本シリーズは、私が所有しているクラッシックなコンパクト機
を順次紹介していく記事であり、数回の連載を予定している。
今回第2回記事では、2005年発売の4機種を紹介しよう。
まずは、こちら。

FUJIFILM FinePix F10 (2005年)
一見ありふれた外観だが、当時としては完成度の高いカメラで
あった。まずは絵作りが良く、レンズの描写力も高い。
(37mm-108mm(相当)/f2.8-f5、デジタルズーム可)

センサーサイズは1/1.7型とそこそこ大きく、しかもCCDだ。
記録最大画素数は630万画素と当時では大きい方であり、
最高感度ISO1600は実用的に使える(これは他機に無かった特徴)
また、AWBが優秀で殆どの被写体でWBを変更する必要が無い。
(ただし、色味は寒色傾向で現代的とは言いがたいし、高彩度
モードでは色飽和も起こしやすい)
まあ高感度とAWBの優秀さで、ライブ撮影でもよく使用した
カメラであった。
バッテリーも良く持ち、500枚を超える撮影でも平気だ。
そして予備バッテリーを一応買ってあるのだが、10年程(撮影
3万枚位)使用している今でも、最初のバッテリーから交換しない
で使えている。その間、1度も故障していない。過酷な撮影も
何度もあったのにタフなカメラである。

弱点はいくつかある。
まず、記録メディアが現在では入手し難いxDピクチャーカードだ。
2010年以降、入手不能な状態がずっと続いたが、最近在庫処分品が
家電量販店に出てきて2枚購入しておいた、これでもうしばらくは
安泰であろう。
で、ズームの広角端が37mm(換算)と物足りない。
一般的に必要な広角は少なくとも28mm程度であろう。
最短撮影距離は通常60cmと物足りなく、マクロモードにしても
広角端で7.5cm、望遠端で30cmと寄れない。
マクロモード時に広角端でないと寄れないのは、被写体をもう少し
大きく写したいとズーミングすると、ピントが合わず後退しなくて
はならないのでストレスになる。この傾向は、本機F10の再来とも
言える FUJI XQ1(2013年発売、いずれ紹介予定)の搭載ズーム
でも同様で、レンズ設計のコンセプトそのものに疑問を感じる。
(広角端だけ数値性能を良くしてスペックを良く見せている)
まあしかし、これ以降のFUJIのコンパクトのようにマクロモード
ボタンを押してからマクロやスーパーマクロに切り替えるという
無駄な操作系ではなく、ボタン1発でマクロになるのは良い。

