ミラーレス・マニアックスの補足編、その6。
このシリーズでは、ミラーレスマニアックス本編記事で紹介
できなかったレンズや、機材の課題の回避、特殊な使用法での
テスト等の補足を行っている。
まず最初は、本編では未紹介のレンズだ。
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カメラは、LUMIX DMC-G1
レンズは、SONY DT30mm/f2.8Macro (SAL30M28)
これはエントリーマクロレンズである、定価は24000円+税と
安価であり量販店新品価格も2万円を切っている。
仕様だが、DT(デジタル・タイプ)であるから、APS-C機専用
レンズである。等倍マクロで、最短撮影距離は12.9cmと短く、
ワーキングディスタンスは2cm程度しか無い。
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SONYのDTエントリーレンズ群は極めてコスパが良い。
チープな外観ながら、描写力はより高価な他社レンズ等と同等
レベルであり、その値段からは信じられない写りだ。
まあ、エントリー=お試し版、であるから、出血大サービスという
感じなのであろう。
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エントリー群の中で最初に入手したのは、DT35mn/f1.8だった。
中古1万円程の安価なレンズながら、最短撮影距離はマクロ以外の
35mmレンズ中最短の23cmだ。
この長所と優れた描写力によるコスパの良さで、第60回記事で
特集した「最強35mmレンズ選手権」では、他の名玉を抑えて
圧勝であった。
その後、引き続きDT50mm/f1.8を入手し第67回記事で紹介
している。
で、そもそも、ミノルタ時代から続くαマウントの50mm/f1.4には
弱点があった・・
ここからは長い歴史の話になるのだが、せっかくなので書いていこう。
まずは、時代を遡ることおよそ40年前、1970年代の銀塩MF時代、
その頃のミノルタの大口径標準レンズMC50mm/f1.4(第44回記事)
やMC58/1.4(第65回記事)は、そこそこ良く写るレンズであった。
その後、AE両優先に対応したMD50/1.4になったが、ここでは
MC時代のものとレンズ構成に変化は無かった。
だが1980年頃、当時のOLYMPUSやPENTAXの小型化競争の時流
から、ミノルタも追従せざるを得ず、後継機のNew MD50mm/f1.4
(第32回記事)では、確かに小型軽量化はできたが、その弊害により
性能を落としてしまったのだ。
数年後、1985年にミノルタは初の実用的なAF一眼、αシステムを発売、
その際に性能の悪いNew MD50/1.4をベースに、α用AF50/1.4
(第63回記事)が作られた。
まあ、αを発売当初から実用的なシステムにするという、その忙しい
時に、新しいレンズ構成の50mm/f1.4を開発する余裕はなかったの
かも知れない。
このレンズはその後ロングセラーとなって、膨大な数が作られた、
恐らく製造コストも大きく下がり、利益率も高かったであろう。
1990年代初頭では、αシステムは行き過ぎた自動化により人気を落とし、
そこにハネウェル社との特許訴訟が追い討ちをかけ、αは不振となった。
以降、本レンズは若干の外観変更程度で、結果的に20年もの長期間作り
続けられ、その間、新しいレンズ構成の50/1.4が出る事はなかった。
1990年代後半になってαは息を吹き返すが、その頃、特に2000年前後
は、まずデジタルカメラ開発が急務であったのと、コニカ・ミノルタの合併で、
50mm/f1.4のリニューアルの余裕は、ここでも全くなかったのであろう。
そして2006年初頭にコニカミノルタはαシステムをSONYに譲渡
したのだが、SONYも、いきなり新レンズを開発する事は出来なかった、
そのノウハウも無いだろうし、それこそ、忙しい時に新しい50mm
単焦点レンズなど開発していられない(優先度が低い)
よって、ここでもまた、20数年前の性能の悪いNMD50/1.4と同じ
基本設計による50mm/f1.4(SAL50F14)が、ついにSONYの
時代にまでも引き継がれてしまったのであった。
まあ不運もあるかも知れない、レンズ構成を変更できるチャンスが
