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【遠州駿州紀行】静岡鉄道と東海道散歩

静岡県のマニアックなスポットを巡るシリーズ。
今回は、旧東海道をちょっと歩いてみよう。

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・・とは言え、今日歩くあたりは、例えば同じ静岡の東海道宿場町の
蒲原宿や由比宿のように古い町並みが残るエリアでは無い。
その事は行く前から確認は出来ている。「東海道を歩く」という主旨の
HPは多いし、いざとなれば「ストリートビュー」等でも町並みの様子は
居ながらにして確認できる。

まあ、仮に古い町並み風の場所であったとしても、観光地的に再整備
された町並みであったりしたら、結局それは「ホンモノ」では無いし
それでは外観はともかく、現代の町並みと大差無いとも言える。

元々、マニアックな、あるいはメジャーでは無い場所を巡るのが
本シリーズのコンセプトでもある訳だ。
昔からの本物の町並みが見たい時は、余り観光地化されていない
場所に行けば色々とあるのだが、今回はそれは目的とはしない。

が、何も無いところに行くだけでは、ちょっと面白みに欠ける、
今回は、静岡鉄道(しずてつ)を使って行くとしよう。

新幹線の静岡駅を降り、静岡鉄道起点の新静岡駅を目指して歩く、
JR静岡駅から新静岡駅までは500m程の距離であり、その間は
大型商業施設や、お洒落な店等も多いのだが、あえてそこは通らず、
まず「駿府城跡」(すんぷじょう)に向かってみよう。
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「駿府城跡」(駿府城公園)までは、JR静岡駅から約900m、
新静岡駅からは約500mと、ターミナル駅から近い城跡だ。

一般に城跡というと辺鄙な場所にある事が多いのだが、静岡の場合、
この駿府城、掛川城、浜松城と、新幹線駅から徒歩圏内の城が多い。
まあ、それは平城の城下町が発展した為でもあろう。
そういうケースは他にもあり、関西で言えば、新幹線停車駅では無いが
彦根城や和歌山城も徒歩圏内、新幹線であれば姫路城が駅から近い。

「駿府城」は、元々は戦国大名今川氏の館であったが、徳川家康に
より大改装され、天守閣もあった近代的な城郭である。

隆慶一郎氏の時代小説(漫画、ドラマもある)「影武者徳川家康」
では、家康の影武者である「世良田二郎三郎」が、その正体を知られ、
その抹殺を目論む2代将軍「徳川秀忠」の攻撃を避ける為に、
この「駿府城」を鉄壁の要塞として築くという下りがある。

徳川家康は、さすがに江戸幕府の創始者であり、死後は「東照大権現」
として神格化されている位なので、様々な歴史物の著作などでも、
あまり悪役としては出てこない。なので、悪役として描かれるのは、
息子の「秀忠」のパターンが多く、上記「影武者徳川家康」でも、
そんな感じとなっている。史実とは異なり、悪いイメージがついて
しまったちょっと可哀想な将軍だ。

ただ、本年の大河ドラマ「真田丸」では、主人公が真田信繁(幸村)
であり、最後に家康と対決するのは史実が示す通りであるから、
劇中では、珍しく家康が、ずいぶんと悪役に描かれてしまっている。

まあ、そんなこんなで、「たまには駿府城でも見ておくか」という
感じで寄り道したのだが、実際この公園には城壁の石垣や天守が
残っている訳では無いので、観光名所として期待して来るのは禁物だ。

私は以前も来た事があったので、今回はチラリと見るくらいで、次の
目的地に向かうとしよう。
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新静岡駅から静岡鉄道に乗る。
ローカル線という感じではなく、比較的新しい車両だ。

静岡鉄道は、以前は「スルッとKANSAI」が利用できた模様だ。
スルッとKANSAIは関西圏の私鉄やバスの殆どで使用できる互換性の
高い交通系磁気カードシステムであったのだが、同協議会の運用する
「PiTaPa」(ICカード)に完全に切り替わる為に、2017年初頭をもって
磁気カードの販売を終了、2018年初頭には使えなくなってしまう。

