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【熱い季節2017】2017日本国際ドラゴンボート選手権大会(後編)

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2017年7月16日(日)に大阪・天満橋の「大川」(八軒屋浜)
にて行われた「2017日本国際ドラゴンボート選手権大会」
(以下「日本選手権」)の模様より、後編。
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今回は、花形カテゴリーである「オープンの部」の観戦記事と
しよう。
オープンの部は、まさしく「頂上決戦」である。
ここで優勝したチームが、その年の日本一のチームだ。

本大会でのオープンカテゴリーの歴史であるが、

本大会が始まった1988年から当初の約10年間は、
神南(東京都)、津奈木海龍(熊本県)、坊勢酔龍会(兵庫県)
といった古豪チームが強く、各々が優勝していた。

「津奈木(つなぎ)海龍」は、現在も活動していて、九州の
各大会に参戦している他、関西圏の大会では数年前の琵琶湖の
「スモール日本選手権」で優勝した事もある(”熊本”と遠距離
なので、あまり多くの関西圏の大会に参戦できる訳では無い)

また「坊勢酔龍会」は、世代交代していて、現役バリバリで、
今回の大会のオープンの部にも出場している(昨年3位入賞)
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余談だが、中編で「神南」(じんなん)の、元選手が今回の大会を
観戦しに来て居た、と書いたのだが、彼によると「神南とは
その当時、東京渋谷の神南に、ボート(カヌー?)協会があった
ので、そこから取った名前だった」との事である。

さて、1998年頃からの約10年間だが、
横浜サーフベイザーズ(神奈川)、舞浜河探検隊(東京/千葉)
の黄金期だ。また、この頃、カヌー強豪の「大正大学カヌー部」が
異種目とも言える本競技に参戦して優勝した事もあった。

2008年頃から一昨年までの8年間は
「磯風漕友会」(兵庫・相生)の連覇が続いていた。
他チームを圧倒し、磐石とも言える勝ち方は「横綱」とも称されて
いたのであった。

で、興味深いのは、ここ数年の話である。

新鋭チーム「bp」(兵庫/大阪)は、
2012年冬に「日本一のチーム」を目指して結成され、
2013年のシーズンから皆勤賞とも言える程に各地の多数の大会に
参戦し、その殆どに優勝していた。
しかし、日本選手権や他の大会で戦う「磯風漕友会」にだけは
歯が立たない状態が2年間程続いていた。

2015年6月、大阪の堺泉北(高石)大会で、ついに「bp」は
「磯風」を破って優勝した。なかなか越せなかった巨大な壁に、
やっと手が届いた、と思えた事であろう。

続く2015年7月、「日本選手権」が開催された。
この年、海外招待チームの「フィリピンアーミー」が極めて強く、
予選では「磯風」や「bp」と同等の超絶タイムで、そのまま皆が、
決勝戦に進出、いわゆる「三つ巴戦」となった訳だ。

決勝戦前、「bp」チームは極めて緊張していた。日本選手権での
優勝はまだ無い。ここで「磯風」を先月に引き続いて再び倒せば、
自分達に「日本一」の称号が与えられる事が、ほぼ確定的となるし、
あわよくば「フィリピン」も倒して「世界」にも通用する事を
確信したい所だ。
だが決勝戦、「bp」は痛恨のスタートミスで結果3位に甘んじた。

「bp」は、その年のシーズンオフから、極めて過酷なスタートの
「特訓」を始める。勿論、2016年に向けての事だ。

明けて2016年、「磯風」は日程が変更となった「ペーロン」の
大会に注力していて、5月~6月のドラゴンの大会を欠場した。
そればかりか「20人漕ぎドラゴン艇」での練習も出来ず、
もっぱら「水槽練習」を繰り返していた、とも聞いていた。

7月の日本選手権、いきなりのドラゴン20人艇に乗り込む「磯風」
勿論、予選では他チームを圧倒したのだが、問題は決勝戦だ、
「bp]が昨年のリベンジを誓って万全の準備を整えていたのだ。

決勝戦では「磯風」と「bp」は序盤から他チームを引き離し
事実上の「一騎打ち」の状況であった、両者は、ほぼ同等・・
しかしゴールした時点で、「bp」がコンマ差で「磯風」を破り
日本選手権での初優勝をもぎ取ったのであった。