あったとしたら、α-7000が最初に出た1985年、それと、デジタル化
したα-7Dが出た2004年、そして、SONYに引き継いだ2006年で
あったのだろうが、いずれも忙しい最中だ、さすがにタイミングが
悪すぎる。
SONYも思う所があったのであろう、2013年にPlanar の名前を冠した
新レンズ構成のSAL50F14Zを発売したのだが、これは超音波モーター
が入って、定価は恐ろしく高価な157000円+税 となってしまった。
さすがに標準レンズ1本にそこまでは出せない。
中身は他のレンズと同じガラスだろう・・ とも思ってしまう。
まあ、開発費がかかっているのは確かであろう。
例えば数千万円ほど開発費がかかったとしよう、で、この価格帯だと、
レンズは数千本位しか売れないだろうから、数千万円÷数千本で、
数万円。つまりレンズ1本あたり15万円の定価の内、数万円が
開発費の減価償却という計算となる。
ちょっとコスパ的には許容範囲を超えてしまっている。
だが、このSAL50F14Zが発売される数年前の 2009年、ひっそりと
エントリーレンズ DT 50mm/f1.8(第67回)が発売されていたのだ。
このレンズは定価2万円台前半と安価であったし、
(ミノルタから引き継いだ) SAL50F14の半額程度の定価なので、
殆ど誰も注目していなかった、つまり「安かろう、悪かろう」という
誤解の認識である。
だが、本ミラーレスマニアックシリーズでは、すでに延べ320本もの
レンズを紹介しているが、値段が高いレンズが、必ずしも良く写る
レンズでは無い事は明らかであった。それはシリーズ開始前から
わかっていた事なので、シリーズを通じて「コストパフォーマンス」
という概念を強く打ち出し、それでレンズの評価を行っていたのだ。
DT 50mm/f1.8を入手して思った、「これで十分では無いか!」と。
SAL50F14Zは持っていないが、カールツァイスのプラナー50/1.4は、
RTS版とNシステム版の2本を持っている、いずれも、プラナーという
名前で中級者やマニアが想像するような「恐ろしく良く写るレンズ」
・・・という訳では無く、いずれもクセのあるレンズだ。
だから、いくらプラナーだと言っても、フルサイズ対応と言っても、
16万円以上もするSAL50F14Zは最初から購入対象外であったのだ。
「これで十分」と思った DT50/1.8は、同時に「エントリーレンズ
あなどるなかれ」という風な印象も与えてくれた。
その第67回記事でも書いたと思うが「このエントリーシリーズは
コンプリートしよう」と思った訳だ。
・・・という事で、歴史の余談がずいぶんと長くなったが、
そういう理由で、本レンズ DT30mm/f2.8Macro を入手した訳だ。
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描写力だが、どうだろう・・? まあ普通に良く写るとは思うが、
ミノルタ時代からの名標準マクロAF50mm/f2.8Macro と比べると、
感動的という要素は無い。
すなわち、マクロレンズというものは、殆どのレンズが優れた
描写力を持っている。よって、ちょっとやそっと良く写っても
他のマクロと比べると、それくらいは写っても当然と思ってしまう。
・・・まあ、厳しい激戦区という事であろう。
その点、マクロのエントリーレンズは辛いところがある。
それから、ボケ質破綻は若干発生しやすい、
APS-C換算の標準マクロであるので、背景を取り込める範囲は広く、
画面内の様々なポイントでボケ質を注意しなければならない。
この課題の対応には、DMC-G1ではなく、デジタルズームが可能な
μ4/3機または、APS-C型Eマウント機(NEX-7等)が母艦として
望ましいであろう。
けどまあ、Eマウントの30mmマクロSEL30M35 (第72回、
補足第2回記事)の描写が全く好きでは無いので、同じSONYで
あっても、それよりはずいぶんとマシだ。
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コストダウンによる簡略化された外装は、DT35/1.8や、
DT50/1.8ではあまり気にならなかったが、本DT30/2.8Macro
では、ピントリングの狭さ、回転角度の小ささ、そして感触、といった
MF操作性の面での課題が目立つようになってしまった。