静岡鉄道で以前このシステムを導入したのは、ハードウェア(改札機や
カード)や、ソフトウェア等のシステム全体を新規開発せずに、既存の
「PiTaPa」および「スルッとKANSAI」のシステムを流用した為と聞く。

今回、新静岡駅で、試しに「スルッとKANSAI」磁気カードを使って
みようか?と思ったのだが、駅の券売機の周囲には「LuLuCa」(ルルカ)
と言う、恐らくは静岡鉄道独自と思われるICカードの案内ばかりで、
スルッとKANSAIについては何も書かれていなかった。
勿論、スルッとKANSAI磁気カードの販売も行われていない。

まあ、そんな状況なので、カードを入れると”ピンポン”と鳴ってしまう
可能性が高く、駅員に色々と、いきさつを説明されそうなので(苦笑・
わかっていて、やるのだ)試用はやめておいた。

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静岡鉄道は、現在は静岡~清水間をJR路線に並行して走っている、
昔は、他にいくつもの路線が営業していたのが、1960~1970年代
に次々に廃止された模様だ。モーターリゼーション(自動車の普及)の
発達が早かった静岡では、静岡鉄道の他にも廃止路線は色々とあって
それらの廃線跡を巡るのも興味深いし、以前の本シリーズでも紹介した
事もあったが、今回はそれは目的では無い。

で、主要都市間を複数の路線が走る例は、関西では珍しくなく、例えば
大阪~神戸間は、JR、阪神、阪急。
大阪~京都間は、JR、阪急、京阪が、ほぼ並行して走っている。

関西人はこれらの都市間を移動する際には、それぞれの路線で起点や
終点の場所、停車駅等が異なっているので、目的地等に合わせて
使い分ける。また、こうした「競合路線」では、昼間や休日に運賃が
安くなる割引切符の発売も関西では一般的なのだが、静岡鉄道では、
現在そうした切符やカードは見当たらなかった(かつては存在した)

ちなみに、ICカード系では、こうしたプレミアム(各種割引等)が
あまり無く、特定の路線を沢山乗った際にのみ割引が発生する事が多い。
なので、個人的には、即時に割引のサービスが受けられる磁気カード
(例えば1000円でカードを買うと、1100円分乗れたりする事や、
金券ショップで安価にカードを購入できる等)の方が好みなのだが、
ここ数年で様々な磁気カードが廃止されてしまった(しまう)のは
ちょっと残念な事だ。(ちなみに、払い戻し制度がある為、廃止が
決定されている磁気カードは金券ショップでも定価販売となる)

で、静岡~清水間の所用時間は、JRが約12分、静鉄が22分
運賃は2016年現在で JRが240円 静鉄が300円
・・と、移動という意味においては、JRが時間も運賃も有利なのだが、
静岡鉄道は土日の昼間はおよそ7分間隔の運行であり、JRより本数が
多く、おまけにすいている。駅間隔も短くバスやLRT(路面電車)並みだ、
「のんびりしたローカル線の旅」という雰囲気を味わうには、なかなか
良いと思う。
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今回は、御門台(みかどだい)という駅で降りてみる。

この駅を降車駅に選んだのは、ここから清水の街までは旧東海道を
中心に歩いて、およそ5~6km、散歩にはちょうど良い距離だからだ。
1つ前の草薙(くさなぎ)駅は、JRの駅もあって開けた地域だが、
以前行ったことがあったので、今回はパスした。

御門台駅は上写真のように非常に細長く、ホームもまた路面電車並み
の狭さであり、ローカル色が強くて趣がある。
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この駅周辺には、いわゆる「観光視点」においては見所は無い。
一応「草薙一里塚」という道標はあるが、現在は単なるコンクリート製
の棒だ。各地で良くある観光案内パンフレットには、こうした「道標」や
「跡地」のようなものが書かれている事が多いが、そこに行ってみても
説明版があるくらいで、観光的な見所になる事は殆ど無いと思う。