後年のFUJIミラーレスXシステムでは、一眼であるのに、AF精度の
問題で近接ではマクロモードに切り替えなくてはならないし、
その際にX-E1等は無意味なマクロON/OFFの操作があるので最悪だ。
このあたりはレンズの距離エンコーダーからの情報を元に、
AF段階テーブルを自動的に差し替える「オートマクロ」にする事は
技術的に容易な筈だ、そうして無いのは仕様設計上の問題だと思う。
それと、本F10の背面モニターは2,5型とまあ大きいが解像度は
11万dot(約224x172程度)しかなく、撮影した画像のピントが
合っているかどうかの確認が困難だ。
細々とした点はさて置き、最大の弱点は、その「操作系」である。
「操作系」は、ミラーレス・マニアックス記事ではお馴染みの用語
であるが一般的な写真用語では無い。
よく雑誌の評価記事等で書いてあるその言葉は、ボタンやダイヤル
の位置や押しやすさなど、あくまで物理的な意味合いでの表面的な
内容の話に終始しているにすぎない。
本ブログでは、それらは「操作性」と言い、別物として扱っている。
「操作系」とは、写真を撮るためにカメラに備わっている様々な
機能が体系的に分類されていて、それらの機能を使いたい状況
(これは都度異なる)において、速やかに必要な機能を呼び出して
操作出来るかどうか?という意味であり、まあ、メニューなどの
階層構造、自在な機能アサインの方法、無駄なボタン操作や
メニュー選択が無いかどうか、AF/MF等を初めとする撮影モード
を切り替えた時でも操作系に矛盾や無駄が無いかどうか・・等、
全般的な「ユーザー・インターフェース・デザイン」の事を指す。
この「UI」設計は、カメラや写真撮影の事を熟知している設計者
で無いと難しい。
「ああ、その機能でしたら、メニューのどこかに入っています」
といった設計では駄目なのだ。
F10では露出補正を含む多くのカメラ設定をメニューボタンから
呼び出す。しかしそのメニューは単にランダムに機能が並べられて
いるだけであり、系統立てた分類もされておらず、目的の機能を
探すのが大変だ。さらには、1、2という分類は単に多すぎる機能を
ページ分けしただけであり、1ページを全部探しても見当たらず、
2に入っていたりするとイラっとする。
加えて「設定」だけ、階層構造になっていて、これを押さないと
出てこない機能もあるのだが、「設定」以下がサブ階層になって
いるかどうかなど、メニュー操作中には(押してみるまで)
わからない。(これは近年のタッチパネル操作系においても同様に、
階層構造が事前にわからないという課題がある)
で、ISO感度設定が見当たらないと思ったら、Fボタン(意味不明)
に別立てである、このFボタンでは、画素数(何故ここで変える?)
ISO、フィルムシミュレーションが入っているが、何故このような
分類になっているか、操作系上の意味は全く不明だ。
また、シャッター周辺の上部ダイヤルには、SP、AUTO,マニュアル、
動画の4モード切替えがあるが、SPは意味不明だし(実際にはシーン
モードの事)AUTOとマニュアルの差も露出補正が効かないか効くか
等、僅かな差しかない。
まあ、メニュー位置記憶がかろうじて効くのが幸いだ。
後年のFUJIミラーレス機ではそれすらない。
よって、本機では、多用する露出補正機能をメニュー位置に記憶
させ動かさないようにする。しかし、露出補正のたびに
メニュー→露出補正を選んで右ボタン→十字キー上下で露出補正
という、かなり面倒な操作系だ(他機ならもっと簡単だ)
・・以降、問題点を書きつづけていたら数千文字になってしまった、
せっかくの記事が、FUJIFILMの様々なカメラの不出来な操作系への
不満だけで終わったら馬鹿馬鹿しい。全部消去して記事を書き直そう。

ともかく出来の悪い操作系だ。
OEM主体というのも、その原因の1つであろう。
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本機FinePix F10の購入価格だが、2006年頃に6000円であった。
これは、F10を使っていた友人が、絞り優先等の機能が付いた
新型のF11に買い換えた為、本機を安く譲ってもらったのだった。
その後、2010年頃にF10がカメラマニア以外のユーザー層の間で
ちょっとブームになった模様で、ぽつぽつ出ていた中古が
一掃されてしまい、しかも相場が上がってしまった。
理由はよく知らない(調べる気もしない)その分野での誰かが、
F10が良いとか言ったのであろうか?だとしたら、カメラ好きとは
無関係な人達がこぞってF10を探して買っていた、という事になり、
なんだかあまり気分の良いものでは無い。
そもそも、誰か1人が良いと言ったものを、その他大勢が皆そっち
を向く「一極集中化」は大嫌いなのだ。
F10は操作系を初め、色々な弱点があるカメラだが、反面、長所も
非常に多い、だからこそ発売後10年を超えても現役で使えるカメラ
であり得るのだと思う。
必ず、カメラの事を良くわかっている人達に使ってもらいたい
名機だと思う。
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さて、次のカメラは、

