
2016年9月25日(日)に、滋賀県大津市・琵琶湖漕艇場にて行われた
「第11回びわ湖ドラゴンボート1000m選手権大会」の模様より、後編。
瀬田川の南郷洗堰(瀬田川洗堰)の放流により、極めて強い追い潮
(推定秒速1m)となった本大会だが、安全を期して、通常の2~3艘建て
レースではなく、単独走行タイムトライアル制に変更した本大会である。
今回後編では「オープンの部」について結果を紹介していこう。

さて、いきなり余談だが、前編で南郷洗堰と天ヶ瀬ダムの大会当日の
放流量を紹介した。
2つの堰とダムは、最大時で毎秒約800立法メートル(トン)の水を
流す事ができる、これは非常に大きな数値だ。
小学校の25mプールがおよそ360トンの水量と言われているので、
1秒あたりプール2~3杯分の大量の水が流れている事になる。

今回、毎秒600トンの水が流れていた、とは言うものの、過去、大型
台風の襲来により、これを上回る限界を超えた放流が1度だけあった。
その時の「天ヶ瀬ダム」(上写真は放流時)のデータを記録してあった
ので、ここに示す。
以下が3年前の2013年に、南郷洗堰と天ヶ瀬ダムに最大量の水が
流れた時の状況だ。
2013/09/16 天ヶ瀬ダム
時刻 流入量 放流量 貯水率%
00:00, 695, 301, 85
01:00, 957, 632,100
02:00, 939, 837,108
03:00, 887, 839,110
04:00, 987, 839,114
05:00,1220, 840,127
06:00,1343, 854,145
07:00,1343, 929,164
08:00,1303,1083,175
ここで天ヶ瀬ダムに流入する水量は、その殆どが南郷洗堰の放出量
であるが、この時は巨大雨台風が通過した直後だったので、瀬田川
には、様々な箇所から水が流れ込んでいた事であろう。
9月16日午前1時には、南郷洗堰の非常時最大放流量の毎秒800トン
を超えた毎秒1千トン近くが天ヶ瀬ダムに流れ込む。
天ヶ瀬ダムは最大で毎秒800トン強を流す事ができるが、それでは
追いつかず、午前2時には過去最大量の放流となった。
それでも流れ込む水の量は衰える事を知らず、午前6時には、ピーク
の毎秒1340トンとなる。ダムの貯水率は150%を超えて恐ろしい状態
となった。天ヶ瀬ダムは限界を超えて毎秒1000トンの水を放出する。
もしかするとダムの上から水が溢れ出ていたのかも知れないが、
そのあたりは実際にどうだったのかはわからない。
そして、この放流量となると下流が大変だ。
この結果(瀬田川から名前を変えた)宇治川は氾濫し、下流の宇治市
八幡市、さらに淀川となってからの枚方市あたり迄も洪水被害があった。
ドラゴンボート大会でお馴染みの宇治川の「塔の島」も完全に水没して
しまった模様だ。(その後1週間ほど立ち入り禁止となっていた)
で、当日の天ヶ瀬ダムへの流入量はさらに増え、朝には貯水率のピーク
は実に179%、放流量も史上最大の毎秒1150トンまで膨れ上がった。
以下は、そのピークとなった、2013年9月16日午前8時台のデータだ。
時刻 流入量 放流量 貯水率%
08:10,1284,1102,176
08:20,1275,1105,177
08:30,1263,1107,178
08:40,1264,1156,179
08:50,1210,1150,179
この日、京都の嵐山渡月橋付近は水没し、八幡市の「流れ橋」は流れた。
これが、淀川水系に大きな被害をもたらした2013年9月の記録的な災害
であった・・
なお、この時の模様や写真は、京都府八幡市の「流れ橋交流プラザ」や、
大阪府枚方市の「淀川資料館」でも見る事ができる(どちらも無料)
で、本日は幸いそこまでには達していない、上記の史上最悪の状況の
およそ半分程だ、それでも、毎秒約1mの速い水流はレースに多大な
影響を与え、タイムは各チームとも通常時より20~30秒程度速く
なっている。
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さて、余談が長くなったが今回の記事では、本大会の「オープンの部」
の結果を伝えていく。
まず、冒頭の写真は「IHI相生」チームである。
「IHI相生」は、その名の通りペーロンの本場の兵庫県相生市の
チームである。「相生ペーロン競漕」は、およそ100年の伝統を持つが、
ペーロンが長崎から相生に伝わったのもIHI社の功績が大きいと聞く。
「IHI相生」は、そのペーロン競漕に毎年エントリーしているのは勿論、
ドラゴンボートの日本選手権や、本1000m大会にも出場する
強豪ドラゴンボート(専業)チームでもある。