ただ、繰り返すが、今日もまた観光的な視点で、この場所を訪れている
訳では無い、あくまで未知の土地を歩くのが面白いのであり、そこに
おまけとして「旧東海道である」というポイントがついているのだ。
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目に付くものを写真に撮りながらのんびりと歩く。

起点駅には戻らず、一方通行であるので、コインロッカー等に荷物を
預ける訳には行かない。
気温は27℃と高く、雨の対応も含め長袖だったが、ちょっと暑い。

明日は、清水でドラゴンボートの「ツナカップ大会」が行われる為、
観戦撮影で静岡を訪れているのであるが、撮影機材が荷物になる。

ただ、今回はこの東海道散歩がある事と、明日は雨模様が予想
されているので、撮影機材は思い切った軽量化を図っている。
すなわち、小型カメラが3台だけだ。
重い一眼レフや望遠レンズはすべて家に置いてきた。そりゃあまあ
遠距離のスポーツ撮影だから、一眼+望遠は本来必須なのだが、
そうした機材が無くても、大会の撮りようは色々とある。

で、今日の散歩では大会撮影用のカメラはリュックにしまいこんだ
ままとして、手持ちで歩くのは、PENTAX Q7という
超小型ミラーレス機の1台だけとしている。
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このカメラについては「ミラーレス・マニアックス」記事で複数回
登場しているので、詳しい説明は割愛するが、小型軽量のみならず
「エフェクト」の性能および操作系が非常に強力な機種である。

今回の散歩撮影でも、殆どがPENTAX Q7のエフェクトを用いている。
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「エフェクト」は2010年代のミラーレス機やコンパクト機では勿論、
近年の一眼レフにも当然のような搭載されている機能だ。
ただし一眼レフでは光学ファインダーであるから撮影前にその効果は
わからないので、あまり使っている人は居ないであろう。

ミラーレス機の場合は、そして特にPENTAX Q7(やPENTAX K-01)
であれば通常の絞りやシャッター速度、露出補正といった写真を撮る
為に必要な設定にプラスして、様々なエフェクトをかける事が出来るし
勿論それらは撮影前に出来上がりの画(え)がモニターで見える。

また、コンパクト機全般や、多くのミラーレス機では、エフェクトを
使うと写真撮影の為のカメラ設定が一定になってしまう事が多いので、
あまり面白味が無い。このあたりは、Q7やK-01の独壇場であろう。
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余談だが、1970年代に電子楽器のアナログシンセサイザーが登場
した頃「様々な新しい音を作れる」という点は先進的なミュージシャン
達に歓迎された、だが、旧来のアコースティックあるいは電気楽器
(例:エレキギター、電子オルガン等)のミュージシャンの一部は
シンセを嫌う事も多かった。それはまあ、新しいモノは常に反対意見
もあるし、旧来の楽器で色々と演奏技術を磨いてきたのに、新参者に
それを荒らされるのは好まない事でもあろう。

楽器の世界では1980年代にデジタル化が進んだ、これはカメラの
世界のデジタル化よりおよそ15年早い。
楽器のデジタル化ではサンプリング技術が発達し、自然界の全ての
音を楽器化できる「サンプラー」や、本物そっくりの音が出る電子ピアノ
等が登場した他、様々なエフェクト(楽器の場合は音響効果の意味)
の進化や、音楽製作や録音の技術や方法論(例:PC上で全ての
音楽製作が出来る)も大きく発展した。

結局、楽器(音響)の世界では、デジタル化しておよそ10年後の
1990年代以降は、「デジタルで無いとやっていられない」という時代に
なってしまった訳だ。もうそこでは、シンセサイザーの音を「邪道」だ
等と言う人は皆無になってしまった。シンセは身近にごくありふれた
電子楽器の1つ、という事になった訳だ。

カメラの世界でも旧来のフィルムとデジタルが混在していた2000年代
前半においては、デジタルカメラの事を色々と悪く言う人も多かったし、
ましてや「エフェクト」などは邪道も良い所であった。

だが、カメラのデジタル化から約15年が経過し、今時は銀塩カメラは
むしろ趣味的な世界となってしまっている。前述の音楽のケースと
同様に「デジタルで無いとやっていられない」時代となった訳だ。