SONY CyberShot DSC-T7 (2005年)
薄型でスタイリッシュなコンパクトである。
レンズカバーが銀色だが、これは元々黒塗装であったのだが、
長年の使用から塗装が部分的に剥げてきてしまい、汚いので
紙やすりで磨いたからだ。
厚さ9mm台(突起部除く)は、恐らくコンパクト史上最薄だ。
私は、こういう「唯一無二」といった特徴を持つメカが大好きで、
そういう理由で機材等を購入するケースが大変多い。
T7の後継機では、手ブレ補正内蔵になった為、この薄さでは
実現できず、厚みが増してしまった。
よって本機には、手ブレ補正が無い事と、最高感度が僅かに
ISO400、かつ、それはノイジーであるので使えず、ISO64~200
のフィルム以下の感度範囲の厳しい状態での撮影をせざるを得ない。
(内蔵フラッシュは一応ある)
長らくビジネス用として使用したカメラである、常時バッグに
入れておき、メモ代わりの目的に使っていた。
薄型で場所も重さもとらず、本格的な一眼レフなどを出して撮る
には大げさすぎるシーンでも自在に使えるのは便利であった。

まあ、搭載レンズ 38-114mm(相当)/f3.5-4.5は、
「バリオゾナー」の名前こそ冠しているが、その写りはたいした
事はなく、センサーサイズも 1/2.5型と小さい。
(一応画素補完型のデジタルズームが効く)
最短撮影距離はマクロ時で広角側8cm、望遠側25cmと物足りない。
最大画素数は500万画素。ただ、記録メディアは他社互換性が
少ないメモリースティック系で、このあたりも不便であった。
(排他的戦略に走りたがるSONY製品であるが故の弱点だ)

薄型化した事でバッテリーも小型化、このため撮影枚数は
あまり撮れず、バッテリーが劣化した現在では百枚程がやっとだ。
インフォリチウム型で、ここもSONY純正品で無いと厳しく、私は
そういうユニバーサル(汎用的)で無い排他的な仕様は嫌いな為
交換バッテリーは購入していない。使用10年、撮影枚数1万数千枚
で、劣化しても頑固に使い続けるつもりである。
なお、インフォリチウムはカメラの電源OFF時にも減り続けるので、
その点でも気に入らない仕様である。
メニュー等の操作系や操作性も良く無い。上記F10と似たような
操作系の不統一感があり、いずれもOEM製品では?と推測できる。
そして最大の課題は操作子の十字キーが他のカメラと異なり、
左側についている事である(非常に使い難い)
で、この時代のSONYは、コニカミノルタからカメラ事業を引き継ぐ
以前であった、だからカメラ開発についてのノウハウもまだまだ
少ない状況であったと思われる。
トータルでは未成熟なカメラだ、それは同時期の他社コンパクト機
と比較すると良くわかると思う。

購入価格だが、2006年ごろに中古で 21000円であった、
少々高かったが、まあ当時のデジカメは結構どれも高価であった
ので、やむを得ない。
総合的には、薄さ以外に特徴の無いカメラである。
しかし、このカメラを鞄から出して来て、いったい何人の人に
「それ何?カメラ?薄いね!」と言われた事であろうか・・
その注目度だけが唯一の長所だったかも知れない。
ちなみに、ビジネス・メモ用という用途は、今は、もう本機には
持たせておらず、別機種にリプレイスしている、現在は殆ど休眠
している状態だが、超小型なので、稀に近所への買い物や散歩時
等にポケットに入れて持ち出している。
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さて、次のカメラは、

PENTAX Optio WP (2005年)
当時としては珍しい防水デジタル機だ、
カメラ好きの女性から無償で中古を譲渡してもらったので、
ピンク色のボディだが、まあ、そのあたりは気にせず使おう。
様々な色付きのカメラは2000年代位までは、旧来のマニアや
ベテラン層には嫌われる事が多かった、まあその理由の詳細は
定かではないが、「カメラと言えば黒か銀」という古くからの
概念に捉われていたのではなかろうか?
被写体にカメラの色が写り込む、と言って嫌うマニアも居たのだが、
上級者ならば、それくらいは自在に回避可能であろう。
上のカメラ紹介写真では、その逆で、わざと神社の赤い囲いの
近くで、それを反射に入れて撮っている、つまり写り込みなど、
入れるも入れないも自在である、と言う事を言いたかったからだ。
で、2010年代、様々な色のミラーレス機や初級一眼レフの台頭で、
色付きのカメラに対するアレルギーは一般的にも薄れていく。
まあ、PETNAXにおいて2000年代後半以降、様々なオーダーカラー
の一眼やミラーレス機を展開したのも理由の1つかも知れない。
オーダーカラー製品は、メーカーにとっては隠れた利点がある。
中古市場にそれが流れた場合、前ユーザーの色の趣味が特殊だと、
なかなかそういうカメラは売買しにくくなるから、結果的に
ユーザーの中古購入を抑制し、新品販売が増えるという事だ。
まあでも、最近では不人気な色では中古相場が安価になっている
場合もあるので、マニアであれば逆に狙い目となるかも知れない。

