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ミラーレス・マニアックス補足編(2)

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ミラーレス・マニアックスの補足編、その2。

このシリーズでは、本編記事で紹介できなかったレンズや、
機材の故障・不調等の回避、あるいは機材の課題の再確認等の
補足を行っている。

まず、最初のシステムは、レンズの問題点の再確認だ。

c0032138_18562899.jpg

カメラは、SONY NEX-7
レンズは、SONY E30mm/f3.5 Macro (SEL30M35)



第72回記事で、本レンズを紹介した際では、NEX-3に装着して
使っていたが「画像の輪郭が異常に強い」という点が気になった。

想像だが、このレンズを使った場合のみ、カメラ内部で特殊な
画像処理を行っているのではなかろうか?という事である。

今回は、カメラを変えてNEX-7で使用して、この問題を確認
してみよう。

カメラの設定だが、NEXシリーズの場合、シャープネス設定は
撮影モードの全体に適用するのでは無く、まず、クリエイティブ・スタイル
を選択する、今回は「Vivid」を選んでみる。
そして、個々のスタイル毎のオプション(詳細調整機能)で、
シャープネス、コントラスト、彩度を微調整できるのだ。

(ちなみに、NEX-7の高度な操作系を駆使すると、ファンクション
セット切り替えボタンを押して、トライダイアルを別モードに
切り替える際、その1つにクリエイティブ・スタイルをアサインし
ダイヤルで簡便に変更できる設定にしてあるのだが、そのダイヤル
選択の場合は、オプション調整が出来ないので、必ず主メニューから
それを選択する必要がある)

今回、これらは全て0(=標準)としてみよう。この状態がノーマルであり、
これで輪郭がおかしかったら、ちょっと問題だ。
c0032138_18581327.jpg

う~ん、こちらの NEX-7でもやはり輪郭がおかしい(固い)
なんだか、デジタルズーム系の画像処理を強く行ったような画像だ。

カメラに、あるレンズを装着した際に、特定の画像処理を行う、
という事は、あまり一般には知られていないが、恐らくその事実は
あると思う。

まず、PENTAX Q7の場合、04 TOY WIDE,05 TOY TELEといった
純正トイレンズを装着する際、内部で画像処理が行われている。
この理由は、元々これらのレンズは、PENTAX Q の1/2.3型センサーに
合わせて設計されていたのだが、しかし、Q7以降のQシリーズでは、
センサーが 1/1.7型に大型化された。よって恐らくはイメージサークルが
足りなくなっていると思われる。

その際、Q7はこれらのレンズの装着を電子接点からの情報で確認すると
まず、センサーの周辺画素を無効化し、センサーの中央部で撮影する
(=デジタル・トリミング)その後、設定された画素数にまで補完拡大を行う。
何故そうなっているかがわかるか?と言えば、これらのレンズを装着した
際に、1/2.3型Q/Q10 の換算焦点距離5.5倍とも、
1/1.7型 Q7/Q-S1の換算焦点距離4.6倍とも異なる、5.2倍程度の
半端な換算画角がWEBの仕様表に記載されているからだ。

で、この処理をしているからか?Q7に各種純正TOY LENSを装着した際、
なんだか撮影距離に対する被写界深度がおかしく、MFでのピント合わせが
上手く行かない場合が多々ある。

それから、RICOH GXRのA12 50mm/f2.5 Macroユニットであるが、
こちらは、マクロモードに切り替えると、一瞬画面での画角が
変化して(拡大されて)、少しすると本来の画角に戻る。
こちらも、上のQ7と同様のデジタルズーム系の画像処理が加わって
いるのかも知れない。

同GXRのA12 28mm/f2.5広角ユニットでは、本来のレンズ性能
(仕様)よりも被写界深度がずいぶんと浅く感じる。
なんらかの画像処理を行っている可能性が高いが、いずれ検証して
みよう。

まあ、GXRでは、レンズ交換型ではなくユニット交換式なので、
そのユニット毎に、異なる画像処理エンジンの処理内容を用いて
いると公言されている、よって、まあ確かにそれぞれのレンズ
(ユニット)に合わせて「特別な事」をやっているのは間違い無い。