これはマクロであり近接撮影の頻度が大きくなるからだと思う。
まあでも致命的な弱点は見当たらず、コスパは極めて良い、
中古購入価格は、本年2016年に1万円強程度であった。
この価格であれば、α(A)マウントの必携レンズとも言えよう。
なお、未検証であるが、第61回、第69回記事で紹介した「宙玉」
(そらたま)用マスターレンズとしても、本レンズは適しているかも
知れない。
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さて、次のシステムは、レンズ課題の確認と回避だ。
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カメラは、SONY NEX-7
レンズは、SAMYANG(サムヤン)85mm/f1.4
本編第64回記事で紹介した、韓国製MF大口径中望遠レンズ。
新品でも3万円程度と、スペックの割に極めて安価であり、
他の全ての85/1.4級レンズの中古価格よりも安い位である。
で、その記事の際には、晴天で、あえてフードを装着しないで
撮っていたが、盛大なフレアとゴーストに悩まされた。
逆光耐性が極めて悪いレンズだ、という認識が出来たのだが、
果たして、一般的な撮影環境で、それが回避可能か?というのが
今回のチェックポイントだ。
天候は曇り、しかしf1.4レンズなのでND8(減光3段)フィルターを
装着してみよう。これで明所でも絞りをほぼフルレンジで使用できる。
次いで付属のフードを装着、安価な製品の割りにはちゃんとした
フードが付属している。
本レンズはEF(EOS)マウントだが、手動絞り環がついている。
この為、一眼レフで使用する際は、絞込み測光となり、被写界深度
やボケ質の確認には良さそうだが、光学ファインダーでは絞り込むと
どんどん暗くなっていくので、実際のところは不便であると思われる。
今回は、NEX-7に装着しているので、絞込んでも、EVFやモニターは
暗くならず、快適に撮影できる。一眼レフよりミラーレスで使う方が
圧倒的に有利なレンズである。
ちなみに、マウントアダプターは機械絞り羽根内蔵型だが、レンズに
絞りが付いているので、アダプターは開放にしておけば十分だ。
(開放でしか撮れない簡易型EFアダプターでも使えるレンズという
点は長所だ)
さて、フレアやゴーストの回避は、さらに念を入れて、ちょっと
暗い木陰のあたりでの撮影をメインにしよう。
そこまでするのは、甘やかせ過ぎ(笑)とも思われるが、まあでも
逆光耐性が極めて低いレンズとか、カビなどによる故障レンズは、
これくらいやっても、依然フレアが発生する場合もある。
まあつまり、もし今日の撮影環境でもNGならば、このレンズは
全く使い物にはならない、という限界性能チェックでもある。
レンズの立場からすれば、甘やかされている訳ではなく、
見捨てられるかどうかの瀬戸際だ(汗)
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で、被写体や撮影環境を慎重に選べば、逆光耐性の低さは殆ど
問題にならない様子だ。
しかし、優秀なNEX-7のEVF(236万dot かつピーキングが高精度)
であっても、被写界深度が浅すぎて、ピント歩留まりが悪いのは
これまた別の問題だ。まあでもその点は本レンズに限らず、全ての
85mm/f1.4級レンズで同じ課題を抱えている。
特に今日は、ND8というキツめの減光フィルターを用いていて、かつ
暗所での撮影なので、シャッター速度を稼ぐ意味もあり、殆どの場合、
絞りは、f1.4~f2.8の間で使用している事もピントのシビアさに
繋がっている。
この値で絞りを使う意味は、「ボケ質破綻」のチェックでもある、
直感だが、このレンズでは、このあたりの絞り値でボケ質破綻が
起きる可能性がある事と、もともと85/1.4レンズであるので、
これらの絞り値がボケ質の関係で使えなければ、それこそ存在意義
が無くなってしまうからだ、これもある意味厳しいチェックだ。
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まあ総合的な感触だが、逆光耐性に関しては、撮影条件を整えれば
問題なし、となり、絞り開放近くのボケ質破綻も出難い、という感じだ。
ピント精度が厳しいのは本レンズの責任では無い、85/1.4であれば、