映像エフェクトについての「アレルギー」も急速に無くなってきている。
商業映像の世界では、エフェクトや編集を加えていない写真や映像等、
全くと言っていいほどありえない話である。

アマチュア写真の世界においては、エフェクトは、旧来は「加工写真」等
と呼ばれていて、例えば写真コンテスト等でも「加工写真禁止」といった
邪道扱いであったのだ。これは、ある意味、当時のデジタルカメラには
エフェクト機能は無く、PC編集等を必須とするその作業を出来ない人が、
出来る人に対して「ずるい」という不公平感があったのだろうと思う。

こうした事はカメラの世界に限らず、2000年代前半においては、
パソコンを扱える人と扱えない人が居て、その事が「ヒエラルキー」
(上下階層化、身分差別等の意味)とも呼ばれて社会問題になった事
もあった(例えば、市役所関連等の届出を、PCで出来るようにしても、
それが出来ない人達が居る、その場合はどうするのだ?など)
ただ、近年は、スマホの普及により「ITヒエラルキー」は急速に
解消して、社会問題として取り上げられる事も殆ど無くなった。
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結局、「時代の変化」なのだろうと思う。
世の中の「技術」は急速に進歩し、その普及に伴い生活スタイルは
もとより「文化」や「慣習」も変化していく。それらをいくつも見て
くれば、そうした変化に全て追いつこうと慌てる事はなく、あくまで
自分が興味がある事、あるいは自分の生活スタイルに関連する事
にのみ対応していけば良いのであろうと思う。

例えば、私の知人で、未だに携帯電話を持たない人が居る、
「どこに居ても電話がかかってきて、うっとうしい」という
理由だそうだが、確かにそういう考え方も一理あるとは思う。
まあ確かに連絡は不便であるが、PCのメールは通じる模様であるし
そういうスタイルでも、普段の生活に大きく悪影響が出る事は無い。

私自身も、音楽の世界の「ハイレゾ」に全く興味が無い。
それは既に20年も昔からあった技術であり、今更騒ぐような事では
無いと思っているし、従来から所有している音源の全てが、非ハイレゾ
なので、今から全てそれをハイレゾ化するのは不可能であるという
理由もある。
新しいほんの数曲を聞くために、高価すぎる(つまり現時点では、
一般的に言う所の付加価値が高い為に、高い値段で売買されている)
ハイレゾのシステムを買う気にはならないからだ。

それに、私の可聴周波数帯域上限は14.5KHz程度でしか無い、
ハイレゾのサンプリング周波数192KHzで、20KHz以上の高域音源が
再生されたとしても、そもそも聞きようが無い訳だ。

幸いにして元音響エンジニアなので、このあたりの技術原理は熟知して
いるし、可聴帯域内であれば、音の差異を聞き分ける耳も持っている。
非ハイレゾでも、個々の音源に応じて、様々なプレーヤーやイヤホンを
組み合わせ調整する事で、完全に自分好みの音を創り出す事も出来る。
この為に、10台のプレーヤーと50本のイヤホンを所有している訳だ、
だから、自分の志向性に合わないハイレゾには興味を持てないという
事になる。
流行を追いかける事はなく、あくまで自分のライフスタイルやポリシーに
あわせてトレンドを取捨選択していけば良いと思っている。
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さて、余談が長くなったが、「旧東海道」であった。

このあたりは「草薙~江尻宿」というエリアに相当すると思うが、
事前に「ストリートビュー」で軽く見ていた通り、旧東海道としての
趣は殆ど残っていない。

まあ、「ストリートビュー」は、全国の道をワゴン車で撮影しまくり
(しかも、定期的に新しく撮影する)それを編集するという、気の遠く
なる手間が必要な仕組みなのだが、利用者側からは非常に便利だ。

ただ、1つだけ弱点がある。それは「細い道に入れない」事だ。
この為、「ストリートビューの入れない道を歩く」というのは
最近、私の中では好きな行動パターンになっている、