だが、その後のシーズンでは「bp」と「磯風」は対決の機会に
恵まれなかった。

そして、迎えた今年2017年、
「bp」は、5月の宇治大会、6月の堺泉北で優勝、もはや敵なしに
見えるのであるが、「磯風」は、これらの大会は出場していない。
「bp」としては、確かに昨年(2016)には「磯風」を破っては
いたが、まだ「日本一」を確実とした実感は無い。

b「全ては、今年の日本選手権が終わってからだ」
と、彼らから何度かそんな話を聞いた、つまり、この日本選手権で
再び「磯風」を倒すまでは、まだ何も始まっていない、という
意味なのであろう・・

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さて、もう始まる前から緊張感が伝わってきそうな話なのだが、
まあ、決勝戦の話は最後の最後にする事にしよう。

まずは、オープンの部の出場チームの一部を紹介して行こう。
(例によって、全てのチームは、多すぎて紹介できないので
悪しからず・・)
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こちらは「好きやねん大阪」

なんと、1988年の本大会開催年から「皆勤賞」のチームである!

ちなみに、これに次ぐのは本大会ではスモールの部に参戦している
「フォーティズ」があるとの事だ(注:昔は「ギャンブラーズ」
という名前であったと聞く)

「好きやねん大阪」は、現役の「Rスポーツマンクラブ」の
母体となったチームではあるが、本大会の参戦時にのみ、
開催当初からの名前の「好きやねん」にしている他、現役の
「R」の選手層とも、少しメンバーが変更されている模様だ。

なお「R」は、本大会終了後の翌週、マレーシア「ランカウイ島」
で行われる国際大会に参戦すると聞いている。
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さて、こちらは「ヤンググリーン」チーム。

昨年まで2年連続で決勝に進出しているが、ドラゴンのチーム
からは、あまり馴染みが無いチーム名かも知れない。

実は、彼らは「相生ペーロン」の強豪チームで、Ⅰ部または
Ⅱ部で活躍している、いわば「ペーロン専業」チームである。

同じ出自の女子チームもあって「キュリアス魚橋」と言う。
女子チームも強豪で、相生ペーロン競漕では「超連覇」中の
「Super Dolphin」に次いで、2位や3位に入賞したりする他、
他地区での地方大会に出場して優勝する事もある模様だが、
関西圏のドラゴンボートの大会に来たのは見た事が無い。

「ヤンググリーン」は、本大会では、毎年、決勝進出ぎりぎり
という感じのポジションで、同様な実力値のチームとしては
滋賀の強豪「池の里」や、静岡の強豪「うみひ」(海猿火組)
が居るので、そうしたライバルチームのタイムを気にしている
模様であった。
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さて、こちらは、その「池の里Lakeres!」(滋賀)
ご存知「町内会チーム」で、結束力抜群であるが、町内会限定
であるが故に、年々メンバー全員が歳を取っていくのが弱点だ。

毎年毎年「今年はシニアの部で出ようかな・・」と言っている
のであるが、今年もまだなんとかレギュラーカテゴリーで頑張る
模様である。
まあ、昨年、「ホーム大会」の「びわこペーロン」を2連覇
(優勝は3回目)したので、まだシニア転向は早いと見ているので
あろう。本日本選手権大会の過去の戦績は、私が記憶している
限りでは、決勝戦に2回進出して、いずれも5位であった。
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こちらは「しずはま」(静岡/神奈川)
聞き慣れない名前であるが、静岡の「海猿火組」と神奈川の
「濱龍(横浜ドラゴン)」のコラボチームである。

なお、海猿火組のメインチームは「うみひ」として本大会の
スモールの部にダブルエントリーしていた(結果4位)
「海猿火組」としては、過去、本大会のオープンの部では、
決勝進出多数、2位と3位の入賞実績があったと記憶している。
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こちらは「坊勢酔龍会」(兵庫・瀬戸内海家島諸島)
「古豪」である、初期の本大会の優勝常連チームだ。