どのレンズを使っても、ピント歩留まりは、10%以下、つまり10枚中に
9枚は失敗となるだろう。そして撮影技術を上げてもこれは回避できない、
ミラーレスの高精細EVFでも、ピーキングや拡大でも、あるいは勿論
一眼の光学ファインダーでも、MFではちゃんとピントを合わせる事は
難しい。ちなみに本レンズはMF専用レンズだが、一眼でAFで使った
としてもやはり85/1.4はピント精度が怪しい。
参考情報だが、2000年代前半、CONTAX N Planar 85mm/f1.4
の母艦として発売された銀塩AF一眼CONTAX N1では、AFブラケット
という機能が搭載されていた。これは自動的にピント位置をほんの
僅かにずらしながら複数枚の連続撮影をするという機能であった。
勿論フィルムが無駄になるので、あまり喜んでは使えない機能だったが、
まあつまり「85/1.4は、AFでもまずピントが合わないよ」という
事実は、それを作ったメーカー側でも持っていた認識なのであろう。
MFでも、勿論偶然合う事はある、まあ、本来は、それを期待する為に
沢山撮らないとならないのだが、今回はそうした無駄打ちはあえて
していない、単写でなんとかなるか?という限界チェックも兼ねて
いたからだ。
結果だが、実際のところ、ピントは厳しい。やはり85/1.4は、どれも
こんな感じなんだろうなあ・・と、認識を深めた次第であった。
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総合的には、本レンズは撮影条件を選べば及第点である、
新品購入価格は、2010年代に3万円強であったので、コスパに
ついても、かなり良いレンズであると思う。
デジタル一眼で使うにはやや厳しい(難しい)レンズではあるので、
あえてミラーレス機で使うのが良いと思う。
しかし、そうであっても極めて難しいレンズだ、上級者向けと言える。
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次のシステムは、カメラ機能の実験だ。
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カメラは、LUMIX DMC-GX7
レンズは、フォクトレンダー マクロアポランター 125mm/f2.5SL
2000年代の、使いこなしが非常に難しいMF望遠マクロだ。
本編第23回記事で紹介しているが、その時も結構苦戦していた。
使いこなしが難しい理由はいくつかある。
まず、大きく重い(770g程度)レンズである事、
125mmの焦点距離はμ4/3機装着時には250mm相当と、かなり
長目の画角になること、さらに、そこで最短38cmの等倍マクロなので、
手ブレと被写体ブレによりピント合わせが大変困難な事。
加えて、ヘリコイドの回転角がとても大きく、何度もの左手の持ち
替えにかなりの負担がかかる事(持ち替え時に、重たいレンズを
カメラの右手グリップだけでホールドしなければならない、
これはグリップのある大型μ4/3機ではまだマシだが、それが無い
DMX-GX7では致命的かも知れない、ここは要検証だ)
またEFマウントなので絞りがなく、機械絞り内蔵アダプターでは
重たいレンズの根元でその操作が必要で、重量バランス悪化による
操作性の低下、など、総合的にはかなり苦しい状態だ。
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このレンズを使うのは「何かの修行か?」という感じの自虐的な
行為に等しいのだが、まあ今回は、DMC-GX7のボディ内手ブレ
補正機能を用い、上記に上げた撮影を困難にする条件の中で、
たった1点の「手ブレ」という部分だけを減らし、それが撮影の上で
どれくらいの難点の改善になるか? というテストである。
で、いつも言うように、ミラーレス機の内蔵手ブレ補正機能は、
アダプター使用時でも効くことは効くが、光学ズーム、デジタルズーム
デジタルテレコン等の、画角を変える操作をすると、とたんに無効
となり、いちいちレンズ焦点距離設定を変えることは操作系上無理
なので、実質的に殆ど使えない、という事である。
だが、今日は、デジタル拡大機能等を一切使わず、焦点距離設置を
125mmに固定した状態で、手ブレ補正機能を使ってみる事にしよう。
ちなみに、GX7では焦点距離125mmの設定は無いので、最もそれに