さて、防水カメラと言っても、これは本格的な物ではない、
完全な水中で使おうとしたら、空気と水の屈折率の違いにより
AFは効きにくいし被写体の写る大きさも異なってしまう。
また本機は、経年変化で防水パッキンも劣化しているだろうから、
不用意に水中で使うのは危険だ。
水際で使える、とか、雨でも安心、という位であろう。

バッテリーの劣化が激しく、一応1度交換したのだが、それも
また劣化してしまい、現状、撮影枚数が数十枚しか撮れない。
メニューを出して操作するのもバッテリー消耗が怖いため、
1枚撮ってはすぐ電源を切る状況だ。
プログラム露出専用だが、いちおうシーンモードやマクロモード
がある。ただしマクロを選ぶ操作系はあまり良くなく、かつ
マクロ時は最短WDが1cmながら、ピント精度がかなり怪しい。

基本仕様だが、500万画素、1/2.5型CCD
レンズは38~114mms(相当)/f3.3-4と、前述のFUJI F10や
SONY DSC-T7と似たようなものだ、全機種て広角域が足りないが、
まあこの時代は、そういう技術水準であったのであろう。
操作系には、優秀なPENTAX伝統の「グリーンボタン」が存在する、
このボタンには最大4種類までの様々な機能(例:ISO感度やWB、
露出補正等)を自在にアサインし、ボタンを複数回押すことで、
それらの機能を順次呼び出して変更できる。ただ、後述のGRDの
ADJ.ダイヤルでの同様な機能選択の操作系よりは僅かに劣る。
この時代の前後の他のPENTAXコンパクト機では、十字キーを
露出補正と絞り値設定の目的に使っているものもあった。
この操作系は、最初期のオリンパスデジカメでも使われていて
なかなか使いやすい。だが、ビギナーが使うと不用意に露出値が
ずれてしまうので、その点では不評だったのかも知れず、
その後は各社とも、あまり搭載される事はなくなってしまった。
(RICOH GXRでは露出補正のみ十字キーアサインが採用された、
またOLYMPUSミラーレス機でも、露出補正時に十字キー操作系が
出来る機種もある)
PENTAXは、かつての銀塩一眼名機Z-1シリーズ(1990年前後)や、
デジタル一眼初期の*istD、現行デジタル一眼Kシリーズの中上級
モデルでも、露出操作系に拘った「HYPER操作系」を採用していて
好ましかったのであるが、いつの時代においてもビギナーあるいは
中級ユーザーから「わかりにくい」とそっぽを向かれていた。
これは使いこなせない方が問題なのであって、その「HYPER操作系」
自体の設計思想は極めて優秀だ、よほどカメラや写真に詳しい人で
無いと設計できない優れた「操作系」だ。

余談が長くなった、本機Optio WPであるが、希少な防水型
コンパクトではあるものの、その他には特徴は無く、平凡な性能の
カメラである。
現代においては、もう少し進化した防水型コンパクトが数社から
発売されてはいるが、通常機より若干価格が高く、かつ、カメラと
しての基本性能は逆に通常機より劣ってしまうのが弱点だ。
まあ、マリンスポーツなど、そういう使用目的に特化した
カメラであろう、ちなみに私はドランボートやヨット等の
マリンスポーツ撮影に関わる事は多いが、こういう防水コンパクト
機は使用していない。防水である事のメリットよりも、基本性能の
低さのデメリットを重んじての事である。
通常の非防水カメラで注意して壊さないようにするノウハウを
積んでいく事の方が重要に思えてしまう訳だ・・
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さて、今回ラストのカメラは、