本大会では、過去「チームSH」と名乗り、オープンの部2連覇中だ。
私が思うに「長距離」においては、他の強豪ドラゴン専業チームが
出てきたとしても、「IHI相生」に勝つのは相当難しいと思う。
それほど、長距離が得意なチームであるのだ。
今年は昨年までの「チームSH」名をやめて、本来の「IHI相生」
としてエントリーしている。
テントには上写真のように「絶対にあきらめない IHI相生魂」
という大きな垂れ幕があった。これは新しく作った模様だ。
しかし、相生のチームは「魂」という単語が好きなように思える、
どこのチームとは言わないが、他の2~3の相生のチームの備品
にも、「魂」という言葉が入っていたように思う。
昨年までの「チームSH」は、若手メンバーが中心であり、その体力に
ものを言わせ、1000m戦を力でねじ伏せてきたようにも思えた。
だが、本大会には「グランドシニア大会」が併設されている、
以前、その大会に「チームSH」も出場した事があったと思うが、
そちらは年齢ハンデ戦だ、若い「チームSH」は年齢ハンデが大きく
プラスとなって苦戦を強いられたと記憶している。
今回、「IHI相生」としたことで、ベテラン選手達も混じっている。
どうやら、1000m戦は若手中心、グランドシニア戦ではベテラン
中心として、両方とも勝つ気でエントリーしている模様だ。
その為に堂々と本来のチーム名「IHI相生」を名乗っているのであろう。

こちらは「IHI相生」のビデオ撮影班、午後からのグランドシニア戦
のメンバーであろうか?
なお、選手達は、本日は朝から相生から車何台かに分乗して
琵琶湖まで来た模様である。

こちらは、ご存知、滋賀の最強町内会チーム「池の里Lakeres!」
今年の「池の里」の戦績は、宇治大会2位、日本選手権準決勝敗退、
高島ペーロン2位、ドラゴンキッズ優勝(10人漕ぎの部)、
びわこペーロン優勝(20人漕ぎの部)、となっていて。
良く私が言っている「万年2位」よりも、だいぶ成績が良い。
この1000m大会はまだ優勝経験が無いので、このあたりで是非とも
勝っておきたいところだと思うが、問題は長距離の王者「IHI相生」を
倒せるかどうか?とう点だ。

7~8年前の「池の里」は、本大会で1000mを漕いでくると、残り
100mあたりでは、もうヘロヘロになっていたように記憶している。
しかし、現在では、上写真のように、1000m戦であるのにラストスパート
をかけてくる。年齢的には(町内会なので)皆歳をとり、当時の平均年齢
30数歳は、現在40数歳にもなっている筈なのに、体力がむしろ向上して
いるというのは、いったいどういう訳なのであろうか?
長年の修練や経験や技術スキル向上に加えて、体力もほとんど落ちて
いないのかも知れない。まあ、今年なお「びわこペーロン」で2連覇した
位なので、まさしく「円熟期」に入っているという事であろうか。

「池の里」は、第1回戦では最速の4分12秒台を叩きだした。
今日の水流からすると、およそ20秒程度速くなっていると思われ、
そうであれば、平常時であれば4分32秒というタイムだ。
このタイムは、ほぼ優勝ライン(2レース計で9分ジャスト)であり、
「IHI相生」との2回戦での熾烈なタイム争いが予想される。