近く、かつ小さい数値を選ぶのが定石だ。なので120mmと設定する事
にしよう。電源ONの度に、焦点距離を変えるか?と聞いてくるので
うっとうしいが、それはやむを得ない。
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手ブレ補正の効果だが、そこそこある。
ただ、撮影日の環境は、曇りまたは晴れ、そして減光フィルターは
装着していないので、絞りを開放f2.5から、少しアダプターの
機械絞りを絞った状態では、シャッター速度は、数千分の1秒から、
GX7の最大値の1/8000秒を超えてしまう事もある。
つまり、元々は本レンズの換算焦点距離は125mmx2(μ4/3)の
250mmとなり、その手ブレ限界最低シャッター速度は、初級者の
場合で1/250秒程度、あるいは上級者ならば1/60秒程度であろう。
だから、明所において1/4000秒とかのシャッター速度があれば、
多少ファインダー(EVF)の中の画像が揺れていても、まず手ブレの
心配は要らないわけなのだ。
だが、そのファインダー画像の揺れが問題となる。
構図を決める為の安定性が失われてしまうのだ。
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で、今回の内蔵手ブレ補正機能の利用では、ファインダー内画像の
揺れは明らかに小さくなる、これだと、安心感もあるし、構図を
決める上でも気持ちの余裕が出てくる。
この点では言う事はないが、問題はデジタルズームやデジタル
テレコンが使えない事だ。それらを使って見掛け上の画角を変えて
しまうと、その都度手ブレ補正用焦点距離設定も変えなくてはならない。
これは実用的には面倒すぎる操作系となり、実質的には使えない。
まあ、でも、一度それをやってみた、デジタルテレコンを2倍モード
にする、この時、換算焦点距離は500mm相当となり、手ブレ補正も
追従しないので、EVF内の画像の揺れはかなり大きくなる。
で、一度GX7の電源をOFFし再度ONにすると、焦点距離を変えますか?
と聞いてくるので、ここで250mmに変えてやれば良い。
まあ、使えない訳ではない操作系で、ぎりぎりセーフか・・(?)
でも、この時点で手ブレ補正はあまり効いていないように感じた、
500mm相当というのは長すぎるのであろう、手ブレ補正の有無に
関わらずファインダー画像の揺れは大きい。
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こちらは、デジタルテレコン使用で500mm相当で撮っている。
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総合的な評価だが、こういう使いこなしが難しいレンズの場合、
内蔵手ブレ補正を使うのはそれなりに効果がある。
その代わり、デジタルズーム・テレコンの機能を使うのは実用的
には厳しいので念の為。
さらには、GX7ではなく、グリップ付きの手ブレ補正機で使うのが
重量負担軽減にはベターだと思う。
ちなみに、本レンズだが、現在はレアとなっていて中古市場では
入手困難だと思う。
購入価格だが、2000年代前半に新品で79000円と高価であった。
2000年代後半には逆輸入品が5万円程度で販売されていた事がある。
現在であえて中古を探すのであれば、この5万円というのが1つの
相場の目安になるだろう。マウントを選ぶ余裕は無いとは思うが
可能であれば、絞り環のついたマウントが良いであろう。
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ラストのシステムは、未紹介レンズだ、
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カメラは、DMC-G5
レンズは、SONY 85mm/f2.8 SAM (SAL85F28)
上記DTシリーズ(DT35/1.8,DT50/1.8,DT30/2.8Macro)
とはちょっと異なるシリーズ名でフルサイズ対応である。
ただ、これもSONY Aマウントエントリーレンズの一種であろう、
定価は3万円程度、量販店新品価格は2万円台前半だ。
発売は2010年との事で、DT35/1.8と同時期だ。
入手は最近の2016年で、これでエントリー4本がコンプリート
できた事になる。