だが、GXR A12ユニットはいずれもAFのピント合わせが極めて悪い。
まさか、画像処理で画素補完処理中にコントラスト検出処理を
行っているのではないだろうか?なんだか極めて矛盾が起き易い
処理アルゴリズムの状態になっていて、ピント検出性能・精度が
落ちてしまっている事も、少々疑わしい。
c0032138_1902712.jpg

そして、本レンズ SONY E30mm/f3.5も、かなり怪しげだ。

まずAFの準近接撮影でピントが殆ど合わない。
遠距離は問題なく、また接写になると、急にピントが合うようになる、
恐らくはオートマクロ機構が入っていて、レンズ内の距離エンコーダーが
近接撮影である事を本体に伝えると、限られたピント検出用のビット・
ワイズ(幅)を近距離レンジのテーブル(表)に差し替えるのであろう。

で、近接撮影時、最短撮影距離は、9.5cmで等倍とのことだが、
NEXのフランジバックが18mmで、レンズ長(マウント面から)が
およそ7cmある、付属フードをつけた状態だと、18mm+70mm+5mm
で合計93mm、ワーキングディスタンスは限りなくゼロに近い。

そもそも、30mmレンズで最短9.5cmで等倍相当なのだろうか?
ちょっと厳密な計算はしていないが、ここもやや疑わしい。
比較の対象としては、同じSONY のα一眼(Aマウント)用の
DT30mm/f2.8Macro(SAL30M28) 、こちらは等倍で同じ30mmで、
同じAPS-C用で最短撮影距離は12.9cmと本レンズよりだいぶ長い。
まあ、EマウントとAマウントでは、フランジバック長の差があるので、
だいたいはそれ位になると思うが、微妙に計算が合わない。

どうも、本レンズでは、デジタル拡大・縮小処理を行っているので
はなかろうか?そのために輪郭が固くなってしまうのではなかろうか?
とも疑念が出てくる。

しかし、一般的な拡大縮小アルゴリズム、たとえば、Lanczos関数や
バイキュービック法では、2倍程度の比率範囲で拡大縮小を行っても、
こんなに輪郭が固くなる事は無い、それは私も画像処理プログラミング
が出来るので良く知っている。

とすると、よほど特殊な処理を行っているのか、あるいは
パラメーター設定またはアルゴリズム自体にバグがあるのか?
このあたり、ソフトのデバッグのプロセスとか、製品化された際の
一般的な品質検査のプロセスでは発見しずらい内容であろう。

そもそもNEX-3では、JPEG画像の圧縮率設定パラメーターにバグが
ある模様で、計算上の容量の約2倍もメモリーを喰ってしまっていた、
こういうバグは、動作が止まるとかいう根本的なものではないので
よほど注意していてもメーカー側でも発見が出来ない事が多々ある。

・・まあ細かい事はともかく、本レンズがおかしい事は確かだ。
c0032138_1915373.jpg

すべての画像で輪郭が異常に固い、絞り値はf3.5開放は勿論、
色々と試している、NEXシリーズには絞り込み(プレビュー)機能がなく、
純正AFレンズでも常時絞り込み測光となり、被写界深度やボケ質の
確認がやりやすいが、輪郭については撮影前には良くわからない。

これはEVFの精度の問題ではないかも知れない(NEX-7にはそこそこ
高性能なEVFがついている)まさかEVFで見ている際にはノーマルな
画像で、撮影後に画像処理がかかるのだろうか?(例えば、NEXの
プレシジョン・デジタルズームでは、拡大率を上げるとEVFでは
汚い画像となるが、撮影してから再生時やオートレビュー時には
綺麗な画像となる。エフェクト使用の場合も同様だ、撮影後に
EVF画面で見ていた効果と変わってしまって驚く事が良くある)

まあ仮に、色々と画像処理をしていじくりまわしているような
システムであっても良いとは思う。そのクセさえ掴んでしまえば
そういう処理がかかる事を前提で使えば、それはそれで問題ない。
c0032138_1923083.jpg