こちらは「小寺製作所」
現状、滋賀県の大会のみの参加に留まるチームであるが、
滋賀の全大会での優勝を狙っている。
残すは「びわこペーロン」の20人漕ぎの部と、本「1000m大会」、
「スモール選手権」の3つだけだと思う。
しかし、2014年頃から「小寺は長距離に弱い」という話が、自他ともに
囁かれるようになっていた。と言うのも、2014年「小寺」は絶好調で
あり、滋賀県の大会の殆どで優勝または入賞の好成績をあげたのだ、
だが、1000m大会だけは散々な成績で、その頃から「長距離に弱い」
という話が出てきた。
本ブログでの話に留まらず、最近は「小寺製作所」自身が、その事を
公言していて、本大会のパンフレットには、チーム紹介の所へも
「長距離に弱いですが・・」という事が書かれるようになった。

しかし、本当にそうであろうか? 以前の「堅田船競争」の記事でも
書いたのだが、小寺は600mの中距離戦「高島ペーロン」でに初参戦した
2013年から本年に至る4年間、毎年、優勝を含む入賞の好成績を残して
いるし、2016年から参戦した500m戦「堅田船競争」でも優勝している。
匠「小寺さん、600mで勝てるのだから、1000mでも一緒でしょう?」
小「アハハ・・この大会も500mで折り返しだったら良いのに」
そう、「小寺」はターンが滅法上手く、それがある「高島」「堅田」
「東近江」の大会の全てで優勝経験があるのだ。
だが、ターンがあろうがなかろうが、直線の速さも捨てたものでは無い。
本1000m大会だけ何故調子が悪いのであろうか?
たまたまなのか、苦手意識があるのか、そんな感じか?

こちらが「小寺製作所」1回戦の、およそ900m地点での模様だ。
さすがに漕手はちょっとしんどそうだ、けど、そんなに遅いとは
思えない、追って本部からアナウンスがあるタイムに着目してみよう。
本「ただいまの小寺製作所のタイム、4分26秒」
ほら、そんなに遅く無いではないか。
そりゃあ、「IHI相生」や「池の里」からは、十数秒程度遅れている
かもしれないが、前編でも書いた通り、1000mの長距離戦での
10秒やそこらは僅差でしか無い。
これはもしかすると、夢の「長距離戦初入賞」があるかも知れないな。
引き続き「小寺」の2回戦を見守る事としよう。

こちらは「Rスポーツマンクラブ」
ご存知、大阪の超ベテランチームだ。
長距離戦も苦手という訳では無い、本大会での入賞経験もあった筈だ、
しかし、今日の「R」のメインイベントは、この大会の後に行われる
「グランドシニア大会」なのだ、そちらは年齢によるハンデ戦であり
年齢の高い「R」は、ほぼ毎回、優勝または入賞の実績をあげている。
まあ、「R」にとって、1000m大会はウォーミングアップのような
ものであろう。

「R」の1回戦のタイムは、4分33秒とさほど悪くは無いが、
上位との差が20秒ともなると、ちょっと入賞は難しいかも知れない。
キャプテンの通称「真田昌幸」(注:智将として有名な戦国武将)に
話を聞いても、1000m戦は重要視していない模様だ。
「R]は2週間前にOPALで行われた「大阪府民体育大会」で優勝して
いる、その時決勝戦で当たったのが「小寺製作所」であった、
R「まあ、府民大会では、小寺さんに優勝を譲って貰ったしなぁ・・
こちらの滋賀の大会では、小寺さんに花を持たせておこう」
・・とは言うものの、別にレースで手を抜いているような訳ではない、
けど、何故かそうなってしまうのが、ドラゴンボートの「ドラマ」なのだ。
「R」には、次の「グランドシニア戦」で頑張ってもらう事を期待しよう。