手にして驚くのは、85mmレンズにしては極めてサイズ(全長)が
小さい事だ。しかし、MF時代のOM85/2(第35回記事)や
RTSゾナー85/2.8(第27回記事)、近年の中一光学Creator85/2
(第62回、補足編1回)も、そこそこ小さかったので、上手に作れば
これ位のサイズ感になるのであろう。
ただ、軽さはかなりのもので、上記MFレンズのいずれよりも軽量だ。
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μ4/3機で使っているので周辺収差はカットされる。
逆光耐性は検証不足だが、付属フードをつけない状態においても、
あまり問題とはなっていない。
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ボケ質は、これら4本のエントリーレンズ群はいずれも最良という
訳では無く、本レンズも撮影条件により破綻しやすく、回避も少々
難しいのであるが、それでも重欠点というレベルでは無いと思う。
ボケ量に関しては、エントリーレンズ群共通で高い近接性能を持たせて
いて、本レンズも例外ではなく、60cmまで寄れる為、近接撮影では
f2.8ながら、かなり被写界深度を浅くできる。
総合的にはどうだろう・・寄れる中望遠ならば、他社で優秀な90mm
マクロが色々存在している、また、ポートレート用ならば85mmレンズ
は、f1.2~f2級がよりどりみどりだ。
どうも本レンズの適切な使用シーンが考えにくい状況にある。
まあ、α(A)マウント用85mmは、SONY純正では他には高価なプラナー
(約20万円)が存在するだけなので、さすがにそれは簡単には買えない
だろうから、αユーザーならばエントリーの存在価値は十分にある。
しかし、それも、ミラーレス機でマウントの制約が無い状態では、
わざわざ安っぽい作りでMF操作性も悪い本レンズを使う必然性は
多くは無い。どうせMFで使うならばMF時代から以降の85mmレンズ
群は、いずれも本レンズと同等か、むしろそれ以上に高性能だ。
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コスパが良いかどうか?という点では勿論コスパは良い。
だが、代替できるレンズが多すぎるのだ、よって必要性という点に
関しては、ちょっと疑問の残るレンズである。
私は、あくまで、優秀なSONYエントリーレンズ群をコンプリートする、
というマニア的発想で購入したものだ。
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中古購入価格だが、本年2016年に15000円程であった。
中古の玉数は多く無いが、出れば相場は1万円台後半となるであろう、
ただ、新品価格と殆ど差は無い為、どうしても必要ならば新品で
買ってしまうのはありだろうと思う。
で、例えば安価な中古SONY α一眼とのコンビで、カメラが2万円以下、
レンズが、DT30/2.8Macro,DT35/1.8,DT50/1.8
そして本レンズSAM85/2.8の各中古計4本で合計7万円以下、
というのは、なかなか通好みで、高コスパで魅力的なセットになりうる。
勿論広角や望遠は無いが、通常被写体の9割までは、このセットで
カバーできると思う。
「標準ズーム1本で済む焦点距離範囲だ」と思うなかれ。
ビギナーならばそう思うかも知れないが、被写体は平面ではなく
3次元なのだ、だから単焦点レンズで立体的に被写体を捉える視点は
写真を撮る上で必須となる。標準ズームだけで事足りるならば、
各社ともこのような単焦点レンズをラインナップする筈が無いでは
ないか、そういう事からも単焦点の必要性は高い訳だ。
近接撮影は、どのレンズも強く、単焦点でありながらマクロ目線が適用
できるので、どれを持ち出しても被写体にはあまり困らないであろう。
また、システムを構成するどの機材が壊れても1万円台で代替できる。
雨天や登山など過酷な撮影環境でも、壊れても惜しくないセットとしても
利用できると思う、ビギナーのみならず中上級者でも使えるシステムだ。
本レンズも、そういう類の用途のものだと思っておこう。
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さて、今回の補足編(6)は、このあたりまでで。
次回、補足編(7)に続く。