近年の本大会では、シニアの部とのダブルエントリーが多く、
ほとんど入賞していたと思うが、今回の大会ではシニアは欠場
である。若手チームの方もなかなかの実力値で、昨年のオープン
の部では、「bp」「磯風」に次いで3位に入賞している。
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こちらは「IHI相生」(兵庫)
長崎、そして相生と伝承された「ペーロン競漕」は、100年以上
の長い伝統を持つが、その立役者となった企業チームだ。

兄弟チームとしての「IHI瑞龍丸」(東京/埼玉)と、毎年本大会
に参戦しているが、「瑞龍丸」は今回準決勝進出と健闘した。

「IHI相生」は長距離に強く、地元「相生ペーロン競漕」では、
上位カテゴリーの「Ⅰ部」に定着している(注:成績が悪いと
入れ替わりがある)また、琵琶湖で行われる「1000m選手権」
の長距離戦では、昨年まで3連覇中と非常に強い。

ドラゴンボートの視点から見ると独特な「ペーロン漕ぎ」の
伝統を色濃く受け継ぐチームであり、本大会のような短距離戦
(250m)は、やや苦手意識があるかも知れない。
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余談だが、相生のチーム(ヤンググリーン、磯風、ドルフィン
IHI相生)は、不思議な事に、各地の大会参戦時に大量のドリンク
類を持参してくるのが特徴だ。今日もまた「IHI相生」からPETの
お茶と缶ビールを頂いた。(いつも、ありがとうございます)
なお、本大会に限らず、全てのドラゴン大会では、レース中の
飲酒は厳禁である(ビール等は、試合終了後用、という訳だ)

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さて、このあたりで「磯風漕友会」の様子を見に行きたいのだが、
どうも、なかなかタイミングが悪い。ずっとアップ(準備運動)を
しているか、あるいはレースに出ているかで、テントに行っても
殆ど誰も居ない事が多く、あるいは選手達が居ても、どうにも、
緊張感が漂う雰囲気(汗)で、なかなか近寄り難い。

やむを得ない、兄妹チームの「Super Dolphin」に行って、
「磯風」の様子を間接的に聞きだしてみようか・・
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ド「匠さん、タイミング悪いね~、今、女子選手たちの
  体重の自己申告中!」

(注:左右の漕手の重量バランスを取る為であろう)

匠「ありゃ~、それは失礼(汗) 聞こえてないですよ~
  それに体重は写真に写らないから大丈夫。また後で来ます!」

・・と言う事で、またしても「磯風漕友会」の様子を
聞きそびれてしまった。

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さて、オープンの部は予選を終えたところで、時間軸は前後
するが「B決勝」(下位決勝)の結果をお知らせしておこう。
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1位:IHI相生
2位:近畿車輛電龍(大阪)
3位:関空飛龍(大阪)
4位:好きやねん大阪
5位:大阪産業大学 常翔喜龍

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以降は、注目のオープンの部の準決勝

第1組は以下の通り(レーン順)
1)TAITAM X DRAGONS(東京/香港)
2)磯風漕友会
3)bp next(大阪/兵庫)
4)坊勢酔龍会
5)しずはま

ところが、このレースで、ドラゴンボート界では殆ど前例の無い
アクシデントが起こってしまう(汗)

まず「bp next」とは、超強豪「bp」のサブチームである、
ただ、さしもの「bp」も、20人漕ぎでのダブルエントリーは
少々メンバー数が苦しいのか、新人選手も多く乗っている模様だ。
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写真は、今回初参戦の「bo next」の美人鼓手。
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さて、レース開始序盤だが、「磯風」が順当に頭を取る、
しかし、サブチームとは言え「bo next」との差は広がり
すぎていないだろうか?
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「bp next」は、4レーン「坊勢」や5レーン「しずはま」
からも遅れている模様だ。

焦ったのだろうか?このあたりから「bp next」の挙動が
怪しくなり、右に蛇行を始める。

匠「あ、危ない!」
「bp next」と「坊勢」が接触模様だ、
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瞬時にカメラを向けたが、600mm超級の望遠レンズは、ぴったりと
狙った場所を撮るのは難しい、転覆の瞬間は、ブレながら、かなり
下を撮ってしまった。

