「徳川家康」ですら、「三方ヶ原」での武田信玄軍との
戦いの惨敗後、命からがら城に帰ってきた惨めな姿を、あえて
絵師に書かせて座右の銘としているではないか・・
(徳川家康三方ヶ原戦役画像、ただし後年の作という説あり)

さすがに家康ほどの大物は思考回路が違う、という事だ。

では、今度から、私が負けたチームの悔しい写真を撮って
おくとしようか・・ だが、そんな事をしたら、チームから
袋叩きにされそうだが(汗)
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「松陽台 守のシルバニアファミリー」
優勝おめでとうございます。

シ「なんといっても、小寺さんに勝てたのが嬉しい!」
匠「そうですね、2013年以来ですからねえ・・お見事でした」
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左ピンクのユニフォームは「小寺製作所」の表彰の模様。
まあ、新人さんでは無いので、その点はオッケーだ。

来年はまた優勝を取り戻すように頑張っていただきたいが、
「小寺製作所」には、もっと大きな別の目標がある筈だ。

それは「びわこペーロン」と「1000m選手権」に優勝すれば、
滋賀県の大会を全部制覇できるという事だ。

それが成ったら、「小寺製作所」は滋賀県を出て全国の
大会に参戦する、まずは主要な大会で初優勝、その後は
選手権クラスのメジャー大会での制覇、さらにその先は
「世界」が待っている。

他のスポーツ競技で言えば、笑い話や冗談の類なのだが、
ドラゴンの世界は世界が極めて近い、この話は決して無理な
夢を語っている訳では無いのだ。

そして小寺には隠れた特徴がある、それは「平野スポーツ少年団」
という、滋賀(大津市)での多種多様のスポーツ競技を扱う
少年団の指導者がチーム内に極めて多いのだ。

で「平野」の少年団チームの子供達は、今年で12年目になる
「ドラゴンキッズ選手権大会」で、毎年必ず優勝している。
小学生は勿論世代交代しているが、ずっと強さを維持しつづける
指導力が「小寺」にはある事、そして、初期の小学生選手達は、
そろそろ大人のドラゴンが出来る年代に差し掛かっているのだ。

かつての「スーパーキッズ」達を、強力な「新人選手」として
「小寺」に加え、ゆるやかに世代交代していけば、琵琶湖から
「世界に通用するチーム」が育つ事は決して夢物語では無い。
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「松陽台 守のシルバニアファミリー」の優勝記念撮影。

さて「松陽台」は、今後どうしていくのだろう?

まずは期待するのは、この2週間後8月20日に行われる
「びわこペーロン」だ。
ここでまずは入賞、そして優勝ともなれば、「松陽台」の名前も
一気に高まり、メンバーのやる気もアップする事であろう。

ライバルは「小寺」の他、「池の里」「龍人」「琵琶ドラ」だ。
「小寺」「池の里」「龍人」は、もう「高島ペーロン」大会で
何度も戦っている、実力値は十分わかっているだろうし、
「専業」の彼らに勝てるチャンスもある事も、今日の大会で
証明している。

琵琶湖の「熱い季節」も、今後さらなる盛り上がりを魅せるで
あろう。

最後にもう1点、本大会に「松陽台」の参戦が始まった事で、
今日の実況放送でも「今津の大会」(つまり高島ペーロン)
について「興味がある」という発言が何度も出ていた。

この機に「堅田 湖族船競争」と「高島ペーロン」の相互の
交流を提案していきたい。場所もそう離れてはないし、両大会の
参加チームが相互に大会に出れるようにしたら、盛り上がりも
出て良い事であろう。
その方法論は全く難しく無い、両大会に、お互いの大会の
チラシやポスターを置いておくだけだ。
興味がある選手やチームは、自然に両大会への参戦を始める事で
あろう。「松陽台」そして「小寺製作所」や、私であれば
その提案が出来る立場だと思うので順次進めていきたいと思う。

今回の記事はこのあたりまでで・・
今年の「熱い季節」はまだまだ続く。


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