RICOH GR Digital 初期型 (2005年)
銀塩時代に各社から「高級コンパクト」というカテゴリーの
製品が発売され、一大ブームとなった。私も、1990年代より
CONTAX T2,TVS,T3 RICOH GR1s,GR21 MINOLTA TC-1
等の高級機を買ったが、それらはいずれも高価だった為、
ある意味浪費(無駄遣い)をしてしまった感もある(汗)
2000年代の高級デジタル・コンパクトというカテゴリーでの最初の
製品はSONY QUALIA 016 (2000年)ではなかっただろうか?
だが、これは38万円もした試験的な受注生産品で
SONYのブランドイメージ向上の為、他の超高価なAV機器群と
同時発売されたもので、およそ一般的では無い。
一般的な高級機の最初はCONTAX TVS Digital (2003年)
ではなかったか? だが、これもデジタル黎明期であった事や
高価(約13万円)であった事、そして京セラCONTAXは前年の
フルサイズデジタル一眼のN DIGITALが、様々な不出来で、
マニアや一般ユーザーからそっぽを向かれ、事実上デジタル化
戦略に失敗してしまい、2年後のカメラ事業撤退という悲運に
見舞われた事、等から、TVSデジタルも当時のマニア間では
買い控えの雰囲気があった。
NIKONやKONICA MINOLTAはこの当時、銀塩時代のようなチタン
製の高級コンパクトをデジタル版でリリースする様子は無かったし、
そんな中で最初に一般的に受け入れられる高級機として発売された
のが、このRICOH GR Digitalであったと思う。
その市場戦略は発売前から入念を期し、「GRブログ」を立ち上げ
(企業運営のブログとして、当時としては先進的)情報を常に
アップデートしつつ、マニアを中心に市場を盛り上げていった。
私も、それに乗せられたのか(汗)このGR Digital を事前予約し、
2005年秋の発売当日に新品購入、価格はちょっと値引いて
貰ったが75000円もした。

だが、その性能は満足すべきものであった。
銀塩時代のGR1sも所有してるが、モーターの耐久性の弱さ、
最短撮影距離の長さ、最高シャッター速度の低さ、構造素材の脆さ、
価格の高さ、等の弱点があり、まあ写りは良いのであるが、あまり
好きなカメラではなかった。
また、最短の長い28mm広角は中距離スナップや遠距離風景といった、
古い時代の撮影技法の他には使いようがなかったとも言える。
が、このGRD は何だ!マクロでは最短でレンズ前1.5cmまで
寄れるし、ターゲット機能でマクロ時のピント位置まで自在だ。
その際のボケ質は独特だが、悪いものでは無く好みだ。
勿論マクロ時以外の描写力も、銀塩GR1譲りで問題ない。
広角28mm(相当)は、本記事の他のズーム機が、いずれも37mm
前後が広角端であった事からは当時は貴重なスペックだ。
センサーザイズも1/1.8型とそこそこ大きく、勿論CCDだ。
(当時はCMOSよりCCDが優秀)

開放f値もf2.4とそこそこ明るい、但しNDフィルターが装着
しずらいので屋外では最高シャッター速度1/2000秒をオーバー
しないように注意する必要がある。どうせ絞りの効果は広角では
出難いので、絞り優先ではなく、Pモード+プログラムシフトで
撮影するのも、その1つの回避方法であろう。
また、露出補正をアップダウンキーにアサインすれば、常時直接
補正が可能だ。
また、前ダイヤルで絞り調整が可能で、後のADJ.ダイヤルには
様々な機能が自在アサイン可能で、呼び出し操作系も優れている。
全般的な操作系についても、まず問題は無く、当時の他の
コンパクト機の劣悪な操作系とは一線を画していた。
細かいカメラ設定が自在なのも特徴で、以下は、マニュアル露出と
手動ISO設定、フラッシュ光量補正と全速同調内蔵フラッシュの
全てを組み合わせた「擬似夜景」と呼んでいる特殊な撮影技法だ。
(注:昼間に撮っている)