まあ、転覆はやむを得ない、これはアクシデンドだ。
問題は、この後だ、まず安否確認をしなければならない。
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5レーンの「しずはま」には、水難救助の専門家である、
「海上保安庁」のメンバーが乗ってはいるが、レース中であり
また、位置関係も悪い、ここはスタッフの「救助艇」に任せる
事になるであろう。

美人ドラマーの姿が見えないが、大丈夫か?
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・・全員無事な模様であった、これで一安心。

しかし、このレースの結果は、どうなるのか?
一応100m地点を越えていればレース成立の可能性もあるが、
これは、カーレースで言えば「レッド・フラッグ」の状態だ、
すなわち「レース中断」という事で、追い越しも順位戦も
もう無効である。

そして、進路妨害である「bp next」の失格は止むを得まい、
すると、残りのチームで再レースとなるかな?

しばらくして、本部から説明のアナウンスがあった。
予想通り「bp next」を失格として、他は再レースだ。

まあ、妥当な措置であろう。が、一部のチームの選手達は、
連続で他のレースにも出場するので、しんどいだろう(注:
内規として、同一選手のレース間隔を30分以上取る事、がある)
が、途中でB決勝とその表彰式を挟む模様なので、ほぼ大丈夫だ。
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「bp next」のアクシデントの原因は色々あった模様だが、
そこはもう言及はするまい、起こってしまった事は仕方が無い、
ともかく、メンバーが皆無事で良かった。
(誰かのサンダルの片方が水没紛失した模様だが・・)

ちなみに、本「日本選手権」での転覆・沈没事故は初である。
私が過去十数年間、各地で約5000を超えるレースを観戦した
中で、(危険な)「高島ペーロン」を除いての、ドラゴンと
ペーロン大会においては、転覆・沈没事故は過去6件あった。

うち4件は、強風による艇への浸水沈没で、やむを得ず、
1件はビギナーチームが優勝の喜びで皆立ち上がっての転覆。
残りの1件は、つい最近の2017年6月の高石大会で、蛇行後の
操船ミスでバランスを崩しての転覆であった。

また、いずれも単独事故であり、接触事故も割と珍しいし
接触した場合でも、転覆に至った事は過去無かった。
なお、舵や船体の破損は過去数件あった。
(注:14年以上前の大会や、地方大会での例は知らない)

----
・・さて、気を取り直して、オープン準決勝第2組の結果だが
1位:bp
2位:池の里Lakers!
3位:Bon Oyage(東京)
4位:ヤンググリーン
5位;IHI瑞龍丸

となった。
うち、「bp」と「池の里」は決勝進出が確定、
3位の「Bon Oyage」は、第一組の再レース後、3位となった
チームとタイムの速い方が決勝進出だ。
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会場は、準決勝での超強豪の「bp next」の転覆にまだ
ざわついた様子が残っている。

しかし、意外に「bp」のアクシデント回数は多く、以前にも
パドルの破損は数件、そして、膨張式のライフジャケットを
漕いでいる途中で膨らましてしまった事もあった。
まあ、極めて多数の大会に参戦しているので、確率的に
アクシデントも多いのであろう。

結果、決勝進出チームは以下の通り(レーン順)

1)池の里Lakers!
2)bp
3)磯風漕友会
4)坊勢酔龍会
5)Bon Oyage
c0032138_17221557.jpg
なお「TAITAM X DRAGONS」と「Bon Oyage」は、各々3位で
完全に同タイムであったので、抽選で決勝進出を決めたそうだ。
(上写真は、Bon Oyageチーム)

「TAITAM X」は不運であったが、まあ、今回に関しては、
「TAITAM X」は、スモールの部で見事優勝している。

決勝常連の「しずはま」(海猿火組)と「ヤンググリーン」は
残念ながら今回は準決勝敗退となった(いずれも昨年は決勝進出)

----
さて、いよいよ「決勝戦」だ。

余談になるが、前編で「一般観客の大会観戦の注意点」を書いた。
これに関して、カメラ関連で追加だが、本大会を観戦撮影する
アマチュアカメラマン(静止画)の場合、三脚は不要だ。