総合的には、ちょっとクセや疑念が多々あるレンズだ。

軽量コンパクトなEマウントマクロとして、以前から欲しかった
レンズであり、中古相場が安くなったのを見計らって、14000円
程度で購入したのだが・・まあ、下手をすれば、この使いにくさで
あったら、例えばα(A)マウントのミノルタの標準マクロとかを
装着してMFで使った方がはるかに使いやすいかも知れない。

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さて、次のシステムは、ピンホールレンズでの実験だ。
c0032138_192546.jpg

カメラは、FUJI X-E1
レンズは、KENKO PINHOLE 02+M42ティルトアダプター

これは市販ピンホールレンズであり、M42相当のPマウントだ。
穴径は恐らく0.2mm、M42マウントのフランジバックが45.5mmなので、
ほぼその位置に穴があるとすれは、f値は45.5÷0.2=約f227となる。

ティルトアダプターは、熊本市「ギズモショップ」より購入したものだ。
元々は「インダスター50-2」(第71回記事)とセット販売されていた
ものだが、それぞれ単体で使っている。

で、最も面白かったのは、ロシアン魚眼 ZENITAR 16mm/f2.8を
ティルトアダプターで使用した時だ(第72回記事)
被写界深度の深い対角線魚眼レンズで、自由自在にピント位置や
その流れ方を変える事ができるのは常識破りで極めて面白い。

そうしたら、魚眼レンズよりも、さらに被写界深度が深い
完全パンフォーカスの「ピンホールレンズ」を、ティルトして
使ってみたらどうなるのか? というのが今回の実験だ。

もしかすると、ピンホールでもピントが流れるのか・・??
c0032138_1934855.jpg

ここでは、ティルトを思い切り画面横方向に効かせているのだが、
効果がわからない。効いていないのか?

う~ん、考えてみれば、ピンホールというのは、レンズではなく、
単なる穴があいているだけのものだ。

で、その穴をティルトアダプターで傾けているだけなので、
これではレンズの光軸が傾くような効果は得られず、
単に穴の見かけ上の角度や形状が変わっているだけ、つまり
ピンホールを自作する際に、「小さい穴をプチっとあける時に、
ちょっと歪んで失敗したような」ピンホールになるという事であろう。

こういう自作失敗ピンホールは、どうやって確認するか?と言えば、
撮影時に画面の中あるいは近辺に太陽光を直接入れてやれば、
ものすごい数の光条が出る、その光条の出方が不規則だったり
偏っていたりすれば、ピンホールの穴の精度が良く無いという事が
わかるのだ。

だが、今回そのテストをやってみたら、なんだかX-E1の記録画像が
おかしくなった、画面の光条部に直線が入り、画像が分断された
ような状態になった、これはスミア(撮像素子のオーバーフロー)
みたいにも思えるし、メモリーカードのアドレッシング
(アロケーション)が不調になった状態にも似ている。
あるいは、もしかしてローパスレスだからか? あまりカメラや
センサーに負担をかけるのも良くない、危険なのでやめておこう。
c0032138_1944857.jpg

こちらも、左右にティルトしているが、やはり効果は無い。
やはり原理上でもティルト・ピンホールは無理なのか・・?

ちなみに、ピンホール撮影では撮像素子のゴミが非常に良く
写りこむ、通常のレンズでも絞り込むとゴミが写るが、
開放f値が227程度と、究極に絞った状態なのでゴミだらけだ(汗)

だが幸い、このX-E1には大きなゴミがついておらず、小さいものが
いくつか写るだけであった。で、ちょっと不思議なのは、ゴミでは
なく白い円環状のものが結構写っている、これはセンサーの欠陥画素
を画像処理で補完したものなのだろうか? 良くわからない。