こちらは「メタルスタイリスト福田」チームである。
京都の企業系チーム、2013年の第1回宇治大会市内の部から
ドラゴン大会への参戦を始め、その活動範囲を宇治大会のみならず、
ドラゴンキッズ、びわこペーロン、グランドシニア、と広げ、
今年は、本1000m大会に初参戦だ。
昨年2015年末に、会社から正式なクラブ活動として認められた、
本年で実質4年目となる「準」専業チームだ。
(今日は、社長さんも応援に来ている、その模様は「グランドシニア」
記事で紹介しよう)
まだ各参加大会での入賞実績はなく、最高位は宇治大会の市内の部
での4位(数回ある)、そして、びわこペーロンの花形カテゴリーの
20人漕ぎオープンの部での、準決勝進出(本年)である。
まずは、どこかの大会で初入賞を狙っていきたいところであろうが、
今回の1000mは、他は皆、専業チームばかりなので、やや厳しいかも
知れない。
年齢層も若干高目であり、「グランドシニア」にも引き続き参戦する
とのことで、そこで上位を狙っていくのも良いかも知れない。
まあ、でも、「メタル」くらいの経験を持てば、宇治大会の市内の
部では優勝争いに絡んできてもおかしくないところなのだろうが、
宇治の市内の部には「メタル」を上回る常連強豪のチームが
2つあって、毎年そこが優勝争いをしている状況だ。
それでも宇治の市内強豪は、ドラゴン専業チームと戦った事は無い、
その点においては「メタル」は経験が何度もある訳だから、
そのレース経験から、競り合いのノウハウや、速く漕ぐための秘訣を
吸収して貰いたい所だ。

「メタル」の漕ぎはさほど悪くない、パドルは良く揃っているし、
1000mを漕ぐスタミナもある。
しかしタイムはさほど伸びず、1回戦は4分58秒と、他の専業チーム
より20秒から40秒ほど遅れをとっている。
私が撮影をしていて気がついたのは、「メタル」の漕ぎでは「水しぶき」
が上がる事が殆ど無い事だ。他チームの場合は秒数コマで数枚連写を
すれば、必ずその中に水しぶきがあがっているカットが撮れるが、
「メタル」は連写をしても、水しぶきがあがっている写真が無いのだ。
でも、必ずしも、水しぶきを上げた方が速いか?というと、そういう
訳でも無いであろう、強豪チームであっても、そのあたりはチームに
よってかなり差がある、例えば海外チームなどは大量に水しぶきを
上げるのだが、国内強豪チームはさほどでも無い事がある、そして
日本選手権大会等では、その両者の速度差はあまり無かったりもする。
けど、そうだとしても「メタル」は、ちょっと力強さに欠ける感じはある。
ドラゴンやボート競技において、よく言われる事で「ピッチで漕ぐ」
「ストロークで漕ぐ」という区分(漕法の差)がある。
「ピッチ」とは漕ぐ回数の事で、”レート”とも呼ばれている。
例えば、1分間に何回漕ぐか?とかいう話である。
「ストローク」は、漕ぎが有効な時間や長さを指す。
例えば「ストローク長」と言えば、ボートが進んだ距離を
漕いだ回数で割ればそれが出てくる。
具体的には、200mを何回で漕ぎきるか?
その際の、漕ぎ1回あたりの距離は何m?といった意味である。
つまり、ピッチは時間あたりの回数、ストロークは回数あたりの距離
という意味であり、概念的には、ピッチは手数であり、いかに速く
その回数をこなすか、そしてストロークは漕ぎの長さであり、いかに
力強く(長く)水を漕ぐか、という感じであろう。

鳥で言えば、小型の鳥が何回も羽ばたいて飛ぶのが「ピッチ」であり、
大型の鳥が、ゆっくり大きく羽ばたくのが「ストローク」であろう。
(上写真は、タイミング良く、大会会場の上空を飛んでいた鳥だ)
「メタル」の漕ぎは、見ている感じでは「ストローク」が弱いのかも
知れない、それでも漕ぐ回数が増えていけば、いわゆる「ピッチ漕法」
のようになるのかも知れないが、今のところピッチ(レート)が速い
という訳でも無いので、結果的に速度が上がらないのではなかろうか?
このあたりになると、強豪チームのベテランクルーなどによる指導が
必要な段階になってきているようにも思える、私が見ていてわかったと
しても、どうやったら改善できるか?というのは、ベテラン選手や
コーチで無いと無理だ。
余談だが、音楽(音響)の世界で言う「ピッチ」とは、音の高低を
示す用語であり、音程とか周波数とほぼイコールの意味だ。
音響での「ピッチ」は、1秒あたりの音波の振動数であり、その単位は
古くは「サイクル」と呼ばれていたが、現在は「ヘルツ」(Hz)である。