天候が快晴時であれば、400mm以上級の超望遠レンズを使った際の
開放絞り値f5.6程度で、感度ISO100でのシャッター速度は、
およそ1/1000秒に到達する。
ビギナークラスであっても、これは超望遠レンズでの手ブレ限界
シャッター速度(1/400~1/800秒)を上回るので、三脚あるいは
手ブレ補正機能すら不要だ。

天候が曇りや夕方であっても、ISO感度を400程度まで高めれば
必要十分のシャッター速度が得られる。逆に言えば、1/1000秒の
シャッター速度が保持できるように絞り値やISO感度を決める。

換算500mm未満の望遠レンズや中上級者であれば、シャッターの
低速限界は、もっと低くする事も出来る。
不要な重たい荷物になり、他の観客の通行や観戦の邪魔にもなる
三脚の使用は非推奨である。

それでもブレてしまう場合は、カメラの構え方(重心を支える)
の問題か、または、動くボートに合わせて、カメラを不用意に
振り回してしまったりするケースだと思う。

----
さて、ここまでの余談は、概ね撮影機材や技法に関する事だ。
でも、ドラゴンの撮影では、機材よりももっと重要な点がある。

撮影ポジションをどうするか?が、最重要である。
そして、本決勝戦では、それが極めて迷い所だ。

本会場の本部側、スタート地点であれば、一瞬は全艇が揃って
撮れるが、すぐ2),3)レーンが先行するだろうから無意味だ。

コース中央では、レース全体が見渡せる。撮影という観点で
言えばそれで良いが、観戦という事からすると、ゴールの瞬間は、
角度と距離の問題で、どこが勝ったのかはわからない事であろう。
それに、このあたりは大変混雑する、大きな望遠レンズを左右に
振り回すのは周囲の一般観戦客にも非常に迷惑な話だ。
(実際にそうしているアマチュアを見かけた)

コース後半地点はベストに近い。しかし、もし「bp」と「磯風」
がコンマ差の超接戦になった場合、勝敗を見極めるのが困難だ。

最後、ゴール前は、観戦場所としては不人気だ、何故ならば
そこはコースの殆どが死角で見えない。ラストの50m、ほんの
10数秒しか写真を撮るチャンスが無いのだ。
それと、磯風リードの場合、ラスト50m付近ではレーン順から
撮影アングルが「逆順」となり、両者の艇を同時に画角には
入れられない。

だが、私は最終的にはゴール前地点をあえて選択、このレースは
最後まで接戦となるだろうと見たのだ。

----
「bp」と「磯風」、どちらが勝つか?の事前予想はさらに難しい。

予選タイムはあまり参考にならない。
「磯風」は各レースで常に本気だが、「bp」もそうだとは
限らない。

「磯風」は、今回若干メンバーを変えてきているように見える、
そもそも、この1年間、ドラゴンの大会には一切顔を出さなかった
所を見ると、秘密練習で最強のメンバーを揃えてきているのかも
知れない(前述のように、事前に情報を聞き出せなかった)

----
運はどうか?「bp」のドラマーは、お馴染み「謎の美少女」だ、
最近は学業の関係で忙しいそうだが、本大会は毎年鼓手を務めて
下さっている。で、私は各地の大会で彼女が鼓手となっている
レースで優勝出来ずに破れた事を、ほんの数回しか見ていない。
c0032138_17221521.jpg
つまり「bo」にとっては「幸運の女神」であろう。
恐らく決勝で負けた回数は3回のみ(兄弟チーム戦を除く)
いずれも日本選手権での「磯風」戦であったと思う。すると、
彼女の幸運も「磯風」には通用しない、という事かも知れない。

対する「磯風」のドラマー氏も「ゲン担ぎ」タイプである。
その昔は、毎レースのたびに海や川の水で手を清める所作を
していたのだが、ある時、勢い余って落水してしまった(汗)
それ以降、その「儀式」は行っていないように思える。
c0032138_17221364.jpg
実力とか運は、まあ良い、そもそも、実力伯仲チームでの決勝戦
ともなれば、ほとんどが「心理状態」に結果が左右されるのだ。