なお、後継機のX-E2からは、撮像素子上に像面位相差センサーが
搭載されているので、必然的に欠損画素が出る。これを、点像復元
画像処理などで補完しているとの事である。これは個人的には
あまり好きなやり方(技術)では無いが、AFが壊滅的という問題点を
抱えるXシステムであったから、こういう仕様変更もやむを得なかった
のかもしれない。なお、X-E1ではX-E2のような欠損画素補完とか、
点像復元処理はやっていないと思われるが、ピクセルリフレッシュ
(ピクセルマッピング)等の欠陥画素補完機能は存在していると思う。
ともかく、ピンホール撮影で写る円環状のゴミは、ちょっと謎の画像
処理をしているみたいで気持ち悪い。
c0032138_195367.jpg

さて、これは、上下にティルトしている。
同じ被写体でも、どっちかの方向にどれくらいかティルトしたら
何か変化があるのではなかろうか?と実験しながら撮っているから
時間が普段の数倍かかる、なお、勿論三脚は使っていない、
基本的に花火以外の撮影では三脚は不要なのだ。
よって、手持ちで構図をキープしたままティルトを色々と変えるのが
かなり面倒に思えてきた。

「ピンホールだからブレるのでは?」と思う人はちょっと正解、
まあ、X-E1の最高感度であるISO25600に上げれば、穴径0.2mm
程度のピンホールであれば、晴天時ならば手持ちで十分撮れる。
これは計算上でもそうなるし、本レンズを、最高感度25600の
PENTAX K-01で試した際(第59回記事)でも確認済みだ。

ちなみに、勿論EVFにも背面モニターでも画像は写るので
一眼レフ時代のように「光学ファインダーが真っ暗になる」
という事態は起こらない。1度ミラーレス機でピンホールを使うと、
もう一眼レフには戻れない。

で、やはり「ティルト・ピンホールは効果なし」という事が
実験で良くわかったので、もう無駄な事はやめておこう。
ティルト操作無しで普通にピンホール撮影をやってみる。
c0032138_196954.jpg

でもまあ、このレンズは市販ピンホールなので、ちょっと
ピンホールにしては「良く写りすぎる」、という贅沢な悩みをもある。
購入価格は新品で3000円程であったので、まあ高くは無いのだが・・

----
さて、次のシステムは、レンズの故障の回避だ。
c0032138_1964060.jpg

カメラは、LUMIX DMC-G5
レンズは、ロシアンレンズの Телеар-Н 200mm/f3.5
アルファベットに直すと TELEAR-N となる。なお、Nはニコン
マウントの意味である。

第37回記事で本レンズを紹介した際、絞りネバリが発生して
開放でしか撮影できなかった。

ジャンク扱いのレンズではあったが、意外に良く写ったので
絞り故障はちょっと勿体無いと思った次第だ。
回避方法は、以下の2つのアダプターの組み合わせだ。
NIKON F→EF(EOS)と、EF→μ4/3 絞り羽根内蔵アダプター
を使っている。
c0032138_197458.jpg

μ4/3機であるDMC-G5に装着時の換算画角は400mm相当、
さらに今回はデジタルズームを併用して800mmmまでの画角で
使っている、なお、デジタルズームを使うのは望遠画角にする他、
このようにマクロ的撮影で見かけ上の撮影倍率を上げる目的もある。

本来、このレンズは、200mmなのに最短撮影距離1.6mと比較的
優秀な仕様なので、その特徴を活かすためには近接撮影も良いと思う。
c0032138_1974124.jpg

こちらの状況では、ボケ質破綻が発生しそうになったので、
アダプター内蔵の絞りを絞り込んで破綻を回避しようとしたのだが、
強く絞り込むとケラれが発生してしまった。

このあたり、前記事の補足編1で述べた MC58mm/f1.2での
同様な手法での「絞りネバり回避」の「ケラれ」と同じような状況だ。

ただ、わずかな周辺光量落ちは、「ヴィネッティング」として
(注:トンネル効果とは言わない)写真表現的には「十分あり」
の手法なので、好ましく無い訳ではない。

アダプター内蔵の絞りでは、本来のレンズ内蔵の絞りの効果、
すなわち
1)光量調節(シャッター速度のコントロール)
2)被写界深度の調整
3)収差の低減
4)ボケ質破綻の回避
が、いずれも不十分な状態でしかコントロールできない。