さて、「ピッチ」とも「ストローク」とも、また違った視点で
話をしなければならないのは「IHI相生」の漕ぎであろうか・・
私の勝手な分析だが、「IHI相生」の漕ぎは他の近畿圏のチームとは
ちょっと違っている。・・なんと言うか「上から突っ込む」ような
イメージなのだ。
私はこれを「相生ペーロン漕ぎ」と呼んでいる、これは推測だが、
「相生ペーロン競漕」の艇は舷側(喫水)がドラゴン艇に比べて高く、
真上からパドルを突っ込まないと水面に届かない。
百年もの「相生ペーロン競漕」の元祖となった「IHI相生」チームだ、
その艇に特化した漕ぎを自らあみだし、それが先輩から後輩へ
受け継がれているのではなかろうか?と想像している。
もう少し具体的に言えば「パドルの入水の角度が異なる」のだ、
極端に言えば「IHI相生」は、他チームよりもそれがやや垂直に近い、
その状態から引っ張ってストロークするので「後重心」なイメージだ。
他チーム、たとえば「池の里」だと、低い舷側のドラゴン艇で育ち
この為、自分のポジションよりもできるだけ前にパドルを突っ込み、
引き付けてストロークする感じだ、この為、前傾姿勢がきつくなる。
ここからも推測だが、「IHI相生」が長距離に強いのは、その漕ぎ方
であると長距離でスタミナを消費しにくいのではなかろうか?
そして、そもそも、「相生ペーロン競漕」は、予選600m(1ターン)
決勝は900m(2ターン)なのだ、「IHI相生」はその中長距離戦にも
十分に慣れていて、それに対応した漕ぎになっているとも言える。
しかし、相生のチームの全てがそうであるとも言えず、
「磯風漕友会」は、前傾タイプの漕ぎ方をしている。
「IHI相生」の漕ぎ方をさらに極端にすると、究極は、女子強豪チーム
「河童」による、近年の「直立漕ぎ」になるのではなかろうか?
今年の日本選手権では、前傾漕ぎの「スーパドルフィン」と
直立漕ぎの「河童」が、極端に対照的な漕ぎ方ながら、途中まで
ほぼ同等の速度であった事が、とても印象深かった。
まあでも、これらはあくまで推測にすぎない。
あくまでレースを観戦していて、そう見える(思える)だけであり、
実際のところは、良くわからない。

オープンの部の優勝争いは、池の里とIHIが僅差の状態だ。
「IHI相生」の選手いわく
I「まあでも、大阪の大会(注:日本選手権の事)では
いつも”池の里”さんには負けているしなあ・・」
なるほど、そういえば日本選手権のオープン準決勝あたりで、
良くIHI相生と池の里は当たっている。
超強豪チームの集まる日本選手権であるから、どちらも残念ながら
なかなか決勝には進出できないのだが、準決勝での3位、4位といった
微妙な順位差はライバルとして意識する要素には十分なるのであろう。
匠「でも天神は短距離でしょう? IHIさんは長距離に強いしね」
I「あ、そうそう・・ いつものように、またこれを、どうぞ」

また飲み物を貰ってしまった!(注:ビールは大会中には飲めないので
帰宅後の楽しみだ)
匠「ありがとうございます。いつもすみません!」
が、ここにきて「相生のチーム」の3大特徴がはっきりしたようにも
思える。
1つ、「魂」という言葉を好んで使う。
2つ、「相生ペーロン漕ぎ」をする。
3つ、大量の飲み物を準備していて、周囲の人に振舞う。
以上である(笑)
これらの2つまたは3つ全てに当てはまれば、それは相生のチームだ、
まあでも、いずれも悪い性質の話では無いし、むしろ良い特徴だ。
まあ、大阪のオバチャンが、「あめちゃん食べるか?」と、すぐに
飴玉をくれるようなものかもしれない(笑)
「人の良さ」を感じる話だ・・