そして、「旧東海道」を歩くと言っても、目的が「東海道全踏破」
という訳では無いので、歩く道にはこだわらない。あっちこっちへ
フラフラと、目についた面白そうなものを求めて歩く訳だ。
なので、予定距離5~6kmと言っても、実際には7~8kmは歩く事に
なってしまう。私の場合写真を撮りながらのんびりと歩く際の速度は、
平均時速2.5kmだ、よって、7.5kmだと3時間は歩く事となる。

ウォーキングを目的とした場合は、平均時速5km程度になる事が普通
であろう、昔の本ブログ記事で「ウォーキング大会」のイベント撮影
を掲載した事があったが、速い人達はそれ以上の速度で歩いていた。

つまり、今日の行程は、健脚のウォーカーが旧東海道を真っ直ぐ
最短距離で歩けば、1時間程で到着するだろうが、それを3時間以上
かけて歩いている事になる。
ただまあ、このくらいの距離であれば休憩を取る必要も殆ど無いので
まさしく散歩には最適という感じだ。
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さて、何だかんだで清水の町並みに近くなってきた。
このあたりは「江尻宿」(えじりしゅく)と呼ばれていた。

いわゆる「清水港」も範囲が広く、JR清水駅の前のあたりの清水港
(そこは昨年までドラゴンボート大会が行われていた場所、今年から、
ドリームプラザ前の清水港に場所を移した)は、「江尻埠頭」と
呼ばれていて、水上バスや観光フェリー等では清水駅前の発着場を
「江尻」と呼んでいるので、観光客などは、一瞬迷うかも知れないが
この清水の街が東海道の「江尻宿」である事を知っていれば、容易に
理解できるかと思う。

「江尻宿」の東端には「木戸跡」(見付、番所)がある模様だが、
例によって立て札だけなので、今回はそこまで行くのはやめておこう。
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河童の伝説のある「稚児橋」を渡り、「魚町稲荷神社」に向かう。
神社の裏手には江尻小学校があるが、そこにはかつて武田信玄
(あるいは家臣の馬場信春)の築いた「江尻城」があった。
その城の主たる城主は穴山信君(梅雪)であり、
梅雪が、この稲荷神社を造営したとも言われている。

穴山信君(のぶだだ)・梅雪は、戦国大名(甲斐)武田氏の一門衆
(親族)であったが、長篠合戦の後、武田氏衰退の頃には徳川氏と組み、
有名な「本能寺の変」においては、徳川家康に同行して堺の街に居た。

家康は、これもまた著名な「伊賀越え」で明智軍や一揆勢の襲撃から
逃れるが、別行動をした梅雪は、宇治田原あるいは京田辺のあたりで
一揆勢に襲われて絶命する。
このあたりは、以前の本ブログの記事「本能寺の変と明智光秀」でも
京田辺市にある「穴山梅雪の墓」の写真を掲載している。

で、「江尻城」の跡は現在何も残っていない、江尻小学校の敷地と
イコールという訳でも無さそうであり、小学校の北側には「二の丸町」
という地名も残っているので、もう少し広い範囲であったのであろう。

「稚児橋」のある巴川(ともえがわ)を堀の代用としていた事も
十分に考えられるが、現在と当時では川の流れも異なっているかも
知れない。

静岡の城は、歴史的に見れば、今川氏、武田氏、徳川氏が入り乱れて
いて、色々と興味深い点もあるのだが、合戦などで歴史的に有名な
「高天神城」や「二俣城」は、当然天守閣が残っているような訳では
なくて、観光名所と言うよりは、戦国マニア向けである。

ちなみに、天守閣(天守)は、信長や秀吉が権威の象徴としてそれを
作った、という要因もあり、地方の実戦的な城では天守は殆ど無い。
一般の観光名所的な「天守閣」は後の時代のものである事が殆どであり
創建当時の様相で現存する物は、彦根城、姫路城など12ヵ所しか無い、
と言われており、それらも後世の修復や再建等による物だ。
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さて、「江尻城跡」の「江尻小学校」には、もう1つ重要な歴史がある、
それが、この「魚町稲荷神社」にある「日本少年サッカー発祥の地」
の碑(上写真背後のサッカーボール)である。