まあでも、そうしなかったら開放のままでしか撮れない、
そして修理をする類のレンズではないので(ジャンクだから)
十分な絞り効果が得られなくてもやむを得ない。
c0032138_198839.jpg

そんなに写りが悪いレンズと言う訳ではない、200mm/f3.5級は
基本的に写りが良いレンズのようにも思える。
たた、本レンズの現代における入手性は良く無い。

同等のスペックで似たような性能の写りであれば、
コニカ AR HEXANON 200mm/f3.5 (第21回記事)
ミノルタ MC 200mm/f3.5(第68回記事)
あたりであれば、まだ入手可能かと思われる。
いずれも比較的大きく重いレンズではあるが、どれも比較的良く写り、
かつ中古相場も安価だ(数千円程度)

----
さて、今回ラストのシステムは、未紹介レンズだ。
c0032138_1993934.jpg

カメラは、SONY NEX-3
レンズは、TAMRON SP 17-35mm/f2.8-4
その後にも DiとかLDとか色々と長い副題が20文字程続くが、
そういう長い名前は個人的には大きな無駄だと思っているので、
ばっさり割愛する。まあ、モデル名は「A05」である。

2003年発売の、フルサイズ対応広角ズームだ。
当時は、デジタル時代の走りであり、一般ユーザーにもデジタル
一眼が普及しはじめた、だが、その殆どは、APS-Cサイズセンサー
であり、広角が不足した。

同時期、SIGMAは、大口径広角三兄弟(20/1.8,24/1.8,28/1.8)
で広角不足の穴を埋めようとしていたが、「TAMRONはこう来たか」
という感じであった。
当時は、デジタル・銀塩の混在時代、どちらの一眼でも使えるような
広角レンズは重宝したし、広角端のf2.8は魅力的だし、おまけに
SP(高画質)仕様だし、そこそこ安価だ(定価は6万円だが、実売は
結構安価だったように記憶している)

本レンズが未紹介だった理由は、知人に貸与していたからだ、
そういえばこんなのを持っていたなあ、と思って取り返してきた次第だ。
c0032138_19103478.jpg

さて、本レンズは、結構人気のレンズであった、
まあ、広角が不足する APS-Cデジタル一眼だ、以前の記事で書いたが、
皆が35mm級レンズ(APS-Cで、標準50mm相当となる)を買い漁った
時代なのだ。

同時期か、やや遅れて、コニカミノルタからも、全く同じ仕様の
レンズが発売された、両者はレンズ構成からフィルター径、重量まで
そっくりなので、同一レンズだと思われる。

まあ、当時のミノルタとTAMRONは密接な関係があり、同一のレンズを
良く発売していた。共同開発か又はOEM製造だったのではなかろうか。

最短撮影距離は30cmと、広角端を考えるとやや不足気味。
特に同時代のSIGMA広角三兄弟がいずれも20cmを切る最短であった
ので、なおさら寄れなさを感じたのだが、まあこちらはズームなので、
最短が長いのはやむを得ない。

APS-C機(今回使用のNEX-3もそうだ)に装着時には、
約25mm~52mm程度の広角ズームとなり、純粋な広角的用途には
もう少し画角が広い方が望ましく、かつ、寄れても欲しい。

本レンズの入手時期は、2005年ごろであったが、それらの
要素(画角、最短、開放f値など)が個人的には中途半端に思え
このレンズを使うくらいであれば、SIGMAの広角三兄弟の方を
重用して、本レンズはあまり使う事がなかった。
c0032138_19112561.jpg

広角とは言え、中距離被写体では、中間絞りでは完全に
パンフォーカスにはならない、もう少し絞り込むか、逆に絞りを開けて
ボケを作らないといと面白みが無い。

しかし、ボケを活用するには、ちょっと最短も長いし、
結局、こういうところが中途半端に感じる原因なのだ。
ただ、ボケ量は少ないものの、ボケ質は、冒頭の写真とかでは
さほど悪くない。