さて、こちらは「小寺製作所」の2回戦だ。
すでに「瀬田川洗堰」は、半分閉められている様子であり、
(余談だが、はるか昔は人力で閉めていて、36時間もかかったとか!
今は勿論モーターで閉めるので、数十分で閉じれると聞く)
目に見えて水流は遅くなっている、しかし「小寺製作所」は、何故か
1回戦より、3秒程タイムを縮めてきている。
そして、これで「小寺製作所」の3位が確定した。
「小寺製作所」悲願の(?)長距離戦の初入賞だ。
もうこれで「長距離に弱い」などとは言わせない(笑)
そして、滋賀県の大会においては「東近江」では女子が優勝で
男子はまだ勝っていないので、ここで勝つ事がまず1つ、
そして「びわこペーロン」は、以前の記事に書いたように、もし
「殿堂入り制度」ができたならば、優勝経験のあるチームや超強豪
チームはその上級リーグで戦うだろうから、一般のオープンの部
においては「小寺」が優勝候補だ、いずれ優勝できるであろうから
もうそうなれば、「小寺」が滋賀県ローカルを離れて全国進出する
ようになるのかも知れない・・

さあ、残るは優勝争いだ、「IHI相生」の合計タイムは8分27秒台、
1/100秒単位の正確な数値は知らない。1000m戦で、そこまで
細かいタイムは通常であれば殆ど意識する必要が無いからだ。
そして対するは「池の里」だ、予選第1回戦が4分12秒、
ここで2回目で4分14秒が出せれば勝ちだ、
注目の第2回戦のタイムは・・・
本「”池の里Lakers!"の、只今の2回戦タイムは、4分15秒16」
匠「あれ~??池の里の1回戦は4分12秒で、合計8分27秒?
これでは「IHI相生」と同じではないか!
・・え~と、詳しくは1/100秒単位で計算しないとわからないな、
いったいどっちが勝ったのか?さっぱりわからない」
本部からの最終発表はまだだ。
「池の里」に聞くと「ちょっと負けた」と言い、
「IHI相生」に聞くと
I「池の里さんの勝ちでしょう、ウチは27秒台の後半です」と言う。
どっちも謙遜しているのだが、少し時間が経った頃、本部に正確な
タイムが張り出された、それを合計すると、
「IHI相生」が 8分27秒86
「池の里」 が 8分28秒00
うわ~! 実に、100分の14秒差で「IHI相生」の勝利だ!
「池の里」いわく
池「くう~、今回はイケると思ったけどなあ、また万年二位かあ(笑)
それにしても1000m戦で、コンマ1秒差なんて、凄くない?」
まあ確かに大接戦でした!
「IHI相生」は、これで本大会3連覇。
さすがに長距離戦は磐石という雰囲気になってきた。

「IHI相生」さん、3連覇おめでとうございます。
・・まあしかし、このままでは終われない。
引き続きの「グランドシニア大会」では、各チームとも、
虎視眈々と優勝を狙っている。
超ベテラン「Rスポーツマンクラブ」はもとより、他チームも
年齢ハンデが少し貰えるような状況であるのだ。
これはつまり「我こそは、歳よりも若い(体力がある)チームだ」
という事を主張できるという意味に主旨が変化してきているのだ。
つまり、年齢が高いチームが有利なのではない、年齢が高くて、かつ
体力のあるチームが優位な大会なのだ。
「グランドシニア大会」の主旨は、本来の「老若男女誰でも楽しめる」
というよりは、、現在では、専業チーム同士の「若さ合戦」という風に
変化していると思われる。
けど、それはそれで良い、幸いにして今日の「グランドシニア」への
参戦は専業または準専業チームばかりだ、だとすれば競技指向全開で
楽しめば良い訳だ。
さて、本記事1000m大会は、このあたりまでで、引き続き
「グランドシニア大会編」に続く・・