2015年の決勝での「bp」の緊張によるミスが、その一例であろう、
だが、そうしたミスを起こさない為に、「bp」は、その後、
過酷すぎるとも思える練習を繰り返してきた。「平常心」を
養うには、幾多のトレーニングで、それを日常とするしか無い。

ちなみに、写真撮影だって同じ事だ、アマチュアカメラマンが、
慣れない望遠レンズを持ち出して、いきなりドラゴン大会等を
撮ろうとしても上手くいく筈が無い。
「日常」とも言える位に、望遠レンズなり自身のカメラ機材を
使いこんで初めて、様々な余裕を持って撮影ができるのだ。

その「余裕」が無ければ、自分自身が撮影が出来ずに困る他、
周囲が見えずに、様々な迷惑やトラブルを引き起こしてしまう。
(近年の様々な混雑するイベントでのカメラマンのマナーの悪さは
社会的な問題にもなっている。で、殆どがビギナーそのものだ)

----
それから「bp」は、やはり兄弟チームの転覆事故が、精神的に
影響があるだろうと思える、本レースには直接の関係は勿論無い
のだが、何とも、もやもやとした気持ちがあるかもしれない。

・・さて、私の最終予想は「磯風有利」である。
そしてレース前に、幾人かの大会スタッフにもそう言って、
「磯風ゴールのシーンを撮るから、ゴール前に行きますね」と
撮影ポジションを変えたのだ。

これで予想が外れたら、とんでもない「スカ」の写真となるが、
まあ、それは一種の賭けだ。
選手達は皆、勝負の世界に身を投じているのだ、カメラマンだって
その気持ちを少しでも受け止めても良いでは無いか・・

「Are you ready? Attention Go!」

さあレースが始まった、しかし、ゴール前の死角地点で
あるので、およそ最初の40秒間はレースの模様が見えない。
でも頭の中で予想はついていた、2),3)レーンが、他艇を
1艇身、いや2艇身近くも引き離していくのだ・・

場内実況アナウンスは勿論ある、「bp」と「磯風」の
接戦を伝えている、だが言葉を頭で映像化するのは無理だ。
c0032138_17221480.jpg
200m地点、さあ見えた、この瞬間、予想していた映像のイメージ
とドンピシャ一致だ、もう予め望遠レンズをそこに向けて待って
いた位である。なにせ撮影可能時間は約10秒間しかない。

で、「磯風」のリードも予想通り。
(写真的に「逆順」だが、この瞬間はやむを得ない)

その差は、約半艇身(1秒程度)、「bp」は、かなり強烈な
ラストスパートをかけてはいるが、もはや、ここからの逆転は無い。
c0032138_17221463.jpg
さて、ゴール! 「磯風」2年ぶりに日本一を奪回!
c0032138_17222109.jpg
常に冷静な「磯風」としては極めて珍しく、パドルを持ち上げて
の歓喜と勝利のパフォーマンス。

---
以下、オープンの部の表彰式の模様。
c0032138_17222085.jpg
オープンの部の最終結果だが、下記のようになった。

1位:51秒65:磯風漕友会
2位:52秒50:bp
3位;56秒97:坊勢酔龍会
4位;58秒50:池の里Lakeres!
5位;59秒10:Bon Oyage
c0032138_17222021.jpg
本大会の総括だが、結果的には「混合の部」も「オープンの部」も
一昨年の優勝チームが再び勝利する事となった。

しかし、その背景には、本当に様々な人間ドラマが潜んでいた。
選手達は色々と大変だったとは思うが、それなりに達成感は
得られた事であろう。今回負けたチームも、もう明日から来年の
本大会に向けての活動が始まり、モチベーションも高まるであろう。

そして、観戦側の立場としても、眼前で極めて興味深い多数の
レースが展開されて満足感の高い大会となった。
これは「一流のエンタティンメント」としても通用すると思う。

沢山の観戦客の皆様にも、この面白さを伝えたく、そして、
来年の「30周年記念大会」にも期待をして、本大会のシリーズ
記事を終了する。

今年の「熱い季節:ドラゴンボート」は、まだまだ続く。
次回は「高島ペーロン」の記事となる予定だ、その大会は
極めて観戦のエンジョイ度が高いので、またお楽しみに・・


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