これはおよそ今から60年前に江尻小学校に赴任した教師が、子供達に
サッカーを教え、全国に先駆けて少年サッカーチームを作った、という
話であり、この後、静岡県でサッカー競技が普及する事になった。

余談だが、「何を聞かれても静岡と答える」というゲームがある。

「お茶」→「静岡」
「みかん」→「静岡」
「サッカー」→「静岡」
と、ここまでは誰にでも答えられるのだが、

「塩漬け」→「XXXX」
「篠塚」→「XXXX」
と言われると、もつれて「静岡」とは返答できない、というトリックだ。

で、ここで、静岡の特徴として静岡茶や蜜柑という特産物に並んで
「サッカー」が入っているというのが面白い。

この日、「清水エスパルス」の試合があり、幸いに勝った模様だが、
現在、エスパスルはJ2リーグであり、J1リーグへの昇格は、残り、厳しい
試合を勝ち上がらなければならない、という事で、
夜に「エスパルスドリームプラザ」では、エスパルスのサポーターの
集会があって、ファン達が盛り上がっていたが、皆、同じユニフォームを
着ていて、しかも、スポンサー企業である「鈴与」の名前が入っている
事から、私はドラゴンボートチーム「鈴与龍舟」の選手と見間違えて
話かけそうになってしまった(汗)両者のユニフォームはオレンジ色を
基調としていて、デザインも非常に似ているのだ
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清水の街を歩く。もう東海道かどうか、というのも、このあたりでは殆ど
関係無い、元々の宿場町を中心に現在の市街地が発展しているのだ。
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JR線および静岡鉄道の鉄橋のあたりだ。清水にはドラゴン大会の
観戦で何度も来ているので、街中は地図無しでも歩ける。

余談だが、大阪のドラゴンチーム「打艇龍舟倶楽部」に、清水の
「鈴与龍舟」の元メンバーが入っているのだが、私が清水の様子を
色々と話していると「地元民よりも詳しい」と驚いていた(笑)

ここから一度ホテルにチェックインし、夜にドリームプラザに向かう事
にする。歩いた総距離は7km強くらいか?思っていたよりも結構疲れた。
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夜、新清水駅前から、エスパルスドリームプラザ(ドリプラ)行きの
無料シャトルバスに乗る。ホテルからドリプラまでの距離は1km程
であるので、歩いても容易に行けるのだが、昼間結構歩いたので、
少しだけ楽をする事にしよう。

ドリプラからの帰路だが、当該無料バスは旧来は新清水駅前には
止まらずJR清水駅直行だったのだが、今年からか?清水区役所前
に止まるようになっていた。
だが、ドリプラから区役所前までは僅かに500mの距離だ。
数分間バスの出発を待っている間に、そこまでは歩いていける、
いずれにしても、帰りは歩いて新清水駅前のホテルに戻る事にしよう。

ドリプラではドラゴン大会の懇親会(前夜祭)が行われるのだが、
少し早く着いたので、日の出埠頭(マリンパーク/マリンターミナル)
のあたりを散策してみる事にしよう。
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こちらは駿河湾フェリー、清水港と伊豆半島の土肥(とい)港を
結んでいる。

所用時間は1時間ちょっと、料金は2000円強、という感じなので、
なかなか便利な模様だ。ちなみに、伊豆半島の西側は鉄道は走って
いないので、ちょっとした穴場になっているかも知れない。
土肥から修善寺または、三島、沼津まではバスも出ている様子なので
帰路に困る事もないであろう。運賃は、ややかさんで贅沢な旅になるが
いずれ機会があれば、このあたりの旅行ルートも検討してみようか・・

さて、今回の【遠州駿州紀行】は、このあたりまでとしておく、
静岡県は広く、大井川を境として、西側が遠州(掛川、浜松など)
東側が駿州(静岡、新富士など)となっている、まだまだマニアック
なスポットは色々とありそうだ・・・

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