逆光耐性はどうか?
c0032138_1912476.jpg

これは、かなり(f11~f16あたりまで)絞り込んだ状態。

本レンズは、α(A)マウントなので、アダプターは
レンズの絞りレバーを機械的に動かすタイプだ、よって正確な
絞り値はわからない。

で、絞るとかなりシャープとなるのだが、ゴーストが結構出ている、
が、モロに逆光なので、「この程度で済んでいる」というべきなの
かも知れない。

---
まあでも、面白みに欠けるレンズだ。
長期間人に貸与していたというのも、使い道が無いからだ。
趣味の撮影においては、やはりズームより単焦点が面白い、
単焦点を持てば、画角が決まっているため、アクティブ(能動的)
に被写体を探しに行かないとならないが、ズームを持つと、
なんだか出会い頭の被写体があって、「おっと、この被写体ならば
画角をこれくらいにすれば良いか?」など、被写体に「撮らされて」
いるような、パッシブ(受動的)な心理になってしまう。
これでは面白くない。

まあでも、絶対に撮らなければならない撮影(業務上の撮影など)
では、ズームの必然性も高いであろう、それは被写体を撮る事が
必須であり「被写体に撮らされている」等と思う事は無いからだ。

でも、好きなものを好きなように撮れば良い趣味撮影では
ズームの必然性は皆無と言って良いであろう。
本シリーズ記事で、300本近くもの単焦点レンズを色々使ってきた
経験においても、「ああ、ズームを持ってくれば良かった」とか
「別の焦点距離があれば良かった」などと思った事は1度も無い。
超広角から超望遠まで、あるいはトイレンズや特殊レンズなど、
いずれも、その画角で撮れるものを探すのが楽しいのだ。
(ちなみに、本シリーズ記事では良く使うデジタルズームは、
用途・目的や効能も光学ズームとは全くの別モノだ)

で、使い難い画角のレンズは「撮っていて楽しく無い」だけであり、
つまりは判断基準は(ズーム)で画角が何でも揃っているから良い、
とかどうかではなく、撮っていて楽しいかどうか?なのだ。
そこが趣味撮影の一番のポイントになるのではなかろうか・・
c0032138_19125233.jpg

実は、本レンズは欲しくて買ったレンズでは無い。

2005年頃に、知人が 出たばかりのα-7Digitalを購入したが
何が気にいらなかったのか、すぐに手離すという。
そのカメラは20万円近くもしたが、初のボディ内手ブレ補正機で
あったり、銀塩時代の最優秀一眼α-7の「操作性」を引き継ぐなど
(注:操作系は上手くまとめきれていない)魅力的であったのだ。

私もα-7Digitalは欲しかったので、適価で譲っていただく事にした、
しかし、その際、その知人が同時に購入した
ミノルタAF24-105mm/f3.5-4.5(第56回記事)と、本レンズも
一緒に引き取ってもらう事が条件であったので、この2本も譲渡して
もらった訳である。

けどまあ、そのあたりの状況は、第56回記事でも少し書いたのだが、
こうして、17mmから105mmまでとか、焦点距離をびっしりと埋める
ようなレンズの買い方をしていたら、すぐに飽きが来るのも、やむを
得ないようにも思える。その知人は、とぢらかと言えば機材マニアで、
ガンガン撮影するタイプではなかったのだ。趣味で写真を撮る道具と
しては、ズーム中心のラインナップでは創造性が活かせず面白みが無い。

まあそれは良い、α-7Digitalは、私はその後10年以上にわたって
使いつづけ、いまだ現役である、総撮影枚数は良くわからないが
およそ4万枚程度、酷暑や雨中のドラゴンボート撮影等も何十回と
こなしたが、一度も故障した事が無いタフなカメラである。
減価償却などとっくに過ぎていて、十分に使って元が取れたカメラだ、
けど、同時に譲渡してもらった2本のズームは、完全なオマケであった。

・・という訳で本レンズの購入価格は良くわからないが、
一応2万円相当という事にしてある。
まあ必要性は無いレンズだ、また知人に貸与しなおすとしようか。

--
さて、今回はこのあたりまでで、次回補足編に続く。

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