また、薄型機ながらバッテリーも300枚程は持つし、
おまけに、定期的なファームウェアのバージョンアップで、
どんどん新機能が拡張されていく。
(当時の他のコンパクトでは、これは殆ど無かった)
その後、GR Digitalの系譜は2年毎に本体がアップデートし、
Ⅱ、Ⅲ、Ⅳとなり、以降センサーをAPS-C型に大型化した
GR,GRⅡと進化していく。
だが、私が使っているのは依然初期型のままだ、撮影枚数は
11年程で5万枚近くとなり、過酷な環境での撮影もあった為、
外観はボロボロになっている。
センサーへのゴミ付着や、不注意による破損等で、過去4回程
修理した。バッテリーも劣化して3回ほど変えている。
まあそれでも使い続けている訳だ。
他のデジタル機では数年もすると、仕様的に新機種に見劣りして
使えなくなってしまうのだが、本機の場合は例外的だ。
また、ほんの僅かだがエフェクトも搭載されている。

2015年頃、使用10年を経過して、そろそろ耐用年数がヤバいと見て、
GRDⅣかGRに買い換えようかと思ったが、ミラーレスマニアックス
の記事でお馴染みのGXRを選んでしまった。
このGXRは、GRDシリーズに比べ完成度が低く問題児であったが、
まあ、マニアックな点は気に入っている。
でも結局 GXRはGRDの代替にはならず、GRDも老骨に鞭打ちながら、
たまに出動する状況が続いている。

ちなみに、買い替え時の目安となるカメラの減価償却の判断だが、
デジタル一眼やデジタルコンパクトの場合は「1枚3円の法則」
を持論としている。これは購入価格を撮影枚数で割り、
その値が3円となれば減価償却完了という目安だ。
なお、これは、次々に新しいカメラを衝動的に購入してしまう
事を意識的に防ぐ防御用のルールでもある。
で、本機GRDの場合、購入価格75000円は25000枚撮影する迄
は元を取ったといえない。が、5万枚撮っていればもう十分であろう。
さらにちなみに、中古が割安なミラーレス機の場合は
「1枚2円の法則」を適用してやや判定ルールを厳しくしている。
本コンパクト・デジタル・クラッシックスで紹介するコンパクト
機は、ほぼ全て1枚3円の法則をクリアしている。
だから自分の意識的には、新しいものを買っても良いのであるが
2010年代では、スマホの台頭などの理由で、コンパクト機市場に
活気がなく、魅力的な製品が殆ど無いのだ。まあ、それもあって、
こうしたクラッシックなコンパクトを今も使い続けるしか無い
状態が続いている訳だが・・
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さて、コンパクト・デジタル・クラッシックス第2回記事は
これにて終了。
最後に注意点であるが、この時代のコンパクト機も依然未成熟だ、
使いこなすには、相応の知識や技術が必要になるであろう。
中古で見つけて安かったからと言って、買ってしまったりすると、
上手く使いこなせず、無駄な出費になってしまうかもしれない。
現にGRDなどは、私が使っているのを見て周囲のビギナーが何人か
購入したが、「屋内撮影で手ブレする」とか「ズームが無い」とか
言って、ほとんど使いこなせず、ホコリを被ったまま老朽化して
しまった様子である。まあ、露出の原理が分からず、ISO400程度
までしか上がらないAUTO ISOで、絞り値もシャッター速度も見ない
まま撮っていたら、そうなるのも当然だ。
よって、この時代のコンパクトも、あくまで上級者またはマニア
向けという事にしておこう。
次回第3回記事では、2007~2009年発売のコンパクト機を、
数機種紹介していくことにしよう。